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新塑性加工技術シリーズ

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2024.12.11 更新

シリーズ刊行のことば

ものづくりの重要な基盤である塑性加工技術は,わが国ではいまや成熟し,新たな展開への時代を迎えている.

当学会編の「塑性加工技術シリーズ」全19 巻は1990 年に刊行され,わが国で初めて塑性加工の全分野を網羅し体系立てられたシリーズの専門書として,好評を博してきた.しかし,塑性加工の基礎は変わらないまでも,この四半世紀の間,周辺技術の発展に伴い塑性加工技術も進歩を遂げ,内容の見直しが必要となってきた.そこで,当学会では2014 年より新塑性加工技術シリーズ出版部会を立ち上げ,本学会の会員を中心とした各分野の専門家からなる専門出版部会で本シリーズの改編に取り組むことになった.改編にあたって,各巻とも基本的には旧シリーズの特長を引き継ぎ,その後の発展と最新データを盛り込む方針としている.

新シリーズが,塑性加工とその関連分野に携わる技術者・研究者に,旧シリーズにも増して有益な技術書として活用されることを念じている.

 2016年4月

日本塑性加工学会 第51 期会長 真鍋 健一
(首都大学東京教授 工博)

シリーズラインナップ

新塑性加工技術シリーズseries1

塑性加工の計算力学
- 塑性力学の基礎からシミュレーションまで -

  • 湯川伸樹・小坂田宏造・上森 武・吉田健吾・浜 孝之・柳本 潤・桑原利彦・早川邦夫・杉友宣彦・酒井 譲・王 志剛・吉田佳典・眞山 剛・瀧澤英男 共著
  • A5サイズ/238頁
  • 定価4,180円 (本体3,800円+税)
  • ISBN 978-4-339-04371-6

材料加工プロセスの解析に携わっている方、これから学ぼうとしている方の助けとなる1冊!

新塑性加工技術シリーズ1 塑性加工の計算力学
  • 湯川伸樹・小坂田宏造・上森 武・吉田健吾・浜 孝之・柳本 潤・桑原利彦・早川邦夫・杉友宣彦・酒井 譲・王 志剛・吉田佳典・眞山 剛・瀧澤英男 共著
  • A5サイズ/238頁
  • 定価4,180円 (本体3,800円+税)
  • ISBN 978-4-339-04371-6
書籍の特徴
初めに塑性加工の歴史と塑性力学の発展を俯瞰し,つぎに塑性理論から初等解法,そして数値解析,シミュレーション高度化に対応した実験手法,解析精度の検証と評価のための考え方(V&V)と順を追って理解が深められる構成とした。
目次
1. 塑性加工と塑性力学の歴史
1.1 塑性加工の歴史
 1.1.1 産業革命以前の塑性加工
 1.1.2 産業革命以後の塑性加工の進歩
 1.1.3 自動車大量生産のための塑性加工
1.2 塑性力学の発展
 1.2.1 塑性力学の始まり
 1.2.2 降伏条件と塑性構成式
 1.2.3 すべり線場理論
 1.2.4 スラブ法
 1.2.5 上界法
 1.2.6 有限要素法
 1.2.7 各種のシミュレーション方法
1.3 塑性力学の役割
 1.3.1 塑性力学とシミュレーション
 1.3.2 塑性加工分野以外での塑性力学の利用
引用・参考文献

2. 基礎理論
2.1 応力とひずみ
 2.1.1 応力と応力増分
 2.1.2 ひずみとひずみ増分
2.2 応力-ひずみ関係とその硬化則
2.3 降伏条件式
 2.3.1 等方性降伏条件式
 2.3.2 異方性降伏条件式
2.4 加工硬化則
 2.4.1 等方硬化則
 2.4.2 移動硬化則
 2.4.3 複合硬化則・異方硬化則
2.5 塑性流動則
 2.5.1 Reuss,Prandtl-Reuss,Lévy-Misesの式
 2.5.2 最大塑性仕事の原理
 2.5.3 関連流動則
 2.5.4 尖り点効果
 2.5.5 Henckyの全ひずみ理論およびJ_2変形論
 2.5.6 圧縮性材料の塑性構成式
2.6 仮想仕事の原理,変分原理
 2.6.1 仮想仕事の原理
 2.6.2 補仮想仕事の原理
 2.6.3 速度形の仮想仕事の原理
 2.6.4 弾塑性体の変分原理
 2.6.5 剛塑性体の変分原理
 2.6.6 解の唯一性の十分条件
2.7 塑性不安定
 2.7.1 薄板の拡散くびれ
 2.7.2 内圧・軸力・ねじりを受ける円管の不安定
 2.7.3 液圧バルジを受ける薄板の不安定
 2.7.4 薄板の局部くびれ
2.8 延性破壊の理論
2.9 結晶塑性解析
 2.9.1 すべり系
 2.9.2 単結晶の構成式
 2.9.3 Schmid則とすべり増分
 2.9.4 すべり系の加工硬化
 2.9.5 結晶塑性モデルによる変形解析
2.10 有限変形問題への拡張
 2.10.1 配置の変化が変形に及ぼす影響
 2.10.2 剛体回転がひずみに及ぼす影響
 2.10.3 剛体回転が応力に及ぼす影響
 2.10.4 結晶塑性解析における結晶方位回転
引用・参考文献

3. 解析解
3.1 スラブ法
 3.1.1 解析の対象とする領域と応力場の近似
 3.1.2 スラブ要素に作用する応力ベクトルと面積
 3.1.3 スラブ要素に作用する力の釣合い式
 3.1.4 力の釣合い式と降伏条件を連立させた解析解の導出
 3.1.5 入口面において被加工材が受けるせん断変形に対応した仮想的な応力σ_s
3.2 すべり線場法
 3.2.1 すべり線場とホドグラフおよびそれらの決定
 3.2.2 基礎的関係
 3.2.3 すべり線場の描き方と例題
3.3 エネルギー法
3.4 上界法
 3.4.1 上界定理
 3.4.2 上界定理の一般化
 3.4.3 連続な可容速度場とその応用
引用・参考文献

4. 数値解析
4.1 線形弾性有限要素法
 4.1.1 弾性変形の支配方程式
 4.1.2 有限要素分割による離散化
 4.1.3 形状関数
 4.1.4 有限要素剛性方程式
 4.1.5 全体構造の剛性方程式
4.2 剛塑性有限要素法
 4.2.1 変分原理
 4.2.2 剛塑性有限要素剛性方程式
 4.2.3 解析上の問題点
4.3 弾塑性有限要素法
 4.3.1 等方弾塑性体構成式
 4.3.2 仮想仕事の原理
 4.3.3 有限要素剛性方程式
 4.3.4 時間積分
4.4 動的陽解法
 4.4.1 動解析の定式化
 4.4.2 時間離散化手法
4.5 SPH法解析
 4.5.1 SPH法の歴史と特徴
 4.5.2 粒子モデル
 4.5.3 SPH法の理論
 4.5.4 重み関数
 4.5.5 人工粘性
 4.5.6 弾性解析
 4.5.7 弾塑性解析
 4.5.8 解析例
引用・参考文献

5. シミュレーション高度化のための実験手法
5.1 材料試験法
 5.1.1 単軸引張試験
 5.1.2 単軸圧縮試験
 5.1.3 金属薄板の面内圧縮試験および面内反転負荷試験
 5.1.4 平面ひずみ圧縮および平面ひずみ引張試験方法
 5.1.5 引張-せん断組合せ試験方法
 5.1.6 液圧バルジ試験方法
 5.1.7 二軸圧縮試験方法
 5.1.8 十字形試験片を用いた二軸引張試験方法
 5.1.9 二軸バルジ試験方法
 5.1.10 引張-圧縮組合せ応力試験方法
5.2 摩擦試験法
 5.2.1 摩擦試験法
 5.2.2 摩擦法則
5.3 延性破壊の評価方法
 5.3.1 延性破壊予測モデル
 5.3.2 ひずみの計測
5.4 残留応力測定法
 5.4.1 変形測定法
 5.4.2 X線応力測定法
5.5 集合組織の測定
 5.5.1 集合組織に関連する基礎知識
 5.5.2 集合組織の測定方法
 5.5.3 集合組織測定結果の力学解析への利用
5.6 VerificationとValidation

引用・参考文献
索引
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新塑性加工技術シリーズseries2

金属材料
- 加工技術者のための金属学の基礎と応用 -

  • 日本塑性加工学会 編 / 瀬沼武秀・樋渡俊二・菊池正夫 共著
  • A5サイズ/204頁
  • 定価3,080円(本体2,800円+税)
  • ISBN 978-4-339-04376-1
  • 電子版あり

材料の基礎,材料開発の動向,塑性加工技術と材料技術の融合で生まれた組織材質予測技術とホットスタンピング技術について解説。

電子書籍あり
新塑性加工技術シリーズ2 金属材料 - 加工技術者のための金属学の基礎と応用 -
  • 日本塑性加工学会 編 / 瀬沼武秀・樋渡俊二・菊池正夫 共著
  • A5サイズ/204頁
  • 定価3,080円(本体2,800円+税)
  • ISBN 978-4-339-04376-1
  • 電子版あり
目次
1. 金属材料の基礎
1.1 結晶構造
1.2 結晶の幾何学
 1.2.1 格子点の表現
 1.2.2 結晶面と結晶方向の表示
 1.2.3 結晶方位解析
1.3 結晶の欠陥
 1.3.1 点欠陥
 1.3.2 線欠陥
 1.3.3 面欠陥
1.4 変形機構
 1.4.1 すべり変形
 1.4.2 双晶変形
 1.4.3 粒界すべり
 1.4.4 変形組織
1.5 状態図
1.6 拡散
 1.6.1 フィックの法則
 1.6.2 高速拡散
1.7 相変態
 1.7.1 核生成・成長型の拡散変態
 1.7.2 純金属の変態
 1.7.3 鋼の変態
1.8 析出
1.9 回復・再結晶・粒成長
引用・参考文献

2. 材料の強度
2.1 強度とは
2.2 強化機構
 2.2.1 固溶強化
 2.2.2 析出強化
 2.2.3 粒界強化
 2.2.4 転位強化
 2.2.5 変態強化
2.3 応力-ひずみ曲線
2.4 高温強度
2.5 鉄鋼材料の変形抵抗の定式化
 2.5.1 熱間加工の変形抵抗
 2.5.2 冷間加工の変形抵抗
 2.5.3 組合せ応力下の変形抵抗
 2.5.4 塑性加工のコンピュータシミュレーションにおける材料の取扱い
2.6 高強度化の材料開発
引用・参考文献

3. 成形性と材料支配因子
3.1 塑性加工における成形限界
3.2 成形性に及ぼす材料の影響
 3.2.1 張出し性
 3.2.2 深絞り性
 3.2.3 伸びフランジ性と曲げ性
 3.2.4 せん断加工性
 3.2.5 成形性に及ぼす温度,ひずみ速度の影響
引用・参考文献

4. 破壊と材料支配因子
4.1 延性破壊
 4.1.1 延性破壊の機構
 4.1.2 延性破壊条件式
4.2 脆性破壊
4.3 疲労破壊
4.4 水素脆化と遅れ破壊
4.5 応力腐食割れ
引用・参考文献

5. 材料の(加工)熱処理
5.1 焼なまし(焼鈍)
 5.1.1 再結晶焼鈍
 5.1.2 低温焼なまし
 5.1.3 二相域焼鈍
 5.1.4 球状化焼鈍
5.2 焼入れ・焼戻し
5.3 時効処理と塗装焼付け
 5.3.1 析出処理
 5.3.2 ひずみ時効と塗装焼付け処理(BH処理)
5.4 焼ならし
5.5 表面硬化処理
 5.5.1 浸炭,窒化
 5.5.2 高周波加熱処理
 5.5.3 レーザ処理
 5.5.4 ショットピーニング
 5.5.5 PVD,CVD
5.6 組織微細化のための加工熱処理
5.7 オースフォーミング
5.8 焼戻し温間鍛造
引用・参考文献

6. 材料の評価
6.1 組織観察
 6.1.1 マクロ組織観察
 6.1.2 光学顕微鏡による組織観察
 6.1.3 電子顕微鏡による組織観察
 6.1.4 三次元アトムプローブ
6.2 材料試験
 6.2.1 引張試験
 6.2.2 圧縮試験
 6.2.3 張出し試験
 6.2.4 深絞り試験
 6.2.5 穴広げ試験
 6.2.6 曲げ試験
 6.2.7 ねじり試験
 6.2.8 衝撃試験
 6.2.9 硬さ試験
 6.2.10 疲労試験
 6.2.11 クリープ試験
 6.2.12 水素脆化試験
6.3 非破壊検査
 6.3.1 放射線試験
 6.3.2 超音波探傷試験
 6.3.3 磁気探傷試験
 6.3.4 浸透探傷試験
引用・参考文献

7. おもな非鉄金属材料
7.1 アルミニウムおよびアルミニウム合金
7.2 チタンおよびチタン合金
 7.2.1 a型チタン合金
 7.2.2 a+b型チタン合金
 7.2.3 b型チタン合金
 7.2.4 チタンの金属間化合物
7.3 マグネシウムおよびマグネシウム合金
7.4 銅および銅合金
 7.4.1 黄銅
 7.4.2 青銅
 7.4.3 白銅および洋白・洋銀
 7.4.4 そのほかの合金銅
7.5 ニッケルおよびニッケル合金
引用・参考文献

8. 高機能材料
8.1 超微細組織鋼
8.2 超成形性冷延鋼板
8.3 高機能ハイテン
 8.3.1 BH鋼板
 8.3.2 DP鋼
 8.3.3 TRIP鋼
 8.3.4 TWIP鋼
 8.3.5 延性-穴広げ性バランスに優れた高強度鋼板
8.4 超高強度材料
 8.4.1 伸線パーライト
 8.4.2 マルエージング鋼
8.5 表面処理鋼板
8.6 ステンレス鋼
 8.6.1 Cr系ステンレス鋼
 8.6.2 Cr-Ni系ステンレス鋼
8.7 超塑性材料
引用・参考文献

9. 材料技術のトピックス
9.1 組織材質予測制御技術
9.2 ホットスタンピング技術

引用・参考文献
索引
more
内容紹介
材料の基礎のほか,多様性のある鉄鋼材料を主に材料開発の動向や,塑性加工技術と材料技術の融合で生まれた組織材質予測技術とホットスタンピング技術についても解説。これからの塑性加工技術者に備えてほしい金属材料の知識を集約。
まえがき

本書は,新塑性加工技術シリーズの1冊として執筆され,その役割は加工技術者に役に立つ金属学の知識を提供することにある.本シリーズの中に『プラスチックの加工と技術』があり,そこでプラスチック材料ならびにCFRPなどの複合材料について詳しく扱われるので,本書では金属材料に焦点を絞る.また,最近では塑性加工が可能なセラミックスも開発されているが,用途も限定的なので,本書では取り扱わないことにした.

加工技術者と材料の関わりは二つに大別できる.一つは塑性加工を加えることで素材に必要特性を与える,材質作り込みに関するものと,もう一つは提供された素材を塑性加工することで必要な形状の製品を製造することである.前者の塑性加工技術者の代表が圧延技術者であり,後者の代表がプレス成形や鍛造に携わる技術者である.これらの加工技術者は,高度な制御技術やシミュレーションを駆使して高品質・高精度な素材ならびに複雑形状の部品の製造を実現しており,日本の世界に誇るモノづくり技術を支える存在となっている.

一方,材質予測制御技術や超高強度材料の成形技術などの最近の技術の動向を見ると,塑性加工技術と材料技術の融合が今後の塑性加工技術の発展に不可避であることがわかる.すなわち,材料のことを熟知することで加工技術者としての幅が大きく広がり,ますます高度化する技術開発への対応力が強化されることになる.具体例を挙げれば,材料の変形抵抗の本質を知ることで圧延技術者は板厚精度の向上を果たすことができ,また,材料の知識を持つ成形技術者なら,最近注目されているホットスタンピング技術で課題となっている生産性の向上も本書で後述するように適切な解決策を提案できると推察される.

本書は,これからの塑性加工技術者に備えてもらいたいと思う金属材料の知識を集約したものである.また,現場の技術者だけでなく,機械系の学生が社会に出て創造的な仕事ができる生きた材料知識を身につけられるようにも構成した.

1章では,材料の基礎として変形機構,組織とその形成機構について述べ,2章では,強化機構と変形抵抗について言及した.3章では,材料の成形性を,そして4章では,破壊を取り扱う.5章では,材料の(加工)熱処理と称し,熱処理による組織材質の変化について述べる.6章では,材料の評価方法を概説する.本書は金属材料の中で最も多様性のある鉄鋼材料を主体に取り扱うが,7章では,アルミ,チタン,マグネシウムなどの非鉄金属材料について述べる.8章では,加工技術者が最も頻繁に取り扱う鉄鋼材料に関して,材料開発の動向を紹介する.最後の9章では,最初に述べた塑性加工技術と材料技術の融合によって生まれた,組織材質予測制御技術とホットスタンピング技術をトピックスとして紹介する.

