矯正加工 - 板・棒・線・形・管材矯正の基礎と応用 -

新塑性加工技術シリーズ 11

矯正加工 - 板・棒・線・形・管材矯正の基礎と応用 -

矯正加工技術を体系的にまとめ,加工困難な高強度材への要求に対するFEM解析等高精度な制御方法について最新の動向も記述。

  • 口絵
ジャンル
発行年月日
2018/10/05
判型
A5
ページ数
256ページ
ISBN
978-4-339-04381-5
矯正加工 - 板・棒・線・形・管材矯正の基礎と応用 -
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本書は,近年における形状に対する要求の厳格化や外見上現れない内部残留応力低減への要求,矯正が困難な高強度材への要求の高まりに際し,FEM解析等高精度な制御方法について最新の動向を可能な限り記述した。

本書は,塑性加工技術シリーズ15『矯正加工』(1992年1月20日初版第1刷発行)の新シリーズ版として発行されることとなった.前版の出版から25年以上の歳月が経ち,矯正加工の基礎から応用までの幅広い視点での改訂を目指した.

矯正加工は,変形量が小さく,弾性と塑性の境界近くの現象が問題となる.形状を修正するという意味では,微小な塑性変形を正確に加える必要があり,ほかの塑性加工とはやや趣を異にした問題となる.また,変形中の材料と工具の接触が限定的で,矯正加工中の材料はほとんど自由面での変形により塑性変形が進行するとの特徴がある.これらの変形の特性に関しても,各章で解説を行う.

矯正加工の目的は,平坦度,反り,曲がりなどの寸法精度を修正することにある.これらの形状は製品加工時の重要な特性であり,プレス成形時の成形精度,機械加工の寸法精度,二次加工の自動化ラインでのトラブル防止,溶接時の隙間管理など種々二次加工に影響を与える.このため,素材の一次製造メーカーの最終工程をはじめ,二次加工の前後工程としても広く矯正が行われている.

塑性加工における変形量が小さいため,ほかの圧延,鍛造と比較すると成形荷重が小さい.また,このため,矯正装置は比較的小型で,なおかつ精密な制御を行わなくても,寸法精度を満足するような構造が採用されていた.また,矯正後は平坦度,反り,曲がりは修正されるため,当時のオンラインセンサーでの計測精度では測定が困難であり,目視検査や抜き取り検査での評価に頼っていた.したがって,操業はオペレータによる手動設定やあらかじめ登録された矯正条件を自動設定し,矯正後の寸法を目視や採寸により矯正条件の修正を行うような操業が行われていた.理論的には,弾塑性変形による初等解法を用いて,その変形挙動や平坦度,反り,曲がりの矯正メカニズムが解説,予測されるようになっていた.本書でも,これらの矯正メカニズムや矯正装置に関して,旧版を踏襲して解説を行う.

上述のように,矯正加工は本来,ある程度の精度で矯正装置の設定を行うと,平坦度,反り,曲がり,機械的特性などが所定のスペックに収まるような加工であった.しかしながら,近年では形状に対する要求の厳格化,矯正が困難な高強度材の増加,外観上現れない内部残留応力低減への要求など,矯正加工への要求は高まっている.旧版以降,これらの要求に対して,初等解析からFEMを用いた解析が進むようになり,矯正中の変形挙動がより詳細に理解されるようになった.また,矯正装置においても,高精度なセッティングを行うために矯正装置の弾性変形を考慮したような自動制御が採用されるようになってきた.これらの最新の動向に関しても,本書ではなるべく解説する方針で改訂を行った.

矯正加工は,圧延や熱処理の後工程,プレス成形,鍛造,溶接などの前工程として,一次加工と二次加工の中間的な工程であり,変形量も小さく華やかな工程ではないが,一次加工の最終寸法や形状を決定する重要な工程であり,かつ二次加工の最終製品寸法や形状を決定する工程となる非常に重要なプロセスである.しかしながら,矯正加工の研究者が少なくなる中,できる限り最新の取組みを含んだ形で,矯正加工の全体感を把握できるように考慮した.本書を参考に,矯正加工に関する技術者には,未解決な問題への果敢な取組みを期待するとともに,高品位な製品の安定生産に寄与できることを期待する.

2018年8月「矯正加工」専門部会長 前田 恭志

1. 序論
1.1 矯正の必要性と効果
 1.1.1 矯正の意味
 1.1.2 曲がり凹凸の発生メカニズム
 1.1.3 形状への要求
 1.1.4 矯正の状況(要求への対応)
 1.1.5 矯正の効果
1.2 形状のひずみの表し方
 1.2.1 JIS規格における表現
 1.2.2 解析のための表現
1.3 矯正の方法
 1.3.1 矯正工程
 1.3.2 矯正方法
1.4 矯正理論のための基礎方程式
 1.4.1 弾塑性構成式
 1.4.2 有限要素法による解析
引用・参考文献

2. プレス矯正
2.1 プレス矯正とその使用
 2.1.1 プレス矯正の概要
 2.1.2 作業状況
2.2 曲げ戻しの解析
 2.2.1 曲げ戻し後の弾性回復量
 2.2.2 矯正後の残留応力
引用・参考文献

