ゲームグラフィックス表現技法
リアルタイムCG技術と映像表現手法の二つの側面からゲームグラフィックス表現を解説
- 発行年月日
- 2024/02/22
- 判型
- A5
- ページ数
- 200ページ
- ISBN
- 978-4-339-01374-0
- 内容紹介
- まえがき
- 目次
- レビュー
- 書籍紹介・書評掲載情報
- 広告掲載情報
【読者対象】
本書はゲーム制作に取り組もうとしているビジュアルアーティスト、アニメーターの学⽣を対象としていますが、企画、プログラマーの学⽣にもそれぞれの分野で役⽴つ内容となっています。
【書籍の特徴】
本書ではデジタルゲームのビジュアルアーティスト向けにリアルタイムCG 技術と映像表現⼿法の⼆つの側⾯からゲームグラフィックスの表現技法を解説しています。特定のツールに限定せずにゲームのグラフィックス表現がどのような仕組みで表現されているのか、技術⾯から解説すると同時にビジュアルアートやゲームデザインの側⾯からの制作上の留意点やゲームグラフィックスとして求められることも取り上げています。
【各章について】
「リアルタイム CG」の章ではリアルタイムCG の仕組みと3DCG ゲームグラフィックス表現の変遷について解説します。
「モデル」,「ライト」,「マテリアル」,「アニメーション」の各章では各要素がどのような仕組みでゲームグラフィックスをコントロールしているか解説します。
「ワークフローとアーティストの役割」の章ではゲーム制作におけるビジュアルアーティストの役割分担や⼯程管理について解説します。
「背景‧ステージ制作」,「キャラクター制作」,「ゲームアニメーション制作」,「カットシーン制作」,「エフェクト制作」の各章では各アセットの具体的な制作⽅法とリアルタイムCG 技術を解説します。また、ビジュアルアーティストに求められることや必要な知識に関しても解説します。
【著者からのメッセージ】
ゲームグラフィックスは技術とアートを相互に関連させることによって表現されています。ゲーム制作のビジュアルアーティストにはアートの側⾯からの表現だけでなく、リアルタイムCG技術を理解して新たな表現を⽣む出す⼒が求められます。本書ではゲーム制作に興味を持つデザイン系、アーティスト系の学⽣に対して、⾃⾝がデジタルゲームで描きたい表現とゲームグラフィックスの技術がどのように結びついているのか分かりやすく解説しています。
ゲームエンジンの進化によってビジュアルアーティストでもリアルタイムCGやゲームシステムに積極的に担える環境が整いつつあります。より⾃⾝の思い描くゲームグラフィックスを表現するために本書が⾜がかりになれば幸いです。
【キーワード】
ゲームグラフィックス,リアルタイムレンダリング,モデリング,マテリアル,アニメーション,ライティング,カメラ,ゲームステージ,キャラクター,カットシーン,エフェクト
デジタルゲームのグラフィックス表現はリアルタイムCGの技術と映像表現手法が相互に関連することによって表現されている。現在も進化を続けているゲームグラフィックスではその傾向はより強く,技術とアートの関連性はより複雑化している。そしてデジタルゲームのアーティストにはアートの側面からの表現手法だけでなく,リアルタイムCGがどのような仕組みによって作り出されるのかを理解し,さまざまな技術分野の専門家と協力して,技術とアートを融合させた新たな表現を生み出す力が求められている。
本書ではデジタルゲームのアーティスト向けにリアルタイムCG技術と映像表現手法の二つの側面からゲームグラフィックスがどのように表現されているかを解説する。
1章ではリアルタイムCGの仕組みと制作環境,3DCGゲームグラフィックス表現の変遷について解説する。2~5章ではリアルタイムCGを表現するためのアセットを構成するモデル,ライト,マテリアル,アニメーションの仕組みや制作手法,環境について解説する。6章ではゲーム制作におけるアーティストの役割分担とチーム制作を進める上で必要な工程管理や制作したアセットの管理ついて解説する。7~11章はゲーム制作におけるアセット制作を背景・ステージ,キャラクター,ゲームアニメーション,カットシーン,エフェクトに分けて,アーティストに求められること,必要な知識や具体的な制作方法について解説する。また,それぞれの担当で使用されるリアルタイムCG技術に関しても解説する。なお,誌面の都合上口絵に掲載できなかったカラー図は,コロナ社のWebページ(次ページQRコード参照)で確認してほしい。