2016年9月
「金属材料」専門部会長 瀬沼 武秀

関連連籍
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新塑性加工技術シリーズseries3

プロセス・トライボロジー
- 塑性加工の摩擦・潤滑・摩耗のすべて -

  • 日本塑性加工学会 編 / 中村 保・水野高嗣・土屋能成・木村茂樹・石橋 格・小見山忍・王 志剛・小豆島明・松下富春・神 雅彦・松本 良・北村憲彦・池田修啓・片岡征二・村川正夫・小山秀夫・柳田 明 共著
  • A5サイズ/352頁
  • 定価6,050円(本体5,500円+税)
  • ISBN 978-4-339-04373-0
  • 電子版あり

摩擦・潤滑・摩耗の基礎技術から近年発展の著しい技術,最新の情報まで採り入れ解説した。

電子書籍あり
プロセス・トライボロジー - 塑性加工の摩擦・潤滑・摩耗のすべて -
  • 日本塑性加工学会 編 / 中村 保・水野高嗣・土屋能成・木村茂樹・石橋 格・小見山忍・王 志剛・小豆島明・松下富春・神 雅彦・松本 良・北村憲彦・池田修啓・片岡征二・村川正夫・小山秀夫・柳田 明 共著
  • A5サイズ/352頁
  • 定価6,050円(本体5,500円+税)
  • ISBN 978-4-339-04373-0
  • 電子版あり
目次
1.総論―塑性加工におけるトライボロジーの基礎―
1.1 塑性加工におけるトライボロジーの課題と役割
1.2 塑性加工に起因するトライボロジーの特徴
1.3 プロセス・トライボロジーの科学技術の発展動向
1.4 潤滑および摩擦の機構
 1.4.1 流体潤滑理論の基礎式と塑性加工への適用
 1.4.2 表面および接触の機構
 1.4.3 潤滑機構および摩擦
 1.4.4 焼付き,温度および材料特性
1.5 工具摩耗と製品表面
 1.5.1 工具摩耗
 1.5.2 製品表面の平滑化
 1.5.3 焼付き現象
引用・参考文献

2.塑性加工用潤滑剤
2.1 液体潤滑剤
 2.1.1 種類と特性
 2.1.2 添加剤
 2.1.3 用途
2.2 固体潤滑剤
 2.2.1 固体潤滑剤の種類と特性
 2.2.2 固体潤滑剤の用途
2.3 固体潤滑皮膜
 2.3.1 化成型皮膜処理
 2.3.2 リン酸塩皮膜の塑性加工特性
 2.3.3 潤滑剤の組合せ
 2.3.4 電解型リン酸塩皮膜処理
 2.3.5 塗布型皮膜処理
 2.3.6 一液型潤滑皮膜処理
引用・参考文献

3.工具材料と表面処理
3.1 工具材料の組成・組織
3.2 工具表面処理
3.3 耐摩耗性
3.4 耐焼付き性
3.5 材料との適合性
3.6 工具材料・表面処理の動向
引用・参考文献

4.摩擦試験法
4.1 摩擦試験の在り方
4.2 汎用基礎的摩擦試験法
 4.2.1 点接触形式の摩擦試験
 4.2.2 線接触形式の摩擦試験
 4.2.3 面接触形式の摩擦試験
4.3 塑性加工向け基礎的摩擦試験法
 4.3.1 圧縮―回転式摩擦試験
 4.3.2 圧縮―すべり式摩擦試験
4.4 塑性加工摩擦試験法の活用
 4.4.1 板材成形シミュレーター
 4.4.2 引抜き・しごき加工シミュレーター
 4.4.3 押出し・鍛造加工シミュレーター
 4.4.4 圧延加工シミュレーター
4.5 摩耗試験
引用・参考文献

5.圧延におけるトライボロジー
5.1 板圧延の力学
 5.1.1 板圧延のプロセス
 5.1.2 圧延荷重
 5.1.3 摩擦係数
5.2 冷間圧延潤滑
 5.2.1 摩擦係数
 5.2.2 潤滑メカニズム
 5.2.3 入口油膜厚さ
 5.2.4 潤滑メカニズムと摩擦せん断応力
 5.2.5 界面温度
 5.2.6 焼付き
5.3 熱間圧延潤滑
 5.3.1 圧延荷重(圧延圧力)
 5.3.2 摩擦係数
 5.3.3 スケール
 5.3.4 潤滑メカニズムと摩擦モデル
引用・参考文献

6.引抜きにおけるトライボロジー
6.1 引抜きの力学と潤滑剤の作用機構
 6.1.1 潤滑の課題
 6.1.2 潤滑に影響を及ぼす因子
 6.1.3 超音波振動を付加した場合の潤滑状態
 6.1.4 潤滑剤の供給方法とその効果
 6.1.5 潤滑状態の評価方法
 6.1.6 潤滑膜の厚さ
 6.1.7 引抜き材の表面性状
 6.1.8 ダイの摩耗
6.2 引抜き用潤滑剤
 6.2.1 潤滑剤に要求される特性
 6.2.2 潤滑剤の種類
 6.2.3 各種材料の引抜き加工用潤滑剤
引用・参考文献

7.鍛造・押出しにおけるトライボロジー
7.1 鍛造の力学と摩擦・潤滑
 7.1.1 潤滑剤の捕捉・流出の過程
 7.1.2 摩擦せん断応力の表現と変形解析
 7.1.3 鍛造加工における摩擦条件の評価
7.2 冷間鍛造
 7.2.1 潤滑の課題
 7.2.2 トライボロジー条件
 7.2.3 潤滑剤および潤滑技術の実際
7.3 熱間鍛造および温間鍛造
 7.3.1 潤滑剤の役割と具備すべき条件
 7.3.2 型の損傷と型材料
 7.3.3 潤滑剤および潤滑技術の実際
7.4 押出し
 7.4.1 鋼の熱間押出し
 7.4.2 アルミニウムの熱間押出し
引用・参考文献

8.板材成形におけるトライボロジー
8.1 板材成形における摩擦・潤滑理論
 8.1.1 板材成形の摩擦現象
 8.1.2 摩擦低減のための基本
 8.1.3 潤滑剤の取込み機構
 8.1.4 金属どうしの凝着の低減
8.2 せん断加工
 8.2.1 工具切れ刃の摩耗
 8.2.2 工具寿命に及ぼす諸因子の影響
 8.2.3 製品性状への影響
8.3 曲げ加工における潤滑の影響
8.4 深絞り加工および張出し加工
 8.4.1 深絞り加工の力学
 8.4.2 深絞り加工におけるトライボロジー
 8.4.3 張出し加工におけるトライボロジー
8.5 しごき加工
 8.5.1 しごき加工の力学
 8.5.2 しごき加工におけるトライボロジー
8.6 ドライプレス加工
 8.6.1 潤滑剤の地球環境との関わり
 8.6.2 ドライプレス加工の実施例
8.7 ホットスタンピングにおけるトライボロジー
 8.7.1 潤滑特性評価試験機
 8.7.2 ホットスタンピング用の潤滑剤の開発
 8.7.3 スケール厚さ,亜鉛めっきの影響
 8.7.4 金型表面改質
引用・参考文献

索引
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内容紹介

本書は,塑性加工におけるトライボロジーについて,基礎から応用までを網羅したものです。1993年に出版された塑性加工技術シリーズのうちの「プロセス・トライボロジー ―塑性加工の摩擦・潤滑・摩耗」を改訂し,最新の情報を採り入れています。塑性加工における摩擦・潤滑・摩耗について,初学者からより深く学びたい方までを対象としています。さらに,近年発展の著しい,工具表面処理技術,冷間鍛造用の環境対応型潤滑剤,サーボプレスを活用した加工における潤滑やホットスタンピングにおける潤滑についても新たに執筆されています。

【各章について】
1章は総論で,塑性加工におけるトライボロジーの基礎について述べています。研究の歴史から,物理的基礎理論(流体潤滑)について詳述されています。

2章は,塑性加工用潤滑剤についてまとめています。液体,半固体,固体潤滑剤についてまとめられ,種類,特徴および用途について詳述されています。近年開発が進められている一液型潤滑皮膜処理についても述べられています。

3章は,工具材料と表面処理の特徴や用途について述べられています。この章は,近年の発展がめざましく,改訂を機に新たに独立した章としました。さらに工具と素材の表面テクスチャーが潤滑に及ぼす影響についてもまとめられています。

4章は,摩擦試験法について述べられています。塑性加工における摩擦試験には,汎用的な方法から,特定の塑性加工に対応した方法など,これまでに多くの試験法が提案されており,それぞれの方法の特徴や用途についてまとめられています。

5章は,圧延におけるトライボロジーについて,圧延の力学,冷間圧延の潤滑とそのメカニズム,熱間圧延の潤滑について詳述されています。

6章は,引抜き加工におけるトライボロジーについて,潤滑剤,潤滑のメカニズム,潤滑方法,ダイスの摩耗について詳述しています。

7章は,鍛造・押出しにおけるトライボロジーについて,冷間および温熱間鍛造(押出し)における摩擦・潤滑の特徴や使用される潤滑剤について詳述しています。さらに型の摩耗や表面処理についても述べられています。

8章は,板材成形におけるトライボロジーについて,その特徴を述べています。また,せん断加工やしごき加工におけるトライボロジーについても記述されています。最新の話題として,ドライ加工や金型の表面処理についても述べられています。最後に,ホットスタンピングにおけるトライボロジーについて追加されています。

【関連キーワード】
摩擦,潤滑,摩耗,焼付き,表面積拡大,表面粗さ,流体潤滑,混合潤滑,境界潤滑,固体接触,レイノルズ方程式,真実接触部,液体潤滑剤,固体潤滑剤,固体潤滑皮膜,化成型皮膜処理,一液型潤滑皮膜処理,摩擦試験,表面処理

まえがき

トライボロジー(Tribology)という用語は,1966年英国のJost,H.P.の主催するFLW(Friction, Lubrication and Wear)委員会で提案され誕生した.その意味は,「すべり合う表面の科学と技術」である.さらに,プロセストライボロジー(Process-Tribology:塑性加工における摩擦と潤滑)という用語は,1976年にプロセストライボロジー分科会〔主査:河合望(名古屋大学)〕の設置に当たり,春日保男教授(名古屋大学)によって提案されて用いられるようになった.これらの用語は,40~50年間使われ続けて,ほぼ市民権を得たように思う.ただし,プロセストライボロジーという一語で表すのはやや抵抗があることから,現在,分科会の名称は,・(中黒)を挿入して,「プロセス・トライボロジー分科会」と表すこととした.

わが国で,プロセス・トライボロジーの課題が,学問として大学等において研究の対象として取り上げられるようになったのは,1950年代になってからである.それ以来,わが国のプロセス・トライボロジーの研究開発は,春日保男教授を始めとする多くの先達のお陰で,たくさんのプロセス・トライボロジストによって引き継がれてきた.そのため,多くの研究課題が解決され,また工具材料,被加工材料,工具表面処理,潤滑剤,素材,潤滑システム等について,イノベーティブな技術開発が行われてきた.その結果,現在,わが国のプロセス・トライボロジー分野の研究や技術開発は,世界の中でもリーディング的成果を上げている.

プロセス・トライボロジーの特異な条件は,工具と接触する摩擦対の一方である被加工材が巨視的塑性変形を伴うことである.これは,接触面の微視的構造や接触面積に独特な変化をもたらし,接触機構,潤滑機構,摩擦特性,焼付き特性,摩耗特性等に特異な影響を与えている.このように特異な条件下のプロセス・トライボロジーについて解説するため,日本塑性加工学会のプロセス・トライボロジー分科会では,1988年に「塑性加工におけるトライボロジ」(コロナ社)を編集・出版した.さらに,1993年には,塑性加工技術シリーズの一つとして,「プロセストライボロジー ―塑性加工の潤滑―」(コロナ社)を編集・出版した.

今回は,その改訂版として,新塑性加工技術シリーズ「プロセス・トライボロジー ―塑性加工の摩擦・潤滑・摩耗のすべて―」を編集・出版することとなった.「刊行のことば」の裏面に表記した専門部会を立ち上げ,改訂版の構成と内容について検討した.その結果,基本的には前著の構成を踏襲することとしたが,新たに独立した章として,「第3章 工具材料と表面処理」を追加した.また,最新の研究開発技術については,それぞれの章に組み入れた.すなわち,「3章 工具材料と表面処理」には,工具と素材の表面構造(テクスチャー)が潤滑に及ぼす影響について,「5章 圧延におけるトライボロジー」には,熱間圧延における酸化膜の潤滑効果について,「7章 鍛造・押出しにおけるトライボロジー」には,振動・サーボプレスによる潤滑効果について,「8章 板材成形におけるトライボロジー」には,ホットスタンピングについて,追加記述した.

最後に,ご多用の中,ご協力いただいた執筆者各位に御礼申し上げるとともに,出版を企画された一般社団法人 日本塑性加工学会に謝意を表する.

2019年12月
「プロセス・トライボロジー」専門部会長 中村 保

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新塑性加工技術シリーズseries4

せん断加工
- プレス切断加工の基礎と活用技術 -

  • 日本塑性加工学会 編 / 古閑伸裕・笹田昌弘・広田健治・井村隆昭・江口 浩・吉田佳典 共著
  • A5サイズ/266頁
  • 定価4,180円(本体3,800円+税)
  • ISBN 978-4-339-04374-7
  • 電子版あり

従来のせん断加工技術に加え,新材料のせん断加工技術,サーボプレス,FEM解析も紹介。

電子書籍あり
せん断加工 - プレス切断加工の基礎と活用技術 -
  • 日本塑性加工学会 編 / 古閑伸裕・笹田昌弘・広田健治・井村隆昭・江口 浩・吉田佳典 共著
  • A5サイズ/266頁
  • 定価4,180円(本体3,800円+税)
  • ISBN 978-4-339-04374-7
  • 電子版あり
目次
1. せん断加工の役割
1.1 切断加工としてのせん断加工
1.2 せん断加工の分類と適用例
1.3 プレスせん断加工の分類
1.4 最近のせん断加工技術の傾向
 1.4.1 打抜き品の軽薄短小化
 1.4.2 半導体関連の電子部品の打抜き
 1.4.3 打抜きを含めた複合加工
 1.4.4 新素材加工
 1.4.5 自動化と高速化
 1.4.6 多品種少量生産
1.5 金型技術
 1.5.1 金型材料
 1.5.2 金型製作
1.6 プレス機械
引用・参考文献

2. せん断加工特性
2.1 加工現象
 2.1.1 せん断加工の特性と種類
 2.1.2 各部名称
 2.1.3 変形過程
 2.1.4 せん断線図
 2.1.5 せん断機構の理論
2.2 せん断荷重とせん断エネルギー
 2.2.1 せん断荷重
 2.2.2 せん断エネルギー
 2.2.3 側方力
 2.2.4 押込み力とかす取り力
2.3 せん断製品の切口面
 2.3.1 クリアランスと切口面
 2.3.2 工具条件と切口面
 2.3.3 加工条件と切口面
 2.3.4 材料特性と切口面
2.4 せん断製品の寸法精度と湾曲
 2.4.1 寸法精度
 2.4.2 湾曲
引用・参考文献

3. 工具寿命
3.1 工具摩耗
 3.1.1 せん断加工における工具摩耗
 3.1.2 工具切れ刃の摩耗形状
 3.1.3 工具切れ刃の摩耗機構
 3.1.4 工具刃先の欠損
 3.1.5 工具摩耗に及ぼす工具条件の影響
 3.1.6 工具摩耗に及ぼす加工条件の影響
 3.1.7 加工力に及ぼす工具摩耗の影響
 3.1.8 製品性状に及ぼす工具摩耗の影響
3.2 かえり
 3.2.1 かえりの形状
 3.2.2 かえりの発生機構
 3.2.3 かえり高さと工具摩耗
 3.2.4 欠損とかえり
 3.2.5 加工条件とかえり
 3.2.6 表面処理とかえり
 3.2.7 かえりの処理
3.3 かす上がり,かす詰り
 3.3.1 問題点
 3.3.2 発生原因
 3.3.3 対策
引用・参考文献

4. 精密せん断加工
4.1 精密せん断加工の目的
4.2 ファインブランキング
 4.2.1 加工の概要
 4.2.2 加工機構
 4.2.3 金型
 4.2.4 加工事例
4.3 各種精密せん断加工
 4.3.1 仕上げ抜き
 4.3.2 シェービング
 4.3.3 対向ダイスせん断法
 4.3.4 かえりなしせん断法
 4.3.5 だれなしせん断加工
4.4 微細部品のせん断加工
 4.4.1 加工の特徴
 4.4.2 リードフレーム打抜きにおける形状不良
4.5 棒管材のせん断加工
 4.5.1 冷間鍛造用素材取りとしての慣用棒材せん断法
 4.5.2 高速せん断法
 4.5.3 拘束せん断法
 4.5.4 管材のせん断法
引用・参考文献

5. 特殊材料のせん断加工
5.1 難加工材のせん断加工
 5.1.1 高強度鋼板
 5.1.2 マグネシウム合金板
 5.1.3 アモルファス合金箔
 5.1.4 セラミックグリーンシート
5.2 プラスチック材料のせん断加工
 5.2.1 熱可塑性プラスチック
 5.2.2 プラスチック複合材料
 5.2.3 樹脂複合鋼板のせん断加工
引用・参考文献

6. せん断型
6.1 型設計
 6.1.1 せん断型の種類と等級
 6.1.2 せん断荷重・かす取り力の計算
 6.1.3 クリアランスの選定
 6.1.4 抜きレイアウト設計と工程設計
 6.1.5 型構造の設計と機能
 6.1.6 パンチ・ダイの設計
 6.1.7 ストリッパーの設計
 6.1.8 材料ガイド・パイロットの設計
 6.1.9 ダイセット,ガイドポスト,ガイドブシュの設計
 6.1.10 ミスフィード対策
 6.1.11 型部品の規格と設計
 6.1.12 精密抜き型,簡易型
6.2 型材料
 6.2.1 鉄鋼材料
 6.2.2 超硬合金材料
 6.2.3 超硬合金の種類と特性値
 6.2.4 型用超硬合金材種の選び方
 6.2.5 セラミックス材料
 6.2.6 表面処理
6.3 型製作
引用・参考文献

7. せん断機械
7.1 プレス機械
 7.1.1 せん断加工に用いられる材料
 7.1.2 せん断加工時の加工温度
 7.1.3 プレス機械以外の機械によるせん断加工
 7.1.4 せん断加工に用いられる設備
 7.1.5 サーボプレス
7.2 タレットパンチプレス
 7.2.1 本体と機能
 7.2.2 付加機能
 7.2.3 パンチング金型
 7.2.4 成形用金型
 7.2.5 複合機,複合加工
7.3 素材のせん断加工機械
 7.3.1 スリッター
 7.3.2 ギロチン式シヤー
引用・参考文献

8. せん断加工の数値解析
8.1 せん断加工変形解析の特徴
 8.1.1 せん断加工変形解析の目的
 8.1.2 せん断加工変形解析の課題
8.2 要素配置
 8.2.1 アダプティブメッシング
 8.2.2 リメッシング
8.3 FEMにおける亀裂の表現
 8.3.1 節点分離法
 8.3.2 要素除去法
 8.3.3 ボイド理論に基づく方法
 8.3.4 その他の手法
8.4 延性破壊条件
 8.4.1 積分型延性破壊条件式
 8.4.2 ボイド理論に基づく方法
8.5 せん断加工の有限要素解析事例
 8.5.1 慣用せん断の変形解析
 8.5.2 工具刃先の取扱い
 8.5.3 亀裂発生および進展予測
 8.5.4 精密打抜き(ファインブランキング)の変形解析

引用・参考文献
索引
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内容紹介

好評だった「せん断加工」(塑性加工技術シリーズ)の内容を新たに見直し、高強度鋼板やマグネシウム合金などの新材料のせん断加工技術,進歩の著しいサーボプレス機械などの塑性加工機械の紹介やその活用技術に関する内容を加えた。

まえがき

塑性加工技術シリーズ『せん断加工』初版の「まえがき」にも記されているように,せん断加工は,塑性加工の現場で最も多く見受けられる加工法である.すなわち,素材製造の現場ではシヤーによるせん断と圧延が繰り返し行われ,最終工程ではスリッターによるトリミングや定尺サイズへの切断がせん断加工により行われる.プレス加工の分野においても,ブランク取りのためのシヤーリングや打抜き,成形後のトリミングや穴あけなどの切断加工が,プレスせん断加工により行われる.このようにせん断加工が多用される理由は,せん断加工が他の切断加工法に比べ,高い生産性を有するためである.そして最近では,金型の加工技術進歩やプレス機械の高精度化や高剛性化とも相まって,せん断加工と他の塑性加工との複合加工が可能となり,加工の高効率化や機能部品のせん断を含む塑性加工への工法転換が進められるなど,せん断加工の需要はますます拡大している.

