その常識は本当か これだけは知っておきたい 実用オーディオ学 (増補) - アース,CDとハイレゾ,室内音響,ケーブル,アナログレコード,計測 -

その常識は本当か これだけは知っておきたい 実用オーディオ学 (増補)- アース,CDとハイレゾ,室内音響,ケーブル,アナログレコード,計測 -

オーディオの世界で「科学的発想は便利」という視点の好評書籍にアナログレコードを増補。

ジャンル
発行年月日
2024/08/20
判型
A5
ページ数
168ページ
ISBN
978-4-339-00994-1
その常識は本当か これだけは知っておきたい 実用オーディオ学 (増補) - アース,CDとハイレゾ,室内音響,ケーブル,アナログレコード,計測 -
在庫あり
2営業日以内に出荷致します。

定価

2,530(本体2,300円+税)

カートに入れる

購入案内

  • 内容紹介
  • まえがき
  • 目次
  • レビュー
  • 著者紹介
  • 書籍紹介・書評掲載情報
  • 広告掲載情報

【読者対象】
オーディオを趣味として楽しんでいる方を幅広く対象としています。

【書籍の特徴】
音響学とオーディオは、非常に深い関連はありますが、同じではありません。オーディオは趣味性が高い世界なので、必ずしも物理学に支配される必要はなく、個人がよい音と感じればそれでよいのです。しかし、他人にとっては一般性のない経験則に支配されたり、未確認なことを確認済と錯覚してしまったりすることで、もっと近道があったのに遠回りしてしまうなら、それは「趣味だから問題ない」とばかりは言えないのではないでしょうか。限られた資金と時間で、効率的に良い音を手にするには、科学的発想は、少なくとも「便利」だ、というのが本書の趣旨です。
科学的というと、人に聞こえない2万Hz以上を再生するハイレゾは意味がない、とか、高価なオーディオ機器でも数値特性は同じだから音が良いと思うのは錯覚だ、などの論調を想像されてしまうかもしれません。しかし、本書の趣旨はそういうものではないことを最初にお断りしておきます。安くても良いものはあるにしても、高価な機器でなければ絶対に聴けない驚愕の音も確かにあるのです。本書での筆者の提案は、論理に沿った「科学の作法」の導入です。例えば、音が変わったなら、科学的な理由を考えてみましょう。逆に、ある説について、「それは迷信だ」と思う前に、「本当なのだとしたらなぜか」と考えてみるのも大切です。
2024年での増補版では、「アナログレコードの科学」を追加しました。感覚的なアナログの魅力を伝えるのではなく、関連する科学、技術、根拠のある正しい調整法などを正確に伝える情報を中心に書き加えることで、本書の役割をさらに広げようと思いました。これが増補版の目的です。

【各章について】
第1章では、アースと電源配線の科学を解説します。アースを繋いだほうがよい場合と繋がないほうが良い場合があるのです。
第2章では、CDとハイレゾの技術を実験結果を交えながら解説します。CDの音についてのよくある誤解についても、そのどこが誤解なのかを説明します。
第3章では、SACDを解説します。SACDの音が優れている理由は超音波まで出せるからではないのです。
第4章では、室内音響とその調整を一般家庭での部屋の大きさを前提に解説します。単純な試行錯誤では遠回りになりましょう。ここでも科学的な思考が役立ちます。
第5章では、接続ケーブルの科学を解説します。ケーブルで音を調整する前に、まずは科学的に正しく接続しましょう。
第6章では、アナログレコードの科学を解説します。デジタル機器より調整による音の変化が大きく、その科学を理解することは良い音への近道です。
第7章では、比較的低コストで入手できる測定機材とその使い道を紹介します。

