人体の力学 - 基礎から学ぶバイオメカニクス -

人体の力学 - 基礎から学ぶバイオメカニクス -

バイオメカニクスを学ぶ人に,人体の能力・機能の基礎的な理解と正確な解釈をもたらす。

ジャンル
発行年月日
2020/05/28
判型
A5
ページ数
240ページ
ISBN
978-4-339-07246-4
人体の力学 - 基礎から学ぶバイオメカニクス -
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  • 内容紹介
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  • 著者紹介
  • 書籍紹介・書評掲載情報
  • 広告掲載情報

【書籍の特徴】
・「類別」
バイオメカニクス分野を学習する学生の入門的教科書
医学と工学とを融合させた専門的な基礎教育教材
・「対象」
医療,医用,保健,福祉,看護,介護などの分野への従事を目指す学生,
およびスポーツに代表される身体運動や動作関連分野に関心のある学生,
これらの分野で基礎的研修を望む技術者・研究者
人体の内部や外界環境の影響に関心のある人
・「指標と成果」
ヒト(人体)のもつ能力・機能について,正確な理解と基本的な解釈力の習得
応用力学に基づく多方面の視点からの人体の力学的特性に関する解釈能力の涵養

【内容について】
人体機能を正確に理解する手段として,ユニークで広範な内容を網羅している。
① まず,解剖生理学の初歩を学び,続いて,応用力学(一般力学、運動・機構学,固体力学,振動力学,流体力学,熱力学)の基礎を習得する。
② それをもとに,バイオメカニクスの基礎となる運動器系の力学,歯の力学,循環器系の力学,人体の熱力学,人体の歩行運動と制御,ヒトの生体物性(外界環境の影響),さらに,実験計測の際に広く役立つ考え方と信頼性のある測定データの扱い方に関する計測技術について学習できるよう,平易に解説している。
③ 本書の習得によって,応用力学の原理を人体の力学的諸問題に適用し,問題解決へのアプローチを学び,次の段階への基礎を修得できる。

本書では,初歩から専門基礎までを学べ,さらに学習が望まれる内容は「バイオナビ」,発展の期待される課題は「バイオのタネ」として紹介している(一部web掲載)。
索引は,重要な専門用語の物理的意味を直接調べたり,その英語表記を確認する際に役立つ。

【著者からのメッセージ】
バイオメカニクスは、学際的境界領域にあるので,直接、専門領域に進まずに,コツコツと周辺基礎領域からじっくり学び,バイオメカニクスを習得するよう頑張ろう!
単に技術等資格試験にパスすればよいのではなく,なぜそうなるのかその仕組みを深く理解すれば,スムーズに業務をこなせるようになりレベルアップにつながるでしょう!
人体の内部や外部環境における力学的諸問題に,常日頃,関心を持っている人には必携の書となるでしょう。

本書は,『人体の力学』という書名が示すとおり,ヒト(人体)の持つ能力・機能について,基礎的な理解と正確な解釈ができるようになることを目指すユニークな教科書である。

近年,バイオエンジニアリング分野における研究が進展し,この分野の優秀な人材育成を社会からも強く要請されている。この要請を実現するためには,学際的境界領域であるバイオメカニクス分野では,医学と工学の連携が重要であり,両者の融和した教育が望まれてきた。

例えばこの分野における教育では,現象・原理の正確な理解が必要であり,工学的見地,主として一般・応用力学(運動・機構学,固体力学,振動力学,流体力学,熱力学)からの人体機能の解釈が有効でかつ重要となる。すなわち,一般・応用力学の知識を習得したうえで,人体の力学的特性について正確な解釈のできる能力を涵養することが大切である。

このような観点に立ち,本書は,人体機能を正確に理解する手段として,力学の知識に基づいた人体の力学的特性とその解釈に重点を置いている。そのため,主要内容は人体機能の力学的説明が可能な部分に限られている。

