音楽制作 - プログラミング・数理・アート -

メディアテクノロジーシリーズ 10

音楽制作 - プログラミング・数理・アート -

人間とテクノロジーの調和による音楽表現の思考,理論,実践に触れ,未来を考察しよう

ジャンル
発行予定日
2025/03/下旬
判型
A5
ページ数
288ページ
ISBN
978-4-339-01380-1
音楽制作 - プログラミング・数理・アート -
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定価

4,840(本体4,400円+税)

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  • 内容紹介
  • まえがき
  • 目次
  • 著者紹介
  • 書籍紹介・書評掲載情報
  • 広告掲載情報

◯読者対象
本書は、理工系、文系、芸術系の大学で学ぶ学部生や大学院生を想定して書かれています。さらに大学の外の、テクノロジーを使った音楽制作に興味のあるすべての人々も読者対象となりうると考えています。

◯書籍の特徴
本書は様々な専門分野の執筆者が特定のテーマでもって各章を担当しております。もっとも大きな特徴は、全員が研究者であると同時に自ら音楽や作品を制作する「表現者」である点です。技術紹介だけに留まらず、自身の制作経験からテクノロジーを用いた音楽制作の哲学や視点について述べられています。

◯各章について
本書は順番に章を読み進めても構いませんし、気になった章から読んでいくのでも構いません。
第1章「電子音楽制作環境とツールの変遷」では、電子音楽制作における基本的な前提と概念、実現するテクノロジーについて解説し、さらにPure Dataを用いた「楽譜を時系列で再生する」概念から離れた音楽制作について記しています。
第2章「ライブコンピュータ・エレクトロニクス」では、Maxを用いた演奏の事例として、作曲家の作品、章担当筆者が携わったアンドロイドを用いた作品を挙げて論じています。
第3章「音響コンポジション」では、SuperColliderを用いたプログラミングによって直接的に音響を形作る作曲方法と概念について解説しています。
第4章「ライブコーディング」では、リアルタイムにコーディングをしながら音楽を作り上げていく音楽制作スタイルについて、定義、歴史、文化的醸成について紹介します。
第5章「音楽語法と数理」では、様々なアルゴリズムや数理的手法が音楽の作曲に応用された歴史を辿り、実例を挙げながら解説します。
第6章「メディアアートとミュージックテクノロジー」では、音楽とテクノロジー、センサーとロボット、メディアアートと作曲といったキーワードについて、章担当筆者による多く作品事例を参照しながら概観します。

◯著者からのメッセージ
音楽は「音に基づく、人間の積極的な表現および知覚活動のすべて」と定義される文化的産物であると同時に、現代の音楽制作分野はテクノロジーの影響を受けており、その話を抜きにして音楽制作の全体を語ることはできないほどです。しかし最近ではテクノロジーの中に生成AIが含まれるようになり、音楽制作分野は一種の混沌状態になりつつあるといえるでしょう。
そんな中、少し立ち止まるような形で、本書では生成AIの登場以前から用いられてきた音楽制作のテクノロジーや手法、プログラミングでもって音楽や音響を創り出す手法、作曲や音列の生成を数理の面から捉える分野、音を軸としたメディアアートなど、多岐に渡る分野についてそれぞれの世界観に基づいて解説されています。
いずれの章にも共通する要素は、特定の「表現」のための「音楽制作」について着目していること、テクノロジーと人間の一定のバランス感覚をもって共存して「音楽」「音響」を生み出すシステムを前提として「音楽制作」を論じていることです。いわば現在ホットな生成AIと音楽の関係を俯瞰している感覚を有していると言い換えることができるかもしれません。

☆発行前情報のため,一部変更となる場合がございます

「テクノロジーとともに音楽はこれからどのように形作られていくのか」
「今後,音楽で表現することの価値はこれからどうなっていくのか」

本書『音楽制作—プログラミング・数理・アート—」は,上記の問いに対しての回答の一つを模索するためのヒントになるのでは,と考えています。

最初にコンピュータを用いて音楽が作られて以降,これまで数十年掛けて音楽制作に関連するテクノロジーの進化が続いてきました。そして現在はある一定の成熟の域に達していて,音楽制作にも変化をもたらされています。

