異種接合材の設計のための破壊力学

異種接合材の設計のための破壊力学

異種接合材の材料組合せをパターン化して表した実務的な専門書

ジャンル
発行年月日
2023/11/16
判型
A5
ページ数
270ページ
ISBN
978-4-339-04685-4
異種接合材の設計のための破壊力学
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定価

4,950(本体4,500円+税)

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【書籍の特徴】
異種材料接合材の強度や応力集中に関して,従来から多くの研究がなされているものの,穴や切欠きなどの欠陥に比べて利用できる書物は少ない.前著『異種接合材の材料力学と応力集中』(コロナ社,2017年)では,介在物による応力集中や,介在物が周期的に配列する場合の平均的な弾性係数を材料力学的観点から説明した.き裂状の欠陥では応力は無限大となるので,応力拡大係数SIFを用いる破壊力学で,はじめて定量的な強度評価が可能となる.一方で,均質材料中のき裂のSIFと,異種接合材中の界面き裂のSIFとは,類似点も多いが種々の違いがある.

本書では,まず,無限板や半無限板の基本的問題に関して,均質材料中のき裂と,異種接合材の界面き裂の違いを詳しく説明している.例えば,異種接合材では,弾性係数の違いから,き裂が無い場合でも界面端部に特異応力場が生じる.よって,このようなき裂の無い場合の接合端部の特異応力場強さISSFも,同時に考える必要がある.縁界面き裂のSIFは,き裂の無い場合のISSFの影響を強く受けるので,通常のSIFの表示では無限大となり使用できない.本書ではこのような,縁界面き裂の2重特異性を考慮した,新しい表現を与えている.これは,き裂先端で無限大となる特異応力σ_y→∞の代わりに,有限値であるSIFで,き裂の特異応力場を表すこととよく似ている。この解の応用例として,仮想き裂法による強度評価事例を紹介し,熱応力のような実務的問題へと展開した. 

【各章について】
第1章では異種接合材の概略を説明し,第2,3章では,2種類の材料から成るAB型異種接合材の2次元き裂問題(板状問題)を解説した.
第4章では,均質材(A型)の立体と板材を考えて,3次元き裂問題と2次元き裂問題を比較して議論し,第5章で,3次元異種接合材(AB型)の界面および界面近傍に存在するき裂の問題を解説した.
第6章では,ABA型およびABC型接合材のISSFによる強度評価法を解説した.第7章では仮想き裂法による強度評価法と熱応力問題の考え方を解説した. 

【読者へのメッセージ】
種々の異種接合材の組み合わせがあるが,本書では多くの問題に対して必要な表現が得られるように,図表を作成した.き裂の無い場合のISSFによって,JISで規定される試験片の接着強度がISSF=一定で表現できることを示した.基本的な突合せ継手から,単純重ね合わせ継手,二重重ね合わせ継手へと順次展開し,その有用性を説明した.

また,接着材と被着材の組合せ構造の表記としてAB型やABA型などと表記を工夫して読者の理解の便を図るように努めた.可能な限り最新の研究成果を盛り込むことで,異種材料接合技術を課題とする企業での開発者・研究者にとっても指針となるように配慮した。

本書を手にした読者がそれぞれの業務課題である軽量化技術などについて有益なヒントを得られることを著者一同願うものである。

地球温暖化の問題を背景として,エネルギーの有効利用は世界的な要求である。その中において,特にエネルギー消費の大きな乗り物・搬送機械の軽量化はこれまでにも多くの努力がなされているが,依然として要求がなされており,今後においても大きな課題となっている。軽量化の方法としては,高張力鋼による薄板構造,アルミニウムやマグネシウム合金の使用,さらにより軽量化が期待できる高強度プラスチックや炭素繊維強化プラスチックの利用がある。材料コストや製造コストを考慮すると,単独材料での軽量化は実用的に困難なために,プラスチックや金属などさまざまな材料特性を活かして組み合わせるマルチマテリアル化が注目されて久しい。その核となるのが異種材料接合技術であり,航空機や自動車など輸送手段における軽量化の切り札として期待されている。その技術は,人命にもかかわるため,安全に関する高い信頼性が要求され,その強度の信頼性向上に関しても,多くの取組みがなされている。このような異種接合には,金属やプラスチック,セラミックスなどの非金属を一体化する技術ならびに材料そのものを強化した繊維強化材料が含まれるが,ここでは,それらを異種材料接合材(異種接合材とも略記する)と呼ぶ。

