現場で役立つ 制御工学の基本(演習編) 解答と誤解答から学ぶ演習書

現場で役立つ 制御工学の基本(演習編) - 解答と誤解答から学ぶ演習書 -

「現場で役立つ制御工学の基本」の演習書。解答と,適宜誤解答を記載し,正解とあわせ丁寧な解説をした。

ジャンル
発行年月日
2017/07/07
判型
A5
ページ数
144ページ
ISBN
978-4-339-03220-8
  • 内容紹介
  • まえがき
  • 目次
  • 著者紹介

【書籍の特徴】
 制御系で発現する現象は,可能な限り言葉としての数式で表現されねばならない。ところが,数式が示すものと実際の現象が微妙に異なることがある。喉にトゲが刺さったようにもどかしい。しばらくすると,多重フィードバックの符号が反対という稚拙な誤りに気づく。恥じ入るたぐいの間違いではある。しかし,誤りとは,わかるまでには随分と時間がかかるものだ。
 この時間を短縮するために,著者らが指導してきた学生達,および博士取得のために在籍していた企業の開発者たちが,実際におかした間違いを演習問題として記載した。すべて実例であって,読者諸氏が本書を使って間違いの仕組みを,正解答と合わせて学習できるように工夫している。目的はただ一つ。制御工学の数式を自在に駆使して,面白い研究開発を行ってほしいのである。

【各章について】
1章では,正しい解答とともにあえて誤解答を記載した本書の特徴を述べている。2章では,サーボモータの制御系設計を含めた合計9個の演習でフィードバック制御の詳解を行っている。3章では,制御系で使用する数学の演習を基礎編として18個,そして,特にブロック線図の扱いを中心とした応用編10個の演習問題を配置している。4章では,時間領域から見るシステムの特性を扱った16個の演習問題を与えている。5章では,時間領域と対の関係にある周波数領域から見たシステムの特性を13個の演習で明らかにしている。6章では,9個の演習問題を使って制御系の安定性を検討する手法を学ぶ。7章では, PID補償,位相進み補償,そしてノッチフィルタなどを使った制御系設計時の留意点を10個の演習問題で扱っている。 
【著者からのメッセージ】
 数式を多用する制御工学では,理論の誤認は不可避であると考えられる。しかし,正しい解答と誤解答の併記を特徴とする演習問題を使った訓練によって,正しい解答をえる眼力を磨ける。それは,実務の世界での間違いを強烈かつ自然に意識できることにつながり,本質的な研究開発にあてる時間を充実させられる。

制御工学の講義に対する試験結果を見ると,学生の間違いや誤認の仕方は共通している。そこで,講義中にあえて誤解答を説明する。すると,誤解答をとおして一層の理解が図れるのであろう,このような講義を受けた学生の試験結果は良好になる。さらに,著者らが学生あるいは初級の研究開発者であったとき,既刊の書籍や演習書を参考にして,いままさに対象としている制御系の理解を図る,あるいは問題解決のための例題を探すことがあった。しかし,数値例題の解答だけからは,演習問題の意図をくみ取ることができないばかりか,実務の場面での使用方法がわからず苦労したものである。また,企業の実働エンジニアとの打合せで,いろいろな制御系設計や解析方法を検討・提案するなかで,その簡便な例題や応用事例,あるいはそれらが記載された文献を求められることが非常に多い。 そこで,講義や研究開発の経験と著者らの若いときの勉学の有りようを踏まえて,従来の演習書に代わるものをここに出版した。制御理論を使いこなせることを狙いとして,あえて誤解答も記載し,正解とあわせて丁寧な解説をしている。

 本書の特徴は以下のとおりである。
 (1) 演習問題の先頭には,一目で内容を想起しやすいタイトルをつけた。
 (2) 制御理論の適用や応用に重点をおいた問題を多数用意した。
 (3) 単に解答で終わらず,導出に至る計算過程も詳細に記載した。
 (4) 誰もが経験する誤認に基づく誤解答例を適宜に提示した。
 (5)  各問題の解説には,誤解答に至る経緯,演習問題の意図,そしてほかの演習問題との関係などにも言及した。
 (6)  基本理論を中心とした姉妹書「現場で役立つ制御工学の基本」(コロナ社)との関連部分を随時明記し,あわせて内容理解の強化を図れるよう配慮した。

最後に,出版にあたり多大なるご尽力を頂いたコロナ社の皆様に感謝します。

2017年4月 著者一同

1. 諸言―本書を活用するにあたって―
1.1 執筆の動機
1.2 応用力を身につけるための演習
1.3 演習問題の設定と解答の方針
1.4 本書の活用方法

2. フィードバック制御の詳解
【演習2.1】さまざまなセンサの機能と役割
【演習2.2】回転速度を検出するセンサ
【演習2.3】センサとアクチュエータ
【演習2.4】サーボモータの制御系設計
【演習2.5】RC直列回路の伝達関数,時定数,時間応答
【演習2.6】加速度センサの使用
【演習2.7】負帰還符号の設定―3重ループの場合―
【演習2.8】比例-積分制御器(PI制御器)の伝達関数
【演習2.9】時定数と時間応答の関係