例えば,以前は作曲家の手掛けた楽譜を演奏者が専用のレコーディングスタジオで演奏し,備え付けの録音機材をスタジオエンジニアが操作して録音するのが主流でした。しかし,テクノロジーが進化した現在はそうした方法に加えて,個人のPC上でDAWやエフェクタープラグイン(いずれも本文にて解説),マイクなどを駆使して自宅で楽曲録音・ミキシングまで行う「宅録」という方法が定着しています。かつてはスタジオでしか使えなかった高価な音楽用のハードウェアの機材と同等の品質のものが,ミュージシャン自身が手に届く価格帯のソフトウェアやハードウェアとなったためです。安価になっただけではなく,音楽制作に関連するテクノロジーの用途も発達してきています。例えば,特定の楽器音の抽出,ボーカルのピッチ補正,サンプル音のストレッチといった,以前は研究所でしか扱わない技術が個人でも利用できるようになりました。

このあたりまでは音楽を創る主体が人間であり,その創作過程で主たる判断をするのが人間であることが前提となっているものです。しかし,ここ数年で生成系AI(以下,AI)を用いた音響処理や音楽制作支援,はたまた自律的な音楽制作といった話題を耳にする機会が多くなり,音楽制作の風景に少し変化がもたらされています。例えば

•人間が判断してミキシングやマスタリングの音響面の処理について操作していた部分を,AIが代替して処理を自動化するサービス。

•音楽(楽曲)の作曲や制作の代替にまで及び,AIによる自律的な音楽生成までを可能とするシステムとサービス。

といったものが実現して普及が始まっています。2024年11月現在はAIに「命令(プロンプト)」や「歌詞」を与えれば,それに応じた旋律や和音,リズム,歌声で構成された「音楽」の音響が短時間で複数,出力されるようになっています。近い将来に,例えばCM広告映像のための「…風の音楽」を得るのに,ミュージシャンや作曲家に依頼して音楽を制作してもらうプロセスが必要なくなるかもしれない,という未来予想は技術面にはかなり現実的になってきています。先走った思考では,人間の「作曲家」や「音楽アーティスト」は職業として存在し得るのだろうか,という懸念も耳にするようになっています。その場合,進化しきったミュージックテクノロジーはもはや人間が音楽を作るためには使われなくなるかもしれません。

これまでも歴史的に音楽とテクノロジーが密接に関係してきましたが,音楽を生み出す主体さえもが揺らぎ始めるいまほど,パラダイムシフトのエッジに身を置いている感覚を味わう機会はないのではないでしょうか。

音楽を商業的に「利用する」か,リスナーとして「聴く」か,ミュージシャンとして「創る」かなど,各々の立場の違いによって,音楽の捉え方が驚くほど違うことに気づかされます。それはおそらく,それぞれが音楽になにを求めて期待しているか,なにを拠り所としているかが非常に多様であるためでしょう。

音楽は「音に基づく,人間の積極的な表現および知覚活動のすべて」と定義される文化的産物である一方で,AIが含まれるようになってきている現状では,一種の中庸かつ混沌とした状態になっていると言えるのではないでしょうか。ゆえに冒頭の問いは避けられない種類のものとなるでしょう。

そんな中で,本書では少し立ち止まるような形でAIの登場以前から用いられてきた音楽制作のテクノロジーや手法,プログラミングでもって音楽や音響を作り出す手法,作曲や音列の生成を数理の面からとらえる分野,音を軸としたメディアアートなど,多岐に渡る分野についてそれぞれの世界観に基づいて解説されています。

いずれの章にも共通する要素は,特定の「表現」のための「音楽制作」について着目していること,テクノロジーと人間の一定のバランス感覚をもって共存して「音楽」「音響」を生み出すシステムに基づく「音楽制作」を論じていることです。いわば現在ホットな現象となっているAI,そのAIと音楽の関係から一歩引いて俯瞰して全体を眺めている感覚を有していると言い換えることができるかもしれません。

本書で扱うトピックは,AIを含めたテクノロジーの「技術面の最先端」とは定義できないかもしれませんが,人間が手の届く範囲での機械やテクノロジーとの調和の末の「表現の最先端」を模索していると言えるでしょう。その中身は思考と論理が渦巻いていますが,ブラックボックスではありません。

