改訂 メディア学入門

メディア学大系 1

改訂 メディア学入門

  • 柿本 正憲 東京工科大教授 博士(情報理工学)
  • 大淵 康成 東京工科大教授 博士(情報理工学)
  • 進藤 美希 東京工科大教授 博士(経営管理)
  • 三上 浩司 東京工科大教授 博士(政策・メディア)

文系・理工系・芸術系の枠を超えたメディア学という学問領域について解説したテキスト

  • 口絵
ジャンル
発行年月日
2020/04/10
判型
A5
ページ数
210ページ
ISBN
978-4-339-02796-9
改訂 メディア学入門
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定価

2,970(本体2,700円+税)

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  • 内容紹介
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  • 目次
  • 著者紹介
  • 広告掲載情報

【読者対象】
文系、理工系、芸術系のそれぞれの立場から教養としてのメディアを基礎から幅広く理解したい学部学生。メディア技術を含む情報通信技術やメディア活用に興味を持ち、将来それらの分野に関わる専門家を志す学生。

【書籍の特徴】
従来のメディア論が言論を中心に考える分野であるのに対し、本書が提唱するメディア学は情報を伝える媒体としてのメディアを包括的に捉える新しい学問分野です。ここ30~40年のディジタル技術の進歩と普及は、印刷技術が普及した16世紀以来と言えるメディアの変革をもたらしました。本書ではディジタル化によって非常に多彩な形式や仕組みを持つようになったメディアについて、コンテンツ制作、ディジタル技術、社会活用の観点から総合的に論じています。

【各章について】
1章ではメディア学を定義し、本書を読むための基礎となる重要な概念を説明します。2章はディジタル技術の基本概念のうち、メディアに密接に関わるデータ表現方法に焦点を絞って解説します。
3章から6章ではメディアを支える技術の諸分野を紹介します。まず、人間がメディアに接する耳と目にそれぞれ提示される音声と映像に注目し、それらのコンピュータによる処理技術全般を俯瞰します。つぎに人間と情報機器との接点全般の概念であるヒューマンインタフェースについて説明します。さらに情報伝達技術の中核であるネットワーク技術の仕組みや社会との関わりにも言及します。
7章から10章では、メディアに載せる情報のうち、作品と呼ぶことのできるクリエイティブコンテンツの各種技術技法および制作工程を概観します。CG、アニメ、実写動画などの映像コンテンツ、さらにはゲームに代表されるインタラクティブコンテンツの全体像を網羅し、加えてコンテンツにおける音声について述べます。
11章から14章では人間社会におけるメディアを論じています。まず、今後社会に浸透していく人工知能(AI)に代表される情報技術と人間との関わりを概説します。つぎに社会全体をより良くするためのメディアを通じた世界的な取り組みを紹介します。さらに、報道分野を概観してこれからのジャーナリズムの課題について触れ、最後にビジネスにおけるメディア活用について述べています。
15章はまとめとしてメディア学の流れを大局的に捉えます。メディアの歴史と未来を縦軸の流れとみなし、関連する学際領域を横軸とみなし、それらの紹介と考察を通じて読者が現代のメディア学の理解を深める羅針盤を示します。

【著者からのメッセージ】
高校の勉強を終えたばかりの学生のための入門書として最適な内容です。本書に載っている内容は、いずれもメディア学体系シリーズやその他の専門教科書で、あるいはインターネット上の断片的な情報や知識として述べられていることばかりです。しかし、一冊の本の中にこれだけの範囲のトピックを体系立てて整理し紹介している書籍は他にはありません。ぜひ長く使える参考書としても本棚に入れておいてください。

本書は,メディア学という新しい学問領域について学ぼうとする学部学生を対象とした教科書である。本書で取り扱うメディア学は,社会学の分野で従来から扱われてきたメディア論やメディアコミュニケーション研究の基本概念を包含し,また一方で画像,映像,音声,文字などのディジタル情報とその処理技術の基礎を包含する。さらに,メディアに載せる作品としてのディジタル情報をつくり上げるコンテンツ創作全般をメディア学の範疇と捉える。