3. ラプラス変換と伝達関数
[A:基礎編]
【演習3A.1】数式からのモデル化
【演習3A.2】ヘビサイドの展開定理を用いた部分分数展開
【演習3A.3】複素数を含む部分分数展開
【演習3A.4】微分方程式のラプラス変換による解法(初期値考慮)
【演習3A.5】微分方程式から伝達関数の導出方法
【演習3A.6】伝達関数の基本形と時定数,固有角周波数,減衰係数の対応
【演習3A.7】ブロック線図からの伝達関数導出(その1)
【演習3A.8】ブロック線図からの伝達関数導出(その2)
【演習3A.9】閉ループ伝達関数の導出
【演習3A.10】開ループ伝達関数の導出
【演習3A.11】伝達関数の計算とその特性方程式の性質
【演習3A.12】2入力1出力の伝達関数の導出
【演習3A.13】近似微分の伝達関数
【演習3A.14】オペアンプを使った擬似積分補償回路に対する最終値定理の適用
【演習3A.15】定常偏差の確認(その1)
【演習3A.16】定常偏差の確認(その2)
【演習3A.17】定常応答の確認(その1)
【演習3A.18】定常応答の確認(その2)
[B:応用編]
【演習3B.1】ブロック線図のブロックおよび矢印の意味
【演習3B.2】RL直列回路のブロック線図
【例題3B.3】マス・ばね・ダンパ系のブロック線図
【演習3B.4】ブロック線図の作成
【演習3B.5】ブロック線図の等価変換(その1)
【演習3B.6】ブロック線図の等価変換(その2)
【演習3B.7】ブロック線図の等価変換(その3)
【演習3B.8】ブロック線図の効用(正帰還の効果)
【演習3B.9】導出した伝達関数のチェック方法と近似による理解
【演習3B.10】分母と分子のキャンセルという演算操作

4. 時間領域から見るシステムの特性
【演習4.1】日常生活におけるインパルス応答とステップ応答
【演習4.2】インパルス応答とステップ応答
【演習4.3】時間領域とs領域での応答計算
【演習4.4】積分系と1次遅れ系
【演習4.5】むだ時間を含む1次遅れ系の時定数の読み取り
【演習4.6】RL直列回路の時定数とゲイン線図
【演習4.7】2次遅れ系の時間応答と周波数応答の対比
【演習4.8】2次遅れ系の極配置から減衰係数ζの大小を判断
【演習4.9】伝達関数とその極零表示
【演習4.10】システムの型と定常偏差
【演習4.11】制御系の型と内部モデル原理(その1)
【演習4.12】制御系の型と内部モデル原理(その2)
【演習4.13】制御対象が積分器を有するシステムの定常偏差
【演習4.14】外乱に対するシステムの型と定常特性(その1)
【演習4.15】外乱に対するシステムの型と定常特性(その2)
【演習4.16】内部モデル原理

5. 周波数領域から見るシステムの特性
【演習5.1】ゲインdBの計算
【演習5.2】伝達関数とボード線図の概略図
【演習5.3】1次系のハイパスフィルタ
【演習5.4】周波数応答と時間応答の対応
【演習5.5】実測のボード線図に-40dB/decの傾斜を作図
【演習5.6】周波数応答のなかのゲイン曲線のdB表示
【演習5.7】IV(電流・電圧)変換器の伝達関数の周波数応答
【演習5.8】デカード(decade)とオクターブ(octave)の関係
【演習5.9】オペアンプを用いた位相進み補償回路の伝達関数の導出と折線近似によるゲイン曲線の作図
【演習5.10】オペアンプを用いた擬似積分補償回路の折線近似によるゲイン曲線の作図
【演習5.11】むだ時間要素の周波数特性と安定性に及ぼす影響
【演習5.12】周波数伝達関数の大きさの計算
【演習5.13】基本伝達関数のボード線図を描く

6. 制御系の安定性を検討する手法
【演習6.1】ゲイン余裕と位相余裕の読み取り
【演習6.2】数値例に対するラウスの安定判別法の適用とその実務への応用
【演習6.3】フィードバック制御による安定化
【演習6.4】ラウスの安定判別法
【演習6.5】ナイキスト線図の描画と安定判別法
【演習6.6】ナイキストの安定判別法
【演習6.7】1次遅れ系の安定性
【演習6.8】電磁石に通電する電流ドライバの時定数が安定性に及ぼす影響(拡張根軌跡法)
【演習6.9】システムが有するむだ時間の安定性に対する影響度

7. 制御系設計時の留意点
【演習7.1】レギュレーション問題とサーボ問題の区別
【演習7.2】実測の周波数応答からのバンド幅,共振値,共振周波数の読み取り
【演習7.3】PID制御器の役割
【演習7.4】PD補償器の調整
【演習7.5】外乱オブザーバの実現
【演習7.6】ノッチフィルタの周波数特性
【演習7.7】ノッチフィルタによる不安定化
【演習7.8】位相進み補償と位相遅れ補償の目的
【演習7.9】位相進み補償器の設計
【演習7.10】位相進み補償によるむだ時間補償法

橋本 誠司(ハシモト セイジ)

高梨 宏之(タカナシ ヒロユキ)

中村 幸紀(ナカムラ ユキノリ)