株式会社コロナ社

メディア学大系

  • twitter
  • facebook
  • line

2024.3.14 更新

「メディア学大系」刊行に寄せて

 ラテン語の“メディア(中間・仲立ち)”という言葉は,16世紀後期の社会で使われ始め,20 世紀前期には人間のコミュニケーションを助ける新聞・雑誌・ラジオ・テレビが代表する“マスメディア”を意味するようになった。また,20世紀後期の情報通信技術の著しい発展によってメディアは社会変革の原動力に不可欠な存在までに押し上げられた。著名なメディア論者マーシャル・マクルーハンは彼の著書『メディア論─人間の拡張の諸相』(栗原・河本訳,みすず書房,1987年)のなかで,“メディアは人間の外部環境のすべてで,人間拡張の技術であり,われわれのすみからすみまで変えてしまう。人類の歴史はメディアの交替の歴史ともいえ,メディアの作用に関する知識なしには,社会と文化の変動を理解することはできない”と示唆している。

 このように未来社会におけるメディアの発展とその重要な役割は多くの学者が指摘するところであるが,大学教育の対象としての「メディア学」の体系化は進んでいない。東京工科大学は理工系の大学であるが,その特色を活かしてメディア学の一端を学部レベルで教育・研究する学部を創設することを検討し,1999年4月世に先駆けて「メディア学部」を開設した。ここでいう,メディアとは「人間の意思や感情の創出・表現・認識・知覚・理解・記憶・伝達・利用といった人間の知的コミュニケーションの基本的な機能を支援し,助長する媒体あるいは手段」と広義にとらえている。このような多様かつ進化する高度な学術対象を取り扱うためには,従来の個別学問だけで対応することは困難で,諸学問横断的なアプローチが必須と考え,学部内に専門的な科目群(コア)を設けた。その一つ目はメディアの高度な機能と未来のメディアを開拓するための工学的な領域「メディア技術コア」,二つ目は意思・感情の豊かな表現力と秘められた発想力の発掘を目指す芸術学的な領域「メディア表現コア」,三つ目は新しい社会メディアシステムの開発ならびに健全で快適な社会の創造に寄与する人文社会学的な領域「メディア環境コア」である。

 「文・理・芸」融合のメディア学部は創立から13年の間,メディア学の体系化に試行錯誤の連続であったが,その経験を通して,メディア学は21世紀の学術・産業・社会・生活のあらゆる面に計り知れない大きなインパクトを与え,学問分野でも重要な位置を占めることを知った。また,メディアに関する学術的な基礎を確立する見通しもつき,歴年の願いであった「メディア学大系」の教科書シリーズ全10 巻を刊行することになった。

 2016年,メディア学の普及と進歩は目覚ましく,「メディア学大系」もさらに増強が必要になった。この度,視聴覚情報の新たな取り扱いの進歩に対応するため,さらに5巻を刊行することにした。

 2017年に至り,メディアの高度化に伴い,それを支える基礎学問の充実が必要になった。そこで,数学,物理,アルゴリズム,データ解析の分野において,メディア学全体の基礎となる教科書4 巻を刊行することにした。メディア学に直結した視点で執筆し,理解しやすいように心がけている。また,発展を続けるメディア分野に対応するため,さらに「メディア学大系」を充実させることを計画している。

 この「メディア学大系」の教科書シリーズは,特にメディア技術・メディア芸術・メディア環境に興味をもつ学生には基礎的な教科書になり,メディアエキスパートを志す諸氏には本格的なメディア学への橋渡しの役割を果たすと確信している。この教科書シリーズを通して「メディア学」という新しい学問の台頭を感じとっていただければ幸いである。

 2020年1月

東京工科大学        
メディア学部 初代学部長 
前学長          
相磯秀夫

「メディア学大系」の使い方

 メディア学は,工学・社会科学・芸術などの幅広い分野を包摂する学問である。これらの分野を,情報技術を用いた人から人への情報伝達という観点で横断的に捉えることで,メディア学という学問の独自性が生まれる。「メディア学大系」では,こうしたメディア学の視座を保ちつつ,各分野の特徴に応じた分冊を提供している。

 第1巻『改訂メディア学入門』では,技術・表現・環境という言葉で表されるメディアの特徴から,メディア学の全体像を概観し,さらなる学びへの道筋を示している。

 第2巻『CGとゲームの技術』,第3巻『コンテンツクリエーション』は,ゲームやアニメ,CGなどのコンテンツの創作分野に関連した内容となっている。

 第4巻『マルチモーダルインタラクション』,第5巻『人とコンピュータの関わり』は,インタラクティブな情報伝達の仕組みを扱う分野である。

 第6巻『教育メディア』,第7巻『コミュニティメディア』は,社会におけるメディアの役割と,その活用方法について解説している。

 第8巻『ICTビジネス』,第9巻『ミュージックメディア』は,産業におけるメディア活用に着目し,経済的な視点も加えたメディア論である。

 第10巻『メディアICT(改訂版)』は,ここまでに紹介した各分野を扱う際に必要となるICT技術を整理し,情報科学とネットワークに関する基本的なリテラシーを身に付けるための内容を網羅している。

 第2期の第11巻~第15巻は,メディア学で扱う情報伝達手段の中でも,視聴覚に関わるものに重点を置き,さらに具体的な内容に踏み込んで書かれている。

 第11巻『CGによるシミュレーションと可視化』,第12巻『CG数理の基礎』では,視覚メディアとしてのコンピュータグラフィックスについて,より詳しく学ぶことができる。

 第13巻『音声音響インタフェース実践』は,聴覚メディアとしての音の処理技術について,応用にまで踏み込んだ内容となっている。

 第14巻『クリエイターのための映像表現技法』,第15巻『視聴覚メディア』では,視覚と聴覚とを統合的に扱いながら,効果的な情報伝達についての解説を行う。

 第3期の第16巻~第19巻は,メディア学を学ぶうえでの道具となる学問について,必要十分な内容をまとめている。

 第16巻『メディアのための数学』,第17巻『メディアのための物理』は,文系の学生でもこれだけは知っておいて欲しいという内容を整理したものである。

 第18巻『メディアのためのアルゴリズム』,第19巻『メディアのためのデータ解析』では,情報工学の基本的な内容を,メディア学での活用という観点で解説する。

 各巻の構成内容は,大学における講義2単位に相当する学習を想定して書かれている。各章の内容を身に付けた後には,演習問題を通じて学修成果を確認し,参考文献を活用してさらに高度な内容の学習へと進んでもらいたい。

 メディア学の分野は日進月歩で,毎日のように新しい技術が話題となっている。しかし,それらの技術が長年の学問的蓄積のうえに成立しているということも忘れてはいけない。「メディア学大系」では,そうした蓄積を丁寧に描きながら,最新の成果も取り込んでいくことを目指している。そのため,各分野の基礎的内容についての教育経験を持ち,なおかつ最新の技術動向についても把握している第一線の執筆者を選び,執筆をお願いした。本シリーズが,メディア学を志す人たちにとっての学びの出発点となることを期待するものである。

 2022年1月

柿本正憲
大淵康成

シリーズラインナップ

以下続刊

  • メディアのための数学(松永信介・相川清明・渡辺大地 共著)
  • メディアのためのデータ解析(榎本美香・松永信介 共著)

メディア学大系series1

改訂 メディア学入門

  • 柿本正憲・大淵康成・進藤美希・三上浩司 共著
  • A5サイズ/210頁
  • 定価2,970円 (本体2,700円+税)
  • ISBN 978-4-339-02796-9
  • 電子版あり

文系・理工系・芸術系の枠を超えたメディア学という学問領域について解説したテキスト

メディア学大系シリーズ1 改訂 メディア学入門
  • 柿本正憲・大淵康成・進藤美希・三上浩司 共著
  • A5サイズ/210頁
  • 定価2,970円 (本体2,700円+税)
  • ISBN 978-4-339-02796-9
  • 電子版あり
読者対象
文系,理工系,芸術系のそれぞれの立場から教養としてのメディアを基礎から幅広く理解したい学部学生。メディア技術を含む情報通信技術やメディア活用に興味を持ち,将来それらの分野に関わる専門家を志す学生。
書籍の特徴
従来のメディア論が言論を中心に考える分野であるのに対し、本書が提唱するメディア学は情報を伝える媒体としてのメディアを包括的に捉える新しい学問分野です。ここ30~40年のディジタル技術の進歩と普及は、印刷技術が普及した16世紀以来と言えるメディアの変革をもたらしました。本書ではディジタル化によって非常に多彩な形式や仕組みを持つようになったメディアについて、コンテンツ制作、ディジタル技術、社会活用の観点から総合的に論じています。

【各章について】

1章ではメディア学を定義し、本書を読むための基礎となる重要な概念を説明します。2章はディジタル技術の基本概念のうち、メディアに密接に関わるデータ表現方法に焦点を絞って解説します。
3章から6章ではメディアを支える技術の諸分野を紹介します。まず、人間がメディアに接する耳と目にそれぞれ提示される音声と映像に注目し、それらのコンピュータによる処理技術全般を俯瞰します。つぎに人間と情報機器との接点全般の概念であるヒューマンインタフェースについて説明します。さらに情報伝達技術の中核であるネットワーク技術の仕組みや社会との関わりにも言及します。
7章から10章では、メディアに載せる情報のうち、作品と呼ぶことのできるクリエイティブコンテンツの各種技術技法および制作工程を概観します。CG、アニメ、実写動画などの映像コンテンツ、さらにはゲームに代表されるインタラクティブコンテンツの全体像を網羅し、加えてコンテンツにおける音声について述べます。
11章から14章では人間社会におけるメディアを論じています。まず、今後社会に浸透していく人工知能(AI)に代表される情報技術と人間との関わりを概説します。つぎに社会全体をより良くするためのメディアを通じた世界的な取り組みを紹介します。さらに、報道分野を概観してこれからのジャーナリズムの課題について触れ、最後にビジネスにおけるメディア活用について述べています。
15章はまとめとしてメディア学の流れを大局的に捉えます。メディアの歴史と未来を縦軸の流れとみなし、関連する学際領域を横軸とみなし、それらの紹介と考察を通じて読者が現代のメディア学の理解を深める羅針盤を示します。
目次
1.メディア入門
1.1 メディアとは
1.2 メディアを支える基盤技術
1.3 メディアの基本モデルとコア領域
1.4 メディアを学ぶ目的
演習問題

2.ディジタル技術
2.1 アナログとディジタル
2.2 メディア情報のディジタル表現
 2.2.1 標本化と量子化
 2.2.2 画像のディジタル化
 2.2.3 ディジタルデータの人間への提示
2.3 ディジタルデータの基本
 2.3.1 物理状態,2進数,データ規約
 2.3.2 データ量の単位
 2.3.3 キロ,メガ,ギガ,テラ
演習問題

3.音声音響言語処理
3.1 音と聴覚
 3.1.1 音と聴覚の基本的な性質
 3.1.2 音によるインタフェース
 3.1.3 音の方向知覚
3.2 音声処理
 3.2.1 音声の特徴
 3.2.2 音声認識
 3.2.3 音声合成
3.3 ディジタル音楽
 3.3.1 音楽メディア
 3.3.2 音楽制作
 3.3.3 音楽情報処理
3.4 言語処理
 3.4.1 テキストデータの分析
 3.4.2 言語処理の応用
演習問題

4.映像画像CG処理
4.1 画像と視覚
 4.1.1 画像と視覚の基本的な性質
 4.1.2 画像によるインタフェース
4.2 画像処理
 4.2.1 濃淡変換による明るさの調整
 4.2.2 色の調整
 4.2.3 フィルタリング,モザイク処理,マスク処理
4.3 画像認識
 4.3.1 画像認識の手法
 4.3.2 画像処理の応用
4.4 コンピュータグラフィックス(CG)
 4.4.1 CGで使われる技術
 4.4.2 3次元CG
 4.4.3 可視化
演習問題

5.ヒューマンインタフェース
5.1 インタフェースとは
 5.1.1 インタフェースの構成要素
 5.1.2 さまざまなインタフェース
5.2 CUIとGUI
 5.2.1 キャラクターベースドユーザインタフェース(CUI)
 5.2.2 グラフィカルユーザインタフェース(GUI)
 5.2.3 CUIとGUIの役割
5.3 バーチャルリアリティ(VR)
 5.3.1 VRの構成要素
 5.3.2 仮想世界と現実世界の融合
5.4 インタフェースの設計
 5.4.1 インタフェース設計の基本理念
 5.4.2 よいインタフェースとは
演習問題

6.ネットワーク
6.1 古典的なネットワーク
 6.1.1 情報伝達
 6.1.2 電話網
6.2 インターネット
 6.2.1 インターネットの仕組み
 6.2.2 パケット通信
 6.2.3 IPアドレスとURL
 6.2.4 ルーティング
6.3 現代のネットワーク社会
 6.3.1 セキュリティ
 6.3.2 ディジタルデータにまつわる権利
演習問題

7.クリエイティブコンテンツ
7.1 コンテンツとは
 7.1.1 本書で扱うコンテンツとは
 7.1.2 コンテンツの媒体
 7.1.3 コンテンツと時間
 7.1.4 リニアコンテンツとインタラクティブコンテンツ
7.2 コンテンツ制作工程
7.3 コンテンツ制作に関わるスタッフ
演習問題

8.実写映像とCG技術,アニメ技術
8.1 映像制作技法
 8.1.1 実写
 8.1.2 アニメーション
 8.1.3 コンピュータグラフィックス(CG)
 8.1.4 撮る映像とつくる映像
8.2 映像コンテンツの基礎
 8.2.1 映像の構成要素
 8.2.2 構成要素の設計タイミング
 8.2.3 映像制作手法ごとの構成要素生成手段
 8.2.4 画面構成
8.3 映像編集
 8.3.1 連続性
 8.3.2 編集理論とクレショフ効果
 8.3.3 映像のつなぎかた
 8.3.4 合成・CG/VFX編集
 8.3.5 マスタリング
演習問題

9.インタラクティブコンテンツ
9.1 ゲームのプラットフォーム
 9.1.1 アーケードゲーム
 9.1.2 家庭用ゲーム
 9.1.3 スマートフォン向けゲーム
 9.1.4 PCやその他ゲーム
9.2 ゲームコンテンツの表現と形式
 9.2.1 ゲームの新規性
 9.2.2 ゲーム表現の違い
 9.2.3 ゲームの対価
9.3 ゲームと遊び
 9.3.1 遊びの定義とそれを超えたゲーム
 9.3.2 遊びの要素
 9.3.3 ゲームデザイン
 9.3.4 新しいゲーム要素と倫理
9.4 ゲームを取り巻く環境
 9.4.1 ゲーム制作に関わる業務
 9.4.2 ゲーム開発の構造
 9.4.3 ゲームの応用
演習問題

10.コンテンツと音
10.1 コンテンツと音の関係
 10.1.1 音楽コンテンツの変遷
 10.1.2 コンテンツ音楽の概略
10.2 コンテンツにおける音の要素
 10.2.1 コンテンツの中の音の種類
 10.2.2 その場にある音とない音
 10.2.3 音素材の準備
10.3 音とコンテンツのすり合わせ
 10.3.1 ワークフローの中での音
 10.3.2 音による雰囲気の演出
 10.3.3 編集段階での音と映像の組合せ
演習問題

11.AI時代の社会
11.1 情報化による社会の発展
11.2 AIとはなにか
11.3 技術の進化と人間社会の関係
11.4 社会としてAIにどう向き合うか
11.5 AIのビジネスにおける活用
演習問題

12.ソーシャルグッド
12.1 社会のためによいことをする
12.2 SDGs17の目標
12.3 市民の参加
12.4 NGOの例
12.5 NPOの例
12.6 ソーシャルビジネス
12.7 コミュニティへの貢献
演習問題

13.ディジタルジャーナリズム
13.1 ニュースとはなにか
13.2 報道されるニュース
13.3 マスコミとはなにか
13.4 生活者のメディア接触
13.5 ディジタル時代のニュース
13.6 ジャーナリズムとはなにか
13.7 調査報道
13.8 ディジタル時代のジャーナリズムの課題—1
13.9 ディジタル時代のジャーナリズムの課題—2
演習問題

14.ディジタルマーケティング
14.1 ビジネス系科目の体系とキーワード
14.2 ディジタルマーケティングとはなにか
14.3 広告とはなにか
14.4 動画広告
14.5 ディジタル広告の今後の方向性
演習問題

15.メディア学の流れ
15.1 メディアの歴史
15.2 メディア学と学際領域
15.3 メディア学の将来
演習問題

引用・参考文献
演習問題解答
索引
more
著者からのメッセージ
高校の勉強を終えたばかりの学生のための入門書として最適な内容です。本書に載っている内容は、いずれもメディア学体系シリーズやその他の専門教科書で、あるいはインターネット上の断片的な情報や知識として述べられていることばかりです。しかし、一冊の本の中にこれだけの範囲のトピックを体系立てて整理し紹介している書籍は他にはありません。ぜひ長く使える参考書としても本棚に入れておいてください。

メディア学大系series2

CGとゲームの技術

  • 三上浩司・渡辺大地 共著
  • A5サイズ/208頁
  • 定価2,860円 (本体2,600円+税)
  • ISBN 978-4-339-02782-2
  • 電子版あり

ゲーム開発に関わるさまざまな要素技術を総合的に学ぼうとする人を対象としたゲーム開発とCG技術のテキスト。

メディア学大系シリーズ2 CGとゲームの技術
  • 三上浩司・渡辺大地 共著
  • A5サイズ/208頁
  • 定価2,860円 (本体2,600円+税)
  • ISBN 978-4-339-02782-2
  • 電子版あり
読者対象
主にゲームの制作に興味を持ち,特定のソフトウェアやツールの操作ではなく,コンテンツを構成する要素技術に興味を持ち,発展させようとする学生
書籍の特徴
著者らは,4年制大学において体系的な「インタラクティブゲーム制作の実践教育」カリキュラムを構築し,文部科学省現代GPや情報処理学会優秀教育章,優秀教材賞,関東工学教育協会優秀教材賞などを受賞しました.本書はその根幹を形成した考え方を具現化した書籍です.近年では,3DCGソフトやゲームエンジンの性能向上に伴い,基本無料で高性能なソフトウェアを誰もが利用できる環境が整いました.それに伴い,特定のソフトウェアを操作するためのマニュアル本も多く出版されております.本書では,ソフトウェアによらない,CGやゲーム制作における,普遍的な制作技術やソフトウェアの中で動く基盤技術を理解するための書籍です.本書の内容を理解し,既存のソフトウェアでは実現不可能なCG表現やゲーム表現にチャレンジし,この分野をさらに発展させる人材の育成を目指し,その入り口になるような位置づけとして執筆しています.

