速習Maple STEMコンピューティングを活用する機械系の工業数学

速習Maple - STEMコンピューティングを活用する機械系の工業数学 -

Mapleを用いて,メカトロニクス系設計開発に必須の機械4力,制御工学の例題を解き,応用力の向上ができるよう解説。

  • 口絵
ジャンル
発行年月日
2016/11/02
判型
B5
ページ数
220ページ
ISBN
978-4-339-02864-5
  • 内容紹介
  • まえがき
  • 目次
  • レビュー
  • 著者紹介
  • 書籍紹介・書評掲載情報

Mapleは,科学・技術・工学・数学(STEM)に関する統合的計算環境である。本書では,Mapleを用いて,メカトロニクス系設計開発に必須の機械4力,制御工学の例題を解くことにより,実務応用力の向上ができるよう解説。

推薦のことば
Mapleは,数式処理と数値計算そして可視化を統合的に行えるソフトウェアであり,教育や研究のツールとして筆者が日頃から使っているものの一つである。豊富な機能によっていろいろなアイディアを手軽に試せるのが魅力で,オンラインヘルプやインターネットで公開されているチュートリアルなどのドキュメントも充実している。ただ,Mapleの新しいバージョンに対応した体系的な解説書があれば,全体像をつかんだり読み返したりするのに便利だろう,という思いは以前からあった。Mapleの販売元であるサイバネットシステムの方々と交流する機会を得て,解説書の出版を待ち望んでいると伝えたことがある。その希望を期待以上の形でかなえてくれたのが本書である。

本書は,大学学部レベルの主な機械系専門科目(工業数学,機械力学,材料力学,熱力学,流体力学,制御工学)におけるさまざまな例題をMapleによって解いている点が大きな特徴である。本書を通読すればMapleの機能を引き出す使い方が習得できるし,必要に応じて各章を参照すれば機械系の実問題を解く上での手掛かりが得られる。理工系専門科目の講義では,手計算で解ける簡単な例題による基本原理の習得に主眼が置かれ,発展的で複雑な問題にまで手が回らないことが多いが,Mapleと本書を活用すれば,基本原理の理解から複雑な問題の解析までスムーズにつながるだろう。学部生はもとより技術者や研究者にとっても手元に置いて役に立つ一冊である。

執筆者のひとり遠山聡一氏は,Mapleのエキスパートであるのみならず,電機メーカでの製品開発経験もある。実務でMapleを使う立場から書かれている点も本書の特徴と言えよう。そして,広範囲の分野を網羅しつつMapleの最適な使い方を示し,さらに標準的なテキストや技術士試験にも準拠した本書をまとめ上げるのは決して容易なことではない。それを成し遂げた執筆者の学識と情熱に敬意を表したい。

2016年8月 京都大学大学院情報学研究科教授 大塚敏之 


監修のことば
我が国のものづくりが世界をリードしていることは周知のとおりであり,それらを支える業種で設計技術者としてご活躍の読者も多いことだろう。産業加工・組立機器,民生情報機器,医療福祉機器など,様々な工業製品を支える設計・製造技術において機械工学や電気工学が果たす役割は大きく,材料科学や情報科学などとの融合と共に横断的な技術領域が古くから形成され,時宜に合って発展しつづけている。それらものづくりの設計・開発・製造現場(以下,現場)で必要な技術的知識やノウハウは,本来は学問的な原理原則に即しているべきである。本書で扱う“機械系の工業数学”はまさにその原理原則を扱うための基礎学問・学修科目であり,微分方程式などの数学と共に,機械工学の基礎となる各種力学と制御工学などからなり,機械工学の幅広い領域を学修するための基礎的かつ重要なスキルである。一方で,工業製品としてはその現場で必ず要求仕様が与えられ,さらに実機検証・評価や製品フィールドにおけるクレームや信頼性設計といった問題に直面するため,様々な課題・問題をすべて解決しなければならない。それらの課題や問題をあらかじめ具体的に設定し,その解決策を目標として学習する方法に,PBL(問題解決型学習)が挙げられる。すなわち,各科目の学習を現場で直面する具体的な課題の解決を通じて実践することで,より効果的な学修を目指すものである。その場合,各科目の本質を紐解く理論の多くは難解で,演習による修得に時間が掛かるのが常である。しかし,現在では種々の数値計算・解析ソフトウェアの援用による直感的かつ効率的なツールを利用した学習も可能で,短時間での理解に極めて有用なため,現場の省力化やコスト削減に直接繋がる。本書は,PBLに基づき,各科目での課題設定,解法のプロセス,STEMコンピューティング・ツールによる演習がセットになっており,より効果的・効率的な学修ができるよう工夫されている。解析ソフトや計算ツールによる解決だけに頼るのではなく,背景にある理論の理解こそが,各課題の本質を見失わないためにも重要である。将来遭遇するであろう未知の課題解決のためにも,それが必須であることも念頭に置かれたい。

