あれっ,大学で数学がわからなくなった! - 大学数学を読み解く力を手に入れよう -

あれっ,大学で数学がわからなくなった! - 大学数学を読み解く力を手に入れよう -

大学で数学がわからなくなった!?大学数学を理解するための「いろは」を詰め込んだ1冊。

ジャンル
発行年月日
2023/09/21
判型
A5
ページ数
126ページ
ISBN
978-4-339-06129-1
あれっ,大学で数学がわからなくなった! - 大学数学を読み解く力を手に入れよう -
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定価

1,980(本体1,800円+税)

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大学に入学すると1年生で数学の授業を受ける。高校より難しいのかと不安に思っていたが何か違う。難しい計算をするわけでもないし,わからない言葉が頻出するわけでもないのに何かモヤっとしている。高校の頃,数学がそこまで苦手ではなかったはずなのに,大学では数学の授業が何かよくわからない。

このモヤモヤは多くの人が感じていて,大学1年生の間だけでなく大学を卒業しても解消できないままである。その原因の一つは,大学の数学が概念を誤解無く正確に伝えるために数学独自の表現で説明されることにある。それは,もはや数学語と言ってよいかもしれない。数学語の文法や読み方を知らなければ数学の説明を理解できるはずがない。しかしながら,数学語の読み方は高校でも大学でも教えられていない。

もう一つの原因は,大学数学が目指しているものが高校数学とは異なることにある。高校数学はおおよそ計算問題を扱っているのに対し,大学数学は主に性質の解析を対象としている。性質に関する説明をしているのに,計算の説明だと思って聞いていると何を説明されているのかわからなくて迷子になってしまう。

本書は数学語の読み方や大学数学と高校数学の違いを解説したものである。大学数学で迷子になった方は,本書を読んでから大学数学の教科書を見直してみて欲しい。かかっていた霞が晴れて,説明されていることが腑に落ちるはずである。

高校まで数学が得意だったにもかかわらず,大学1年生の数学でつまずく,あるいは戸惑う人はかなりの割合でいると思われる。その原因の一つは,高校数学の目的と大学数学の目的が異なっているためである。高校では個別の対象の理解を目指しているのに対し,大学ではより抽象的,より普遍的な事実の理解を目指している。例えば,高校数学は「指数関数について......が成り立つ」「三角関数について......が成り立つ」という内容であるのに対し,大学数学は「連続関数について......が成り立つ」「微分可能な関数について......が成り立つ」という内容になる。前者はイメージしやすい一方で,後者は抽象的でとっつきにくい。

しかしながら,後者の内容の威力は圧倒的である。例えば,連続関数についてある事実が成り立つことがわかったとする。このことは,高校数学で学ぶほとんどの関数,例えば多項式や指数関数,三角関数,あるいはそれらの積や和で作られる関数すべてに対して同じ事実が成り立つことを意味する。それだけでなく,連続であるが今はまだ知られていない関数に対しても,その事実が成り立つことがわかったことにもなる。このように,さまざまなものを一網打尽に扱おうとする点が大学数学の高校数学との大きな違いである。そのような姿勢が物事の本質を捉えることにも繋がっている。なお,大学数学といっているが,これは大学だけで通用する数学という意味ではなく,実際には大学以降の数学の意味である。

目的や扱う内容が違うことから,高校数学と大学数学では理解に必要な素養が異なる。高校数学では具体的な内容を扱うので,提示された事実を計算によって確かめることができる。そのため,(極論すると)計算を正確に行う素養があれば高校数学の内容を習得することができる。一方,大学数学では抽象的な内容を扱うので,その内容を計算で確かめることはできない。大学数学では値の計算よりも,主に性質に基づいた議論によって論証が進む。その論証は例えば,「関数が連続なので......が成り立つ。このとき,......」というようなものである。そこで必要になるのは論理を自在に扱える素養である。

数学を学ぶ意味として「論理力を鍛えることができる」という説明がなされることがある。このこと自体は間違いではないと思われるが,これを高校数学で実感することは難しいであろう。先にも述べたように,高校数学では値の計算に関する内容が主で,論理が用いられる場面は限られているためである。また,論理が必要な場面でも,図やグラフなどに基づく感覚的な説明で済まされ,本当の論理が援用されないこともある。「限りなく近づく」を極限の定義としていることなどは,その一例である。これは必ずしも悪いことではなく,それによって微分や積分などの概念を早期に理解できるのであれば,そのメリットは大きいと思われる。

一方,大学数学を理解できれば論理力は鍛えられるであろう。ただし,論理を扱える素養を有していないと,そもそも大学数学を理解することすらできない。例えば,書かれている定理が何を主張しているのか,あるいは,その定理を証明するためには何を示せばよいか,などが把握できなければ,教科書を読んでも意味を理解できないであろう。

