はじめての統計学

はじめての統計学

実用面を意識し,データ解析のための基本的な手法の理解と,それを使って結果を解釈できることを目的とした初心者向けの1冊

ジャンル
発行年月日
2017/02/28
判型
A5
ページ数
218ページ
ISBN
978-4-339-06113-0
はじめての統計学
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定価

2,750(本体2,500円+税)

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  • 内容紹介
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近年の情報化社会では,さまざまな分野においてデータ解析の方法論としての統計学の重要性が増してきている。
本書は初めて統計学を学ぶ人が,統計学の内容を楽しく理解できるように,平易な文章で,多くの例題や図表を取り入れ,自学自習でも興味を持って無理なく読み進めることのできるように心掛けた。また,実用面を意識し,データ解析のための基本的な手法の理解と,それを使って結果を解釈できる能力を養うことを目標としているため,統計理論の証明は極力避け,その理論を使うための説明と理解度を深めるための例題に重点を置いた。それに関連し,応用力を養うための演習問題も精選した。本書で学んだ方々が,各分野で統計的な手法を適用し,あるいはより高度な統計学に興味を持ち,新しい研究の動機付けとなれば,著者等の喜びとするところである。

1章「データの整理」では,調査,実験によって得られたデータから集団の性質や傾向を把握するための方法である「記述統計」を学ぶ。一般に,データは数値などの大量な情報の集まりなので,そのまま漠然と眺めていても集団が持つ性質や傾向は見えてこない。集めたデータの度数分布表からヒストグラムを作成して視覚的に,また平均や分散などを求めて数値的に集団の傾向を捉える方法を学習していこう。
2章「確率」では,統計学においても行動を決定する基準としてなくてはならない確率について,まず集合と順列・組合せについて学び,その後に確率論の基礎を学ぶ。
3章「確率分布」では,確率変数と確率分布の概念についての基礎知識を身につけることを目標とする。確率変数にはとびとびの値だけをとり得る離散型確率変数と連続的な実数値をとり得る連続型確率変数の2種類がある。それぞれの代表的な確率分布とその扱い方について学んでいこう。
4章「標本分布」では,本章以降で確率分布をもとに対象となる集団について推測する「推測統計」の基本的な考え方を学ぶことを踏まえて,準備として母集団や標本を確率論的に捉える方法を学ぶ。
5章「推定」では,点推定および区間推定と呼ばれる二つの推定の方法を学ぶ。点推定とは未知の母数を一つの数値で推定すること,区間推定とは未知の母数が一定の確率で入るような区間を求めることである。
6章「仮説検定」では,母集団に関するある仮説を立て,その仮説が正しいかどうかを標本をもとに判断する仮説検定について学ぶ。仮説検定は,さまざまな分野において意思を決定する際の合理的な方法として広く用いられている。
7章「分散分析法」では,仮説検定の応用として,分散分析法について学ぶ。ある特性についてのデータは種々の要因(因子)が影響して,ばらついていると考えられる。そこで,データをもとに,指定された因子の影響が認められるか否かを検定する方法が分散分析法である。ここでは,対象となる因子が一つの場合の1元配置法,因子が二つの場合の2元配置法について述べる。特に,繰り返しがある2元配置法では,二つの因子の各々の水準間の組合せによって現れる交互作用についても学ぶ。

本書は,初めて統計学を学ぶ人のための入門書として書かれたものである。近年の情報化社会では,さまざまな分野においてデータ解析の方法論としての統計学の重要性が増してきている。大学においても理系・文系を問わず,多くの分野で統計学の科目が設けられ,それに伴い統計学に関する教科書,参考書が多数出版されている。その中には,統計の理論的な側面に重点を置き,初学者には理解し難いテキストや,単なるお話に終始し統計的な手法を会得できない内容のテキストもある。本書は実用面を意識し,データ解析のための基本的な手法の理解と,それを使って結果を解釈できる能力を養うことを目標に書かれた教科書である。したがって,統計理論の証明は極力避け,その理論を使うための説明と理解度を深めるための例題に重点を置いた。それに関連し,応用力を養うための演習問題も精選した。
本書は大学の通年科目(4単位)での使用を想定しているため,統計学の入門書として基本的な内容を一通り網羅したつもりである。半期科目(2単位)で使用される場合は,各章での主要な部分を抜粋し学習することも可能である。本書で学ぶ上で,高等学校までの教育課程における確率統計の予備知識は必要としないが,数学II程度の微分積分の知識があった方が望ましい。

