情報技術と情報管理 - IT社会の理解と判断のための教科書 -

情報技術と情報管理 - IT社会の理解と判断のための教科書 -

情報倫理や法制度といった情報管理の重要テーマを背景となる情報技術も含めて解説した。

ジャンル
発行年月日
2020/08/17
判型
A5
ページ数
256ページ
ISBN
978-4-339-02910-9
情報技術と情報管理 - IT社会の理解と判断のための教科書 -
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定価

3,300(本体3,000円+税)

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  • 内容紹介
  • まえがき
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  • 広告掲載情報

本書は,情報社会における技術や倫理について学ぶための大学生や一般の方向けの教科書ですが,特に情報分野や工学分野の人向けの本ではなく,コンピュータとインターネットを使うすべての人が対象読者です。

本書がカバーする内容は幅広く,そしてコンパクトにまとめられています。もしも,PCを購入され,これから「情報」をしっかり学ばれたい人に対してお勧めの本を2冊ほど選ぶとしたら,まず1冊目に挙げるのは,Word・Excelなどの誰もが使っているソフトウェアの入門書です。そして2冊目は,技術や知識を理解して学ぶことができる本書をお勧めします。

本書の特徴としては,これから学ぶ人にとっても,また,復習や調べ事で活用する人にとっても,素早く読み取ることができる扱いやすさが挙げられます。本書の執筆で重視されたポイントは,正しく,具体的に,かつ素早く学べることです。そのために,基礎的かつ客観的な視点で記述し,図表を豊富に掲載してあります。情報リテラシーやIT系資格試験のテキストと比べ,一歩踏み込んだ具体性が理解の助けとなるはずです。

今日では,コンピュータとインターネットによる「情報」は生活や仕事において毎日使うものとなりました。しかし,その仕組みや危険性はよくわからずに使用されているのではないでしょうか? また,操作方法だけのHow-To本やマニュアルでは,新たな場面への対応力が身につきません。そこで本書では,より便利に,より安全に「情報」を活用できるよう,目的・仕組み・背景・事例・事件などをまじえて理解しながら学ぶことを目指しています。情報技術を使いこなし,安全に情報管理できるスキルが,これからの時代でますます重要となることでしょう。

「情報管理学」の初版発行から約5年が経過した。その間も,情報に関する状況は日々変化し続けており,情報通信社会で活動するわれわれにとってつねに新しい知識と理解が必要である。本書は,新たな知識を追加して内容を充実させ,時代の変化に追随させたものである。情報管理ということでは,情報倫理や法制度などが重要テーマとなるが,初版では情報管理の背景となる情報技術にも触れた構成となっている。本書でもこの方針を引き継ぎ,情報技術に関する新たな知識を追加した。その分量も多くなったことから内容にあった名称として「情報技術と情報管理」に変更し,情報技術を学ぶニーズと情報管理を学ぶニーズの両方に対応できるようにしたものである。

初版では,大学において求められる「学士力」教育に対応するという役目があった。その内容は,大学生が持つべき情報リテラシーや情報活用力の習得に関わるものであり,とりわけ情報倫理や情報管理といった領域には実社会における事故・事件・問題等に発展するような重要な要素を多く含んでいる。例えば,著作権・プライバシーなどの侵害や個人情報流出,不正アクセスなどの事態は,人も企業も大きなダメージを受けてしまうような脅威度が高いものととらえるべきであろう。われわれは,これらの関連法規をどの程度知っているだろうか,そして自己の行動が問題になるかどうかを瞬時に判断できるであろうか。法律は,知らなかったでは済まないということが常識であり,ゆえに毎日のように自動車を運転する人は,当然,道路交通法を知っており,それを理解しさまざまな場面で瞬時に判断しているのである。しかし,毎日のようにインターネットを使い,ブログ,ツイッター,動画投稿などで情報の送信・公開の機会を有する人はどうであろうか。こうした人は自動車運転者並みに増えたとしても,危険に対する意識がそれほど高くないかもしれない。それ以前に,自分の行為が危険となることにすら気がついていないことが想像される。このことは,気づけないほど能力が劣っているのではなく,情報という無形物に対し,その性質や規則がわかりづらいということも大きな要因である。情報倫理や情報管理についてはもっと学ぶ必要があることは明らかであるが,危険に備えるためにHow-toやマニュアルなどの知識を詰め込んだとしても,変化していく環境で新たな事象に対応できるような応用力は身につきづらい。そこで,つぎのようなスキルの学習が重要となる。

・関連技術や背景にある理論,データ分析に関する知識。
・情報ツールや情報システムを活用する技能。
・収集情報やシステム状況,行動の結果などに対する適切な判断。
・自己を律し自ら学び,規範やルールに従って行動できる態度。
・物事を明確にし,システムを高度に活用する論理的思考。