異種材料接合材は材料の組合せ,接着の仕方などに多くの種類があり,接合界面ならびにその近くに存在する空孔やき裂等の欠陥の寸法・形状・方向などはさまざまな状態にある。特に,異種材料接合材では,見かけ上欠陥が存在しない場合でも,接合界面の材料変化によって応力集中やはく離が生じる。このような界面の応力集中は,材料の組合せに依存して変化するので,その理解が難しい。このような観点から,著者らは先に,『異種接合材の材料力学と応力集中』(コロナ社,2017年)を上梓した。そこでは,比較的よく知られている切欠きや空かに加えて,介在物による応力集中に及ぼす形状比や弾性定数の影響を示すとともに,介在物が周期的に配列する場合の平均的な弾性係数を説明した。しかし,き裂のような欠陥による応力が無限大となる場合には,通常の応力集中とは異なるので,さらに理解が難しい。

均質材中のき裂を応力拡大係数(stress intensity factor, SIFと略記し記号Kを用いる)で評価できることは,今日ではよく知られており,構造設計にもよく用いられる。このような,通常の均質材料中のき裂の応力拡大係数(き裂先端の無限大となる応力の大きさ,すなわち,き裂の厳しさを表す)と,界面にはく離が生じたときの界面き裂の応力拡大係数(界面き裂の厳しさを表す)とは,類似点も多いが,種々の違いがある。ここでは,一例として,引張りと内圧の影響の違いを説明する。図1に,均質無限板のき裂が引張りを受ける場合と内圧を受ける場合を示す。き裂から離れた点の応力状態は,図(a)ではσ_y=σであり,図(b)ではσ_y=0であり,全く異なる。しかし,図1に示すように,き裂先端の厳しさを表す応力拡大係数はどちらもK_I=σ√πaと表され,同じである(第2章参照)。このように,均質材では,引張りを受ける問題と内圧を受ける問題の応力拡大係数は等しい。このことは,圧力容器に生じたき裂の評価などの多くの実用問題を考える際に有用である。

図1と対比して,図2に異種接合材の界面き裂の引張りと内圧を受ける問題を示す。図示するように界面き裂では,均質材と違って引張りを受ける問題と内圧を受ける問題の応力拡大係数は等しくはならない(第2章参照)。どの程度異なるかは上下の材料組合せに依存する。このように,異種接合材では,きわめて基本的な問題でも均質材とは異なることが多い。しかし,そのような違いに関して明確にまとめた書物は見当たらない。そこで,本書では,このような異種接合材の力学,特に特異応力が生じる問題に関して,読者の理解が得られるように,わかりやすく記述することに努めている。

第1章で異種接合材や複合材の概略を説明したあと,第2章と第3章では,2次元異種接合材(AB型)の界面き裂問題を解説する。ここで2次元問題とは,異材接合板のような平面応力(板厚方向の応力が0,薄板),平面ひずみ(板厚方向のひずみが0,厚板)の問題のことである。また,AB型とは2種類の材料A,Bからなる問題とする。そして,第4章では,3次元立体中の界面のき裂に拡張するため,まず,基本となる,均質材(A型)中のき裂問題を取り上げる。ついで,第5章で,3次元異種接合材(AB型)の界面および界面
近傍に存在するき裂の問題へと発展させる。第6章では,接着接合材(ABA型)について述べる。接着接合材の問題では,き裂が存在しない場合にも特異応力が生じるので,2種類の異種接合材料によるサンドイッチ構造(ABA型)の強度評価に有用な特異応力場の強さ(ISSF)について説明する。第7章では熱応力とき裂の応力拡大係数(SIF)について記述し,仮想き裂を用いた接着接合材の強度評価の方法について研究成果を報告する。

本書においては,異種接合材に使われる用語について統一するとともに,材料の種類をA,B,Cと表すことで接合のパターンをAB型やABC型などと表現して読者の理解の便を図った。また,章のタイトルを(荷重方向,材料の形態,き裂の存在場所,き裂の形状)の組合せで整理することで,読者が最初から順に読まなくても必要に応じて章を選べるように研究や設計の効率化を配慮した。また著者の構成を大学の研究者と企業出身研究者の共著として,実務的な専門書となるように図った。例えば,FEMなどによる解析手法としての数式については省き,図表として示すことで第一線の技術者がすぐに利用できるようにした。また,材料組合せを変化させたときのデータが膨大となる際には,ある条件下のデータを示し,他の材料の組合せは付録や文献を参照していただくこととして,技術者の読み物として興味が持てるように配慮した。