【著者からのメッセージ】
本書が、読者の皆さんがより効率よくオーディオを改善していくための一助になれば、大変にうれしく思います。

増補版まえがき

初版の出版から5年が経過しましたが,オーディオに関連する普遍的で科学的な解説を中心としていたため,古くなってしまった内容は特にはないと思っています。一方,執筆当時と異なる状況は,アナログレコードが急に注目を集め始めたことです。アナログレコードは,デジタル音源とはまったく異なる科学が背景にあります。しかも,調整などに活かすことができる点で,その科学を知ることの意味は大きいと言えましょう。それに加えて,アナログレコードの技術的な誤解も少なくないことも感じています。そこで,本増補版でアナログレコードの章を追加するにあたり,感覚的なアナログの魅力を伝えるのではなく,関連する科学,技術,根拠のある正しい調整法などを正確に伝える情報を中心に書き加えることで,本書の役割をさらに広げようと思いました。これが増補版の目的です。筆者は,アナログレコード関連の機材をずっと愛用してきました。音質やノイズが懐かしいなどというノスタルジーではなく,調整次第で本当に良い音にできます。そして,一般に信じられているほどノイズは目立ちません。本増補版では,それを実現するための方法も解説しています。

アナログレコードプレーヤーはアースの取り方が例外的なので,第1章には脚注を追記し,レコードプレーヤーのアースについて第6章で解説しています。なお,第7章には測定機材も一つ追加しました。

読者の皆様に,本増補版を通してオーディオの楽しさをさらに知ってもらえれば,筆者としてとても嬉しく思います。

2024年7月


元本まえがき
音響学とオーディオは,非常に深い関連はありますが,同じではありません。オーディオは趣味性が高い世界なので,必ずしも物理学に支配される必要はなく,個人が良い音と感じればそれでよいし,第三者による再現性さえ要求されないこともありましょう。そこが学問としての音響学と異なります。だから,オーディオを探求することは,オーディオ学よりオーディオ道の名がふさわしいかもしれません。

例えば,部屋の照明を変えたら音が良くなったと感じたとしましょう。それはそれでよいと思います。音響学的,物理学的には考えにくいですが,オーディオ道としてはよくあることですし,否定される必要は何もありません。実は,昨今の科学では,このような人の感じ方も科学的に解析することは可能になっていて,むしろ重視されつつあるのですが,そんな難しいことを言わず,「趣味としてのオーディオ道は科学だけでは語れない」ということにしておいても別に構わないのです。

長年,趣味としてオーディオ道を楽しんできた筆者も,もちろんそれでよいと思っています。他人が良いと思う音に異論をはさむ気持ちはありませんし,私自身が良いと思った音が,他人にも良いとは限らないことはよく理解しています。しかし,それでも,私が科学者であるがゆえ,時としてオーディオに関しても,こう思うことがあるのです。「それは論理性がおかしくないか,人を惑わせていないか」と。

オーディオ道を楽しむのに必ずしも科学はいりませんが,他人にとっては一般性のない経験則に支配されたり,未確認なことを確認済と錯覚したりしてしまうことで,もっと近道があったのに,遠回りしてしまうなら,それは「趣味だから問題ない」とばかりは言えないのではないでしょうか。科学的なオーディオというと,人に聞こえない20,000Hz(20kHz)以上を再生するハイレゾは意味がない,とか,高価なオーディオ機器でも数値特性は同じだから,音が良いと思うのは錯覚であり科学的ではない,などの論調を想像されてしまうかもしれません。しかし,本書の趣旨はそういうものではないことを最初にお断りしておきたいと思います。安くても良いものはあるにしても,高価な機器でなければ絶対に聴けない驚愕の音も確かにあるのです。オーディオは割とお金のかかる趣味だと言わざるをえません。どうしてもそれなりの資金の投入が必要になってしまう。そこで,限られた資金と時間で,効率的に良い音を手にするには,科学的発想は,少なくとも「便利」だ,というのが本書の趣旨なのです。

筆者の提案は,論理に沿った「科学の作法」の導入です。例えば,音が変わったなら,科学的な理由を考えてみましょう。その変化は条件を変えても再現できるか,あるいはできないか,も重要です。ある説について,「それは迷信だ」と思う前に,「本当なのだとしたらなぜか」と考えてみるのも大切です。頭から否定しないのも科学の作法だと思います。昨今は測定器も安くなりましたし,できれば測定もしてみましょう。仮説でもよいので,理由の説明を考えるうちに,科学的思考が身についていくように思います。