情報通信社会において,これらの知識,技能,判断,態度,思考を用いた行動能力は,企業でも個人でも重要性を増しており,情報の効果的な活用と安全性の高い管理において,さまざまなケースに対応するために不可欠な基盤であろう。つまり,背景となる技術を理解し,情報活用の有用性と危険性に注目する能力,問題の事例を知り,さまざまな事態に遭遇した際の適切な判断・思考する能力が真に身につけたい能力なのである。

本書は,情報管理の背景となる情報技術や理論の知識,情報ツールの利用技能,情報倫理や法制度を知り行動できる態度,仕組みに対する論理的な思考など,これからの情報管理に関して重要と考えられる要素を取り込み具体的に解説するものである。主たる対象読者層を大学初年次としており,授業の教科書として用いる場合は,1科目の授業で概要的,あるいはポイントを絞って実施することも,また2科目にまたがって詳細に授業を実施することも可能と思われる。大学初年次というと社会人には縁がなく入門書というイメージがあるかもしれない。しかし本書は,決して入門レベルで終わらず,企業人や管理職の立場,また個人の立場においても,あるいは専攻分野・専門分野に関係なく学習教材や資料として有効であるように配慮し,具体的かつ詳細な情報で構成している。本書によって情報技術と情報管理に関わる幅広い事柄に興味を持ち,情報の持つ脅威に不安を覚えるのではなく,多くを知り理解することによって,まさに生涯学習である「情報」の学習モチベーションを高めていただけることを期待する。

2020年5月   深井裕二

1.インターネット社会と情報管理
1.1 情報社会
 1.1.1 インターネットの発展
 1.1.2 ICT
 1.1.3 情報サービス産業
 1.1.4 情報社会の問題点
 1.1.5 情報リテラシーとメディアリテラシー
1.2 情報管理
 1.2.1 情報社会のルール
 1.2.2 情報管理の学習
 1.2.3 利用者と管理者
 1.2.4 情報活動における非常事態
 1.2.5 情報管理とシステム管理

2.情報収集
2.1 検索エンジン
 2.1.1 検索サイト
 2.1.2 検索エンジンの仕組み
 2.1.3 SEO
2.2 情報収集
 2.2.1 キーワード検索
 2.2.2 目的に応じた検索
2.3 情報利用
 2.3.1 情報の判断
 2.3.2 情報の信憑性
 2.3.3 情報の引用
2.4 データの種類
 2.4.1 ファイル拡張子
 2.4.2 ファイルフォーマット

3.コンピュータ技術
3.1 コンピュータとその種類
 3.1.1 PCと携帯端末
 3.1.2 サーバ
 3.1.3 マイコンと組込み
3.2 ハードウェア
 3.2.1 コンピュータの5大機能
 3.2.2 CPUとマザーボード
 3.2.3 メモリとキャッシュ
 3.2.4 補助記憶装置
 3.2.5 入出力装置
 3.2.6 GPUと3Dグラフィックス
 3.2.7 ネットワークデバイス
 3.2.8 ICカード
 3.2.9 3Dプリンタ
 3.2.10 VR・AR・MR
 3.2.11 システムの信頼性
 3.2.12 バックアップとリストア
3.3 ソフトウェア
 3.3.1 OS
 3.3.2 ハードウェアとデバイスドライバ
 3.3.3 アプリケーションソフトウェア
 3.3.4 ソフトウェアライセンス
 3.3.5 オープンソースとフリーウェア
3.4 情報の単位と計算
 3.4.1 二進法
 3.4.2 情報の単位
 3.4.3 情報量の計算
 3.4.4 速度の計算
 3.4.5 論理演算
3.5 符号化
 3.5.1 文字コードとキャラクタセット
 3.5.2 エンコードとデコード
 3.5.3 データ圧縮
 3.5.4 映像品質
3.6 仮想化とサーバ管理
 3.6.1 仮想化技術
 3.6.2 サーバ仮想化
 3.6.3 サーバの遠隔操作

4.インターネット技術と先進的IT技術
4.1 TCP/IP技術
 4.1.1 LAN
 4.1.2 TCP/IPとプロトコルスタック
 4.1.3 URL
 4.1.4 IPアドレスとDHCPサーバ
 4.1.5 ドメイン名とDNSサーバ
4.2 Web技術
 4.2.1 WebサーバとWebブラウザ
 4.2.2 HTTPと暗号化通信
 4.2.3 Cookie
 4.2.4 静的Webと動的Web
 4.2.5 インターネット広告
4.3 サーバ
 4.3.1 サーバとOS
 4.3.2 ファイルサーバとNAS
4.4 人工知能と自動化
 4.4.1 人工知能と機械学習
 4.4.2 ディープラーニング
 4.4.3 IoT
 4.4.4 ビッグデータ
 4.4.5 自動化技術