具体的に本書では,解剖生理学の基礎,一般力学の基礎,運動器系の力学,歯の力学,循環器系の力学,人体の熱力学,人体の運動と制御,ヒトの生体物性,計測技術について,平易に解説している。また,一般力学の基本原理を人体の力学的諸問題に適用し,問題解決へのアプローチを通して正確な理解ができるように配慮している。

本書では,初歩から専門基礎までを学べ,さらに先進的内容を含めた構成とし,一層の学習が望まれる内容は「バイオナビ」,発展が期待される内容は「バイオのタネ」として紹介している。なお,演習問題の解答や紙面の制約により割愛した項目については,目次で「☞web掲載」と示し,コロナ社のwebページに掲載したので,興味のある読者は是非それらも参照されたい。

本書は,バイオメカニクス分野を学習する学生の教科書として,また,医療,医用,福祉,看護,介護などの分野へ従事を目指す学生,これらの分野で基礎研修を望む実務者・研究者にとっても知識の整理として役立つものと信じている。なお,内容については浅学非才のため誤解と独断のあることを恐れるが,読者の批判,𠮟正をいただければ著者らの喜びとするところである。

終わりに,本書の執筆にあたり,資料提供をいただいた関係者,および本書中に引用した書物・文献の著者に対して深甚な謝意を表するとともに,本書の出版に尽力をいただいたコロナ社の方々に厚くお礼申し上げます。

2020年3月   著者代表 松井剛一

1.人体の構造と機能
1.1 組成と構成
 1.1.1 人体の全体像
 1.1.2 細胞・組織・器官・個体
 1.1.3 タンパク質と遺伝子
 1.1.4 構成元素
1.2 器官機能と構造
 1.2.1 運動機能 —運動器系—(骨格系,筋系,神経系)
 1.2.2 生命維持機能 —消化器系,泌尿器系,呼吸器系,脈管系—
 1.2.3 制御・調節機能 —神経系,内分泌系—
 1.2.4 感覚・センサ機能 —受容器(感覚器),末梢神経系,中枢神経系—
 1.2.5 生殖機能 —生殖器系—
 1.2.6 器官機能のまとめ

2.運動学・力学の基礎
2.1 一般力学
 2.1.1 はじめに
 2.1.2 物質・物体の基礎的性質
 2.1.3 物体の運動学的・力学的取扱いの基本
 2.1.4 静力学(力とモーメントのつり合い)
 2.1.5 動力学
2.2 運動・機構学の基礎
 2.2.1 ヒトの動きと機構
 2.2.2 点と形(物体)の動きの表現
 2.2.3 座標変換
 2.2.4 機構学の基礎 —リンク機構—
 バイオナビ2.1 各種機構 ☞ web 掲載
2.3 固体力学の基礎
 2.3.1 力学および荷重の分類
 2.3.2 応力の種類
 2.3.3 ひずみの種類
 2.3.4 応力–ひずみ関係
 2.3.5 材料の引張応力–ひずみ関係
 2.3.6 線形粘弾性体の理論(一部web掲載)
2.4 振動力学の基礎
 2.4.1 振動と波動の分類
 2.4.2 調和振動の表示
 2.4.3 調和振動の合成と分解
 2.4.4 振動系の基本要素と自由度
 2.4.5 等価系
 2.4.6 固有角振動数 —非減衰自由振動—
 2.4.7 1自由度系の振動
 2.4.8 連続体(分布定数系)の振動:波動
 2.4.9 不規則振動
2.5 流体力学の基礎
 2.5.1 流体の基本特性
 2.5.2 流体の静力学
 2.5.3 流体の動力学
 2.5.4 流れの力学的相似と無次元量
 2.5.5 流体から受ける力 ☞ web 掲載
 バイオナビ2.2 特殊な流れ ☞ web 掲載
2.6 熱力学の基礎
 2.6.1 熱とエネルギー
 2.6.2 可逆変化と不可逆変化
 2.6.3 熱力学の第1法則
 2.6.4 熱力学の第2法則
 2.6.5 内部エネルギーとエンタルピー
 2.6.6 理想気体の状態変化
 2.6.7 伝熱の基礎
 バイオのタネ2.1 食品のエネルギー
演習問題