【各章について】

第1章では現在までに至るゲームの進化と発展に触れながら,プラットフォームが多様化し,プレイヤーの遊び方が変化してきた現状について俯瞰します.第2章では,ゲームを開発するにあたり基盤的な考え方となる「遊び」について言及しつつ,人を楽しませるゲームの企画についての根幹について述べていきます.第3章では主にゲームのプラットフォームとなるハードウェアについて,第4章ではゲームを開発するための開発環境とプログラミング言語,ゲームエンジンについて述べています.第5章ではゲーム開発を行う際の開発工程や体制について述べています.第6章から第10章は,CGやゲーム制作において必要となるプログラミングの知識として,並列処理やAI,シェーダ,サウンドなどについて,章ごとに解説しています.第11章では,それまでの内容をもとにゲーム開発を実践する際に生じる課題について紹介し,コンテンツを完成させるための基盤的な知識について,事例を紹介しています.
目次
1.ゲームの進化と発展
1.1 ゲーム産業の規模
1.2 ゲーム産業の構造
 1.2.1 ゲーム産業に関わる人材
 1.2.2 ゲーム産業の構造
 1.2.3 家庭用ゲーム
 1.2.4 アーケードゲーム
 1.2.5 ソーシャルゲーム
1.3 ゲーム産業の系譜
 1.3.1 ゲームの誕生
 1.3.2 ファミコンの登場と米国の変化
 1.3.3 2次元から3次元へ
 1.3.4 携帯ゲーム端末の飛躍
1.4 ゲームの提供形態による差異
 1.4.1 アーケードゲーム
 1.4.2 家庭用ゲーム
 1.4.3 ソーシャルゲーム
1.5 ゲームの適用範囲の拡大
 1.5.1 シリアスゲーム
 1.5.2 ゲーミフィケーション
 1.5.3 その他の応用
演習問題

2.ゲームの企画
2.1 ゲームと遊び
 2.1.1 遊びの形式的特徴
 2.1.2 遊びの定義と定義を超えたゲーム
 2.1.3 遊びの分類
 2.1.4 ‌ケイティ・サレンによる「ゲームの定義」と「ディジタルゲームの定義」
2.2 ゲームデザイン論
 2.2.1 MDAフレームワーク
 2.2.2 ゲームニクス理論
2.3 企画の立案
 2.3.1 コンセプトシート
 2.3.2 企画書とは
 2.3.3 企画書を書くための訓練
 2.3.4 企画書の構成要素
 2.3.5 まとめ
演習問題

3.ハードウェアアーキテクチャ
3.1 ハードウェアアーキテクチャの概要
3.2 CPU
3.3 メモリ
3.4 ストレージデバイス
3.5 GPU
3.6 その他のユニット
3.7 据置型ゲーム機のアーキテクチャ
3.8 携帯型ゲーム機のアーキテクチャ
3.9 スマートフォンのアーキテクチャ
演習問題

4.ゲーム制作の環境
4.1 ゲーム制作プラットフォーム
 4.1.1 Windows
 4.1.2 MacOSX,iOS
 4.1.3 Linux
 4.1.4 Android
 4.1.5 Web
4.2 プログラミング言語と3Dライブラリ
 4.2.1 C++
 4.2.2 Java
 4.2.3 C#
 4.2.4 JavaScript
 4.2.5 Objective-C
 4.2.6 OpenGL
 4.2.7 DirectX
4.3 ゲームエンジン
4.4 ゲーム制作用ツールシステム
演習問題

5.開発の体制と手順
5.1 開発の体制と環境の構築
5.2 機能仕様と構造仕様
5.3 ゲームに適した全体設計
5.4 素材の作成
5.5 制作工程モデル
5.6 プロトタイプ開発と分析
5.7 アルファ版とベータ版,そしてデバッグ
演習問題

6.並列処理プログラミング
6.1 並列処理プログラミングの概要
6.2 コンピュータの処理単位
6.3 マルチコアCPUとGPU
6.4 マルチスレッドプログラミングの基本
6.5 スレッドセーフ
6.6 スレッドの同期・非同期
6.7 マルチスレッドの利用方法
演習問題

7.回転の数学
7.1 ゲームプログラミングと座標変換
7.2 行列によるモデリング変換
7.3 オイラー角
7.4 方向ベクトルとアップベクトル
7.5 四元数
7.6 四元数による姿勢表現
演習問題

8.ゲームAIと群衆シミュレーション
8.1 人工知能とゲーム
8.2 ゲームにおけるAIの応用
8.3 ゲームAIの役割と分類
 8.3.1 ルールベースAI
 8.3.2 ステートベースAI
 8.3.3 ビヘイビアベースAI
 8.3.4 タスクベースAI
 8.3.5 ゴールベースAI
 8.3.6 ユーティリティベースAI
 8.3.7 シミュレーションベースAI
8.4 群衆シミュレーション
演習問題

9.シェーダー技術
9.1 シェーダーの概要
9.2 GPUの歴史的経緯
9.3 グラフィックスパイプラインの発展
9.4 シェーダーの種類
9.5 初歩的なシェーダープログラム
演習問題

10.サウンドプログラミング
10.1 サウンドプログラミングの概要
10.2 音のデータ形式とフォーマット
10.3 サウンドプログラムの基本
10.4 BGMのストリーミング再生
10.5 効果音(SE)の再生
10.6 音と画面の同期
10.7 音自体のプログラムによる制御
演習問題

11.企画・プロダクションの実例
11.1 アイデア,企画における注意事項
 11.1.1 コンセプトの重要性
 11.1.2 オリジナリティのあるタイトルの考案
 11.1.3 ターゲットの明確化
 11.1.4 あいまいな感覚の排除
 11.1.5 ギミックの数への過度な期待の回避
 11.1.6 物量勝負のゲームと短期プロジェクトの不整合
 11.1.7 ホラーなどの特殊ジャンルの注意点
 11.1.8 プレイヤーの視点と制作の物量の関係
 11.1.9 社会性の考慮
11.2 設定に関わる注意事項
 11.2.1 詳細なサーベイの重要性
 11.2.2 迅速な決断
 11.2.3 テーマの本質的な活用
 11.2.4 ゲームの世界におけるプレイヤーの位置付けの明確化
 11.2.5 ゲームの世界におけるプレイヤーの敵対者の明確化
 11.2.6 主人公の外観の再検討
 11.2.7 整合性の担保
 11.2.8 ビジュアルによる論理的な表現
11.3 開発手段に関わる注意事項
 11.3.1 手段の目的化の回避
 11.3.2 企画内容に基づく開発環境の論理的選択
 11.3.3 ノスタルジックな技術への固執
11.4 ゲームデザインの注意事項
 11.4.1 制約は論理的提示
 11.4.2 リスクとリターンのバランス
 11.4.3 ゲームの特徴のより有効的な活用
 11.4.4 異なるパート間の調和
 11.4.5 複雑なアクションのための操作性の配慮
 11.4.6 ゲーム内の移動ストレスの軽減
 11.4.7 謎解きのための設定の重要性
11.5 実装における注意事項
 11.5.1 音の重要性
 11.5.2 エフェクトの重要性
 11.5.3 ビジュアルやゲームプレイを通じた世界設定の提示
 11.5.4 ゲーム性に適した主人公や敵キャラクターの画面内比率の検討
 11.5.5 運頼みの設計の回避
 11.5.6 予測可能な行動の実装
 11.5.7 物理演算の是非の検討(リアルと誇張)
 11.5.8 リアルとリアリティの差異
 11.5.9 操作性と難易度の関係性
11.6 チーム運営に関わる注意事項
 11.6.1 迅速なプロトタイプ実装の重要性
 11.6.2 ゲームにおける特徴的な部分の選択と集中
 11.6.3 締切から逆算したスケジュール設定
 11.6.4 「付け足す」だけでなく「削る」ことの重要性
 11.6.5 多数決の危険性
 11.6.6 開発者の主張とアドバイスのせめぎ合い
 11.6.7 自らのゲームに対する厳格な評価
 11.6.8 自らのゲームに対する客観的な評価
 11.6.9 開発とその先の完成を楽しむことの重要性
 11.6.10 定期的なレビューの重要性
 11.6.11 リアルミーティングの重要性
 11.6.12 積極的なミーティングのための提示資料の重要性
 11.6.13 発表やレビューにおける記録の重要性
 11.6.14 ほかの作品への質疑やフィードバックの重要性
 11.6.15 学生プロジェクトにおけるリーダーの位置付け
演習問題

引用・参考文献
索引
more
著者からのメッセージ
著者たちはコンテンツの高度化のために,制作技術の教育と研究開発に取り組んできました.現在は便利なツールが増え,コンテンツを作ることは容易になってきました.一方で,この便利なツールをさらに便利にしたり,さらに高度な表現を容易に実現したりするためには,その技術の根幹を理解する必要があります.発展する制作技術の利用者ではなく,制作技術を発展させる研究開発を担える人材を育成することを目指していきます.本書をきっかけにそのような目的を持ち,さらなる専門書を手に取る人が増えることを期待します.

メディア学大系series3

コンテンツクリエーション(改訂版)

  • 三上浩司・戀津魁・近藤邦雄・茂木龍太・兼松祥央 共著
  • A5サイズ/204頁
  • 定価2,970円 (本体2,700円+税)
  • ISBN 978-4-339-02799-0

映像コンテンツの制作工程,シナリオやキャラクター制作の考え方や技術をひと通り解説

メディア学大系シリーズ3 コンテンツクリエーション
  • 三上浩司・戀津魁・近藤邦雄・茂木龍太・兼松祥央 共著
  • A5サイズ/204頁
  • 定価2,970円 (本体2,700円+税)
  • ISBN 978-4-339-02799-0
読者対象
映像コンテンツの制作工程、シナリオやキャラクター制作の工学的な考え方や技術を学ぼうとする学生
書籍の特徴
筆者らは映像作品の工学的な分析に基づく「シナリオの執筆・評価手法」や「キャラクターメイキング・評価手法」,「ミザンセーヌ手法(演出手法)」など,勘と経験による制作手法を体系化する研究と教育を行ってきました。これらの成果をもとに文・理・芸融合の学部であったメディア学部の特徴を生かし,コンテンツの制作技能の習得とディジタル映像の原理や技術の教育を行ってきました。そして1 年次からCG アニメやゲームなどの開発に参加できるカリキュラムを活用し,独自の教材や制作システムを開発して,制作とそれを支える技術の双方を関連付けて学べる仕組みを生み出しました。これは,単に既存のソフトを使用して映像制作をするのではなく,その仕組みや原理を理解することができるような教育内容です。本分野の教育研究成果は学会や産業界で高い評価を得ています。本書はこれらの教育成果をもとに執筆しました。

【各章について】

第1章ではコンテンツクリエーションと産業、コンテンツにかかわるスタッフとキャリアパス,およびクリエーションにかかわるリソースについて述べ,市場や資金,費用などのプロデュースの視点から考え方を紹介しています.第2章では,コンテンツの制作工程について述べています.とくにディジタル化によって進化するパイプラインについて焦点をあてています。さらに,プレプロダクション段階における企画,シナリオ,デザイン,ミザンセーヌ,そして,プロダクション,ポストプロダクション段階について説明しています.
第3章では、シナリオライティングの手法とシナリオ制作支援システムについて解説し,シナリオ制作の実際について述べています.さらにシナリオエンジンの使い方に加え,その仕組みなどを解説しています。
第4章では,ストーリーやキャラクターの行動,性格設定などのリテラル資料の作成や,キャラクター原案の制作などを考慮したディジタルキャラクターメイキング手法と制作事例をもとにキャラクターメイキングの実際について紹介しています。第5章ではDREAMプロセスにおけるビジュアル化のための手法とデザイン支援システムを解説し、第6 章では演出のためのライティングやカメラワークの支援システムについて解説した。コンテンツクリエーションのための支援システムの説明を加えるとともに,支援システムやテンプレートを公開してコンテンツクリエーションの演習を実施しやすくした。本書をもとにした制作体験を通じて,コンテンツ制作の基礎を習得できることを狙っている。
目次
1.コンテンツクリエーションと産業
1.1 コンテンツクリエーションの導入
 1.1.1 本書におけるコンテンツ
 1.1.2 メディアコンテンツの分類と要素技術
  1.1.3 メディアコンテンツ制作を学ぶための心構え
1.2 コンテンツにかかわるスタッフとキャリアパス
 1.2.1 コンテンツの制作にかかわるスタッフ
 1.2.2 コンテンツの制作のキャリアディベロップメント
1.3 クリエーションにかかわるリソース
 1.3.1 メディアコンテンツ制作の構造
 1.3.2 メディアコンテンツ産業の市場規模とトレンド
 1.3.3 制作にかかる費用
 1.3.4 資金調達
演習問題

2.プレプロダクションの全体像
2.1 進化する制作工程
 2.1.1 コンテンツの制作工程の体系
 2.1.2 制作工程を変化させてきたディジタル化
 2.1.3 コンテンツクリエーションと新技術のバランス
 2.1.4 コンテンツクリエーションのためのメディアリテラシー
2.2 プレプロダクション
 2.2.1 プレプロダクションの全体像
 2.2.2 企画
 2.2.3 シナリオ
 2.2.4 デザイン・設定
 2.2.5 絵コンテ
演習問題

3.シナリオライティング
3.1 シナリオとは
 3.1.1 シナリオの大構造
 3.1.2 筋立てと描写
 3.1.3 満足感のある作品を生み出すために(シナリオの外的構造)
 3.1.4 確かなシナリオにするために(シナリオの内的構造)
3.2 シナリオライティング手法
 3.2.1 Sプロット,Mプロット
 3.2.2 Lプロット,フルプロット
 3.2.3 フェイズプロットからシーン分けフルフェイズプロット
 3.2.4 準備稿から完成稿まで
3.3 シナリオ執筆支援システム
 3.3.1 本システムにおけるシナリオ記述ワークフロー
 3.3.2 構造化シナリオの情報管理手法
 3.3.3 インタフェース概要
 3.3.4 執筆用インタフェース
 3.3.5 情報閲覧インタフェース
3.4 シナリオの評価
 3.4.1 シナリオ基礎情報
 3.4.2 シナリオ総合分析・評価
 3.4.3 シナリオ構造分析・評価
 3.4.4 シナリオ内容分析・評価
 3.4.5 そのほかの分析・評価
 3.4.6 アナリスト
3.5 シナリオ情報の可視化
 3.5.1 配色タイムライン
 3.5.2 シーンの登場人物情報を用いた関係性の可視化
演習問題

4.キャラクターメイキング
4.1 キャラクターメイキングの概要
 4.1.1 映像コンテンツ制作産業の現状とキャラクター
 4.1.2 キャラクターとその制作手法
 4.1.3 キャラクターメイキングと制作プロセスの課題
4.2 映像コンテンツ制作の産業構造とキャラクター
 4.2.1 映像コンテンツ制作と産業構造の関係
 4.2.2 キャラクターの定義
 4.2.3 キャラクターの構成要素
 4.2.4 キャラクターメイキングの職種による視点
 4.2.5 キャラクター創作と産業や社会との関係
4.3 DREAMプロセス
 4.3.1 キャラクターメイキングプロセスと要素
 4.3.2 DREAMプロセスの概要
 4.3.3 ディベロッピング工程:リテラル資料
 4.3.4 ディベロッピング工程:ビジュアル資料00
 4.3.5 レンダリング工程
 4.3.6 エクスプロイティング工程
 4.3.7 アクティベーション工程
 4.3.8 マネージメント工程
4.4 キャラクターメイキングテンプレートと実例00
 4.4.1 ディベロッピング工程:リテラル情報の作成00
 4.4.2 ディベロッピング工程:ビジュアル情報設定,デザイン原案制作00
 4.4.3 レンダリング工程:キャラクターの特徴化00
 4.4.4 エクスプロイティング工程
演習問題

5.キャラクターデザイン
5.1 キャラクターデザインの概要
 5.1.1 キャラクターデザイン
 5.1.2 暗黙的知識と形式知
 5.1.3 ディジタルスクラップブック
5.2 キャラクターの表情
 5.2.13 D−CGキャラクターの表情表現
 5.2.2 キャラクターの表情の分類と活用
5.3 キャラクターの配色デザイン
 5.3.1 キャラクターの配色シミュレーションシステム
 5.3.2 集団キャラクターの配色シミュレーションシステム
5.4 3D−CGパーツスクラップブックによるキャラクター形状デザイン
 5.4.13 D−CG次元ロボットパーツ
 5.4.2 ロボットデザイン原案制作支援システム
演習問題

6.演出・ミザンセーヌ
6.1 演出・ミザンセーヌの概要
6.2 演出のためのライティング
 6.2.1 キャラクター演出のためのライティング
 6.2.2 背景のためのライティング
6.3 演出のためのカメラワーク
演習問題

引用・参考文献
索引
more
著者からのメッセージ
私たちは、高度なコンテンツ制作技術の教育と研究開発に取り組んできました。従来から,一部の芸術系大学のなかで対象とされてきたコンテンツ教育において、工学的な知識の再構築を行ました。これは経験や勘などの暗黙知を形式知化しコンテンツ制作手法を体系化する研究です。この研究成果は産業界からも注目を集めるコンテンツ制作手法です。多くの学生は、この書籍でコンテンツ制作手法を学んで多くの魅力ある映像コンテンツやゲームを制作できるようになることを信じています。

メディア学大系series4

マルチモーダルインタラクション

  • 榎本美香・飯田 仁・相川清明 共著
  • A5サイズ/254頁
  • 定価3,300円 (本体3,000円+税)
  • ISBN 978-4-339-02784-6
  • 電子版あり

コンピュータとのインタラクションコミュニケーションを可能にするための基礎理論と,要素技術についてわかりやすく解説した。

メディア学大系シリーズ4 マルチモーダルインタラクション
  • 榎本美香・飯田 仁・相川清明 共著
  • A5サイズ/254頁
  • 定価3,300円 (本体3,000円+税)
  • ISBN 978-4-339-02784-6
  • 電子版あり
読者対象
人間と自然なコミュニケーションが行える人工物(対話システムやAIロボット)の制作に将来携わりたい学生。特に、音声に載せて発される言語情報や韻律情報、視線や頭部の動き・ジェスチャーといった身体情報の解析に興味のある学生。
書籍の特徴
人がコミュニケーションをするためのメディア、言語や音声、身体の動きといった複数のモダリティが工学的にどのように解析されるかについて解説しています。また、人とコンピュータの社会的なインタラクションのモデル化に関する研究を紹介しています。

【各章について】

1章では、言語・音声・非言語に関わる工学的研究を概観します。2章ではインタラクティブに対話を行うための根幹となる言語処理を取り上げます。3章では言語情報と同時に発せられる音声音響信号処理を解説します。4章では視線や身体動作を含むマルチモーダル『インタラクションメディアがコミュニケーションでどのように使われるかを研究するための手法を解説します。5章ではマルチモーダルインタラクションを扱った人と人、人とコンピュータの社会的インタラクションのモデル化に関する研究を紹介します。
目次
1. 人と人,人とコンピュータのインタラクションを介在するメディア
1.1 人間が持つマルチモーダルインタラクションメディア 
1.2 言語処理のあゆみ 
1.3 音声音響処理のあゆみ 
1.4 身体を持った人工物のあゆみ 
演習問題 

2. 言語処理
2.1 文法 
 2.1.1 文の基本構造 
 2.1.2 文法の基本 
 2.1.3 形態素解析 
 2.1.4 句構造文法 
2.2 形式言語 
 2.2.1 文脈自由文法 
 2.2.2 構文解析 
2.3 自然言語の統計的・確率的な性質 
 2.3.1 単語の出現頻度 
 2.3.2 Nグラム統計モデル 
 2.3.3 確率文法 
2.4 言語の理解 
 2.4.1 言語の意味理解 
 2.4.2 語が担う意味役割 
 2.4.3 言語解釈と言語行為 
演習問題 

3. 音声音響信号処理
3.1 アナログからデジタルへ 
 3.1.1 本章におけるきまり 
 3.1.2 音は波 
 3.1.3 音のデジタル化
3.2 時間領域と周波数領域 
 3.2.1 周期的波形 
 3.2.2 フーリエ展開 
 3.2.3 フーリエ展開の複素表現 
 3.2.4 フーリエ変換 
 3.2.5 FFT 
 3.2.6 z変換 
3.3 さまざまな音信号 
 3.3.1 周波数変化音 
 3.3.2 振幅変化音 
3.4 デジタルフィルタ 
 3.4.1 時系列信号の演算の特性 
 3.4.2 FIRフィルタ 
 3.4.3 インパルス応答 
 3.4.4 IIRフィルタ 
 3.4.5 最小位相 
3.5 スペクトル分析 
 3.5.1 短区間の切り出し 
 3.5.2 振幅スペクトルとパワースペクトル 
 3.5.3 対数スペクトル 
 3.5.4 スペクトログラム 
3.6 音声特有の信号処理 
 3.6.1 線形予測分析 
 3.6.2 ケプストラム 
 3.6.3 ケプストラムによるピッチ抽出 
 3.6.4 LPCケプストラム 
 3.6.5 変形相関関数によるピッチ抽出 
3.7 音声分析と声質 
3.8 音声認識と音声合成の音響処理 
 3.8.1 メル周波数軸 
 3.8.2 MFCC 
 3.8.3 デルタケプストラム 
 3.8.4 音声認識における音響処理の基本 
 3.8.5 類似度 
 3.8.6 DPマッチング 
 3.8.7 隠れマルコフモデル 
演習問題 

4. マルチモーダル情報付きデータベースの作成法
4.1 マルチモーダル情報とは 
4.2 実験室データとフィールドデータをめぐる諸相 
4.3 非言語情報付きデータの作成法 
 4.3.1 3人自由会話 
 4.3.2 合意形成型多人数会話 
 4.3.3 日常活動データ 
 4.3.4 世代間協働インタラクションデータ 
4.4 言語・非言語行動のアノテーション 
 4.4.1 言語行動のアノテーション 
 4.4.2 非言語行動のアノテーション 
4.5 言語・非言語情報のデータベース化 
 4.5.1 アノテーション単位ごとのテーブル 
 4.5.2 アノテーション単位間の関連性を記したテーブル 
演習問題 

