音大生・音楽家のための脳科学入門講義

音大生・音楽家のための脳科学入門講義

音楽家を対象に研究・講演を行ってきた脳科学者が,講義形式で解説した脳科学の入門書

ジャンル
発行年月日
2021/04/28
判型
A5
ページ数
126ページ
ISBN
978-4-339-07825-1
音大生・音楽家のための脳科学入門講義
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定価

1,980(本体1,800円+税)

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  • 書籍紹介・書評掲載情報
  • 広告掲載情報

私は音楽家の脳を研究しています。実験に参加してくださった多数の音大生・音楽家の方々が脳科学に大変興味を持たれていることを知り,わかりやすい脳科学の入門書として本書を執筆しました。脳科学の基礎事項からはじめ,音楽との関係について解説しています。最新の研究成果も紹介しながら,読者をおもしろい脳科学の世界にお誘いします。

■書籍の特徴
本書は講義形式で,かつ対話の部分を多くすることで,受講者からの質問にも答えながら講義を進めるというスタイルになっています。実際に受けた質問も多く含まれています。記憶,感情,共感,情景,音楽家の脳の話は,これまで音大生や音楽家の方々に説明した際にとくに盛り上がりました。読者の皆さんとも共有したいトピックスが多く含まれています。また講義は全部で8回分なので,半期の特別講義などのテキストとしても使用できます。

■対象者
本書は音大生・音楽家のためのというタイトルがついていますが,一般の方々や大学生・高校生にも楽しんで読んでいただけるように心掛けました。脳科学は、その名のとおり脳に関する科学(サイエンス)ですが,脳は思考や感情を司っているので,哲学や心理学,行動学など,ほかの多くの学問領域にまたがる学際的な学問です。できるかぎりわかりやすく解説しましたので,多くの方に読んでいただけたら幸せです。

私はこれまで多くの音大生や音楽家の方に実験に参加していただいて,そうした方々の脳の特徴や演奏に関わる脳活動などを調べてきました。どなたも研究にたいへん興味を示して快く協力してくださり,楽しく実験をさせていただきました。そして,いつも終了後の雑談に花が咲きました。そんな中で,多くの音大生や音楽家の方が脳のことをもっと知りたいと思われていることを知りました。本当にたくさんの質問をいただきました。脳科学の入門書を薦めたこともありましたが,専門用語や説明の仕方による壁があることも感じていたので,音大生や音楽家の皆さんにわかりやすい入門書を書こうという思いに至りました。

本書は講義形式にしました。書名に「講義」とつくと,中には堅苦しいイメージを抱かれる方もいらっしゃるかもしれませんが,そうしたことはありません。出席もとりませんし,試験もありませんので,気楽にお読みいただければと思います。講義は,質問や感想としてその場でフィードバックされるほうがやりやすいものです。そのため,この講義では黙って話を聞くというスタイルではなくて,いつでも発言できるような対話的な雰囲気をつくりたいと思い,仮想的な質問と回答を入れました。実際に受けた質問も多く含まれています。本書の構成上,脳科学の基礎的な事項の説明から始めて,後に進むにつれて音楽との関係が深まります。待ちきれない方は後半を先に読んでいただいても構いません。また,本書は「音大生・音楽家のための」と書名につけているものの,一般の方々や音大以外に所属する大学生,さらには高校生にも楽しんで読んでいただける内容になるように心掛けました。

本書でこれから学ぶのは「脳科学」という学問です。その名のとおり脳に関する科学(サイエンス)ですが,脳は思考や感情を司っているので,ほかの多くの学問領域にまたがる学際的な学問であるという特徴を持っています。哲学や心理学,行動学などとも密接な関係があり,一つの学問分野の枠に収まらない独特の領域を形成しています。また,最近は実験技術や実験データの解析技術が飛躍的に進歩して,研究のフロンティアが急速に拡大しています。特に脳イメージング法の目覚ましい発展に支えられて,今日の脳科学はとてもエキサイティングなサイエンスになっています。それでも,知りたいことが依然未知のままであるものもたくさんあります。現在進行形のサイエンスとして,そのような部分も楽しんでいただけたら幸いです。