本書が,みなさんがより効率よくオーディオを改善していくための一助にでもなれば,大変にうれしく思います。

最後に,参考として,筆者のオーディオシステムの概要を図示しておきました。本書は,これらのシステムを紹介するのが目的ではないので,個々の説明はしませんが,どのようなオーディオ感を持った人物かは,その装置構成を見ればある程度わかると思いますし,本書の読者ならきっとそこを知りたいと思うので,機材と接続方法だけは示しておくことにしました。アナログディスク,CD,SACD,ハイレゾファイルの音源が聞けます。アナログディスクとSACDもA/Dコンバーターでいったんデジタル化していて,上記の4音源はすべて,デジタルイコライザーとD/Aコンバーターを通した同じ経路で聞くという,かなり特殊なシステムになっています。接地の仕方も工夫していますが,これ





については本文でも解説したいと思います。

2018年11月
岡野邦彦

1. アースと電源配線の科学
1.1 アースとは何だろう
1.2 アースに関するQ&A
1.3 信号線のアースと電源のアース
 1.3.1 つなぐなら基本は一点接地
 1.3.2 アースと信号線の両方がループを形成する例
 1.3.3 電源プラグのアースはつなぐべきか
 1.3.4 電源配線はタコ足配線がよいかも
 1.3.5 家庭用交流電源の屋内配線
1.4 人間を接地する
1.5 アースと電源配線のまとめ

2. CDとハイレゾの科学
2.1 CDとハイレゾとは
2.2 CDとハイレゾに関するQ&A
2.3 CDに関する不可解な「常識」
2.4 サンプリングレートと信号の再現精度
2.5 D/Aコンバーターの波形は可聴域でも意外と異なる
2.6 サンプリング定理との関係
2.7 CDのエラー訂正への誤解
2.8 CDのパーフェクトリッピング
2.9 CDのエラー訂正の原理
 2.9.1 ビット,符号,フレーム
 2.9.2 エラー訂正のステップ
 2.9.3 エラー訂正のイメージ
 2.9.4 再生プロセス
 2.9.5 読み出しドライブによるエラー
2.10 CDとハイレゾのまとめ

3. SACDの科学と高音質の秘密
3.1 SACDとDSD
3.2 SACDとDSDに関するQ&A
3.3 1ビットDSDによるA/D変換の概念
3.4 なぜSACDは良い音なのか
3.5 SACDとDSDのまとめ

4. 室内音響の科学
4.1 音響調整が必要なわけ
4.2 室内音響に関するQ&A
4.3 定在波の特性
4.4 補正してもよい節といけない節
4.5 スピーカー配置や聴取位置による周波数特性変化
4.6 周波数特性の測定方法と測定機材
4.7 イコライザーの種類
4.8 イコライザーの接続
4.9 共鳴ピークの除去
4.10 オーディオにおけるdBの話
 4.10.1 dBの定義
 4.10.2 音圧を考えるときのdB
 4.10.3 アンプ類の入出力や増幅率(ゲイン)を考えるときのdB
4.11 ダイナミックイコライザーの効用
 4.11.1 音楽鑑賞中に聞こえるダイナミックレンジ
 4.11.2 写真の世界ではダイナミックレンジ調整は常識
 4.11.3 聴感上のダイナミックレンジ拡大
4.12 スピーカーグリルによる特性変化の実測
4.13 室内音響のまとめ

5. 接続ケーブルの科学
5.1 接続ケーブルの役割
5.2 接続ケーブルに関するQ&A
5.3 インピーダンスとは
5.4 接続ケーブルの種類と特徴
5.5 アナログ接続のインピーダンス
5.6 デジタル接続のインピーダンス
5.7 光デジタルケーブル
5.8 デジタル接続での信号ロスと補間の可能性
5.9 接続ケーブルのまとめ

6. アナログレコードの科学
6.1 レコードに関するQ&A
6.2 レコード再生の原理
 6.2.1 音溝の構造
 6.2.2 カートリッジの構造
 6.2.3 フォノアンプの周波数特性(RIAA規格)
 6.2.4 レコード針のいろいろな形状
6.3 レコードプレーヤーのアース
6.4 トーンアームの形状
6.5 インサイドフォースの力学
 6.5.1 インサイドフォースの発生原理
 6.5.2 インサイドフォースキャンセラー
 6.5.3 インサイドフォースは針の形状で変わる
6.6 カートリッジ傾きの調整と特性変化
 6.6.1 カートリッジのアジマスとは
 6.6.2 垂直アジマスの調整とその効果
6.7 レコードのダスト対策
6.8 フォノケーブルで音は変わる?
6.9 アナログレコードの科学のまとめ