3.運動器系の力学
3.1 骨・軟骨のバイオメカニクス
 3.1.1 下肢骨格の解剖学
 3.1.2 股関節の解剖学
 3.1.3 下肢の静力学
 3.1.4 緻密骨の破壊
 3.1.5 軟骨と変形性関節症
3.2 関節の力学モデル
 バイオナビ3.1 関節運動の生体内測定法
 バイオナビ3.2 3次元運動学 ☞ web 掲載
演習問題

4.歯の力学
4.1 歯硬組織の力学的特性
4.2 歯
4.3 歯の力学的特性
 4.3.1 象牙質の圧縮特性
 4.3.2 エナメル質の圧縮特性
 4.3.3 象牙質およびエナメル質の引張特性と曲げ特性
 バイオのタネ4.1 歯根破折とは?
演習問題

5.循環器系の力学
5.1 力学的特徴
5.2 血液と血管の物性
5.3 血流の力学
 5.3.1 血流の保存則
 5.3.2 層流と乱流
 5.3.3 ずり応力
 5.3.4 血流の性質
 バイオナビ5.1 血流測定方法
5.4 血圧と血流量
 5.4.1 血圧と血流量の関係
 5.4.2 血圧と血流の相互特性
 5.4.3 血圧測定
 5.4.4 血管物性の変化 —血管弾性と動脈硬化—
5.5 心臓のポンプ機能
5.6 肺循環
演習問題

6.人体の熱力学
6.1 体温調節のメカニズム
6.2 エネルギー代謝
6.3 熱収支 —熱エネルギーのつり合い—
6.4 組織内の熱移動
 バイオのタネ6.1 熱による健康障害
演習問題

7.歩行運動の力学と制御
7.1 歩行の力学
 7.1.1 筋(肉)の力学的特性
 7.1.2 運動力学的諸量
7.2 歩行の運動学
7.3 歩行の運動力学
 7.3.1 床反力
 7.3.2 体節間の力とモーメント
7.4 歩行の力学的エネルギー
 7.4.1 力学的エネルギーと力学的仕事
 7.4.2 直立二足歩行のエネルギー
7.5 歩行運動のモデル化とシミュレーション
 バイオのタネ7.1 身体機能を改善・補助・拡張・再生する「ロボットスーツHAL®」 ☞ web 掲載
 バイオナビ7.1 モーションキャプチャーシステム ☞ web 掲載
7.6 介護の力学
 7.6.1 介護とは
 7.6.2 介護動作とてこの原理
 7.6.3 腰痛発生のメカニズムと腰痛予防
 7.6.4 動作姿勢の力学モデル
演習問題

8.人体の機能と限界(生体物性:外界環境からの影響)
8.1 人体の電気的特性
 8.1.1 人体の電気現象
 8.1.2 受動的電気特性
 8.1.3 能動的電気特性
8.2 人体の磁気特性
8.3 人体の光特性
8.4 人体への放射線の影響
 8.4.1 放射線の種類と性質
 8.4.2 人体組織における放射線の作用と障害
 バイオのタネ8.1 気圧や振動の影響
8.5 人体への流体の影響
 8.5.1 流体から受ける力
 8.5.2 雪崩の影響
演習問題

9.計測技術の基礎
9.1 計測の基本
9.2 計測する量と誤差
 9.2.1 計測する量
 9.2.2 計測の要請と条件
 9.2.3 測定誤差
 9.2.4 計測の不確かさ
9.3 国際単位系(SI)
9.4 MRI計測 ☞ web 掲載

参考・引用文献
演習問題解答 ☞ web 掲載
索引

松井 剛一(マツイ ゴウイチ)

照井 直人(テルイ ナオヒト)

岡本 覚(オカモト サトル)

横山 隆(ヨコヤマ タカシ)

田邊 裕治(タナベ ユウジ)

坂本 信(サカモト マコト)

千葉 美麗(チバ ミレイ)