メディア学は文系・理工系・芸術系の枠を超えた融合分野である。本書でも3章から14章にかけて技術(理工系)・コンテンツ(芸術系)・社会(文系)の切り口で各分野の概要を記述している。しかし,内容のすべては1章で述べるメディアの基本モデルという枠組みに包含されるか,少なくとも密接に関連する。そして根底には2章で述べるディジタル技術が大前提となっている。

1章ではメディアの定義を明確化し,現代のメディアを支える基盤が情報通信技術(ICT)であることを述べ,メディア全般を理解するための基本モデルを提示する。2章ではICTの最も基本的な知識としてディジタルデータの基礎概念を詳述する。

3章から6章ではメディアを支える技術の諸分野を紹介する。人間がメディアに接する耳と目にそれぞれ提示される音声と映像に関する処理技術全体を俯瞰したのち,人間と情報機器との接点全般であるヒューマンインタフェースについて述べる。情報伝達技術の中核であるネットワーク技術の仕組みや社会との関わりにも触れる。

7章から10章では,メディアに載せる情報のうち,作品と呼ぶことのできるクリエイティブコンテンツの各種技術技法および制作工程を概観する。CG,アニメ,実写の映像コンテンツ,ゲームに代表されるインタラクティブコンテンツの全体像を網羅し,最後にコンテンツにおける音に関して述べる。

11章から14章では人間社会におけるメディアを論じる。まず今後社会に浸透していく人工知能(AI)に代表される情報技術と人間との関わりを概説し,つぎに社会全体をより良くするためのメディアを通じた世界的な取組みを紹介する。さらに,報道分野を概観してこれからのジャーナリズムの課題についても触れ,最後にビジネスにおけるメディア活用について述べる。

15章ではまとめとしてメディア学の流れを大局的に捉える。メディアの歴史と未来を縦軸の流れとみなし,関連する学際領域を横軸とみなす。それらの紹介と考察を通じ,読者が現在のメディア学の理解を深める羅針盤とする。

メディア学の領域が多岐にわたるため,つぎの4名で分担して執筆した。柿本正憲:1,2,15章,大淵康成:3~6章,三上浩司:7~10章,進藤美希:11~14章

本書の内容は,東京工科大学メディア学部が創設以来20年間にわたりメディア学概論あるいはメディア学入門として開講している1年次前期の必修講義の内容をもとにまとめたものである。本改訂では分野ごとに改めて章を細分化し,構成を一新した。入門書という性質上多くの内容は網羅的に記述されている。一方でメディア学の分野でありながら網羅できなかった分野もある。より広く,そして深く詳細に学ぶには「メディア学大系」の各書籍をご参照いただきたい。

2020年1月著者を代表して柿本正憲

1.メディア入門
1.1 メディアとは
1.2 メディアを支える基盤技術
1.3 メディアの基本モデルとコア領域
1.4 メディアを学ぶ目的
演習問題

2.ディジタル技術
2.1 アナログとディジタル
2.2 メディア情報のディジタル表現
 2.2.1 標本化と量子化
 2.2.2 画像のディジタル化
 2.2.3 ディジタルデータの人間への提示
2.3 ディジタルデータの基本
 2.3.1 物理状態,2進数,データ規約
 2.3.2 データ量の単位
 2.3.3 キロ,メガ,ギガ,テラ
演習問題

3.音声音響言語処理
3.1 音と聴覚
 3.1.1 音と聴覚の基本的な性質
 3.1.2 音によるインタフェース
 3.1.3 音の方向知覚
3.2 音声処理
 3.2.1 音声の特徴
 3.2.2 音声認識
 3.2.3 音声合成
3.3 ディジタル音楽
 3.3.1 音楽メディア
 3.3.2 音楽制作
 3.3.3 音楽情報処理
3.4 言語処理
 3.4.1 テキストデータの分析
 3.4.2 言語処理の応用
演習問題

4.映像画像CG処理
4.1 画像と視覚
 4.1.1 画像と視覚の基本的な性質
 4.1.2 画像によるインタフェース
4.2 画像処理
 4.2.1 濃淡変換による明るさの調整
 4.2.2 色の調整
 4.2.3 フィルタリング,モザイク処理,マスク処理
4.3 画像認識
 4.3.1 画像認識の手法
 4.3.2 画像処理の応用
4.4 コンピュータグラフィックス(CG)
 4.4.1 CGで使われる技術
 4.4.2 3次元CG
 4.4.3 可視化
演習問題

