機械システム学のための数値計算法 - MATLAB版 -
好評の既刊『機械システム学のための数値計算法』(2008年)のMATLAB版!
- 発行年月日
- 2019/11/28
- 判型
- A5
- ページ数
- 190ページ
- ISBN
- 978-4-339-06119-2
- 内容紹介
- まえがき
- 目次
- 広告掲載情報
本書では,機械システム学における数値計算アルゴリズムを対象とし,その原理を説明するとともに,MATLABを用いた実際の計算方法を解説した。章末問題には,発展的な内容やMATLAB を用いた計算も含んでいる。
本書の目的は,機械システムにかかわる数学的な問題を数値的に解くときに有用な数値計算アルゴリズムを紹介することである。現代の工学ではコンピュータが駆使され,さまざまな数値計算が実行されている。ただし,工学の分野によって必要とされる数値計算アルゴリズムは少しずつ異なる。本書では,機械システム学における数値計算アルゴリズムを対象とし,その原理を説明するとともに,数値計算のためのソフトウェアであるMATLABを用いた実際の計算方法を述べる。
本書は,2008年に発刊された前著『機械システム学のための数値計算法』の改訂版である。前著の発刊から10年以上が経過し,コンピュータならびに数値計算の環境が大きく変わった。数値計算のためのソフトウェアが普及し,特にMATLABはさまざまな分野の数値計算に用いられている。このような経緯に鑑み,MATLABを用いることを前提にして本書を執筆し,サンプルプログラムを別途Web 上に用意した。一方,数値計算アルゴリズムの原理の説明は,ソフトウェアに依存しない一般的な形で進めており,MATLABを使わない場合も参考になると思う。
機械システムにかかわるいくつかの数値計算法は,機械力学を支えるさまざまな原理と密接に結びついている。例えば,常微分方程式の数値解法である制約安定化法は,制約を有する系のラグランジュの力学と密接に結びついている。偏微分方程式の数値解法である有限要素法は,弾性体の静力学の変分原理や動力学の変分原理をもとに導くことができる。得られた式を解くときには,非線形最適化や常微分方程式の数値解法を用いる。そこで,機械システムの例や機械力学の原理に結びつけて,このような数値計算アルゴリズムを説明することを試みる。
本書では,可能な限り具体的な数値例を用いて説明し,抽象的な記号で説明することは極力抑えた。章末問題は,本文で解説した事項の演習のみならず発展的な内容やMATLABを用いた計算を含んでいるので,目を通して欲しい。なぜ数値計算の手法を学ぶ必要があるのであろうか。われわれの多くは数値計算を使うユーザであり,数値計算の手法の研究者ではない。それでも数値計算の手法を学ぶ必要があるのは,道具の原理を知っているほど適切かつ効果的に道具を使いこなすことができるからである。まず,数値計算アルゴリズムを理解していると,問題を解くためにはなにをどこまで定式化すればよいかがわかる。例えば,制約を有する常微分方程式を数値的に解く場合,制約安定化法を知っていると,制約を解いて常微分方程式に代入するという計算が不要になる。機械システムの定式化においては,制約を有する常微分方程式に帰着する場合が多く,制約を有する常微分方程式の数値解法を理解していると,問題を容易に解くことができる。また,数値計算のためのソフトウェアを使って得た数値解が正しいか誤っているかは,ユーザが判断しなくてはならない。アルゴリズムの原理,その長所や短所を理解していると,数値解が正しいか誤っているかの判断,数値解が誤っている場合の対処が可能になる。さらにはハードウェアによって適切なアルゴリズムが異なる。数値計算を実行するハードウェアには,単一のCPUのみならず,複数のCPUを接続したクラスタシステム,VLSI上に実装した論理回路など,いくつかの選択肢がある。ハードウェアに適したアルゴリズムを選択するためには,アルゴリズムの原理,長所や短所を理解しておく必要がある。
著者は機械システムの研究者であり,数値計算アルゴリズムのユーザであるが,数値計算法は専門としていない。機械システムにかかわる数値計算アルゴリズムの紹介という,本書の目的が満たされているかどうかは,読者の方々のご判断を仰ぎたい。最後に,著者をつねに温かく見守ってくれた妻と,著者に元気を与え続けてくれた子供たちに感謝する。
2019 年9 月 著者
1.数値計算とは
2.MATLAB
2.1 行列とベクトル
2.2 常微分方程式
2.3 最適化
2.4 パラメータの受渡し
2.5 乱数
章末問題
3.常微分方程式
3.1 常微分方程式の標準形
3.2 常微分方程式の数値解法
3.3 制約安定化法
3.4 パフィアン制約の安定化
章末問題
4.連立一次方程式
4.1 ガウスの消去法とLU分解
4.2 LU分解の計算
4.3 ピボット選択と置換行列
4.4 冗長な連立一次方程式
章末問題
5.射影
5.1 正規方程式と射影行列
5.2 正規直交系
5.3 グラム・シュミットの直交化とQR分解
5.4 ノルム最小解
章末問題
6.補間
6.1 区分線形補間
6.2 スプライン補間
章末問題
7.変分原理
7.1 静力学の変分原理と最適化
7.2 制約を有する系における静力学
7.3 動力学の変分原理と常微分方程式
7.4 制約を有する系における動力学
章末問題
8.非線形最適化
8.1 ネルダー・ミード法
8.2 乗数法
章末問題
9.有限要素法
9.1 ビームの静力学における一次元有限要素法
9.2 ビームの動力学における一次元有限要素法
9.3 二次元有限要素法
9.4 動的な二次元変形
9.5 非弾性変形
章末問題
10.乱数
10.1 確率変数と確率分布
10.2 モンテカルロ法
章末問題
引用・参考文献
章末問題解答
索引
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掲載日:2020/11/09
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掲載日:2020/03/16
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掲載日:2020/02/05
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掲載日:2019/12/25
関連資料(一般)
- サンプルプログラム