7. あると役立つ測定機材
7.1 リアルタイムアナライザー(RTA)
7.2 マルチチャンネルオシロスコープ
7.3 赤外線温度計
7.4 レーザー式精密距離計
7.5 非接触電流計

参考文献
あとがき
索引

読者モニターレビュー【 N/M 様(業界・専門分野:総合情報学[情報科学])】

本書は,2019年に発売された『その常識は本当か
これだけは知っておきたい実用オーディオ学』の増補版であり,オーディオ(再生機器,音声信号)についての記述がなされている.

なお,レビュー者である私自身,オーディオについてあまり詳しくはなく,過去に音や音響に関する書籍のレビューをいくつかさせていただいた際に得た知識程度(それら全ての知識が,私自身の知識として完璧に定着しているというわけでは残念ながらない)であることを予め断っておく.

増補版では,6章の「アナログレコードの科学」の章が新たに追記されている点である.昨今,アナログレコードの人気が再び起きており,アナログレコードについても,科学的に考えるきっかけにもなるだろうと思われる.

全体的に章を通して,オーディオに関連するアースや電気配線,CDやハイレゾ,室内の音響設備,ケーブルなどの,素朴な疑問をQ&A形式での解説から始まり,巷でオカルト的に信じ込まれているであろう,オーディオに関する俗説をいくつか取り上げて「これって本当なの?」という具合に問題提起されている.その後,著者の考えを根拠となる簡単な実証実験と共に明らかにして,「ひょっとして,こうなんじゃないの?」という具合に,決して断定的に語るのではなく,あくまでも著者自身の考えを,科学的な作法により解説してある点が本書の大きな特徴でもある.

本書を通じて,俗説をそのまま受け入れるだけで留まらず,一歩先の科学的な目を通して考えるということを行うことで,結果的に,より良いオーディオ体験が得られるものだろうとも感じた次第である.

レビュー,書籍紹介・書評掲載情報一覧

岡野 邦彦

岡野 邦彦(オカノ クニヒコ)

1984年東京大学大学院工学系研究科 博士課程修了,工学博士.㈱東芝R&Dセンター,電力中央研究所,国際核融合エネルギー研究センター(副事業長),慶應義塾大学機械工学科(教授)を経て,現職は株式会社ODAC取締役.プラズマ物理を基盤に,炉工学まで広く含めた核融合炉の概念設計の研究を続けてきた.Youtubeでも核融合の一般向け解説を多数公開している.文部科学省 核融合科学技術委員会委員,同核融合開発戦略タスクフォース主査などを歴任.中学生時代からオーディオを愛好し,デジタル録音,CD,SACD,ハイレゾの登場を体験した.同じく中学生時代にはじめた天体写真では,新しい画像処理法の「デジタル現像」や,露出時間を大幅に短縮できる「LRGB 合成カラー撮影法」を開発した天体写真家としても知られている.
 おもな著作に,「デジタル・アイ―冷却CCD でとらえた深宇宙」地人書館(1998),「冷却CCD カメラによる天体撮影テクニック」誠文堂新光社(2002),「プラズマエネルギーのすべて(共著)」日本実業出版社(2007),「天文年鑑(冷却CCD・デジタル一眼レフの項を執筆)」誠文堂新光社(2008 年版以後),「冷却CCD カメラ・テクニック講座」誠文堂新光社(2009),「人類の未来を変える核融合エネルギー(共著)」シーアンドアール研究所(2016),「その常識は本当か これだけは知っておきたい 実用オーディオ学」コロナ社(2019),「核融合エネルギーのきほん(共著)」誠文堂新光社(2021)などがある.

『Stereo Sound』No.232(2024年秋号)(株式会社ステレオサウンド) 掲載日:2024/09/03
「SS Information」にてご紹介いただきました。

レビュー,書籍紹介・書評掲載情報一覧

掲載日:2024/09/03

『Stereo Sound』No.232(2024年秋号)

掲載日:2024/09/02

電子情報通信学会誌2024年9月号

掲載日:2024/08/27

日本音響学会 2024年秋季研究発表会 講演論文集広告