センサ技術の基礎と応用
千差万別ともいわれるセンサ技術を,専門家でない人にもわかりやすいよう解説している。
- 発行年月日
- 2023/03/10
- 判型
- A5
- ページ数
- 288ページ
- ISBN
- 978-4-339-03386-1
- 内容紹介
- まえがき
- 目次
- レビュー
- 広告掲載情報
【本のねらいと特徴】
全国の大学等で「計測」と名のつく学科等が目立たなくなってきている状況に鑑みると,新研究の成果や新システム開発の実証には,何らかのセンシング技術による検証が不可欠であるとの認識に立たざるをえない。すなわち,センシング技術は基盤技術として必須であり,科学教育上重要視されるべきものと考える。本書は,その種の人材養成に役立てるべく企画されたものでもある。
具体的には,下記の構成となっている。
Ⅰ.基礎編
●第1章「センシングとはどのようなことか」
センシング技術の基礎的全体像についての解説
●第2章「単位系」
●第3章~第10章:センサ基礎各論
Ⅱ.応用編
●第11章~第16章:センサ応用各論
●第17章「これからのセンサとは」
【著者からのメッセージ】
近年,IoT,Society5.0の時代が始まったと言われ,その基盤技術としてセンサ技術にも多大な関心が寄せられている。
一方,これまでセンサ技術は,オートメーションの中,主としてインダストリー(製造業)の分野で,機器計測化,自動化のための中枢的役割を果たし,日本技術の発展に貢献してきた。
そして今,インダストリー(製造業)とは異なる分野(医療,防災,社会インフラ,農業,水産業,流通業,飲食業,アミューズメント,教育業,等)にまでセンシング技術(計測技術,センサ技術)の応用範囲が広がろうとしており,新たな役割を担おうとしている。
新たな分野への展開に伴い,必ずしもセンシング技術の専門家ではない人達もセンシング技術を活用する必要に迫られ,関連技術の利用者としてその基本を理解しておくことが求められるようになってきている。
センシング技術の出発点は,センサ技術にあることは言うまでもないが,センサ技術は千差万別と言われるようにきわめて多様であり,本書ですべての分野を網羅して説明することはページ数的にも制約があり,実務的ではない。そこで,広い分野のなかで,代表的ニーズがあると考えられるセンシング技術に対象を絞ることとし,本書のタイトルを「センサ技術の基礎と応用」として,執筆者は次世代センサ協議会関係者を中心に,各分野での専門家の方々にお願いしたものである。
本書が教育の場等で広く活用されることを願うとともに,センシング技術の振興に貢献し,社会状況の改善にも寄与することを期待したい。
近年,IoT,Society5.0の時代が始まったといわれ,その基盤技術としてセンサ技術にも多大な関心が寄せられている。
一方,これまでセンサ技術は,オートメーションの中,主としてインダストリー(製造業)の分野で,機器計測化,自動化のための中枢的役割を果たし,日本技術の発展に貢献してきた。
そして今,インダストリーとは異なる分野(医療や防災,社会インフラ,農業,水産業,流通業,飲食業,アミューズメント,教育業など)にまでセンシング技術(計測技術,センサ技術)の応用範囲が広がろうとしており,新たな役割を担おうとしている。
新たな分野への展開に伴い,必ずしもセンシング技術の専門家ではない人たちもセンシング技術を活用する必要に迫られ,関連技術の利用者としてその基本を理解しておくことが求められるようになってきている。
センシング技術の出発点は,センサ技術にあることはいうまでもないが,センサ技術は千差万別といわれるようにきわめて多様であり,本書ですべての分野を網羅して説明することはページ数的にも制約があるため,実務的ではない。そこで,広い分野の中で,代表的ニーズがあると考えられるセンシング技術に対象を絞ることとし,本書のタイトルを「センサ技術の基礎と応用」として,内容を基礎編と応用編に分け,以下の構成をとることとした。
Ⅰ.基礎編
●第1章「センシングとはどのようなことか」
センシング技術の基礎的全体像についての解説
●第2章「単位」
●第3章~第10章:センサ基礎各論
