MATLABで学ぶ生体信号処理

MATLABで学ぶ生体信号処理

プログラミングの基礎を履修済みの学生や研究者に向けて,脳波,心電図,筋電図,fNIRSの解析方法について丁寧に解説。

ジャンル
発行年月日
2018/10/15
判型
B5
ページ数
174ページ
ISBN
978-4-339-07245-7
  • 内容紹介
  • まえがき
  • 目次
  • レビュー
  • 著者紹介
  • 書籍紹介・書評掲載情報

プログラミングの基礎を履修済みの学生や研究者に向けて,脳波,心電図,筋電図,fNIRSの解析方法について丁寧に解説。ダウンロード可能なサンプルプログラムで実践的にMATLABプログラミングの基礎が習得できる一冊。

本書は,C言語などのプログラミングの基礎を学習した経験のある大学生,大学院生や新たに生体信号処理研究をはじめようとする研究者のために,生体信号処理(特に脳波・心電図・筋電図・fNIRSの解析)という観点から数値解析ソフトウェアMATLABの使い方を実践的に解説したものです。医学系研究者など,プログラミングの知識がない方でもMATLABで(研究に必要な)どんな処理ができるのかが理解できるよう,多数の例を挙げダウンロード可能な生体信号データを提供して,自習形式でMATLABプログラミングの基礎が身に付くよう配慮しました。

脳波や心電図,筋電図など,生体上の一つまたは複数の測定部位からデータを取得する生体信号はしばしば「測定点×時系列」の2次元の行列(数値データの配列)として記録されます。MATLABはこうした行列データの演算を,すでに用意された関数を使って直感的,かつ効率的に行えるという利点があります。2000年代の初頭から現在にかけて,MATLAB上で動作する機能的MRI・脳波・心電図データの解析ソフトウェアが数多く一般に公開されてきており,工学者だけでなく,生命科学,医学,心理学などの研究者がMATLABを用いて生体信号の収集や,データ処理を行うようになってきています。こうした生体信号解析用のMATLABソフトウェアの多くはグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)を提供しているため,論文等で内容を理解したうえで,マニュアルに沿ってデータを入力し,クリックをしていくと解析結果にたどり着くことはできます。しかし研究を進めていく中で,これらのソフトウェアで提供されている個別の機能を目的に合わせて変更したり,拡張したりする必要も出てきます。そのためにはMATLABプログラミングの知識が必要になりますが,一般的なMATLABの参考書はソフトウェアの多岐にわたる関数を網羅的に紹介するだけにとどまるものが多く,生体信号の解析で多用される周波数解析や加算平均処理,フィルタ,平滑化,統計解析といった具体的なニーズに沿ってMATLAB関数やプログラム手法を解説した書籍はありませんでした。

この本は,筆者が自分の研究室の学生や共同研究者と研究を進めていくにあたって使用している生体信号処理のMATLABプログラムをもとに,各生体信号処理のプロセスをなるべく一般化して示したものです。研究室単位でのゼミ形式での講義にも活用できるよう,内容を目的別の章に区切って学習できるようにもしてあります。

MATLABを触るのがはじめてという方は,1章と2章に沿ってまず独習してみてください。大学の授業などでMATLABを使ったことがあり,操作はだいたいわかるという方は,3章以降の内容から,各自の目的に沿ったものを参照してください。なお,本書で用いたコンピュータのOSはWindows7(64bit),MATLABのバージョンはMATLAB R2017b(1~3章)とMATLAB R2014a(4章以降)となっています。MATLABは年に2 回のアップデートを行っており,4章以降で用いたバージョンは少々古いですが,上記に挙げた生体信号解析用のMATLABソフトウェアの中には特定のWindowsのバージョンとソフトウェアのバージョンの組み合わせのみしか受け付けないものがあり(詳しくは 1. 2節〔2〕参照),筆者の研究環境が上記のようになっているためです。サンプルプログラムは,MATLABのバージョンの違いによらず正常な動作が得られるよう留意してありますが,もし読者の皆さんがお気付きの点がありましたら,著者の研究室アドレスHSMElab@gmail.comまでメールにてお知らせいただければありがたいです。

本書が多くの学生さん,研究者の助けになれば幸いです。

2018年8月 著者

1. はじめに:MATLABを使う準備
1.1 「MATLAB」とは?
1.2 MATLABの入手とインストール

2. MATLABの基本操作
2.1 脳波データサンプル(EEGsample)について
2.2 データの読み込みと確認
2.3 脳波波形の図示
2.4 解析プログラム(mファイル)の作成
2.5 データ,プログラム,図の保存
2章で学習したMATLABコマンド一覧

3. 自発脳波データの周波数解析
3.1 脳波の原理と計測方法
3.2 自発脳波の種類と信号処理
3.3 MATLABによる自発脳波のフーリエ変換
3.4 スペクトル解析を応用した自発脳波解析の手順
3章で学習したMATLABコマンド一覧

4. 誘発脳波データの加算平均処理
4.1 誘発脳波の種類と評価項目
4.2 MATLABによる誘発脳波の加算平均処理
4章で学習したMATLABコマンド一覧

5. 心電図と心拍変動解析
5.1 心電図の原理と計測方法
5.2 心電図の医学および生体工学における用途
5.3 MATLABによる心拍変動解析
5章で学習したMATLABコマンド一覧

6. 筋電図の解析
6.1 筋電図の原理と計測方法
6.2 MATLABによる筋電図の信号処理
6章で学習したMATLABコマンド一覧

7. fNIRSデータの解析
7.1 fNIRSの原理と計測方法
7.2 MATLABによるfNIRSデータの信号処理
7章で学習したMATLABコマンド一覧

8. MATLABによる統計処理
8.1 平均値,中央値の差の検定
8.2 相関解析
8.3 標本サイズと検出力検定
8章で学習したMATLABコマンド一覧

付録
A.1 EEGLABのインストール
A.2 加算平均回数とS/N
A.3 SPMのインストール

引用・参考文献
索引

Kt 様

心電・筋電を取得する製品取り扱っており、その取得したデータを加工するのに苦労していましたが、本書で解決することができました。特に5章が参考になりました。
参考となる.mファイルをどこからダウンロードすべきか、少し分かりづらかったです。

小野 弓絵(オノ ユミエ)

専門分野:脳機能イメージング,ブレイン・マシン・インターフェース,生体機能計測
ヒトの意志や感情,能力などの「見えないものを観る」ための生体信号処理と,医療への応用研究を行っています。

日本生体医工学会誌「生体医工学」2018年8月号