改訂 微積分学入門
記述の手直しや現行学習指導要領に即した内容への改変を行った。数学を専門に学ばない学部に適した微分積分学の入門的教科書。
- 発行年月日
- 2018/02/28
- 判型
- A5
- ページ数
- 206ページ
- ISBN
- 978-4-339-06115-4
- 内容紹介
- まえがき
- 目次
初版発行から8年がたち,既述の手直しや現行学習指導要領に即した内容への改変の必要性から今回の改訂に至った。種々な関数や初等関数の性質,逆三角関数を最初の章にまとめ,付録の二重積分と累次積分の項を一つの章にまとめた。
まえがき
2009年の初版から8年を経て,現行学習指導要領で学んできた学生が増え,学生の基礎知識の多様化が顕著になってきた.さらに,授業カリキュラムも初版時の週1コマ(通年で25コマ程度)が通年で30コマに増加したことを受け,記述の手直しや現行学習指導要領に即した内容の改変の必要性を感じ,ここに改訂版の作成を行うことに至った.
改訂にあたって,新たに北里大学一般教育部の伊藤真吾教授に共同での著作をお願いした.伊藤教授には,新たに設けた第1章,第7章の執筆と,初版時での字句の誤植や定義や定理などにおける文章表現の不適切な箇所をご指導いただき,あわせて学生のニーズにあった適切な図や表を作成していただいた.また,打合せを重ねて,改訂版の完成を目指した.
今回の改訂版では,高等学校で学んだ関数の定義や基本的な性質,および初等関数(三角関数,指数関数,対数関数)の性質などを最初の章にまとめて,第2章以降で必要とされる基礎知識の修得を徹底することにした.さらに,初版時での逆三角関数の項を積分の章から第1章へと移し,学生が逆三角関数の扱いに早急に慣れることを目指した.
さらに,付録の箇所から二重積分と累次積分の項を第7章として独立の章にし,二重積分の基本概念を修得させることにした.以前の『微積分学入門』を実際に教科書として利用していただいた,北里大学の先生方からのご意見やご指摘を参考にして,今回の改訂版を作成することとなった.ご意見をいただいた先生方に深く感謝する次第である.より良い本にするために,今後も多くの方からご意見をお寄せいただければ幸いである.
2018年1月 著者しるす
初版のまえがき
本書は,水産系や医療系など,数学を専門に学ばない学部での授業カリキュラムに即した微分積分学を扱っている.いままでの教科書に見られるような1年では終わらない内容ではなく,スリム化を図った.週に1 コマ(通年で25コマ) 程度の授業カリキュラムを想定した分量となっている.そのため,基礎的な内容については本書で必要になる最小限の説明のみにとどめている.例えば,初等関数(三角関数,指数関数,対数関数)の性質などについては詳しい説明を省き,簡潔な説明にとどめた.したがって,読者は必要ならば,高校の教科書等を参照しながら問題等に取り組んでほしい.
さて,高校までの教育の変化に伴い,学生の履修内容も二極化している.本書は,高校で数学IIまでは履修したが数学IIIは初めて学ぶ読者に対して,自分で学習できるやさしい自習書であるように工夫したつもりである.数学IIIをすでに学習済みの学生に対しては,授業の内容に関連して発展的に学習できる数学の話題を付録に掲載した.ここでは本文で扱えなかった重積分にも言及している.
第1章では,多項式の微分を基本として微分の公式を考えることにし,その知識の積み重ねとして初等関数の微分を考えることとした.微分公式を繰返し用いることで,公式の理解の徹底を図った.
第2章では,微分の応用としてロピタルの定理と関数のべき級数展開を入門程度に述べることとした.
第3,4章では,積分の基本知識とその応用としての面積,体積の求め方に言及した.
第5章では,2変数関数の微分である偏微分に関する定義や基本的性質について述べている.
最後に,万全を期したつもりだが,不完全な箇所が多々あると思われる.読者の皆様のご意見などをいただければと思っている.また,本書の刊行に当り,原稿のチェックなどを懇切丁寧にご指導いただいた北里大学の大橋常道氏,谷口哲也氏,コロナ社の皆様には心から感謝の意を表したい.
2009年2月 下田 保博
1. いろいろな関数
1.1 関数とそのグラフ
1.2 べき関数
1.3 分数関数
1.4 無理関数
1.5 逆関数
1.6 三角関数
1.6.1 一般角
1.6.2 弧度法
1.6.3 一般角の三角関数
1.6.4 三角関数の性質
1.6.5 三角関数のグラフ
1.6.6 加法定理とその派生公式
1.7 指数関数
1.7.1 指数の拡張と指数法則
1.7.2 指数関数とそのグラフ
1.8 対数関数
1.8.1 対数の定義と性質
1.8.2 対数関数とそのグラフ
1.9 逆三角関数
2. 微分
2.1 関数の極限
2.2 連続関数
2.3 微分係数と導関数
2.4 曲線の接線と法線
2.5 積の微分公式
2.6 商の微分公式
2.7 合成関数の微分公式
2.8 その他の微分公式
2.9 三角関数の微分
2.10 指数関数の微分
2.11 対数関数の微分
3. 微分の応用
3.1 対数微分法
3.2 高次導関数
3.3 ライプニッツの公式
3.4 ロールの定理
3.5 平均値の定理
3.6 ロピタルの定理
3.7 関数の増減と極値・凹凸
3.8 曲線のグラフ
3.9 テイラーの定理
3.10 べき級数展開
4. 不定積分
4.1 原始関数と基本的な公式
4.2 初等関数の不定積分
4.3 置換積分
4.4 部分積分
4.5 有理式の積分
4.6 三角関数の分数式の積分
4.7 逆三角関数の不定積分
5. 定積分とその応用
5.1 定積分の定義とその基本的性質
5.2 定積分における置換積分
5.3 定積分における部分積分
5.4 漸化式による定積分
5.5 図形の面積
5.6 回転体の体積
5.7 広義の積分
6. 偏微分
6.1 2変数関数
6.2 偏導関数
6.3 全微分
6.4 2階の偏導関数
6.5 合成関数の偏微分
6.6 陰関数定理
6.7 2変数関数の極値
7. 二重積分
7.1 二重積分の定義と性質
7.2 累次積分
付録
A.1 双曲線関数
A.2 2変数関数のテイラー展開
A.3 条件つき極値
A.4 関数行列式と変数変換
引用・参考文献
問題の答
索引