コンピュータ科学序説 - コンピュータは魔法の箱ではありませんーそのからくり教えます -

コンピュータ科学序説 - コンピュータは魔法の箱ではありませんーそのからくり教えます -

コンピュータが発展してきた歴史的な流れを基軸とし,誕生した背景,原理や基本動作などコンピュータに関する基礎知識を網羅的に解説。

ジャンル
発行年月日
2019/04/05
判型
A5
ページ数
192ページ
ISBN
978-4-339-02892-8
コンピュータ科学序説 - コンピュータは魔法の箱ではありませんーそのからくり教えます -
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本書では,コンピュータが生まれた背景,原理や基本動作,ソフトウェアやネットワークの仕組みなど,コンピュータに関する基本知識を網羅的に解説します。コンピュータが発展してきた歴史的な流れを基軸として解説します。

本書は,現代社会を支えわれわれの生活に大きなインパクトを与えてくれるコンピュータについて,事前知識のない人にも理解できるように書いた初学者向けの入門書です。

コンピュータの出現によって,われわれの生活レベルはコンピュータ以前とは次元が違うほどに大きく変へん貌ぼうしました。パーソナルコンピュータはもとより,スマートフォンやゲーム機,インターネットやSNS,ロボットや自動運転車など,われわれが身近に使っている機器やサービスの根幹部分においてコンピュータが使われています。もはや,コンピュータは現代の神器であるといっても過言ではなく,あらゆる産業分野の基盤であり,われわれにとっては不可欠な存在です。

では,われわれの生活を支える不可欠な存在であるコンピュータとは,一体どのようなものなのでしょうか? どのような仕組みで動いているのでしょうか? なぜあのように高度な情報処理ができるのでしょうか? コンピュータの将来はどうなっていくのでしょうか?

もちろん,コンピュータは魔法の箱などではありません。人間がつくり上げた機械です。一言でいえば,現代のコンピュータとはon/offの機能をもつスイッチの塊です。しかし,そのスイッチの使い方に関して,多くの先人達の英知が詰まっています。数学や論理学,工学から心理学に至るまで,多くの学問分野の知見がぎっしりと詰まっているのがコンピュータなのです。

本書では,コンピュータに少しでも興味をもつ読者に,コンピュータが生まれた背景,コンピュータの原理や基本動作,ソフトウェアやネットワークの仕組みなど,コンピュータに関する基本知識を網羅的に学んでもらうことを目的としています。本書を通じてコンピュータに関する最低限の基礎を学び,さらにその先にあるさまざまな専門書を理解していただきたいと思っています。

コンピュータを構成する基本的な要素は,大別すればハードウェアとソフトウェアですが,もう少し詳しく見れば,例えばWindowsとかMacintoshとか呼んでいるオペレーティングシステム,ネットワークに接続するための通信制御,機器の操作性を決めるインタラクションなど,多岐にわたります。これらの要素は,それぞれが単独で存在するわけではなく,相互に関わりながら高度で多彩な機能が実現されています。

本書では,これら各分野の基本技術について,相互の有機的な関連をもたせながら学んでもらうため,コンピュータが開発され,発展してきた歴史的な経緯を基軸とし,この歴史的流れに沿ってコンピュータの基本概念を学んでもらうことを狙っています。

本書は,コンピュータとはどのような機械なのか(1章),ハードウェアはどのような構造なのか(2章),機械に計算させるための原理(3章),コンピュータの中で情報はどのような形で表現されているのか(4章),プログラムとはどのようにしてつくるのか(5章),オペレーティングシステムとはなにか(6章),コンピュータはどうやって通信するのか(7章),使いやすいコンピュータとはなにか(8章),という構成となっています。前半の1章~4章を米村が,後半の5章~8章を徳永が担当しました。

是非,本書を最後まで読み通していただき,コンピュータという現代における強力な道具を十分に使いこなす契機としていただきたいと思います。

2019年2月 著者

1. コンピュータとは
1.1 コンピュータの社会的意義
 1.1.1 情報技術は感動を生み出す
 1.1.2 情報技術は新しい産業創出の源である
 1.1.3 情報技術はコミュニケーション革命をもたらす
1.2 コンピュータのルーツ―手動式計算機械から現代型コンピュータへ―
 1.2.1 手動式計算機械の時代
 1.2.2 現代型コンピュータへ
1.3 現代型コンピュータは2進数で動く
1.4 スーパーコンピュータと人工知能
 1.4.1 高速計算へのかぎりない需要とスーパーコンピュータ
 1.4.2 『人工知能』が支配する近未来―2045年問題(シンギュラリティ)―
 1.4.3 情報工学の役割
1章の参考文献

2. コンピュータのハードウェア構成
2.1 計算する機械の概念
 2.1.1 チューリングマシン
 2.1.2 状態遷移図
2.2 世界初のコンピュータENIAC(エニアック)
2.3 ノイマン型コンピュータ
2.4 ハードウェアとソフトウェアとの分離
2.5 コンピュータアーキテクチャ
 2.5.1 コンピュータアーキテクチャとは
 2.5.2 システムアーキテクチャ
 2.5.3 コンピュータアーキテクチャの目標
 2.5.4 ハードウェアとソフトウェアのトレードオフ
2.6 高性能コンピュータ
 2.6.1 高性能コンピュータへの期待
 2.6.2 スーパーコンピュータ
 2.6.3 次世代コンピュータ
2章の参考文献