本書では,可能な限り最新の研究成果を盛り込むことで,異種材料接合技術を課題とする企業での開発者・研究者にとっても指針となるように配慮した。例えば,Stress Intensity Factors Handbook, Vol.5(2001-7・Society of Materials Science Japan)(Editors野田尚昭他9名)の17節には発行年以前の多くの異種接合材近傍のき裂の問題が紹介されているが,本書で紹介する内容のほとんどはそこに含まれていない,最新の著者らの研究成果である。本書を手にした読者がそれぞれの業務課題である軽量化技術などについて有益なヒントを得られることを著者一同願うものである。

2023年9月
野田尚昭
小田和広
髙瀨康
堀田源治

第1章 異種接合材の設計と本書の特徴
1.1 異種接合材の特徴
 1.1.1 異種接合材の歴史と用途
 1.1.2 異種接合材の種類と応用
 1.1.3 異種接合材,複合材料の力学的な特徴
1.2 異種接合材の分類と呼称
1.3 通常のき裂の応力拡大係数SIFと界面き裂の応力拡大係数SIFの違いについて
1.4 特異応力場の強さに注目した異種接合材の強度評価
 1.4.1 ISSF法による異種接合材の強度評価
 1.4.2 仮想き裂法による異種接合材の強度評価
 1.4.3 実際の界面き裂を有する異種接合材の強度評価

第2章 異種接合無限板と異種接合有限板(AB型)中の内部界面き裂の応力拡大係数
2.1 異種接合無限板中の内部界面き裂[内圧]
2.2 異種接合無限板中の内部界面き裂[界面に垂直方向の引張り]
2.3 異種接合無限板中の内部界面き裂[界面に平行方向の引張り]
2.4 異種接合有限板中の内部界面き裂[引張り]
 2.4.1 引張りを受ける均質材の有限板の中央き裂の問題
 2.4.2 異種接合有限板中の中央界面き裂の応力拡大係数の例
 2.4.3 任意材料組合せにおける異種接合有限板中央界面き裂の応力拡大係数

第3章 異種接合半無限板と異種接合有限板(AB型)の縁界面き裂の応力拡大係数
3.1 縁界面き裂モデルと内部界面き裂モデルとの比較
3.2 異種接合半無限板(AB型)の縁界面き裂の二重特異応力場について
3.3 き裂のない異種接合板(AB型)端部の特異応力場の強さについて
3.4 異種接合半無限板(AB型)の縁界面き裂の応力拡大係数[引張り]
3.5 異種接合有限板(AB型)の縁界面き裂と均質有限板の縁き裂との比較[引張り]
3.6 異種接合半無限板(AB型)の縁界面き裂の応力拡大係数[面内曲げ]
3.7 異種接合有限板(AB型)の縁界面き裂と均質有限板の縁き裂との比較[面内曲げ]

第4章 均質材(A型)の3次元き裂の応力拡大係数
4.1 無限体(A型)のモードI型だ円形き裂および長方形き裂の応力拡大係数[引張り]
4.2 無限体(A型)の傾斜した長方形き裂の応力拡大係数[引張り]
4.3 半無限体(A型)のモードⅠ型表面き裂の応力拡大係数[引張り]
4.4 半無限体(A型)の表面に垂直な表面き裂の応力拡大係数[せん断]
4.5 半無限体(A型)の傾斜した半だ円形表面き裂の応力拡大係数[引張り]
 4.5.1 引張応力を受ける半無限体表面の傾斜表面き裂問題
 4.5.2 モードⅠ,Ⅱ,Ⅲ型応力拡大係数のき裂前縁沿いの分布
4.6 半無限体(A型)の傾斜した表面き裂の応力拡大係数[圧縮]
 4.6.1 遠方で圧縮荷重を受ける半無限体における傾斜した半だ円形表面き裂の問題
 4.6.2 モードII型応力拡大係数KIIの特性
 4.6.3 モードIII型応力拡大係数KIIIおよびKIIとの比較
4.7 半無限体(A型)の傾斜した表面き裂の応力拡大係数[転がり接触]
 4.7.1 転がり接触荷重を受ける表面層の破壊問題
 4.7.2 Hertz接触圧力を受ける半円形表面き裂のモデル
 4.7.3 接触荷重を受ける傾斜表面き裂の応力拡大係数