5. マルチモーダルインタラクション分析
5.1 話者交替にかかわる話し手と聞き手たちの視線の向き 
 5.1.1 方法 
 5.1.2 分析1:一般的傾向 
 5.1.3 分析2:変則事例の分析 
 5.1.4 議論 
5.2 人-人インタラクションと人-CG エージェントインタラクションの行為交替規則 
 5.2.1 人と人工物の社会的インタラクションにかかわる先行研究 
 5.2.2 人間どうしの社会的インタラクションにかかわる先行研究 
 5.2.3 対話資料 
 5.2.4 非言語行動のラベリング 
 5.2.5 分析:人-人,人-エージェントの対話の基礎的特徴 
 5.2.6 人対人の対話における行為の配置規則の定式化 
 5.2.7 人対エージェントの対話において行為の配置規則は守られるか 
 5.2.8 まとめ 
演習問題 

引用・参考文献 
演習問題解答 
索引
more
著者からのメッセージ
私達は21世紀になったら、「心」をもつ鉄腕アトムや子供と喜怒哀楽を享有しくれるドラえもんがやってくるのだと夢見たものです。意外に21世紀はすぐにやってきて、世界中の人と瞬時につながるネットワークやプロ囲碁棋士を打ち破るAIとか当時は想像もつかなかった技術が登場しました。でも、まだ私達の身近に話し相手となってくれるようなロボットはいません。AIが日常会話に参加できる日を夢見て、本書を紐解いてもらえたら幸いです。

メディア学大系series5

人とコンピュータの関わり

  • 太田高志 著
  • A5サイズ/238頁
  • 定価3,300円 (本体3,000円+税)
  • ISBN 978-4-339-02783-9
  • 電子版あり

コンピュータの用途は生活のあらゆる局面に及ぶ。コンピュータが与える人の意識や行動指針への影響を多様な視点から解説した。

メディア学大系シリーズ5 人とコンピュータの関わり
  • 太田高志 著
  • A5サイズ/238頁
  • 定価3,300円 (本体3,000円+税)
  • ISBN 978-4-339-02783-9
  • 電子版あり
読者対象
コンピュータやデジタルデバイスのUI、UXについて興味のある学生。コンピュータが人の活動にどのように関わってきているかについて概要を知り、将来のデジタル機能の在り方について考察したい学生。
書籍の特徴
コンピュータがコミュニケー ションや日常のあらゆる局面で関わるようになった現状において,それらがどのように使われどのような影響を与えてきたかを理解し,今後についてビジョンを描くことができる力が、今後どの分野においても必要となるでしょう。そこで本書はコンピュータの機能や構造などの技術面についてではなく人との関係に焦点をあて,コンピュータのあり方が人に与える影響や意識に及ぼす変化について注目することにしました。具体的な事例を挙げた考察を多く記述することに努め、基本的なアイデアがどのように適用されているかを知り、理解を一般化できることを目指しました。

【各章について】

本書は各章を以下の三つのおおまかな話題に分けて構成しています。
 1 .操作対象としてのコンピュータ(1,2,3 章)
 2 .コンピュータと人の対話(4,5,6 章)
 3 .生活環境を構成するコンピュータ(7,8,9 章)
人とコンピュータの基本的な接点であるインタフェースの話題から始めて,インタラクティブ性がもたらす用途の拡大について取り上げ,最後に,独立した装置から生活環境の一部へと変化していくコンピュータについて考察し, 将来のビジョンにまで繋がるようにいたしました。
目次
1. 人とコンピュータ
1.1 人とコンピュータの多様な関わり
1.2 コンピュータの代表的な機種
 1.2.1 ENIAC
 1.2.2 メインフレーム
 1.2.3 ミニコンピュータ
 1.2.4 パーソナルコンピュータ
 1.2.5 スマートフォン,タブレットPC
 1.2.6 スーパーコンピュータ
1.3 コンピュータの進化
 1.3.1 サイズの違い
 1.3.2 性能の向上
 1.3.3 使用形態の比較
1.4 用途の拡大と生活への影響
 1.4.1 用途の拡大
 1.4.2 用途の多様性
 1.4.3 技術進化による生活の変化
演習問題

2. コンピュータを操作する
2.1 ユーザインタフェースとは
2.2 ユーザインタフェースの種類
 2.2.1 ハードウェア
 2.2.2 ゲーム機の入力装置
 2.2.3 その他のコンピュータの入力装置
 2.2.4 出力の装置
 2.2.5 ソフトウェア
 2.2.6 オペレーティング・システム(OS)
 2.2.7 アプリケーション・ソフトウェア
2.3 人とコンピュータをつなぐしくみ
 2.3.1 人の意図を翻訳する
 2.3.2 組合せによる多様性
2.4 ユーザインタフェースの多様性
 2.4.1 形状のデザインの違い
 2.4.2 機構の違い
 2.4.3 手段の違い
2.5 ユーザインタフェースの評価と設計思想
 2.5.1 評価の指標
 2.5.2 設計思想の違い
演習問題

3. 使いやすさのためのデザイン
3.1 ユーザインタフェースのデザイン
3.2 わかりやすさを与えるデザインの工夫
 3.2.1 メタファ
 3.2.2 アフォーダンス(シグニファイア)
 3.2.3 直感的な行動指針の反映
 3.2.4 アニメーションの利用
 3.2.5 デザインの統一性
3.3 デザインコンセプトの違い
 3.3.1 初期のデザイン
 3.3.2 リッチデザイン
 3.3.3 スキュアモーフィズム
 3.3.4 フラットデザイン
3.4 デザインとユーザビリティ
演習問題

4. コンピュータとの対話
4.1 インタラクティブとは何か
4.2 インタラクティブなもの,インタラクティブでないもの
4.3 インタラクションの実現
4.4 インタラクティブ性の活用
 4.4.1 インタラクションの頻度の変化
 4.4.2 インタラクションの質の変化
 4.4.3 インタラクションの相手の変化
演習問題

5. 対話性の拡張
5.1 人中心の対話方法
 5.1.1 コンピュータに合わせた操作方法
 5.1.2 人に合わせた操作
 5.1.3 人の目的に対応する
 5.1.4 現実と同じ操作方法の提供
 5.1.5 コンテキストの理解
5.2 インタフェース化する世界
 5.2.1 現実をきっかけとするインタラクション
 5.2.2 モノを介したインタラクション
 5.2.3 透明化するインタフェース
5.3 インタラクションのデザイン
 5.3.1 コンピュータの用途の拡大
 5.3.2 人の反応をデザインする
演習問題

6. 対話から体験へ
6.1 ユーザエクスペリエンス(UX)
 6.1.1 ユーザインタフェースとユーザエクスペリエンス
 6.1.2 UXを構成する要素
6.2 体験を創る
 6.2.1 創り出す体験
 6.2.2 体験のデザイン
 6.2.3 体験により訴えかける
6.3 コンピュータとアート
 6.3.1 コンピュータのアートへの利用
 6.3.2 インタラクションの利用
 6.3.3 コンピュータによるアートの構造
6.4 体験の共有
6.5 インタラクションを利用する広告
6.6 UXを考慮したUIのデザイン
演習問題

7. つながるコンピュータ
7.1 インターネットの登場
 7.1.1 ネットワークの拡大
 7.1.2 コミュニケーション手段としてのコンピュータ
 7.1.3 情報共有手段としてのコンピュータ
7.2 ワールドワイドウェブによる情報の発信と取得
 7.2.1 情報発信の敷居の低さ
 7.2.2 大量な情報の生産
 7.2.3 HTMLによる情報の連携
 7.2.4 情報の検索
7.3 インターネットがもたらす変化
 7.3.1 情報取得の容易さ
 7.3.2 情報伝達の速さ
 7.3.3 情報の再構築
 7.3.4 マスメディアからインターネットへ
 7.3.5 実世界へとつなぐツール
 7.3.6 インターネットによる社会関係の形成
 7.3.7 インターネットによる問題
7.4 常時接続性が与える効果
 7.4.1 インターネットへの常時接続の実現
 7.4.2 ワールドワイドウェブの機能の拡大
 7.4.3 インタラクティブ性の獲得
7.5 インターネット時代に求められる人材像
 7.5.1 求められる人材像の変化
 7.5.2 情報の質を判断する力
 7.5.3 情報を入手する力
 7.5.4 情報を利用する力
演習問題

8. 持ち運ぶコンピュータ
8.1 モバイルデバイス
 8.1.1 スマートフォンの登場
 8.1.2 携帯性の高いコンピュータとしてのモバイルデバイス
 8.1.3 多機能が複合したデバイス
 8.1.4 タッチディスプレイによる操作
 8.1.5 その他のインタフェースの拡張
8.2 モバイルデバイスがもたらす変化
 8.2.1 変わるコンピュータの役割
 8.2.2 インターネットへの常時接続
 8.2.3 情報へのアクセス
 8.2.4 多様な内蔵センサの利用
8.3 ウェアラブルコンピュータ
 8.3.1 さらなる携帯性の追求
 8.3.2 生活を監視するモニタ
 8.3.3 フロントエンドのインタフェース
8.4 モバイルデバイスが生活に与える影響
 8.4.1 使用の頻度
 8.4.2 利用の簡便化
 8.4.3 新たな用途の実現
 8.4.4 ライフスタイルへの影響
演習問題

9. 生活を変えるコンピュータ
9.1 コンピュータの発展の流れ
 9.1.1 装置としてのコンピュータの進化
 9.1.2 ネットワークによる変化
 9.1.3 コンピュータの利用形態の変化
 9.1.4 コンピュータの役割の変化
9.2 複数のコンピュータの利用
 9.2.1 使い分けるコンピュータ
 9.2.2 クラウドコンピューティング
 9.2.3 IoT(モノのインターネット)
 9.2.4 ビッグデータ
9.3 環境と一体化するコンピュータ
 9.3.1 ユビキタスコンピューティング
 9.3.2 ユビキタスとモバイル
 9.3.3 環境となるコンピュータのデザイン
9.4 人とコンピュータの未来
 9.4.1 コンピュータの未来への考察
 9.4.2 SFが提示する未来
 9.4.3 ビジョンの提示
 9.4.4 将来への課題
演習問題

引用・参考文献
索引
more
著者からのメッセージ
情報科学分野は非常に早く進歩し変化するため,特定の知識はすぐに古くなってしまいます。また,知識はウェブを検索することによって簡単に入手することができます。そうしたなかで重要なのは多くの知識を暗記していることではなく,それらを結び付けて自ら考察を組み立てることができる力であり,そのために何を知ればよいのかを思いつける力であるでしょう。急激に変化する対象に対してサステナブルに通用するのは知識の量ではなく,考え方やビジョンの持ち方を身につけることだと思います。本書の内容についても、書かれたことをそのまま鵜呑みにするのではなく、どのような視点で考察をしているかに注目して自分なりの考察と理解を作って欲しいと考えています。

メディア学大系series6

教育メディア

  • 稲葉竹俊・松永信介・飯沼瑞穂 共著
  • A5サイズ/192頁
  • 定価2,640円 (本体2,400円+税)
  • ISBN 978-4-339-02786-0
  • 電子版あり

ICT(情報通信技術)の発展により,教育環境が大幅に変化し,新しい教育の枠組みが求められている。本書はICT教育のあり方から今後必要とされるICTを活用した教育方法までをわかりやすく解説している。

メディア学大系シリーズ6 教育メディア
  • 稲葉竹俊・松永信介・飯沼瑞穂 共著
  • A5サイズ/192頁
  • 定価2,640円 (本体2,400円+税)
  • ISBN 978-4-339-02786-0
  • 電子版あり
読者対象
ICT(情報通信技術)を活用した教育や学習支援に関心のある人
書籍の特徴
メディアという切り口で、日常の営みとしての学び(学習)と教え(教育)を再認識してもらうことを意図して著しました。類書に比べると専門的要素は薄いかもしれませんが、メディア技術の進展とそれに伴う情報革命によって、教育・学習支援の環境がどのように変化してきたかを概観できるような内容構成としています。

【各章について】

冒頭の1章では、教育メディアとは何かを定義するとともに、日本における教育へのICT導入の状況や世界のICT教育の実情について概説しています。次の2章では、行動主義や認知主義、状況主義などの学習観の変遷を概観しつつ、その理論に依拠して誕生した学習支援システムを紹介しています。続く3章では、学習プログラムの開発技法として登場したインストラクショナルデザインの考え方とその基本手続きについて解説しています。その後の4章では、ICT教育の基盤となる学習管理システムやMOOCに代表されるオープンエデュケーションについて述べています。次の5章では、学校教育を補完するインフォーマル教育や準教育的空間におけるデジタルメディアの可能性について記しています。続く6章では、ネットワーク上の学習者コミュニティの形成やソーシャルキャピタルの考え方について論じています。最終の7章では、学びに繋がるシリアスゲームやVRなどのメディア技術を教育に取り入れた事例を紹介しています。
目次
1.教育メディアの変遷
1.1 メディアの発展と教育への活用
 1.1.1 情報革命と知識の伝達
 1.1.2 メディアはメッセージ
 1.1.3 複合的なメディア
 1.1.4 メディアの発達と教育
 1.1.5 メディアと教育のデザイン
 1.1.6 教育メディアの定義
1.2 メディアの種類と教育
 1.2.1 デールの経験の円錐
 1.2.2 ひながた経験
 1.2.3 教育と経験
1.3 学習科学と学習理論
 1.3.1 学習科学
 1.3.2 インストラクショナルデザイン
 1.3.3 学習の後天性と先天性
 1.3.4 行動主義アプローチとコンピュータ
 1.3.5 認知主義による学習理論
 1.3.6 状況主義による学習理論
1.4 教育メディアの歴史
 1.4.1 石板と石筆から紙と鉛筆へ
 1.4.2 視聴覚メディアと教育
 1.4.3 テレビと放送教育
 1.4.4 コンピュータと教育
 1.4.5 日本の教育メディアの転換期
1.5 学校教育へのICT導入状況
 1.5.1 教育の情報化
 1.5.2 情報教育の目標
 1.5.3 教育の情報化に関する政策
 1.5.4 新たな教育の情報化
1.6 世界のICT教育の現状
 1.6.1 リテラシーの定義
 1.6.2 デジタル時代のリテラシー
 1.6.3 21世紀スキル
 1.6.4 デジタルデバイド
演習問題

2.学習観と教育メディアの変遷
2.1 学習理論の変遷の概要
2.2 行動主義的学習観
 2.2.1 パブロフと古典的条件付け
 2.2.2 オペラント条件付け
 2.2.3 プログラム学習とティーチングマシン
 2.2.4 CAI
2.3 認知主義的学習観
 2.3.1 認知革命
 2.3.2 認知心理学とコンピュータメタファ
 2.3.3 知的CAI
 2.3.4 ピアジェと構成主義
 2.3.5 マイクロワールド型教材
2.4 状況主義的学習観
 2.4.1 状況論へのパラダイムシフト
 2.4.2 ヴィゴツキー ─最近接発達領域─
 2.4.3 レイヴとウェンガー ─正統的周辺参加─
 2.4.4 状況主義的学習観に対応した教育スタイル
 2.4.5 CSCL
 2.4.6 初期のCSCLシステム
 2.4.7 協調スクリプト
演習問題

3.インストラクショナルデザイン
3.1 インストラクションとは?
 3.1.1 教えと学び
 3.1.2 学習者中心主義とインストラクション
3.2 学習の条件とインストラクショナルデザイン
 3.2.1 学習の条件
 3.2.2 インストラクショナルデザイン
3.3 学習目標の明確化と課題分析
 3.3.1 学習目標
 3.3.2 学習課題
 3.3.3 課題分析
3.4 レッスンプランの設計と開発
 3.4.1 教授方略
 3.4.2 教授事象
 3.4.3 レッスンプラン
3.5 インストラクションの実施と評価
 3.5.1 実施プラン
 3.5.2 評価の視点
演習問題

4.ICTによる学習支援
4.1 eラーニング
 4.1.1 遠隔教育
 4.1.2 eラーニングの形態
4.2 教育リソースの共有・再利用
 4.2.1 学習オブジェクト
 4.2.2 LOM
 4.2.3 SCORM
 4.2.4 今後の課題と新たな試み
4.3 オープンエデュケーション
 4.3.1 知の社会還元
 4.3.2 オープンコースウェア(OCW)
 4.3.3 ムーク(MOOC)
演習問題


5.生涯教育とメディア
5.1 社会のなかの教育と学習
 5.1.1 生涯教育と学習
 5.1.2 成熟社会の学習
5.2 ノンフォーマルとインフォーマル教育
 5.2.1 インフォーマルとフォーマルの特徴
 5.2.2 インフォーマル/ノンフォーマル教育とメディアの可能性
5.3 準教育的公共空間と教育メディア
 5.3.1 日本における準教育的公共空間
 5.3.2 メディアの教育的な活用方法
5.4 準教育的公共空間と学習
 5.4.1 展示物のデジタル化とビジュアリゼーション
 5.4.2 インタラクティブ展示とビジュアリゼーション
 5.4.3 準教育的公共空間と学習の研究
 5.4.4 準教育的公共空間における学習の動機付け
 5.4.5 準教育的公共空間の利用者の行動と学習
5.5 準教育的公共空間におけるコミュニケーション
 5.5.1 今日の準教育的公共空間のデザイン
 5.5.2 利用者中心アプローチ
 5.5.3 社会教育におけるICT活用
 5.5.4 海外事例紹介①:メトロポリタン美術館
 5.5.5 海外事例紹介②:アルベール・カーン美術館
5.6 家庭とテレビ放送
 5.6.1 教育番組とメディア
 5.6.2 エデュテインメントとしての教育放送
 5.6.3 幼児向け放送番組
 5.6.4 長寿番組「セサミ・ストリート」
演習問題

6.ネットワーク時代の教育メディア
6.1 ネットワーク時代の教育観
 6.1.1 教材のデジタル化と共有化
 6.1.2 ICTを活用した学習管理システム
 6.1.3 知識伝授型から知識創造型教育へ
 6.1.4 情報化社会の教育観の特徴
6.2 ネットワーク環境を利用した教育
 6.2.1 YouTube配信と大学教育
 6.2.2 遠隔授業と講義ビデオ配信
 6.2.3 映像配信とさまざまな教育活用
6.3 資本と教育の概念
 6.3.1 文化資本と教育格差
 6.3.2 ソーシャルキャピタル
 6.3.3 ソーシャルキャピタルとネットワーク
 6.3.4 社会関係資本と共同体における学習
6.4 学習ネットワーク
 6.4.1 イリイチの学習ネットワーク
 6.4.2 ソーシャルネットワーキングサービス
演習問題


7.教育メディアの新しい展開
7.1 ゴールベースドシナリオ(GBS)
 7.1.1 GBS理論と従来の教育
 7.1.2 GBS理論の構成要素
 7.1.3 GBS理論の活用事例
7.2 シリアスゲーム
 7.2.1 ゲームと教育
 7.2.2 シリアスゲームの定義
 7.2.3 シリアスゲームの効果
 7.2.4 シリアスゲームの実例
7.3 バーチャルリアリティを活用した学習
 7.3.1 教育メディアとしてのバーチャルリアリティ
 7.3.2 VRとは
 7.3.3 VRの投影技術
 7.3.4 VRの教育への活用事例
7.4 ユビキタスラーニング
 7.4.1 ユビキタスコンピューティングとユビキタスラーニング
 7.4.2 RFID
 7.4.3 RFIDを用いた活用事例
演習問題

引用・参考文献
演習問題解答
索引
more
著者からのメッセージ
学びは人の成長そのものであり、昨今では生涯学習(lifelong learning)という概念が浸透しつつあります。そして、この学びを下支えするのが教えです。学びと教えは誰もが人生で経験する普遍的な営みであり、教えについては歳を経るにつれてその機会が増えてきます。本書を通じて、メディア支援による教育の考え方や事例に接し、次なる教えの場の備えの参考にしていただければ幸いです。

メディア学大系series7

コミュニティメディア

  • 進藤美希 著
  • A5サイズ/208頁
  • 定価2,640円 (本体2,400円+税)
  • ISBN 978-4-339-02787-7
  • 電子版あり

現代社会において重要な存在となったコミュニティの本質を,歴史をさかのぼって,多角的に解説し,その可能性を検討する。

メディア学大系シリーズ7 コミュニティメディア
  • 進藤美希 著
  • A5サイズ/208頁
  • 定価2,640円 (本体2,400円+税)
  • ISBN 978-4-339-02787-7
  • 電子版あり
読者対象
コミュニティに関心のあるすべての方。都市のコミュニティ、関心に基づくコミュニティ、インターネットコミュニティについて知りたい方。
書籍の特徴
コミュニティは人間にとって本質的に重要なものです。コミュニティの歴史は人類の歴史と共にありましたが、時代と共に大きく変わってきました。インターネットの登場は、コミュニティから場所の制約をとりはらい、現代のコミュニティはグローバルな広がりを持つようになりました。本書は、歴史をさかのぼり、さまざまなコミュニティについて吟味することから始めて、21世紀型コミュニティの可能性について考察していきます。