5.ヒューマンインタフェース
5.1 インタフェースとは
 5.1.1 インタフェースの構成要素
 5.1.2 さまざまなインタフェース
5.2 CUIとGUI
 5.2.1 キャラクターベースドユーザインタフェース(CUI)
 5.2.2 グラフィカルユーザインタフェース(GUI)
 5.2.3 CUIとGUIの役割
5.3 バーチャルリアリティ(VR)
 5.3.1 VRの構成要素
 5.3.2 仮想世界と現実世界の融合
5.4 インタフェースの設計
 5.4.1 インタフェース設計の基本理念
 5.4.2 よいインタフェースとは
演習問題

6.ネットワーク
6.1 古典的なネットワーク
 6.1.1 情報伝達
 6.1.2 電話網
6.2 インターネット
 6.2.1 インターネットの仕組み
 6.2.2 パケット通信
 6.2.3 IPアドレスとURL
 6.2.4 ルーティング
6.3 現代のネットワーク社会
 6.3.1 セキュリティ
 6.3.2 ディジタルデータにまつわる権利
演習問題

7.クリエイティブコンテンツ
7.1 コンテンツとは
 7.1.1 本書で扱うコンテンツとは
 7.1.2 コンテンツの媒体
 7.1.3 コンテンツと時間
 7.1.4 リニアコンテンツとインタラクティブコンテンツ
7.2 コンテンツ制作工程
7.3 コンテンツ制作に関わるスタッフ
演習問題

8.実写映像とCG技術,アニメ技術
8.1 映像制作技法
 8.1.1 実写
 8.1.2 アニメーション
 8.1.3 コンピュータグラフィックス(CG)
 8.1.4 撮る映像とつくる映像
8.2 映像コンテンツの基礎
 8.2.1 映像の構成要素
 8.2.2 構成要素の設計タイミング
 8.2.3 映像制作手法ごとの構成要素生成手段
 8.2.4 画面構成
8.3 映像編集
 8.3.1 連続性
 8.3.2 編集理論とクレショフ効果
 8.3.3 映像のつなぎかた
 8.3.4 合成・CG/VFX編集
 8.3.5 マスタリング
演習問題

9.インタラクティブコンテンツ
9.1 ゲームのプラットフォーム
 9.1.1 アーケードゲーム
 9.1.2 家庭用ゲーム
 9.1.3 スマートフォン向けゲーム
 9.1.4 PCやその他ゲーム
9.2 ゲームコンテンツの表現と形式
 9.2.1 ゲームの新規性
 9.2.2 ゲーム表現の違い
 9.2.3 ゲームの対価
9.3 ゲームと遊び
 9.3.1 遊びの定義とそれを超えたゲーム
 9.3.2 遊びの要素
 9.3.3 ゲームデザイン
 9.3.4 新しいゲーム要素と倫理
9.4 ゲームを取り巻く環境
 9.4.1 ゲーム制作に関わる業務
 9.4.2 ゲーム開発の構造
 9.4.3 ゲームの応用
演習問題

10.コンテンツと音
10.1 コンテンツと音の関係
 10.1.1 音楽コンテンツの変遷
 10.1.2 コンテンツ音楽の概略
10.2 コンテンツにおける音の要素
 10.2.1 コンテンツの中の音の種類
 10.2.2 その場にある音とない音
 10.2.3 音素材の準備
10.3 音とコンテンツのすり合わせ
 10.3.1 ワークフローの中での音
 10.3.2 音による雰囲気の演出
 10.3.3 編集段階での音と映像の組合せ
演習問題

11.AI時代の社会
11.1 情報化による社会の発展
11.2 AIとはなにか
11.3 技術の進化と人間社会の関係
11.4 社会としてAIにどう向き合うか
11.5 AIのビジネスにおける活用
演習問題

12.ソーシャルグッド
12.1 社会のためによいことをする
12.2 SDGs17の目標
12.3 市民の参加
12.4 NGOの例
12.5 NPOの例
12.6 ソーシャルビジネス
12.7 コミュニティへの貢献
演習問題

