バイオレメディエーションの現代技術 - 生物による汚染土壌・地下水浄化技術 -

バイオレメディエーションの現代技術 - 生物による汚染土壌・地下水浄化技術 -

バイオレメディエーションについて,背景・理論から最新技術に至るまでを解説。

ジャンル
発行予定日
2024/06/下旬
判型
A5
ページ数
260ページ
ISBN
978-4-339-06765-1
バイオレメディエーションの現代技術 - 生物による汚染土壌・地下水浄化技術 -
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定価

4,510(本体4,100円+税)

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  • 内容紹介
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  • 目次
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【読者対象】
・大学生/大学院生:工学部(土木工学、生物工学、環境工学)、理工学部生物系・農学系(環境生物学、応用微生物学、生物学)
・官公庁/自治体土木工事関係者:土木、環境系の技術者、土木工事担当者、土壌・地下水汚染対策担当者
・土木工事技術者(ゼネコン、土木工事会社関係者、土壌汚染対策工事、土壌・地下水環境対策工事会社)
・SDGs、地球環境保全、ゼロエミッション、など地球環境問題に興味をもつ市民団体・個人

【書籍の特徴】
現代におけるバイオレメディエーション技術(以下「バイレメ技術」と略)に関する国内初の体系的な技術解説書です。バイオレメディエーション(Bioremediation)は、土壌や地下水中に存在する有害汚染物質を微生物や植物などの生物を活用して分解・除去する技術で、生物学的浄化技術とも呼ばれています。本書は、そのバイレメ技術について、理論とともにバイレメ工事事例などを挙げながらわかりやすく解説します。

【著者からのメッセージ】
バイレメ技術は、環境負荷が小さく、安い工事費用で環境修復、環境浄化ができるメリットがあります。日本では優れたバイレメ技術を所有しているにもかかわらず、その工事事例は少なく、技術普及は欧米にかなり遅れています。その原因として、土木工事や環境工学分野で、生物系の研究・技術者が少ないことや、行政関係者や一般市民の方々の理解、普及がまだ十分ではないことによると思われます。環境修復技術の中で、バイレメ技術は、従来の物理化学処理方法に代る方法として、地球環境保全のためにも、今後さらに普及することが必要と思われます。本書がその役割を果たせることを願っています。

【キーワード】
バイオレメディエーション、環境修復、環境浄化、環境保全、生物多様性、サステナブル、ゼロエミッション、SDGs

☆発行前情報のため,一部変更となる場合がございます

環境修復,環境浄化,環境保全,生物多様性,サステナブル,ゼロエミッション,SDGs。近年よく耳にするこれらの言葉には,どこか生物的な共通のイメージがあると思います。そして,そのイメージに掘削除去の無機的な工事シーンはそぐわないのではないでしょうか。しかし,国内の環境修復工事で最も多く行われている方法は,汚染土壌の掘削除去および埋め戻し工法です。この工法は,目前の汚染土壌をダンプカーで搬出し,代わりに山土(自然土)などをダンプカーで搬入して埋め戻しをすることで,汚染されたサイト(土地,場所)を浄化する有効な手段です。この工法は,短期間で確実に汚染土壌をそのサイトから除去するとても効率的な手段であるといえます。

しかし,外部から汚染土壌を搬入された自治体,または山土を提供する自治体はどうでしょうか。それらの自治体では「ちゃんと汚染土壌処理業許可証をもった業者が,きちんと管理された場所で処理または保管の業務や作業をしているので法律上問題はない」というでしょう。そのような自治体では,税収入もあり,そこに問題は存在しません。一方,重機を用いて汚染土壌を搬出して山土などを搬入する工事費用やエネルギーコストの負担についてはどうでしょうか。それも,汚染土壌をかかえる企業または自治体が過不足なく負担しているので,問題は存在しません。よってロジックとして,そこに社会的な矛盾や問題点はありません。

それでも,掘削除去や山土による埋め戻しのシーンを環境修復手段として受入れることは,市井の人たちには大変難しいのではないかと思います。実際に,汚染土壌の管理型最終処分場はだんだんと不足しています。また,それらの工事による化石燃料エネルギーの消費や高い工事費用に,問題はないとは言い切れないのではないかと思います。また,地球温暖化問題など世界的な環境意識の高まりがある中で,掘削除去などは環境にやさしく環境負担の少ない工法だとは,やはりいいにくいのではないかと思います。実際のところ,欧米では,土壌汚染や地下水の修復に,掘削除去や搬出入工事を伴わない原位置処理(in situ 処理)によるバイオレメディエーション工法がファーストチョイスになっているという情報もあります。しかし,日本国内では,このような環境負荷が少なく低コスト(工事費は掘削除去埋め戻し工法の約1/3ともいわれています)であるバイオレメディエーション工法の採用は,わずか数%しかありません。ではなぜ,国内ではバイオレメディエーション工法が採用されないのか,これにも理由があります。それは,この工法が生物による浄化処理のため,時間がかかること,天候,土壌の種類など自然環境に影響を受けやすく効果が安定しないこと,モニタリング義務など法律的な規制があることなどから採用されにくかったことがあります。