【各章について】

本書では、コミュニティを、都市のコミュニティ(第1部)、関心に基づくコミュニティ(第2部)、インターネットコミュニティ(第3部)の3つにわけています。第1部では、まず、歴史をさかのぼり、地域コミュニティとしての都市や市民がどのように発展してきたのかを見ていきます。第2部では、関心に基づき、形成されているコミュニティについて扱います。非営利団体のコミュニティ、医療のコミュニティ、プロフェッショナルコミュニティ、企業における知識コミュニティを取り上げ、詳述します。第3部では、ソーシャルメディア、市民ジャーナリズム、インターネットコミュニティで行われる創作活動、オープンイノベーション、そして、インターネットとグローバル市民社会について詳しく見ていきます。
目次
第Ⅰ部 都市のコミュニティ
1.都市の発展
1.1 都市とは何か
1.2 都市化によりコミュニティはどう変化するか
1.3 古代ギリシアのポリスと市民
1.4 ヨーロッパ中世の都市と市民
1.5 ルネサンス期イタリアの都市
1.6 現代の都市
1.7 ヨーロッパの都市政策
1.8 情報都市,メディアとしての都市
演習問題

2.市民
2.1 市民とは何か
2.2 日本における地域コミュニティ
2.3 いまなぜ,都市,市民,コミュニティという概念が重要なのか
2.4 ソーシャルキャピタルとは何か
演習問題

3.クリエイティブシティ
3.1 クリエイティブシティ
3.2 クリエイティブクラス
3.3 クリエイティブクラスの求めるコミュニティ
演習問題

4.クリエイティブクラスによる都市文化の形成
4.1 都市発展の中核としての芸術
4.2 地域コミュニティによる舞台芸術の形成と支援
 4.2.1 米国における舞台芸術の創造
 4.2.2 ヨーロッパにおける舞台芸術の創造
 4.2.3 日本における舞台芸術の創造
4.3 ヨーロッパにおけるレジデントカンパニーの事例
4.4 日本におけるレジデントカンパニーの事例
4.5 レジデントカンパニーのマネジメント
演習問題

5.産業クラスター
5.1 産業クラスターとは
5.2 シリコンバレー
 5.2.1 ヒューレット・パッカード社
 5.2.2 シリコンバレーの時代による変遷
 5.2.3 コンピュータ,インターネットの時代へ
 5.2.4  シリコンバレーの生活とコミュニティ
5.3 日本の産業クラスター
演習問題

6.地域メディアを活用したコミュニケーション
6.1 マスメディアの衰退と地域に密着したメディア
6.2 ケーブルテレビ
6.3 コミュニティFM
6.4 地域ソーシャルメディア
演習問題

第Ⅱ部 関心に基づくコミュニティ
7.非営利団体による社会活動
7.1 市民と公共
7.2 NGOとは何か
7.3 現代のNGOによる活動
7.4 非暴力平和隊
7.5 NPOとは何か
演習問題

8.医療とコミュニティ
8.1 日本の医療制度
8.2 医療崩壊
8.3 医療の値段
8.4 地域医療とコミュニティ
演習問題

9.プロフェッショナルコミュニティが世界に与える影響
9.1 プロフェッショナルとは何か
9.2 自分をブランド化するプロフェッショナル
9.3 プロフェッショナルと職業倫理
9.4 プロフェッショナルコミュニティ
 9.4.1 ヨーロッパ中世のギルド
 9.4.2 現代のプロフェッショナルコミュニティ
 9.4.3  なぜプロフェッショナルはコミュニティを必要とするのか
演習問題

10.企業における知識コミュニティ
10.1 企業とは何か
10.2 知識社会における企業
10.3 企業内で組織的知識創造を実行するために
10.4 コミュニティ・オブ・プラクティスとネットワーキング
演習問題

第Ⅲ部 インターネットコミュニティ
11.ソーシャルメディアの発展
11.1 フラット化する世界
11.2 広告業界の変化
11.3 クチコミマーケティング
演習問題

12.インターネット上の市民ジャーナリズム
12.1 市民ジャーナリズム
12.2 市民ジャーナリズムサイトの分類
 12.2.1 グラスルーツメディアとダン・ギルモア
 12.2.2 オーマイニュース
 12.2.3 投稿サイト
 12.2.4 ソーシャルニュースサイト
 12.2.5 政府の機密情報などを報道することを目的にするサイト
 12.2.6 コミュニケーションを目的にしたサイト
 12.2.7 運営面で市民の力を借り,良質な記事を提供している例
12.3 市民メディアの可能性
演習問題

13.インターネットコミュニティで行われる創作活動
13.1 社会の変化
13.2 フリーソフトウェア
13.3 オープンソースソフトウェア
13.4 所有の問題について
13.5 ハッカーとコミュニティ
13.6 オープンソースとビジネス
13.7 IBM社の戦略変更
演習問題

14.オープンイノベーション
14.1 イノベーションとは何か
14.2 イノベーションのジレンマ
14.3 クローズドイノベーション
14.4 オープンイノベーション
14.5 日本特有の課題
演習問題

15.グローバル市民社会とインターネット
15.1 グローバルコミュニティへの貢献
15.2 貧困問題への取り組み
 15.2.1 グラミン銀行
 15.2.2 日本における貧困問題
15.3 グローバル市民社会とインターネット
15.4 民主化運動とインターネット
演習問題

おわりに
参考文献
索引
more
著者からのメッセージ
コミュニティは、単に人々をつなげ、生きるための生産の場を提供するという以上の役割、すなわち、芸術、ビジネス、などのさまざまな領域における価値創造の場となっています。
本書では、このような時代において、私たちひとりひとりが、個人として、市民として、どのように社会に貢献できるかについて考えています。コミュニティに関心のあるすべての方に、お読みいただければと願っています。

メディア学大系series8

ICTビジネス

  • 榊 俊吾 著
  • A5サイズ/208頁
  • 定価2,860円 (本体2,600円+税)
  • ISBN 978-4-339-02788-4
  • 電子版あり

社会経済活動データを編集・分析する方法とプログラミングを習得し,統計データを分析してシミュレーションに発展させる方法を学べる。

メディア学大系シリーズ8 ICTビジネス
  • 榊 俊吾 著
  • A5サイズ/208頁
  • 定価2,860円 (本体2,600円+税)
  • ISBN 978-4-339-02788-4
  • 電子版あり
読者対象
経済の仕組み、社会の実相についてデータをもとに分析したいと考えている学生、社会人。さらに、経済、経営、社会における意思決定、戦略に関して、シミュレーションを通じて切り込んでみたいと考えている人たち。
書籍の特徴
今日、ICT技術の進展に伴い、企業間の取引記録や消費者の購入履歴はもちろん、鉄道系ICカードを通じて人々の行動記録も捕捉できるようになってきています。本書は、こうしたデータ利用環境の飛躍的な進展を背景に、行動記録という事実に基づいて(エビデンスベース)、経済社会活動の構造解明や、人々の意思決定を分析していくための方法論を提供します。本書では、データの管理/編集、分析、そしてシミュレーション技法まで解説します。

【各章について】

本書は大きく二つの内容から構成されています。前半部では、経済/社会活動を編集/分析する技術の習得を目的としています。まず、1章では「社会経済を計測する技術」として、経済取引の標準である簿記形式を基礎としたデータ管理/編集/分析を統合したシステム設計のための基本的な考え方を紹介しています。続く2章、3章では、簿記原理に基づく会計処理を基礎とした専用言語によるプログラミングの考え方、具体的な記述の仕方について学習します。
後半部では、前半で学習した設計/プログラミング技術をもとに、実際にデータを編集/分析し、さらに現実のデータによる現状分析だけでなく、シミュレーションに発展させる実例を学習していきます。4章「社会経済データ編集/分析入門(マクロ編)」、5章「社会経済データ編集/分析入門(ミクロ編)」では、それぞれ、行政機関の経済統計と企業の有価証券報告書のデータを利用して、わが国の産業や企業を中心とした経済社会活動の実態を編集し、分析する事例を紹介しています。6章「社会シミュレーション入門」では、複雑で多様な社会の実相に切り込む試みとして、ゲーム理論を基礎に、レプリケータダイナミクスの活用の仕方を学習します。7章「トランザクションベース計測の試み」では、本書のまとめとして、マイクロな取引データからマクロな経済活動を計測する構想について展望します。
目次
1.社会経済を計測する技術
1.1 はじめに
1.2 データ代数の概要
1.3 交換代数の概要
 1.3.1 交換代数オペレーションによる会計・データ加工の処理プロセス
 1.3.2 会計処理との親和性
 1.3.3 代数単位のオペレーション
1.4 交換代数による分類概念の変換
 1.4.1 対応関係のオペレーション
 1.4.2 会計・データ加工の処理プロセスとモジュール構造
1.5 データ代数と交換代数の機能分離
演習問題

2.社会経済データを編集・分析するためのプログラミング技術
2.1 ADDL・AADLのインストール
2.2 AADLプログラミングの基礎
 2.2.1 作業領域の作成
 2.2.2 プログラムの記述
 2.2.3 AADLの変数定義とおもなデータ型
 2.2.4 AADLの基本的な演算
 2.2.5 入出力ファイルの割付け
2.3 AADLにおけるデータ操作
 2.3.1 交換代数元の取出し:射影(projection)
 2.3.2 繰返し処理
演習問題

3.社会経済データを利用してシミュレーションするためのプログラミング技術
3.1 AADLによるシミュレーションモデルのひな形
 3.1.1 システムの状態記述
 3.1.2 数値計算型ロジックのひな形
 3.1.3 数値計算型ロジックのコード例:ダモウスキー ミラー写像
3.2 システム構成の設計・記述:AADLマクロの基礎
演習問題

4.社会経済データ編集・分析入門(マクロ編)
4.1 経済統計の見方
 4.1.1 原データ系列
 4.1.2 伸び率と指数化
4.2 データ加工事例
 4.2.1 寄与度
 4.2.2 在庫循環図
演習問題

5.社会経済データ編集・分析入門(ミクロ編)
5.1 会計データの構造
5.2 財務諸表
 5.2.1 貸借対照表
 5.2.2 損益計算書
5.3 財務分析
 5.3.1 代表的な財務指標
 5.3.2 財務分析の事例
5.4 財務データを利用した応用例
 5.4.1 需要予測モデル
 5.4.2 需要予測モデルの推計
演習問題

6.社会シミュレーション入門
6.1 社会現象のモデル化
 6.1.1 囚人のジレンマゲーム
 6.1.2 繰返し囚人のジレンマによる協力関係の維持
6.2 レプリケータダイナミクス
 6.2.1 レプリケータダイナミクスの考え方
 6.2.2 レプリケータダイナミクスの作り方
 6.2.3 レプリケータダイナミクスの具体例
6.3 レプリケータダイナミクスから社会学習ダイナミクスへの展開
 6.3.1 規範逸脱集団に矯正教育を行う
 6.3.2 規範を順守する集団を支援する
 6.3.3 矯正と支援:二つの教育制度の違い
6.4 おわりに
演習問題

7.トランザクションベース計測への試み
7.1 代数的仕様記述による会計・加工統計処理のための基盤技術
7.2 企業トランザクションの品目管理
 7.2.1 交換代数による報告データの標準化:個別勘定と標準的勘定の対応記述
 7.2.2 製造プロセスのトランザクションとフロー・ストック勘定の構成
 7.2.3 品目別原価・資産純増を管理するフロー勘定
 7.2.4 流通(卸売・小売・運輸等)プロセスのトランザクションとフロー・ストック勘定の構成
 7.2.5 品目別仕入原価・資産純増を管理するフロー勘定
7.3 トランザクションベース会計データのマクロ統計加工
 7.3.1 フロー勘定
 7.3.2 ストック勘定
 7.3.3 取引購入者価額の帰属推計
7.4 おわりに:SNAとトランザクションベースエコノミクス
演習問題

引用・参考文献
索引
more
著者からのメッセージ
経済の仕組みは、確かに複雑で、これを理解するためには経済、経営、会計、数学、統計等の基本的な知識が必要になります。本書でこれらの領域を全て網羅できるはずもありませんが、本書で学習するにあたって必要となる知識については、なるべく省略せずに解説しました。何より、読者自身が、身近なデータを利用しながら、経済社会の複雑な実態に切り込む一助になれば、著者として望外の幸せです。

メディア学大系series9

ミュージックメディア

  • 大山昌彦・伊藤謙一郎・吉岡英樹 共著
  • A5サイズ/240頁
  • 定価3,300円 (本体3,000円+税)
  • ISBN 978-4-339-02789-1
  • 電子版あり

音楽文化とメディアの関わりに加え,音楽産業がどのようなしくみになっているのか,さまざまな音楽表現のあり方についてまとめた。

メディア学大系シリーズ9 ミュージックメディア
  • 大山昌彦・伊藤謙一郎・吉岡英樹 共著
  • A5サイズ/240頁
  • 定価3,300円 (本体3,000円+税)
  • ISBN 978-4-339-02789-1
  • 電子版あり
読者対象
音楽に関心を持つ学生。特に音楽のコンテンツ制作や流通を学びたい学生。
書籍の特徴
「音楽が好き」「いつも聞いている」と思っている人に、自分の音楽生活がどのような歴史、技術、制度、そして表現方法を背景に成り立っているのかを分かりやすく伝えること、そこから改めて自分の音楽生活を振り返ることで、大学生として音楽とより楽しく、知的なつきあい方をしてもらえるようになって欲しいと思い本書を書きました。何気なく聴いて楽しんでいる音楽がどのような技術やアイデアで作られ、耳元まで届いているのか、その仕組みはどのようになっているのかをわかりやすく説明しています。

【各章について】

本巻は大きく分けて二つのパートから構成されています。 1章から4章までは音楽メディアの技術的変遷と音楽コミュニケーションの変化を説明しています。 1、2章では、楽譜から,音楽ファイルまで音楽メディアの変遷を説明しています。 3章では、音楽文化の中核である日本の音楽産業の現状を、その産業構造と制度とテクノロジーの変化を踏まえて概観しています。 4章では、音の物理的特性とそれが人の耳に届けられる基本的なプロセスを解説しています。
つづく5章から8章までは、音楽表現で不可欠な音楽理論を分かりやすく説明しています。 5章では、音を音楽にするための、音高の秩序のある規則性や 構成原理の歴史を解説しています。 6章以下では「音楽の三要素」をそれぞれ解説しています。 6章では、「リズム」の組織化の原理を人間の内面で心理的に生起する拍子感との関係から、7章では、「メロディ (メロディー)」をその形式や展 開に着目することから, 8章では、西洋音楽で高度に発展した「ハーモニー」 に注目し音楽の構成技法の根本的な思想と理論を解説しています。
目次
1.音楽文化と楽譜
1.1 メディアと音楽文化 
1.2 記譜法の発達 
1.3 音楽の商業化と芸術化の進展 
 1.3.1 音楽の商業化とイデオロギーとしての芸術化 
 1.3.2 音楽作品の重要性とアーティストの神格化 
1.4 音楽メディアの作品化と音楽著作権 
 1.4.1 音楽著作権の誕生 
 1.4.2 コピーライトとオーサーズライト 
1.5 世界音楽経済システムの誕生 
演習問題 

2.音楽文化と音響技術
2.1 技術の社会的配分と世界音楽経済システムの強化 
 2.1.1 録音・再生・複製技術の社会的受容と再配分 
 2.1.2 音楽制作とテクノロジー 
2.2 レコード作品における同一性の解体 
 2.2.1 DJイングの意義 
 2.2.2 ラップの商業化と世界音楽経済システムとのコンフリクト 
 2.2.3 マルチモーダル化する音楽 
2.3 ディジタル化と世界音楽経済システムの動揺 
 2.3.1 ディジタル化による世界音楽経済システムの動揺 
 2.3.2 アーカイブとしてのインターネットと創作活動の活発化 
 2.3.3 世界音楽経済システムの危機? 
 2.3.4 ソーシャル化する音楽 
2.4 音楽メディアと音楽文化のこれから 
演習問題 

3.音楽産業とメディア
3.1 レコード産業に関わる人々 
 3.1.1 音楽を作る人 
 3.1.2 音楽を売る人 
 3.1.3 音楽で儲かる人 
 3.1.4 メジャー以外の音楽活動 
3.2 日本における音楽著作権管理 
 3.2.1 著作権管理事業とは 
 3.2.2 著作権使用料の分配方法 
 3.2.3 著作隣接権の管理 
3.3 レコード産業とオーディオ産業 
 3.3.1 LPレコードの登場とオーディオ産業の始まり 
 3.3.2 CD発売とディジタル化が音楽産業に与えた影響 
 3.3.3 音楽ソフトの生産金額推移 
3.4 電子楽器の変遷と音楽産業への影響 
 3.4.1 モジュラー・シンセサイザーの登場と普及 
 3.4.2 シンセサイザーのディジタル化 
3.5 音楽制作環境の変化 
 3.5.1 マルチトラックレコーディング 
 3.5.2 MTRを活用したライブパフォーマンス 
 3.5.3 ディジタル録音の時代 
 3.5.4 コンピュータによる音楽制作 
3.6 音楽産業とメディア 
 3.6.1 メディアの変遷と音楽産業 
 3.6.2 インターネットの普及と音楽産業への影響 
演習問題 

4.音
4.1 音の伝播 
4.2 波形の表示 
4.3 音の分類 
4.4 音の属性と波形による表示 
4.5 倍音 
4.6 複合音と倍音構成 
演習問題 

5.楽音の組織化
5.1 音律 
5.2 ピュタゴラス音律 
5.3 純正律 
5.4 中全音律 
5.5 平均律 
 5.5.1 長所と短所 
 5.5.2 普及の背景 
5.6 音階 
 5.6.1 長音階の構成 
 5.6.2 短音階の構成 
5.7 旋法 
演習問題 

6.拍子・リズム
6.1 パルスと拍 
6.2 拍子と拍節 
 6.2.1 定義と特徴 
 6.2.2 エネルギーの周期変化としての拍子 
6.3 リズム 
 6.3.1 リズムの形成 
 6.3.2 「拍節的リズム」と「自由リズム」 
6.4 拍節から逸脱するリズム 
 6.4.1 シンコペーション 
 6.4.2 拍節との関係性によるシンコペーションの生成と消失 
 6.4.3 シンコペーションとテンポ 
 6.4.4 そのほかのシンコペーション 
 6.4.5 ヘミオラ 
6.5 複数のリズムの位相変化によって生じる現象 
演習問題 

7.メロディ
7.1 メロディが内包する要素 
7.2 音の進行 
 7.2.1 反復と変化 
 7.2.2 音高線におけるコントラスト 
7.3 動機(モティーフ) 
 7.3.1 動機と部分動機 
 7.3.2 動機の構成 
 7.3.3 動機の諸形態 
7.4 楽節 
 7.4.1 小楽節 
 7.4.2 小楽節の諸形態と作例 
 7.4.3 大楽節 
 7.4.4 大楽節の諸形態と作例 
 7.4.5 実作品に見る大楽節の諸形態 
 7.4.6 大楽節の実際的な形態 
 7.4.7 大楽節と楽曲形式 
7.5 メロディの展開 
 7.5.1 フレーズの変形 
 7.5.2 クライマックスの形成 
演習問題 

8.ハーモニー
8.1 和音と和声 
8.2 和音の構成と和音表記法 
 8.2.1 三和音の基本形とその構成 
 8.2.2 三和音の転回形 
 8.2.3 三和音の表記法 
 8.2.4 七の和音の構成と表記法 
8.3 和音の機能 
 8.3.1 和音と調の関係性 
 8.3.2 主要三和音における機能とカデンツ 
 8.3.3 各和音の機能と終止 
8.4 メロディとハーモニーの関係 
 8.4.1 和声音と非和声音 
 8.4.2 非和声音の種類 
演習問題 

引用・参考文献 
索引
more
著者からのメッセージ
私たちの日常生活では音楽があふれています。音楽を耳にしない日はないでしょう。耳にする音楽は誰かが作ったものですが、音楽を作った人、演奏している人はそこにはいません。音楽があふれる日常生活とは、時間と空間を共にしない誰かが作り出した音楽を、「メディア」の仲立によって経験したものである、と言っても過言ではないでしょう。これまで人は見えない誰かに向けて、どのようにメディアを使って音楽を作り伝えたのでしょうか。音楽のメディアの変容は、伝え方や音楽の価値をどのように変えたのでしょうか。そして私たちの音楽生活はどのように成立していったのでしょうか。この本を通じて、これまでの音楽経験では見えない部分を理解することで、ありふれた音楽生活をより有意義な経験にしてもらえることを願ってやみません。

メディア学大系series10

メディアICT(改訂版)