以下の図は本書の各章をゲーム制作の分担ごとにどのように読み進めればよいかを示したマップである。
点線の矢印は背景・ステージ,プロップ,キャラクター,ゲームアニメーション,カットシーン,エフェクトの各分担で制作したアセットの関連を表したものである。例えば,背景・ステージ制作で作成されたモデルは,カットシーン制作では演出する映像の背景に使用する可能性が考えられる。また,エフェクト制作では,煙や炎などで背景の特定の位置から発生するようなエフェクトを制作する場合は,背景のモデルが必要になる。分担した役割がそれぞれどのように連携することがあるかアーティストは把握しておかなければならない。マップでは各役割分担で1~6章までの関連する章を示してはいるが,アーティストの基本知識としてすべて目を通すことを推奨する。
2023年12月
金久保哲也
1.リアルタイムCG
1.1 リアルタイムCGとは
1.2 リアルタイムCGの仕組み
1.3 フレームレート,レイテンシ
1.4 リアルタイムCGのアセット制作環境
1.5 ゲームエンジン
1.6 3DCGゲームグラフィックス表現の変遷
1.7 アーティストが学ぶこと(アートとテクニカル)
2.モデル
2.1 モデルデータの基本的な構成要素
2.1.1 ポリゴン
2.1.2 法線
2.1.3 トポロジー
2.1.4 UV座標
2.2 モデルの種類
2.2.1 背景モデル
2.2.2 プロップ
2.2.3 キャラクター
2.3 モデルの制作手法
2.3.1 一般的なポリゴンモデリング
2.3.2 スカルプティング
2.3.3 スキャニング,デジタイズ
2.3.4 フォトグラメトリ
2.3.5 ビルボード表現
2.3.6 プロシージャルモデリング
3.ライト
3.1 実写ライティングの知識
3.1.1 直接光と拡散光
3.1.2 光の方向による対象物の見え方の違い
3.1.3 三灯照明(三点照明)
3.1.4 キャッチライト
3.2 CGのライトの特徴
3.2.1 ライトが影響する対象の設定
3.2.2 減衰率の設定
3.2.3 影の表現
3.3 ライトの種類
3.3.1 Environmentライト
3.3.2 Directionalライト
3.3.3 Pointライト
3.3.4 Spotライト
3.3.5 Areaライト
3.4 グローバルイルミネーション
3.5 ライトマップ
3.6 頂点への輝度情報のベイク
4.マテリアル
4.1 マテリアルの種類
4.1.1 Albedo(BaseColor)
4.1.2 Metallic(Metalness)
4.1.3 Smoothness(Roughness)
4.1.4 Transparency
4.1.5 Normal Map
4.1.6 Height Map
4.1.7 Emission
4.1.8 Reflection
4.2 テクスチャの制作手法
4.2.1 ペイントツールでの作成
4.2.2 写真からのテクスチャ作成
4.2.3 プロシージャルテクスチャツール
4.3 メモリを効率的に使用する手法
4.3.1 圧縮テクスチャ
4.3.2 ミップマップ
4.3.3 マスクテクスチャ
5.アニメーション
5.1 手描きアニメーションの理論
5.1.1 コントラスト
5.1.2 スローイン・スローアウト
5.1.3 誇張表現
5.1.4 予備動作
5.1.5 伸縮
5.1.6 ヒップファースト
5.1.7 アーク(弧)
5.1.8 オーバーラップ
5.1.9 フォロースルー
5.2 ビデオゲームのアニメーション要素
5.2.1 位置,回転,スケールによるアニメーション
5.2.2 形状を変化させるアニメーション
5.2.3 テクスチャのアニメーション
5.2.4 カメラのアニメーション
5.2.5 ライトのアニメーション
5.3 RIG(リグ)
5.3.1 階層構造による制御
5.3.2 パスアニメーション
5.3.3 コンストレイン
