日常と非日常からみる こころと脳の科学

日常と非日常からみる こころと脳の科学

特殊条件下で顕わになる非日常的な不思議な体験を手がかりに,心理学と脳科学の知見をわかりやすく紹介した。

ジャンル
発行年月日
2017/10/20
判型
A5
ページ数
206ページ
ISBN
978-4-339-07814-5
日常と非日常からみる こころと脳の科学
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定価

2,860(本体2,600円+税)

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「自分でくすぐるとくすぐったくない」等の日常生活で馴染みのある経験,また「危険な経験はスローモーションに感じる」等の特殊条件下で顕わになる非日常的な不思議な体験を手がかりに,心理学と脳科学の知見をわかりやすく紹介。

まえがき
私たちが心理学や神経科学の講義をしていて気づくことがあります。それは,受講生の関心と理解を促すには(あるいは眠気を防ぐには),身近な経験を例に挙げながら解説することや,不思議な錯覚現象を体験してもらうことが得策だということです。それもそのはずです。私たちが直接みることができるのは自分自身の「こころ」のみであり,自分自身の実感なしに「こころ」というものを理解することは難しいからです。
そこで本書は「限定品と聞くと買わずにいられない」「自分でくすぐるとくすぐったくない」といった日常生活の中でお馴染みの経験,また「危険な経験はスローモーションに感じる」「人工的に体外離脱を起こせる」といった特殊条件下で顕わになる不思議な体験を手がかりに,「こころ」とそれを織りなす「脳」に関する科学的知見を紹介していきます。

本書の特色
本書は計27のトピックから構成されています。前半から中盤にかけては,非日常的で摩訶不思議な体験を紹介するトピック,そして,日常の生活,スポーツ,学習,社会性などにまつわるトピックで構成されています。終盤は,脳情報デコーディング,意識の統合情報理論といった最先端トピックで幕を閉じます。さらに,追加トピックとして人工知能も取り上げています。
また,本書で特筆すべきは,心理学や神経科学ですでに定番となっている知見だけでなく,最新の知見を紹介するトピックも多数揃えており,そのうち半数以上は原著論文の著者自身によって執筆されているということです。

本書のねらい
読者層としては,初学者レベルの大学生を中心に想定しています。心理学や神経科学を専門としない教養科目の受講者にも興味をもって読んでもらえると同時に,「こころ」や「脳」に関するテーマで卒業研究に取り組もうとする学生たちに,これから原著論文をあたっていくための準備段階の教材・資料として利用してもらえることを期待しています。さらには,大学院生以上の読者層に定番知見の復習や最新知見のチェックに役立ててもらえることも目指しました。そのため,ページの許す限り図解を心がけ,各トピックに引用文献リストを設けました。また文中のキーワードの理解を深めるための用語集も充実させました。

本書の読み方・使い方
各トピックはそれぞれ独立に内容が構成されており,タイトルをみて興味をもったトピックから読むことができます。また,一部のトピックの間には関連性もあり,トピック順にも緩やかな筋立てがありますので,順番どおりに読むのもおすすめです。個々の興味や用途に応じて,自由な読み方で楽しんでいただければと思います。
授業のテキストとして用いる場合,1回の授業の中で一つのトピックをじっくり深めることも,関連するトピックを組み合わせることも可能です。いずれの形でも,授業半期分(15回)の教科書として十分なトピック数となっています。

謝 辞
本書の制作にあたり,私たちは心理学・神経科学・スポーツ科学で活躍している新進気鋭の研究者に各トピックの執筆をお願いしました。執筆者の皆様には研究や教育でご多忙の中,素晴らしい原稿を作成していただき,かつ私たちのしつこいまでの改訂依頼にも最後まで忍耐強くお付き合いいただきました。
これらの原稿や用語集の査読・改訂にあたっても,多くの研究者にご協力いただきました(編者一覧参照)。特に脳機能計測に関する用語解説の編集にあたって,河内山隆紀先生(ATR─Promotions)に格別のご尽力をいただきました。加えて,北澤茂先生(大阪大学)から要所要所で大変効果的なご助言をいただきました。
ご協力いただきました皆様と,皆様を支えたご家族に深謝申し上げます。