  • 寺澤卓也・藤澤公也 共著
  • A5サイズ/256頁
  • 定価3,190円 (本体2,900円+税)
  • ISBN 978-4-339-02791-4
  • 電子版あり

情報をアップデートし,新たに登場したさまざまなトピックを随所に盛り込んだ改訂版。

メディア学大系シリーズ10 メディアICT(改訂版)
  • 寺澤卓也・藤澤公也 共著
  • A5サイズ/256頁
  • 定価3,190円 (本体2,900円+税)
  • ISBN 978-4-339-02791-4
  • 電子版あり
読者対象
ICT(情報通信技術)を学ぶ学生。特に、現代社会の生活や仕事、娯楽、コミュニケーションなどに用いられている技術やリテラシーについて初歩的な内容から応用分野までを理解したい学生。
書籍の特徴
現在の私たちの生活はICTの上に成り立っています。CG、ゲーム、音楽、映像、Web、SNS、電子マネーなど、これらのいずれにも関わらずに生活している人はいないでしょう。これらの基本にはコンピュータやスマートフォン、インターネットがあります。本書では、これらの技術について体系的に説明し、情報リテラシー、メディアリテラシーにも触れるほか、AI、ブロックチェーン、量子コンピュータなどの最新のトピックも概説しています。

【各章について】

1章はICT の意味と意義などイントロダクションとなっています。2章ではコンピュータのしくみについて解説しています。3章はコンピュータネットワークを扱っています。LANやそれらを相互に接続したインターネットのしくみを学びます。4章はWWWや電子メール,動画配信などのインターネット上のサービスの技術を説明しています。5章はスマートフォンやWi-Fiなどを中心としたモバイル通信技術を紹介しています。6章は代表的なSNSを説明しTwitterを例として情報がどのように伝播するのか解説しています。単にしくみの話だけでなく,リテラシーとしてのSNSの活用についても踏み込んでいます。7章は検索サービスのしくみと利用法を具体的に説明しています。8章はプログラミングについての基本的な概念と各種のプログラミング言語について紹介しています。9章はサーバ技術、10章はセキュリティ技術について説明しています。最後に11章はそのほかのトピックを取り上げています。
目次
1.メディア学とICT
1.1 ICTとは
1.2 メディアツールとしてのICT 
 1.2.1 メディア処理技術
 1.2.2 ICTと表現
 1.2.3 ゲーム
 1.2.4 ICTとビジネス
 1.2.5 ICTと教育
 1.2.6 コミュニケーション
1.3 メディアリテラシー 
演習問題
2.コンピュータのしくみ
2.1 コンピュータにおけるハードウェア
 2.1.1 コンピュータの構成
 2.1.2 CPU
 2.1.3 GPU
 2.1.4 メモリ
 2.1.5 CPUとメモリ
 2.1.6 キャッシュメモリ
 2.1.7 ハードディスクとSSD
 2.1.8 USB
 2.1.9 LANインタフェース
 2.1.10 Wi-Fi(無線接続)
2.2 ソフトウェア
 2.2.1 CPUが理解する「言葉」
 2.2.2 プログラムの作成と実行
 2.2.3 アプリケーションソフトウェア
 2.2.4 オープンソース
2.3 オペレーティングシステム(OS)の役割
 2.3.1 プログラムの実行
 2.3.2 メモリ管理
 2.3.3 仮想記憶
 2.3.4 ファイルシステム
 2.3.5 外部機器の管理と割込み
 2.3.6 ネットワークの扱い
 2.3.7 OSの種類
2.4 オフィスツールソフトウェア
 2.4.1 ドキュメント作成
 2.4.2 表計算
 2.4.3 プレゼンテーション
 2.4.4 アプリケーション連携
2.5 クラウドサービスの利用
2.6 サブスクリプション
演習問題
3.コンピュータネットワーク
3.1 LANのしくみ
 3.1.1 階層モデル
 3.1.2 第1層:物理層
 3.1.3 第2層:データリンク層
3.2 インターネットのしくみ
 3.2.1 エンドツーエンドの原則とベストエフォート
 3.2.2 第3層:ネットワーク層
 3.2.3 第4層:トランスポート層
3.3 LANとインターネットの接続
3.4 サーバとクライアント
3.5 名前とドメイン
演習問題
4.インターネット上のサービス
4.1 WorldWideWeb
 4.1.1 Webブラウザ
 4.1.2 Webサーバ
 4.1.3 URIとURL
 4.1.4 HTML
 4.1.5 HTTP
 4.1.6 WWWに関するそのほかの技術
4.2 Web上のサービス
 4.2.1 ブログ
 4.2.2 Wiki
 4.2.3 掲示版
4.3 電子メール
4.4 IP電話
 4.4.1 IP電話の種類
 4.4.2 無料通話アプリ
 4.4.3 050番号と品質
4.5 動画配信技術
 4.5.1 ストリーミング
 4.5.2 圧縮技術
 4.5.3 動画配信サービスとビデオ会議サービス
4.6 CDN
演習問題
5.モバイルメディア技術
5.1 携帯電話・スマートフォン
 5.1.1 携帯電話の歴史概観
 5.1.2 携帯電話の基本技術
 5.1.3 携帯電話の付加機能
5.2 スマートフォン
 5.2.1 iPhone
 5.2.2 Android
 5.2.3 アプリ
 5.2.4 高速通信網
 5.2.5 携帯電話・スマートフォンと社会
5.3 タブレット
 5.3.1 タブレットの普及
 5.3.2 タブレットの用途とサイズ
5.4 無線LAN
 5.4.1 無線LANの種類
 5.4.2 Wi-Fi
 5.4.3 無線LANのセキュリティ
5.5 そのほかの無線技術
演習問題
6.ソーシャルネットワーキングサービス
6.1 ソーシャルネットワーキングサービスとは
6.2 代表的なSNS
 6.2.1 Twitter
 6.2.2 Facebook
 6.2.3 Instagram
 6.2.4 LinkedIn
6.3 SNSでの情報の伝播:Twitterを例に
 6.3.1 フォローによるソーシャルネットワーク
 6.3.2 フォロワーへの情報伝播
 6.3.3 リツイートによる情報伝播
 6.3.4 鍵アカウント
6.4 SNSを活用するために
演習問題
7.検索サービス
7.1 情報検索の概要
 7.1.1 情報検索とは
 7.1.2 情報検索に必要なもの
 7.1.3 情報検索時の心構え
7.2 Googleでの検索の基本
 7.2.1 検索結果の全体の見方
 7.2.2 検索結果の個々の情報の見方
 7.2.3 情報検索の基本
7.3 Googleでのさまざまな検索方法
 7.3.1 基本演算子の利用
 7.3.2 Googleの独自演算子の利用
 7.3.3 そのほかの検索テクニック
 7.3.4 情報検索の手順・流れ
7.4 検索エンジンのしくみ
 7.4.1 検索エンジンとは
 7.4.2 検索システムの構造
7.5 SEOと検索エンジンSPAM
演習問題
8.プログラミング
8.1 プログラムの基本的な考え方
 8.1.1 制御構造
 8.1.2 変数
 8.1.3 配列とデータ構造
 8.1.4 フローチャート
 8.1.5 オブジェクト指向
8.2 プログラミング言語
 8.2.1 手続き型言語
 8.2.2 オブジェクト指向言語
 8.2.3 そのほかの言語
8.3 スクリプト言語
8.4 Java
 8.4.1 JavaVM
 8.4.2 クラスライブラリ
 8.4.3 安全なプログラムの作成支援
 8.4.4 ネットワーク機能
 8.4.5 エディション
8.5 Python
8.6 ビジュアルプログラミング言語
 8.6.1 ブロック型
 8.6.2 フロー型
8.7 開発環境
演習問題
9.サーバ技術
9.1 Webアプリケーション
9.2 Webサービス
9.3 クラウド
9.4 XML
9.5 データベース
9.6 サーバ構築と運用
 9.6.1 従来型のサーバ構築
 9.6.2 新しいサーバ構築法
9.7 サービス提供側から見たクラウド
 9.7.1 SaaS(softwareasaservice)
 9.7.2 PaaS(platformasaservice)
 9.7.3 IaaS(infrastructureasaservice)
 9.7.4 利用方法・利用の範囲による分類
 9.7.5 クラウドの構築
9.8 仮想化技術
 9.8.1 ホストOS型
 9.8.2 ハイパーバイザ型
 9.8.3 仮想マシンを実現するソフトウェア
 9.8.4 コンテナ技術
演習問題
10.情報セキュリティ
10.1 情報セキュリティとは
 10.1.1 情報セキュリティの概要
 10.1.2 情報セキュリティの効果
 10.1.3 情報セキュリティの欠如・不足時の問題点
 10.1.4 認証による可用性の確保
10.2 暗号の基礎知識
 10.2.1 暗号とは
 10.2.2 暗号処理の基礎
 10.2.3 共通鍵暗号
 10.2.4 公開鍵暗号
 10.2.5 デジタル署名
10.3 Webアプリケーションのセキュリティ
 10.3.1 Webアプリケーションの危険
 10.3.2 Webアプリケーションに対する攻撃
10.4 マルウェア(コンピュータウイルス)
 10.4.1 マルウェアとは
 10.4.2 ボットとボットネットワーク
 10.4.3 スパイウェア
 10.4.4 スピア型攻撃
演習問題
11.そのほかのトピック
11.1 ユビキタス
11.2 ICカードとRFID
 11.2.1 ICカード
 11.2.2 RFID
11.3 P2P
11.4 IoT/CPS,ビッグデータ
 11.4.1 IoTとCPS
 11.4.2 ビッグデータとデータサイエンス
11.5 人工知能(AI)
11.6 ブロックチェーンと暗号資産
11.7 量子コンピュータ
引用・参考文献
索引
more
著者からのメッセージ
ICTの世界は技術の進歩とともに目まぐるしく変化しています。ある時点の技術を切り取って紹介してもあっという間に陳腐化してします。したがって、書籍の形でICTを説明するにあたり、基礎的な事項をしっかり示すことと、特に携帯電話技術などについては技術の流れを示すことを心がけました。本書が様々なメディア分野を学び、メディアを活用していく人たちにとって、必要な時に立ち戻って読んでもらえる入門書として活用してもらえることを祈っています。

メディア学大系series11

CGによるシミュレーションと可視化

  • 菊池 司・竹島由里子 共著
  • A5サイズ/182頁
  • 定価2,970円 (本体2,700円+税)
  • ISBN 978-4-339-02797-6

CGアニメーションで表現されるダイナミックな動き,質感,形状の理論にせまる

メディア学大系シリーズ11 CGによるシミュレーションと可視化
  • 菊池 司・竹島由里子 共著
  • A5サイズ/182頁
  • 定価2,970円 (本体2,700円+税)
  • ISBN 978-4-339-02797-6
読者対象
コンピュータグラフィックス(CG)技術に関して勉強・研究を行っている大学生や大学院生。また,強い志をもった高校生や大学・研究機関でCGを研究・教育している教員。
書籍の特徴
世界で最初のグラフィックシステムであるSketchpadが開発されてから60年ほど経つが,その間に多くの大学や研究機関によって現実的なCGを生み出すための方法が研究されてきた。それにより,現在では見た目では写真にカメラで撮影した映像と見分けがつかないようなものを創り出すことが可能となった。物理シミュレーションを使えば,CGアニメーションの表現として使える様々な現象をコンピュータ内で再現することができる。一方でその理解のためには,物理に関する知識はもちろん,数学,力学,数値演算など様々なことを学ばなければならない。本書ではそれらを可能な限り基礎から解説し,最先端の技術まで網羅するように心がけた。

【各章について】

1 章では,CG における物理シミュレーションの位置づけや役割に関して概説する。
2 章では,物理シミュレーションを理解するうえで欠かすことができない数学と力学に関して解説する。
3 章では,「アルゴリズム」を利用して図形形状をデザインする例を紹介する。アルゴリズムとして手順をコード化することで,少ないデータで複雑な形状を再現することが可能となる。
4 章では,流体シミュレーションに関して解説する。流体力学で流体がどのように扱われているかを説明した後,流体の支配方程式であるナビエ・ストークス方程式を中心に,CG への応用方法について説明する。
5 章では,物体同士の衝突などに代表される剛体シミュレーションに関して説明する。また,布や糸,クッションなどの柔らかい「弾性体」を扱う方法も解説する。
6 章では,シミュレーションや実験計測などで得られたデータを視覚的に解析するコンピュータビジュアリゼーション(可視化)について説明する。作品としてのCG ではなく,解析のためにどのようにCG が利用されデータの解析が行われているかについて述べる。
7 章では,流れ場や磁場などのデータに含まれるベクトルデータの可視化方法を紹介する。
8 章では,温度や圧力といった各点がただ一つの数値をもつスカラデータの可視化方法をまとめる。
目次
1.CGシミュレーションとは
1.1 CGにおけるシミュレーションの役割
1.2 キーフレームアニメーションとシミュレーション
 1.3 物理シミュレーションの基本的な流れ
1.4 物理シミュレーションの種類
演習問題

2.ベクトルと力
2.1 ベクトルと行列
 2.1.1 ベクトルの基礎
 2.1.2 内積と外積
 2.1.3 行列
 2.1.4 固有値,固有ベクトル
2.2 応力とテンソル
演習問題

3.手続き型形状表現法
3.1 フラクタル
 3.1.1 フラクタルの概要
 3.1.2 マンデルブロ集合のアルゴリズム
 3.1.3 フラクタルの応用
 3.1.4 マンデルバルブの実装方法
3.2 ボロノイ図
 3.2.1 点ベースのボロノイ図
 3.2.2 曲線ベースのボロノイ図
 3.2.3 曲線ベースのボロノイ図の実装手法
演習問題

4.流体シミュレーション
4.1 流体の基礎
 4.1.1 密度と圧力
 4.1.2 粘性
 4.1.3 圧縮性と非圧縮性
4.2 流体の支配方程式
 4.2.1 移流項
 4.2.2 圧力項
 4.2.3 粘性項
 4.2.4 外力項
 4.2.5 流体支配方程式の解法
4.3 格子法
 4.3.1 グリッド分割
 4.3.2 スタガード格子
 4.3.3 支配方程式の差分化
 4.3.4 液体表面追跡
4.4 粒子法
 4.4.1 SPH法
 4.4.2 SPH法による支配方程式の解法
 4.4.3 近傍粒子探索
 4.4.4 粒子からの表面抽出
4.5 FLIP法
 4.5.1 初期構成
 4.5.2 格子を用いた圧力項の計算
 4.5.3 流速のマッピング
 4.5.4 移流項の計算
 4.5.5 数値拡散を伴わない流速のマッピング
 4.5.6 界面サーフェスの抽出
4.6 雪崩による雪煙のビジュアルシミュレーション
演習問題

5.剛体・弾性体シミュレーション
5.1 ボールの運動
 5.1.1 運動方程式
 5.1.2 時間積分の離散化
 5.1.3 回転の運動方程式
5.2 衝突処理
 5.2.1 衝突検出
 5.2.2 GJKアルゴリズムの原理
5.3 弾性体シミュレーション
 5.3.11 次元シミュレーション
 5.3.2 2次元シミュレーション
 5.3.3 3次元シミュレーション
5.4 位置ベースの変形シミュレーション
 5.4.1 シェイプマッチング法
 5.4.2 XPBD
5.5 非周期的空間充填とXPBDを用いた弾性凝集体の
プロシージャルモデリング
演習問題

6.コンピュータビジュアリゼーション
6.1 コンピュータによる可視化
 6.1.1 CGと可視化
 6.1.2 可視化による理解の流れ
 6.1.3 可視化の分類
6.2 科学技術データのディジタル表現
 6.2.1 標本点の取得
 6.2.2 標本点以外の物理値の補間
 6.2.3 データの特性による分類
6.3 サイエンティフィックビジュアリゼーション
 6.3.1 可視化の四つの特徴
 6.3.2 可視化処理の流れ
 6.3.3 物理値の可視化表現
演習問題

7.ベクトル場の可視化
7.12 次元ベクトル場
 7.1.1 矢印表示
 7.1.2 流線表示
 7.1.3 LIC法
7.2 3次元ベクトル場
 7.2.1 ヘッジホッグ法
 7.2.2 流線表示
7.3 時系列データ
演習問題

8.スカラ場の可視化
8.12 次元スカラ場
 8.1.1 グリフ表示
 8.1.2 擬似カラーコーディング
 8.1.3 等値線(等高線)表示
8.2 3次元スカラ場
 8.2.1 断面表示
 8.2.2 ボリュームレンダリング
 8.2.3 等値面
演習問題

引用・参考文献
演習問題解答
索引
more
著者からのメッセージ
CGという分野はパソコンさえあれば数学や物理のシミュレーションを容易に実験することができる特殊な分野ですが,先端技術に関して勉強しよう思うと何から始めたらいいのかわからないという人も少なくないと思います。本書は,そのような人の役に立つ内容になっていると思います。
また本書では,さまざまなアルゴリズムの実装に関して,SideFX 社のHoudini というツールを利用しています。アルゴリズムをベースとして,造形/シミュレーションを実践したい人に向けて,CG とプログラミングの結びつきが強力なHoudini を用いることで,その手法を理解してもらうことを目指しました。

メディア学大系series12

CG数理の基礎

  • 柿本正憲 著
  • A5サイズ/210頁
  • 定価3,190円 (本体2,900円+税)
  • ISBN 978-4-339-02792-1

CGの原理を理解するために知っておいてほしい技術を厳選して丁寧に解説した

メディア学大系シリーズ12 CG数理の基礎
  • 柿本正憲 著
  • A5サイズ/210頁
  • 定価3,190円 (本体2,900円+税)
  • ISBN 978-4-339-02792-1
読者対象
コンピュータグラフィックス(CG)技術に興味あるすべての学部学生。CGクリエイターを志す方で,CGの原理まで踏み込んで理解しておきたい方。
書籍の特徴
CG技術は多数の書籍やWebの記事などで解説されている。これに対して本書は,もっとも基礎的な技術群に対象を絞った。このような技術群は,前述の多くの解説を理解するための大前提となるにもかかわらず意外に説明されていない。本書はその部分に焦点を合わせた。特に汎用性の高い技術はできる限り深掘りしてていねいに説明し,読者の根本からの理解を促している。何らかの形でCGに関わる技術者や制作者にとって有用かつ常識的な基礎技術の原理を網羅した内容である。結果的に,CG技術の根底にあるアイディアの面白さを楽しむこともできる技術書となっている。本書の内容の多くは簡単に実行可能なデモプログラムをソースコード付きで用意している。読者は実際に実行結果を見て基礎技術の理解を深めることができる。

【各章について】

1 章ではコンピュータ処理の流れに沿ったCG 技術の全体像を示し,画像や色や図形という,CG において重要な情報のディジタルデータによる表現や表記について説明する。
2 章は図形をどのようにディジタル画像として表示するかがテーマである。古典物理学で言えば原子や分子に相当する構成単位である線分,三角形が画面上に展開される過程(アルゴリズム)を詳細に学ぶ。
3 章は物体データとしての図形を思い通りに操作するための数学的な道具である座標変換(幾何学的変換)を説明する。図形の配置のみならず,3 次元の物体データを2 次元の画面に図形として投影する手段も座標変換である。加えて画像に対する幾何学的変換も解説する。
4 章は3 次元物体データすなわち形状モデルをCG で扱うためのデータ表現を説明する。曲線理論の入門編もこの章に含まれ,曲面についても少し触れる。そのほかいくつかの特徴ある物体表現法については概要を紹介する。
5 章では,アニメーションやゲーム画面のような動きを伴うCG の表示技術にまつわる基本知識を述べる。そもそも画面が動いて見えるように制御する仕組みであるフレーム処理技術,および活用頻度の高い動き処理技術をやや詳しく説明し,各種アニメーション技法については概要説明にとどめる。
目次
☆発行前情報のため,一部変更となる場合がございます

1.ディジタル画像と図形の数学表現
1.1 コンピュータグラフィックス技術の全体像
 1.1.1 CGは画像を生成する技術
 1.1.2 三つの要素技術
 1.1.3 本書のカバーする領域
1.2 ディジタル画像の基礎
 1.2.1 ディスプレイの色表現
 1.2.2 画像の解像度と階調
 1.2.3 数値データとしての画像
1.3 色の表現
 1.3.1 RGB三原色と基本的な色
 1.3.2 RGB値の範囲
 1.3.3 さまざまな表色系と色表現方法
1.4 図形の表現
 1.4.1 頂点がすべての基本
 1.4.2 ディジタル画像における頂点の表現
 1.4.3 線分の表現例
 1.4.4 プログラムとデータとの関係
演習問題