本書が,機械工学を学んだ技術者のみならず様々なものづくりに携わる設計技術者に,CAE援用のPBLによって工業数学をより深く理解いただく一助となれば幸いである。

2016年8月岩崎誠 


まえがき―「数学援用工学」:いかにして工学問題をとくか―
近年のものづくりでは,製品システムの高性能化と複雑化が著しい。メーカ企業は新たな製品(広くは人工物システム)を開発するために,おおむねつぎの設計プロセスを行う。①そのシステムが社会で担う「価値」の明確化,②目標とする価値の達成に必要な「機能」の分析,③機能を具現化する「機構要素」「手段」「実体」の立案・発明,④機構や手段を総合したシステムの設計検証,⑤生産ライン立ち上げ→ 製造(量産)→ 販売・運用・メンテナンス→ 廃棄。ものづくりに携わる技術者は,このライフサイクル全体を俯瞰し,顧客や社会にとっての価値の最大化を目指すべきである。このような「価値→ 機能→ 機構・実体」の流れで全体適正化を図るシステム設計は,製品開発の上流段階で行われることが望ましく,「設計のフロント・ローディング」と呼ばれる。これが推奨される理由は,上流段階(企画から構想設計まで)では,ライフサイクル全体を見渡して設計検討する自由度や柔軟性が高く,かつ設計変更に要するコストが低いためである。このような機能重視の設計方法論のために,近年,計算機援用工学(CAE)の技法として,システム全体を概観して適正化を図る「1D―CAE」が提唱されている。これは,機械・電気・ソフトウェアで構成されるメカトロニクスのように,マルチドメイン(複合領域)システム全体をモデル化し,シミュレーションすることが特徴である。「1D―」は特に1次元の意味ではなく,3D―CAE程の詳細さ精密さよりも,対象システムの全体像をできるだけシンプルかつ端的に表現し,システムを構成するカラクリの複合的な挙動や物理現象の見当を付けることを目指す。

1980年にカナダWaterloo大学で開発された数式処理技術をコアテクノロジーとして,当社(サイバネットシステム株式会社と,カナダMaplesoft 社)は,1D―CAE の実践に好適なソフトウェア製品群「Maple」「MapleSim」を提供している。「Maple」は,科学・技術・工学・数学(STEM : Science,Technology, Engineering and Mathematics)に関する統合的計算環境であり,主要な数学分野を網羅するソルバーを備えている。数式処理と数値計算の統合は,STEMに多くの利点をもたらす。例えば,メーカ企業の製品開発プロジェクトならば,先進的な工学計算を含む技術文書のために,標準的な数学表記で理解しやすい数式,適切な単位系と許容誤差の数値計算,文章,グラフ,ユーザ・インタフェース等を統合できる。また,C言語等の自動コード生成,3D―CADツールとの接続も可能である。その技術文書の利用者は,計算の流れや仮定を容易に検証し,的確に変更や再利用できる。このように,Mapleで開発されたSTEMコンピューティング文書は,研究開発組織に蓄積・共有される価値の高い知的財産になる。さらに「MapleSim」は,Mapleを数学エンジンとするシステムレベル・モデリングとシミュレーションの環境である。ユーザは,電気・機械・熱・流体・信号等の各種ドメインのライブラリを用いて,物理法則が数式で記述されたマルチドメイン・モデルを構築でき,信頼性の高いシミュレーションが可能になる。このようなシステム指向の特長を備えるMapleSimは,1D―CAEに好適なツールといえる。

