計算破壊力学のための応用有限要素法プログラム実装

計算破壊力学のための応用有限要素法プログラム実装

有限要素法を破壊力学問題へ応用するための理論,定式化,プログラム実装について解説。

ジャンル
発行年月日
2021/03/25
判型
A5
ページ数
272ページ
ISBN
978-4-339-04669-4
計算破壊力学のための応用有限要素法プログラム実装
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読者対象:
実務で強度解析に携わる技術者や、材料力学や構造力学を学ぶ学生からつぎのような声が聞こえてきます。
「汎用有限要素法(FEM)ソフトウェアには多くの種類の要素があり、どれを使ったら良いかわからない。」
「汎用FEMソフトウェアにある様々な解析オプションの意味が,マニュアルを読んでもよくわからない。」
「汎用FEMソフトウェアを研究開発業務でカスタマイズするためにユーザサブルーチンを書きたいが、FEMプログラムの処理手順の基本がわからない。」
「授業でプログラミングやFEMの基礎を習ったが、いざ実用的なプログラムを書こうとしても、どのように始めたらよいかわからない。」
本書はこのような声に答えるために執筆しました。

書籍の特徴:
本書は、FEMを実務で扱われる破壊力学問題へ応用するという観点から、汎用FEMソフトウェアで用いられている技術である、高性能有限要素、多点拘束条件、領域積分法、結合力き裂モデル、弾塑性解析手法、さらに最近提案された拡張有限要素法(XFEM)について詳しく解説しています。非線形FEMやXFEMの理論と定式化、プログラム実装を明確に分けて記述しており、コロナ社のWEBサイトから提供するC言語による6種類のFEM・XFEMプログラムを実行させながら、FEM解析の手順やアルゴリズムについて理解を深めることができます。本書は、商用プログラムと同等なFEMプログラムを書くための基本技術を提供します。

内容:
〈第1部理論〉(1、2、3、4章)では、定式化に必要となる基礎方程式、仮想仕事の原理、弾塑性構成則、J積分の領域積分表示式、バイリニア型の結合力モデル、XFEMの理論、非線形FEM解析で必須のニュートンラフソン法について解説します。
〈第2部定式化〉(5、6、7、8章)では、離散化方程式における拘束条件の処理方法、二次元・三次元アイソパラメトリック要素の通常の定式化に加えて、弾塑性問題における体積ロッキング対策のためのB-bar要素、曲げ問題におけるせん断ロッキング対策のための非適合要素、低減積分要素およびアワーグラス制御について説明します。さらに、結合力モデルを組み込むためのインターフェース要素、陰解法に基づく弾塑性解析の定式化を具体的に示します。
〈第3部プログラミング実装〉(9、10、11章)では、二次元・三次元連続体要素による線形弾性解析・弾塑性解析プログラム4本についてのプログラムと構造体の仕様、プログラムを構成する関数のツリーと機能、入力データフォーマットを検証解析例とともに示します。さらに、二次元弾性問題についてのXFEM解析プログラムについても同様な形式で解説します。
〈付録〉では二次元4節点・三次元8節点アイソパラメトリック要素の表記式について補足するとともに、連立一次方程式の求解処理にスパースソルバーを用いる方法についても触れます。

著者からのメッセージ:
あなたをこの道のプロフェッショナルへ導きます。
Welcome to deep FEM world!

本書は,『応力解析のための有限要素法理論とプログラム実装の基礎』(2018年,コロナ社刊,以下前著)の続編として,有限要素法(FEM)を実務で扱われる破壊力学問題の解法へ応用するという観点から,関連する理論,定式化,プログラム実装を解説するものです。具体的には汎用FEMコードで標準的に用いられている領域積分法によるJ積分や応力拡大係数評価方法,静的陰解法による弾塑性解析手法,結合力き裂解析に用いるインターフェース要素の定式化,さらに最近提案された拡張有限要素法(XFEM)について解説しています。

前著と同様に,第1部理論,第2部定式化,第3部プログラム実装を明確に分けて記述することを心掛け,有限要素法の定式化における指導原理となる仮想仕事の原理式の使い方を理解させる自習書を目指しました。前著では,FEMの理論とプログラム実装方法の基本事項を詳しく解説することを目的として,線形静弾性問題の応力解析に絞りましたが,本書では材料非線形を考慮する必要のある弾塑性解析や結合力き裂解析を扱うために,材料非線形性問題に対する非線形FEM解析について詳しく解説しました。

本書で説明する定式化に基づき標準的なC言語を用いてプログラム実装した6種類のFEM,XFEMプログラムのソースコードを,本書に記載した例題についてのサンプルデータとともにコロナ社のWEBページに公開しています。C言語によるプログラムの実行環境があれば,コンパイルして実際にプログラムを読者自身で実行することができます。本書の内容とソースコードを読み比べながら,実際にプログラムを実行することによって,FEM解析の手順やアルゴリズムなどについて理解を深めることができるものと確信しています。また,FEM解析の後処理には可視化が不可欠ですが,本書で説明し公開するプログラムは,フリーソフトウェアであるParaViewを用いて可視化できるようにしています。本書が,構造強度設計に関係する実務において,破壊力学に基づくFEM解析を実施する技術者・研究者の方々の問題解決の一助となれば,著者にとって望外の喜びです。

