アート・エンタテインメントとXR
アート・エンタテインメントとテクノロジー(VRやAI)の相互影響と発展について解説
- 発行年月日
- 2026/03/18
- 判型
- A5
- ページ数
- 180ページ
- ISBN
- 978-4-339-02693-1
- 内容紹介
- まえがき
- 目次
- レビュー
- 広告掲載情報
【読者対象】
新しい技術を取り入れ,それによって新しい表現を生み出したいと考えるアーティストやクリエイター,技術者の方
【書籍の特徴】
アート・エンタテインメント,そしてテクノロジーは,たがいに影響を与え合いながら発展してきた。本書は,アート・エンタテインメントの本質に立ち返りながら,それらと先端技術,特にXR(extended reality,エクステンデッド・リアリティ)技術との融合がもたらす表現の変容や,体験の質的変化について探究する。定義,応用,技術,手法,未来へという流れを通じて,読者がアートとテクノロジーの交差点に立ち,そこから見える景色を俯瞰的に把握できるよう構成した。また,必要に応じて,カラー画像や動画コンテンツへのリンクを2次元コードとして脚注に示すようにした。
【各章について】
第1章では,アート・エンタテインメントの定義とその関係性,そしてそれらがXRをはじめとしたデジタル技術と交わる際にどのような再構成が起こるかを論じる。
第2章では,XR技術の応用を中心としたアート・エンタテインメントの進化と動向を事例とともに紹介し,それらがもたらす新しい表現や体験の在り方を検討する。
第3章では,XRやAI技術とアート・エンタテインメントの関係性を詳細に掘り下げ,各技術や研究内容を深く探る。
第4章では,XR分野におけるアート・エンタテインメントの研究手法や評価方法に焦点を当て,アート・エンタテインメントを学術的に捉えるための手続きや思考法を整理する。
第5章では,アート・エンタテインメントが今後どのように展開していくかを展望的に論じる。
【キーワード】
アート・エンタテイメント,XR,AI,メディアアート,インタラクティブアート,ゲーム,メタバース,人間拡張,タンジブルインタフェース,センシング,デジタルファブリケーション
アート・エンタテインメント,そしてそれらを取り巻くテクノロジーの進化は,人類の歴史とともに発展してきた。この三者の関係性は,現代においても非常に密接であり,新たな表現の舞台となっている。
多くの人々は,テクノロジーが進化することでアート・エンタテインメントも変わっていくと感じている。しかし,実際には,アート・エンタテインメントがテクノロジーの進化を促してきた側面もある。印象派の画家たちが絵の具に新技術を取り入れ,それによって新しい表現を生み出したように,アーティストやクリエイターたちは常に新しい技術を求め,それを表現の手段として取り入れてきた。
アニメーションスタジオであるピクサーの映画制作においても,技術の進化が直接的な影響をもたらしている。毎回の新作で,毛の動きや質感,雪や水といった自然現象の再現に挑戦しており,それを可能にしているのはコンピュータを用いて画像や映像を生成するレンダリング技術の進化である。ピクサーはこうした最新の技術を映画制作に取り入れるだけでなく,SIGGRAPHなどの学術会議で公開することで,学術界にも貢献している。
近年,VRやAIといった先端技術が注目されるようになると,それらの技術を活用した新しいアート・エンタテインメントの形が生まれてきた。VR技術を活用することで,観る者を作品の中へと引き込む没入感を提供することが可能となり,AI技術の進化によって,より人間らしい動きや表情をもったキャラクタや,独自の創作物を生み出すことができるようになった。
ゲーム産業もまた,この技術の進化とともに変わってきた。かつては単なるピクセルの集合であったキャラクタや背景が,現在では高精細なグラフィックスとして描かれるようになった。また,インターネットの普及により,オンライン上での多人数同時プレイが可能となり,ゲームは単なる遊びから社交の場へと変わってきた。
アートとテクノロジーの関係は,古くから存在している。1952年,ベン・F・ラポスキーは「Oscillon No.4」という作品を制作した。これは,ブラウン管とアナログコンピュータを駆使して制作された,世界初の"コンピュータアート"と言われる作品である。
このように,アート・エンタテインメント,そしてテクノロジーは,常にたがいに影響を与え合いながら発展してきた。そして,その発展の中心には,新しい表現を追求するアーティストやクリエイター,技術者たちの情熱と創造力がある。
日本では,バーチャルリアリティとアート・エンタテインメントの融合が活発に進められている。日本バーチャルリアリティ学会のアート&エンタテインメント研究委員会が2006年に発足して以降,VRとアートの新たな表現をどのように実現するかの研究が積極的に行われてきた。2021年からは,アートとエンタテインメントの領域を単に並列させるのではなく,融合による相乗効果を創出するという意図を込め,名称をアート+エンタテインメント研究委員会へと変更した。さらにメンバーを刷新し,新たな体制で再始動した。
日本は,ゲームやロボット技術などの分野での実績があり,若手研究者を中心に,領域の枠を超えた取組みやイベントが積極的に行われている。その中で,作品の形としての表現方法や,学術論文としての整理,またはその融合など,多様な取組みが議論されている。
また,日本の伝統文化の中でアートが日常の一部として存在していた背景と現代の先端技術との出会いから,遊び心あふれる先端的な表現であるデバイスアート(機器を用いた芸術表現)が誕生した。
