アルミニウム合金の基礎と成形技術

アルミニウム合金の基礎と成形技術

アルミ製品の製造にかかわる方々へ,合金化から鋳造,圧延,押出し,接合,表面処理まで!

  • 口絵
ジャンル
発行年月日
2024/11/07
判型
A5
ページ数
210ページ
ISBN
978-4-339-04691-5
アルミニウム合金の基礎と成形技術
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定価

3,740(本体3,400円+税)

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アルミニウムにかかわる機械系の技術者・研究者だけでなく,学生や新入社員など幅広い方々も読めるよう基礎から丁寧に,アルミニウムの特性,合金化,鋳造加工,圧延・板成形,押出し加工,接合,表面処理などの成形技術を紹介する。

本書『アルミニウム合金の基礎と成形技術』は,コロナ禍の2021年7月に塑性加工学会出版事業委員会にて企画されました。このたび,ようやく発刊できる運びとなりましたことを関係者一同,本当に嬉しく思っております。

さて,1974年のオゾン層破壊の発見に端を発した地球温暖化問題。1980年代からそれに関する問題提起が始まり,1990年の京都議定書で「温室効果ガスを削減する数値目標と目標達成期」が合意されたことはもう遠い記憶になってしまったのではないでしょうか。温暖化対策,地球・環境保全等に関連して,各国の「ものづくり」に対する規制が日に日に厳しくなる中で,2015年に国連でSDGsなる目標が提唱されました。各国の政治や経済に関連する部分も多分に影響しているものと推測されますが,「ものづくり」に関わる技術者,研究者の立場から俯瞰すると,科学立国・技術立国としての我が国の担う部分が非常に大きいことは想像に易いと思われます。

特にCO2排出量削減の急先鋒として,自動車等の陸上輸送車両の軽量化によるガソリン消費量の軽減,それに伴う排気ガス量の低減が目標として掲げられて世界的に大きく動き出し,加えてハイブリッド車,プラグインハイブリッド車,電気自動車等への転換期をも迎え,「軽量化」は欠かせないキーワードになったと思われます。そのような中で軽量な金属であり,比較的低温の熱処理と容易な加工で所望の強度が得られる「アルミニウム」,正確には「アルミニウム合金」は,軽量化を実現するのに欠かせない金属材料であると再認識されたのだと思われます。資源のない日本で,今後,自動車に限らず,どのようにアルミニウム製品を製造していくのか,社会と一体化したリサイクルの仕組みなども含め,2030年以降の持続可能な社会において求められている解であると思われます。

本書はまさにそのような解を得るためのバイブル的存在となることを目指して企画され,「1.アルミニウムの特性とその合金化」,「2.アルミニウムの鋳造加工」,「3.アルミニウムの圧延・板成形」,「4.アルミニウムの押出し加工」,「5.アルミニウムおよびその合金の接合」,「6.アルミニウムの表面処理」の六つの分野の第一線で,国内外でご活躍の研究者・技術者の皆様に執筆をご快諾いただきました。今までこの分野に携わられてこられました皆様はもちろん,学生の皆様や今からアルミニウムの製造に関与されます企業の新入社員の皆様への導入書籍としても,ご満足いただける書籍であると自負しております。日本がアルミニウムの分野で世界をリードしていくものづくり立国として邁進していくことを願いつつ,末永くご愛読いただければ幸いです。

最後に,今一度,本企画を立案いただいた一般社団法人日本塑性加工学会に御礼申し上げます。ご執筆いただきました著者の皆様方,出版をご担当いただいた株式会社コロナ社ならびに関係各位に,心より御礼を申し上げます。

本書籍の企画にご尽力され,発刊前にご逝去されました,著者の高辻則夫 富山大学名誉教授に哀悼の意を表します。

2024年9月
松田健二

1. アルミニウムの特性とその合金化
1.1 アルミニウムの特徴
1.2 アルミニウムの用途
1.3 アルミニウム合金
 1.3.1 合金元素の役割
 1.3.2 アルミニウム合金の分類
 1.3.3 アルミニウム合金の加工熱処理(調質)