2.基本図形の描画
2.1 線分描画アルゴリズムの概要
 2.1.1 線分描画の実例
 2.1.2 線分描画の妥当な前提条件
 2.1.3 線分描画アルゴリズムの本質
2.2 ブレゼンハムの線分描画アルゴリズム
 2.2.1 都合のよい座標系の設定
 2.2.2 手順の明確化
 2.2.3 手順の定式化
 2.2.4 線分描画の実験
 2.2.5 始点と終点の順番の影響
2.3 三角形の塗りつぶし(ラスタ化)
 2.3.1 三角形の重要性
 2.3.2 三角形ラスタ化アルゴリズムの要求仕様
 2.3.3 各画素の塗りつぶし判定基準
 2.3.4 三角形ラスタ化処理手順の概略
 2.3.5 スムーズシェーディングにおける三角形ラスタ化処理
 2.3.6 グラフィックスハードウェアにおけるラスタ化
2.4 アンチエイリアシング
 2.4.1 アンチエイリアシングの目的と活用
 2.4.2 輝度判定の方法
 2.4.3 カバー率計算の方法
 2.4.4 マルチサンプリング・アンチエイリアシング
演習問題

3.座標変換
3.1 座標変換の概要
 3.1.1 座標変換の分類
 3.1.2 なぜ座標変換が重要か
3.2 図形の幾何学的変換の実例
 3.2.1 Processingプログラムにおける座標系
 3.2.2 平行移動変換の例
 3.2.3 拡大・縮小変換の例
 3.2.4 回転変換の例
 3.2.5 せん断変換の例
 3.2.6 Processingにおける座標系の記憶と再利用
3.3 座標変換と行列
 3.3.1 幾何学的変換の数式表現
 3.3.2 1次変換の行列表現
 3.3.3 1次変換行列の幾何学的な意味
 3.3.4 アフィン変換の行列表現と同次座標
 3.3.5 Processingにおける行列の扱い
3.4 ディジタルカメラモデルと投影変換
 3.4.1 ビューイングパイプライン
 3.4.2 モデリング変換と視野変換の例
 3.4.3 投影変換の概要
 3.4.4 平行投影
 3.4.5 透視投影
 3.4.6 クリッピング
 3.4.7 透視投影の変換行列
3.5 画像の幾何学的変換
 3.5.1 画像の幾何学的変換の例
 3.5.2 再標本化
 3.5.3 フィルタリング処理
 3.5.4 バイリニア補間処理の実際
 3.5.5 補間方式の違いと使い分け
演習問題

4.形状モデル表現の基礎
4.1 形状モデルの表現法
 4.1.1 形状モデルと形状モデリング
 4.1.2 形状モデルのファイル形式
 4.1.3 形状モデルの表現法
 4.1.4 形状モデルのCG表示法
 4.1.5 ソリッドモデルのCSG表現
 4.1.6 CSG表現における同一平面の扱い
 4.1.7 ソリッドモデルの境界表現
 4.1.8 形状作成効率化のための表現
4.2 曲線と曲面
 4.2.1 パラメトリック曲線
 4.2.2 ベジエ曲線の概要
 4.2.3 ベジエ曲線の幾何学的性質
 4.2.4 ベジエ曲線の数学的表現
 4.2.5 ベジエ曲線の分割
 4.2.6 ベジエ曲線の拡張としてのBスプライン曲線
 4.2.7 曲線から曲面への拡張
4.3 各種モデル形状表現
 4.3.1 ポリゴン曲面
 4.3.2 ボクセル表現
 4.3.3 フラクタル
 4.3.4 メタボール
 4.3.5 点群データ
 4.3.6 パーティクル
演習問題

5.CGアニメーション技術の基礎
5.1 フレーム処理の基本概念
 5.1.1 CGアニメーション描画処理の基本原則
 5.1.2 フレームレートとリフレッシュレート
 5.1.3 ダブルバッファ
 5.1.4 プリレンダリング映像の再生フレームレート
5.2 モーションブラー
5.3 キーフレーム法
 5.3.1 キーフレーム法の簡単な実施例
 5.3.2 インバースキネマティックス
 5.3.3 動き情報の設定技法(リギング)
5.4 CGアニメーション各種技法の概観
 5.4.1 モーションキャプチャ
 5.4.2 形状変形
 5.4.3 シミュレーション技術
演習問題
引用・参考文献
演習問題解答
索引
more
著者からのメッセージ
ほかのIT分野と同様に,CG技術は日進月歩です。本書はCG分野の多くの先進的な技術や高度な技術については思い切って割愛し,年月を経ても変わることのない原理的な技術に焦点を絞りました。そのため,10年後,20年後に読み返しても役に立つ書籍になったと自負しています。大学での講義の教科書として,あるいは長く使える参考書として利用してください。さらに,高校の情報の授業でディジタル画像やCGに興味を持った理科系の生徒たちにも読んでもらえれば幸いです。

メディア学大系series13

音声音響インタフェース実践

  • 相川清明・大淵康成 共著
  • A5サイズ/224頁
  • 定価3,190円 (本体2,900円+税)
  • ISBN 978-4-339-02793-8
  • 電子版あり

信号の基礎理論とその具体的応用,信号処理を応用したインタフェースについて解説し,実践を通して基礎理論の理解が深まるよう構成。

メディア学大系シリーズ13 音声音響インタフェース実践
  • 相川清明・大淵康成 共著
  • A5サイズ/224頁
  • 定価3,190円 (本体2,900円+税)
  • ISBN 978-4-339-02793-8
  • 電子版あり
読者対象
音の信号処理、分析、合成について学びたい学生。特に、ツール、アルゴリズムやプログラムを通して、原理を具体的に理解、習得したい学生。
書籍の特徴
「音声音響インタフェース実践」という一見演習の手引きのように思えるタイトルですが、実践を通して基礎理論の理解を深めることを目的としています。単に数式を用いて原理を解説するのではなく、具体的にコンピュータを用いてどのような演算をしたらよいのかを解説します。メディ学大系第4巻「マルチモーダルコミュニケーション」の中で、音のディジタル信号処理の理論を解説していますが、本書は、そこには記載できなかった信号の基礎理論とその具体的応用、及び信号処理を応用したインタフェースについて解説します。

【各章について】

1章は短い導入部で全体を概観しています。2章の信号処理の基礎理論では、特に具体的な数値を挙げて物理現象を実感できるように工夫しています。複素数を含む数式や演算の意味をわかりやすく解説するようにしています。本書では、エコーキャンセラのような高度の処理についても触れていますが、何をしたいのかから始まって、レベルの高い理論まで段階を追ってスムーズに導いています。ビームフォーマという特定の方向からの音を取り込む仕組みについては、難しい理論をわかりやすい図を多用して理解に結び付けています。ブラインド音源分離や独立成分分析など、最先端の信号処理技術をもそのしくみがわかりやすいように解説しました。さらに、音場制御や騒音の除去の側面からも基礎的な数式を用いながらも原理の理解に重点を置いた解説を行っています。
3章はパソコンで動作する信号処理ツールを用いてディジタル信号処理を実感できる構成としました。本書で用いているMATLABやScilabを利用すれば、簡単に音の入出力や生成加工ができます。さらに、なかなかイメージをつかみにくい複素関数の演算も簡単に行うことができます。これらのツールは描画能力にも優れているので、処理した結果を音だけでなく、さまざまな図に表現することができます。特にディジタルフィルタの演算や伝達関数の表示では、これらのツールは威力を発揮すします。
第4章はその他の音声音響処理用のツールと最先端の考え方の紹介です。特に、音響特徴の学習に基づく最近の音声認識や機械学習についてわかりやすく解説しており、最先端のディープラーニングにまで触れています。
目次
1. 音声音響インタフェースの実現のために
1.1 身の回りの音声音響インタフェース 
1.2 ツールを活用したインタフェース実践 
演習問題 

2. 音響インタフェース実現のための基礎知識
2.1 音の性質と周波数分析 
 2.1.1 音波の伝搬とエネルギー 
 2.1.2 音の振動と三角関数 
 2.1.3 波の重ね合わせとフーリエ変換 
 2.1.4 スペクトログラム 
 2.1.5 サンプリング 
 2.1.6 畳み込み演算と伝達関数 
 2.1.7 音の複素数表現 
2.2 エコーキャンセラ 
 2.2.1 エコーの発生とハウリング 
 2.2.2 エコーサプレッサ 
 2.2.3 エコーキャンセラの原理 
 2.2.4 誤差最小化による解法 
 2.2.5 LMSアルゴリズム 
 2.2.6 非線形エコーキャンセラ 
 2.2.7 ダブルトーク検出 
 2.2.8 エコーキャンセラの実装 
2.3 マイクロホンアレイ 
 2.3.1 複数のマイクで取り込んだ音の性質 
 2.3.2 適応ノイズキャンセラ 
 2.3.3 遅延和ビームフォーマ 
 2.3.4 死角形成型ビームフォーマ 
 2.3.5 適応ビームフォーマ 
 2.3.6 音源方向推定 
 2.3.7 非同期マイクロホンアレイ 
2.4 ブラインド信号分離 
 2.4.1 周波数領域でのバイナリマスキング 
 2.4.2 独立成分分析 
 2.4.3 非負値行列因子分解 
2.5 単一マイク信号からの雑音抑圧 
 2.5.1 スペクトルサブトラクション 
 2.5.2 統計的雑音抑圧 
2.6 音場制御 
 2.6.1 インパルス応答と伝達関数の測定 
 2.6.2 ステレオ再生とサラウンド 
 2.6.3 バイノーラル録音 
 2.6.4 頭部伝達関数 
 2.6.5 アクティブノイズコントロール 
 2.6.6 スピーカアレイ 
 2.6.7 パラメトリックスピーカ 
演習問題 

3. MATLAB/Scilabによる音声音響信号処理の実践
3.1 音声音響信号の入出力と描画 
 3.1.1 本章におけるきまり 
 3.1.2 ディジタル音信号の作成と出力 
 3.1.3 音の入力 
 3.1.4 ファイルへの保存と読み込み 
 3.1.5 波形とスペクトルの描画 
3.2 ディジタルフィルタ 
 3.2.1 通過帯域によるフィルタの分類 
 3.2.2 時間領域と周波数領域 
 3.2.3 フィルタ演算 
 3.2.4 FIRフィルタとIIRフィルタ 
 3.2.5 フィルタの周波数特性 
 3.2.6 極と零点 
 3.2.7 IIRディジタルフィルタ 
 3.2.8 収束する場合 
 3.2.9 IIRフィルタ出力が発散する場合 
 3.2.10 安定性 
 3.2.11 極が負の実数で重根の場合の伝達関数 
 3.2.12 極が複素数の場合 
 3.2.13 Q値が高いフィルタ 
 3.2.14 バターワースフィルタとチェビシェフフィルタ 
3.3 効果音の生成 
 3.3.1 音の加工 
 3.3.2 ビブラート 
 3.3.3 倍音成分を含むビブラート 
 3.3.4 リバーブとエコー 
3.4 スペクトル分析 
 3.4.1 スペクトログラム 
 3.4.2 窓関数 
 3.4.3 プリエンファシス 
 3.4.4 マトリックスの色表示 
3.5 音声音響特有の信号処理 
 3.5.1 線形予測分析 
 3.5.2 ボコーダ 
3.6 音声認識と音声合成のための基本演算 
 3.6.1 ケプストラム 
 3.6.2 ケプストラムによるピッチ抽出 
 3.6.3 変形相関関数によるピッチ抽出 
 3.6.4 音声認識における音響処理の基本 
 3.6.5 ユークリッド距離 
 3.6.6 cos類似度 
3.7 楽器音の合成 
 3.7.1 合成方式 
 3.7.2 VCO 
 3.7.3 VCA 
 3.7.4 ADSR 
 3.7.5 VCF 
 3.7.6 RG 
 3.7.7 LFO 
 3.7.8 シンセサイザのプログラム 
演習問題 

4. ツールキットを活用した音声音響信号処理と機械学習の実践
4.1 音響データ収集 
 4.1.1 音のデータを集める 
 4.1.2 声のバリエーション 
 4.1.3 音のデータを作る 
 4.1.4 公開データを活用する 
 4.1.5 A-D変換とファイルフォーマット 
 4.1.6 学習データと評価データ 
4.2 音響分析と特徴抽出 
 4.2.1 音響分析 
 4.2.2 スペクトル分析 
 4.2.3 MFCC 
 4.2.4 韻律特徴量 
 4.2.5 OpenSMILE 
4.3 音声認識 
 4.3.1 音声認識システムの構成 
 4.3.2 音声認識のツール 
4.4 機械学習 
 4.4.1 多変量解析による自動分類 
 4.4.2 多クラス分類問題 
 4.4.3 決定木による分類 
 4.4.4 サポートベクターマシン 
 4.4.5 WEKA 
 4.4.6 ディープラーニング 
演習問題 

引用・参考文献 
演習問題解答 
索引
more
著者からのメッセージ
本書は、段階を追って読まないと理解できないということはなく、どこから読み始めても良い構成となっています。第1章は各章への導入部なので、まず、それを読んでいただき、必要に応じて、各章に進んでいただくと良いと思われます。本書は実践を通して理論を理解するための書物であり、プログラムや演算を記載している部分では、なるべくプログラムや演算を実践しながら読み進んでいただけると幸いです。

メディア学大系series14

クリエイターのための映像表現技法

  • 佐々木和郎・羽田久一・森川美幸 共著
  • A5サイズ/256頁
  • 定価3,630円 (本体3,300円+税)
  • ISBN 978-4-339-02794-5
  • 電子版あり

名作映画にどんな技術が使われているのか知って,改めて映画を見てみよう

メディア学大系シリーズ14 クリエイターのための映像表現技法
  • 佐々木和郎・羽田久一・森川美幸 共著
  • A5サイズ/256頁
  • 定価3,630円 (本体3,300円+税)
  • ISBN 978-4-339-02794-5
  • 電子版あり
読者対象
映像作品を制作して動画配信サイトなどで発表してみたい学生。ミュージックビデオや、ゲーム・グラフィックなどの作成に興味を持ち、映像表現技法を歴史から学びたい学生。
書籍の特徴
映画を楽しく鑑賞しながら、具体的な映像表現技法を学べるのが本書の特色です。
カメラ撮影や編集技法など、映像演出に欠かせない重要な技法については、古典的作品の事例を用いて解き明かします。SFXやVFX、CGといった特撮映像の技法は、最新の映画やCM映像などに使われたテクニックの事例から学びます。アニメーションやタイトル・グラフィックスの制作など、美術的な表現やデザイン技法も紹介します。

【各章について】

まず1章から5章までに,映像表現の基本となる5つの技法を学びます。演出技法、撮影技法、編集技法、映像デザイン技法について、さまざまな映画から学びます。本書でとりあげる映画作品は、どれも作品として楽しめるものを厳選してあります。
特に5章では、名作物語におけるストーリーの秘密に迫ります。さまざまな人生を経験する映画や、世界史を学ぶ映画、日常を離れてSF世界に想像力を広げる映画など、さまざまな作品の魅力を紹介します。まずは名作映画の鑑賞から始めたいという方は、最初に5章から読み始めて、その後、他の章を参照するという読み方もおすすめです。

続く6章から10章では、さらに映像の魅力を輝かせる表現技法をたどります。6章では、実験映像の先駆者から、ミュージックビデオのクリエイターの作品まで、映像の時空間を操るアイデアを掘り起こし、7章と8章では、SFX、VFXなどの特撮技法とCG技法をとりあげ、魔法のようなイリュージョンを創る技術を紹介します。キングコングからアバターまで、CGによるキャラクターの創造にも迫ります。
9章では、アニメーション作家による、美しい芸術的作品を紹介し、アニメーションの歴史と、さまざまな制作技法の実例を知ることができます。また、ここまで学んできた技法を仮想空間での表現に活かすためのVR技法、AR技法の実際については10章で取り上げます。

11章から14章では、映像制作現場の実際や、映画ビジネス、動画配信ビジネスの実例などを紹介していきます。11章では、映像制作スタッフの職種や現場での仕事の実際を学ぶこともできます。12章と13章では、映画プロデュースの実際や、動画配信サイトのビジネスの実例から、映像産業の未来を考えます。最終章14章では、プロジェクションマッピングや、インタラクティブ映像など、ライブイベントにおける映像演出技法について学びます。
目次
第Ⅰ部:映像表現の重要項目
1.映像演出 ―物語と感動を伝える―
1.1 映画監督とは
 1.1.1 目的地にたどり着くまで[フランソワ・トリュフォー]
 1.1.2 あらゆる準備を怠らない[アンソニー・ミンゲラ]
 1.1.3 人間性を失わないこと[ダニー・ボイル]
 1.1.4 立ち止まって考えること[伊丹万作]
 1.1.5 あきらめず作り続けること[ジェームズ・キャメロン]
1.2 演出技法の実例
 1.2.1 主観表現
 1.2.2 主観を入れ替える
 1.2.3 ワンカットでの主観と客観表現
 1.2.4 視線の演出表現
 1.2.5 視線による心理表現
 1.2.6 省略による映像演出
 1.2.7 映像をジャンプさせる
 1.2.8 作品のメッセージ
1.3 スタンリー・キューブリック
 1.3.1 徹底した演出技法
 1.3.2 撮影技法の開発
1.4 アルフレッド・ヒッチコック
 1.4.1 計算し尽くされた演出
 1.4.2 スリラー作品の演出
1.5 黒澤明
 1.5.1 人間の本質を描く
 1.5.2 戦国映画の大作
 1.5.3 演技と一体のカメラワーク
 1.5.4 マルチカヴァレッジとカメラワーク
 1.5.5 圧縮された構図 ― 望遠レンズの活用 ―
 1.5.6 日本の古典絵画のように描く
 1.5.7 黒澤作品のロングテイク
 1.5.8 静と動のコントラスト
演習問題

2.編集技法 ―映像の時空間を操る―
2.1 映像編集の基本ルール
 2.1.1 映像の最小単位
 2.1.2 映像のペースを作る
 2.1.3 最小で最大を語る
 2.1.4 人間の心理的な表現を作る
 2.1.5 カットと瞬きの関係を理解する
2.2 編集技法の歴史
 2.2.1 編集の無い映画[リュミエール兄弟]
 2.2.2 編集の発見[エドウィン S.ポーター]
 2.2.3 映画の父[D.W.グリフィス]
 2.2.4 ロシアのモンタージュ理論[S.エイゼンシュテイン]
2.3 映像の連続性を保つ技法
 2.3.1 コンティニュイティ編集
 2.3.2 アングルとサイズのルール
 2.3.3 切返しショットとイマジナリーライン
 2.3.4 リアクションとアイラインマッチ
 2.3.5 マッチカット
 2.3.6 トランジション
2.4 演出的な編集技法
 2.4.1 カットアウェイ
 2.4.2 比喩的な表現
 2.4.3 インサートショットとディティールカット
 2.4.4 ジャンプカット
 2.4.5 過去や未来に飛ぶ
2.5 時間と空間をコントロールする
 2.5.1 パラレル編集
 2.5.2 パラレル編集を用いた名シーン
 2.5.3 アクションの時空間をコントロールする
2.6 編集技法の優先順位
 2.6.1 編集技法の優先順位
 2.6.2 スクリーンディレクション
演習問題

3.撮影技法 ―光で世界を描く―
3.1 光で描く
 3.1.1 マスターズオブライト
 3.1.2 絵画のように描く
 3.1.3 SF映画で超自然現象を描く
 3.1.4 暗黒街の光と影
 3.1.5 寓話を描く ― 空と雲のコントラスト ―
 3.1.6 色盲の巨匠[ハスケル・ウェクスラー]
 3.1.7 日本の名カメラマンと監督の言葉
3.2 カメラの構造と撮影の原理
 3.2.1 カメラの基本構造
 3.2.2 焦点距離
 3.2.3 被写界深度
 3.2.4 パンフォーカス
 3.2.5 シャロウフォーカス
 3.2.6 映像におけるシャッタースピード
 3.2.7 シャッタースピードによる表現
3.3 ショットサイズと構図
 3.3.1 カメラのフレーミングと構図
 3.3.2 カメラアングル
 3.3.3 マスターショット
3.4 カメラワーク
 3.4.1 パンとティルト
 3.4.2 ズームとドリー
 3.4.3 ヒッチコックショット
 3.4.4 特殊機材によるカメラワーク
3.5 ライティングの基本技法
 3.5.1 基本的なライティング
 3.5.2 ライティングの応用
 3.5.3 照明のトーンと絵画的リファレンス
 3.5.4 マジックアワー
演習問題