残念ながら,現在の教育カリキュラムでは論理の素養を身につける機会は与えられていない。そのために,多くの人が大学数学の最初でつまずき,戸惑っている。そこで本書は,論理の素養を身につけるための基本的な事柄を説明する。具体的には数学の命題の文法と集合・写像に関する記号や語句,さらには大学数学における関数の取り扱いの前提となる背景を説明する。本書は大学数学の内容を説明するものではなく,あくまでも大学数学を理解するための素養,すなわち大学数学の教科書を読む力を身につけることが目的である。そのため,例として用いる題材は高校数学の知識で理解できるものに絞ってある。

高校数学と同じような題材を用いてはいるが,その示し方は高校数学と同じではない。高校数学では平易な言葉で説明されていて,厳密ではあるがとっつきにくい言葉使いは避けられている。一方,本書で説明する内容のうち,基礎的な部分については高校数学で学んだ内容を大学数学に近い形で示したものになっている。このような説明が高校数学から大学数学への橋渡しとなるであろう。是非,手を動かしながら読み進めて頂きたい。

大学の授業でつまずく,あるいは戸惑うもう一つの理由は,高校と大学の授業のやり方が異なることである。この件については本書の最後で説明しよう。手を動かしながら,といっている理由もそこで説明する。

本書が大学数学に対する理解の一助になることを願って。

2023年7月
浅井徹

第1章 大学数学では集合が大事
記号の型と集合

第2章 論理の組み立てを読み解こう
2.1 命題論理partI
2.2 述語論理
2.3 複数の変数に依存する述語
2.4 命題論理partII
2.5 述語論理を用いた命題とその意図
2.6 大学数学で用いられる記号
2.7 数学における定義の役割

第3章 集合を使いこなせるようになろう
3.1 集合の定義
3.2 包含関係
3.3 集合の演算
 3.3.1 共通部分
 3.3.2 和集合
 3.3.3 補集合
 3.3.4 直積集合
 3.3.5 べき集合

第4章 関数は想像以上に自由な存在,先入観を捨ててつきあおう
4.1 関数の概念とその複雑さ
4.2 関数の記法
4.3 関数と集合
4.4 複数の変数に依存する関数と演算の順序

第5章 高校と大学の授業はこれだけ違う
5.1 大学における授業と勉学
5.2 より深く理解したい

演習の解答例
第2章
第3章
第4章
引用・参考文献
索引

読者モニターレビュー【 tanaka_733 様 (業界・専門分野:ITサービス業、理学博士(物理学))】

この本のタイトルを見たとき、大学の数学の最初でデデキントの切断やε-δ論法を学ぶ理由がわからず、集合と位相の教科書に書いてる定義がわからなかった自分にぴったりの本だと感じましたが、その通りでした。
物理を学ぶために進学し、物理のために数学を学ぼうと思っていた自分にとって、大学の数学は高校の数学の延長でもっと難しい具体例を扱うのだと思い込んでいました。ところが、最初に触れた大学の数学は抽象度を高めた概念から導入していたため、いきなりついていけなくなりました。この本の最後の章に書いている内容を読んで、このことをうまく言語化することができました。
この本を読み進めると、まずは高校数学の知識をベースに論理と集合を学んでいきます。「抽象的に扱う」という内容を丁寧に説明されており、無理なく読み進めることができました。
なぜ大学の数学ではこのような定義の仕方をするのか、という疑問に対する解答のヒントが多く書かれていると感じられました。特に陽に定義されていないものも扱えるようになるというところに納得しました。
途中演習問題があり、解答も用意されているので、実際に手を動かして解くことで理解を確かめることができます。また、100ページ余りの量で一気に読み進めることができました。タイトルを見て気になった方におすすめできる本です。

読者モニターレビュー【 小林 東生 様 (ご専門:機械,ご所属:大学生 )】

この本は、大学の理数教科の参考書に記載されている表現方法を理解する際に非常に適していると感じました。

私は工学部に所属する大学4年生で、参考書を読み始めても記号の意味や文章が表す事象の理解に時間がかかるのですが、この本ではこれらの記号の意味や文章が示す事象に関して詳しく解説されており、大学で使用される参考書や教科書をスムーズに読み進め、正しい理解につながる手助けになると感じました。

さらに、大学の授業や勉学の考え方、論理の理解の確かめ方など、読者が大学生としてのスキルアップに役立つアプローチが記述されています。そのため、大学入学後でも価値のある参考書だと思います。

浅井 徹(アサイ トオル)

専門は制御工学。小学校の朝礼で「スピーカーの音をマイクが拾ったら変なことが起きないのかな」と、ふと疑問に思ったことが、この分野に進んだ最初のきっかけ。

掲載日:2024/01/12

「数学セミナー」2024年2月号

掲載日:2023/10/07

読売新聞広告掲載(2023年10月7日)

掲載日:2023/08/17

「数理科学」2023年9月号

著者による,紹介動画をぜひご覧ください。


◆大学数学を読み解く力を手に入れよう(本を書きました)