Ⅱ.応用編
●第11章~第16章:センサ応用各論
●第17章「これからのセンシング技術とは」
本書の締めくくりとして,センシング技術の今後の新しい可能性を解説
全国の大学などで「計測」と名のつく学科等が目立たなくなってきている状況だが,新研究の成果や新システム開発の実証には,なんらかのセンシング技術による検証が不可欠である。すなわち,センシング技術は基盤技術として必須であり,科学教育上重要視されるべきものと考える。本書は,その種の人材養成に役立てるべく企画されたものでもある。
なお,特に第17章「これからのセンシング技術とは」は各章の執筆者で集まって意見交換会を開き,そこでの議論を担当者が,私見も交えまとめたものであり,新センシング技術の開発に多くのヒントを与えると考える。
本書が,教育の場などで広く活用されることを願うとともに,センシング技
術の振興に貢献し,社会状況の改善にも寄与することを期待したい。
執筆者は,次世代センサ協議会関係者を中心に,各分野での専門家の方々にお願いしたものである。また,出版にあたってコロナ社の皆様にはたいへんお世話になった。あわせて,関係者の皆様にこの場をお借りしてお礼申し上げる。
執筆分担
小林 彬 1 章,17 章 臼田 孝 2 章
栗山 敏秀 3 章 室 英夫 4 章,6 章
高田 敬輔 5 章 石垣 武夫 7 章,10 章
柴﨑 一郎 8 章 石森 義雄 9 章
浅野 安人 11 章 大木 眞一 12 章
関口 眞吾 13 章 足立 正二 14 章
五十嵐 朗 15 章 菰田 夏樹 16 章
2022年12月
著者一同
Ⅰ.基礎編
1.センシングとはどのようなことか
1.1 はじめに
1.2 センサの基本的使命
1.2.1 センサの役割(機能の観点から)
1.2.2 センサとは総称である
1.2.3 留意すべき専門用語
1.2.4 社会の発展とセンシングの関わり
1.3 センシング系における2種類の測定方式
1.3.1 測定方式の種類
1.3.2 直接測定方式の例
1.3.3 間接測定方式の実現(諸法則・諸効果)
1.3.4 諸効果の測定への応用例
1.3.5 計測機能実現手法3つの柱
1.4 センシング系の品質の評価
1.4.1 静的測定と動的測定
1.4.2 センシング系の評価
1.4.3 3種類の誤差
1.4.4 偶然誤差の評価(正規分布による分析)
1.4.5 計測系の基本構造
1.5 測定系(センサ)の選択性
1.5.1 測定系における選択性とは
1.5.2 選択性実現が阻害される例
1.5.3 測定環境と雑音
1.6 センサ利用上の留意点
1.6.1 なにを測るべきか
1.6.2 どのような場所に配置して使用するのか
1.6.3 信号伝送の信頼性の確認
1.6.4 使用すべき測定器の絞込み
1.7 おわりに
2.単位
2.1 はじめに
2.2 単位系の変遷
2.3 国際単位系(SI)
2.4 計量標準技術
2.4.1 基本単位の定義
2.4.2 一次標準と計量標準機関
2.4.3 一次標準(現示)と校正技術
2.5 おわりに
3.センサの基礎物理
3.1 はじめに
3.2 半導体の物理
3.2.1 量子力学の基礎
3.2.2 半導体のエネルギーバンド構造
3.3 半導体のセンサ応用
3.3.1 半導体の光導電効果
3.3.2 pn接合と光起電力
3.3.3 ピエゾ抵抗効果
3.4 おわりに
4.MEMSとセンサ
4.1 はじめに
4.2 MEMSセンサの構成と特徴
4.3 マイクロマシニング技術
4.3.1 フォトリソグラフィ技術
4.3.2 バルクマイクロマシニング
4.3.3 表面マイクロマシニング
4.4 要素プロセス技術
4.4.1 エッチング技術
4.4.2 基板接合技術
4.5 実装技術
4.6 おわりに
5.センサ信号処理とアナログ回路
5.1 はじめに
5.2 センサ信号の信号変換
5.2.1 センサ出力と信号変換
5.2.2 センサの基本特性
5.3 OPアンプ回路
5.3.1 OPアンプ増幅回路
5.3.2 OPアンプ応用回路
5.4 A/D変換回路
5.5 センサシステムとノイズ
5.6 おわりに
6.機械量センサ
6.1 はじめに