本書は初めて統計学を学ぶ人が,統計学の内容を楽しく理解できるように,平易な文章で,多くの例題や図表を取り入れ,自学自習でも興味を持って無理なく読み進めることのできるように心掛けた。本書で学んだ方々が,各分野で統計的な手法を適用し,あるいはより高度な統計学に興味を持ち,新しい研究の動機付けとなれば,著者等の喜びとするところである。

本書を執筆するに当たり,著者間で遺漏のないように意見交換したつもりであるが,不備な点もあると思われる。統計教育に携わっておられる教授各位のご批判と,本書で学ばれた方々からのご意見をお寄せいただければ幸いである。

本書の刊行に際し,ご尽力いただいたコロナ社の方々に深甚なる謝意を表すものである。

2017年1月 著者一同

1. データの整理
1.1 集団と変数の分類
1.2 度数分布表とヒストグラム
1.3 代表値と散布度
 1.3.1 代表値
 1.3.2 散布度
1.4 2次元データ
 1.4.1 相関係数
 1.4.2 回帰直線

2. 確率
2.1 集合
2.2 順列と組合せ
 2.2.1 順列
 2.2.2 組合せ
2.3 事象と確率
 2.3.1 試行と事象
 2.3.2 確率の定義
 2.3.3 確率の法則
2.4 条件付き確率と乗法定理
2.5 ベイズの定理
2.6 反復試行の確率

3. 確率分布
3.1 確率変数と確率分布
3.2 離散型確率分布
3.3 二項分布
3.4 ポアソン分布
3.5 いろいろな離散型確率分布
 3.5.1 離散型一様分布
 3.5.2 超幾何分布
3.6 連続型確率分布
3.7 正規分布
 3.7.1 標準正規分布
 3.7.2 確率変数の標準化
 3.7.3 正規分布による二項分布の近似
3.8 いろいろな連続型確率分布
 3.8.1 連続型一様分布
 3.8.2 指数分布

4. 標本分布
4.1 標本調査
4.2 母集団分布と標本分布
4.3 母比率と標本比率
4.4 正規母集団の標本分布
 4.4.1 χ2分布
 4.4.2 t分布
 4.4.3 F分布

5. 推定
5.1 点推定
 5.1.1 点推定の考え方
 5.1.2 不偏性,有効性,一致性
5.2 区間推定
 5.2.1 区間推定の考え方
 5.2.2 母平均の区間推定
 5.2.3 母分散の区間推定
 5.2.4 母比率の区間推定

6. 仮説検定
6.1 仮説検定の考え方
6.2 母平均の検定
6.3 母分散の検定
6.4 母比率の検定
6.5 母平均の差の検定
6.6 等分散の検定
6.7 適合度の検定
6.8 独立性の検定

7. 分散分析法
7.1 分散分析法とは
7.2 1元配置法
 7.2.1 実験順序の無作為化
 7.2.2 平方和の分解
 7.2.3 検定方法
7.3 2元配置法
 7.3.1 交互作用とは
 7.3.2 実験順序の無作為化
 7.3.3 平方和の分解
 7.3.4 検定方法

付録
A.1 数表
A.2 問題演習における数値計算上の注意

引用・参考文献
演習問題解答
索引

道家 暎幸(ドウケ ヒデユキ)

伊藤 真吾(イトウ シンゴ)

宮崎 直(ミヤザキ タダシ)

酒井 祐貴子(サカイ ユキコ)

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