塑性加工技術シリーズ『せん断加工』は,初版第1刷が1992年に出版され,今日に至るまで,多くの技術者や研究者に購読いただき,新技術の開発や従来技術の改善などに活用いただいた.本書においては,それ以降に新たに塑性加工の対象となった,高強度鋼板やマグネシウム合金などの新材料のせん断加工技術,進歩の著しいサーボプレス機械などの塑性加工機械の紹介やその活用技術に関する内容を加筆した.さらに,塑性加工のなかで唯一破壊を伴う加工であることから,その解析が困難とされてきた,せん断加工のFEM解析についても新たに加筆した.

本書も塑性加工技術シリーズ『せん断加工』と同様に,せん断加工に携わっておられる技術者や研究者に有効な書として活用されることを願って止まない.

本書を発刊するにあたり,現在,国内でせん断加工を中心に研究を行っておられる大学の先生方,塑性加工機械の開発に携わっておられるメーカーの研究開発者の方々にご協力いただいた.ここに改めて御礼申し上げる.

2016年4月
「せん断加工」専門部会長 古閑 伸裕

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新塑性加工技術シリーズseries5

プラスチックの加工技術
- 材料・機械系技術者の必携版 -

  • 日本塑性加工学会 編 / 松岡信一・中山和郎・杉本昌隆・高山哲生・松葉 豪・安倍賢次・長岡 猛・松田裕行・山田俊樹・馬場文明・伊藤勝也・辰巳昌典・秋元英郎・山川孝好・多田和弘・仲井朝美・永澤 茂・佐藤千明・佐伯準一・松尾雄一・阿部知和 共著
  • A5サイズ/304頁
  • 定価4,620円(本体4,200円+税)
  • ISBN 978-4-339-04375-4
  • 電子版あり

プラスチック材料の成形加工法の概要,リサイクル技術および材料試験・評価法などを紹介。

電子書籍あり
プラスチックの加工技術 - 材料・機械系技術者の必携版 -
  • 日本塑性加工学会 編 / 松岡信一・中山和郎・杉本昌隆・高山哲生・松葉 豪・安倍賢次・長岡 猛・松田裕行・山田俊樹・馬場文明・伊藤勝也・辰巳昌典・秋元英郎・山川孝好・多田和弘・仲井朝美・永澤 茂・佐藤千明・佐伯準一・松尾雄一・阿部知和 共著
  • A5サイズ/304頁
  • 定価4,620円(本体4,200円+税)
  • ISBN 978-4-339-04375-4
  • 電子版あり
目次
1. 総論
 1.1 プラスチックの発展と経緯
 1.2 プラスチックと金属(材料の科学)
 1.3 プラスチック加工と金属加工(加工の形態)
 1.4 多彩なプラスチック(構造の形態)
 引用・参考文献

2. プラスチック材料の種類と特性
 2.1 プラスチックの分類
  2.1.1 熱可塑性プラスチックと熱硬化性プラスチック
  2.1.2 汎用プラスチックとエンジニアリングプラスチック
 2.2 おもなプラスチックの特性
  2.2.1 汎用プラスチック
  2.2.2 汎用エンジニアリングプラスチック(汎用エンプラ)
  2.2.3 特殊エンプラ(スーパーエンプラ)
  2.2.4 熱硬化性プラスチック
 引用・参考文献

3. 材料の流動特性
 3.1 流動特性
 3.2 塑性変形特性
  3.2.1 塑性加工の温度領域
  3.2.2 負荷時の変形特性
  3.2.3 変形後のひずみ回復特性
 引用・参考文献

4. 成形による状態変化
 4.1 状態変化
 4.2 固化および結晶化
 4.3 構造発現
 引用・参考文献

5. 各種成形方法
 5.1 前処理
  5.1.1 乾燥
  5.1.2 混合,混練
 5.2 射出成形
  5.2.1 概要
  5.2.2 射出成形機
  5.2.3 製品,金型設計
 5.3 押出し成形
  5.3.1 概要
  5.3.2 成形機
  5.3.3 押出し成形の理論的解析
  5.3.4 成形機の設計と成形品品質
  5.3.5 スクリューの設計
  5.3.6 成形ヘッドの設計
  5.3.7 各種の押出し成形法とその進歩
 5.4 ブロー成形
  5.4.1 概要
  5.4.2 成形の基本現象
  5.4.3 成形法,成形機
 5.5 熱成形(真空・圧空成形)
  5.5.1 概要
  5.5.2 熱成形法の種類
  5.5.3 成形機
  5.5.4 材料
  5.5.5 成形技術
  5.5.6 成形品物性
 5.6 延伸成形
  5.6.1 概要
  5.6.2 特徴
  5.6.3 延伸成形法と延伸成形機
  5.6.4 延伸の効果
 5.7 ラミネーション成形
  5.7.1 概要
  5.7.2 押出しラミネーション
  5.7.3 ドライラミネーション
  5.7.4 無溶剤ラミネーション
 5.8 カレンダー成形
  5.8.1 概要
  5.8.2 ロール構成
  5.8.3 製品厚み精度の要因
  5.8.4 カレンダー成形の未来
 5.9 発泡成形
  5.9.1 概要
  5.9.2 発泡成形に用いる発泡剤
  5.9.3 代表的な発泡成形
 5.10 RIM成形
  5.10.1 概要
  5.10.2 高圧注入機
  5.10.3 高圧ミキシングヘッド
  5.10.4 R―RIM成形およびエアーローディング
  5.10.5 RIM成形の未来
 5.11 粉末成形
  5.11.1 概要
  5.11.2 粉末成形法の種類と特徴
 5.12 圧縮・トランスファー成形
  5.12.1 概要
  5.12.2 トランスファー成形の特徴
  5.12.3 成形工程
  5.12.4 成形装置
 引用・参考文献

6. 複合材料の成形
 6.1 複合材料の創製
 6.2 複合の目的と効果
 6.3 強化複合のしくみ
 6.4 熱硬化性プラスチックの成形方法と特徴
  6.4.1 オープンモールド(開放型)法
  6.4.2 クローズドモールド(密閉型)法
 6.5 熱可塑性プラスチックの成形方法と特徴
  6.5.1 中間材料
  6.5.2 プレス成形
  6.5.3 引抜き成形法
  6.5.4 液体複合材成形
  6.5.5 ハイブリッド成形
 6.6 複合鋼板
 6.7 ナノコンポジットの成形
  6.7.1 ナノ充てん材
  6.7.2 ナノコンポジットの成形方法
 引用・参考文献

7. 塑性加工
 7.1 鍛造加工
  7.1.1 加工法
  7.1.2 特徴
  7.1.3 加工例
  7.1.4 関連技術(転造加工)
 7.2 押出し加工
  7.2.1 固体押出しの種類
  7.2.2 加工法
  7.2.3 加工条件
  7.2.4 特徴
 7.3 引抜き加工
  7.3.1 引抜き加工法の種類
  7.3.2 特徴
 7.4 圧延加工
  7.4.1 加工法
  7.4.2 特徴と加工例
  7.4.3 異方性とその対策
 7.5 せん断加工
  7.5.1 種類
  7.5.2 熱可塑性プラスチックのせん断加工
  7.5.3 複合材料のせん断加工
 7.6 曲げ加工
 7.7 深絞り加工
  7.7.1 加工法
  7.7.2 特徴と絞り性
 引用・参考文献

8. 接着・接合
 8.1 機械的締結
 8.2 融着接合
  8.2.1 加熱方法による分類
  8.2.2 融着接合と材料
 8.3 接着剤を用いた接合
  8.3.1 接着剤の種類と特徴
  8.3.2 プラスチック材料の接着
  8.3.3 接着工法
 引用・参考文献

9. 金型設計とCAE
 9.1 射出成形のCAEシステム
 9.2 プラスチック流動シミュレーションの経過と現状
 9.3 プラスチック流動シミュレーションの理論
  9.3.1 充てん解析
  9.3.2 保圧解析
 9.4 プラスチック流動シミュレーションの適用例
 引用・参考文献

10. リサイクル
 10.1 プラスチックリサイクル
 10.2 プラスチックリサイクルのLCA
 10.3 家電製品のプラスチックリサイクル
  10.3.1 解体分離の可能な成形品のリサイクル
  10.3.2 解体分離の困難な成形品のリサイクル
 10.4 自動車のプラスチックリサイクル
  10.4.1 自動車リサイクルの現状
  10.4.2 バンパーのリサイクル技術
  10.4.3 自動車部品へのリサイクルプラスチックの適用状況
  10.4.4 自動車部品へのリサイクルプラスチックの課題
 引用・参考文献

11. 試験・評価方法
 11.1 材料試験方法
  11.1.1 標準化
  11.1.2 比較可能なデータ
  11.1.3 分子量,成形性
  11.1.4 熱的性質
  11.1.5 機械的性質
 11.2 成形品の評価方法
  11.2.1 基本性能
  11.2.2 物理化学的特性
  11.2.3 表面特性
  11.2.4 光学特性
  11.2.5 電気的特性
  11.2.6 環境試験,耐久性

引用・参考文献
付録
索引
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内容紹介

「プラスチックの溶融・固相加工」(塑性加工技術シリーズ)にて紹介されていた内容を新技術やデータ等の更新の観点から全面的に見直し,さらに複合材料の成形やリサイクル技術に関する内容を加えた。

まえがき

プラスチックは化学工業の発展とともに,多くの期待と可能性を秘めた材料として著しい発展を遂げ,金属材料と肩を並べる基材の一つとなった.

プラスチックの元祖ともいうべきセルロイドが1869年に誕生し,また,1909年にベークライトの合成に成功し,合成高分子として初のプラスチックが誕生した.これがプラスチックの二大要因(熱可塑性と熱硬化性)の誕生である.

その後,大規模な近代工業として生産されるようになったのは,第二次世界大戦後のことである.以来,石油化学工業の急激な発展と新しい合成技術の開発により,多彩なプラスチック(樹脂)が市場した.中でもポリスチレン,ポリプロピレン,ポリエチレン,ポリ塩化ビニルは,四大プラスチックと呼ばれている.わが国では,1958年頃から国策の後押しで本格的な生産がスタートし,わずか半世紀余の短期間で目覚ましい躍進を遂げ,1999年にわが国は世界有数のプラスチック王国となった.

プラスチックは,他素材に見られないすばらしい特性と可能性を秘めた材料として,多くの期待とともに発展してきた.このプラスチックの代表的な特徴は,軽く,強く,耐食性に優れ,その上いかなる大きさの製品も自由自在に,しかも任意の形状に造形できることである.

例えば,代表的な射出成形では,材料のプラスチックを加熱溶融して型に流し込み,冷却するのみで所要の形状の成形品が大量に生産できる.また,技術の複合化によりきわめて精巧で複雑な形状の部品・製品が得られる.近年では,3Dプリンターやナノ・マイクロ成形が市場を賑わしている一方,既存の成形プロセス技術の変革と改良が進められている.さらに,社会的ニーズや環境調和に沿ったものづくりが定着し,部材のプラスチック化(軽量化),小型化,高強度化,コスト低減化が一段と図られている.

このように,あらゆる分野で使用されるプラスチックおよびその複合材料は,それを利用する機械,構造物,その他あらゆる産業,工業分野の設計者,技術者などにプラスチックの広範な知識や情報が要求されるようになった.

本書は,プラスチック材料の種類と特性・物性をはじめ,材料の流動特性,状態変化と結晶化,各種成形加工法(射出成形,押出し成形,ブロー成形,熱成形,粉末成形,圧縮・トランスファー成形など)の概要・特徴・応用,複合材料の成形,塑性加工,接合・接着,金型設計とCAE,リサイクル技術および各種材料試験・評価法などについて,基礎から先進技術まで幅広く網羅し,かつわかりやすく記述した.したがって,これからプラスチック材料や成形加工などを学習する方はもとより,日常的な生産や研究の場において,実際に必要となる種々の加工技術やデータなどは,有効に活用できるものと確信する.

本書は,塑性加工技術シリーズ『プラスチックの溶融・固相加工』(1991年)を基に改編した.編集に伴い一部では旧版を加筆修正し,新技術やデータ等の更新を図り利便性を高めた.旧版の著者におかれては,ご了承賜りたくお願い申し上げます.また,多くの専門書を参考にさせていただき,データ等の引用をご快諾いただいた著者の方々には,深く謝意を表するものである.また,限られた紙面の中では説明や資料不足の箇所もあるかと思われるが,ご理解いただきご指導賜れば幸いである.

終わりに,執筆者の方々には,ご多用中にもかかわらず快くお引受けいただき,ここに改めてお礼申し上げる.さらに出版を企画された一般社団法人日本塑性加工学会ならびにコロナ社には謝意を表する.

2016年8月
「プラスチックの加工技術」専門部会長 松岡 信一

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新塑性加工技術シリーズseries6

引抜き
- 棒線から管までのすべて -

  • 日本塑性加工学会 編 / 齋藤賢一・浅川基男・吉田一也・相沢 隆・上井清史・岩本 隆・増田智一・三村正直・奥井達也・高杉直樹・土屋昭則・久保木孝・中野元裕・梶川翔平 共著
  • A5サイズ/358頁
  • 定価5,720円(本体5,200円+税)
  • ISBN 978-4-339-04372-3
  • 電子版あり

「引抜き」に関する理論,製造技術,材料,解析方法,機器・設備などを紹介・解説。

電子書籍あり
引抜き - 棒線から管までのすべて -
  • 日本塑性加工学会 編 / 齋藤賢一・浅川基男・吉田一也・相沢 隆・上井清史・岩本 隆・増田智一・三村正直・奥井達也・高杉直樹・土屋昭則・久保木孝・中野元裕・梶川翔平 共著
  • A5サイズ/358頁
  • 定価5,720円(本体5,200円+税)
  • ISBN 978-4-339-04372-3
  • 電子版あり
目次
1. 概要
1.1 引抜きの歴史
 1.1.1 世界の歴史
 1.1.2 日本の歴史
 1.1.3 伸線技術分科会の発足
1.2 引抜き技術の展望
 1.2.1 引抜きの要点
 1.2.2 巧みのワザから技術・理論へ
 1.2.3 引抜き技術の現状と課題
引用・参考文献

2. 変形機構と力学
2.1 棒・線の引抜き
 2.1.1 材料の流れ
 2.1.2 引抜き応力
 2.1.3 ダイス面圧と逆張力
 2.1.4 ダイス角と断面減少率
 2.1.5 摩擦と潤滑
 2.1.6 加工材の温度変化
2.2 管の引抜き
 2.2.1 引抜きの分類と理論
 2.2.2 空引き中の肉厚の変化
 2.2.3 管引きによる引抜き力の予測
 2.2.4 偏肉の矯正
2.3 数値解析
 2.3.1 有限要素法を用いた解析
 2.3.2 異物を含む線材の解析
 2.3.3 その他の解析手法の紹介
2.4 引き細り
 2.4.1 引き細りとアンダーシュート
 2.4.2 2枚ダイスによる引き細り現象
2.5 引抜きの残留応力
 2.5.1 残留応力の測定方法
 2.5.2 残留応力の測定結果
引用・参考文献

3. 製造技術
3.1 引抜き加工工程
 3.1.1 熱処理
 3.1.2 脱スケール,皮膜処理
 3.1.3 潤滑剤
 3.1.4 引抜き条件
 3.1.5 線材と線材との接合
3.2 断面減少率の設定
 3.2.1 断面減少率
 3.2.2 伸線パススケジュールの設計
3.3 ダイス
 3.3.1 ダイス材料
 3.3.2 ダイス材料の選択
 3.3.3 ダイスの形状・寸法
 3.3.4 ダイス面圧
 3.3.5 ダイスの正しい使用
 3.3.6 ダイスの製造・修理
3.4 引抜き機械
 3.4.1 引抜き機械とその分類
 3.4.2 伸線機
 3.4.3 抽伸機
 3.4.4 棒材加工機
3.5 引抜き材の欠陥
 3.5.1 素材欠陥
 3.5.2 引抜き加工による欠陥
 3.5.3 形状不良
3.6 棒線の矯正
 3.6.1 矯正の種類と基本
 3.6.2 棒線矯正に必要な材料の特性
 3.6.3 2ロール矯正
 3.6.4 ローラーレベラー矯正
 3.6.5 引張矯正
 3.6.6 回転ブレード矯正
引用・参考文献

4. 引抜き材の性質と評価
4.1 金属組織学的考察
 4.1.1 繊維組織の形成
 4.1.2 加工性と繊維組織
 4.1.3 最近の結晶方位解析
4.2 機械的諸特性
 4.2.1 加工率と材料強度
 4.2.2 加工限界と材料特性
4.3 線材および線の試験方法
 4.3.1 機械試験
 4.3.2 鋼質試験
 4.3.3 腐食試験
 4.3.4 非破壊試験
 4.3.5 電磁気試験
4.4 線材の品質保証
 4.4.1 非破壊試験器による品質保証
 4.4.2 自動探傷・欠陥除去装置による表面品質の保証
引用・参考文献

5. 特殊引抜き加工
5.1 強制潤滑引抜き
5.2 ローラーダイス伸線およびロール伸線
 5.2.1 孔ダイス伸線とロールによる伸線の比較
 5.2.2 ローラーダイス伸線法
 5.2.3 ロール伸線法
5.3 回転ダイス引抜き
5.4 束引き
5.5 超音波引抜き
5.6 温間,熱間伸線
5.7 ダイレス伸線
5.8 液体マンドレル引き
引用・参考文献

6. 鋼線
6.1 素材
 6.1.1 線材の製造工程
 6.1.2 線材の製造設備
 6.1.3 線材の規格
 6.1.4 線材の熱処理
6.2 伸線前処理
 6.2.1 脱スケール
 6.2.2 皮膜処理
6.3 伸線用潤滑剤
 6.3.1 伸線潤滑剤の要求特性
 6.3.2 乾式伸線用潤滑剤
 6.3.3 湿式伸線用潤滑剤
 6.3.4 油性伸線用潤滑剤
6.4 線の冷却
 6.4.1 伸線速度とダイス寿命
 6.4.2 伸線速度と線温
 6.4.3 伸線速度と鋼線品質
 6.4.4 線の冷却技術
6.5 線の特性
 6.5.1 素材の特性に及ぼす熱処理の影響
 6.5.2 伸線による諸特性の変化
6.6 製品例
 6.6.1 鉄線
 6.6.2 亜鉛めっき鉄線
 6.6.3 冷間圧造用鋼線
 6.6.4 ばね用鋼
 6.6.5 スチールコード用鋼線
 6.6.6 PC鋼線,PC鋼より線
 6.6.7 亜鉛めっき鋼線,亜鉛めっき鋼より線
 6.6.8 針
 6.6.9 磨き棒鋼
引用・参考文献