本書の目的は,以上のような現状を鑑み,短期間で効果的であり,自然環境に影響を受けないように開発された最新のバイオレメディエーション工法を,関係する土木関係者だけでなく,身近な技術として一般の人たちに是非知っていただきたい,また自治体や企業の環境事業担当者の方々にもバイオレメディエーションの最新技術を知ってもらって,その技術普及と推進のためにも,環境修復工事の選択肢に(できればファーストチョイスとして)加えていただきたいことにあります。さらに,技術普及の障害にもなっている法律的な規制が,少なくとも欧米の環境先進国並みになれば良いという思いもあります。

本書の完成のために,日々の業務にたいへんお忙しい中ご執筆いただきました大学の先生,関係企業の技術者の方々にこころより感謝いたします。また,本著の編集に多大なご協力,ご尽力をいただきました大阪大学大学院工学研究科環境エネルギー工学専攻生物圏環境工学領域 池道彦教授に深く御礼申し上げます。また,本書の制作にあたりご協力をいただきました株式会社大林組エンジニアリング本部環境技術第一部上級主席技師 西田憲司様,コロナ社の方々に深く御礼を申し上げます。

最後に,本書により,バイオレメディエーション技術は,微生物や植物による自然浄化システムの一つであることを知っていただき,それを利用して,環境保全,生物多様性,サステナブル,ゼロエミッション,SDGs,地球温暖化防止に少しでも貢献できることを願っております。また,本書の読者のみなさまに本バイオレメディエーション技術利用の将来を託して,本書のまえがきとさせていただきます。

2024年5月
人と自然との調和を願い,G.フォーレのチェロソナタ第2番を聞きながら
椎葉 究

☆発行前情報のため,一部変更となる場合がございます

第1章 生物による汚染土壌・地下水浄化技術の概説
1.1 バイオレメディエーションの概説
 1.1.1 バイオレメディエーションの定義
 1.1.2 バイオレメディエーション技術の歴史
1.2 環境汚染修復技術の概説―生物学的浄化技術の物理学的,化学的浄化技術との違い
 1.2.1 物理学的浄化技術の概要
 1.2.2 化学的浄化技術の概要
 1.2.3 生物学的浄化技術と物理学的,化学的浄化技術の比較
 1.2.4 揮発性有機化合物に対する生物学的浄化技術と物理学的,化学的浄化技術との比較
1.3 生物学的浄化技術の評価

第2章 汚染土壌・地下水浄化技術の理論
2.1 浄化対象となる汚染物質
2.2 微生物浄化の要件と影響因子
 2.2.1 浄化の要件
 2.2.2 浄化の影響因子
2.3 さまざまな微生物浄化作用
 2.3.1 有機汚染物質の酸化分解
 2.3.2 有機汚染物質の嫌気的分解
 2.3.3 金属類の浄化
2.4 バイオレメディエーション技術
 2.4.1 原位置(in situ)浄化技術
 2.4.2 原位置外(ex situ)浄化技術
2.5 ファイトレメディエーション
 2.5.1 ファイトレメディエーションにおける汚染物質の浄化作用
 2.5.2 金属類の浄化
 2.5.3 有機汚染物質の浄化

第3章 バイオスティミュレーション技術の事例研究
3.1 油含有土壌およびベンゼン汚染土壌の好気的バイオスティミュレーション技術
 3.1.1 油およびベンゼンによる土壌汚染
 3.1.2 油含有土壌の測定と浄化目標
 3.1.3 油含有土壌およびベンゼン汚染土壌を対象とした掘削バイオ処理技術
 3.1.4 油含有土壌の掘削バイオ処理の事例(バイオヒートパイル工法)
3.2 好気性細菌を利用するバイオスパージング技術
 3.2.1 バイオスパージングの概要
 3.2.2 バイオスパージングで浄化対象となる有害物質
 3.2.3 バイオスパージングの浄化装置
 3.2.4 バイオスパージングを適用するまでの手順
 3.2.5 バイオスパージング工法による原位置浄化事例
3.3 揮発性有機塩素化合物の嫌気性細菌を利用するバイオスティミュレーション技術
 3.3.1 嫌気性細菌で浄化可能な揮発性有機塩素化合物
 3.3.2 揮発性有機塩素化合物で汚染された地盤の脱塩素細菌による浄化方法
 3.3.3 浄化材を用いる揮発性有機塩素化合物のさまざまな原位置浄化技術
 3.3.4 嫌気性細菌を利用してCVOCsの原位置浄化を行う手順
 3.3.5 CVOCsで汚染された地下水の嫌気性細菌による浄化事例
3.4 加温による揮発性有機塩素化合物の原位置嫌気バイオスティミュレーションの効率化
 3.4.1 揮発性有機塩素化合物の嫌気的バイオスティミュレーションに関与する微生物と実用上の課題
 3.4.2 地盤加温による嫌気的バイオスティミュレーションの促進
 3.4.3 揮発性有機塩素化合物の加温嫌気的バイオスティミュレーションの事例
 3.4.4 加温によるバイオレメディエーションの促進効果の応用
3.5 六価クロムの嫌気的バイオスティミュレーション技術
 3.5.1 六価クロムの還元による不溶化処理方法の概要
 3.5.2 六価クロムの嫌気的バイオスティミュレーション処理工法のトリータビリティ試験
 3.5.3 六価クロムの嫌気的バイオスティミュレーション処理の現場実証事例
 3.5.4 嫌気的バイオスティミュレーション処理による六価クロム低減化の機構解析

