テンソル解析からはじめる応用固体力学
テンソル解析を詳細に解説し,固体力学と有限要素法について非線形を含めた応用的な内容を紹介した。
- 発行年月日
- 2015/06/12
- 判型
- A5
- ページ数
- 208ページ
- ISBN
- 978-4-339-04641-0
- 内容紹介
- 目次
まず,テンソル解析を詳細に解説し,固体力学と有限要素法について非線形を含めた応用的な内容を紹介する。次に,はりや柱の典型的な非線形問題である座屈を説明し,さらにテンソルを一般座標にまで拡張し,有限変形理論を説明した。
1. ベクトル
1.1 ベクトルと成分
1.2 内積
1.3 外積
1.4 3重積
1.5 平行四辺形・平行六面体
1.6 ベクトル3重積
1.7 ベクトル変換
1.8 総和の規約
1.9 クロネッカーのデルタ
1.10 座標変換の行列
1.11 座標変換行列の行列式
1.12 商法則
1.13 右手系・左手系
1.14 スカラー・擬スカラー・擬ベクトル
2. テンソル
2.1 テンソル
2.2 単位テンソル・零テンソル
2.3 テンソルの演算
2.4 転置テンソル
2.5 対称テンソル・交代テンソル
2.6 テンソル積
2.7 テンソル変換
2.8 テンソルと双線形性
2.9 3階テンソル
2.10 テンソルと階数
2.11 任意の階数を対象としたテンソル積
2.12 縮 約・縮 合
2.13 エディントンのイプシロン
2.14 交代テンソル・逆テンソル・直交テンソル
2.15 等方テンソル
2.16 直接表記
3. 2 階テンソルの性質
3.1 トレース
3.2 行列式
3.3 テンソルの合成とべき乗
3.4 固有値・固有ベクトル
3.5 対称テンソルの固有値
3.6 主方向・主値
4. テンソル場
4.1 ナブラとテンソル場の微分
4.2 発散および発散定理
5. 固体の力学と有限要素法
5.1 変形・ひずみ
5.1.1 変形勾配テンソル
5.1.2 グリーンひずみテンソル
5.2 コーシー応力テンソル.
5.3 ピオラ・キルヒホッフ応力テンソル
5.4 仮想仕事の原理
5.5 応力-ひずみ関係式 · エネルギー原理.
5.6 有限要素法
5.6.1 微小変形理論における有限要素法
5.6.2 幾何学的非線形を考慮した有限要素法
6. はりと柱の変形
6.1 はりの定義
6.2 曲げモーメント・せん断力
6.3 せん断力図・曲げモーメント図
6.4 はりの応力,はり・たわみの基礎式
6.5 構造力学の立場から考える
6.6 構造力学と弾性力学の関係
6.7 仮想仕事の原理
6.8 はりの有限要素解析
6.9 柱の座屈---材料力学による取り扱い(偏心法)
6.10 柱の座屈---材料力学による取り扱い(平衡法).
6.11 柱の大たわみ理論と座屈解析
6.12 有限要素法による柱の線形座屈解析
7. 一般テンソル解析
7.1 斜交座標
7.1.1 反変成分と共変成分.
7.1.2 和の略記法
7.1.3 共変計量行列・反変計量行列
7.1.4 テンソル
7.1.5 ベクトルの座標変換
7.1.6 2階テンソルの変換
7.1.7 計量テンソル
7.2 曲線座標
7.2.1 曲線座標とは
7.2.2 線の長さと体積
7.2.3 曲線座標の変換
7.2.4 ベクトル・テンソルにおける座標変換
7.2.5 クリストッフェルの記号
7.2.6 双対基底とクリストッフェルの記号
7.2.7 クリストッフェルの記号における座標変換.
7.2.8 共変微分
7.2.9 計量テンソルの共変微分
7.3 レビ・チビタの平行条件
8. 有限変形理論
8.1 基底ベクトルと計量テンソル
8.2 変形勾配と極分解
8.3 変形速度と回転速度
8.4 ひずみテンソルとその不変量
8.5 ナンソンの公式
8.6 各種応力
8.7 運動法則
8.8 応力速度と構成則
8.9 仮想仕事の原理
付録
A.1 弾性力学の基礎
A.1.1 等方弾性体
A.1.2 微小変形理論に基づく弾性固体の基礎方程式.
A.1.3 微小変形理論における解の一意性.
A.2 塑性論の基礎
A.2.1 一軸引張負荷
A.2.2 初期降伏条件
A.2.3 相当応力と相当塑性ひずみ
A.2.4 後続降伏条件
A.2.5 増分形構成則
A.2.6 流れ則
A.2.7 解の一意性
A.3 アイソパラメトリック要素
A.4 物質客観性の原理
A.5 動力学の基礎
A.5.1 運動の記述
A.5.2 力と仕事
A.5.3 運動方程式と簡単な質点運動の例.
A.5.4 運動量と力学的エネルギー
A.5.5 解析力学における運動方程式
A.5.6 固体におけるハミルトンの原理
引用・参考文献
索引
さて,前著『ベクトル解析からはじめる固体力学入門』では,できる限り証明や丁寧な説明は避け,直観的でかつ最短距離で理解できるようにテンソル解析を導入し,固体力学の基礎について説明を行った。しかし,研究者や技術者が実際に解析にあたるには,前著だけではいささか不十分である。やはり,きちんと理解するためには,それなりの厳密な議論が必要である。本書では,大学院生向けにテンソル解析から固体力学の応用までをしっかりと理解してもらえるように書き上げた。
前著では,ベクトル解析・テンソル解析を簡単に導入した上で,微小な弾性変形に限定して固体力学の説明を行い,有限要素法までを紹介した。