4.映像デザイン ―ビジュアルで語る物語―
4.1 映像美術の源流
 4.1.1 映画草創期の美術『失はれた地平線』
 4.1.2 プロダクションデザイナーの誕生
 4.1.3 映画美術を牽引したデザイナーたち
4.2 傑出した映像美術
 4.2.1 リサーチと想像力[ケン・アダム]
 4.2.2 監督とイメージを共有する
 4.2.3 俳優の演技を支える
 4.2.4 VFXとの融合 ― 進化する映像デザイン ―
4.3 美術デザインの実際
 4.3.1 映像デザイン ― 3段階のプロセス ―
 4.3.2 台本の分析とスケジュール
 4.3.3 プリプロダクションの美術
 4.3.4 スタジオセットの準備
 4.3.5 衣装と小道具
 4.3.6 撮影現場での対応
 4.3.7 ロケ現場での美術
 4.3.8 ポストプロダクションでの美術
4.4 オープニングタイトル
 4.4.1 タイトルカードの時代
 4.4.2 タイトルアニメーション
 4.4.3 タイトルデザイナーの登場
 4.4.4 デジタル技法とモーショングラフィックス
演習問題

5.名作物語 ―感動を紡ぎ出す方法―
5.1 物語の原点を探す
 5.1.1 脚色作品と原作
 5.1.2 物語の源流
 5.1.3 短編作品の映画化
5.2 オリジナルの物語を作る
 5.2.1 オリジナル脚本
 5.2.2 ゴールデンパラダイム
 5.2.3 SAVE THE CATの法則
 5.2.4 脚本(シナリオ)通りにはいかない!
5.3 物語の時間構造
 5.3.1 プロットと物語
 5.3.2 直線的時間構造
 5.3.3 コンテクスト構造
5.4 人生を経験する映画
 5.4.1 必要なことは映画で学べる
 5.4.2 他人を傷つけた人生
 5.4.3 自己中心的な生き方
 5.4.4 自己犠牲のヒーロー
 5.4.5 青春時代に起きた大事件
 5.4.6 人生の破滅と再起を描く
5.5 日常を遠く離れて
 5.5.1 SFファンタジー映画
 5.5.2 非日常の出会い ― ロードムービー ―
 5.5.3 江戸時代の就活 ― 戦国時代のヒーロー ―
 5.5.4 死後の世界を垣間見る
5.6 歴史の舞台に立つ
 5.6.1 真実を追うジャーナリズム
 5.6.2 人種差別の歴史を知る
 5.6.3 法廷で闘い抜く
 5.6.4 崩壊する社会制度
 5.6.5 歴史の舞台に立つ
 5.6.6 社会派ドキュメンタリー
演習問題

第Ⅱ部:映像表現とテクノロジー
6.映像の先駆者たち ―斬新なアイデアの作り方―
6.1 実験映像の時代
 6.1.1 オスカー・フィッシンガー
 6.1.2 ノーマン・マクラレン
 6.1.3 ジョン・ウィットニーSr.
6.2 映像によるアート表現
 6.2.1 チャールズ・イームズ
 6.2.2 ロバート・エイブル
 6.2.3 ズビグニュー・リプチンスキー
6.3 MVのクリエイターたち
 6.3.1 ミシェル・ゴンドリー
 6.3.2 スパイク・ジョーンズ
 6.3.3 マーク・ロマネク
6.4 MV表現のアイデア
 6.4.1 MVにおける時間展開
 6.4.2 タイムラプス
 6.4.3 コマ撮り
 6.4.4 タイムスライス ― 決定的瞬間 ―
 6.4.5 多重露光撮影とプロジェクター再撮
 6.4.6 スプリット画面
演習問題

7.特撮技法 ―SFXとVFXの世界―
7.1 特撮技法の発見
 7.1.1 世界初の映像トリック[リュミエール兄弟]
 7.1.2 ステージマジックと映画[ジョルジュ・メリエス]
 7.1.3 『ベン・ハー』の戦車競走[セドリック・ギボンズ]
 7.1.4 スタジオ特撮のパイオニア[ロバート・ボイル]
 7.1.5 リアプロジェクションによる合成
7.2 モンスターの創造
 7.2.1 巨大生物登場[レイ・ハリーハウゼン]
 7.2.2 日本の特撮映画[円谷英二]
 7.2.3 ミニチュアの特撮[ジェリー・アンダーソン]
 7.2.4 アニマトロニクスによるモンスター
 7.2.5 CGによるモンスター登場
7.3 未知の世界を描く
 7.3.1 SF映画の金字塔『2001年宇宙の旅』
 7.3.2 ILMの始動『未知との遭遇』
 7.3.3 特撮技法のデジタル化
 7.3.4 バーチャル世界での撮影『アバター』
7.4 VFXのテクニック
 7.4.1 SFXとVFX
 7.4.2 コンポジット ― 背景合成の技法 ―
 7.4.3 モーションコントロール
 7.4.4 モーショントラッキングとマッチムーブ
 7.4.5 バレットタイム
 7.4.6 ワイヤーワーク
 7.4.7 CGによる自然の表現
 7.4.8 実写の力を生かす
演習問題

8.CG技法 ―イメージの魔法の翼―
8.1 魔法の翼 ― CG技法 ―
 8.1.1 CGは便利で簡単なもの?
 8.1.2 CG制作の工程を理解する
8.2 CG技法の源流
 8.2.1 ARPAにおけるCGの基礎研究
 8.2.2 CGの父[アイヴァン・サザランド]
 8.2.3 CGアートの創始者[ジョン・ウィットニーSr.]
 8.2.4 CGの基本技術の開発[ユタ大学]
8.3 CGアニメーションの可能性
 8.3.1 3DCGへの夢を追いかけて[エドウィン・キャットマル]
 8.3.2 初のCG長編映画『トロン』
 8.3.3 ILMにおけるCG技術開発
8.4 PIXARの軌跡
 8.4.1 ILMからの独立
 8.4.2 電気スタンドがすべてを変えた
 8.4.3 実力派CGプロダクションへ
 8.4.4 長編CG映画の幕開け
 8.4.5 不撓不屈の人々
8.5 特撮映画におけるCG映像
 8.5.1 ジェームズ・キャメロンのCGへの挑戦
 8.5.2 大型客船の沈没と群衆表現『タイタニック』
 8.5.3 バーチャル空間での特撮CG『アバター』
演習問題

9.アニメーション技法 ―芸術としての映像―
9.1 アニメーションの誕生
 9.1.1 フェナキストスコープ
 9.1.2 アニメ映像の発明[エミール・レイノー]
 9.1.3 世界初のアニメーション作品
9.2 アニメーション産業の成長
 9.2.1 ウォルト・ディズニーとセルアニメーション
 9.2.2 アニメキャラクターの時代
 9.2.3 日本のアニメ産業の誕生
 9.2.4 アニメブーム
9.3 アートアニメーションの作品
 9.3.1 カットアウトアニメーション『霧につつまれたハリネズミ』
 9.3.2 特殊画材アニメーション『木を植えた男』
 9.3.3 アートアニメーションに挑戦しよう
9.4 立体アニメーション
 9.4.1 オブジェクトアニメーション
 9.4.2 クレイアニメーション
 9.4.3 ウォレスとグルミット
 9.4.4 新時代の立体アニメーション
演習問題

10.VR,AR映像技法 ―仮想現実と拡張現実の未来―
10.1 新しい映像表現の手法 ― 大画面を超えて ―
10.2 VRとAR
 10.2.1 VR,ARとはなにか?
 10.2.2 映像装置としてのHMD
10.3 撮影方法の革新
 10.3.1 新しい撮影技術
 10.3.2 ドローンによる空中撮影
10.4 VRとそのコンテンツ
 10.4.1 VRの始まり
 10.4.2 VRコンテンツの広がり
10.5 ARによる現実の拡張
 10.5.1 AR技術の始まりと発展
 10.5.2 ARコンテンツの広がり
10.6 VR,AR技法の展開
演習問題

第Ⅲ部:映像のビジネス展開
11.映像制作の現場 ―撮影現場の職業図鑑―
11.1 プリプロダクション
 11.1.1 プリプロダクションの工程
 11.1.2 脚本をつくる
 11.1.3 配役(キャスティング)
 11.1.4 撮影台本のブレイクダウン
 11.1.5 ロケーションハンティング
 11.1.6 技術下見
 11.1.7 プレビズ
11.2 プロダクション(撮影)
 11.2.1 繰り返される撮影の日々
 11.2.2 スケジュールの優先事項
 11.2.3 準備は慎重の上に慎重に
 11.2.4 事故はクルーの気の緩みから
 11.2.5 独断で危険をおかさない
 11.2.6 車道での撮影
11.3 ポストプロダクション(後処理)
 11.3.1 映像制作の最終段階
 11.3.2 さまざまなバージョンを試す
 11.3.3 苦境に立たされた作曲家
11.4 メイキングで学ぶ映画製作の現場
 11.4.1 時系列で追う現場『マッチスティック・メン』
 11.4.2 プロの仕事辞典『LIFE!』
 11.4.3 海外との共同製作『ブラック・レイン』
 11.4.4 映画への情熱『映画に愛をこめてアメリカの夜』
 11.4.5 映画の挫折『ロスト・イン・ラ・マンチャ』
演習問題

12.映画ビジネス ―プロデューサーの仕事―
12.1 映画プロデューサーとは
 12.1.1 映画製作と映画制作
 12.1.2 プロデューサーの種類と役割
12.2 プロデューサーの仕事 ― プロジェクト成立まで ―
 12.2.1 マーケットリサーチ:企画立案
 12.2.2 映画化権取得
 12.2.3 企画書作成
 12.2.4 資金調達
12.3 映画ビジネスの現状
 12.3.1 興行収入と配給収入
 12.3.2 映画のビジネスモデル
 12.3.3 インターネット時代の映画ビジネス
演習問題

13.ネット社会と映像 ―動画配信サービスとデジタルジャーナリズム―
13.1 社会インフラとしてのインターネット
 13.1.1 インターネット誕生前のネットワーク
 13.1.2 ネットワークの技術革新と社会的浸透
 13.1.3 視聴端末と撮影機器の進化:スマートフォンインパクト
 13.1.4 ストリーミング配信サービス技術
 13.1.5 VODとリニア配信
13.2 動画共有サービスと動画配信サービス
 13.2.1 動画共有サービス
 13.2.2 有料動画配信サービス
 13.2.3 無料動画配信サービス
13.3 デジタルジャーナリズム
 13.3.1 新聞社の現状
 13.3.2 ウェブジャーナリズム
 13.3.3 ニュースメディアの未来
演習問題

14.ライブイベントと映像 ―空間と映像のコラボレーション―
14.1 映像による空間演出
 14.1.1 インターメディアとエクスパンデッドシネマ
 14.1.2 カラーインストゥルメント
 14.1.3 万国博覧会における映像演出
 14.1.4 映像博覧会としての大阪万博
 14.1.5 アートアンドテクノロジー
14.2 ライブコンサートと映像演出
 14.2.1 スタジアムロックの幕開け
 14.2.2 ロックフェスティバル
 14.2.3 高度化するライブステージの演出
 14.2.4 巨大スタジアムでのコンサート演出『THE WALL』
 14.2.5 多様なステージ演出『コーチェラフェスティバル』
 14.2.6 ARを用いたステージ演出『U2ライブツアー』
14.3 プロジェクションマッピング
 14.3.1 プロジェクションマッピングの源流
 14.3.2 現代のプロジェクションマッピング
 14.3.3 プロジェクションマッピングの技術要素
14.4 ステージ映像のデザイン
 14.4.1 ステージイベントにおける映像演出
 14.4.2 コンサートツアーのステージセット
 14.4.3 映像のプランニング
 14.4.4 コンサート演出の実際
演習問題

引用・参考文献
映画・映像作品
索引(用語)
索引(人名)
more
著者からのメッセージ
学習者の皆さんには,まずは映画の面白さを知ってほしいと思います。その上で、ミュージックビデオや、ゲーム・グラフィックに活用できる、映像表現のアイデアや重要な技法を自分のものとしてください。未来の映像クリエイターとなる皆さんにとって、実践的な技法を学ぶガイドブックとして、本書がお役に立てれば幸いです。

メディア学大系series15

視聴覚メディア

  • 近藤邦雄・相川清明・竹島由里子 共著
  • A5サイズ/224頁
  • 定価3,080円 (本体2,800円+税)
  • ISBN 978-4-339-02795-2
  • 電子版あり

我々の視聴覚における認知的特徴をふまえ,伝えたい情報を正確かつ効果的に「魅せる」表現手法について解説する。

メディア学大系シリーズ15 視聴覚メディア
  • 近藤邦雄・相川清明・竹島由里子 共著
  • A5サイズ/224頁
  • 定価3,080円 (本体2,800円+税)
  • ISBN 978-4-339-02795-2
  • 電子版あり
読者対象
CG, 音,音響,画像,映像などの視聴覚メディアに関連する理論や技術について学ぼうとする学生
書籍の特徴
視覚心理や聴覚心理の理論をもとに,CG, 音,音響,画像,映像などのデジタル情報とその処理技術の基礎を包含しています.そしてメディアコミュニケーションをよりよくするために,人が視聴覚情報の理解,表現,処理,評価に関することを扱っています.これらにから視覚や聴覚に関する心理学や認知科学の知見とメディア表現技術や処理技術の関係を明らかにしています。これらから人の認知心理学分野の知識を生かした表現や処理技術を合わせて理解できるという特徴があります。

【各章について】

1章、2章では、視覚による理解と表現を取り上げ,視覚メディアである図形,画像,映像による情報伝達の特徴をふまえ,情報の送り手と受け手にとってよりよい情報伝達と表現手法を紹介しています。1章では視覚と理解をテーマに,2次元形状,3次元空間,陰影,色,動き両眼立体視における視覚と錯覚および人が情報をいかに理解するのかについて説明しています。2章では視覚と表現をテーマに,絵画,形態,空間,色,運動,立体視について取り上げ,視覚を考慮したさまざまな表現手法について解説しています。
3章では,聴覚系の知覚特性について述べ,機能とモデル化,観測と分析の方法について紹介しています。まず,音のさまざまな特徴とその観測方法や定量化のための尺度について解説しています。つぎに,聴覚のハードウェアにあたる聴覚系の機能,そしてソフトウェアにあたる音の知覚特性や聴覚特有の現象を紹介しています。最後に,聴覚の性質を調べるための被験者実験の方法と実験遂行のための注意事項を示しています。また,実験結果の信頼性を示すための有意差検定などの統計分析の基礎について解説しています。4章では,デジタル画像とはどのようなものかを説明した後,画像の見え方を変える処理である,トーンカーブ,空間フィルタリング,周波数フィルタリングを用いた変換方法を説明しています。
5章では,画像の中から類似している部分や移動物体などを検出するなどといった,画像の特徴を抽出する方法について紹介しています。6章では,複数の画像を合成して,アルファブレンディング,イメージモザイキング,モーフィングといった特殊な効果を得る方法について説明するとともに,画像の圧縮方法についても解説しています。
目次
1. 視覚と理解
1.1 表現と理解
 1.1.1 視覚と認知
 1.1.2 表現と視覚・錯覚
1.2 2次元図形と理解
 1.2.1 形(長さ,大きさ)の錯視
 1.2.2 図と地
 1.2.3 複数の図形の認知
 1.2.4 ハイブリッドイメージ
1.3 3次元空間と理解
 1.3.1 3次元的な表現と奥行知覚
 1.3.2 立体の多義図形と不可能立体
1.4 陰影と理解
 1.4.1 クレーター錯視と凹凸反転
 1.4.2 ホロウマスク錯視と奥行反転
 1.4.3 影の効果と理解
1.5 色と理解
 1.5.1 濃淡と明るさの錯視と理解
 1.5.2 色と奥行理解
 1.5.3 混色による色の生成
1.6 動きと理解
 1.6.1 仮現運動
 1.6.2 アモーダル補完とスリットアニメーション
 1.6.3 モーションブラー
1.7 両眼立体視と理解
演習問題

2. 視覚と表現
2.1 絵画と表現
2.2 3次元空間と表現
 2.2.1 線の描画:明確な区別
 2.2.2 誘目性の活用:「魅せる」部分の限定
 2.2.3 3次元形状の誇張
 2.2.4 インタラクティブスケッチモデリング
2.3 陰影と表現
2.4 色と表現
 2.4.1 CGによる質感表現
 2.4.2 調和配色とデザイン
 2.4.3 画像処理技術を用いた画像生成
2.5 動きと表現
 2.5.1 動きの誇張表現
 2.5.2 過去のアニメ作品の動き利用
 2.5.3 カトゥーンブラー
2.6 立体視と表現
演習問題

3. 聴覚とメディア
3.1 音の特徴
 3.1.1 音の物理
 3.1.2 物理量と心理量
 3.1.3 音の特徴の計測
3.2 聴覚心理
 3.2.1 聴覚信号伝達系
 3.2.2 音の知覚特性
 3.2.3 視聴覚相互作用
3.3 心理学的測定法
 3.3.1 心理物理的方法
 3.3.2 調整法,極限法,恒常法
 3.3.3 MOSと二件法
 3.3.4 統計分析と有意差検定
3.4 聴覚実験技術
 3.4.1 データの種類
 3.4.2 刺激音作成における注意
 3.4.3 被験者実験結果に影響を及ぼす要因
 3.4.4 被験者実験の注意
演習問題

4. 画像の「見え方」を変える
4.1 ディジタル画像の性質
 4.1.1 画像のディジタル化
 4.1.2 カラー画像の表現
 4.1.3 ディジタル画像の表示
4.2 トーンカーブによる画像変換
 4.2.1 グレースケール画像の変換
 4.2.2 カラー画像の変換
4.3 空間フィルタリングによる画像変換
 4.3.1 平滑化
 4.3.2 エッジ抽出
 4.3.3 鮮鋭化
4.4 周波数フィルタリング
 4.4.1 フーリエ変換
 4.4.2 周波数領域におけるフィルタリング処理
演習問題

5. 画像から「特徴」を見つける
5.1 画像の特徴量
 5.1.1 画素値の統計的特徴量
 5.1.2 テクスチャの統計的特徴量
 5.1.3 2次元フーリエ変換のパワースペクトル
5.2 画像の特徴
 5.2.1 コーナーの抽出
 5.2.2 輪郭線の抽出
 5.2.3 図形の抽出
5.3 パターン検出
5.4 移動物体検出
 5.4.1 差分法
 5.4.2 オプティカルフロー
演習問題

6. 画像を合成,変換する
6.1 幾何学的な変換
 6.1.1 アフィン変換
 6.1.2 画像の再標本化
6.2 画像の合成
 6.2.1 マスク処理
 6.2.2 アルファブレンディング
 6.2.3 イメージモザイキング
 6.2.4 モーフィング
6.3 画像と符号化
 6.3.1 エントロピー符号化
 6.3.2 予測符号化
 6.3.3 変換符号化
 6.3.4 画像の性質を考慮した符号化
演習問題

引用・参考文献
索引
more
著者からのメッセージ
本書の内容は,メディア学部における教育と研究の成果をもとにするとともに,さまざまな先端的研究成果も取り入れて,視聴覚メディアの理解を深めることができるように内容を3部に分けて構成しました.読者のみなさんが人の視点に立ったメディアコミュニケーション技術の必要性を理解し,今後のメディア社会における生活の質の向上とメディア技術の発展を目指すことを期待しています.