2021年2月
田中 昌司

第1講 脳の進化と構造
1.0 講義の前に
1.1 脳の進化
 1.1.1 脳の誕生
 1.1.2 連合野
 1.1.3 知性の誕生
1.2 脳の構造
 1.2.1 大脳皮質
 1.2.2 前頭葉
 1.2.3 前頭前野
 1.2.4 運動野
 1.2.5 頭頂葉
 1.2.6 側頭葉
 1.2.7 後頭葉
 1.2.8 小脳
 1.2.9 大脳基底核
 1.2.10 視床
 1.2.11 脳幹
第1講を終えてのQ&A

第2講 感覚・知覚
2.1 視覚
2.2 聴覚
 2.2.1 聴覚野
 2.2.2 マガーク効果
2.3 体性感覚
2.4 味覚・嗅覚
2.5 内臓感覚
第2講を終えてのQ&A

第3講 脳の記憶システムと学習
3.1 短期記憶
3.2 ワーキングメモリー
3.3 長期記憶
3.4 意味記憶
3.5 エピソード記憶
3.6 H.M. 
3.7 手続き記憶(スキルの記憶)
第3講を終えてのQ&A

第4講 運動制御と演奏
4.1 運動制御
4.2 感覚フィードバック
4.3 内部モデル
4.4 空間認知
4.5 認知制御
4.6 プランニング
4.7 メタ認知
第4講を終えてのQ&A

第5講 感情
5.1 感情とは
5.2 感情の脳部位
5.3 感情のコントロール
5.4 報酬
5.5 音楽による感情
5.6 音楽の効果
第5講を終えてのQ&A

第6講 共感
6.1 心の理論
6.2 社会脳
6.3 ミラーニューロン
6.4 心の痛み
6.5 共感
第6講を終えてのQ&A

第7講 情景
7.1 情景の構築
7.2 マインド・ワンダリング
7.3 メンタル・タイムトラベル
7.4 デフォルトモード・ネットワーク
7.5 審美性
7.6 音楽は脳でつくられる
7.7 失音楽症
第7講を終えてのQ&A

第8講 音楽家の脳
8.1 構造的な特徴
 8.1.1 心の目で見る
 8.1.2 音楽のシンタックス
 8.1.3 楽器の演奏
 8.1.4 演奏スキルのネットワーク
8.2 ネットワーク
8.3 絶対音感
8.4 音楽家のワーキングメモリー
8.5 音楽家の視覚
8.6 イメージ演奏実験
8.7 創造性
第8講を終えてのQ&A

引用・参考文献
講義の後で
索引

田中 昌司

田中 昌司(タナカ ショウジ)

上智大学理工学部教授
脳科学の研究者として,脳のモデリングやコンピュータ・シミュレーションによる研究と脳イメージング研究(fMRI、脳波)をしてきました。音楽がなぜ人を魅了するのかという素朴な疑問が発端となって、最近は音楽家の脳を調べています。音楽を聴く機会が増え、とくにオペラにはその魅力に取りつかれてしまいました。人の心を揺さぶる力がどこにあるのか。演劇として観ることで立体感も増し、演劇全般にも興味が広がりました。音楽や演劇の中に新しい脳科学の重要なテーマを見出して研究しています。

「読売新聞」夕刊READ&LEAD(2021年6月15日) 掲載日:2021/06/15

掲載日:2023/05/15

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掲載日:2022/10/17

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掲載日:2022/05/30

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掲載日:2022/03/28

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「心理学ワールド」95号

掲載日:2021/10/07

読売新聞広告掲載(2021年10月7日)

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掲載日:2021/04/15

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