ネットワーク化制御

ネットワーク化制御

IoTの基幹をなす技術であるネットワーク制御について、初歩から最先端の話題までを初学者にもわかりやすく解説。

ジャンル
発行年月日
2019/08/05
判型
A5
ページ数
188ページ
ISBN
978-4-339-03227-7
ネットワーク化制御
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定価

2,970(本体2,700円+税)

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  • 計測自動制御学会賞著述賞を受賞しました(2021年)
  • 内容紹介
  • まえがき
  • 目次
  • 著者紹介
  • 広告掲載情報

制御対象と制御器を通信ネットワークが結ぶネットワーク制御は,サイバーフィジカルシステムやIoTの基幹をなす技術である。本書では,その制御理論について,初歩から最先端の話題までを,初学者にもわかりやすく解説している。

ネットワークは現代の科学技術における最も重要なキーワードである。通信工学だけでなく,ほぼすべての分野でネットワークを基礎とした研究課題がホットトピックとなっている。思いつくままに例を挙げてみると
• 深層ニューラルネットワーク(機械学習)
• ブロックチェーン(情報工学)
• グラフ信号処理(信号処理)
• 分散最適化(最適化理論)
• センサネットワーク(計測)
• スマートグリッド(電気工学)
などがある。さらには,これらの諸分野を超えて,サイバーフィジカルシステムやIoT(Internet of Things),インダストリー4.0,超スマート社会といったコンセプトも近年話題になっている。これらの研究課題に対して,本書は,制御の視点から問題をとらえたいという読者を対象としている。
IoTなどのようにネットワークに接続されたモノ(動的システム)を制御するためには,ネットワークを介して制御のための情報をやり取りする必要がある。このようなシステムをネットワーク化制御システムと呼ぶ。ネットワーク化制御システムでは,情報通信にインターネット回線や無線通信などが使われるが,現実の通信ではつねに通信帯域に制限があり,その制約のもとで安定化できるかどうかは非常に重要な問題となる。また,IoTや超スマート社会では多数のモノを連携させながら分散協調的に制御し,大域的な目標や全体最適化を達成することが大きな技術的課題である。

これらの問題を解決する制御理論,すなわちネットワーク化制御の理論について,本書では,その初歩から最先端の話題までを,初学者にもわかりやすく記述した。本書を読むために必要な前提知識は,大学教養課程の線形代数と微積分,および状態空間モデルに基づく現代制御理論の基礎である。大学学部の卒業研究や大学院での研究に取り掛かるために必要な知識を得たい学生や,ネットワーク化制御の理論を概観したい研究者,技術者に本書をおすすめしたい。本書を最後まで勉強すれば,2000年代以降のネットワーク化制御に関する学術論文を読む基礎は十分身につく。定理の証明も省略せずにしっかり追って,じっくり勉強してほしい。

本書は,ネットワーク化制御理論を専門とする4人の研究者によって執筆された。本書の章の構成と各章の執筆者は下記のとおりである。
1章 はじめに永原正章
2章 量子化信号を用いた制御岡野訓尚,若生将史
3章 イベントトリガ制御若生将史
4章 複雑ネットワークの制御小蔵正輝
それぞれの章は独立に書かれており,どの章から読みはじめていただいてもかまわない。

本書を通じて,ネットワーク化制御の理論の基礎を学び,理論研究を進めるとともに,超スマート社会のような実社会における理論の実装や実現にもぜひ取り組んでいただきたい。より良い社会を実現するために制御理論が重要な役割を果たすことを筆者らは確信している。
2019年6月 永原正章(著者代表)

1. はじめに
1.1 IoTの時代に必要な制御理論
1.2 ネットワーク化制御とは
1.3 マルチエージェントシステム
1.4 ネットワーク化制御の実応用
 1.4.1 インダストリー4.0
 1.4.2 スマートグリッド
 1.4.3 超スマート社会(Society5.0)

2. 量子化信号を用いた制御
2.1 通信ネットワークを含む制御システムにおける量子化
2.2 量子化器を含むフィードバックシステム
2.3 有限データレート制御
 2.3.1 有限データレート信号を用いた安定化の考え方
 2.3.2 漸近安定化可能性
 2.3.3 漸近安定化に最低限必要なデータレート
 2.3.4 漸近安定化を達成するコントローラ
2.4 静的量子化器を用いた制御
 2.4.1 量子化器の粗さ
 2.4.2 最も粗い安定化量子化器
 2.4.3 粗さの最大値
2.5 DoS攻撃のもとでの有限データレート制御
 2.5.1 ズーミングアウト,ズーミングイン機構をもつ一様量子化器
 2.5.2 DoS攻撃によるパケットロスのモデル化
章末問題

3. イベントトリガ制御
3.1 状態フィードバックイベントトリガ制御
 3.1.1 イベントトリガ制御の基本的な考え方
 3.1.2 一般的なイベントトリガ条件と安定性解析
 3.1.3 種々のイベントトリガ条件
3.2 出力フィードバックイベントトリガ制御
 3.2.1 出力のイベントトリガ則
 3.2.2 入出力のイベントトリガ則
3.3 セルフトリガ制御
章末問題

4. 複雑ネットワークの制御
4.1 複雑ネットワークの例
 4.1.1 グラフ理論
4.2 合意制御
 4.2.1 マルチエージェントシステムの合意
 4.2.2 平均合意
 4.2.3 最速合意
4.3 中心性の制御
 4.3.1 さまざまな中心性
 4.3.2 幾何計画問題
 4.3.3 中心性の最適化
4.4 伝播の制御(1):最適資源配置
 4.4.1 抑え込み問題
 4.4.2 線形システムによる上界
 4.4.3 幾何計画問題への帰着
 4.4.4 数値例
4.5 伝播の制御(2):適応ネットワーク
 4.5.1 適応的なSISモデル
 4.5.2 正多項式制約
 4.5.3 数値例
章末問題

引用・参考文献
章末問題解答
索引

永原 正章

永原 正章(ナガハラ マサアキ)

愛媛県生まれ.
2003年,京都大学大学院情報学研究科博士課程修了.博士(情報学).
京都大学助手,助教,講師を経て,2016年より北九州市立大学環境技術研究所教授. また,同年よりインド工科大学の客員教授を兼任.
専門分野は制御理論と機械学習.
IEEE制御システム部門より国際賞である Transition to Practice Award(2012年) および George S. Axelby Outstanding Paper Award(2018年)をそれぞれ受賞. そのほか,計測自動制御学会や電子情報通信学会の論文賞など, 受賞多数.IEEEの上級会員 (Senior Member).
著書に Sparsity Methods for Systems and Control (Now Publishers) や「スパースモデリング」(コロナ社), 「マルチエージェントシステムの制御」(コロナ社,SICE著述賞受賞),「ネットワーク化制御」(コロナ社)などがある.

掲載日:2022/02/01

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掲載日:2021/12/28

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掲載日:2021/05/06

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掲載日:2021/01/06

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掲載日:2020/12/02

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掲載日:2020/03/16

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掲載日:2020/02/01

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掲載日:2019/11/05

日刊工業新聞広告掲載(10月31日)

掲載日:2019/11/01

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