バーチャルリアリティでの表現は,視覚や聴覚だけでなく,触感や味覚をはじめとした五感を駆使するものとなっている。このような取組みは,ロボティクスやインターネットの応用領域としても注目されている。また,教育の場においても,これらの技術は有効な手段として位置付けられている。
本書では,アート・エンタテインメントに関わる方々に,新しい視点や研究的なアプローチを提供することを目的としている。それにより,作品制作や研究活動に新たなインスピレーションや方向性をもたせることができるだろう。
また,本書はこの分野の未来を予測し,それに基づいた行動を促すきっかけとしても活用いただけることを期待している。本書では,最初にアート・エンタテインメントの基本概念と研究方法を探求する(第1章)。次に,XR(extended realityの略。VR,AR,MRなどの総称)の応用を中心としたアート・エンタテインメントの進化と動向を事例とともに紹介する(第2章)。続いて,XRやAI技術とアート・エンタテインメントの関係性を詳細に掘り下げ,各技術や研究内容を深く探る(第3章)。第4章では,XR分野におけるアート・エンタテインメントの研究手法や評価方法に焦点を当てる。最後に,この領域の未来の展望を考察する(第5章)。
必要に応じて,カラー画像や動画コンテンツへのリンクを2次元コードとして脚注に示すようにした。
本書の制作にあたり,同研究委員会の発足からのメンバーや協力してくれた委員,さらにワークショップやイベントに参加してくれたすべての方々に心からの感謝を申し上げる。
2026年1月
山岡潤一
1.アート・エンタテインメントとは何か
1.1 XR
1.2 XRとエンタテインメント
1.3 XRとアート
2.XR表現の実践と展開
2.1 XRを使ったメディアアート・インタラクティブアートの歴史・動向
2.2 XRとゲーム
2.3 メタバース
2.4 教育への応用
2.5 身体パフォーマンスの拡張
2.5.1 身体表現とインタラクション
2.5.2 接触型拡張
2.5.3 環境型拡張
2.5.4 パートナー型拡張
2.5.5 観客作用型拡張
2.5.6 変換型拡張
2.5.7 新たな身体表現の潮流
2.6 タンジブルインタフェース
2.6.1 タンジブルインタフェースとは
2.6.2 TUIの特徴
2.6.3 関連する研究や作品
2.6.4 実世界と情報世界を編み直す
2.7 ロボットとアート・デザイン
2.7.1 生命のようなロボットとアート・エンタテインメント
2.7.2 生物型ロボットとデザイン
2.7.3 XR研究とロボティクス
2.7.4 ロボットのプロトタイピングとXR×ロボティクスの展望
3.アート・エンタテインメントに関係するXR技術
3.1 感覚・知覚・認知と感覚提示・センシング技術
3.1.1 感覚器官や身体性
3.1.2 ディスプレイ装置やセンシング技術
3.1.3 人に対する理解をもとに拡張する表現と技術
3.2 デジタルファブリケーション
3.2.1 XR技術を制作するデジタルファブリケーション技術
3.2.2 ものづくりをサポートするXR技術
3.2.3 XRとものづくりの未来展望
3.3 AIによる認識・生成・表現
3.3.1 アートにおけるAI
3.3.2 エンタテインメントとAI
3.3.3 発展と課題
4.XR分野におけるアート・エンタテインメントの研究手法や評価
4.1 アート・エンタテインメント作品の研究法・研究事例
4.1.1 ダンスや身体表現などパフォーマンス拡張の研究プロセス
4.1.2 身体性認知に基づくアート作品の制作と研究プロセス
4.1.3 技術的新規性をもつアート作品の論文化・展示
4.1.4 プロトタイピングを通したアウトプット
4.2 アート・エンタテインメント作品の評価法
4.2.1 アート・エンタテインメント研究における評価
4.2.2 アート・エンタテインメント研究における定量評価と定性評価
4.2.3 ワークショップ
4.3 作品展示と発表
5.アート・エンタテインメントの展望
引用・参考文献
索引
読者モニターレビュー【 メディアテク 様(業界・専門分野:VR, Art, Music)】
本書は、テクノロジーを基盤とする芸術表現を多角的に論じた意欲的な著作である。XRをはじめとする先端的な表現技術のみならず、メディア・アート全般に関心を持つ読者にとっても有益な内容となっている。身体表現を伴うパフォーマンス、ロボット・アート、AIによる生成芸術など、多様な実践例が紹介されており、掲載されたQRコードを通じて実際の映像作品を参照しながら読み進められる点も非常に興味深い。
また、約10年前に行われたドローンとダンサーのコラボレーション作品をはじめ、芸術的完成度の高い事例が豊富に取り上げられていることも特筆に値する。さらに、アート・エンターテイメントの研究手法についても言及があり、テクノロジーを用いた芸術作品をより深く理解するためには、制作活動のみならず、学術的分析や論文としての体系的整理が不可欠であることを示唆している。研究者にとっては容易な課題ではないが、その意義と可能性を再認識させる一冊である。
読者モニターレビュー【 N/M 様(業界・専門分野:総合情報学[情報科学])】
本書は「バーチャルリアリティ学ライブラリ」の3巻目に位置する書籍である.本巻では,XR (Extended Reality または,Cross Realityの略) 表現を用いた,アート・エンタテインメント分野での最新の活用事例や研究事例などの幅広い解説がなされている.