本書の目的は,マルチドメイン1D―CAEを志す基礎固めとして,いわゆる機械4力(機械力学・材料力学・熱力学・流体力学),制御工学など,個別ドメインのSTEMコンピューティングを,「読者自身の出力型学習」で習得することである(「出力型学習の有効性」については,畑村洋太郎氏の著書等を参照されたい)。おもな想定読者は,大学工学部や工業高等専門学校(特に機械工学系)の教育者・学生・研究者,メカトロニクスなど製造業の設計開発に携わる人たち,技術士(特に機械部門)の資格取得に挑戦する人たち等である。もちろん試験中にコンピュータを使うことはできないが,技術士は資格取得後も継続的に研鑽を積むことが責務とされており,CAEの技能向上は自己研鑽の一つのテーマになり得よう。そして本書の特長は,多くのドメインの演習問題を載せた「速習書」という点である。読者自ら問題を解いて,STEMコンピューティングのコツを掴み,実務応用力が着実に向上するよう配慮した。まず演習問題の大半は,日本機械学会「JSMEテキストシリーズ・演習書」,および技術士1次試験の過去問(機械分野,電気電子分野,情報工学分野など)を参考にした。これにより,JSMEテキストシリーズ等の大学教科書と併用して,工業数学のSTEMコンピューティングを速習できる。また特定の学術理論に偏らず,バランス良く実務応用力を向上できる。さらにJABEE(日本技術者教育認定機構)認定の教育も期待できる。読者にはぜひ,それぞれ手元の教科書を併用して,各分野の出力型学習の効果を高めて頂きたい。
以下,本書の構成を示す。
1章では,Mapleの概要と,ユーザマニュアルの実践的な活用法を解説する。
2章では,STEMコンピューティングによる,基礎的な工業数学の解法プロセスを,「出力型学習」で練習する。
3~6章の各章では,機械4力(機械力学・材料力学・熱力学・流体力学)に関連する諸分野の演習問題を解き,「出力型学習」する。
7章では,制御工学の基礎として,古典制御法について演習する。
8章では,マルチドメインCAEを志す読者が,つぎに習得すべき事柄の参考例を示す。

応用数学には,物理学,生物学,情報学,経済・金融など多方面ある中で,本書の「工業数学」という用語は,工学や工業的な応用を強調している。2章は,1章の概説を知識とするSTEMコンピューティングの実践として,3章以降の出力型学習に取り組む準備や参考になるだろう。3~7章は,読者の予備知識,関心分野や必要性などに応じて,取り組む箇所を適宜選択し,あるいは順序を調整してもよい。また3~8章で,STEMコンピューティングの一貫した出力型学習として,数学教育の古典的名著『いかにして問題をとくか』(G.Polya 著,柿内賢信訳,丸善,1954年)に示された標準解法「リスト」の4段階(問題を理解する→ 解の計画をたてる→ 計画を実行する→ 振り返ってみる)を意識する。これは,執筆者の一人(遠山)が総合電機メーカの工場設計部に在籍時,高度な数学知識を必要とするロバスト制御理論が,どのように自分の担当業務に役立つのかと苦悩していた最中,気分転換に立ち寄った本屋(横浜市伊勢佐木町)でこの名著と運命的に出会い,目から鱗が落ち,その後十年来,通勤鞄に常時携帯する座右の書にしているからである。

当然のことだが,CAEツールが設計問題を自動的に解決するわけではない。技術者・設計者・工学者たちの知恵・志・職業倫理観が,社会からの要請や種々の制約条件を理解し,価値の高い製品やシステムを実現しようとする設計活動の賜物として,便利かつ安全安心な人工物システムが創造されるのである。社会が期待する以上の価値を叶えるシステムを開発したいものである。社会に送り出す前には,設計解の機能や品質を,自然法則にも照らして論理的・数学的に検証する必要がある。そこに計算科学や数理計画法の手法やツールを正しく賢く「援用」するのが,本来のCAE であろう。読者各位が取り組む高度な課題のために,本書に記したSTEMコンピューティングの演習問題たちが,手がかりやヒント,「以前に見た,すでに解いたことのある,よく似たやさしい問題」(G.Polyaの言葉)になれば,執筆者一同の大きな喜びである。