5.インターネットの活用
5.1 情報メディアとWebの活用
 5.1.1 プロバイダとクラウド
 5.1.2 ソーシャルメディア
 5.1.3 ディジタルコンテンツ
 5.1.4 eラーニング
 5.1.5 電子書籍
5.2 電子メール
 5.2.1 メールサーバ
 5.2.2 電子メールの設定と機能
 5.2.3 メーリングリスト
 5.2.4 メールの記述法とマナー
5.3 ホームページとHTML
 5.3.1 Webコンテンツ
 5.3.2 HTMLによるWebページの作成
 5.3.3 CSSとWebデザイン
 5.3.4 Webの公開

6.情報倫理と関連法規
6.1 情報倫理
 6.1.1 ディジタル情報の性質と情報倫理
 6.1.2 情報社会における責任
 6.1.3 情報発信の留意点
 6.1.4 メール送信の留意点
 6.1.5 自己の個人情報送信の留意点
 6.1.6 情報セキュリティの留意点
 6.1.7 PCの管理とリサイクル
 6.1.8 トラブル等の情報サイトと相談窓口
6.2 情報に関する法律
 6.2.1 知的財産権制度
 6.2.2 プライバシーの権利
 6.2.3 個人情報保護法
 6.2.4 不正アクセス禁止法
 6.2.5 不正指令電磁的記録に関する罪
 6.2.6 特定電子メール法
 6.2.7 マイナンバー制度
6.3 情報にかかわる事例
 6.3.1 著作権侵害
 6.3.2 個人情報漏えい
 6.3.3 不正アクセス

7.情報セキュリティ
7.1 ネットワーク脅威と対策
 7.1.1 情報セキュリティと脅威
 7.1.2 コンピュータウイルス
 7.1.3 攻撃手法
 7.1.4 迷惑メール
 7.1.5 自然災害
 7.1.6 セキュリティ対策
7.2 パスワードと認証
 7.2.1 パスワードの強度
 7.2.2 パスワードの決定と管理
 7.2.3 ログインと認証
7.3 ファイルの圧縮と暗号化
 7.3.1 圧縮と展開
 7.3.2 暗号化と復号
7.4 暗号化通信方式
 7.4.1 共通鍵暗号方式
 7.4.2 公開鍵暗号方式
 7.4.3 電子署名

8.企業と情報システム
8.1 電子商取引とIT業務
 8.1.1 電子商取引と電子マネー
 8.1.2 ITアウトソーシングと労働者派遣
8.2 企業体制
 8.2.1 ITガバナンスとコンプライアンス
 8.2.2 情報セキュリティマネジメントシステム
 8.2.3 個人情報保護マネジメントシステム
 8.2.4 品質マネジメントシステム
 8.2.5 環境マネジメントシステム
8.3 企業システム
 8.3.1 ERP
 8.3.2 CRM
 8.3.3 SCM
 8.3.4 SLA
8.4 IT職種と資格
 8.4.1 アナリストとコンサルタント
 8.4.2 SEとプログラマ
 8.4.3 プロジェクトマネージャ
 8.4.4 ITスペシャリスト
 8.4.5 サービスエンジニア
 8.4.6 営業と販売
 8.4.7 国家資格とベンダー資格

9.データの運用と管理
9.1 データの分析
 9.1.1 基本統計量
 9.1.2 回帰分析
 9.1.3 ロジスティック回帰分析
 9.1.4 アクセスログの解析
9.2 情報のコード化
 9.2.1 コード化の種類
 9.2.2 JANコード
 9.2.3 ISBNコード
 9.2.4 バーコード
 9.2.5 QRコード
9.3 データベース
 9.3.1 データベース管理システム
 9.3.2 データベースの構造と設計
 9.3.3 テーブルとクエリ
 9.3.4 SQL
 9.3.5 データ管理とリスク管理

10.システム開発とプログラミング
10.1 システム開発
10.2 プログラミング言語
 10.2.1 プログラミング言語の分類
 10.2.2 その他の言語
10.3 アルゴリズム
 10.3.1 構造化プログラミング
 10.3.2 アルゴリズムの例
10.4 プログラミング
 10.4.1 VBAプログラミング
 10.4.2 自動化処理
 10.4.3 VBAプログラム例

索引

深井 裕二(フカイ ユウジ)

掲載日:2020/09/01

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