3. 引張矯正
3.1 ストレッチャーを用いた引張矯正
 3.1.1 ストレッチャーの概要
 3.1.2 引張矯正法の特徴
3.2 引張矯正の解析
 3.2.1 矯正の原理
 3.2.2 矯正後の残留応力
引用・参考文献

4. ローラーレベラー
4.1 ローラーレベラーによる矯正の概要
 4.1.1 ローラーレベラーの形式
 4.1.2 ロール噛込み量とロール押込み量
 4.1.3 被矯正材の変形の特徴
4.2 ローラーレベラーによる被矯正材の変形の基礎
 4.2.1 1回の曲げによる変形
 4.2.2 繰返し曲げによる変形
 4.2.3 ローラーレベラーによる反り矯正メカニズム
 4.2.4 残留応力の板厚方向分布
 4.2.5 ローラーレベラーの役割
4.3 ローラーレベラーによる被矯正材の変形の解析
 4.3.1 ロール噛込み量と被矯正材に付与される曲率の実用算式
 4.3.2 初等解析
 4.3.3 有限要素解析
4.4 ローラーレベラー矯正における負荷
 4.4.1 矯正荷重
 4.4.2 矯正動力
 4.4.3 矯正トルク
4.5 ローラーレベラーの矯正特性
 4.5.1 長手方向反り矯正特性
 4.5.2 伸び差率の矯正特性
 4.5.3 形材の横断面形状変化
 4.5.4 先尾端の非定常変形
4.6 ローラーレベラーによる矯正における注意点
 4.6.1 ロール噛込み量の幅方向均一性
 4.6.2 ローラーレベラーの剛性
 4.6.3 被矯正材のバウシンガー効果
 4.6.4 被矯正材の温度分布
 4.6.5 平坦度矯正効果の評価
引用・参考文献

5. テンションレベラー
5.1 テンションレベラーの概要
5.2 矯正原理―張力下の曲げ変形
 5.2.1 伸びの発生機構
 5.2.2 実験的検証
5.3 変形過程の解析
 5.3.1 矯正中の板の曲率
 5.3.2 張力の変化―曾田の力学的考察
 5.3.3 伸びの解析的算出法
 5.3.4 解析的に見た矯正過程
 5.3.5 張力下の板の変形状態の近似計算法
 5.3.6 幅反りの発生とその防止
 5.3.7 テンションレベラーの有限要素解析
5.4 矯正効果
 5.4.1 平坦度改善の効果
 5.4.2 板幅の縮み
 5.4.3 デスケール効果
 5.4.4 板断面のプロフィルの変化
引用・参考文献

6. 棒線・管の矯正
6.1 棒線の矯正
 6.1.1 矯正の種類
 6.1.2 矯正の力学
 6.1.3 棒線矯正に必要な材料の特性
 6.1.4 2ロール矯正
 6.1.5 ローラーレベラー矯正
 6.1.6 温間引張矯正
 6.1.7 細線の回転ブレード矯正
 6.1.8 棒線矯正の要点
6.2 管の矯正
 6.2.1 管矯正機の概要
 6.2.2 矯正時の変形状況―回転送り曲げ
 6.2.3 管材矯正の解析
 6.2.4 矯正におけるひずみと応力
 6.2.5 矯正条件決定の考え方
 6.2.6 管の矯正における寸法変化
引用・参考文献

7. テンションアニーリング
7.1 矯正方法とその原理
 7.1.1 矯正作業の概要
 7.1.2 矯正の原理
7.2 処理条件と矯正効果
 7.2.1 処理条件の影響
 7.2.2 矯正効果
引用・参考文献

8. 矯正と材料特性
8.1 スリッターひずみの除去
8.2 板の成形性
 8.2.1 ストレッチャーストレインの防止
 8.2.2 成形性への影響
8.3 高炭素鋼線の特性変化
 8.3.1 ばね用鋼線
 8.3.2 温間矯正の効果
8.4 機械的性質の変化
8.5 残留応力の変化
 8.5.1 残留応力の測定法
 8.5.2 板材の残留応力
 8.5.3 鋼管の残留応力
引用・参考文献

9. 矯正設備と作業
9.1 引張矯正
 9.1.1 ストレッチャーレベラー
 9.1.2 トーションストレッチャー
9.2 厚板の矯正
 9.2.1 厚板用矯正設備
 9.2.2 厚板の矯正作業
9.3 薄板の矯正
 9.3.1 薄板用矯正設備
 9.3.2 薄板の矯正作業
 9.3.3 近年の高強度材への対応
9.4 形材の矯正
 9.4.1 ローラー矯正機の概要
 9.4.2 ローラー矯正機の主要諸元
 9.4.3 形材の矯正作業
9.5 丸棒と管材の矯正
引用・参考文献

付録
索引

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木村 幸雄(キムラ ユキオ)

比護 剛志(ヒゴ ツヨシ)

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平位 幸治(ヒライ コウジ)

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掲載日:2023/05/31

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掲載日:2020/11/05

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