末筆ながら,本書の執筆と出版にあたり,まず,名古屋工業大学 岩崎 誠 教授に,特に精密メカトロニクス系の工学教育者の視点で,本書全体を監修して頂いたことに謝意を表する。PBL(Problem/Project Based Learning)を合言葉にご指導頂き,特に,8.1節の最適制御の技術計算に示すことができた。また,京都大学 大塚敏之 教授には,この書籍を執筆する動機付けを与えて頂いたことに謝意を表する。8.2節に紹介するように,モデル予測制御の設計支援ツールとして,研究室でMapleを活用頂いていることを特記したい。さらに,東京大学 濱口哲也 特任教授には,最初にふれた,「機能重視の設計方法論」と,CAEを正しく賢く活用する「創造的な設計活動」について,議論させて頂いたことに謝意を表する。そして,巻末の参考文献には,執筆者が参考にした教科書類などの一覧を示した。各文献の著者に感謝と敬意を表する。発行から数十年が経過した古い書籍も含まれているが,執筆者の一人(遠山)が学生時代に勉強した各分野の教科書であり,しかも,今日でも学ぶことの多い名著である。さらに,出版全体をまとめて頂いたコロナ社の皆様に謝意を表する。

2016年8月 遠山聡一(執筆者代表)

1.STEMコンピューティングの基礎知識と基本操作
 1.1 Maple(メイプル)とは
  1.1.1 数値計算と数式処理
  1.1.2 つねに潜む計算誤差への効果的な対策
  1.1.3 数式処理と数値計算による統合的計算環境
  1.1.4 効率的な計算コストの実現
  1.1.5 さまざまなシーンでの利用
 1.2 基本操作
 1.3 クイックリファレンス

2.STEMコンピューティングで解く工業数学の基礎
 2.1 多項式と代数方程式,初等関数,グラフ
  2.1.1 多項式と代数方程式(高次多項式の展開と因数分解,代数方程式の解,グラフ)
  2.1.2 初等関数(指数関数,常用対数,自然対数,三角関数)
 2.2 数列と級数,微分法
  2.2.1 数列と級数(数列の極限,級数の和)
  2.2.2 微分法(一変数関数の微分法の規則,テイラー展開)
 2.3 常微分方程式―2階の線形定係数常微分方程式―
 2.4 多変数関数の微分法―偏微分(偏導関数,停留点,極値)―
 2.5 線形代数(行列式,逆行列,連立方程式)

3.「機械力学」「振動学」演習(微分法,積分法,常微分方程式,フーリエ変換)
 3.1 力のモーメント
 3.2 質点の2次元運動
 3.3 剛体の慣性モーメント
  3.3.1 輪と円板の慣性モーメント
  3.3.2 球体の慣性モーメント
 3.4 剛体の運動方程式
 3.5 剛体の運動エネルギー
 3.6 不規則振動の解析
  3.6.1 基礎的な統計量の計算
  3.6.2 床から加振される1自由度振動系のパワースペクトル密度関数

4.「材料力学」演習(偏微分方程式)
 4.1 軸のねじり
 4.2 軸ねじり振動の分布定数モデル化と固有振動解析
 4.3 はりの曲げ
 4.4 はりの曲げ振動の分布定数モデル化と固有振動解析

5.「熱力学」「伝熱工学」演習(偏微分,全微分)
 5.1 理想気体の状態量と熱力学法則に関する基礎式
 5.2 理想気体の各種の状態変化
  5.2.1 等温変化
  5.2.2 等圧変化
  5.2.3 等積変化
  5.2.4 可逆断熱変化
  5.2.5 ポリトロープ変化
 5.3 各種熱機関の理論サイクル
  5.3.1 オットーサイクル
  5.3.2 ディーゼルサイクル
  5.3.3 ブレイトンサイクル
 5.4 熱伝導

6.「流体力学」演習(複素関数論)
 6.1 複素数の算術と公式
 6.2 正則関数,初等関数
 6.3 特異点と留数定理,定積分の計算
  6.3.1 特異点と留数定理
  6.3.2 留数定理を用いる定積分:その1
  6.3.3 留数定理を用いる定積分:その2
 6.4 非圧縮性完全流体の2次元渦なし流れ
  6.4.1 非圧縮性完全流体の2次元渦なし流れの基礎式
  6.4.2 一様流
 6.5 2次元渦なし流れと等角写像
  6.5.1 円柱まわりの流れ
  6.5.2 ジューコフスキー変換