かつて,14~16世紀のヨーロッパ(おもにイタリア)において古代ギリシャ・ローマの文化を再評価し,個人の能力や知識を重視して「文芸復興」「文化再生」を掲げた「ルネッサンス」から芸術面で新たな波が起こったように,バランスの取れた音楽とテクノロジーの関係に眼差しを向けることは,音楽の表現の未来につながっていくものと信じています。

本書は以下のように構成されています。

1章「電子音楽制作環境とツールの変遷」では,電子音楽の制作における基本概念とそれを実現するシステムの原理について解説します。前半は市販の電子楽器やツールを例に挙げながら,音源部(シンセサイザ等)と制御部(シーケンサ)の歴史と技術面について解説します。後半では対照的にアンダーグラウンドなシーンで発展を遂げてきたツール「ミュージックトラッカー」がもたらしたもの,「楽譜を時系列で再生する」概念から離れた音楽制作を可能にするプログラミング環境PureDataについて,筆者の作品事例を示しながら述べます。

2章「ライブコンピュータ・エレクトロニクス」では,コンピュータを用いたライブ演奏であるライブコンピュータ・エレクトロニクスの概念と定義について述べることを出発点としています。作曲家ピエール・ブーレーズの作品例を通してリアルタイム・デジタル信号処理の技術面の解説,その後に登場したプログラミング環境Maxとそれを用いたコート・リッピの作品例について紹介していきます。最後に筆者によるアンドロイドを用いた作品をはじめ,現在の主要技術と実践について論じます。

3章「音響コンポジション」では,おもにプログラミング環境SuperColliderを用いた,コードによって直接的に音響を形作る作曲方法を「音響コンポジション」と定義し,実際のプログラミングコードを挙げながらその世界の概念について解説しています。後半は筆者による音響コンポジションに基づいた数多くの作品,携わった事例について紹介します。音響コンポジションの中で実現したいアイデアを,実際にコードの中でどのように記述するかの実践的ヒントが多数述べられています。

4章「ライブコーディング」では,PCでリアルタイムにコーディングをしながら音楽を作り上げていく音楽制作スタイル「ライブコーディング」について,その定義,成立の歴史と発展,コミュニティやオンラインのリソースなどの文化的醸成について紹介します。ライブコーディングの具体的なプログラミング言語やツール群について紹介したあと,代表的なライブコーディング環境であるTidal Cyclesについて,サンプルコードを用いて実践的に解説していきます。

5章「音楽語法と数理」では,コンピュータの登場によりさまざまなアルゴリズムや数理的手法が音楽の作曲に応用された際に,用いられた概念と論理について歴史をたどり実例を挙げながら解説します。調性音楽から無調音楽への移行,その後の12音技法とその延長としてのセリー主義音楽の数学的な思考へと至る歴史を概観し,ピッチクラス集合論と軸としたさまざまな数理の解説とポスト調性音楽の作曲の適用について数式と証明を用いながら説明します。作曲家ピエール・ブーレーズの作品群の根底を支えるブロック・ソノールといった数理を対象として,それをPythonのコードで表した事例も交えて数学的音楽理論の世界に案内していきます。

6章「メディアアートとミュージックテクノロジー」では,音楽とテクノロジー,センサーとロボット,メディアアートと作曲といったキーワードについて,筆者による多く作品事例を参照しながら,メディアアートとミュージックテクノロジーの世界を概観します。これらの作品群は「仮説」とそれに対する「解」という形で展開されてきたものと言えます。本章では,実際に作品に実装された技術やシステム,それに至るまでの試行錯誤の過程をつぶさに解説することにより,「デジタルアートへの音楽的アプローチ」という命題に対峙する様子が示されています。

本書は順番に章を読み進めても構いませんし,気になった章から読んでいくのでも構いません。

「音楽ができる状態は平和である」という言葉があります。テクノロジーと結びついた音楽制作という文化的な営みが今後も継続することを願いながら,その価値を見直す契機に本書がなれば幸いです。