2017年8月 宮崎 真・阿部 匡樹・山田 祐樹

1. 危険な経験はスローモーション
    ― 脳は命に関わる出来事を事細かに記憶する
2. 天井のしみが人の顔に見える
    ― パレイドリア:脳の中で作られる顔
3. 音や数に色が見える
    ― 共感覚:五感どうしの複雑な関係
4. 皮膚の上を飛びはねていく小さなウサギ
    ― 逆行する脳の中の時間
5. あなたも体験できる体外離脱
    ― 体外離脱体験を利用して探る自己身体の認識を形成する脳の仕組み
6. 自分でくすぐるとくすぐったくない
    ― 自身と外界を見分ける脳の仕組み
7. 時間よ,止まれ!
    ― 体の動きによって引き伸ばされる脳の中の時間
8. オフサイド判定で誤審が起こりやすいわけ
    ― フラッシュラグ効果
9. 下手な動作は見ないほうが良い?
    ― 知らず知らずのうちに伝染する他者の動作
10. よく学び,よく休め
    ― 運動記憶のコンソリデーション
11. 無の境地でナイスプレイ
    ― 身体運動の学習と制御における意識的なプロセスと無意識的なプロセス
12. “やる気”が脳に効くわけ
    ― “側坐核”がリハビリテーション効果をアップ
13. しっぺ返しの応酬はエスカレートする
    ― 自身の行為の結果を過小評価する脳
14. 読みづらい文字のほうが憶えやすい
    ― ちょっと意外な記憶の仕組み
15. 限定品ゲット!
    ― 消費者心理に働く希少性の原理
16. “文殊の知恵”もパートナーしだい
    ― 集団的な知覚判断の最適統合の法則
17. 泣くから悲しいのか,悲しいから泣くのか
    ― ジェームス・ランゲ説再び
18. その決定,本当にあなたの意思どおり?
    ― 選択盲:意思決定の不確実さ
19. 悪い結果は私のせいではない
    ― ご都合主義な脳の原因帰結
20. スマホスワイプで気分上々
    ― 身体化される認知と感情
21. 目は口程にものをいう?
    ― 感情認知の文化差
22. わかっていても止められない
    ― ギャンブルにはまる心理と脳のメカニズム
23. 三つ子の魂百まで
    ― パーソナリティは変わらないのか?
24. 脳を見れば能力がわかる?
    ― 脳構造画像解析による脳相学
25. いま,なに見ている? あなたの頭の中をのぞけます
    ― 脳情報のデコーディング:脳活動からこころを可視化する技術
26. デジタルカメラにも意識は宿る?
    ― 意識の統合情報理論
ex. AIの基礎
    ― 人工ニューラルネットワークの仕組み
用語集
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日本心理学会機関誌「心理学ワールド82号 自著を語る」 掲載日:2018/07/25

リンク先にて著者の山田祐樹先生の書籍紹介をご覧いただけます。
記事リンク
(2018年7月25日現在)

高知新聞夕刊 2018/07/4 掲載日:2018/07/04

西日本新聞朝刊 2018/02/11 掲載日:2018/02/13

西日本新聞Web版【書評書評<九州の本>】
記事リンク
(2018年2月13日現在)

日刊工業新聞2017年11月24日 「話題の本」欄(北大HPより) 掲載日:2017/11/29


BOOKウォッチ2018/7/1 日曜J-CAST書評 掲載日:2018/07/02


「静岡新聞」2018年1月5日付け夕刊2面(静岡大情報学部HPより) 掲載日:2018/01/09


掲載日:2021/10/11

「心理学ワールド」95号

編著者の宮崎真先生による,本書籍名を冠したご講演「日常と非日常からみる こころと脳の科学」が2019年8月17日に開催され,講演の記事が読売新聞に掲載されました。下記URL先(静岡大Webサイト)にて詳細をご覧いただけます。
http://www.inf.shizuoka.ac.jp/news/detail.html?CN=154356