モデリングと制御
機械システムのモデリングと制御の原理および手法について,実際の例に即して解説する。
- 発行年月日
- 2021/05/26
- 判型
- A5
- ページ数
- 214ページ
- ISBN
- 978-4-339-04518-5
- 内容紹介
- まえがき
- 目次
- レビュー
- 広告掲載情報
本書では,機械システムの物理モデリングから数値シミュレーションの技法,制御系の安定解析法について述べ,さらに宇宙機と移動ロボットを具体例として取り上げてモデリングから制御系の設計までがどのようになされているかを示す。
本書では,機械システムのモデリングと制御の原理と手法を,実際の例に即して述べる。現在の機械システムは,機械系と電気電子系が融合している系である。その機械システムにおいて制御系を構成するためには,対象の物理的な理解が欠かせない。そこで本書では,機械システムの物理モデリングから数値シミュレーションの技法,制御系の安定解析法をカバーする。さらに機械システム制御の具体例として,宇宙機と移動ロボットを取り上げ,モデリングから制御系の設計までがどのようになされているかを示す。
本書の特徴は,システムを表す微分方程式を時間領域で直接扱っている点である。このようにした一つ目の理由は,解析的な手法と数値計算による手法を同一の表現で扱うためである。二つ目の理由(こちらのほうが重要だが)は,線形と非線形を必要以上に区別することなく,非線形の特別な場合が線形であるという見方からである。線形制御理論に関しては多くの良書が出版されているので,本書の執筆にあたっては線形系の話を抑え,非線形の微分方程式を時間領域で扱う手法や例を多く採用した。われわれの意図が満たされているかどうかは,読者の方々のご判断を仰ぎたい。
なお,1~7章を平井が,8章を秋下が,9章を坪内が,それぞれ分担して執筆した。
2021年3月
平井慎一
坪内孝司
秋下貞夫
1.機械システムのモデリングと制御とは
2.機械システムのモデリング
2.1 単振り子のモデリング
2.2 電磁モータのモデリング
2.2.1 DCモータのモデリング
2.2.2 パルス幅変調
2.2.3 サーボモータのモデリング
2.3 リンク機構のモデリング
2.3.1 開リンク機構
2.3.2 閉リンク機構
2.4 自動車の運動のモデリング
章末問題
3.常微分方程式の数値解法
3.1 ルンゲ・クッタ型数値解法
3.2 制約安定化法
3.3 パフィアン制約の安定化
3.4 リプシッツ条件
章末問題
4.フィードバック制御
4.1 リニアテーブルのフィードバック制御
4.2 1自由度開リンク機構のフィードバック制御
4.3 2自由度開リンク機構のフィードバック制御
章末問題
5.線形常微分方程式
5.1 線形常微分方程式の解析解
5.1.1 状態遷移行列による解の表現
5.1.2 状態遷移行列の計算
5.1.3 2階の線形常微分方程式の解析解
5.1.4 入力を有する線形常微分方程式
5.1.5 固有値が重根の場合の状態遷移行列
5.2 複素数
5.2.1 複素平面
5.2.2 回転を表す複素数
5.2.3 複素数の指数関数
5.3 線形システムの安定性
章末問題
6.変分原理をもとにしたモデリング
6.1 静力学の変分原理
6.2 動力学の変分原理
6.3 リンク機構のモデリング
6.3.1 開リンク機構のモデリング
6.3.2 閉リンク機構のモデリング
6.4 ビームのモデリング
6.4.1 静力学モデル
6.4.2 動力学モデル
6.5 剛体の回転
章末問題
7.安定性
7.1 安定と漸近安定
7.2 線形化による安定解析
7.3 単振り子の運動の安定性
7.4 リアプノフの安定定理とラサールの安定定理
7.5 リニアテーブルの位置制御の安定性
章末問題
8.宇宙機の姿勢運動の制御
8.1 宇宙機の分類と構造
8.1.1 宇宙機の軌道
8.1.2 スピン衛星と三軸制御衛星
8.1.3 宇宙機のセンサ
8.2 受動制御による安定化
8.2.1 軸対称な剛体のスピン運動の安定性
8.2.2 円軌道においてスピンする宇宙機の姿勢運動とその安定性
8.2.3 回転運動のエネルギーと運動量
8.2.4 宇宙環境における外乱トルク
8.2.5 重力傾度を利用した宇宙機の姿勢運動の安定化
8.2.6 スピン衛星に外部トルクを与えることによる姿勢角の変化
8.3 能動制御による安定化
8.3.1 バイアスモーメンタムホイールによる姿勢制御
8.3.2 リアクションホイールによる姿勢制御
章末問題
9.移動ロボットの制御
9.1 車輪移動体の特徴と制御
9.2 車輪移動体の運動学
9.3 車輪移動体の走行制御
9.4 経路追従制御
9.5 独立2輪駆動型の移動体の駆動輪速度制御
9.5.1 独立2輪駆動型の移動体の動特性
9.5.2 必要トルクを計算する駆動輪速度制御器の構成
9.6 目標走行経路に関する考察
章末問題
引用・参考文献
章末問題解答
索引
読者モニターレビュー【MMKK様(自動車部品メーカー勤務)】
本書は,6章までの基礎編で様々なモデリング・制約・数値解法を取り上げ,7章からの宇宙機の姿勢制御・移動ロボットの制御に応用される構成になっています。
内容としては,制御工学のテキストでは省略されることが多い「なぜこのようにモデリングしたか」「なぜこの制約が課されるか」といった部分が重点的に解説されています。特に自動車の(シンプルな)モデルに非ホロノミック制約が課されることが腑に落ちました。
また,章末問題と解答が豊富なので,解いていくことで問題設定やシミュレーションの実力を付けることが出来ます。例えば、現代制御の勉強の副読本や演習書として良いのではないかと思われます。
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