7. 銅および銅合金線
7.1 素材
 7.1.1 銅荒引線製造方式
 7.1.2 銅合金線製造方式
 7.1.3 特殊線製造方式
7.2 伸線前処理
7.3 伸線加工
 7.3.1 純銅線の加工
 7.3.2 銅合金線の加工
 7.3.3 異形線の加工
7.4 線の特性
7.5 製品例
引用・参考文献

8. 鋼管
8.1 素材
 8.1.1 材質
 8.1.2 素材製法
 8.1.3 素材表面
 8.1.4 素材の延性・靭性
 8.1.5 素材面からの歩留り,能率改善
8.2 加工
 8.2.1 引抜き機械
 8.2.2 工具
 8.2.3 潤滑
 8.2.4 加工
 8.2.5 引抜き
 8.2.6 空引きにおける寸法変化
8.3 管材の特性
 8.3.1 管材の引抜き特性
 8.3.2 引抜き後の残留応力
 8.3.3 硬度分布
8.4 製品例
 8.4.1 引抜きの目的と製品の用途
 8.4.2 寸法精度
 8.4.3 表面粗さ
 8.4.4 機械的性質
 8.4.5 特殊形状
引用・参考文献

9. 銅および銅合金管
9.1 素材
 9.1.1 製造工程
 9.1.2 製造設備
 9.1.3 品質管理
9.2 加工
 9.2.1 加工概要
 9.2.2 引抜き加工設備
 9.2.3 抽伸工具の種類と特徴
 9.2.4 潤滑剤
9.3 製品規格
9.4 管の特性
9.5 製品例
引用・参考文献

10. その他の金属線と管
10.1 アルミニウムとその合金線
 10.1.1 素材
 10.1.2 加工
 10.1.3 線の特性
 10.1.4 製品例
10.2 ステンレス鋼線
 10.2.1 素材
 10.2.2 線の特性
10.3 ニッケル線
10.4 タングステン線
10.5 チタン線
10.6 ニクロム線
10.7 マグネシウム合金線
10.8 アルミニウム管
引用・参考文献

11. 新素材
11.1 光ファイバー
 11.1.1 装置概略
 11.1.2 加熱炉
 11.1.3 線径制御
 11.1.4 光ファイバーの被覆技術
 11.1.5 光ファイバーの機械強度
11.2 超電導線材
 11.2.1 超電導材料の種類と用途
 11.2.2 金属系実用超電導線材の製造工程と引抜き加工
 11.2.3 酸化物系高温超電導線材の引抜き加工
11.3 複合材,その他
 11.3.1 クラッド線の製造方法
 11.3.2 繊維強化プラスチックの製造
 11.3.3 複合線の実用例

引用・参考文献
索引
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内容紹介

本書は,「引抜き」に関する理論,製造技術,材料,解析方法,機器・設備などを紹介・解説。旧版である「引抜き加工」(1990年,塑性加工技術シリーズ)刊行以降に得られた多くの新しい技術情報を盛り込んだ。

まえがき

引抜き加工の歴史は古く,有史以前から比較的変形しやすい金属を線に加工する方法として多くの技術が培われてきた.現在では,対象とする形状として棒・線を中心として管などにも適用される加工方法である.また,対象は,鉄鋼・非鉄の金属材料の域にとどまらず,高分子系材料やカーボン系材料,超電導材料の製造などにも適用できる普遍的な技術として発展している.棒・線材の素材(素形材)としての可能性は大きく,二次的加工を経てボルトやばねなどの機能的要素を付加させる素地ともなり得る.そもそも,線や管の特徴である長尺の材料形状は,橋梁吊ワイヤ,送電線やパイプライン,光ファイバーといった例に見られるように,物理的にものを「つなぐ」,「支える」という現代文明に欠かせない重要な役割を担っている.よって,機能性とともに,強く,壊れない,しなやかな機械的性質が求められ,技術開発もそういった基本的な性能向上を目指して行われてきたと考えられる.ただ,近年,さまざまな工業製品での技術の進化や発展の特徴として,機器の小型化と軽量化,そしてトータルエネルギー消費の減少を目指す傾向が挙げられる.棒・線材や管材の用途もいまでは細線・細管,極細線にまで広がっており,将来的にはナノワイヤ・チューブなる未来技術へとつながり得て,その加工方法としてもさらに深化が続いていくものと予想される.

本書は「引抜き」に関する理論,製造技術,材料,解析方法,機器・設備などを一堂に集めて紹介・解説している.また,棒・線材,管材の「引抜き」製造に携わる最前線の技術者,研究者の自らが,おのおのの最新の情報を基に記述している点が特徴である.旧版にあたる塑性加工技術シリーズ『引抜き加工』が出版された1990年からすでに四半世紀以上が経ち,この新版作成にあたっては,その間に得られた多くの新しい技術情報を盛り込むことにも努めた.昨今さまざまなメディアを通じて迅速に情報が得られる時代においても,「引抜き」をキーワードに「棒線から管までのすべて」を参照できる本書は,読者である技術者や学習者に,一本の筋の通った有意な視点を提供するものと考えられる.同時に,古来から脈々と引き継がれてきた「引抜き」技術の本質(変わらない技術)を見いだしていただき,将来来るべき技術ブレークスルーへと昇華していただけるものと確信している.

本書の執筆母体は,一般社団法人日本塑性加工学会の「伸線技術分科会」である.鉄鋼,非鉄,伸線,潤滑などの各メーカーが集まり1976年に開始されたこの会は,現在(2017年)まで40年以上継続しており,定例の研究集会だけでも通算80回以上の実施を数え,その間,引抜き技術に関連する多くの技術者・研究者の交流の場としての役割を担ってきた.その運営委員会には,特に今回の執筆体制に関して多くの便宜を図っていただき,ここに厚く御礼申し上げる.また本書は,旧版のデータや記述の一部を用いており,当時の執筆者および出版部会の御尽力なしには存在し得なかった.厚く御礼申し上げる次第である.また,ご多忙中にさまざまな対応をいただいた執筆者各位に御礼申し上げるとともに,日本塑性加工学会,新塑性加工技術シリーズ出版部会および出版の労をおとりいただいたコロナ社には,原稿や編集方法へのさまざまなアドバイスをいただいたことに厚く感謝する.

2017年3月
「引抜き」専門部会長 齋藤 賢一

関連連籍
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新塑性加工技術シリーズseries7

衝撃塑性加工
- 衝撃エネルギーを利用した高度成形技術 -

  • 日本塑性加工学会 編 / 山下 実・外本和幸・藤田昌大・大塚誠彦・長谷部忠司・根岸秀明・相沢友勝・杉崎孝良・花田幸太郎・村田 眞・小出茂幸・橋本成一・高橋正春・村越庸一・岡川啓悟・佐藤裕久・今井田豊 共著
  • A5サイズ/254頁
  • 定価4,070円(本体3,700円+税)
  • ISBN 978-4-339-04377-8
  • 電子版あり

加工の原理や特徴を述べ,爆発エネルギーを利用する加工法や放電成形,電磁成形,電磁接合,高速プレス装置についても解説した。

電子書籍あり
衝撃塑性加工 - 衝撃エネルギーを利用した高度成形技術 -
  • 日本塑性加工学会 編 / 山下 実・外本和幸・藤田昌大・大塚誠彦・長谷部忠司・根岸秀明・相沢友勝・杉崎孝良・花田幸太郎・村田 眞・小出茂幸・橋本成一・高橋正春・村越庸一・岡川啓悟・佐藤裕久・今井田豊 共著
  • A5サイズ/254頁
  • 定価4,070円(本体3,700円+税)
  • ISBN 978-4-339-04377-8
目次
1. 序論
1.1 衝撃塑性加工(高エネルギー速度加工)の概念
1.2 技術開発の経緯
1.3 衝撃塑性加工の様式と特性
 1.3.1 衝撃塑性加工の種類
 1.3.2 爆発エネルギーを利用する加工方式
 1.3.3 放電エネルギーを利用する加工方式
 1.3.4 電磁エネルギーを利用する加工方式
 1.3.5 高圧ガスや衝撃水圧を利用する方式

2. 高速変形の基礎と材料試験法
2.1 高速変形・試験の考え方
 2.1.1 概要と前提条件
 2.1.2 基本特性を定める高速材料試験
 2.1.3 高速変形データ取得の困難さ
2.2 高速変形の金属学
 2.2.1 金属の変形挙動に影響を及ぼす諸因子
 2.2.2 変形抵抗に及ぼすひずみ速度の影響
 2.2.3 変形能に及ぼすひずみ速度の影響
 2.2.4 変形抵抗および変形能に及ぼすひずみ速度履歴の影響
2.3 機械的特性
 2.3.1 高速塑性変形のモデリング
 2.3.2 基本特性と構成式
 2.3.3 不連続波と衝撃圧縮曲線
2.4 試験・計測法
 2.4.1 高ひずみ速度・材料試験の特殊性
 2.4.2 SHPB圧縮法
 2.4.3 一次元弾性波理論の適用
 2.4.4 応力波効果とその対策
 2.4.5 摩擦効果とその対策
 2.4.6 ひずみ速度およびその推移の制御に関する検討
 2.4.7 標準的なSHPB圧縮法
引用・参考文献

3. 爆発加工
3.1 爆発加工の概要
 3.1.1 概要と技術開発の経緯
 3.1.2 爆発加工の種類
3.2 爆発圧着
 3.2.1 理論
 3.2.2 実際
 3.2.3 クラッドの利用例
 3.2.4 管の接合
 3.2.5 爆発圧着の新しい展開
3.3 爆発成形
 3.3.1 理論
 3.3.2 設備と実際
 3.3.3 各種の工夫と利用例
3.4 爆発硬化
 3.4.1 理論
 3.4.2 実際と利用例
3.5 爆発圧粉
 3.5.1 理論
 3.5.2 実際と利用例
3.6 爆発切断
 3.6.1 理論
 3.6.2 適用例
3.7 爆発エネルギーの新しい応用
 3.7.1 物質の合成
 3.7.2 超高磁場の発生と爆薬発電機
 3.7.3 溶接残留応力の軽減
3.8 爆発加工用設備
3.9 火薬類と火薬類取締法
引用・参考文献

4. 放電成形
4.1 放電成形の概要
 4.1.1 概要と技術開発の経緯
 4.1.2 放電成形の方式
4.2 放電現象の基礎
 4.2.1 放電現象
 4.2.2 放電回路
 4.2.3 放電圧力
4.3 放電圧力を利用した塑性加工
 4.3.1 板または管材の成形
 4.3.2 バルク材の圧縮・鍛造
 4.3.3 粉末成形
 4.3.4 特殊成形
引用・参考文献

5. 電磁成形
5.1 電磁成形の概要
 5.1.1 概要と技術開発の経緯
 5.1.2 電磁成形の様式
5.2 電磁力発生の基礎
 5.2.1 電磁力発生と制御
 5.2.2 コイルの設計と製作
5.3 板材・管材成形と接合
 5.3.1 板材成形
 5.3.2 管材成形
 5.3.3 接合
 5.3.4 自動車製造における電磁成形の活用
5.4 電磁成形の応用例
 5.4.1 薄肉管の矯正加工
 5.4.2 アモルファス合金のせん断加工
 5.4.3 粉末成形
5.5 金属薄板の電磁圧接
 5.5.1 概要と技術開発の経緯
 5.5.2 平板状コイルおよび圧接原理
 5.5.3 放電電流および衝突時間信号の測定
 5.5.4 両面からの電磁圧接
 5.5.5 片面からの電磁圧接
 5.5.6 電磁圧接の技術展開
引用・参考文献

6. 衝撃ガス圧成形
6.1 高速鍛造
 6.1.1 概要
 6.1.2 加工機械
 6.1.3 金型
 6.1.4 加工例
6.2 高速押出し
 6.2.1 概要
 6.2.2 加工機械および工具
 6.2.3 製品例
6.3 高速せん断
 6.3.1 概要
 6.3.2 装置
 6.3.3 製品
引用・参考文献

索引
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内容紹介

『高エネルギー速度加工』(塑性加工技術シリーズ)の内容を見直したものである。初めに加工の原理や特徴を述べ,爆発エネルギーを利用する加工法や放電成形,電磁成形,電磁接合,高速プレス装置についても事例と併せて解説した。

まえがき

本書は,1993年に社団法人 日本塑性加工学会の高エネルギー速度加工分科会の委員が中心になり,多数の研究や技術開発の成果等を踏まえて執筆,発行された専門書籍『高エネルギー速度加工』に改訂を施したものである.書名については,塑性加工技術としてわかりやすく簡潔な「衝撃塑性加工」に変更した.改訂作業は,現在の分科会の主要委員と当時の執筆者の一部が中心となって行った.

衝撃塑性加工の代表的なものは,爆薬を用いる爆発加工,コンデンサーに蓄えた電荷の液中放電を利用する放電成形,衝撃電磁力を利用する電磁成形や電磁接合,高圧ガスでピストンを高速駆動して行う高速押出しや高速鍛造がある.衝撃塑性加工に用いるエネルギー源は,爆薬や放電エネルギー,電磁力,高圧ガスと多様であり,通常の塑性加工と変形速度が大きく異なる点が特徴である.それに伴って塑性変形挙動もいわゆる普通のひずみ速度下のものとは大きく異なる.衝撃塑性加工は,高ひずみ速度下の塑性変形現象を積極的に利用し,成形品の高付加価値化や通常の塑性加工法では不可能なことを実現できる加工法ともいえるのである.

本書では,はじめに衝撃塑性加工における加工技術としての特徴や各種加工法について一般的事項を示す.2章では,高速塑性変形の捉え方や考え方をまず述べ,材料が高速変形するときの金属学的あるいは塑性学的な解説と高ひずみ速度下の材料試験法を解説した.3章では,爆発エネルギーを利用する加工法として,爆発加工や異種金属を接合する爆発圧着,金属の表面硬化法,粉末固化や合成法を述べた.4章では放電成形を解説し,薄板の精密成形についても事例を示した.5章では電磁力を利用した電磁成形と電磁接合について詳細な解説を加え,具体的な製品例も含めた.6章では,高圧ガスで駆動する高速プレス装置と代表的な事例を解説した.

ご多用の中,ご協力いただいた執筆者各位に心より御礼申し上げ,発刊に際しご尽力いただいたコロナ社に対して,深く感謝申し上げる.

2017年8月
「衝撃塑性加工」専門部会長 山下 実

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新塑性加工技術シリーズseries8

接合・複合
- ものづくりを革新する接合技術のすべて -

  • 日本塑性加工学会 編 / 山崎栄一・川森重弘・町田輝史・豊田裕介・奥田晃久・須賀唯知・森 敏彦・板橋雅巳・吉田一也・村上碩哉・星野倫彦・大塚誠彦・岡川啓悟・木村 南・神 雅彦・杉山澄雄・長谷川収・成田敏夫・浅香一夫・川上博士・加藤数良・中田一博・片山聖二・有賀 正・杉井新治・大橋 修・前田将克・小林具実・川東宏至・大瀧光弘 共著
  • A5サイズ/394頁
  • 定価6,380円(本体5,800円+税)
  • ISBN 978-4-339-04378-5
  • 電子版あり

従来の技術に加え,レーザ溶接,FSWや拡散接合,AMなどの新しい接合技術も平易に紹介

電子書籍あり
接合・複合 - ものづくりを革新する接合技術のすべて -
  • 日本塑性加工学会 編 / 山崎栄一・川森重弘・町田輝史・豊田裕介・奥田晃久・須賀唯知・森 敏彦・板橋雅巳・吉田一也・村上碩哉・星野倫彦・大塚誠彦・岡川啓悟・木村 南・神 雅彦・杉山澄雄・長谷川収・成田 敏夫・浅香一夫・川上博士・加藤数良・中田一博・片山聖二・有賀 正・杉井新治・大橋 修・前田将克・小林具実・川東宏至・大瀧光弘 共著
  • A5サイズ/394頁
  • 定価6,380円(本体5,800円+税)
  • ISBN 978-4-339-04378-5
目次
1. 序論
1.1 接合・複合の意義
1.2 接合・複合の技術史
 1.2.1 古代の接合・複合
 1.2.2 工業における接合・複合
1.3 接合・複合技術の応用
 1.3.1 接合と複合の概念と用法
 1.3.2 技術の分類法
 1.3.3 直接結合と間接結合による分類
1.4 技術の選択と展開
 1.4.1 適用の目的意識
 1.4.2 機能創製と接合・複合
 1.4.3 技術展開への新たな視点
1.5 接合技術の主たる応用
 1.5.1 自動車の接合技術
 1.5.2 航空機の接合技術
 1.5.3 究極の接合技術―常温接合―
1.6 接合状態の評価法
 1.6.1 機械的試験(接合強度試験)
 1.6.2 接合部の観察および検査
 1.6.3 異種材接合にみる特性評価法とその標準化
引用・参考文献

2. 変形・流動接合
2.1 概論
 2.1.1 変形・流動接合
 2.1.2 変形・流動を用いる接合法の種類と特徴
 2.1.3 接合条件と接合性
2.2 圧延の応用
 2.2.1 圧延接合の機構
 2.2.2 接合面率
 2.2.3 接合強度
 2.2.4 接合強度に及ぼす因子
 2.2.5 応用
2.3 鍛造的手法の応用
 2.3.1 押込み接合法
 2.3.2 塑性流動結合法
2.4 押出しの応用
 2.4.1 原理と方法
 2.4.2 接合条件
 2.4.3 応用例
2.5 シェービング接合
 2.5.1 接合原理
 2.5.2 接合方法
 2.5.3 接合強度の構成
 2.5.4 接合条件と強度
 2.5.5 特徴と適用可能性
2.6 爆発圧着
 2.6.1 原理
 2.6.2 接合条件
 2.6.3 応用例
2.7 電磁力による高エネルギー接合
 2.7.1 電磁圧接の原理と衝突時間測定および電磁加工回路
 2.7.2 電磁圧接実験
 2.7.3 電磁かしめ
2.8 その他の変形流動接合
 2.8.1 超塑性接合
 2.8.2 振動熱接合
 2.8.3 半溶融バルジ接合
 2.8.4 半溶融圧接
引用・参考文献

3. 構造締結と弾性締結
3.1 構造締結
 3.1.1 構造締結の特徴と分類
 3.1.2 構造締結の応用と選択
3.2 各種構造締結
 3.2.1 折曲げ締結
 3.2.2 かしめ継ぎ締結
 3.2.3 より合せ締結
 3.2.4 せん断接合
 3.2.5 張出し接合
 3.2.6 その他の構造締結
3.3 弾性結合
 3.3.1 はめあい
 3.3.2 弾性結合の力学
3.4 焼結部品の弾性接合
 3.4.1 焼結ばめ
 3.4.2 焼結部品の圧入
引用・参考文献