6.2 変位・角度センサ
6.3 加速度センサ
6.4 角速度センサ
6.5 圧力センサ
6.6 おわりに
7.光センサ
7.1 はじめに
7.2 可視光センサ
7.2.1 受光素子
7.2.2 イメージセンサ
7.3 赤外線センサ
7.3.1 受光素子
7.3.2 赤外線センサの性能評価
7.3.3 量子型赤外線センサ
7.3.4 熱型赤外線センサ
7.3.5 赤外イメージセンサ
7.4 おわりに
8.磁気センサ
8.1 はじめに
8.2 ホール(効果)素子
8.2.1 ホール効果とホール素子
8.2.2 ホール素子材料とその要件
8.2.3 実用的な磁気センサとしてのホール素子概説
8.3 ホールIC
8.3.1 ホールIC序論
8.3.2 ディジタル型のホールIC
8.3.3 ホールICの高感度化(ハイブリッドホールIC,CMOSホールIC)
8.3.4 リニアハイブリッドホールIC
8.4 InSb単結晶薄膜磁気抵抗素子
8.4.1 InSb薄膜の磁気抵抗効果
8.4.2 Snドープ単結晶InSb薄膜の磁気抵抗効果とMR素子応用
8.4.3 MR素子の回転センサ応用
8.5 おわりに
9.化学センサ
9.1 はじめに
9.2 ガスセンサ
9.3 イオンセンサ
9.3.1 固体電解質イオン選択性電極
9.3.2 ISFET
9.4 バイオセンサ
9.4.1 電気化学的バイオセンサ
9.4.2 バイオセンサの将来像
9.5 おわりに
10.温度センサ
10.1 はじめに
10.2 金属測温抵抗体
10.3 熱電対
10.4 IC化温度センサ
10.5 発振型温度センサ
10.6 放射温度計
10.7 おわりに
Ⅱ.応用編
11.超音波センサ
11.1 はじめに
11.2 音響物理
11.2.1 弾性体の性質
11.2.2 弾性波の波動方程式
11.3 超音波応用計測
11.3.1 超音波の特性
11.3.2 パルス反射法
11.3.3 伝送時間差法とシングアラウンド法による流速測定
11.3.4 ドップラー法
11.3.5 超音波による画像形成
11.3.6 パッシブ法
11.3.7 海底地形・資源調査
11.4 おわりに
12.流量・流速センサ
12.1 はじめに
12.2 流量・流速センサの分類
12.3 各種の流量・流速センサの原理と構造
12.3.1 差圧式流量計
12.3.2 面積式流量計
12.3.3 渦式流量計
12.3.4 電磁式流量計
12.3.5 超音波式流量計
12.3.6 コリオリ式流量計
12.3.7 熱式流量計
12.3.8 容積式流量計
12.3.9 タービン式流量計
12.3.10 ピトー管式流速計
12.3.11 熱線式流速計
12.3.12 レーザドップラー式流速計(LDV)
12.4 おわりに
13.イメージセンシング
13.1 はじめに
13.2 イメージセンシングの方法
13.2.12 次元画像撮影の方法
13.2.2 撮像レンズと光学系
13.2.3 その他のイメージセンシング
13.3 画像処理(イメージプロセッシング)の概要
13.3.1 画像変換処理
13.3.2 画像計測
13.3.3 画像認識
13.4 画像処理の応用例
13.5 おわりに
14.光ファイバセンサ
14.1 はじめに
14.2 光ファイバの基礎
14.2.1 光ファイバの構造と種類
14.2.2 光ファイバの特性
14.2.3 光ファイバ型光学部品
14.3 光ファイバセンサの分類
14.3.1 光ファイバセンサの分類方法
14.3.2 伝送路型光ファイバセンサ
14.3.3 機能型光ファイバセンサ
14.3.4 多点化/多重化
14.4 分布型光ファイバセンサ
14.4.1 光ファイバ中の散乱光と分布型センシング
14.4.2 レイリー散乱光を利用した分布型光ファイバセンサ
14.4.3 ラマン散乱光を利用した分布型光ファイバセンサ
14.4.4 ブリュアン散乱光を利用した分布型光ファイバセンサ
14.5 準分布型光ファイバセンサ
14.6 センシング用光ファイバ
14.7 おわりに
15.生体計測における各種センサの利用
15.1 はじめに
15.2 血圧計
15.2.1 血圧の定義
