改訂 プロジェクト学習で始めるアクティブラーニング入門 テーマ決定からプレゼンテーションまで

改訂 プロジェクト学習で始めるアクティブラーニング入門 - テーマ決定からプレゼンテーションまで -

アクティブラーニング?円滑なグループワークの秘訣は?プレゼンのコツは?に答えます

ジャンル
発行年月日
2019/12/20
判型
B5
ページ数
112ページ
ISBN
978-4-339-07823-7
改訂 プロジェクト学習で始めるアクティブラーニング入門 テーマ決定からプレゼンテーションまで
在庫あり

定価

2,090(本体1,900円+税)

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グループでの調査や議論を通して自主的に問題を発見し,問題解決の糸口を見つけ,その成果を発表したり文書化するための方法を紹介。改訂版では情報を追加し,取組みやすさを重視してプロジェクト学習の題材をより身近なものにした。

改訂にあたって
 プロジェクト学習にまだ不慣れな学生にとって,本書をよりわかりやすく,より親しみやすい水先案内人にしたいという執筆陣の願いが,本書の改訂という形で実を結ぶことになりました。実際に本書を活用したPBL 授業を3 年間,合計で6 セメスター実施するなかで,学生にとって理解しやすい内容に書き改めたり,より丁寧な説明を付け加えたりしたほうが良い部分が,多々出てきました。また,執筆者達の担当するPBL 授業の新しいテーマとしてSDGs を採用するというプロジェクトが浮上したことも改訂の副次的な動機となりました。
なお,本改訂では,つぎの5 名で分担して執筆しました。
 稲葉 竹俊:1,3,7 章
 佐藤 宏樹:2 章 
 鈴木万希枝:4 章
 村上康二郎:5,6 章
 神子島 健:8 章
 新指導要領に基づいて,アクティブラーニングを採用した授業が2020 年から小学校で,2021 年からは中学校で,いよいよ本格的に導入されます。そのようなきわめて重要な時期に,改訂版を出版できることは執筆者として大きな喜びとするところです。また,改訂をお認め頂いたコロナ社に謝意を表します。
 稲葉 竹俊 

まえがき
教員から学生への一方向的な講義だけでは,大学卒業後に学生たちが生涯にわたって活躍するのに十分な知識や能力の基礎を育てることができないという危機感から,学生が主体的かつ能動的に学習活動を進めていくようなアクティブラーニング型の授業が,多くの大学で導入されるようになっています。また,このムーブメントは大学だけにとどまらず,小学校から大学までの全教育課程に広がりをみせています。このような背景のもと,おびただしい数のアクティブラーニング関係の書籍がここ1,2 年の間に出版されるようになりました。これらの書籍の大部分は,教員をはじめとする学校組織の関係者を対象に書かれたもので,学生向けの書籍はほとんどありません。アクティブラーニングという学習論,授業設計論自体が,大部分の教員にとって未知のものであり,まずはその実態を掌握し,またその実施方法や実施事例に触れることから,その導入の準備を始めなければならなかったわけですから,これも当然と言えば当然の事態とも言えるかもしれません。