7.「制御工学」演習(ラプラス変換)
 7.1 剛体振り子の線形化モデルと伝達関数
  7.1.1 線形化モデルの導出
  7.1.2 伝達関数の導出
 7.2 ゲイン余裕と位相余裕
 7.3 時間応答(1):過渡応答
 7.4 時間応答(2):定常応答

8.マルチドメインCAEを目指すネクスト・ステップ
 8.1 最適制御の技術計算の基礎
 8.2 モデル予測制御のCAEとメカトロニクス・シミュレーションの参考図書

付録:Mapleが備える主要パッケージの紹介
 自動コード生成パッケージ/MapleCAD接続パッケージ/単位系パッケージ/積分変換パッケージ/線形代数パッケージ/ベクトル解析パッケージ/力学系パッケージ/最適化パッケージ
引用・参考文献
索引

amazonレビュー

サイバネットシステム(株)(サイバネットシステムカブシキカイシャ)

遠山 聡一(トオヤマ ソウイチ)

佐藤 晶信(サトウ マサノブ)

日刊工業新聞2017年3月23日 「話題の本」欄

【推薦のことば】 京都大学大学院情報学研究科教授 大塚敏之先生
 Mapleは,数式処理と数値計算そして可視化を統合的に行えるソフトウェアであり,教育や研究のツールとして筆者が日頃から使っているものの一つである。豊富な機能によっていろいろなアイディアを手軽に試せるのが魅力で,オンラインヘルプやインターネットで公開されているチュートリアルなどのドキュメントも充実している。ただ,Maple の新しいバージョンに対応した体系的な解説書があれば,全体像をつかんだり読み返したりするのに便利だろう,という思いは以前からあった。Mapleの販売元であるサイバネットシステムの方々と交流する機会を得て,解説書の出版を待ち望んでいると伝えたことがある。その希望を期待以上の形でかなえてくれたのが本書である。
 本書は,大学学部レベルの主な機械系専門科目(工業数学,機械力学,材料力学,熱力学,流体力学,制御工学)におけるさまざまな例題をMapleによって解いている点が大きな特徴である。本書を通読すればMapleの機能を引き出す使い方が習得できるし,必要に応じて各章を参照すれば機械系の実問題を解く上での手掛かりが得られる。理工系専門科目の講義では,手計算で解ける簡単な例題による基本原理の習得に主眼が置かれ,発展的で複雑な問題にまで手が回らないことが多いが,Mapleと本書を活用すれば,基本原理の理解から複雑な問題の解析までスムーズにつながるだろう。学部生はもとより技術者や研究者にとっても手元に置いて役に立つ一冊である。
 執筆者のひとり遠山聡一氏は,Mapleのエキスパートであるのみならず,電機メーカでの製品開発経験もある。実務でMapleを使う立場から書かれている点も本書の特徴と言えよう。そして,広範囲の分野を網羅しつつMapleの最適な使い方を示し,さらに標準的なテキストや技術士試験にも準拠した本書をまとめ上げるのは決して容易なことではない。それを成し遂げた執筆者の学識と情熱に敬意を表したい。



【著者から読者のみなさまへ】



工業数学(数学援用機械工学)のPBL
いかにして「機械工学系の」問題をとくか

標準解法/G.Polya『リスト』の援用(⇒ PDCAサイクル)
1.(自分の直面する)問題を理解する。
 > 未知のものは何か?
 > 与えられているデータや条件は何か?
 > 図を描き,適当な記号を導入せよ。(ポンチ絵やブロック線図)
2.解の計画を立てる。
 > 似た問題や,役立つ定理を知っているか?(学生時代の教科書)
 > もっと易しくて,似た問題は考えられないか?
3.計画を実行する。
 > 実行時に,計画の各段階の正しさを検討せよ。
 (STEMコンピューティングで,各段階の計算を正しく行う。)
4.ふり返ってみる。
 > その結果を,違った仕方で導くことができるか?
 > 他の問題に,その結果や方法を応用できるか?(「知恵」の向上)


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