2025年2月
編著者 松村誠一郎

☆発行前情報のため,一部変更となる場合がございます

1.電子音楽の制作ツール
1.1 電子楽器の登場
 1.1.1 民生機のアナログシンセサイザ
 1.1.2 民生機のデジタルシンセサイザ
1.2 シンセサイザの原理
1.3 DSPによる電子楽器
 1.3.1 初期のDSP開発
 1.3.2 ウェーブテーブルからPCMへ
 1.3.3 デジタルシンセサイザの音源方式
 1.3.4 ソフトウェアシンセサイザ
1.4 シーケンサ
 1.4.1 シーケンサの芽生え
 1.4.2 アナログシーケンサ(CV/GATE)
 1.4.3 CV/GATEのデジタルシーケンサ
 1.4.4 MIDIシーケンサの特徴
 1.4.5 ハードウェアシーケンサ
 1.4.6 ソフトウェアシーケンサ
 1.4.7 リアルタイムレコーディングとステップレコーディング
 1.4.8 MIDIイベントと分解能
 1.4.9 MIDIトラックとオーディオトラック
 1.4.10 プラグイン(インストルメント,エフェクト)
1.5 ミュージックトラッカー
 1.5.1 トラッカーとは
 1.5.2 サンプラーとシーケンサの組合せ
 1.5.3 初期のトラッカー
 1.5.4 現在のトラッカー
 1.5.5 音楽教育ツールとしてのトラッカー
1.6 サウンドプログラミング
 1.6.1 PureData
 1.6.2 Pdのプログラミング方法
 1.6.3 MIDIの制御とDSPの制御
 1.6.4 メッセージデータとDSPデータの境界
 1.6.5 インタフェースの変化と固定化
 1.6.6 BSDライセンスとPureDataコミュニティ
 1.6.7 Pdのパッケージ
 1.6.8 Dekenによるライブラリ追加
 1.6.9 シーケンサの時間軸とインタラクションの時間軸
 1.6.10 PureDataの作品事例
1.7 まとめ

2.ライブコンピュータ・エレクトロニクス
2.1 ライブコンピュータ・エレクトロニクスとはなにか
2.2 ライブコンピュータ・エレクトロニクスの誕生
 2.2.1 ピエール・ブーレーズ
 2.2.2 ブーレーズと電子音楽
 2.2.3 IRCAMの設立と4Xの開発
 2.2.4 『レポン』–ライブコンピュータ・エレクトロニクスの原点
 2.2.5 デジタル信号処理による音の変形
 2.2.6 楽器と電子音響の演繹的拡張と統一
 2.2.7 『レポン』の空間性
 2.2.8 託された課題
2.3 プログラミング環境Max
 2.3.1 Maxとはなにか
 2.3.2 Max開発の背景
 2.3.3 Maxの登場
 2.3.4 Maxの実用化
 2.3.5 Maxの展開
 2.3.6 Maxの特徴
2.4 ライブコンピュータ・エレクトロニクスの実践
 2.4.1 新しいミュジシャンコンプレ
 2.4.2 ピアノとコンピュータのための音楽
 2.4.3 上演プロセス~準備
 2.4.4 上演プロセス~演奏
2.5 ライブコンピュータ・エレクトロニクスの現在
 2.5.1 オペラの舞台に立つアンドロイド
 2.5.2 歌唱システム
 2.5.3 動きのシステム
2.6 結び
 2.6.1 インタラクションとは何か
 2.6.2 ライブコンピュータ・エレクトロニクスの課題
 2.6.3 ライブコンピュータ・エレクトロニクスの持続可能性

3.音響コンポジション
3.1 音と作曲
 3.1.1 音「の」作曲
 3.1.2 プログラミングについて
 3.1.3 音と響き
 3.1.4 作曲について
3.2 SuperColliderについて
 3.2.1 構成
 3.2.2 実践
3.3 関連作品やプロジェクト
 3.3.1 WFS
 3.3.2 BEAST
 3.3.3 AudioScape
 3.3.4 norns
 3.3.5 breathing space
 3.3.6 空港のための音楽
 3.3.7 AI×Beethoven
 3.3.8 可聴化研究
 3.3.9 snr
 3.3.10 spray
 3.3.11 matrix
 3.3.12 x/y
 3.3.13 textures±
3.4 まとめ