しかし,いまや受験生向けの大学案内や大学のホームページ,さらには各大学が公開するカリキュラムポリシーなどでもこの「アクティブラーニング」という言葉が使われるようになっています。また,本書が中心的に扱っているプロジェクト学習(project-based learning)や問題解決学習(problem-based learning),いわゆるPBL をアクティブラーニング型授業として,大なり小なり実施している大学も急増しています。本書はこのような状況を踏まえ,学習者として,つまりは主役としてアクティブラーニング型授業に参加している学生の皆さんがその授業のねらいや基本的な設計思想をよく理解しておく必要があるであろうという認識から執筆が計画されました。いままで慣れ親しんできた講義形式とは異なるスタイルの授業を行うのに教員サイドでそれなりの決意と前準備が必要であるのと同様,学生サイドにおいても,大学の既存の授業スタイルへの先入観を捨てて,新しいスタイルの授業に参加するのは大なり小なりのストレスになっていると思います。また,授業方法の変革が提唱されていることの社会的背景やその基本思想を理解せず,やみくもに参加を義務づけられる現状は放置できるものではありません。教育を社会的営為としてみると,学校組織はサービスの提供者であり,学生は享受者という面があります。サービスの享受者である学生の皆さんが,そのサービスの仔細について納得のいく説明を受けないままになっているのはあまり健全な状況とは言えません。 さらに,本書を手に取ることで,学生の皆さんにはアクティブラーニング型の授業方法のみならず,そこでめざされているものにも注目していただけると執筆者たちとしては大変嬉しく思います。本書の1 章に説明されているように,アクティブラーニングによる学びは,大学4 年間のみを視野に入れたものではなく,むしろ,卒業後,社会人として長期にわたって充実した仕事を続けている皆さんを念頭において,そのためにいまどんな力が必要なのかという視点から構想されたものであることをぜひとも理解してください。

アクティブラーニングは教育の根本に関わる原理であって,その具体的な実施方法はきわめて多岐にわたります。講義との併用や並列から,講義形式とは異なる学生主導のグループ活動を基本にするものまで,学生の主体的な活動が一部でも計画・実施されていれば,アクティブラーニング型授業になります。本書では,特にプロジェクト学習を扱っていますが,この選択にはさまざまな要因があります。まず,プロジェクト学習がアクティブラーニングの原理を全面的に採用した,典型的な授業形式であり,アクティブラーニングの原理を理解するうえでも,具体的な実現方法を理解するうえでも最適であると考えたからです。また,多くの大学において授業タイトルはさまざまですが,初年次ないし2 年次の科目として,実質はプロジェクト学習やそれと共通点の多い問題解決学習が実施されている点,とくにそれらの授業ではレポート制作や口頭発表が最終課題と課されている点も,本書執筆においては重視しました。

本書の執筆者たちは,勤務校である東京工科大学において,数年間にわたってプロジェクト学習型の授業を設計・運営してきました。本書の内容はその体験に基づいて書かれたものです。1 章(稲葉竹俊)においては,まずアクティブラーニングとはなにか,どのような背景から生まれてきたものかを概説しています。また,アクティブラーニングの実施方法としてプロジェクト学習の概要を示し,その全体的な流れについて説明しています。これに続く2 章(奥正廣)ではプロジェクト学習などのグループ単位での協働を伴う学習活動における基本ルールや作業の進め方やアイデアの立案・練り上げのための技法が述べられています。 3~7 章までが具体的なプロジェクト学習のプロセスを段階的かつ実践的に解説した部分であり,本書の中核部分となります。まず,3 章(稲葉竹俊)では,プロジェクトでの取組みテーマをどう絞り込むかについての方法や,プロジェクト学習に適したテーマ選択のための指針が提示されています。テーマが決まったら,どのように資料を収集し,分析を行うかについてが,資料収集の方法と併せて,4 章(鈴木万希枝)で述べられています。5,6 章(村上康二郎)では,レポートおよびプレゼンテーション用のスライド資料をいかに作成するかについての実践的な指針が具体的に説明されています。7 章(稲葉竹俊)は最終プレゼンテーションに向けての準備と発表で気をつけるべきポイントについての実践的なアドバイスが述べられています。

最後の8 章(稲葉竹俊,工藤昌宏)は,入門的なプロジェクト学習の事例として,執筆者たちが運営している東京工科大学2 年次学生を対象としたプロジェクト学習型授業の内容や授業の回ごとの活動について紹介しています。また,8 章で紹介したプロジェクト学習授業で学生たちが適時提出しているさまざまなシートをweb サイトに掲載しています。 学生の皆さんが,アクティブラーニング,とりわけプロジェクト学習活動の過程で遭遇するに違いないさまざまな困難に出会ったとき,本書を良き相談相手にそれら問題の解決にチャレンジしてくれるなら,まさにわれわれ執筆者たちとしては著者冥利に尽きるというものです。
2016年12月吉日 稲葉竹俊 