小林 公一(コバヤシ コウイチ)

実験力学 Vol.20,No.2(2020年6月 日本実験力学会) 掲載日:2020/07/09
新刊図書のご案内 (日本実験力学会推薦図書)

・体の不思議を力学する

 私たちの体は不思議である.体を構成する約40兆個もの細胞は,調和を保ちながら絶え間なく働き続け,私達をエントロピー増大の法則から抗わせる.そして彼らが作り出す組織,器官は,精緻かつ複雑な機能・構造をもちながら,その理由について思いを馳せるとやはりそうあるべきことが自然の摂理であるかのごとく納得させられる.これはなにも私たちの体を医学,生物学,生命科学の見地から眺めたときだけの感想ではない.体といういかにも神秘なる存在を,機械工学という産業基盤の根幹をなし,体の神秘性と相容れないように思われるこの学問から眺めたときの感想である.機械工学を構成する主要な学問はいくつかの力学(機械力学,固体力学(材料力学),振動力学,流体力学,熱力学)である(はじめに触れたエントロピー増大の法則も,熱力学の基礎の一つである).そして本書の前半部では,体の機能,構造について概説するとともに,それぞれの力学の基礎となる領域を,要点を押さえつつ平易で親しみやすい内容で解説されている.それら力学の基礎を身につけた後,本書の後半部では,私たちの体の不思議が,それら力学を駆使し,説明できることを示している.
 本書の著者らは,それぞれの分野において第一線で活躍されている高名な先生方であるため,本書はバイオメカニクスの基礎を教授することを主たる目的としたものと思われるが,折に触れて最先端のトピックも散りばめられており,当該分野の初学者のみならず,ある程度の経験を積んだ研究者にもお勧めできるバイブル的な本である.また,バイオメカニクスを直接的に専門としない生物学者,医療関係者にも,本学際領域を俯瞰するための幅広い知識を涵養する書籍として,ぜひとも一読をお勧めする良書である.
(森田 康之/熊本大学教授)


・時代のニーズに応える書籍

 人体機能を力学的な観点から解釈する『人体の力学』が新しく出版され,偶然のことではあったが,拝読する機会に恵まれた.本書は,9章から構成され,その内容は力学基礎から工学および医学分野にまでわたっている.執筆者は8名で,それぞれ工学あるいは医学の分野の第一線で活躍されており,それぞれの専門分野を分担執筆されている.内容は,力学,解剖生理学基礎,運動器系,循環器系,人体熱力学,人体の運動,歯科,生体物性,計測技術などに関して要領よくまとめられ,平易に解説されている.また,2章から8章の章末には,それぞれの章の内容に関連した演習問題も設けられていて,バイオメカニクス分野を学習する学生への教科書を想定した配慮もみられる.本書には,「基礎から学ぶバイオメカニクス」という副題がついていて,文字通り力学の基礎部分からの丁寧な解説がなされており,理工学系の学生や研究者だけはではなく,医療,福祉,看護,介護などの分野への従事を目指す学生にとっても学習しやすいように工夫されている.最近,生物の構造,形態,機能,運動などを力学的観点から探求し,リハビリテーション,スポーツ記録の向上,人間工学などに役立てようとする分野がきわめて活発になってきており,時代のニーズに合致したタイムリーな本書出版は貴重であろう.もし,第二版の出版を計画されているのであれば,書籍の内容全体を見渡しして頂き,重複している説明部分はまとめて頂いた方が,より統一のとれた書籍となろう.
(須藤 誠一/秋田県立大学名誉教授)

掲載日:2022/06/20

第61回日本生体医工学会大会 大会プログラム広告

掲載日:2022/04/25

「生体医工学」60巻1号

掲載日:2021/10/06

「日本機械学会誌」2021年10月号広告

掲載日:2020/11/09

「日本機械学会誌」2020年11月号広告

掲載日:2020/10/21

「生体医工学」58巻4-5号広告

掲載日:2020/05/08

「日本機械学会誌」2020年5月号広告