4. 局部溶着
4.1 概論
4.2 表面被覆
 4.2.1 表面被覆法の種類
 4.2.2 溶射
 4.2.3 蒸着
4.3 焼結接合
 4.3.1 分類
 4.3.2 原理と特徴およびその適用例
4.4 抵抗溶接
 4.4.1 概要
 4.4.2 抵抗溶接の原理
 4.4.3 各種抵抗溶接
 4.4.4 接合条件および評価
4.5 圧接
 4.5.1 圧接法の分類
 4.5.2 圧接性に及ぼす諸要因
 4.5.3 各種圧接法とその応用例
4.6 超音波接合
 4.6.1 超音波発生の原理と接合機
 4.6.2 超音波接合の特徴と種類
 4.6.3 応用分野
引用・参考文献

5. アーク溶接およびガス溶接などの融接法
5.1 アーク溶接
 5.1.1 アーク溶接の特徴と種類
 5.1.2 アーク放電とその制御
5.2 各種アーク溶接法とその特徴
 5.2.1 ティグ溶接
 5.2.2 ミグ溶接およびマグ溶接
 5.2.3 サブマージアーク溶接
 5.2.4 被覆アーク溶接およびセルフシールドアーク溶接
 5.2.5 その他の関連する融接法
5.3 アーク溶接継手の特徴
 5.3.1 溶接継手の形成組織
 5.3.2 溶接欠陥
 5.3.3 溶接変形と溶接残留応力
5.4 ガス溶接
引用・参考文献

6. ビーム溶接
6.1 レーザ溶接
 6.1.1 レーザ溶接の特徴
 6.1.2 溶接用レーザの種類と特徴
 6.1.3 レーザ溶接現象と溶接部の溶込み形状
 6.1.4 レーザ溶接条件とその溶接部の評価
 6.1.5 レーザ溶接欠陥の生成および防止と溶接部の特性
 6.1.6 レーザ溶接・接合の適用例
6.2 電子ビーム溶接
 6.2.1 電子ビーム溶接装置
 6.2.2 電子ビーム溶接機構
 6.2.3 電子ビーム溶接の特徴
引用・参考文献

7. ろう接
7.1 概論
7.2 ろう材
 7.2.1 はんだ(軟ろう)
 7.2.2 ろう(硬ろう)
 7.2.3 フラックス
7.3 継手の形状と設計
7.4 ろう接装置および接合作業
7.5 ろう接の応用
 7.5.1 継手の試験・検査
 7.5.2 実用例
引用・参考文献

8. 要素結合
8.1 概論
8.2 各種の要素結合
 8.2.1 ボルト・ナット結合
 8.2.2 リベット結合
 8.2.3 公的規格外の要素結合
 8.2.4 キー・コッター結合
 8.2.5 ピン結合
8.3 簡易結合
引用・参考文献

9. 接着
9.1 概論
9.2 接着のメカニズム
 9.2.1 表面でのぬれ
 9.2.2 界面での相互作用
 9.2.3 接着剤の固化
 9.2.4 接着強度の影響因子
9.3 接着剤の種類と特徴
9.4 接着強度と耐久性
9.5 接着の応用
引用・参考文献

10. 拡散接合
10.1 概論
10.2 拡散接合の種類と特徴
10.3 金属を接合するには
10.4 接合面積の増加過程
10.5 接合表面皮膜の挙動
10.6 異種金属の接合
10.7 拡散接合装置
10.8 拡散接合の適用例
引用・参考文献

11. 摩擦攪拌接合(FSW)
11.1 概論
11.2 施工パラメータ
11.3 ツール
11.4 接合装置
11.5 接合過程の現象
11.6 FSWの組織と欠陥
11.7 応用事例
引用・参考文献

12. アディティブマニュファクチャリング
12.1 概論
12.2 各種アディティブマニュファクチャリング技術
 12.2.1 液槽光重合法
 12.2.2 材料押出し法
 12.2.3 粉末床溶融結合法
 12.2.4 その他のAM技術
12.3 CADデータによる造形設計
12.4 応用事例
 12.4.1 企画設計の模型としての利用
 12.4.2 鋳造への応用
 12.4.3 金型への応用
 12.4.4 医療への応用
12.5 今後のアディティブマニュファクチャリング
引用・参考文献

13. 接合技術の変遷
13.1 金属缶に関わる接合技術
 13.1.1 金属缶の分類
 13.1.2 3ピース缶における接合技術
 13.1.3 複合材を素材とする2ピース缶
 13.1.4 缶蓋における接合技術
 13.1.5 二重巻締法
13.2 クラッド材
 13.2.1 金属/樹脂複合材料
 13.2.2 金属/樹脂複合材料の接合法
 13.2.3 非鉄系クラッド複合板
13.3 マイクロジョイニング
 13.3.1 微小部品の接合
 13.3.2 ワイヤボンディング
 13.3.3 その他の結線方式
 13.3.4 フリップチップボンディング用はんだバンプ形成技術
 13.3.5 マイクロろう接
13.4 最近の接合技術の動向
 13.4.1 近年の動き
 13.4.2 機能性接合要素
 13.4.3 材料の改質と特性開発
引用・参考文献

索引
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内容紹介

『接合』(塑性加工技術シリーズ)で紹介されていた基本技術について内容を見直し,実用上の点を考慮しながらアディティブマニュファクチャリングなど現在注目されている技術を追加した。それぞれの技術の適用例・応用例も紹介する。

まえがき

日本塑性加工学会編の塑性加工技術シリーズ(全19巻)が発刊されてしばらくになることから,これからの20年を見据え,技術者育成に寄与することを目指し,また若手技術者の教科書・手引書となるよう,2014年度より塑性加工技術シリーズの改編に着手した.その流れを受け,接合・複合分科会を中心に,『接合』(1990年)の改編に取り組んだ.

『接合』が発刊されてから現在まで,太陽光,風力などの自然エネルギーの利用推進,自動車はもとより医療,航空機産業をつぎの成長産業と捉えた取り組み,昨今のAI・IoTの潮流など,技術革新が次々と起こっている.そのような中,内容の陳腐化に伴う見直しをベースとしつつ,新しい技術を盛り込む形で今回の改編にあたった.

接合技術は,当初は建造物や構築物を得るための技術であったが,今では日常使用している身の回りの製品から航空・宇宙産業の先端技術分野まで幅広く用いられ,付加価値の高い部品や製品を生む効率的な技術のひとつとして認識されている.反面,あらゆるものに利用されるため,分野を問わず数えきれないほど多種多様な技術となっている.これらを1冊の本にまとめ上げるというたいへんな作業と努力の賜として刊行されたのが『接合』である.

その流れをしっかり受け継ぎ,新しい技術やことがらを取り入れつつ,議論を重ね進めてきた.それぞれの接合技術を深耕するというよりは,企画設計や加工といったものづくりに関わる際に活用されるよう,どんな接合技術があってどのように使われているのか,生産技術の観点から紹介するよう努めた.

また書籍名については,ものづくりを考えた場合,必ずといってよいほど種々の接合の組合せにより形づくられるが,接合体は基本的には複合(機能体)であり,個々の機能の重ね合わせにより新たな機能も生まれるとの分科会創始者の考えを受け継ぎ,『接合・複合』と題して分科会の思いを込めた.

今回の執筆に際しては,塑性加工学会や接合・複合分科会の方々はもちろんのこと,他の分野の方々にも広くお声掛けし,大学の先生や企業の研究者・技術者の方々より快くご協力をいただいた.執筆者の方々には,普段であれば本1冊に匹敵するような内容を数ページ以内で語るよう,無理難題を承知でお願いした.その結果,コンパクトにそのエキスをまとめていただいた.平易な表現で最新技術を紹介するなど,たいへんご苦労された内容になっている.

一例を挙げると,いまも産業界で用いられる基本的な技術については,装置や応用製品,応用技術をより新しいものになるよう努めた.一方,ここ10年あまりで大きく発展したレーザ溶接,注目のFSW(摩擦撹拌接合)や拡散接合,AM(アディティブマニュファクチャリング)など,本格的に実用化に至った技術も新たに盛り込んでいる.新しいものを取り上げるにあたり,『接合』に比べ塑性加工のトーンが若干薄くなったように感じられると思うが,ご容赦願いたい.

本書が,ものづくりに関わりのある技術者の方々はもとより,学生を含む若手技術者にも接合技術を身近なものとして捉えていただき,ものづくりを行う際の接合技術の選択,あるいは新しい技術を生み出す際の気づきやヒントの一助になれば幸いである.

最後に,お忙しい中,快く執筆をお引き受けいただいた方々や,ご協力いただいた接合・複合分科会の方々に感謝申し上げるとともに,このような機会をいただいた一般社団法人日本塑性加工学会,ならびに株式会社コロナ社に御礼申し上げる.

2018年2月
「接合・複合」専門部会長 山崎 栄一

関連連籍
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新塑性加工技術シリーズseries9

鍛造
- 目指すは高機能ネットシェイプ -

  • 日本塑性加工学会 編 / 北村憲彦・松本 良・石川孝司・五十川幸宏・吉田佳典・篠崎吉太郎・棚瀬幸彦・小野宗憲・安藤弘行・間 政博・藤川真一郎・長田 卓・加田 修・新藤節夫・丸茂洋一・小見山忍・池田修啓・阿部行雄・角南不二夫・村井映介・井村隆昭・河本基一郎・金 秀英 共著
  • A5サイズ/442頁
  • 定価7,150円(本体6,500円+税)
  • ISBN 978-4-339-04379-2
  • 電子版あり

高精度な形の創生から高機能な製品を創出するネットプロパティの領域を目指す鍛造技術。実用例から周辺技術までを記述した。

電子書籍あり
鍛造 - 目指すは高機能ネットシェイプ -
  • 日本塑性加工学会 編 / 北村憲彦・松本 良・石川孝司・五十川幸宏・吉田佳典・篠崎吉太郎・棚瀬幸彦・小野宗憲・安藤弘行・間 政博・藤川真一郎・長田 卓・加田 修・新藤節夫・丸茂洋一・小見山忍・池田修啓・阿部行雄・角南不二夫・村井映介・井村隆昭・河本基一郎・金 秀英 共著
  • A5サイズ/442頁
  • 定価7,150円(本体6,500円+税)
  • ISBN 978-4-339-04379-2
目次
1. 総論
1.1 「鍛造」とはなにか
1.2 いろいろな鍛造法
 1.2.1 作業温度による分類
 1.2.2 変形形態による分類
 1.2.3 変形動態による分類
 1.2.4 金型形式または運動方式による分類
 1.2.5 加工用機械形式による分類
 1.2.6 素材形態による分類
1.3 鍛造の役割
 1.3.1 鍛造の歴史
 1.3.2 今日の鍛造
1.4 鍛造の特徴
引用・参考文献

2. 鍛造の技術・生産システム
2.1 生産ラインの例
2.2 技術システム
 2.2.1 縦のシステム
 2.2.2 横のシステム
2.3 製品品質とシステムの関係
引用・参考文献

3. 鍛造の力学
3.1 鍛造過程の解析
 3.1.1 鍛造の力学基礎
 3.1.2 塑性変形の理論解析手法
 3.1.3 実験的手法
3.2 圧縮
 3.2.1 中実円柱の全体据込み
 3.2.2 中空円筒の全体据込み
 3.2.3 中実円柱および中空円筒の周辺部据込み
 3.2.4 異形材の全体据込み
 3.2.5 射出据込み
 3.2.6 丸棒の広げ
3.3 押出し鍛造
 3.3.1 押出し加工の概要
 3.3.2 軸対称中実円柱の押出し
 3.3.3 軸対称中空円筒の押出し
 3.3.4 軸対称押出し力のノモグラム
 3.3.5 組合せ押出し
 3.3.6 異形材押出し
 3.3.7 側方押出し
3.4 型鍛造
 3.4.1 半密閉ばり出し鍛造
 3.4.2 密閉鍛造
 3.4.3 閉そく鍛造
 3.4.4 分流鍛造
3.5 板鍛造
引用・参考文献

4. 鍛造品の設計および品質
4.1 設計の考え方
 4.1.1 製品設計段階での注意
 4.1.2 各鍛造法(熱間鍛造,温間鍛造,冷間鍛造)の選択
 4.1.3 工程設計の考案
4.2 望ましい材質
 4.2.1 材料選定の考え方
 4.2.2 材料選択で考慮すべき事項
 4.2.3 材質選定事例
4.3 望ましい形状,寸法
 4.3.1 型寿命上望ましい形状
 4.3.2 鍛造欠陥の発生しにくい形状
 4.3.3 熱間鍛造上望ましい形状
 4.3.4 自動化に望ましい形状
4.4 寸法公差と表面状態
 4.4.1 鍛造加工の寸法公差
 4.4.2 鍛造品精度に影響を及ぼす要因
 4.4.3 鍛造品の表面状態
4.5 機械的性質
 4.5.1 熱間鍛造品
 4.5.2 冷間・温間鍛造品
 4.5.3 機械的性質を低下させる諸要因
 4.5.4 鍛流線の影響
4.6 受注の際の注意
 4.6.1 受注の流れ
 4.6.2 仕様打合せ
 4.6.3 試作およびユーザー評価
 4.6.4 量産およびフォロー
引用・参考文献

5. 素材材料の選択
5.1 材料選択の基準
 5.1.1 熱間および冷間・温間鍛造品とその材料
 5.1.2 冷間および温間鍛造用材料に要求される品質特性
5.2 鍛造に使用される材料の規格
 5.2.1 鍛造に用いられる鋼材の規格
 5.2.2 冷間鍛造用の鋼材の規格
 5.2.3 熱間鍛造用の鋼材の規格
 5.2.4 温間鍛造用の鋼材の規格
5.3 素材形態
5.4 鍛造性評価試験法
 5.4.1 冷間据込み性試験(日本塑性加工学会冷間鍛造分科会制定)
 5.4.2 多段前方押出し試験
 5.4.3 その他の変形能評価試験
 5.4.4 端面拘束圧縮による変形抵抗の測定方法
5.5 材料の鍛造性データ
 5.5.1 冷間鍛造用鋼の実加工速度における変形抵抗
 5.5.2 炭素鋼線材の変形抵抗と限界据込み率
 5.5.3 変形抵抗と引張強さの関係
 5.5.4 割れの発生と絞りの関係
 5.5.5 冷間鍛造性に影響を与える因子
 5.5.6 熱間・温間鍛造の加工特性
 5.5.7 非鉄材料の鍛造性
引用・参考文献

6. 鍛造工程の設計
6.1 工程の事例
 6.1.1 単動プレスを用いた鍛造の工程
 6.1.2 フォーマーまたはヘッダーを用いた鍛造の工程
 6.1.3 トランスファープレスを用いた鍛造の工程
 6.1.4 複動プレスを用いた鍛造の工程
 6.1.5 熱間鍛造プレスを用いた鍛造の工程
 6.1.6 ハンマーを用いた鍛造の工程
6.2 工程の立案
 6.2.1 鍛造図の設計における検討項目
 6.2.2 品質からの検討
 6.2.3 成形性からの検討
 6.2.4 後加工に対する検討
 6.2.5 型鍛造に対する検討
 6.2.6 公差からの検討
 6.2.7 熱処理・潤滑からの検討
6.3 工程設計の要点
 6.3.1 原始工程の作成
 6.3.2 予備成形の改良
 6.3.3 捨て軸
 6.3.4 背圧付加鍛造,張力付加鍛造
 6.3.5 素材の改質および2個取り
 6.3.6 半密閉型
 6.3.7 確認
6.4 予備成形形状
 6.4.1 素材の準備
 6.4.2 ビレットの据込み
 6.4.3 材質によるビレット形状の違い
 6.4.4 ドーナツブランク
6.5 しごき
 6.5.1 しごきの目的
 6.5.2 しごきによる効果
6.6 標準的な押出し品の形状,メタルフローの制御
 6.6.1 標準的な押出し品の形状
 6.6.2 メタルフローの制御
引用・参考文献

7. ビレットの準備
7.1 望ましいビレット
7.2 ビレットの切断・整形方法の選択
7.3 ビレット切断機
 7.3.1 のこ切断機
 7.3.2 ビレットシヤー
7.4 せん断技術
 7.4.1 せん断メカニズム
 7.4.2 せん断方法
7.5 整形方法
7.6 熱処理
引用・参考文献

8. 潤滑
8.1 鍛造用の潤滑剤
 8.1.1 鍛造における潤滑の基礎
 8.1.2 鍛造における温度域ごとの潤滑条件
8.2 熱間鍛造用の潤滑剤
 8.2.1 熱間鍛造用潤滑剤の変遷
 8.2.2 水溶性熱間鍛造用潤滑剤に必要とされる特性
 8.2.3 水溶性黒鉛系潤滑剤
 8.2.4 水溶性白色系潤滑剤
8.3 冷間鍛造用の潤滑剤
 8.3.1 厳しい冷間鍛造に必要とされる潤滑膜
 8.3.2 化成型潤滑被膜
 8.3.3 塗布型潤滑被膜
 8.3.4 塗布型潤滑被膜のバリエーションとさらなる進歩
引用・参考文献

9. 型の設計・製作・保守
9.1 型の役割と受ける負荷
 9.1.1 型の役割および管理など
 9.1.2 型が受ける負荷
9.2 型材料の選択
 9.2.1 冷間鍛造用型材料の選択
 9.2.2 温間・熱間鍛造用型材料の選択
9.3 型の設計
 9.3.1 型要素の設計
 9.3.2 据込み鍛造型の設計
 9.3.3 押出し鍛造型の設計
 9.3.4 ばり出し型鍛造型の設計
 9.3.5 閉そく・密閉鍛造型の設計
9.4 型の製作
 9.4.1 素材および素材取り
 9.4.2 一次加工
 9.4.3 熱処理
 9.4.4 仕上げ加工
 9.4.5 放電加工
 9.4.6 直彫り加工
 9.4.7 研磨加工
 9.4.8 ダイの組立
9.5 型の保守
9.6 表面処理の現状
引用・参考文献

10. 鍛造機械および周辺装置
10.1 鍛造機械の概要
10.2 機械プレス
 10.2.1 機構および構造
 10.2.2 仕様および選定
10.3 サーボモーター駆動プレス
 10.3.1 特徴
 10.3.2 機構および構造
10.4 油圧プレス
 10.4.1 機構および構造
 10.4.2 選定
10.5 スクリュープレス
 10.5.1 特徴
 10.5.2 機構および構造
10.6 ヘッダー,フォーマー
 10.6.1 特徴
 10.6.2 機構および構造
10.7 ハンマー
 10.7.1 特徴および種類
 10.7.2 能力とエネルギー
10.8 加熱装置
10.9 搬送装置
 10.9.1 搬送計画
 10.9.2 搬送機器および装置
10.10 加工ラインおよびその運転・制御の現状
 10.10.1 プレスラインおよびトータルシステム
 10.10.2 金型交換装置
引用・参考文献

11. 後工程,後処理および検査
11.1 機械加工
 11.1.1 鍛造品の機械加工
 11.1.2 鍛造加工前や中間の機械加工
11.2 熱処理
 11.2.1 鍛造品の熱処理
 11.2.2 表面硬化熱処理
11.3 表面処理
 11.3.1 スケールの除去
 11.3.2 ショットピーニング
11.4 検査および品質管理
 11.4.1 量産時の工程管理
 11.4.2 完成品の検査
引用・参考文献

12. 鍛造のコンピュータシミュレーション
12.1 鍛造シミュレーションの概要と歴史
 12.1.1 概要
 12.1.2 歴史
12.2 鍛造シミュレーションのモデル化技術(プリプロセッシング)
 12.2.1 シミュレーションモデル
 12.2.2 材料モデル
 12.2.3 形状モデル
 12.2.4 境界モデル
12.3 数値計算手法と評価(ソルバーとポストプロセッシング)
 12.3.1 計算の仕組み
 12.3.2 シミュレーション手順
 12.3.3 シミュレーション結果の評価
 12.3.4 ユーザー関数機能
12.4 周辺工程のシミュレーション
 12.4.1 熱処理シミュレーション
 12.4.2 切削シミュレーション
 12.4.3 接合・溶接シミュレーション
12.5 コリレーション
 12.5.1 モデリングとコリレーション
 12.5.2 実験によるコリレーション例
 12.5.3 実生産のコリレーション
12.6 鍛造シミュレーションの活用事例
 12.6.1 金型の疲労寿命評価
 12.6.2 金型の組付け評価
 12.6.3 素材の延性破壊評価
引用・参考文献

索引
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内容紹介

鍛造技術は,高精度な形の創成から高機能な製品を創出するネットプロパティの領域を目指している。進歩する閉そく鍛造,分流法,温間,板鍛造等の実用例を紹介し、周辺技術のCAE,サーボプレス,環境対応型潤滑剤なども記述。

まえがき

本書は新塑性加工技術シリーズ『鍛造-目指すは高機能ネットシェイプ-』と題して,先の塑性加工技術シリーズ『鍛造-目指すはネットシェイプ-』からさらに一歩先を睨むことにしたものである.もはや時代の要請は単なる高精度な形を創成する鍛造から脱皮し,高精度で高機能な製品を創出し,ネットプロパティの領域をも目指そうという執筆者一同の気持ちを副題に込めた.