1. アクティブラーニングとPBL
1.1 アクティブラーニングとは
 1.1.1 アクティブラーニングの定義
 1.1.2 アクティブラーニングがなぜ注目されるようになったか
1.2 アクティブラーニングの実施方法
 1.2.1 アクティブラーニングの技法
 1.2.2 二つのPBLの概要

2. 協働を生み出すグループをつくるために
2.1 なぜ「グループ」で作業を行うのか
2.2 グループワークの流れ(プロジェクトの進め方)
 2.2.1 PDCAサイクル
 2.2.2 対話のプロセス
2.3 スムーズなグループワークを行うために
 2.3.1 メンバー同士の相互理解
 2.3.2 対話のルール
 2.3.3 グループワークのルール
2.4 グループワーク活性化のツール

3. どのように問題を設定するか
3.1 問題設定にあたって
3.2 どんな問題がプロジェクト学習活動にふさわしいか
 3.2.1 信頼性のある実証的データや関連資料
 3.2.2 適度な難問を設定する
 3.2.3 問題設定におけるチェック事項と文章化

4. どのように調査・分析を行うか
4.1 調査・分析の流れ
 4.1.1 下調べ
 4.1.2 資料収集
 4.1.3 資料の整理と分析
 4.1.4 資料の取捨選択
 4.1.5 さらなる資料収集
4.2 資料の種類と評価
 4.2.1 図書
 4.2.2 インターネット上の資料
 4.2.3 資料の評価
4.3 資料収集の方法
 4.3.1 図書館の利用
 4.3.2 インターネットでの文献検索
4.4 資料収集に役立つwebサイト

5. どのようにレポートを書くか
5.1 レポートとはなにか
5.2 レポートの構成・内容
 5.2.1 タイトル
 5.2.2 第1章はじめに
 5.2.3 第2章概要
 5.2.4 第3章問題点と議論状況
 5.2.5 第4章解決策の提案
 5.2.6 第5章おわりに
 5.2.7 参考文献
5.3 レポートを作成する際の注意事項
 5.3.1 レポートをわかりやすくする工夫
 5.3.2 文章表現に関する注意事項
 5.3.3 レポートの準備について
5.4 参考文献の記載について
 5.4.1 参考文献について
 5.4.2 参考文献の記載方法
5.5 サンプルを用いた解説

6. どのようにスライド資料を作成するか
6.1 わかりやすいスライドを作成するための基本的な考え方
6.2 スライドの構成・流れ
 6.2.1 スライドの構成
 6.2.2 スライドの枚数・デザイン
6.3 文字・文の書き方
 6.3.1 文字の書体と大きさ
 6.3.2 文の書き方
6.4 図解の仕方
 6.4.1 さまざまな図の形式
 6.4.2 ボックスと矢印
6.5 表・グラフの作成方法
 6.5.1 表の作成について
 6.5.2 グラフの作成について
 6.5.3 表・グラフに関する注意事項
6.6 画像・イラストの利用方法

7. どのように口頭発表を行うか
7.1 プレゼンテーションの準備の流れ
 7.1.1 読み原稿の作成
 7.1.2 読み練習
 7.1.3 発表練習
 7.1.4 想定質問と回答練習
 7.1.5 本発表
7.2 ほかのグループの発表を聴く

8. プロジェクト学習事例
8.1 テーマ設定の方向性
 8.1.1 テーマ領域
 8.1.2 テーマ選択の例①新聞を用いて社会問題を探すプロジェクト学習
 8.1.3 テーマ選択の例②SDGsと関連付けたテーマのプロジェクト学習
 8.1.4 テーマ選択の例③企業研究のプロジェクト学習
8.2 プロジェクト学習のスケジュール案
 8.2.1 テーマ決定までの流れのイメージ
 8.2.2 全体のスケジュール案

引用・参考文献
索引

鈴木 万希枝(スズキ マキエ)

掲載日:2020/01/09

「電子情報通信学会誌」2020年1月号広告