5.3.4 IK(インバースキネマティクス)
5.3.5 スクリプト
5.3.6 アニメーションのベイク(プロット)
5.4 アニメーションの制作手法
5.4.1 キーフレームアニメーション
5.4.2 モーションキャプチャ
5.4.3 シミュレーション
5.5 アニメーションの編集手法
5.5.1 グラフエディタ
5.5.2 アニメーションレイヤー
5.5.3 ドープシート
5.5.4 ノンリニアアニメーションツール
5.5.5 タイムワープ
6.ワークフローとアーティストの役割分担
6.1 基本的なワークフロー
6.1.1 プロトタイピング
6.1.2 プリプロダクション
6.1.3 本制作
6.1.4 ブラッシュアップ
6.1.5 実装までのフロー整備
6.2 アーティストの役割分担
6.2.1 コンセプトアート
6.2.2 背景・ステージ制作
6.2.3 キャラクター制作
6.2.4 アニメーション制作
6.2.5 エフェクト制作
6.2.6 ライティング
6.2.7 ルックデベロップメント
6.2.8 UI
6.3 リファレンス
6.4 データのバージョン管理
6.5 工程管理
6.6 役割分担の細分化と変化するアーティストの役割
7.背景・ステージ制作
7.1 背景デザインに求められること
7.1.1 現実味を感じさせるデザインとスケール感
7.1.2 空間の演出
7.1.3 レベルデザインの視点
7.2 背景制作のフロー
7.2.1 ビジュアルデザイン
7.2.2 レベルデザイン
7.2.3 モデル制作
7.2.4 エフェクトやアニメーションを伴う背景モデル
7.2.5 背景のヒットチェック設定
7.2.6 ライティング
7.2.7 ライトプローブの配置
7.3 ブロック展開
7.4 テッセレーション
8.キャラクター制作
8.1 キャラクターデザインに求められること
8.1.1 立体表現と動きを考慮したデザイン
8.1.2 プロポーション
8.1.3 キャラクター制作に関連する知識
8.1.4 キャラクターのプロップ
8.1.5 乗り物,メカのプロップ
8.2 キャラクター制作のフロー
8.2.1 モデル制作
8.2.2 フェイシャルモデル
8.2.3 ボーン配置とスキンウェイト設定
8.2.4 テクスチャ作成
8.2.5 キャラクターRIG
8.3 補助ボーン
8.4 小物,衣服,髪の毛などの揺れ物
8.5 キャラクターのヒットチェック設定
8.6 LOD
9.ゲームアニメーション制作
9.1 ゲームアニメーションに求められること
9.1.1 レスポンス
9.1.2 動きの滑らかさと連続性
9.1.3 わかりやすさ,シルエット
9.1.4 アニメーションシステムの理解
9.1.5 汎用性と標準化
9.2 ゲームアニメーション制作のフロー
9.2.1 遷移図とリストの作成
9.2.2 仮アニメーションの制作
9.2.3 ヒットチェックのアニメーション調整
9.2.4 ブラッシュアップ
9.2.5 プロップのアニメーション
9.2.6 乗り物,メカのアニメーション
9.2.7 手付けアニメーションかモーションキャプチャか
9.3 ステートマシン
9.4 シミュレーション,ラグドール
9.5 IKによるアニメーション補正
9.6 アニメーションデータ圧縮
10.カットシーン制作
10.1 カットシーンに求められること
10.2 カメラワーク
10.2.1 画角
10.2.2 被写界深度
10.2.3 圧縮効果
10.2.4 ショットサイズ
10.2.5 イマジナリーライン
10.2.6 カメラオペレーション
10.3 カットつなぎ
10.3.1 連続性を維持する
10.3.2 リズムをつくる
10.3.3 カットのつなぎ方
10.4 フェイシャル
10.4.1 フェイシャルアニメーションの二つの要素
10.4.2 効率の良いフェイシャルコントロールを考える
10.4.3 感情の変化
10.4.4 リップシンク
10.4.5 フェイシャルキャプチャ
10.5 カットシーンの方式
10.6 カットシーン制作のフロー
10.6.1 プリビズ,コンテムービー
10.6.2 モーションリスト
10.6.3 モーションキャプチャ
10.6.4 レイアウトとアニメーション編集(ライティング,エフェクト)