末筆ながら,本書の出版に関しては,コロナ社には大変お世話になりました。また,ParaViewによる可視化処理に必要なプログラム処理に関しては,上智大学プロジェクト研究員の今井登氏にご協力いただきました。ここに御礼を申し上げます。

2021年1月
長嶋 利夫

第1部:理論
1.応力解析の基礎方程式
1.1 線形弾性体の基礎方程式
 1.1.1 三次元線形弾性体の基礎方程式
 1.1.2 二次元線形弾性体の基礎方程式
1.2 仮想仕事の原理式
 1.2.1 三次元変形体の仮想仕事の原理
 1.2.2 二次元変形体の仮想仕事の原理
1.3 構成方程式
 1.3.1 線形弾性体
 1.3.2 弾塑性体

2.破壊力学の理論式
2.1 破壊力学の概要
 2.1.1 線形破壊力学
 2.1.2 き裂先端まわりの応力特異場
 2.1.3 エネルギー解放率
 2.1.4 J積分
 2.1.5 破壊力学パラメータの評価
2.2 領域積分法によるJ積分の評価
 2.2.1 J積分の経路独立性
 2.2.2 J積分の領域積分表示
 2.2.3 J積分の一般化
2.3 M積分によるモード分離
 2.3.1 モード分離
 2.3.2 M積分
2.4 結合力き裂
 2.4.1 二次元結合力モデル
 2.4.2 三次元結合力モデル

3.XFEMの理論
3.1 基礎事項
 3.1.1 アイソパラメトリック要素
 3.1.2 PUFEM
 3.1.3 シフティング
3.2 レベルセット法
 3.2.1 二次元き裂
 3.2.2 三次元き裂
3.3 き裂近傍の変位場の近似
 3.3.1 二次元き裂
 3.3.2 三次元き裂
3.4 パーティション
3.5 留意事項
 3.5.1 拡充節点の範囲
 3.5.2 漸近解の基底関数
 3.5.3 ブレンディング

4.数値解析法
4.1 ニュートン・ラフソン法
4.2 1階常微分方程式の解法
 4.2.1 前進オイラー法
 4.2.2 後退オイラー法
4.3 数値積分法
 4.3.1 ルジャンドル・ガウス積分
 4.3.2 二次元三角形領域の積分

第2部:定式化
5.有限要素による離散化と解法
5.1 仮想仕事の原理式を用いた定式化
 5.1.1 有限要素近似
 5.1.2 仮想仕事の原理式
 5.1.3 仮想仕事の原理式の離散化
5.2 拘束条件
 5.2.1 単点拘束条件
 5.2.2 多点拘束条件
5.3 線形問題の解法
5.4 非線形問題の解法

6.連続体要素
6.1 二次元4節点四角形要素
 6.1.1 完全積分要素
 6.1.2 B–bar要素
 6.1.3 非適合要素
 6.1.4 低減積分要素
6.2 三次元8節点六面体要素
 6.2.1 完全積分要素
 6.2.2 B–bar要素
 6.2.3 非適合要素
 6.2.4 低減積分要素

7.インターフェース要素
7.1 二次元4節点インターフェース要素
 7.1.1 結合力の仮想仕事
 7.1.2 相対変位
 7.1.3 内力ベクトル
 7.1.4 接線剛性マトリクス
 7.1.5 バイリニア型結合力モデル
 7.1.6 接触モデル
7.2 三次元8節点インターフェース要素
 7.2.1 結合力の仮想仕事
 7.2.2 相対変位
 7.2.3 内力ベクトル
 7.2.4 接線剛性マトリクス
 7.2.5 バイリニア型結合力モデル
 7.2.6 接触モデル

8.弾塑性解析手法
8.1 応力積分法
8.2 後退オイラー法による解法
8.3 整合接線剛性マトリクス

第3部:プログラム実装
9.C言語による弾性FEMプログラムの実装
9.1 静的陰解法による求解処理
9.2 二次元弾性FEM解析プログラム:NLFEAdemoC2D4
 9.2.1 プログラム構成
 9.2.2 主要なソースファイルで定義される関数
 9.2.3 入力データフォーマット
 9.2.4 例題解析
9.3 三次元弾性FEM解析プログラム:NLFEAdemoC3D8
 9.3.1 プログラム構成
 9.3.2 主要なソースファイルで定義される関数
 9.3.3 入力データフォーマット
 9.3.4 例題解析

10.C言語による弾塑性FEMプログラム実装
10.1 静的陰解法による弾塑性解析
10.2 二次元平面ひずみ弾塑性FEM解析プログラム:NLFEAdemoCPE4EP
 10.2.1 プログラム構成
 10.2.2 主要なソースファイルで定義される関数
 10.2.3 入力データフォーマット
 10.2.4 例題解析
10.3 三次元弾塑性FEM解析プログラム:NLFEAdemoC3D8EP
 10.3.1 プログラム構成
 10.3.2 主要なソースファイルで定義される関数
 10.3.3 入力データフォーマット
 10.3.4 例題解析