15.2.2 血圧の計測方法
15.2.3 聴診法
15.2.4 オシロメトリック法
15.2.5 その他の間接法
15.3 心電計
15.3.1 双極肢誘導
15.3.2 単極肢誘導
15.4 パルスオキシメータ
15.5 おわりに
16.RFIDセンサ
16.1 はじめに
16.2 RFIDの動作原理
16.3 RFIDの方式
16.4 RFIDタグの構造
16.5 RFIDセンサの原理
16.6 RFIDセンサタグの構造
16.7 おわりに
17.これからのセンシング技術とは
17.1 はじめに
17.2 センシング技術応用範囲の飛躍的拡大
17.3 生産性向上1.0から生産性向上2.0へ
17.4 ビッグデータの活用とSoT&IoTそして見える化
17.5 複合計測化の推進
17.6 メタデータへの着目
17.6.1 メタデータとはなにか
17.6.2 センシングにおけるメタデータの効用
17.7 センシング技術のための新しいシーズ
17.7.1 量子センシング系への期待
17.7.2 新素材の出現
引用・参考文献
索引
読者モニターレビュー【 鉄マン 様(業界:鉄鋼)】
本を読んだ感想としてはこの本一冊で基本的なセンサに関してはほぼ全て網羅できていると言っても過言ではない、ということです。
センサの原理も体系的にまとめられており、この本を読んだ後も業務デスクの引き出しに入れ、仕事で必要な時に読み返して確認するのにも使いたいと思いました。
それから最近多くなってきた画像処理など最新のセンサについても触れられており、これらは私の学生時代の工学書には記載のなかった分野だったので、
センサ技術の発展と共に工学書の内容も発展しているというのを読んで実感しました。
読者モニターレビュー【 MasaTam 様 (専門分野:Robotics/AI/Software Engineering)】
ロボットシステムのソフトウェアエンジニアとして普段ハードウェアエンジニアの扱っているセンサーの理解という興味で読みました。制御部分がメインのソフトウェアエンジニアとしてはなかなか業務に活きにくい部分が多いかも知れませんが、最後の「これからのセンシング技術とは」の章でのセンシングによるビッグデータの扱いはかなり興味深かったです。
各センサーの詳細に関しては簡潔なこともあり、物理化学等の前提知識がないと少し難解かも知れませんが、概要を掴むだけでも価値はあると思います。多くの知的探求の道の入口として楽しめました。
読者モニターレビュー【 アマサイ 様 (専門分野:電子工学)】
この世の中はセンサで出来ていると言っても過言ではない。毎日出入りする店やマンションのドアはセンサで開閉するし、携帯電話には加速度センサが搭載されているので、GPSとスムーズに連携できるし、バーコードの代わりに商品を認証するRFIDもセンサの一種である。社会人としてそのセンサにしくみや応用を知っておくのは悪くない。そこで本書の登場である。技術書は専門外あるいは文系には無理と思われるかもしれない。そんなことはなく、高校理科の知識さえあれば十分である。数式や難しい概念は読み飛ばせばよい。本書は図を多用しているのでわかった気になる。このわかったつもりというのは重要である。特に本書の「MEMSとセンサ」「イメージセンシング」「光ファイバセンサ」は興味深かった。それぞれ分厚い専門書1冊で説明するところを十数ページで収まっている。かなりお得だ。本書を携えて、難しいことはわからない、から卒業し、IT社会を快活に歩いていきましょう。
読者モニターレビュー【 エダ 様 (専門分野:材料科学)】
本書はタイトルの通りセンサ技術の“基礎”を習得するための書籍だといえます。特に3章の基礎物理と、5章の信号処理に関する部分はそれ単体で学ぼうとすると、膨大な量になりますが、本書ではセンサ技術に必要な知識をコンパクトに記述しています。後半の内容も自身が使っているセンサの原理を調べたいときに辞書的な役割も果たしています。センサユーザーからセンサ技術者へステップアップするための入門書として非常におすすめです。
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