第5章 異種接合材(AB型)界面および界面近傍の3次元き裂の応力拡大係数
5.1 異種接合無限体(AB型)のだ円形界面き裂[引張り]
5.2 傾斜機能材(AB型)のだ円形き裂[引張り]
5.3 異種接合無限体(AB型)界面に平行なだ円形き裂[引張り]
 5.3.1 異種接合界面に平行なだ円き裂の無次元化応力拡大係数
 5.3.2 剛性比E1,E2が広汎に異なる異材界面に平行で,形状が広汎に異なるき裂の応力拡大係数の近似的解法
5.4 異種接合無限体(AB型)界面に垂直なだ円形き裂[引張り]
 5.4.1 異種接合界面に垂直なだ円き裂に対する無次元化応力拡大係数
 5.4.2 異種接合界面に垂直なだ円形き裂に対して接合材の剛性比と界面からの距離が異なる場合の応力拡大係数
5.5 異種接合無限体(AB型)界面に斜めなだ円形き裂[引張り]
 5.5.1 異種接合界面に斜めなだ円き裂に対する無次元化応力拡大係数
 5.5.2 過去の研究結果との比較
 5.5.3 異種接合界面近傍の傾斜だ円き裂の応力拡大係数
5.6 異種接合無限体(AB型)界面に垂直に接する長方形き裂[引張り]
 5.6.1 界面き裂の引張問題での注意点
 5.6.2 界面に垂直に接する長方形き裂の無次元化応力拡大係数
 5.6.3 2次元き裂問題との比較
 5.6.4 無限体中の長方形き裂と半無限体表面の長方形縁き裂との比較
 5.6.5 異種接合界面に垂直に接する長方形き裂のareaパラメータによる応力拡大係数

第6章 異種接合材の強度評価のための特異応力場の強さISSF
6.1 異種接合板(ABA型)および異種接合円柱(ABA型)の接着層厚さ全範囲における特異応力場の強さISSF
6.2 異種接合板(ABA型)および異種接合柱(ABA型)の接着強度の簡便な評価法
 6.2.1 異種接合板(ABA型)における接着強度
 6.2.2 異種接合柱(ABA型)接着強度の2次元モデルによる評価の妥当性
6.3 重ね合わせ継手(ABA型)における特異応力場ISSF
 6.3.1 単純重ね合わせ継手SLJ(ABA型)と二重重ね合わせ継手DLJ(ABA型)の実験結果の矛盾点
 6.3.2 単純重ね合わせ継手SLJ(ABA型)の接着面の曲げ変形がISSFに与える影響
 6.3.3 単純重ね合わせ継手SLJ(ABA型)と二重重ね合わせ継手DLJ(ABA型)が同一強度を得られる条件
 6.3.4 単純重ね合わせ継手SLJ(ABA型)における接着強度

第7章 異種接合材の仮想き裂法による強度評価
7.1 異種接合材(ABA型)の仮想き裂による強度評価
 7.1.1 異種接合材(ABA型)の仮想き裂による強度評価の有用性
 7.1.2 仮想界面き裂の応力拡大係数の表示
 7.1.3 仮想き裂法による異種接合材(ABA型)の強度評価
7.2 熱応力が生じた異種接合材(ABA型)の仮想き裂による強度評価
 7.2.1 熱応力により生じる界面端部特異応力場
 7.2.2 熱応力問題の縁界面き裂の重ね合わせによる解析法(AB型)
 7.2.3 熱応力問題の縁界面き裂の応力拡大係数(ABA型)
 7.2.4 熱応力が生じた異種接合材(ABA型)の仮想き裂による強度評価法
7.3 異種接合材(ABC型)の仮想き裂による強度評価
 7.3.1 界面端部特異応力場に与える材料組合せの影響
 7.3.2 界面き裂の応力拡大係数SIFと界面端部特異応力場ISSFとの関係
 7.3.3 仮想き裂による異種接合材(ABC型)の強度評価

付録 種々のき裂に対する応力拡大係数SIFおよび特異場の強さISSFの資料
引用・参考文献
おわりに
索引

読者モニターレビュー【 鈴木 靖昭 様 鈴木接着技術研究所(業界・専門分野:構造接着,接着継手の破壊条件,信頼性・耐久性評価,寿命予測)】

本書で取り上げられている代表的な接着継手として,重ね合せ継手および突合せ継手があるが,両者とも接着層端部に大きな応力集中すなわち応力特異性が生じるため,接着強度を正しく評価することが困難である。両接着継手の破壊条件としては,これまで最大主応力基準,最大主ひずみ基準,最大せん断応力基準,von Misesの相当応力基準,などが検討されてきた。しかし,それらの研究では,応力特異性が正確に考慮されていない。
評者は過去において,本書で検討されている突合せ継手の接着強度と接着層厚さとの関係の自身の実験結果を,応力特異性を示す接着端に一定の大きさの境界層を設定する方法(Neuberの有効容積理論または中西の境界層理論と同様の古典的方法)を用いて説明した。しかし,この境界層の厚さは,実験結果に適合するように決めるというもので,理論的な正確さを欠くものである。

