エンジニアのための失敗マニュアル 痛快な珍問答と失敗のてんまつ

エンジニアのための失敗マニュアル - 痛快な珍問答と失敗のてんまつ -

  • 涌井 伸二 東京農工大大学院教授 博士(工学)

学生達の何気ない会話を取り上げ,次に実際に彼らがおかした失敗,さらに著者自身が若手技術者時代におかした失敗の実例を紹介した。

ジャンル
発行年月日
2015/01/23
判型
A5
ページ数
190ページ
ISBN
978-4-339-07797-1
  • 内容紹介
  • 目次
  • 著者紹介
  • 書籍紹介・書評掲載情報
  • 広告掲載情報

【書籍の特徴】
 エアージャッキを使って,5t近い重量物の設置場所を変える作業をしたことがある。空気を抜いて重量物を床に落とすぞ,と重量物の周囲に取り付いている同僚達に声をかけた。了解という応答を一斉に得た。作業は終わった。しかし,重量物を落とす瞬間,片足が装置に引っかかってぬけなかったという報告を受けた。着座のタイミングがもう少し早ければ,同僚の足首はつぶれていた。重たいものを扱うので注意してください。この指示に反論する人はいない。即座に,わかりました,という返事がえられる。しかし,頭による理解と,体験に基づくそれは明確に異なる。たとえば,半田ごてを使ったやけどという経験をあったとき,数々の注意事項が身にしみて入ってくるものである。
 しかし,あらゆる失敗を実地に経験することはできない。そこで,著者自身および指導の学生達がおかした失敗を疑似体験してもらうために本書を執筆した。大いに嗤って欲しい。読者諸兄が自家薬籠中のものとして,失敗を回避してくれることだけを願う。
【各章について】
1章では,なぜ失敗を赤裸々に語る必要があるかについて述べている。2章では,技術の世界の失敗とは無縁とも思われるボキャ貧でさえ,摩訶不思議な連鎖によって失敗を招き寄せるという実例を紹介する。3章では,遅刻,居眠りまでが回り回って事故に結びつく事例を紹介している。4章では,身近にあるプリンタ,半田ごてなどを壊す心理を分析している。結局のところ,ごつい機械であってもひたすら優しく扱うことを推奨している。5章では,半田付け,モータの巻線として使用するエナメル線の取り扱い,そしてアースなどの電気接続に関しておかしがちなトラブル事例を紹介している。6章では,発煙,感電,InとOutの誤認による装置取り扱いミスの事例を紹介している。

【著者からのメッセージ】
 危険な薬品を扱うとき事前に安全講習会が開催される。もちろん,講習会に不参加よりも参加の方がこのましい。このような講習会に参加させたにもかかわらず事故をおかした,と立腹する人がいた。講習会では安全に関する知識を仕入れる。知識が無いよりはあった方がよい。しかし,安全の知識があっても失敗はおかしてしまうものなのである。失敗しないためには,現場での視点のあてかたが肝要であって,本書はこのような事例を満載に紹介している。

1. 序論
1.1 感激と記憶
1.2 経験が大事
1.3 失敗の経験

2. ボキャ貧と気づきの貧弱さ
2.1 ボキャ貧の実態
 2.1.1 技術会話の例(電気電子関係の技術用語)
 2.1.2 技術会話の例(機械関係の技術用語)
 2.1.3 話し方・聞き方の問題
 2.1.4 日常会話の例(話が途切れる語彙の貧弱さ)
 2.1.5 私の場合
2.2 ボキャ貧が招く失敗
2.3 気づきの貧弱さが事故につながる予感
 2.3.1 交通事故
 2.3.2 電源の遮断
 2.3.3 半田ごての不用意な電源投入
 2.3.4 ケーブル越え事件

3. 態度
3.1 遅刻そして朝の挨拶のこと
3.2 フレックスタイム制度の光と影
3.3 居眠り事件
3.4 椅子に座っていられる才能
 3.4.1 椅子に座っていられない学生と企業人
 3.4.2 卒論の見直し
3.5 エプロン事件
3.6 サンダル履き事件
3.7 尻ブチ先生の教育
3.8 注意書きは景色の一部となる(その1)
3.9 注意書きは景色の一部となる(その2)
3.10 重量物持ち上げ作業に見る事故の予感

4. 機械はやさしく
4.1 プリンタのトレイ故障事件
4.2 ねじ締め事件
4.3 空圧レギュレータの破壊
4.4 半田ごての破壊
4.5 ねじは緩むもの
4.6 機械は生き物のように動く
4.7 空気漏れ事件
4.8 ICの抜き差し作業

5. 電気接続のこと
5.1 半田付けのいろいろ
 5.1.1 半田ボールや配線の折れ
 5.1.2 ハウジングの接続
 5.1.3 BNCケーブルの半田付け
 5.1.4 バナナの半田付け
5.2 テンションによる断線事件
5.3 エナメル線は皮膜をむく
5.4 電気を通すには2本の配線が必要
5.5 アクティブ素子を動かすには電源が必要
5.6 電気信号の加算
5.7 オシロスコープは何のために使用?
 5.7.1 減衰振動波形
 5.7.2 オーバシュート
 5.7.3 オフセットとドリフト
 5.7.4 ノイズなの?
 5.7.5 10:1と1:1のプローブ
 5.7.6 DCカップリングとACカップリング
 5.7.7 プローブの校正
5.8 ショート事故
5.9 筺体アース

6. 失敗の事例
6.1 抵抗からの発煙事故
6.2 装置からの発煙事故
6.3 INとOUTの誤認による失敗(その1)
6.4 INとOUTの誤認による失敗(その2)
6.5 感電事故
6.6 大規模プロジェクトの失敗

付録 アナロジの効用
A.1 時間領域と周波数領域
A.2 コンプリメンタリ・ペア,相補型トランジスタ
A.3 垂下特性
A.4 スライディングモード制御
A.5 PID制御
 A.5.1 織田・豊臣・徳川とPID制御
 A.5.2 現在・過去・未来とPID制御
A.6 除振装置の空気ばね

おわりに
引用・参考文献
索引

日刊工業新聞2015年1月22日 「話題の本」欄

掲載日:2020/01/29

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