『鍛造』では,生産に鍛造を選択し,順に設計して,製造し,検査するという一連の流れに沿って章立てされていた.これに対して本書では,はじめに鍛造の概要を説明したあとに,鍛造の力学に関する章を配置した.これは,昨今のコンピュータ支援技術(CAE)などを使う技術者が増えていることから,工程検討や型設計段階において多くの力学的な用語が登場するようになり,教科書としては早めに読者が用語に触れるほうが便利だと考えたからである.

つぎに,『鍛造』刊行から約20年の間に進歩した,閉そく鍛造,分流法,温間鍛造などについて実用例を追加しており,これらに関する説明を増やし,最近の板鍛造についても記述した.また,この間に非調質鋼や非鉄金属の使用も増加したので,『鍛造』より記述を増やした.

さらに目覚ましい進歩を遂げたといえるものは,鍛造を支えるつぎの周辺技術である1)CAE技術,2)サーボプレス,3)環境対応型の潤滑剤である.いまや,コンピュータ支援を前提にしたCAE技術なしで型設計や工程設計は考えられない.また従来の単一モーションのプレス機械は,コンピュータ制御と相性のよいサーボモーターで駆動され,複雑なモーションで動き,精度向上にも一役買っている.一方で,冷間鍛造におけるリン酸塩被膜のない潤滑剤の開発と実用化は画期的であり,熱間鍛造における非黒鉛化の動向も進んでいる.これらの現状に対しては,今回新しく8,10,12章を設け対応した.

このように,執筆者一同は先達が『鍛造』で築いた思いを継承し,さらにこれまでの進歩を加えて,それらを具体的に書き留めた.本書がこれから鍛造に取り組もうとする技術者にとっても道標となり,中堅の技術者にとっては,より合理的な解決案や,より高精度で高機能な鍛造品を生み出すために役立つことを願っている.

最後に,お忙しい中,鍛造分科会の方々はじめ鍛造に関わる多くの方々には,丁寧に本稿を執筆され仕上げていただいたことに感謝申し上げる.また,多くの貴重な図表データや最新の写真などをご提供いただいた企業にも深く感謝申し上げる.あわせて,このような機会をいただいた一般社団法人日本塑性加工学会,ならびに出版の労をお取りいただいた株式会社コロナ社に厚く御礼申し上げる.

2018年8月
「鍛造」専門部会長 北村 憲彦

関連連籍
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新塑性加工技術シリーズseries10

粉末成形
- 粉末加工による機能と形状のつくり込み -

  • 日本塑性加工学会 編 / 磯西和夫・上野友之・谷口幸典・三浦大基・鴇田正雄・南野友哉・近藤勝義・三浦秀士・清水 透・橋井光弥・沖本邦郎・武田義信・長瀬石根・鈴木裕之・高橋俊行・吉年規治・川崎 亮・川畑美絵・飴山 恵・金武直幸・松下富春・津守不二夫 共著
  • A5サイズ/280頁
  • 定価4,510円(本体4,100円+税)
  • ISBN 978-4-339-04380-8
  • 電子版あり

優れた材料特性、三次元複雑形状のニアネットシェイプなどのコスト優位性から注目される粉末成形について解説。

電子書籍あり
粉末成形 - 粉末加工による機能と形状のつくり込み -
  • 日本塑性加工学会 編 / 磯西和夫・上野友之・谷口幸典・三浦大基・鴇田正雄・南野友哉・近藤勝義・三浦秀士・清水 透・橋井光弥・沖本邦郎・武田義信・長瀬石根・鈴木裕之・高橋俊行・吉年規治・川崎 亮・川畑美絵・飴山 恵・金武直幸・松下富春・津守不二夫 共著
  • A5サイズ/280頁
  • 定価4,510円(本体4,100円+税)
  • ISBN 978-4-339-04380-8
目次
1. 粉末成形プロセスの概説
1.1 粉末成形の歴史
1.2 粉末成形の工程
 1.2.1 概要
 1.2.2 粉末
 1.2.3 混合
 1.2.4 成形
 1.2.5 焼結
 1.2.6 後処理
引用・参考文献

2. 各種成形法
2.1 金型成形
 2.1.1 金型の基本構成と代表的成形法
 2.1.2 粉末成形プレスとその成形法
 2.1.3 金型の構成と作動
 2.1.4 工具と粉末との摩擦
 2.1.5 成形中のせん断挙動
2.2 冷間等方圧成形(CIP)
 2.2.1 CIP成形法の種類
 2.2.2 CIP法の特徴
 2.2.3 CIPの用途
2.3 ホットプレス
 2.3.1 ホットプレス法
 2.3.2 圧力下における焼結のち密化とその特徴
 2.3.3 新しいホットプレス
2.4 熱間等方圧成形(HIP)
 2.4.1 HIPの概略
 2.4.2 HIP装置の構成
 2.4.3 HIP装置の発展
 2.4.4 HIPの用途
 2.4.5 今後の展望
2.5 粉末押出し
 2.5.1 粉末押出し加工
 2.5.2 コンフォーム
 2.5.3 押出し装置
 2.5.4 成形工程
 2.5.5 適用分野
 2.5.6 今後の展望
2.6 金属粉末射出成形(MIM)
 2.6.1 MIMの原理,工程
 2.6.2 MIMの特徴
2.7 粉末積層造形
 2.7.1 三次元積層造形技術の歴史
 2.7.2 金属の三次元積層造形
 2.7.3 金属積層造形法の適用分野
2.8 その他の成形法
 2.8.1 粉末鍛造
 2.8.2 粉末圧延
 2.8.3 溶射成形
 2.8.4 溶浸
 2.8.5 接合
引用・参考文献

3. 各種粉末の成形特性
3.1 鉄系粉末の成形特性
 3.1.1 鉄系粉末
 3.1.2 ステンレス鋼粉末
 3.1.3 高速度鋼粉末
 3.1.4 造粒粉
3.2 非鉄系金属粉末の成形特性
 3.2.1 アルミニウム粉末
 3.2.2 超合金粉末
 3.2.3 チタンおよびチタン合金粉末
 3.2.4 銅合金粉末
3.3 セラミックス粉末の成形特性
 3.3.1 セラミックスの粉末成形法の分類
 3.3.2 セラミックス粉末の成形前処理
 3.3.3 乾式成形法
 3.3.4 湿式成形法
 3.3.5 樹脂コンパウンド成形法
3.4 工具材料としての超硬合金,サーメットの成形特性
 3.4.1 切削工具
 3.4.2 超硬合金の強度
 3.4.3 超硬合金工具の製造工程
3.5 機能性材料粉末の成形特性
 3.5.1 金属ガラス
 3.5.2 磁性材料
 3.5.3 熱電変換材料
 3.5.4 MM粉末
 3.5.5 ポーラス材料
 3.5.6 傾斜機能材料
 3.5.7 生体材料
引用・参考文献

4. 粉体成形の力学
4.1 粉体成形の力学的取扱い
 4.1.1 基礎
 4.1.2 粉体の弾性変形
 4.1.3 異方性の発達を考慮した構成式
 4.1.4 力学的な解析
4.2 多孔質体の塑性変形の力学
 4.2.1 塑性変形について
 4.2.2 基礎となる構成式
 4.2.3 構成式の応用
4.3 個別要素法の適用
 4.3.1 個別要素法について
 4.3.2 個別要素法における粒子の取扱い方
 4.3.3 DEMの問題点とその対処
 4.3.4 DEMと連成解析
引用・参考文献

索引
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内容紹介

粉末成形は優れた材料特性,粉末積層造形やポーラス金属のような三次元複雑形状のニアネットシェイプなどのコスト優位性からも注目される。本書では新しいホットプレス,セラミックス粉末,硬質材料の成形と作製,機能性材料なども加えた。

まえがき

日本塑性加工学会編の塑性加工技術シリーズ第18巻として『粉末の成形と加工』が出版されたのは1994年のことであった.「粉末冶金」全般に関する書籍とは一線を画し,粉末の成形に関連する事項に焦点を絞り,実際の技術から成形理論までを詳しく解説した.それから約25年が経過し,粉末を原料とする素材や機械部品・製品の製造プロセスは大きく変化しつつある.そこで本書では『粉末の成形と加工』出版後の粉末成形技術の進歩を反映させるために,『粉末の成形と加工』の編集方針を踏まえつつ内容を再検討し,新たな解説を書き加え,また,従来の内容を最近の内容に置き換えて改編した.あわせて,書名をより簡潔な『粉末成形』に変更した.

粉末を原料とする製造プロセスは,原料粉の作製から粉末の混合,成形,焼結,後処理から成り立つ.この製品の完成までの製造プロセスを「粉末冶金法」という.『粉末の成形と加工』の「まえがき」に述べられているように,粉末の製造方法を選択することから始まる製造プロセスを制御することによって,溶製材では実現することができない多様な特性を有する材料が得られ,さまざまな分野で用いられている.

例えば,組織制御が容易であることに基づく特徴ある優れた材料特性,難加工材の成形,自由度の高い三次元複雑形状の付与,ニアネットシェイプあるいはネットシェイプ製品,材料特性と生産性向上がもたらす製造コスト的優位性等があげられる.

最近の動向として,粉末を原料とする製造プロセスは省エネ化や製造の高効率化,次世代を担う新しい素材の創成への寄与が期待されている.特に粉末積層造形やポーラス金属のように,三次元複雑形状や構造を有する材料の製造プロセスとして注目されている.これらの実現のためにはシミュレーション技術の発展も欠かすことができない.

そこで本書は,粉末の成形に焦点を絞る『粉末の成形と加工』の方針を受け継ぎ,つぎのような構成とした.1章では,粉末を用いた素材作製の歴史と粉末成形プロセスから焼結工程までを概説した.2章では,各種粉末成形法の原理と方法,実際の成形挙動から成形の特徴について解説し,新しいホットプレスおよび粉末積層造形について新たな節を加えた.3章では,種々な粉末の成形について,内容を改めて解説した.セラミックス粉末,硬質材料の成形と作製,さらに近年注目を浴びている機能性材料を解説する節を新たに書き下ろした.4章は,個別要素法についての節を加えつつ,本書の特徴である粉末成形の力学を詳細に解説した.

本書は,『粉末の成形と加工』の執筆に携わった方々のご苦労の上に成り立っていることを最初に申し上げなければならない.その上で,『粉末成形』の専門部会を,一般社団法人日本塑性加工学会の「粉体加工成形分科会」の運営委員会が務めた.粉末成形は幅広い分野から成り立っている.執筆に際しては,それぞれの分野に携われている多数の専門家の方々に快くご協力いただいた.厚くお礼申し上げる.

最後に,一般社団法人日本塑性加工学会,新塑性加工技術シリーズ出版部会,および本書の発刊にご尽力いただいた株式会社コロナ社に,出版までにさまざまな助言をいただいたことに深く感謝申し上げる.

2018年10月
「粉末成形」専門部会長 磯西 和夫

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新塑性加工技術シリーズseries11

矯正加工
- 板・棒・線・形・管材矯正の基礎と応用 -

  • 日本塑性加工学会 編 / 前田恭志・木村幸雄・比護剛志・吉田総仁・浅川基男・黒田浩一・青山 亨・平位幸治・丸山恭彦 共著
  • A5サイズ/256頁
  • 定価4,400円(本体4,000円+税)
  • ISBN 978-4-339-04381-5
  • 電子版あり

矯正加工技術を体系的にまとめ,加工困難な高強度材への要求に対するFEM解析等高精度な制御方法について最新の動向も記述。

電子書籍あり
矯正加工 - 板・棒・線・形・管材矯正の基礎と応用 -
  • 日本塑性加工学会 編 / 前田恭志・木村幸雄・比護剛志・吉田総仁・浅川基男・黒田浩一・青山 亨・平位幸治・丸山恭彦 共著
  • A5サイズ/256頁
  • 定価4,400円(本体4,000円+税)
  • ISBN 978-4-339-04381-5
目次
1. 序論
1.1 矯正の必要性と効果
 1.1.1 矯正の意味
 1.1.2 曲がり凹凸の発生メカニズム
 1.1.3 形状への要求
 1.1.4 矯正の状況(要求への対応)
 1.1.5 矯正の効果
1.2 形状のひずみの表し方
 1.2.1 JIS規格における表現
 1.2.2 解析のための表現
1.3 矯正の方法
 1.3.1 矯正工程
 1.3.2 矯正方法
1.4 矯正理論のための基礎方程式
 1.4.1 弾塑性構成式
 1.4.2 有限要素法による解析
引用・参考文献

2. プレス矯正
2.1 プレス矯正とその使用
 2.1.1 プレス矯正の概要
 2.1.2 作業状況
2.2 曲げ戻しの解析
 2.2.1 曲げ戻し後の弾性回復量
 2.2.2 矯正後の残留応力
引用・参考文献

3. 引張矯正
3.1 ストレッチャーを用いた引張矯正
 3.1.1 ストレッチャーの概要
 3.1.2 引張矯正法の特徴
3.2 引張矯正の解析
 3.2.1 矯正の原理
 3.2.2 矯正後の残留応力
引用・参考文献

4. ローラーレベラー
4.1 ローラーレベラーによる矯正の概要
 4.1.1 ローラーレベラーの形式
 4.1.2 ロール噛込み量とロール押込み量
 4.1.3 被矯正材の変形の特徴
4.2 ローラーレベラーによる被矯正材の変形の基礎
 4.2.1 1回の曲げによる変形
 4.2.2 繰返し曲げによる変形
 4.2.3 ローラーレベラーによる反り矯正メカニズム
 4.2.4 残留応力の板厚方向分布
 4.2.5 ローラーレベラーの役割
4.3 ローラーレベラーによる被矯正材の変形の解析
 4.3.1 ロール噛込み量と被矯正材に付与される曲率の実用算式
 4.3.2 初等解析
 4.3.3 有限要素解析
4.4 ローラーレベラー矯正における負荷
 4.4.1 矯正荷重
 4.4.2 矯正動力
 4.4.3 矯正トルク
4.5 ローラーレベラーの矯正特性
 4.5.1 長手方向反り矯正特性
 4.5.2 伸び差率の矯正特性
 4.5.3 形材の横断面形状変化
 4.5.4 先尾端の非定常変形
4.6 ローラーレベラーによる矯正における注意点
 4.6.1 ロール噛込み量の幅方向均一性
 4.6.2 ローラーレベラーの剛性
 4.6.3 被矯正材のバウシンガー効果
 4.6.4 被矯正材の温度分布
 4.6.5 平坦度矯正効果の評価
引用・参考文献

5. テンションレベラー
5.1 テンションレベラーの概要
5.2 矯正原理―張力下の曲げ変形
 5.2.1 伸びの発生機構
 5.2.2 実験的検証
5.3 変形過程の解析
 5.3.1 矯正中の板の曲率
 5.3.2 張力の変化―曾田の力学的考察
 5.3.3 伸びの解析的算出法
 5.3.4 解析的に見た矯正過程
 5.3.5 張力下の板の変形状態の近似計算法
 5.3.6 幅反りの発生とその防止
 5.3.7 テンションレベラーの有限要素解析
5.4 矯正効果
 5.4.1 平坦度改善の効果
 5.4.2 板幅の縮み
 5.4.3 デスケール効果
 5.4.4 板断面のプロフィルの変化
引用・参考文献

6. 棒線・管の矯正
6.1 棒線の矯正
 6.1.1 矯正の種類
 6.1.2 矯正の力学
 6.1.3 棒線矯正に必要な材料の特性
 6.1.4 2ロール矯正
 6.1.5 ローラーレベラー矯正
 6.1.6 温間引張矯正
 6.1.7 細線の回転ブレード矯正
 6.1.8 棒線矯正の要点
6.2 管の矯正
 6.2.1 管矯正機の概要
 6.2.2 矯正時の変形状況―回転送り曲げ
 6.2.3 管材矯正の解析
 6.2.4 矯正におけるひずみと応力
 6.2.5 矯正条件決定の考え方
 6.2.6 管の矯正における寸法変化
引用・参考文献

7. テンションアニーリング
7.1 矯正方法とその原理
 7.1.1 矯正作業の概要
 7.1.2 矯正の原理
7.2 処理条件と矯正効果
 7.2.1 処理条件の影響
 7.2.2 矯正効果
引用・参考文献

8. 矯正と材料特性
8.1 スリッターひずみの除去
8.2 板の成形性
 8.2.1 ストレッチャーストレインの防止
 8.2.2 成形性への影響
8.3 高炭素鋼線の特性変化
 8.3.1 ばね用鋼線
 8.3.2 温間矯正の効果
8.4 機械的性質の変化
8.5 残留応力の変化
 8.5.1 残留応力の測定法
 8.5.2 板材の残留応力
 8.5.3 鋼管の残留応力
引用・参考文献

9. 矯正設備と作業
9.1 引張矯正
 9.1.1 ストレッチャーレベラー
 9.1.2 トーションストレッチャー
9.2 厚板の矯正
 9.2.1 厚板用矯正設備
 9.2.2 厚板の矯正作業
9.3 薄板の矯正
 9.3.1 薄板用矯正設備
 9.3.2 薄板の矯正作業
 9.3.3 近年の高強度材への対応
9.4 形材の矯正
 9.4.1 ローラー矯正機の概要
 9.4.2 ローラー矯正機の主要諸元
 9.4.3 形材の矯正作業
9.5 丸棒と管材の矯正
引用・参考文献

付録
索引
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内容紹介

本書は,近年における形状に対する要求の厳格化や外見上現れない内部残留応力低減への要求,矯正が困難な高強度材への要求の高まりに際し,FEM解析等高精度な制御方法について最新の動向を可能な限り記述した。

まえがき

本書は,塑性加工技術シリーズ15『矯正加工』(1992年1月20日初版第1刷発行)の新シリーズ版として発行されることとなった.前版の出版から25年以上の歳月が経ち,矯正加工の基礎から応用までの幅広い視点での改訂を目指した.