1章では,本書でこれから話題にするXR,エンタテインメント,アート等の用語を改めて定義する,導入の章としての解説がなされている.ここでは,特にXRの他に似た用語としてVR (Virtual Reality; 人工現実感) ,AR (Augmented Reality; 拡張現実感) ,MR (Mixed Reality; 複合現実感) といった用語の違いを改めて理解し直すきっかけにもなった.
2章では,XR技術を活用したアート・エンタテインメントの活用事例を豊富に紹介する過程で,XR及び,AI技術との関係性が詳細に解説がなされている.その中でも特に,触覚によるVRの試みの変遷として,私自身が今も所持している「ニンテンドー64の振動パック」が挙げられていたことに興味が湧いた.今では当たり前となった振動フィードバックが,当時コントローラに装着するデバイスとしてゲーム体験に確かな付加価値を与えていたことを思い出し,今の技術へとつながる進化の流れを改めて感じた.
3章では,2章までのXR技術を用いた応用事例の実現している各種技術について,人間の五感の特徴を中心にどのように関連しているかということを詳細に解説がなされている.
なお,この章の内容は,本シリーズの1巻目に位置する書籍である『ヘッドマウントディスプレイ』(Ref: https://www.coronasha.co.jp/np/isbn/9784339026917/)及び,2巻目に位置する書籍である『神経刺激インタフェース』(Ref: https://www.coronasha.co.jp/np/isbn/9784339026924/)にも詳細が記載されており,適宜読まれることをお勧めする(※ 両巻とも拙い文書ではあるが,私がレビュさせていただいているので,読まれる際の参考にでもしていただければ嬉しく思う).
4章では,XR技術を用いたアート・エンタテインメント分野の研究方法及び,それらを評価する方法論についての解説がなされている.その中でも,自身の研究や作品を他者に公開する際に行われる「ワークショップ」という鑑賞者に体験してもらい評価する方法が述べられている.その際に,電気・熱・水の使用や衛生面,プライバシへの配慮といった「実装現場での盲点」にしっかりと言及されている点が素晴らしい.単なる技術解説に留まらず,制作者が直面する実務的な課題にまで踏み込んだ視点は,専門外の私にとっても自身の視点を広げる良いきっかけになった.
最後の5章では,アート・エンタテインメント,及びXR技術の今後の展望ということで未来に向けてのまとめの章になっている.
本シリーズは今後もハプティクスや,拡張認知インタフェース,3Dユーザインタフェース,メタバースなど多様なテーマで続刊が予定されているとのことだが,これからの展開がますます楽しみである.
読者モニターレビュー【 まりりん 様(業界・専門分野:マスコミ・媒体)】
XRとは何?また、アート・エンターテインメントとXRが、どのように繋がっているの?と思い、本を拝見。
第一章では、XRの意味や説明がわかりやすく明記しており、老若男女の皆さんが理解しやすい内容になっています。
第一章を踏まえた上で、第二章以降では、実際どのように、XRが、展開していったのか。
XRが、メディアアートやゲームに貢献している話が記載してあるので、ぜひ多くの方に目を通して欲しい内容だと思いました。
私たちが生活を送るにあたり、XRが欠かせないものだという事は間違いない。
是非、この機会に、1人でも多くの方に、XRを知っていただき、今後もっともっと発展していくXR技術に注目していただき、心や身体全体で「アート・エンターテインメント」感じ、五感を楽しむ時代が待ち遠しいと思った素敵な1冊に出会うことが出来ました。
読者モニターレビュー【 いたち 様(業界・専門分野:評価装置メーカー)】
本書籍はとても面白く、私にとってユニークな本でした。
本の内容は、VR、AR、またその他のデジタルアートについての、学術的考え方から、どういったものがあるのかを、執筆されております。
私自身は、プログラムこそしますが、新しい形作りのようなアートはしないので、とても斬新でよかったです。
これからデジタルアートや、デジタルなものに対して人間の受ける影響をテーマにされる方におすすめの1冊かと思います。はたまた、私のように知らない世界を見てみたい人にもおすすめです。
本書籍中では特に、歴史を齧りつつ、どんなものが今まで作られてきたかを写真付きで載せてくれているため、感心する内容が多かったです。

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