11.C言語による二次元弾性XFEMプログラム実装
11.1 NLXQ2Ddemoのプログラム構成
11.2 NLXQ2Ddemoの主要な関数の概説
11.3 NLXQ2Ddemoにおける要素のパーティション
11.4 NLXQ2Ddemoの入力データフォーマット
11.5 例題解析
 11.5.1 片側き裂問題
 11.5.2 結合力き裂問題

付録
A.1 二次元4節点四角形アイソパラメトリック要素の変位場
A.2 三次元8節点六面体アイソパラメトリック要素の変位場
A.3 スパースソルバーの利用について

参考文献
索引

読者モニターレビュー【カマキリ様(業界・専門:自動車安全部品)】

本書は,材料力学と塑性力学を学んだ方でこれからき裂解析の学習を進めたい大学生や,企業でCAE解析(シミュレーション)を行っている社会人を対象にした破壊力学の入門書である。

き裂応力の特性を表すJ積分について計算式も書かれており,順を追って読み進めていけば理解ができる構成となっている。途中式などは読者が行間を埋めて理解する必要があるが,文面からどのような式変形をすればよいかなど丁寧に述べられているため迷子になることはない。定義がない部分もあるのでじっくり読まなければ理解が難しいところもあり注意深く読む必要がある。

また,数理モデルによってき裂線と亀裂を定義し,有限要素法による離散化のモデル化とその問題点など解説があり,難しい内容も例題で式の意味が理解できる構成となっている。例題と合わせて読むと理解が進むだろう。

全体の内容は,まず2次元で理論を展開し3次元に拡張して解説を進めているため理解がしやすい。後半は前半部分で解説されている理論を実際にC言語でプログラムを実装した内容の解説となっている(コードあり)。取り扱う例題は有限要素法の基礎から亀裂解析の基礎の例題を対象としているため有限要素法がはじめての方でもプログラムに取り組むことができる。

例題として本書では,
・2次元の弾性解析,3次元の弾性解析
・2次元の弾塑性解析,3次元の弾塑性解析
・2次元のXFEM解析のプログラム
が紹介されている。
最後にFEMとXFEMの解析の比較がされているためFEMとXFEMの違いが理解できる。

読者モニターレビュー【小山哲央様(専門:CAEソフトの開発・受託解析)】

本書は計算破壊力学の有限要素法の理論とプログラム実装について学ぶことのできる書籍である。
破壊力学を扱う際には応力解析のための有限要素法理論と合わせて破壊力学特有の知識が必要となる。
理論の式展開およびプログラムを使用した例題の説明は詳細に行われているため,読者自身が再現可能である。
理論では応力拡大係数・J積分,有限要素法ではXFEMについて学習することができる。
計算力学技術者試験の固体力学分野1級を取得して本書を読むと理解が深まると思われる。

読者モニターレビュー【ろろ様(ご専門:機械・航空)】

最近業務で構造のFEM解析や損傷解析に関わり始めて,計算結果を評価する必要が出てきた。その中でこの本の存在を知り,汎用ソフトウェアの解析オプションなど,中身がよくわかっていないが前例を踏襲した設定になっている個所について理解を深めるために手に取った。
ソフトフェアで出てくる,B-bar要素や接線剛性マトリクスなどについて学べる書籍はなかったため,その点非常に勉強になる。また,基礎理論の各章では有限要素法の計算式が詳細に出ており,式を丁寧に追っていけば,より理解が深まると考えている。

amazonレビュー

長嶋 利夫

長嶋 利夫(ナガシマ トシオ)

専門は、計算力学、構造力学、固体力学、材料力学。
長年にわたり、
ソフトウェア開発(Fortran, C言語, Octave, …)
汎用FEMコードによる工学解析(Abaqus, Nastran, Ls-dyna, Mechanica (Creo/Simulate),…)
に従事。
計算力学の研究は、最新のIT技術を用いる面のみがクローズアップされますが、現実の現象をコンピュータ上で再現するために、解析モデルやプログラム作成のような根気強い地道な作業や、ニュートンの時代以来体系化された古典力学の理解も必要です。試行錯誤と研鑽を積みながら最先端のIT技術と古典的な学問成果という土台の上で、ものづくりに貢献できることがこの研究の最大の醍醐味と実感しています。最近は,構造物の強度信頼性評価に用いるためのバーチャルテスティングの実現に向けて、XFEM(拡張有限要素法)による破壊、損傷進展シミュレーションに取り組んでいます。

「材料」2022年6月号(日本材料学会) 掲載日:2023/01/13

掲載日:2021/06/09

「日本機械学会誌」2021年6月号広告

掲載日:2021/05/14

月刊「トライボロジー」2021年5月号広告

掲載日:2021/05/06

計算工学会誌「計算工学」Vol.26 No.2

掲載日:2021/04/30

日刊工業新聞広告掲載(2021年4月30日)

掲載日:2021/03/09

「日本機械学会誌」2021年3月号広告