メディア学大系series17

メディアのための物理- コンテンツ制作に使える理論と実践 -

  • 大淵康成・柿本正憲・椿 郁子 共著
  • A5サイズ/240頁
  • 定価3,520円 (本体3,200円+税)
  • ISBN 978-4-339-02798-3

メディアコンテンツの制作に携わる人が,身に付けておくべき物理学の基礎をまとめた教科書

メディア学大系シリーズ17 メディアのための物理- コンテンツ制作に使える理論と実践 -
  • 大淵康成・柿本正憲・椿 郁子 共著
  • A5サイズ/240頁
  • 定価3,520円 (本体3,200円+税)
  • ISBN 978-4-339-02798-3
読者対象
ゲーム、動画、音楽などのコンテンツ制作を学びたい学生。特に、作品のリアリティに興味を持ち、現象の背後にある物理法則を理解したい学生。
書籍の特徴
「物理なんて勉強しても何の役に立つのかわからない」と思っている人に、「物理を勉強するとコンテンツ制作の役に立つ」ということを伝えたいと思って書いたのが本書です。物が動く、見える、聞こえるといったことの背後にある物理法則を、具体的な制作手法と関連付けながら解説します。また、撮影や録音などに用いる機器の動作原理についても説明します。

【各章について】

1章は物理の基礎で、2章以降に進むために必要な最低限の内容がまとめられています。2章は画像処理に関する章で、人間の視覚と画像の表現、そして様々な映像機器に関連する内容が集められています。3章はCGに関する章で、物の見え方や動き方を再現するために必要な理論を扱います。4章は音に関する章で、空気の粗密波としての音の性質と聞こえ方、そして録音再生機器の原理が述べられています。5章はゲームとVRに関する章で、仮想空間の中での物体の動きや、それを再現するための機器の原理を説明します。6章は作品のストーリーに関する章で、相対性理論や量子力学といった物理理論が、SF的な要素を持つ作品の中にどのように関わっているかを紹介します。
目次
1.物理の基礎
1.1 さまざまな運動
 1.1.1 力と運動
 1.1.2 運動方程式
 1.1.3 力積と運動量
 1.1.4 仕事とエネルギー
 1.1.5 万有引力
1.2 波
 1.2.1 光と音
 1.2.2 波長・周波数・速度
 1.2.3 反射と屈折
1.3 電磁気学
 1.3.1 静電場とクーロンの法則
 1.3.2 定常電流と回路
 1.3.3 電場と磁場
演習問題

2.画像のための物理
2.1 色の理論
 2.1.1 色の知覚
 2.1.2 表色系
 2.1.3 分光と等色関数
 2.1.4 xy色度図と色域
2.2 ディジタル画像
 2.2.1 標本化と解像度
 2.2.2 量子化と画素
 2.2.3 HDR画像
 2.2.4 3次元画像
2.3 映像機器のための電子工学
 2.3.1 半導体
 2.3.2 ダイオード
 2.3.3 トランジスタ
 2.3.4 イメージセンサ
 2.3.5 AD変換
 2.3.6 SN比
2.4 映像機器のための光学
 2.4.1 プリズム
 2.4.2 偏光
 2.4.3 光学フィルタ
 2.4.4 カラーフィルタ
 2.4.5 レーザ
2.5 映像機器の原理
 2.5.1 カメラ
 2.5.2 ディスプレイ
 2.5.3 プロジェクタ
演習問題

3.CGのための物理
3.1 幾何光学とディジタル画像
 3.1.1 ピンホールカメラと投影および撮影の原理
 3.1.2 投影変換
 3.1.3 レンズ
3.2 光の反射モデル
 3.2.1 拡散反射と鏡面反射の近似モデル
 3.2.2 レイトレーシング法
 3.2.3 完全鏡面反射と屈折
 3.2.4 配光特性
 3.2.5 光の散乱と吸収
 3.2.6 レンダリング方程式と経路追跡法
 3.2.7 ボリュームレンダリング方程式とレイキャスティング法
 3.2.8 物理ベースレンダリング
 3.2.9 波動光学とCG
3.3 計測技術
 3.3.1 形状の計測
 3.3.2 反射特性の計測
 3.3.3 モーションキャプチャの原理
3.4 動力学
 3.4.1 動きの計算の基本
 3.4.2 有限要素法
 3.4.3 ばねモデル
3.5 流体力学
 3.5.1 流体方程式
 3.5.2 格子法と粒子法
 3.5.3 stablefluids法
 3.5.4 粒子法による応用例
演習問題

4.音響処理のための物理
4.1 運動方程式と振動現象
 4.1.1 空気の振動としての音
 4.1.2 単振動
 4.1.3 単振動のエネルギー
 4.1.4 減衰振動
 4.1.5 強制振動
 4.1.6 連成振動
 4.1.7 波動方程式
4.2 音の伝搬
 4.2.1 音の速さ
 4.2.2 縦波と横波,変位波と密度波
 4.2.3 球面波と平面波
 4.2.4 進行波と定常波
 4.2.5 音の反射・回折・屈折
 4.2.6 二つの音の干渉
 4.2.7 ドップラー効果
 4.2.8 衝撃波
4.3 共鳴と音階理論
 4.3.1 管楽器の共鳴
 4.3.2 弦楽器の共鳴
 4.3.3 ハーモニーと音律
4.4 音響機器のための電磁気学
 4.4.1 電磁誘導と電磁力
 4.4.2 電気回路
 4.4.3 マイクロフォンとスピーカー
 4.4.4 アンプ
演習問題

5.ゲームとVRのための物理
5.1 衝突の理論
 5.1.12 物体の衝突と運動量保存則
 5.1.2 壁や床への衝突と反発係数
 5.1.3 力積と運動量との関係
5.2 質点系
 5.2.1 外力と内力
 5.2.2 質点系の質量中心と運動方程式
 5.2.3 質点系の運動量保存則
5.3 回転と角運動量
 5.3.1 角速度と角加速度
 5.3.2 角運動量
5.4 剛体の力学
 5.4.1 剛体と質点系
 5.4.2 剛体の並進運動と回転運動
 5.4.3 作用線の定理と力のつり合い
 5.4.4 トルク
 5.4.5 剛体の角運動量
 5.4.6 角運動量保存則と回転運動の運動方程式
 5.4.7 回転運動の運動エネルギーと慣性モーメント
5.5 VR機器の原理
 5.5.1 ヘッドマウントディスプレイの構成
 5.5.2 加速度センサ
 5.5.3 ジャイロセンサ
演習問題

6.作品世界の中の物理
6.1 相対性理論と宇宙論
 6.1.1 相対性理論とは
 6.1.2 ウラシマ効果
 6.1.3 E=mc
 6.1.4 ブラックホールとワームホール
 6.1.5 因果律の破れ
6.2 量子力学と素粒子論
 6.2.1 波なのか粒子なのか
 6.2.2 シュレディンガー方程式と波動関数
 6.2.3 タイムマシンとパラレルワールド
演習問題

引用・参考文献
演習問題解答
索引
more
著者からのメッセージ
ゲームの中で投げたボールが、放物線を描かずにまっすぐ飛んでいったら、なんだか不自然だと思いませんか。でも、みんなが投げたときは放物線を描くのに、特定のキャラが投げたボールだけはまっすぐ飛んでいくのであれば、そのキャラの凄さが引き立つと思いませんか。物理を学ぶというのはそういうことです。現実世界を十分に理解したうえで、ときにはあえてそれを踏み外す、そんなコンテンツ制作のために本書を活用してもらえたら幸いです。

メディア学大系series18

メディアのためのアルゴリズム- 並べ替えから深層学習まで -

  • 藤澤公也・寺澤卓也・羽田久一 共著
  • A5サイズ/254頁
  • 定価3,850円 (本体3,500円+税)
  • ISBN 978-4-339-02776-1

アルゴリズムの基礎知識から応用,人工知能技術の現状や将来について幅広く知りたい方必読

NEW
メディア学大系シリーズ18 メディアのためのアルゴリズム - 並べ替えから深層学習まで -
  • 藤澤公也・寺澤卓也・羽田久一 共著
  • A5サイズ/254頁
  • 定価3,850円 (本体3,500円+税)
  • ISBN 978-4-339-02776-1
読者対象
プログラミング初学者で、アルゴリズムについて詳しく知りたい人。また、それらを学んだあとに、機械学習とその仕組みを学びたい学生。
書籍の特徴
現在、我々が接する情報の大部分は,コンピューターシステムによって処理されている。そして,その情報を処理するうえで重要な役割を果たすのが,アルゴリズムである。アルゴリズムは,入力されたデータを処理して,目的とする出力を得るための手続きや手順を表したものである。日常的にあらゆる場面で、データの並び替えは行われており,インターネットでの動画配信を支えるデータ圧縮やロールプレイングゲームの中でキャラクターが進むべき道を見つけ出す経路探索,インターネット上での安全な商取引を行うための暗号など,メディアコンテンツの中にもさまざまなアルゴリズムが利用されている。また,近年著しい発展を遂げている人工知能もアルゴリズムが集積されたものと言える。
本書は,幅広い分野を網羅しながら,アルゴリズムに関する知識を詳しく解説している。まず,アルゴリズムの基礎的な考え方から始まり,その後は並べ替えやデータ探索,経路探索,データの圧縮と展開,誤り検出・訂正,セキュリティ・暗号といったさまざまなトピックスを取り上げている。また,特に注目されている人工知能技術の一つであるニューラルネットワークと深層学習にも詳細な解説を行っている。

【各章について】

本書は,幅広い分野を網羅しながら,アルゴリズムに関する知識を詳しく解説している。大きく分けて、前半ではアルゴリズムの基礎的な考え方から始まり、データ圧縮、セキュリティなど具体的なアルゴリズムを扱っている。後半では、人工知能、特にニューラルネットワークを用いた機械学習に焦点を当てて、その仕組みを解説・紹介している。
1章では,アルゴリズムの考え方について説明し,2章から4章では,並べ替え,データ探索,経路探索といった基本的なアルゴリズムについて述べている。5章から7章では,データ圧縮,誤り検出,暗号といった応用的なアルゴリズムについて扱っている。8章以降では人工知能について扱っており,8章では人工知能の基礎について,9章から11 章ではニューラルネットワークの基本から,畳み込みニューラルネットワーク,学習の効率化について述べ,12章,13章では深層学習とそれらを応用したさまざまな技術について解説している。
目次
1.アルゴリズムの基本
1.1 アルゴリズムとは
1.2 データ構造
 1.2.1 変数
 1.2.2 配列
 1.2.3 キュー
 1.2.4 スタック
 1.2.5 ポインタ
 1.2.6 構造体
 1.2.7 リスト
 1.2.8 木構造
 1.2.9 連想配列
1.3 アルゴリズムからプログラムへ
 1.3.1 条件分岐と繰返し
 1.3.2 サブルーチン
 1.3.3 再帰
 1.3.4 アルゴリズムの表現
 1.3.5 手続き型とオブジェクト指向
 1.3.6 実行可能プログラムへの変換
1.4 計算量
演習問題

2.並べ替え
2.1 ソートとは
2.2 さまざまなソートアルゴリズム
 2.2.1 バブルソート
 2.2.2 挿入ソート
 2.2.3 選択ソート
 2.2.4 マージソート
 2.2.5 クイックソート
演習問題

3.データ探索
3.1 データ探索とは
3.2 線形探索
3.3 二分探索
3.4 ハッシュ探索
3.5 木構造の探索
3.6 コンピュータグラフィックスや画像検索での応用
 3.6.1 BVH
 3.6.2 k-dtree
 3.6.3 SIFT
演習問題

4.経路探索
4.1 経路探索とは
4.2 ダイクストラ法
4.3 A*アルゴリズム
4.4 ベルマン-フォード法
4.5 インターネットでの経路探索
 4.5.1 RIP
 4.5.2 OSPF
演習問題

5.データの圧縮と展開
5.1 データ圧縮とその応用
5.2 可逆圧縮と非可逆圧縮
5.3 ランレングス圧縮
5.4 ハフマン符号化
5.5 LZ法
5.6 画像の圧縮
 5.6.1 可逆な画像圧縮
 5.6.2 非可逆な画像圧縮
5.7 メディアデータの圧縮
 5.7.1 音声データの圧縮
 5.7.2 動画データの圧縮
演習問題

6.誤り検出と訂正
6.1 誤り検出と誤り訂正
6.2 パリティとチェックディジットによる誤り検出
 6.2.1 パリティチェック
 6.2.2 チェックディジット
6.3 誤り訂正の基礎
6.4 ハミング符合による誤り訂正
6.5 誤り訂正符号の応用
演習問題

7.データの暗号化
7.1 ディジタルデータと暗号化
 7.1.1 暗号とは
 7.1.2 暗号とメディアコンテンツ
 7.1.3 共通鍵暗号と公開鍵暗号
7.2 暗号処理の基礎
7.3 暗号の歴史
 7.3.1 古代の暗号
 7.3.2 シーザー暗号
 7.3.3 古典的な暗号
 7.3.4 近代の暗号
7.4 共通鍵暗号
 7.4.1 ストリーム暗号とブロック暗号
 7.4.2 DESとAES
7.5 公開鍵暗号
7.6 RSA暗号
 7.6.1 RSA暗号とは
 7.6.2 RSA暗号の実際
 7.6.3 RSA暗号の仕組み
 7.6.4 RSA暗号とディジタル署名
7.7 暗号とインターネット
演習問題

8.人工知能と機械学習
8.1 人工知能とは
 8.1.1 強いAIと弱いAI
 8.1.2 人工知能の歴史
 8.1.3 人工知能を実現する技術
8.2 機械学習とは
 8.2.1 学習の対象
 8.2.2 機械学習の仕組み
 8.2.3 学習結果による予測と分類
8.3 機械学習の種類
 8.3.1 教師あり学習
 8.3.2 教師なし学習
 8.3.3 強化学習
 8.3.4 生成モデル
演習問題

9.ニューラルネットワークによる機械学習
9.1 ニューラルネットワークとは
 9.1.1 ニューラルネットワークの仕組み
 9.1.2 ニューラルネットワークの構造
9.2 ニューラルネットワークのモデル化
 9.2.1 ニューロンのモデル化
 9.2.2 ネットワークのモデル化
9.3 ニューラルネットワークの学習の仕組み
 9.3.1 ニューラルネットワークにおける予測
 9.3.2 最適化と損失関数
 9.3.3 勾配法
 9.3.4 バックプロパゲーション
 9.3.5 勾配消失問題
9.4 ニューラルネットワークの実装
 9.4.1 ニューラルネットワーク演算の行列演算表現
 9.4.2 ニューラルネットワーク機械学習ライブラリ
演習問題

10.畳み込みニューラルネットワーク
10.1 畳み込みニューラルネットワークとは
 10.1.1 空間フィルタリングと畳み込み
 10.1.2 畳み込み処理と畳み込みニューラルネットワーク
10.2 畳み込み層とプーリング層
 10.2.1 畳み込み層
 10.2.2 プーリング層
 10.2.3 畳み込みとプーリングを使ったネットワーク構造
10.3 カラー画像などの多層画像における畳み込み
10.4 畳み込みにおける外周処理
演習問題

11.ニューラルネットワークの学習効率化
11.1 バッチノーマライゼーション
 11.1.1 バッチ処理
 11.1.2 バッチデータの偏り
 11.1.3 バッチノーマライゼーションによるデータの正規化
11.2 ドロップアウト
 11.2.1 過学習
 11.2.2 過学習の監視
 11.2.3 ドロップアウトによる過学習の抑制
11.3 転移学習とファインチューニング
 11.3.1 転移学習
 11.3.2 ファインチューニング
演習問題

12.深層学習とその応用
12.1 深層学習
 12.1.1 深層学習におけるGPUの利用
 12.1.2 深層学習のネットワークモデル
12.2 物体検出
 12.2.1 矩形による物体検出
 12.2.2 物体検出における領域検出方法
 12.2.3 物体検出のネットワークモデル
 12.2.4 物体検出の学習に必要なデータ
 12.2.5 アノテーションツール:Coco-Anotator
12.3 姿勢推定
 12.3.1 キーポイント検出
 12.3.2 キーポイント検出の二つのアプローチ
 12.3.3 姿勢推定のネットワークモデル
12.4 生成モデル
 12.4.1 VAE
 12.4.2 GAN
 12.4.3 GANの発展的手法
演習問題

13.人工知能のさまざまな技術と応用
13.1 時系列データの学習
 13.1.1 RNN
 13.1.2 LSTM
 13.1.3 GRU
 13.1.4 自然言語処理での活用
13.2 強化学習
 13.2.1 強化学習と深層強化学習
 13.2.2 強化学習の実例
13.3 画像生成の応用
 13.3.1 画像変換
 13.3.2 文章からの画像生成
 13.3.3 異常検知
演習問題

引用・参考文献
索引
more
著者からのメッセージ
本書を読むことで,読者がアルゴリズムについての基礎知識から応用まで理解し,また,これらの技術の活用について思考をめぐらせ,データ処理から、メディアコンテンツ処理、人工知能技術の現状や将来について洞察して,より深く学ぶきっかけになれば幸いである。

メディア学参考書

メディア学キーワードブック- こんなに広いメディアの世界 -

  • 東京工科大学メディア学部 編
  • A5サイズ/200頁
  • 定価2,750円 (本体2,500円+税)
  • ISBN 978-4-339-02882-9
  • 電子版あり

メディア学初学者が知っておきたいキーワードを見開き2頁で解説。幅広いトピックから自身の興味の方向性を探るのにも最適。

メディア学大系 メディア学キーワードブック
  • 東京工科大学メディア学部 編
  • A5サイズ/200頁
  • 定価2,750円 (本体2,500円+税)
  • ISBN 978-4-339-02882-9
  • 電子版あり
読者対象
ディジタルメディアの技術、活用、コンテンツ制作を学ぶ学部学生の方々やメディア全般に関わる若手社会人の方々。
書籍の特徴
辞書のような使い方を想定した参考書です。メディア学を「人から人への情報伝達に関する学問」ととらえ、コンテンツ・技術・社会の観点から96項目の重要用語を選び出してそれぞれ2ページで解説しています。広範囲の分野を網羅しながらも、各項目にはその専門分野において常識として知っておくべき内容が盛り込まれ、濃縮された基礎概念を確認することができます。

【各章について】

冒頭でメディア学の定義を含む全般的な解説を行ったあと、以下に示す分野別にそれぞれ3~10項目程度の重要語を挙げています。
・映像制作
・アニメーション
・ゲーム
・シミュレーション
・視覚情報デザイン
・コンピュータグラフィックス
・音声音響
・ヒューマンインタフェース
・コンピュータシステム
・コンピュータネットワーク
・社会・経済情報
・ソーシャルデザイン
・ビジネス・サービスデザイン
・音楽
目次
メディア学
 メディア学

映像制作
 映画
 脚本と演出
 撮影と編集
 映像のデザイン
 VFXとCG
 映像制作の現場

アニメーション
 アニメーション
 コンテンツクリエーションと産業
 制作工程
 シナリオライティング
 キャラクターメイキングプロセス
 キャラクターメイキング技術

ゲーム
 ゲーム
 ゲームの進化と産業
 ゲーム企画と制作プロセス
 ゲームエンジン
 リアルタイムグラフィックス
 ゲームAI
 キャラクターAI
 メタAI
 ナビゲーションAI
 有限状態遷移機械
 VRとAR
 インタラクティブアート
 ゲーミフィケーション

シミュレーション
 群集シミュレーション
 自然現象のシミュレーション
 物理シミュレーション
 流体シミュレーション
 可視化
 科学技術データ可視化
 情報可視化とビジュアルアナリティクス

視覚情報デザイン
 色彩と配色
 グラフィックデザイン
 Webデザイン
 ビジュアルコミュニケーション
 インフォグラフィックス

コンピュータグラフィックス
 コンピュータグラフィックス
 幾何学的変換
 投影変換
 レンダリング
 形状モデリング
 ディジタル画像
 イメージメディアと画像処理
 コンピュータビジョン
 動画像処理

音声音響
 音声インタフェース
 音声信号処理
 音声認識
 音声合成
 音響インタフェース
 音響信号処理
 聴覚信号処理
 視聴覚情報処理
 心理計測と分析法

ヒューマンインタフェース
 ヒューマンコンピュータインタラクション
 インタフェースデザイン
 マルチモーダルインタラクション
 言語処理
 非言語のコミュニケーション
 感性情報処理

コンピュータシステム
 コンピュータシステム
 情報検索
 情報セキュリティ
 モバイルメディア
 プログラミング
 開発環境
 クラウドサービス

コンピュータネットワーク
 コンピュータネットワーク
 インターネット
 ユビキタス・ウェアラブル
 ソーシャルコンピューティング
 ソーシャルネットワーク

社会・経済情報
 社会経済と計測
 経済統計調査分析
 社会経済シミュレーション

ソーシャルデザイン
 教育システムとメディア
 ICT活用による学習支援
 インストラクショナルデザイン
 オープンエデュケーション
 メディア文化と社会
 ニュースメディア
 ソーシャルコミュニケーション
 プラットフォーム

ビジネス・サービスデザイン
 インターネットビジネス
 モバイルマーケティング
 コンテンツのマーケティング
 広告技術
 インターネットコミュニティ
 映像配信サービス
 サービスデザイン

音楽
 音楽産業
 サウンドデザイン
 音楽創作
 音楽配信
more
著者からのメッセージ
本書は「メディア」という名称を初めて学部名として使った東京工科大学メディア学部のうち半数以上の20名の教員がそれぞれの専門分野を分担して執筆した力作です。1999年に設立されたこのメディア学部は、既存の学部の改組ではなくメディア学を学ぶために必要なカリキュラムを策定し、広い分野から教員を集結させた学部です。文科系、技術系、芸術系それぞれの専門教員が自身の教育研究分野の基本概念をコンパクトにまとめ上げたお得な一冊になっています。ぜひ本棚の手の届きやすい場所に置き、何度も繰り返しつまみ読みをしてみてください。
株式会社 コロナ社