4.ライブコーディング
4.1 ライブコーディングとは
 4.1.1 ライブコーディングの定義
 4.1.2 プログラミング言語のライブ性
 4.1.3 コンパイラとインタープリタ
 4.1.4 プログラミング言語におけるライブコーディングの歴史
 4.1.5 ライブパフォーマンスとしてのライブコーディング
 4.1.6 ライブコーディングの世界への広がりとコミュニティ
 4.1.7 「Show us your screen(スクリーンを見せろ)」
4.2 ライブコーディングのための主要なプログラミング言語
 4.2.1 Max
 4.2.2 PureData
 4.2.3 SuperCollider
 4.2.4 ChucK
 4.2.5 OverTone
 4.2.6 TidalCycles
 4.2.7 Extempore
 4.2.8 Gibber
 4.2.9 Sonic Pi
 4.2.10 FoxDot
 4.2.11 Orca
 4.2.12 Strudel
 4.2.13 その他の環境
4.3 ライブコーディングによるパフォーマンス事例
4.4 TidalCyclesによるライブコーディング実践.1
 4.4.1 TidalCyclesを構成するプログラミング言語,ライブラリ,アプリケーション
 4.4.2 Windows,macOSへの手動インストール手順
 4.4.3 TidalCyclesの起動と終了
 4.4.4 TidalCyclesによるパターンの生成の基本
 4.4.5 パターンを変化させる
 4.4.6 シンセサイザを使う
 4.4.7 ライブコーディングパフォーマンス実践
4.5 まとめ

5.作曲技法と数理
5.1 はじめに
5.2 ピッチクラス集合論
 5.2.1 音高の同値類とその集合
 5.2.2 教会旋法とダイアトニック集合
 5.2.3 集合,部分集合,補集合
 5.2.4 集合間の写像
 5.2.5 共通音定理
5.3 ブーレーズのブロックソノール技法の数理
 5.3.1 ブロックソノール
 5.3.2 ブロックソノールの積の演算
 5.3.3 ブロックソノールの代数学
 5.3.4 ブロックソノールの組合わせ論
5.4 作曲上の意思決定の数理
 5.4.1 制約充足問題と制約最適化問題
 5.4.2 ブロックソノールを用いた作曲への制約プログラミングの応用
 5.4.3 ハーモニックドメインの割り当てによる大域構造の決定
 5.4.4 ハーモニックドメイン内のブロックソノールの経路の決定
5.5 まとめ

6.メディアアートとミュージックテクノロジー
6.1 メディアアートとミュージックテクノロジーの関係
6.2 バーチャルミュージカルインストルメントとロボット工学の芸術的アプローチ
 6.2.1 ロボットのインテリジェンス
 6.2.2 バーチャルミュージカルインストルメントと『RoboticMusic』の開発
 6.2.3 作品への応用とその結果
 6.2.4 ロボティクスの展望
6.3 バーチャルミュージカルインストルメントの技術的側面と実装
 6.3.1 ジェスチャーと音楽
 6.3.2 マッピングインタフェース,アルゴリズム,サウンドシンセシス,インタラクティブビデオ
 6.3.3 サウンドシンセシス,サウンドとジェスチャーによる音楽制作
 6.3.4 音楽のコンテクストとパフォーマンスにおけるインタラクションに関する課題
 6.3.5 パフォーマンスの問題点:人間の知覚とコンピュータの限界
6.4 バーチャルミュージカルインストルメントを用いた作品例(1)
 6.4.1 『L’homme transcendé』:BodySuit IとBodySuit IIのために
 6.4.2 『netBody』:拡張された身体とバーチャルな身体 II
6.5 バーチャルミュージカルインストルメントを用いた作品例(2)
 6.5.1 『Cymatics』
 6.5.2 『Hypnoïde』
 6.5.3 『Body in Zero G』
 6.5.4 『gravityZero』
6.6 まとめ

引用・参考文献
索引

松村 誠一郎

松村 誠一郎(マツムラ セイイチロウ)