ところで本書の主体的テーマである特異応力場の強さISSFは,まさに前記の問題を正確に理論的に説明するものであり,突合せ継手のみならず重ね合せ継手など,すべての接着接合材に適用できる,非常に有用な指標である。全ての材料組合せに適用できる精度の高い図表や数値が豊富に記載してあるため,接着技術者にとってお薦めの一書である。

読者モニターレビュー【 宮崎達二郎 様 琉球大学(業界・専門分野:機械工学)】

本書では,異種接合材のき裂問題の考え方から最新の研究成果までわかりやすく解説されています.縁界面き裂の特異応力場は界面端部による特異応力場とき裂による特異応力場が重なったものであり,その理解には界面端部による特異応力場が重要であるなど学ぶ上で重要な点や均質材のき裂問題との同異点が明瞭に書かれており,異種接合材のき裂問題を初めて学ぶ読者にも学びやすくなっています.本書の終わりには,異種接合材の強度評価に対する破壊力学的アプローチとしてISSF法,仮想き裂法が紹介されています.き裂がない場合や材料組合せや接合形状が異なる接合材を統一的に取扱いたい場合の強度評価が最新の研究成果や実例を交えて解説されており,非常に興味深い内容になっています.既刊のハンドブック等にも載っていないさまざまなSIF,ISSFが数値や図で多数収められていますので,異材接合の勉強だけでなく,問題が生じた際にも味方になってくれる心強い一冊だと言えます.

野田 尚昭

野田 尚昭(ノダ ナオアキ)

専門は材料力学・弾性力学。公表された論文は400件以上。
素形材産業技術賞素形材センター会長賞、日本材料学会学術貢献賞、日本塑性加工学会論文賞/教育賞、日本設計工学会論文賞、日本機械学会材料力学部門賞貢献賞/業績賞、などを受賞。著書には、『演習問題で学ぶ釣合いの力学』(コロナ社)、『設計者に活かす切欠き・段付き部の材料強度』(日刊工業新聞社)、『設計者のためのすぐに役立つ弾性力学』(日刊工業新聞社)、『Q&Aでわかるリスクベース設計のポイント』(日刊工業新聞社)、『異種接合材の材料力学と応力集中』(コロナ社)、『演習問題で学ぶ材料の力学』(コロナ社)など。九州工業大学名誉教授、日本機械学会永年会員、自動車技術会フェロー。

小田 和広

小田 和広(オダ カズヒロ)

破壊力学による強度評価ならびに応力解析を専門分野としています.体積力法の特異積分方程式を用いた応力拡大係数の高精度解析に関する研究でこの分野に興味を持ち,「3次元表面き裂の位置・形状の同定に関する研究」で学位を取得.現在は,接着接合構造の高強度化に関する研究を中心に,地元企業との共同研究等に注力しています.大分大学学長特命補佐(産学連携担当),日本材料学会理事(2020年~2024年).

高瀬 康

高瀬 康(タカセ ヤスシ)

専門は材料力学です。特に,『強度研究用試験片の応力集中に関する研究』では,多くの論文を書きました。それらの結果をまとめて,工学博士(論文博士)を取得するとともに,この内容を野田名誉教授と共に著書としてまとめて出版しました。また,『緩み止め性能を有する高強度ボルト・ナット締結体の開発』に関する研究では,多くの外部資金を得て,複数の企業との共同研究を行いました。その他にも,(1)フェライト・パーライト鋼の疲労強度に関する研究,(2)複合材料のみかけの弾性定数に関する研究, (3)複合材料の介在物端部における応力拡大係数に関する研究等の研究を行ってきました。また,2020年に日本塑性加工学会教育賞受賞しました。

堀田 源治

堀田 源治(ホッタ ゲンジ)

専門は安全工学ですが,特に安全設計について研究しており,最近は人間工学的設計分野における不安全行動の予防のための行動特性の分析について科学研究費助成対象事業として行っています.また,工場内のIoTを活用した非定常作業における作業者の危険警告・回避システムの研究も行っております.その他にも企業におけるOSHNSに基づく安全管理の有効化についての教育やコンサルティングを実施しており,具体的な内容としては,既存設備の強度の確認や保全時の小集団活動における活動アセスメントの実施などがあります.

掲載日:2024/02/13

日本機械学会誌2024年2月号

掲載日:2023/11/07

日本機械学会誌2023年11月号

掲載日:2023/10/31

日刊工業新聞広告掲載(2023年10月31日)

掲載日:2023/09/19

日本機械学会 2023年度年次大会総合プログラム広告