通信ネットワーク技術の基礎と応用 - 物理ネットワークからアプリケーションまでのICTの基本を学ぶ -

通信ネットワーク技術の基礎と応用 - 物理ネットワークからアプリケーションまでのICTの基本を学ぶ -

ネットワーク技術を基礎技術からアプリケーションまでといった,広くかつ深く,技術の背景にあるものの考え方に焦点を当てて解説。

ジャンル
発行年月日
2018/10/31
判型
A5
ページ数
244ページ
ISBN
978-4-339-00915-6
通信ネットワーク技術の基礎と応用 - 物理ネットワークからアプリケーションまでのICTの基本を学ぶ -
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本書はネットワーク技術を基礎技術からアプリケーションまで,コンピュータ通信から,電話,無線といった,広くかつ深く解説している。また,単なる説明書ではなく,その技術の背景(Why)にあるものの考え方に焦点を当てて解説。

情報通信技術(ICT)は,いまや社会にとってなくてはならない,空気や水と同じような存在である。ICTとはディジタル通信ネットワークをプラットフォームとして,そのうえで双方向的にさまざまな種類のサービスをいろいろな形(1:1や放送等)で実現し,日々進化している。

電話は1876年に発明されてから約140年の歴史を持つ。一方,われわれが日頃からよく使っているインターネットは約30年,手から離すこともできないスマートフォンはまだ十数年の歴史であり,この間に加速度的な発展をしている。

ところが,われわれはこのディジタル通信ネットワークの構造や電話のネットワーク,インターネットの基本方式をよく知らないまま利用している。そして,かつては携帯電話で電話だけをしていたのが,いまでは電話はスマートフォンとなり,そのスマートフォンを使って電車の中でニュースや動画を見るようになっている。そして未来には,自動運転車が走り回るようになるであろうことは疑いの余地もない時代をわれわれは生きている。

一方,ディジタル通信ネットワークのベースとなる物理レイヤ部分は,例えば海底ケーブルのように長く使いたい。サービスは新しいものをすぐに使いたい,それらを経済的に行いたい,セキュリティを高いレベルで守ってほしい,といった要求がある。そのため,ネットワークはフレキシビリティと拡張性を持っている。

これからの時代を考えると,通信ネットワークの知識は最も重要な技術の一つとなる。基礎から一通りしっかり学び,将来の研究や開発のみでなく,ビジネスや社会システムを考えるうえでも大きな武器となる。そのため,本書では,できるだけ過去や歴史,経緯にも触れて,特徴や原理を説明した。そのような点で,技術の詳細の説明ではなく,「通信ネットワークの基本技術の背景にあるものの考え方」に焦点を当てることに着眼点を置いた。できあがった仕様(What)ではなく,なぜそのようになっているかの背景(Why)を理解できれば,詳細のスペックはいまや本を読んだり,ネットを見たりすれば,すぐに手に入るからである。

本書は現代のディジタルネットワークの生みの親の一人で,本書の著者でもある淺谷耕一が11年前に執筆した『ネットワーク技術の基礎と応用―ICTの基本からQoS,IP 電話,NGNまで―』(2007年,コロナ社)をベースに,仮想化や5Gネットワークを含めた最新の技術を記述し,また大学での講義で質問や疑問の多い部分をアップデートした内容となっている。

情報ネットワークの発展経緯から,テレコム技術分野とコンピュータ技術分野の専門用語は,必ずしも統一されていない。専門用語や略語は,入門者には障壁であるため,用語の背景についても一部説明したが,かえって読みづらい点があるかもしれない。著者の意図を酌んでご寛恕いただければ幸いである。本書は,大学学部・大学院の教科書あるいは参考書として使用できて,かつ一般読者にもある程度理解してもらえることを意図した。特に,通信ネットワークを専門としようという方には入門編として,違う分野を専門としている方にはリベラルアーツ,つまり高い教養となると確信している。

高度情報化社会の一翼を担う学生諸君や技術者諸君が,通信ネットワーク技術に興味を持つきっかけになれば幸いである。

2018年8月 山中直明

1. 情報通信ネットワークの基礎
1.1 ネットワーク発展の経緯
1.2 ネットワーク要素と基本機能
1.3 プロトコルとOSI階層モデル
1.4 ネットワークアーキテクチャ

2. ネットワークの機能と形態
2.1 サーバ-クライアント型ネットワークとピアツーピアネットワーク
2.2 コネクション型ネットワークとコネクションレス型ネットワーク
2.3 トランスポート層におけるコネクション
2.4 ネットワークの構造と形態
2.5 メディア共有型トポロジー
2.6 物理リンクと論理リンク
2.7 伝送媒体ネットワーク,パスネットワーク,回線ネットワーク

3. 情報メディアのディジタル符号化
3.1 情報源の符号化
3.2 ナイキストの定理
3.3 音声符号化
3.4 オーディオ情報符号化
3.5 画像符号化

4. アクセスネットワーク技術
4.1 アクセスネットワークとコアネットワーク
4.2 xDSL
4.3 光アクセス
4.4 ケーブルアクセス
4.5 ISDNアクセス
4.6 無線アクセス
4.7 携帯電話

5. 物理レイヤとデータリンクレイヤ
5.1 アナログ伝送とディジタル伝送
5.2 伝送媒体
5.3 ディジタル変調
5.4 ディジタル中継伝送
5.5 多重化方式
5.6 ラベル多重方式と時間位置多重方式
5.7 非同期多重方式と同期多重方式
5.8 ビット同期とオクテット同期
5.9 伝送ハイアラーキ

6. マルチアクセスとLANの技術
6.1 ペイロード,スループット,ネットワーク負荷率
6.2 共有メディアとマルチアクセス制御
6.3 ランダムアクセス型プロトコル
6.4 送信権巡回型プロトコル
6.5 チャネル割当て型プロトコル

7. 電話のネットワークと技術
7.1 番号とハイアラーキ
7.2 静的経路制御と動的経路制御
7.3 電話ネットワークの経路制御
7.4 電話交換の原理
7.5 輻輳制御機能

8. インターネットのネットワーク層プロトコル
8.1 インターネット
8.2 IPアドレス
8.3 IPネットワークの経路制御

9. インターネットのトランスポート層とフロー制御
9.1 インターネットにおけるトランスポート層
9.2 UDP
9.3 TCP
9.4 TCP転送ポリシーと輻輳制御
9.5 輻輳ウィンドウとスロースタート

10. トラヒックエンジニアリング
10.1 トラヒック設計
10.2 通信トラヒックと呼量
10.3 通信トラヒックモデル
10.4 回線交換ネットワークにおける交換機出回線数
10.5 パケット通信のトラヒック設計
10.6 大群化効果と分割損

11. VoIPと次世代ネットワークNGN
11.1 IP電話
11.2 電話番号計画とIPアドレス
11.3 IP電話番号とIPアドレス変換
11.4 IP電話の基本構成
11.5 プロトコルモデル
11.6 H.323制御プロトコル
11.7 SIP
11.8 NGNの背景と狙い
11.9 NGNの概要と基本構造
11.10 NGNアーキテクチャ
11.11 NGNの構成例

12. 将来のネットワーク
12.1 データセンタネットワークとSDN
12.2 サービスチューニング
12.3 データセントリックネットワーク
12.4 IoTネットワーク
12.5 電力制御とスマートグリッド

引用・参考文献
索引

山中 直明(ヤマナカ ナオアキ)

馬場 健一(ババ ケンイチ)

淺谷 耕一(アサタニ コウイチ)

掲載日:2021/06/01

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