3. 計算する機械の原理―論理代数と論理演算―
3.1 記号論理学とは
 3.1.1 論理学とその記号化
 3.1.2 論理演算と真理値表
3.2 命題論理
3.3 ブール代数(論理代数)
 3.3.1 論理変数
 3.3.2 ブール代数の公式
 3.3.3 ブール代数を用いた推論のプロセス
3.4 論理演算を実現する論理回路
 3.4.1 NOT演算回路
 3.4.2 AND演算回路
 3.4.3 OR演算回路
 3.4.4 論理回路と回路記号
3.5 組合せ回路
 3.5.1 半加算器
 3.5.2 全加算器
3章の参考文献

4. 情報の表現
4.1 コンピュータ内での数値表現
 4.1.1 10進数と2進数/8進数/16進数
 4.1.2 基数変換―10進数と2進数/8進数/16進数―
4.2 補数表現と浮動小数点表示
 4.2.1 補数表現
 4.2.2 補数を用いた減算
 4.2.3 2進数の補数の計算方法
 4.2.4 浮動小数点表示
4.3 文字と記号の表現
4.4 情報量とは
 4.4.1 情報量とビットの概念
 4.4.2 情報のエントロピー
4.5 アナログからディジタルへ―アナログ/ディジタル変換―
4.6 ディジタルデータの符号化と圧縮
4章の参考文献

5. コンピュータのソフトウェア構成―プログラミング言語およびアルゴリズムとデータ構造―
5.1 プログラミング言語
 5.1.1 言語の特性
 5.1.2 モデル駆動開発
 5.1.3 プログラミング言語の発展
 5.1.4 プログラミング言語のモデル
 5.1.5 プログラミング言語に関わるいくつかの補足
5.2 アルゴリズム+データ構造=プログラミング
5.3 アルゴリズム
 5.3.1 アルゴリズムの設計指針―構造化プログラミング―
 5.3.2 アルゴリズムの表現手段―構造化チャート―
 5.3.3 アルゴリズムの評価尺度―計算量理論―
5.4 データ構造
 5.4.1 データ構造の体系
 5.4.2 データ構造を規定する四つの基準
 5.4.3 いろいろなデータ構造の例
5章の参考文献

6. オペレーティングシステム
6.1 オペレーティングシステムの定義
6.2 オペレーティングシステムの役割
6.3 オペレーティングシステムの誕生と意義
6.4 さまざまなオペレーティングシステム
6.5 オペレーティングシステムに関わるいくつかの補足
6章の参考文献

7. コンピュータネットワーク
7.1 通信ネットワークの発展
 7.1.1 電話網―アナログ通信網からディジタル通信網へ―
 7.1.2 移動通信ネットワーク―ケータイそしてスマートフォンへの道―
 7.1.3 コンピュータネットワークの台頭
7.2 コンピュータネットワーク
 7.2.1 LAN
 7.2.2 無線LAN
 7.2.3 パケット通信
7.3 インターネット
 7.3.1 インターネットの誕生
 7.3.2 通信プロトコル
 7.3.3 IPアドレスとDNS
 7.3.4 インターネットの基本的な仕組み
7.4 コンピュータネットワークに関わるいくつかの補足
7章の参考文献

8. メディアとヒューマンインタフェース
8.1 メディア処理―ディジタルメディアの基本構造とその処理方法―
 8.1.1 情報の圧縮/符号化
 8.1.2 情報の生成・合成
 8.1.3 情報の認識・検索
8.2 マルチメディアインタフェース―もっと便利に,もっと楽しいメディア―
 8.2.1 仮想現実感(VR)
 8.2.2 拡張現実感(AR)
 8.2.3 ウェアラブルコンピュータ(WC)
8.3 人間中心設計―使いやすいコンピュータシステムを設計する世界標準―
 8.3.1 人間工学,ヒューマンインタフェース(HI),ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
 8.3.2 二重インタフェースモデル
 8.3.3 ユニバーサルデザイン(UD)
8.4 人工知能と2045年問題(シンギュラリティ)―人工知能が抱える問題―
8章の参考文献

索引

米村 俊一

米村 俊一(ヨネムラ シュンイチ)

【専門分野】
ヒューマンコミュニケーション,ヒューマンコンピュータインタラクション,人間工学

【主要な研究テーマ】
・Computer Mediated Communication(コンピュータを介するコミュニケーションの支援)
・Human Computer Interaction
・情報通信のアクセシビリティ 

【略 歴】
1985年 新潟大学大学院修士課程修了
1985年 日本電信電話株式会社勤務
2008年 博士(学術) 早稲田大学
2012年 芝浦工業大学工学部情報工学科 教授
    現在に至る

徳永 幸生(トクナガ ユキオ)

著者から読者への紹介文

コンピュータは魔法の箱などではありません。人間がつくり上げた機械です。一言でいえば,現代のコンピュータとはon/offの機能をもつスイッチの塊(かたまり)です。しかし,そのスイッチの使い方に関して,多くの先人達 の英知が詰まっています。数学や論理学,工学から心理学に至るまで,多くの学問分野の知見がぎっしりと詰まっているのがコンピュータなのです。
本書では,コンピュータに少しでも興味をもつ読者に,コンピュータが生まれた背景,コンピュータの原理や基 本動作,ソフトウェアやネットワークの仕組みなど,コンピュータに関する基本知識を網羅的に学んでもらうことを目的としています。
・コンピュータとはどのような機械なのか(1章)
・ハードウェアはどのような構造なのか(2章)
・機械に計算させるための原理(3章)
・コンピュータの中で情報はどのような形で表現されているのか(4章)
・プログラムとはどのようにしてつくるのか(5章)
・オペレーティングシステムとはなにか(6章)
・コンピュータはどうやって通信するのか(7章)
・使いやすいコンピュータとはなにか(8章)
本書を通じてコンピュータに関する最低限の基礎を学ぶことで,さらにその先にあるさまざまな専門書を理解するためのとっかかりになれば幸いです。