サウンドデザインとサウンドを軸とした表現を研究対象としています。表現や制作の場に身を置くことがもっとも学び、成長できる機会と考えて、楽曲制作、効果音のデザイン、プログラミング環境を用いて制作したシステムを用いたライブパフォーマンスやメディア・アート作品の制作等の表現活動を行なっています。そうした実践を通して得られた知見を研究と教育に還元するように心がけています。

今井 慎太郎

今井 慎太郎(イマイ シンタロウ)

コンピュータ音楽家。国立音楽大学およびIRCAMで学び,文化庁派遣芸術家在外研修員としてドイツのZKMにて,またDAADベルリン客員芸術家としてベルリン工科大学にて研究および創作活動を行う。ムジカ・ノヴァ国際電子音楽コンクール第1位,ZKM国際電子音楽コンクール第1位などを受賞。2015年に作品集『動きの形象』を発表。近年はヒューマノイドロボットによる音楽実践に取り組んでいる。また、ブーレーズ《レポン》,マヌリ《ウェルプリペアド・ピアノ(第3ソナタ...)』等,大規模なライブコンピュータ・エレクトロニクス作品の上演を手がける。現在、国立音楽大学准教授。

森本 洋太

森本 洋太(モリモト ヨウタ)

作曲家。2024 年よりハーグ王立音楽院ソノロジー研究所客員教授,早稲田大学准教授,博士(作曲)。専門は作曲,サウンドアート,可聴化など聴覚ディスプレイ。シンガポール空港や国際花博Floriade2022 の音楽を作曲。ハーグ市立美術館,Transmediale(ベルリン)などでサウンド・インスタレーションを発表するほか,資生堂,トヨタ自動車,NTT コミュニケーション科学基礎研究所, 産業技術総合研究所などに楽曲や音響生成システムを提供。

田所 淳

田所 淳(タドコロ アツシ)

多摩美術大学,東京藝術大学,慶應義塾大学,明治大学非常勤講師などを経て,2019 年より前橋工科大学准教授,修士(政策・メディア)。クリエイティブコーディングやライブコーディングを用いたオーディオビジュアル作品のライブパフォーマンスや,音響と映像の関係を探求したインスタレーション作品の制作を行っている。作品は,Ars Electronica,International Computer Music Conference(ICMC),International Conference on New Interfaces for Musical(NIME),International Conference for Live Coding(ICLC)など,国内外のフェスティバルや展覧会で発表されている。

田中 翼(タナカ ツバサ)

京都大学理学部で数学を,東京大学情報理工学系研究科で情報学を学び,東京藝術大学美術研究科先端芸術表現領域にて音楽生成の研究で博士号を取得。その後渡仏し,フランス国立音響音楽研究所(IRCAM)などパリの音楽研究所や数学研究所で博士研究員として研究を行う傍ら音楽院で作曲を学ぶ。2021 年より東京藝術大学音楽環境創造科非常勤講師として芸術のためのAI 開発について教えている。AI 技芸研究会代表。博士(美術)。専門は数理的手法による楽曲分析や音楽生成。作品はInternational Computer Music Conference(ICMC)やSound and Music Computing Conference(SMC)などで発表されている。

後藤 英

後藤 英(ゴトウ スグル)

作曲家,ニューメディア・アーティスト。国際的に評価されており世界活地で活躍。刺激的な作品で新たなテクノロジーと関連させて発表している。フランス,パリにあるポンピドゥー・センターのIRCAMの招待作曲家,研究員,ボルドー芸術大学の准教授を経て,現在は東京芸術大学教授,PH.D.。オーストリアのアルスエレクトニカにてデジタル・ミュージック&サウンド・アートの栄誉賞を受賞などが挙げられる。作品は世界各国の音楽祭,レゾナンス/IRCAM,タングルウッド音楽祭,ICC,SONAR,Hausder Kultures der Welt,ISEA,NIME,ヴェネツィアビエンナーレなどにて演奏されている。

ゲームメーカーズ 様に記事を掲載いただきました 掲載日:2025/02/03


レビュー,書籍紹介・書評掲載情報一覧

掲載日:2025/03/05

日本音響学会第153回(2025年春季)研究発表会 講演論文集広告

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