2. アルミニウムの鋳造加工
2.1 鋳造の基礎
 2.1.1 鋳造法とは
 2.1.2 鋳造法の特徴
 2.1.3 鋳造の基本的な原理・原則
2.2 鋳造法の種類
 2.2.1 鋳造法の分類
 2.2.2 砂型鋳造法
 2.2.3 フルモールド鋳造法
 2.2.4 Vプロセス鋳造法
 2.2.5 精密鋳造法
 2.2.6 重力金型鋳造法
 2.2.7 低圧鋳造法
 2.2.8 ダイカスト法
 2.2.9 遠心鋳造法
 2.2.10 連続鋳造法
2.3 鋳造合金と特性,用途
 2.3.1 アルミニウム合金鋳物の種類,特性,用途
 2.3.2 アルミニウム合金ダイカストの種類,特性,用途
2.4 鋳造シミュレーション
 2.4.1 鋳造シミュレーションの種類
 2.4.2 鋳造シミュレーションの事例

3. アルミニウムの圧延・板成形
3.1 アルミニウム板製造技術の基礎
 3.1.1 アルミニウム板製造技術(上工程:均質化処理から熱間圧延まで)
 3.1.2 アルミニウム板製造技術(下工程:冷間圧延から最終熱処理,板製品になるまで)
3.2 アルミニウム合金板の成形加工
 3.2.1 応力-ひずみ曲線
 3.2.2 変形と転位
 3.2.3 アルミニウム板成形加工の基礎
3.3 アルミニウム板成形の応用技術(実製品技術)
 3.3.1 アルミニウム箔圧延技術
 3.3.2 アルミニウム飲料缶の成形技術
 3.3.3 自動車部品用アルミニウム合金板の成形技術
3.4 アルミニウム板の成形シミュレーション技術
 3.4.1 板成形シミュレーションの事例
 3.4.2 板成形シミュレーションの高精度化のための材料試験方法
 3.4.3 結晶塑性シミュレーション

4. アルミニウムの押出し加工
4.1 押出し加工の基礎
 4.1.1 押出し加工とは
 4.1.2 押出し加工の原理
 4.1.3 押出し性を支配する因子
 4.1.4 金型設計の基礎
4.2 押出し形材用アルミニウム合金
 4.2.1 アルミニウム合金の性質
 4.2.2 押出し性による分類
4.3 押出し製品の品質
4.4 押出し加工のシミュレーション
 4.4.1 シミュレーションにおいて注意すべき項目
 4.4.2 押出しシミュレーションの事例
4.5 今後のアルミニウム押出し加工

5. アルミニウムおよびその合金の接合
5.1 接合の定義と技術の概要
5.2 接合の原理と付随現象
5.3 アルミニウムおよびその合金が接合困難である理由
5.4 残留応力
5.5 アルミニウムおよびその合金に用いられる接合技術
 5.5.1 溶融溶接
 5.5.2 ろう付け
 5.5.3 固相接合

6. アルミニウムの表面処理
6.1 アルミニウムの用途と表面処理
6.2 前処理
 6.2.1 脱脂
 6.2.2 機械研磨
 6.2.3 化学研磨,化学エッチング
 6.2.4 電解研磨,電解エッチング
6.3 陽極酸化処理
 6.3.1 バリヤー型陽極酸化皮膜
 6.3.2 ポーラス型陽極酸化皮膜
 6.3.3 硬質皮膜
 6.3.4 封孔処理
 6.3.5 プラズマ電解酸化皮膜
 6.3.6 着色
 6.3.7 濡れ性制御
 6.3.8 表面機能化
 6.3.9 陽極酸化処理の応用
6.4 化成処理
6.5 塗装
6.6 めっき
6.7 表面処理における環境対応

引用・参考文献
索引

読者モニターレビュー【 林田 翔太 様 ヤマハ発動機株式会社(業界・専門分野:製造業、機械設計)】

タイトル通りアルミニウム合金の材料そのものの諸特性および成型技術についてまとめられた本である。
材料の組成や合金成分の役割、熱処理に始まり、鋳造、圧延、押し出し、接合、表面処理と言った各種工法について基本的な原理や長所短所、注意点、加工機の構造等について記述されている。
特に圧延や押し出しと言った塑性変形を伴う加工方法に関する記述が力学的解釈や計算方法など詳しいように思う。
切削についての記述は無いため、切削については別の資料を参照する必要がある。

この本の使い方として、構想~詳細設計の段階で、現在の選択が原理原則の観点から合理的な選択かを考える際の参考に辞典的な使い方が出来るかと思う。
アルミ部品に携わるのであれば絶対に知っていなければならない基礎知識が1冊に分かりやすくまとまっているため、前書きにもある通り新入社員など初学者にお勧めしたい。

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