矯正加工は,変形量が小さく,弾性と塑性の境界近くの現象が問題となる.形状を修正するという意味では,微小な塑性変形を正確に加える必要があり,ほかの塑性加工とはやや趣を異にした問題となる.また,変形中の材料と工具の接触が限定的で,矯正加工中の材料はほとんど自由面での変形により塑性変形が進行するとの特徴がある.これらの変形の特性に関しても,各章で解説を行う.

矯正加工の目的は,平坦度,反り,曲がりなどの寸法精度を修正することにある.これらの形状は製品加工時の重要な特性であり,プレス成形時の成形精度,機械加工の寸法精度,二次加工の自動化ラインでのトラブル防止,溶接時の隙間管理など種々二次加工に影響を与える.このため,素材の一次製造メーカーの最終工程をはじめ,二次加工の前後工程としても広く矯正が行われている.

塑性加工における変形量が小さいため,ほかの圧延,鍛造と比較すると成形荷重が小さい.また,このため,矯正装置は比較的小型で,なおかつ精密な制御を行わなくても,寸法精度を満足するような構造が採用されていた.また,矯正後は平坦度,反り,曲がりは修正されるため,当時のオンラインセンサーでの計測精度では測定が困難であり,目視検査や抜き取り検査での評価に頼っていた.したがって,操業はオペレータによる手動設定やあらかじめ登録された矯正条件を自動設定し,矯正後の寸法を目視や採寸により矯正条件の修正を行うような操業が行われていた.理論的には,弾塑性変形による初等解法を用いて,その変形挙動や平坦度,反り,曲がりの矯正メカニズムが解説,予測されるようになっていた.本書でも,これらの矯正メカニズムや矯正装置に関して,旧版を踏襲して解説を行う.

上述のように,矯正加工は本来,ある程度の精度で矯正装置の設定を行うと,平坦度,反り,曲がり,機械的特性などが所定のスペックに収まるような加工であった.しかしながら,近年では形状に対する要求の厳格化,矯正が困難な高強度材の増加,外観上現れない内部残留応力低減への要求など,矯正加工への要求は高まっている.旧版以降,これらの要求に対して,初等解析からFEMを用いた解析が進むようになり,矯正中の変形挙動がより詳細に理解されるようになった.また,矯正装置においても,高精度なセッティングを行うために矯正装置の弾性変形を考慮したような自動制御が採用されるようになってきた.これらの最新の動向に関しても,本書ではなるべく解説する方針で改訂を行った.

矯正加工は,圧延や熱処理の後工程,プレス成形,鍛造,溶接などの前工程として,一次加工と二次加工の中間的な工程であり,変形量も小さく華やかな工程ではないが,一次加工の最終寸法や形状を決定する重要な工程であり,かつ二次加工の最終製品寸法や形状を決定する工程となる非常に重要なプロセスである.しかしながら,矯正加工の研究者が少なくなる中,できる限り最新の取組みを含んだ形で,矯正加工の全体感を把握できるように考慮した.本書を参考に,矯正加工に関する技術者には,未解決な問題への果敢な取組みを期待するとともに,高品位な製品の安定生産に寄与できることを期待する.

2018年8月
「矯正加工」専門部会長 前田 恭志

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新塑性加工技術シリーズseries12

回転成形
- 転造とスピニングの基礎と応用 -

  • 日本塑性加工学会 編 / 川井謙一・団野 敦 共著
  • A5サイズ/274頁
  • 定価4,730円(本体4,300円+税)
  • ISBN 978-4-339-04382-2
  • 電子版あり

近年,高強度材や難加工材の成形など,より効率的生産手段への展開が期待される回転成形について詳説した

電子書籍あり
回転成形 - 転造とスピニングの基礎と応用 -
  • 日本塑性加工学会 編 / 川井謙一・団野 敦 共著
  • A5サイズ/274頁
  • 定価4,730円(本体4,300円+税)
  • ISBN 978-4-339-04382-2
目次
1. 総論
1.1 回転成形の発展
1.2 回転成形の原理と分類
 1.2.1 回転成形の加工原理
 1.2.2 回転成形の分類
1.3 回転成形の特性と特徴
 1.3.1 転造の変形の特徴
 1.3.2 スピニングの変形の特徴
1.4 回転成形の利点
引用・参考文献

2. ねじ転造
2.1 概説
2.2 加工機械
 2.2.1 転造方式の分類
 2.2.2 ねじ転造盤と転造装置
 2.2.3 ねじ転造ダイス
 2.2.4 薄肉部品の転造
 2.2.5 めねじの塑性加工
 2.2.6 ねじ転造における潤滑
2.3 加工力
 2.3.1 くさび形工具の押込み力
 2.3.2 ねじ転造力(半径力)
2.4 転造ねじの強度
 2.4.1 おねじの製造方法
 2.4.2 おねじの疲労強度
引用・参考文献

3. 歯車・スプライン転造
3.1 概説
 3.1.1 加工の概略
 3.1.2 歯車転造の方式
 3.1.3 歯形部品製造工程での役割
3.2 加工の基本的考え方
 3.2.1 歯の盛上がりと材料流れ
 3.2.2 幾何学的条件
 3.2.3 歯に作用する荷重
3.3 ラックダイス方式
 3.3.1 転造装置
 3.3.2 ラックダイス
 3.3.3 転造成形品
3.4 ローラーダイス方式
 3.4.1 転造装置
 3.4.2 スプラインおよび歯車の冷間転造
 3.4.3 歯車の熱間転造
 3.4.4 歯車の仕上げ転造
3.5 その他の歯車転造方式
 3.5.1 WPM法
 3.5.2 Grob法
 3.5.3 リングローリング方式
 3.5.4 かさ歯車の熱間転造
引用・参考文献

4. クロスローリング
4.1 加工方法
4.2 クロスローリングの基本的特性
4.3 クロスローリングのダイス形状
 4.3.1 成形角a,進行角bの選定
 4.3.2 成形角aより大きい傾斜面を成形する切上げ法
 4.3.3 くびれを防止する方法12段成形法
 4.3.4 くびれを防止する方法2転圧法
 4.3.5 端面の変形に対する設計手法
 4.3.6 盛上げ成形
4.4 クロスローリングマシン
4.5 クロスローリングの用途とその適用例
 4.5.1 自動車用ギヤ素形材への応用例
 4.5.2 熱間型鍛造用荒地加工への応用例
引用・参考文献

5. リングローリング
5.1 概説
5.2 リングローリングの加工プロセス
 5.2.1 リングローリングの加工方式
 5.2.2 リングの製造工程
 5.2.3 リングローリングにおける加工条件の選定と加工上の課題
5.3 リングローリングの解析
 5.3.1 解析的手法による解析
 5.3.2 有限要素法による解析
5.4 リングローリングのフレキシブル化
引用・参考文献

6. スピニング
6.1 概説
 6.1.1 スピニングの基本加工法
 6.1.2 スピニングの経済性
 6.1.3 スピニングにおける加工性
 6.1.4 スピニングにおける潤滑剤
 6.1.5 スピニング製品の精度
 6.1.6 スピニングの適用分野
6.2 絞りスピニング
 6.2.1 絞りスピニングにおける加工手順
 6.2.2 固定加工条件と流動加工条件(1)の選定
 6.2.3 流動加工条件(2)の選定
 6.2.4 円筒形以外の絞りスピニング
6.3 しごきスピニング
 6.3.1 固定加工条件の選定
 6.3.2 流動加工条件(1)の選定
 6.3.3 流動加工条件(2)の選定
 6.3.4 しごきスピニングにおける加工性
 6.3.5 製品の強度
6.4 回転しごき加工
 6.4.1 加工原理と変形機構
 6.4.2 加工力
 6.4.3 加工条件と加工性
6.5 その他のスピニング
 6.5.1 鏡板の加工(フランジング)
 6.5.2 管端閉じ加工(クロージング)
 6.5.3 ネッキング
 6.5.4 バルジングとフレアリング
 6.5.5 縁加工
 6.5.6 数値制御スピニング
 6.5.7 スピニングのインテリジェント化とフレキシブル化
 6.5.8 非軸対称製品のスピニング
引用・参考文献

7. その他の回転成形
7.1 回転鍛造
 7.1.1 加工方法
 7.1.2 回転鍛造の応用
7.2 ロータリースエージングおよびラジアル鍛造
 7.2.1 加工方法の概略
 7.2.2 応用例
7.3 傾斜軸転造
 7.3.1 加工方法の概略
 7.3.2 球の転造
 7.3.3 その他の傾斜軸転造
7.4 冷間プロフィル転造
 7.4.1 プーリ転造
 7.4.2 プロフィルリングの転造
 7.4.3 テーパチューブの転造成形
 7.4.4 バニシ転造
7.5 ディスクローリング
 7.5.1 加工法と歴史
 7.5.2 車輪圧延機(ホイールミル)
 7.5.3 ディスクリング成形機
 7.5.4 ディスクローリングの適用の拡大
引用・参考文献

索引
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内容紹介

転造やスピニングなどの回転成形は、簡単形状な工具を用い小荷重容量機械で成形でき、多品種少量生産に適する。本書では,近年,高強度材や難加工材の成形など、より効率的生産手段への展開が期待される回転成形について詳説した。

まえがき

日本塑性加工学会編 塑性加工技術シリーズ『回転加工―転造とスピニング―』が刊行されたのは1990年12月であるから,四半世紀以上が経過したことになる.この間,回転しているブランク(被加工材)に工具を押付け,工具との局部的な接触による塑性変形の繰返しによって徐々に全体の製品形状を創成していく,典型的なインクリメンタルフォーミングとしての回転成形(rotary forming)の適用範囲は着実に広がりつつある.

『回転成形―転造とスピニングの基礎と応用―』で取り上げる回転成形の各加工技術の基礎と各加工法における変形機構などは,基本的には『回転加工』の刊行時と変化はないが,この四半世紀の間に数値制御技術などを含む周辺技術の発展に伴って各加工技術も大きく進歩してきている.

『回転加工』から『回転成形』へ改編するに当り,まず,本加工技術が機械加工ではなく塑性加工(metal forming)技術であることを明示するために,書名を『回転成形』へと変更した.ついで,全体の構成についても見直しを行い,『回転加工』は全9章で構成されていたが,他の章に比較してページ数が少ない「回転鍛造」と「ディスクローリング」を『回転成形』では7章「その他の回転成形」に移して,全7章で構成するように章の数を減らした.

7章「その他の回転成形」には「回転鍛造」,「ロータリースエージングおよびラジアル鍛造」,「傾斜軸転造」,「冷間プロフィル転造」および「ディスクローリング」など各種の回転成形技術が含まれており,『回転成形』に含まれている各加工技術は「ドリルの転造」を除いたこと以外,基本的には『回転加工』と同一である.

また,2章「ねじ転造」,3章「歯車・スプライン転造」,4章「クロスローリング」,5章「リングローリング」,6章「スピニング」および7章「その他の回転成形」の各章においては,『回転加工』をベースとして加工技術のディジタル化,フレキシブル化,インテリジェント化や複合化など,最新の応用例や動向を追加して節や項の構成を変更しており,また重要な基本的事項を説明する必要性から構成も含めて全面的に書き改めた章もある.

7章「その他の回転成形」で記述されている各加工技術も含めて,『回転成形』の各章で取り上げている回転成形の各加工技術を単独加工として利用するだけでなく,これらをベースにした新しい加工技術や加工法の開発,また他の加工法との複合化などによる,より効果的な生産手段への展開を期待したい.

回転成形全般に関する特徴や利点は1章「総論」にまとめられているが,近年の技術的動向に基づいた長所を強調するとすれば
( 1 )通常の鍛造やプレス加工に比較して小荷重容量の機械で成形ができ,また簡単形状で安価な工具を用いて,多様な製品をフレキシブルに成形できるので,多品種少量(high-mix, low-volume)生産に適している,
( 2 )工具の運動のディジタル制御が可能であり,これからのディジタル生産システムに適している,
( 3 )加工荷重が小さく,潤滑が容易なため,高強度材や難加工材の成形にも適用できる
ことなどがあり,回転成形はこれからも重要な成形技術の一つである.ただし,高品質な製品を回転成形で製造するためには,適正な成形加工条件(工具運動)の選定,材料変形や材料流れの適切な制御が不可欠で,そのためには各加工技術に特有の知識が必要なため,回転成形の特性をよく理解する必要があり,本書がそのための一助となれば幸いである.

『回転成形』を取りまとめるに当り,前述のように『回転加工』の図表や記述をそのまま使用させていただいた箇所も多くあり,『回転加工』の著者に深く謝意を表する.また,出版を企画された一般社団法人日本塑性加工学会,ならびに出版の労をお取りいただいた株式会社コロナ社に謝意を表する.

2019年3月
「回転成形」専門部会 川井 謙一,団野 敦

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新塑性加工技術シリーズseries13

チューブフォーミング
- 軽量化と高機能化の管材二次加工 -

  • 日本塑性加工学会 編 / 栗山幸久・水越秀雄・内海能亜・加藤和明・奥出裕亮・長谷川収・水村正昭・淵澤定克・福村卓巳・白寄 篤・久保木孝・陣内雄士・北澤君義・寺前俊哉・山内浩行・山藤博文・村上碩哉・吉原正一郎・古島 剛 共著
  • A5サイズ/336頁
  • 定価5,720円(本体5,200円+税)
  • ISBN 978-4-339-04383-9
  • 電子版あり

近年複雑化,軽量化,高強度化が求められている管材の二次加工技術を普遍的な技術をふまえて体系化した。

電子書籍あり
チューブフォーミング - 軽量化と高機能化の管材二次加工 -
  • 日本塑性加工学会 編 / 栗山幸久・水越秀雄・内海能亜・加藤和明・奥出裕亮・長谷川収・水村正昭・淵澤定克・福村卓巳・白寄 篤・久保木孝・陣内雄士・北澤君義・寺前俊哉・山内浩行・山藤博文・村上碩哉・吉原正一郎・古島 剛 共著
  • A5サイズ/336頁
  • 定価5,720円(本体5,200円+税)
  • ISBN 978-4-339-04383-9
目次
1. 総論
1.1 概論
1.2 加工法の分類
1.3 管材を用いた製品設計とチューブフォーミング工程設計
 1.3.1 管材の製品事例
 1.3.2 管材の製品設計
 1.3.3 チューブフォーミングの工程設計
引用・参考文献

2. チューブフォーミング用材料
2.1 概論
2.2 各種管材
 2.2.1 鋼管
 2.2.2 アルミ管
 2.2.3 その他の管材
2.3 成形性試験
 2.3.1 材料特性試験
 2.3.2 材料成形限界試験
 2.3.3 加工性試験
2.4 材料特性と二次成形性
 2.4.1 n値―加工硬化特性―
 2.4.2 r値―異方性―
引用・参考文献

3. 曲げ加工
3.1 基礎
 3.1.1 概論
 3.1.2 理論
3.2 加工法
 3.2.1 円管の曲げ
 3.2.2 形材の曲げ
3.3 加工力
 3.3.1 剛完全塑性材料
 3.3.2 加工硬化する材料(へん平化無視)
 3.3.3 加工硬化する材料(へん平化考慮)
 3.3.4 回転引曲げにおける曲げモーメントの実験式
3.4 加工不良現象
 3.4.1 横断面の変形
 3.4.2 加工不良の具体例
 3.4.3 スプリングバック(形状凍結性)
3.5 曲げ型とマンドレル・治工具類
 3.5.1 曲げ型とダイレス加工
 3.5.2 マンドレル・治工具類
3.6 加工限界
 3.6.1 断面変形
 3.6.2 破断
 3.6.3 屈服
 3.6.4 しわ
3.7 加工事例とその他
引用・参考文献

4. ハイドロフォーミング
4.1 基礎
 4.1.1 概論
 4.1.2 理論
4.2 加工法
 4.2.1 変形拘束による分類
 4.2.2 負荷条件による分類
 4.2.3 加工温度による分類
 4.2.4 圧力媒体による分類
4.3 加工条件
 4.3.1 拡管率
 4.3.2 変形挙動と加工不良
 4.3.3 加工負荷経路の影響
 4.3.4 材料特性および金型潤滑の影響
 4.3.5 特殊な管材の加工
4.4 プリフォーミングとポストフォーミング
 4.4.1 プリフォーミング
 4.4.2 ポストフォーミング
4.5 型設計
 4.5.1 上下金型
 4.5.2 軸押しパンチ
4.6 加工機械
 4.6.1 加工システム
 4.6.2 装置構成
4.7 加工事例
 4.7.1 自動車部品
 4.7.2 その他の部品
引用・参考文献

5. 管端加工
5.1 基礎
 5.1.1 大分類と概論
 5.1.2 口絞り加工の理論
 5.1.3 口広げ加工の理論
 5.1.4 カーリング・反転加工の理論
5.2 加工法
 5.2.1 プレスによる口絞り加工
 5.2.2 プレスによる口広げ加工
 5.2.3 プレスによる口絞り・口広げ加工製品事例
 5.2.4 プレスによるカーリング・反転加工
 5.2.5 アルミ飲料ボトル缶の製缶(管端)加工
5.3 加工力
 5.3.1 口絞り加工の加工力
 5.3.2 口絞り加工の加工力に及ぼす諸因子の影響
 5.3.3 口絞りの加工力の推定
 5.3.4 口広げの加工力
 5.3.5 カーリング・反転加工の加工力
5.4 加工限界
 5.4.1 口絞り加工の加工限界と不良変形
 5.4.2 口絞り加工の加工限界に及ぼす諸因子の影響
 5.4.3 口広げ加工の加工限界と不良変形
 5.4.4 カーリング・反転加工の加工限界と不良変形
 5.4.5 加工限界の向上法
5.5 加工精度
 5.5.1 口絞り加工の精度
 5.5.2 口広げ加工の精度
 5.5.3 カーリング・反転加工の精度
5.6 工程設計・型設計
 5.6.1 プレスによる口絞り加工用パンチ・ダイ設計
 5.6.2 プレスによる口広げ加工用パンチ・ダイの型設計
 5.6.3 型材料・コーティング
引用・参考文献

