ネットワーク工学

電子情報通信レクチャーシリーズ B-9

ネットワーク工学

基礎的かつ普遍的な内容を論じつつ,電子情報通信分野に関係した内容に重点を置き説明。

ジャンル
発行年月日
2020/06/12
判型
B5
ページ数
156ページ
ISBN
978-4-339-01824-0
ネットワーク工学
在庫あり

定価

2,970(本体2,700円+税)

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  • 内容紹介
  • まえがき
  • 目次
  • 著者紹介
  • 広告掲載情報

ネットワーク工学は,網状(ネット)をベースとして作られたモノやコトを対象に人の役に立つことを追い求める学問領域である。本書では、電子情報通信分野を含めてネットワーク構造を有する諸問題を図を多く使い解説する。

まずお断りしておきたいのは,本書は電子情報通信分野において,単に現時点での応用技術を紹介するものではないということである.本シリーズは多くの分野から構成されており,応用技術については,例えば「インターネット工学」や「情報通信ネットワーク」を読まれることを願う.なお,ネットワーク工学とは何かについては,1章を読んでいただければ,と思う次第である.

「刊行のことば」にもあるように,本シリーズは,ビジュアル的な理解を目指している点が特徴である.図を多く取り入れることで,本文を読み,対応する図とそのキャプションで確認しつつ読み進められるような形式をとっている.文章の量をおさえているので,細かいところの内容が隅々までわかるようなものではない.アイデアや考え方などを大まかにつかんで,今後の勉学に生かしてもらいたいと考えている.

本書のおもな内容は以下のとおりである.

1章の「ネットワーク工学とは」では,ネットワークとは何か,工学とは何かについて述べ,本書の扱うネットワーク工学の構成を説明している.

2章の「ネットワークの定義と基本的性質」では,グラフとネットワークを定義し,本書を読み進めるのに必要な性質について述べている.最初は証明も加えているが,理論的な詳細な考察は目的としていないので,読み飛ばしても差し支えない.

3章の「ネットワークアルゴリズム」では,最短路など代表的なアルゴリズムを紹介している.グラフアルゴリズムについては,多くの図書が出版されているので,アルゴリズムの正当性などが必要であればそちらを参照されたい.

4章の「ネットワークの構成」では,ネットワーク構造を取り上げ,施設の設置やネットワークにおいての中心らしさ,インターネットに代表されるネットワークの成長モデルについて論じている.

5章の「待ち行列理論」では,実際にネットワークに情報を流したとし,ネットワーク上のある処理にどれだけ時間がかかり,どれだけ待つのかについて確率的に評価している.

6章の「ネットワークの信頼性」では,ネットワーク上の点や辺が故障しても,ネットワークとしての機能が保たれるための条件について考えるとともに,確率的に故障するとしたときの信頼性にも触れている.

7章の「ネットワークにおける経路設計」では,特に通信への応用を考えた際,いくつかの問題に対して,どのように経路を設計するかについて論じている.

8章の「モバイルネットワークから見たネットワーク工学」では,近年大きく変化している多様なモバイルネットワークであるが,その中に既存のネットワーク上の問題が潜んでいることもあること,また,これからのモバイルネットワークに対する全く新しいネットワーク上の問題についても触れている.

各章末には理解度の確認として問題をあげている.本文中にヒントがあるので,ぜひ自分でチャレンジしてほしい.

最後に,グラフの作成や原稿全般に目を通して誤りを指摘していただいた新潟国際情報大学の宮北和之講師(当時新潟大学)に深く感謝する.また,遅々として進まない執筆を長期にわたりサポートしていただいたコロナ社の方々に感謝と遅れてしまったお詫びを申し上げる.

2020年4月
田村裕
中野敬介
仙石正和

1. ネットワーク工学とは

2. ネットワークの定義と基本的性質
2.1 グラフとネットワーク
 2.1.1 グラフの定義
 2.1.2 ネットワークの定義
2.2 グラフの諸定義
2.3 木(ツリー)
2.4 計算量
本章のまとめ
理解度の確認

3. ネットワークアルゴリズム
3.1 最小木
3.2 最短路
3.3 最大フロー
 3.3.1 最小コストフロー
 3.3.2 多品種フロー
3.4 巡回セールスマン問題と近似解法
本章のまとめ
理解度の確認

4. ネットワークの構成
4.1 鉄道網の構成
4.2 消防署の設置問題
4.3 ネットワークの中心性
 4.3.1 次数中心性
 4.3.2 近接中心性
 4.3.3 離心中心性
 4.3.4 媒介中心性
 4.3.5 固有ベクトルによる中心性
4.4 ネットワークの成長モデル
本章のまとめ
理解度の確認

5. 待ち行列理論
5.1 はじめに
5.2 基本的な待ち行列システム
5.3 待ち行列を作らない即時式システム
5.4 客の到着とサービスの終了
5.5 ケンドールの記法
5.6 待時式システムM/M/1の性質
5.7 即時式システムM/M/S/Sの性質
5.8 M/M/1のコンピュータシミュレーション
5.9 M/M/S/Sのコンピュータシミュレーション
5.10 コンピュータシミュレーションの必要性
5.11 理論式の導出
 5.11.1 ポアソン到着
 5.11.2 ランダムなサービスの終了
 5.11.3 M/M/1の客数の分布(1)
 5.11.4 M/M/1の客数の分布(2)
 5.11.5 M/M/1の客数の分布(3)
 5.11.6 特性値とリトルの公式
 5.11.7 M/M/S/Sの解析
本章のまとめ
理解度の確認

6. ネットワークの信頼性
6.1 連結度とメンガーの定理
6.2 辺連結度の増加
6.3 ネットワーク上でのファイルの配置問題
6.4 速度を保証したデータ配信を可能にするファイルの配置
6.5 確率による信頼性の評価
本章のまとめ
理解度の確認

7. ネットワークにおける経路設計
7.1 最短路
7.2 単一経路による最大フロー
7.3 遅延時間とフロー値を考慮したルーティング
7.4 ブロードキャスト,マルチキャスト
 7.4.1 ブロードキャスト
 7.4.2 マルチキャスト
7.5 複数点間の経路とマッチング
本章のまとめ
理解度の確認

8. モバイルネットワークから見たネットワーク工学
8.1 はじめに
8.2 モバイルネットワークに見られる資源配分問題
8.3 移動がもたらすもの・・・移動そのものの研究,通信と交通の交わり
8.4 移動がもたらすもの・・・ネットワーク構造の変化
8.5 情報の運搬・・・遅延耐性ネットワーク,エピデミックな伝達
8.6 情報の浮遊・仮想的な蓄積・・・情報フローティング
8.7 新しい移動体によるネットワーク
本章のまとめ
理解度の確認

引用・参考文献
索引

田村 裕(タムラ ヒロシ)

中野 敬介(ナカノ ケイスケ)

仙石 正和(センゴク マサカズ)

掲載日:2020/10/20

日本シミュレーション学会誌「シミュレーション」39巻3号広告

掲載日:2020/06/03

「電子情報通信学会誌」2020年6月号広告