10.6.5 フェイシャルアニメーション
10.7 カットシーン制作での留意点
10.7.1 データのローディング
10.7.2 ゲームシーケンスとのつながり
10.7.3 シミュレーションの使用
11.エフェクト制作
11.1 エフェクトの役割
11.2 エフェクト制作に求められること
11.2.1 物理法則,物理現象の理解
11.2.2 CGのテクニカル知識
11.2.3 観察と再構築
11.2.4 見えないものをデザインする
11.2.5 物理現象としての正解とゲームエフェクトの役割としての正解
11.3 エフェクトの制作環境
11.4 エフェクトの制作手法
11.4.1 物理シミュレーション
11.4.2 ビルボード
11.4.3 ポストエフェクト
11.5 エフェクト制作のフロー
11.5.1 エフェクトリストの作成
11.5.2 プロトタイピング,汎用エフェクトの作成
11.5.3 背景データ,アニメーションデータの引継ぎとエフェクト作成
11.5.4 ポストエフェクトの処理負荷検証
参考文献
索引
読者モニターレビュー【 waarrk 様(業界・専門分野:電子制御工学 )】
本書では、技術者が表現技法を学ぶ場合、表現者が技術を学ぶ場合の両方に対応することが可能である.
章構成は細分化されており辞書的に用いることが可能であるが、全体を通して、グラフィックスの制作ワークフローに焦点があてられている.業界にはいる前に全体の見通しをつけたり、各作業ポジションで分割可能な作業かといった知識を得ることができる.
各ポジションでの作業フローに丁寧な説明があるため、職場に一冊おいておく辞書的な使用も可能であると考える.
私の場合、技術者が表現技法を学ぶ場合であったが、カメラワーク、ライトなどの項目でも理論的説明に加え、場所によっては追加の技術的説明がなされているので、楽しく読み進めることができるようになっている.
特定のモデリングソフトウェアに依存する使用方法のような説明はないため、その点は注意する必要がある.
読者モニターレビュー【 N/M 様(業界・専門分野:総合情報学[情報科学])】
本書は「メディアテクノロジーシリーズ」の4巻目に位置する書籍である.本巻では「リアルタイムCG」と「映像制作」におけるゲームグラフィックスについての記述がなされている.
まえがきでは,ゲーム制作を行う上での役割分担ごとに,どのように読み進めればいいのかという全体図(マップ)が示されている.その全体像を,まず図で把握した後に自身が興味深いと思われる分野について読書されることをオススメする.
また,各章のページ数が十数ページの章が多いため,スキマ時間などにサクッと読める章構成なのも本書の特徴である(レビュしている私自身もスキマ時間に1日1章ぐらいのペースにて拝読させていただいた).
1章では,リアルタイムCGとは何かや,その仕組み,フレームレート,レイテンシ,アセット制作環境,ゲームエンジン,アーティストが学ぶこと等,2章以降の制作過程ごとの役割を学ぶ前の準備段階としての解説がなされている.
本シリーズの3巻目の書籍である『可視化と科学・文化・社会(メディアテクノロジーシリーズ 3)』の時にも同じようなことを書かせていただいたが,CGや映像を専門的に扱うシリーズなので,極力,画像劣化の少ないカラー図集(PNG等の劣化の少ない形式)を関連資料として公開していただきたかったのが正直な感想である.その点だけが唯一残念な点ではあるが,それ以外は,初学者でも無理がないように丁寧な記述がなされている印象を受けた.制作フローの全体像だけでなく,個々の分野について詳細に学べるだろうと思われる.
ゲームメーカーズ 様による本書プレゼントキャンペーン(※ご応募は締め切られました) 掲載日:2024/02/20
※ご応募は締め切られました。
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掲載日:2024/10/01
-
掲載日:2024/09/10
-
掲載日:2024/03/12
-
掲載日:2024/01/17
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