第4章 バイオオーグメンテーション技術の事例研究
4.1 Dehalococcoides属細菌コンソーシアによるトリクロロエチレンの嫌気的分解
 4.1.1 汚染現場でのDehalococcoides属細菌由来の遺伝子の検出・利用について
 4.1.2 Dehalococcoides属細菌を含むコンソーシアによるバイオオーギュメンテーション
4.2 Dehalococcoides属細菌の純粋大量培養方法の検討
 4.2.1 バイオオーグメンテーション利用のためのDehalococcoides属細菌の大量培養法の研究
 4.2.2 D.mccartyi NIT01株の特徴と培養維持
 4.2.3 ステンレスおよびガラス容器におけるNIT01株のTCE脱塩素化の比較
 4.2.4 チタン容器を用いたD.mccartyi株 NIT01の大量培養
 4.2.5 まとめ
4.3 Azoarcussp.Strain DN11によるベンゼン汚染土壌・地下水のバイオレメディエーション技術
 4.3.1 地盤に棲息するベンゼン分解菌の特徴
 4.3.2 ベンゼン分解菌Azoarcussp.Strain DN11株の単離
 4.3.3 ベンゼン分解菌Azoarcussp.Strain DN11株の特徴
 4.3.4 DN11株を用いるバイオオーグメンテーション適用のため検討事項
 4.3.5 バイオオーグメンテーションによるベンゼン汚染地下水の原位置浄化事例
4.4 バイオオーグメンテーションのための汚染物質分解微生物のスクリーニング技術
 4.4.1 海水-木炭灌流装置を用いた海水中の1,4-ジオキサン分解微生物の集積培養
 4.4.2 微生物増殖中における1,4-ジオキサンの定量による分解モニタリング
 4.4.3 海水から単離された1,4-ジオキサン分解微生物
 4.4.4 1,4-ジオキサン分解微生物の分解酵素遺伝子
    (PCR法による汚染物質分解モノオキシゲナーゼ遺伝子の検出)

第5章 ファイトレメディエーション技術の事例研究
5.1 重金属を高蓄積する植物:ハイパーアキュムレーター
 5.1.1 ヒ素を高蓄積するシダ植物
 5.1.2 テルルを高蓄積する微細藻類
5.2 ファイトレメディエーションで使用する植物種の探索
 5.2.1 ハクサンハタザオの有効性と栽培体系の確立
 5.2.2 選抜・交配による優良系統の確立と発芽促進法の開発

第6章 環境修復技術や浄化工事に関する行政指針と統計資料
6.1 バイオレメディエーションの安全を確保する指針
 6.1.1 微生物によるバイオレメディエーションにかかわる懸念
 6.1.2 微生物によるバイオレメディエーションの安全性確保
 6.1.3 バイレメ指針の対象
 6.1.4 バイレメ指針の構成
 6.1.5 浄化事業計画の記載
 6.1.6 生態系影響評価書の記載
 6.1.7 おわりに
6.2 国内の環境修復技術や浄化工事に関する統計資料
 6.2.1 土壌および地下水の汚染物質ごとの対策の実施内容および実施件数の調査結果
 6.2.2 生物浄化技術に関連する調査結果
 6.2.3 まとめ

引用・参考文献
索引

バイオレメディエーションの現代技術編集委員会(バイオレメディエーションノゲンダイギジュツヘンシュウイインカイ)

執筆関係者一覧

●編著者

椎葉 究(東京電機大)


●執筆者(五十音順)

安部智子(東京電機大)・池 道彦(大阪大)・井上大介(大阪大)・奥津徳也(栗田工業)

北島信行(フジタ)・隅倉光博(清水建設)・高畑 陽(大成建設)・中村寛治(東北学院大)

西川直仁(大林組)・福田雅夫(長岡技術科学大)・保倉明子(東京電機大)・山崎祐二(竹中工務店)

山下 巧(一般財団法人 土壌環境センター技術委員会)・吉田奈央子(名古屋工業大)


●編集協力

西田憲司(大林組)