13.ディジタルジャーナリズム
13.1 ニュースとはなにか
13.2 報道されるニュース
13.3 マスコミとはなにか
13.4 生活者のメディア接触
13.5 ディジタル時代のニュース
13.6 ジャーナリズムとはなにか
13.7 調査報道
13.8 ディジタル時代のジャーナリズムの課題—1
13.9 ディジタル時代のジャーナリズムの課題—2
演習問題

14.ディジタルマーケティング
14.1 ビジネス系科目の体系とキーワード
14.2 ディジタルマーケティングとはなにか
14.3 広告とはなにか
14.4 動画広告
14.5 ディジタル広告の今後の方向性
演習問題

15.メディア学の流れ
15.1 メディアの歴史
15.2 メディア学と学際領域
15.3 メディア学の将来
演習問題

引用・参考文献
演習問題解答
索引

柿本 正憲

柿本 正憲(カキモト マサノリ)

大学4年生のとき、NASAのジェット推進研究所が制作した宇宙船と土星のコンピュータグラフィックス作品に衝撃を受けました。CGを使えば自由に世界や宇宙を飛び回れることを知り、自分もこんな映像を作ってみたいと思いました。卒業後は企業の研究所、ベンチャー企業、外資系企業で研究やソフトウェア開発を行うほか顧客支援の技術者も務めましたが、一貫してCG技術に関わってきました。特に私が20代30代だった1980~90年代はCG技術が急速に発展し普及した時代です。新しい技術との遭遇の連続でエキサイティングな日々を過ごしました。

ディジタル技術の専門家として大学で講義をしたりCG技術の研究を行ったりする一方、趣味でアルペンスキー競技を長年続けています。技能や筋力や技術を磨き、道具を調整し、コース状況を予測してタイムを競うことは仕事とは対照的なアナログの世界ですが、深く考えるのが重要、という点で共通です。いずれはCGやVRの仕組みで競技スキー技能を向上させタイムを縮めるシステムを作りたいと思っています。

大淵 康成

大淵 康成(オオブチ ヤスナリ)

大学では物理学科に所属し、光物性の研究をしていました。その後、会社に入って情報分野に進み、ニューラルネットワークの研究をするようになりました。始めてみてわかったのですが、ニューラルネットワークの世界では、大学で学んだ統計力学の知識が多いに役立ちました。その後、再度研究分野を変更し、音声認識の研究に携わるようになりました。その頃、音声認識にニューラルネットワークを使うのは、やや時代遅れという感じでしたが、それから15年ぐらいたって、深層学習という言葉とともに、ニューラルネットワークが脚光を浴びる時代が再び訪れました。

2015年に大学に移ってからは、音声認識だけでなく、音響信号処理や音楽情報処理など、音に関わる様々な分野を対象に研究を続けています。自分の住み慣れた分野を離れて新しい分野に進むのは勇気がいりますが、これまでの経験から、様々な研究分野は思いがけないところで繋がっていて、他分野の経験はきっとどこかで役に立つと思っています。

私自身は楽器の演奏は全くできないのですが、研究室には楽器が得意な学生さんも多く、自分の演奏を題材とした研究テーマなども提案してくれます。そういったテーマでも、技術や理論の側から支援できることが沢山あります。もちろん、昔からやっている音声認識の分野でも、まだまだやってみたいテーマはあって、あれやこれやと考えながら楽しい研究生活を送っています。

進藤 美希

進藤 美希(シンドウ ミキ)

コミュニティは人間にとって本質的に重要なものです。コミュニティは、単に人々をつなげ、生きるための生産の場を提供するという以上の役割、すなわち、芸術、ビジネス、などのさまざまな領域における価値創造の場となっています。SDGsが注目される現在、コミュニティを通じた社会貢献ということも重要になっています。そうしたことをお考えになるうえで本書を活用していただけると幸いです。

三上 浩司(ミカミ コウジ)

掲載日:2020/11/16

情報処理学会誌「情報処理」2020年12月号広告

掲載日:2020/06/12

芸術科学会誌「DiVA」48号広告

掲載日:2020/06/03

「電子情報通信学会誌」2020年6月号広告

掲載日:2020/05/08

「電子情報通信学会誌」2020年5月号広告

☆シリーズ特設ページ☆