6. スピニング,スエージング,回転成形
6.1 インクリメンタルフォーミングとしてのスピニング,スエージング,回転成形
6.2 スピニング
 6.2.1 回転しごき加工
 6.2.2 絞りスピニング
 6.2.3 偏心・傾斜スピニング
 6.2.4 同期スピニング
6.3 ロータリースエージング
 6.3.1 スピンドル回転方式
 6.3.2 スピンドル静止方式
 6.3.3 ダイクロージング方式
 6.3.4 ハウジング回転・スピンドル低速回転方式
 6.3.5 マンドレルスエージング
 6.3.6 ダイ穴のクリアランス
6.4 回転成形
 6.4.1 回転広げ成形
 6.4.2 回転口絞り成形
 6.4.3 回転ビード成形
 6.4.4 揺動回転成形
 6.4.5 傾斜フランジ成形
6.5 角管端末のインクリメンタルフランジ成形
引用・参考文献

7. 切断,輪郭・穴あけ,バーリング
7.1 概論
7.2 管の切断加工法
 7.2.1 ロール押込み切断法
 7.2.2 突切り切断法
 7.2.3 心金を用いた切断法
 7.2.4 切断加工事例
7.3 管端の輪郭加工と穴あけ加工
 7.3.1 輪郭加工
 7.3.2 穴あけ加工
 7.3.3 輪郭・穴あけ加工事例
7.4 バーリング加工
 7.4.1 液圧バルジ方式
 7.4.2 剛体引抜き方式
 7.4.3 クロスピン方式
 7.4.4 逐次バーリング方式
 7.4.5 バーリングの加工事例
引用・参考文献

8. 接合
8.1 概要
8.2 おもに配管で使われる塑性接合
 8.2.1 ローラー拡管法
 8.2.2 液圧拡管法
 8.2.3 ローラー拡管法と液圧拡管法による加工事例
 8.2.4 メカニカル形管継手
8.3 おもに構造物の組立てで使われる塑性接合
 8.3.1 薄肉材の結合
 8.3.2 塑性流動結合法
8.4 その他の接合法
引用・参考文献

9. 特徴的な加工事例
9.1 その他の加工
 9.1.1 管鍛造
 9.1.2 つぶし加工
 9.1.3 異形加工
 9.1.4 バテッド管
 9.1.5 レーザーによる管材肉厚増肉法
 9.1.6 スパイラル溝付き管・テーパー管
9.2 マイクロチューブフォーミング
 9.2.1 マイクロチューブの用途,マイクロスケールとの違い
 9.2.2 一次加工
 9.2.3 二次加工
9.3 工程設計事例
 9.3.1 ねじりばね自動車サスペンション部品
 9.3.2 真空バルブボディ
 9.3.3 フロントロアーアーム
 9.3.4 工程設計のグラフ記述による技術伝承
引用・参考文献

索引
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内容紹介

管材の事務機器や自動車等構造部材としての利用の増加に伴い,複雑成形を可能にするチューブハイドロフォーミングを含め,近年複雑化,軽量化,高強度化が求められている管材の二次加工技術を普遍的な技術をふまえて体系化した。

まえがき

チューブフォーミングはその名の通り管の成形加工であるが,ロール成形,ピアシング・圧延,板曲げなどの一次加工により成形された管を加工する「管に関する二次加工技術の総体」であり,切断,曲げ,拡管・縮管,口広げ・口絞り,穴あけ,接合といった複数の加工技術からなる.新塑性加工技術シリーズ『チューブフォーミング』は,この管の二次加工技術を体系化して記した書籍であり,旧版(1992年発刊)をほぼ25年ぶりに改訂したものである.

旧版の発刊より25年遡った時点から旧版発刊までを見ると,日本は高度経済成長期にあり,種々の工業的な技術が進歩した時期であり,加工に耐える材料の開発がなされ,それと相まって加工技術も進歩した時期である.旧版から現在までを見ると,1995年には生産年齢人口が減少に転じ,経済成長が大きいとされる人口ボーナス期(生産年齢人口が従属年齢人口の2倍以上)も終わり,成熟期に入っている.

この25年間を概括すると,チューブフォーミングの適用が配管主体から構造材へと拓けたことが大きな変化である.これは省エネルギー・省資源の観点から軽量化が重要な課題となり,中空なため軽量で剛性・強度を確保できる管がこの課題の解決に適していることによる.直管では構造を形成できないので管の加工が必要であり,チューブフォーミング技術が進化した.材料に関しては,銅管は大きな変化はないがチタン管の適用が拡大し,成形性のよい鋼管・アルミ管が開発され,その後,高強度化が進展した.加工技術は,計算機による複雑で正確な加工プロセス制御や,高精度なコンピュータシミュレーションによる加工条件や加工メカニズムの検討など,計算機の進歩に支えられて発展してきた.チューブフォーミングの分野では,液圧成形がより複雑な一体成形が可能なチューブハイドロフォーミングへと進化したのが大きな発展の好例である.

本書は,このような技術の進展を取り入れるとともに,つぎの25年でも古びないよう普遍的な記述を心掛けた.また,章構成を簡素化し,技術をより体系化して記述することに努めた.新塑性加工技術シリーズでは『曲げ加工』がなくなるため形材の曲げも含めた.さらに今回の改訂では,技術伝承を重要な課題と考え,熟練技術者の加工技術に関する知識を抽出し,アーカイブすることを行った.そのための手法を開発し,元チューブフォーミング社の中村正信氏,株式会社太洋の岡田正雄氏から貴重な知識を開示いただき,本書に残すことができた.両氏のご協力に深謝いたします.

これから益々インターネット上への情報の蓄積が進み,また,それらへのアクセスも容易になると考えられるが,個々の項目の断片的な知識でなく,体系化された情報としての教科書は一定の価値をもつものと考える.今後,さらに人口減少が進み技術伝承が課題となっていく中で,本書が次世代の技術者の参考になれば幸甚である.

本書は,塑性加工学会チューブフォーミング分科会のメンバーを中心に執筆したものであり,執筆者各位に感謝する.とりわけ執筆や担当章の取りまとめだけでなく,本書の全体の構成や記述について討議を重ね形にした,宇都宮大学 白寄篤先生,埼玉大学 内海能亜先生,新日鐵住金株式会社 水村正昭氏に感謝する.私は新日鐵で板・管の一次加工・二次加工の研究開発に携わっていたものの,大学に移ってからは塑性加工以外の研究をおもにしていたため,本書が完成し中継ぎの任をまっとうできたのは,これらの方々によるものである.最後に,全体を通して貴重なアドバイスをいただいた浅川基男先生,遠藤順一先生に感謝する.

2019年3月
「チューブフォーミング」専門部会長 栗山 幸久

関連連籍
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新塑性加工技術シリーズseries14

板材のプレス成形
- 曲げ・絞りの基礎と応用 -

  • 日本塑性加工学会 編 / 西村 尚・桑原利彦・吉田 亨・浅野峰生・逸見義男・千野靖正・小山秀夫・下間隆志・高橋 進・蔦森秀夫・吉田総仁・上森 武・森謙一郎・北澤君義・網野雅章 共著
  • A5サイズ/434頁
  • 定価7,480円(本体6,800円+税)
  • ISBN 978-4-339-04384-6
  • 電子版あり

プレス加工における絞り加工と曲げ加工について基本から加工技術全般にわたって解説した。

電子書籍あり
板材のプレス成形 - 曲げ・絞りの基礎と応用 -
  • 日本塑性加工学会 編 / 西村 尚・桑原利彦・吉田 亨・浅野峰生・逸見義男・千野靖正・小山秀夫・下間隆志・高橋 進・蔦森秀夫・吉田総仁・上森 武・森謙一郎・北澤君義・網野雅章 共著
  • A5サイズ/434頁
  • 定価7,480円(本体6,800円+税)
  • ISBN 978-4-339-04384-6
目次
1.曲げ・絞り加工の歴史と役割
1.1 板材成形の分類
1.2 プレス加工における曲げ加工の役割
1.3 プレス加工における絞りの役割
1.4 最近20年間の新技術
 1.4.1 サーボプレスの開発
 1.4.2 ワンストローク加工
 1.4.3 対向液圧プレスによる超深絞りパネルの生産
 1.4.4 板金機械の進歩
 1.4.5 マイクロ曲げ加工技術
引用・参考文献

2.板材成形の基礎
2.1 プレス成形の分類
2.2 薄板の材料試験方法および成形性評価試験方法
 2.2.1 薄板の材料試験方法
 2.2.2 薄板の成形性評価試験方法
2.3 各種板材料の成形特性
 2.3.1 鋼板の機械的性質・成形性・用途
 2.3.2 アルミニウム展伸材の機械的性質・成形性・用途
 2.3.3 チタン・チタン合金板の機械的性質・成形性・用途
 2.3.4 マグネシウム合金板の機械的性質・成形性・用途
2.4 板成形の力学
 2.4.1 絞り容器各部の名称
 2.4.2 円筒絞りにおける材料の変形
 2.4.3 円筒絞りの解析
 2.4.4 絞り加工における応力の伝達と絞り性の向上策
 2.4.5 角筒絞りの解析
 2.4.6 均等曲げの解析
 2.4.7 均等曲げのスプリングバックの解析
 2.4.8 垂直力を伴った曲げの解析
2.5 板材成形の成形不良
 2.5.1 絞り加工における破断
 2.5.2 絞り加工における形状不良
 2.5.3 曲げ加工における製品設計上の諸問題
引用・参考文献

3.絞り成形
3.1 絞り率と再絞り
 3.1.1 絞り率
 3.1.2 初絞り
 3.1.3 再絞り
 3.1.4 絞り高さ
3.2 素板形状の設計
 3.2.1 円筒絞り製品の展開
 3.2.2 角筒絞り製品の展開
3.3 絞り加工に必要な力
 3.3.1 最大絞り力
 3.3.2 絞り仕事量
 3.3.3 ノックアウト力とストリップ力
 3.3.4 しわ抑え
3.4 絞り型の設計
 3.4.1 設計上考慮すべき事項
 3.4.2 パンチの設計
 3.4.3 パンチプレートの設計
 3.4.4 ダイの設計
 3.4.5 バッキングプレートの設計
 3.4.6 位置決め具の設計
 3.4.7 しわ抑えの設計
 3.4.8 ノックアウトの設計
 3.4.9 クッションの設計
 3.4.10 スプリングの取付け法の設計
3.5 成形シミュレーション
 3.5.1 成形シミュレーションの適用目的
 3.5.2 板成形シミュレーションで評価可能な成形不具合
 3.5.3 板成形シミュレーション例
 3.5.4 プレススライドモーションを考慮した板成形シミュレーション
引用・参考文献

4.曲げ成形
4.1 曲げ加工の分類と変形様式
 4.1.1 曲げ加工の分類
 4.1.2 曲げ加工の変形様式
4.2 曲げによる板の変形
 4.2.1 曲げによる幅方向の反り
 4.2.2 板厚内部のひずみ履歴
 4.2.3 板厚の変化
 4.2.4 外表面のひずみ
4.3 板材の曲げ
 4.3.1 V曲げ
 4.3.2 U曲げ
 4.3.3 ロール曲げ
 4.3.4 面内曲げ
 4.3.5 パイプ製造のための曲げ
 4.3.6 ダイレス曲げ
4.4 成形シミュレーション
 4.4.1 種々の解法とそれらの特徴
 4.4.2 材料モデルの影響
 4.4.3 成形限界予測
 4.4.4 最適プロセス設計
引用・参考文献

5.ホットスタンピング
5.1 加工工程
5.2 鋼板の変形特性
5.3 焼入れ特性
5.4 酸化特性と防止
5.5 プレス成形特性
5.6 ダイクエンチング特性
5.7 後加工
5.8 有限要素シミュレーション
引用・参考文献

6.インクリメンタルフォーミング
6.1 成形原理
 6.1.1 ダイレス化の原理
 6.1.2 成形原理に基づく特徴
6.2 成形の種類
 6.2.1 インクリメンタル張出し成形
 6.2.2 インクリメンタル逆張出し成形
 6.2.3 インクリメンタル圧縮成形
 6.2.4 その他のインクリメンタルフォーミング
6.3 成形シミュレーション
引用・参考文献

7.絞り曲げ用成形機
7.1 絞り用プレス成形機
 7.1.1 プレス機械の種類
 7.1.2 プレス機械選択の前準備
 7.1.3 プレス機械の仕様
7.2 対向液圧成形機と金型
 7.2.1 対向液圧成形工程と金型構造
 7.2.2 対向液圧成形の特徴
 7.2.3 実用例
 7.2.4 対向液圧成形の応用技術
7.3 曲げ加工機と金型
 7.3.1 曲げ加工機
 7.3.2 金型
 7.3.3 曲げ金型の選び方
 7.3.4 曲げパターン
7.4 インクリメンタル成形機
 7.4.1 成形装置と固定ジグの種類
 7.4.2 成形の特徴
 7.4.3 成形事例
引用・参考文献

索引
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内容紹介

1994年に刊行された「プレス絞り加工―工程設計と型設計―」(塑性加工技術シリーズ13)の,26年ぶりの改訂版。旧版は,学会レベルで多くの学術的知見が得られている力学,材料学の部分と,従来学会ではあまりとり上げられていなかった型設計,工程設計,加工機械の特性といった現場的な技術を併せ持つ学術出版物であり,絞り加工の基礎から始まって,設計に至るまで,実際の技術内容をわかりやすく解説するという編集思想に基づいて出版された。今回の改訂版もその基本思想を継承しつつ,その後の技術の発展(国際標準化された材料試験法,各種軽量化材料,成形シミュレーション,ホットスタンピング,インクリメンタルフォーミング,最新の加工機械)を盛り込む形で編集された。さらに,新シリーズでは絞りと曲げを1冊にまとめて出版する方針となったことから,旧シリーズでは独立して刊行された「曲げ加工」から,力学解析や各種曲げ加工における材料の変形メカニズムに関する内容を大幅に組み入れた。本書の新規および改訂執筆された項目は以下のとおりである(〔 〕内は該当する章または節番号)。

• 絞り・曲げ加工の歴史と役割〔1〕(新規)
• 薄板の材料試験法および成形性評価試験法〔2.1~2.2〕(改訂)
• 鋼板,アルミニウム合金,チタン合金,マグネシウム合金板の成形特性〔2.3〕(新規)
• 板成形の力学〔2.4〕(新規)
• 成形シミュレーション〔3.5〕〔4.4〕(新規)
• 曲げ成形〔4.1~4.3〕(改訂)
• ホットスタンピング〔5〕(新規)
• インクリメンタルフォーミング〔6〕(新規)
• 絞り曲げ成形機〔7〕(新規)

【読者へのメッセージ】

板材成形の基礎理論に始まり,金型設計のポイント,先進的加工機械のメカニズム,ホットスタンピング,インクリメンタルフォーミングなどの最先端の加工技術まで網羅し,かつプレス工程設計の最適化に必須な板材成形シミュレーションの最新理論も盛り込みました。高専生・大学生の皆さんの上級レベルの学習用として,またプレス加工の第1線で活躍されている技術者の皆様には基礎理論から最新加工技術の便覧として,幅広くご活用頂ければ幸いです。

まえがき

本書は1994年に刊行された『プレス絞り加工―工程設計と型設計―』(塑性加工技術シリーズ13)の,26年ぶりの改訂版である.旧版を編集された,プレス絞り加工出版部会長の西村尚先生(東京都立大学名誉教授)は,そのまえがきにおいて旧版の編集思想をつぎのように述べておられる.

「従来の学術書では十分に言及されていない工程設計と型設計に,多くのページ数を割り当てた.また,現場の技術書では十分に言及されていない,被加工材の性質,絞り加工の力学についても十分なページ数を割いている.したがって,本書の特色とする点は,学会レベルで多くの情報が集められる力学,材料学の部分と,従来学会ではあまり取り上げられていなかった型設計,工程設計,加工機械の特性といった現場的な技術を併せ持つところにある.(中略)本書は絞り加工の基礎から始まって,設計に至るまで,実際の技術内容をわかりやすく解説した.学術出版物としてはほとんど例を見ない.」

この新版は,上記の基本思想を継承しつつ,その後の技術の発展(国際規格化された材料試験法,各種軽量化材料,成形シミュレーション,ホットスタンピング,インクリメンタルフォーミング,最新の加工機械)を盛り込む形で編集された.さらに,新シリーズでは絞りと曲げを1冊にまとめて出版する方針となったことから,旧シリーズでは独立して刊行された「曲げ加工」から,力学解析や各種曲げ加工における材料の変形メカニズムに関する内容を大幅に組み入れた.本書の新規および改訂執筆された項目は以下のとおりである(〔〕内は該当する章または節番号).
• 曲げ・絞り加工の歴史と役割〔1〕(新規)
• プレス成形の分類,薄板の材料試験法および成形性評価試験法〔2.1~2.2〕(改訂)
• 鋼板,アルミニウム合金,チタン合金,マグネシウム合金板の成形特性〔2.3〕(新規)
• 板成形の力学〔2.4〕(新規)
• 成形シミュレーション〔3.5〕〔4.4〕(新規)
• 曲げ成形〔4.1~4.3〕(改訂)
• ホットスタンピング〔5〕(新規)
• インクリメンタルフォーミング〔6〕(新規)
• 絞り曲げ用成形機〔7〕(新規)

本書は,板材成形の分野で活躍している多くの研究者・技術者の共同執筆により生まれた.諸般の事情により刊行が遅れたことをお詫びするとともに,ご協力をいただいた執筆者ならびに学会関係者各位に深甚なる謝意を表します.またコロナ社には辛抱強く脱稿をお待ちいただくとともに,種々の編集上のアドバイスを頂戴しました.心より感謝申し上げます.

2020年8月
「板材のプレス成形」専門部会 桑原 利彦,小山 秀夫,高橋 進

関連連籍
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新塑性加工技術シリーズseries15

圧延
- ロールによる板・棒線・管・形材の製造 -

  • 日本塑性加工学会 編 / 阿高松男・宇都宮裕・藤田文夫・古元秀昭・下田直樹・小豆島明・服部敏幸・瀬羅知暁・井上忠信・中村洋二・石井 篤・高町恭行・浜田龍次・浅川基男・高嶋由紀雄・平位幸治・三原 豊・吉村英徳・下田一宗・勝村龍郎・山口晴生・前田恭志・高柳仁史・北里敬輔・兼子 毅・左海哲夫・瀬川明夫・柳本 潤・小原一浩 共著
  • A5サイズ/448頁
  • 定価8,030円(本体7,300円+税)
  • ISBN 978-4-339-04385-3

基礎理論から圧延機,潤滑,ロール,材質制御,板・棒線・形・管圧延など圧延技術を網羅!

新刊
圧延 - ロールによる板・棒線・管・形材の製造 -
  • 日本塑性加工学会 編 / 阿高松男・宇都宮裕・藤田文夫・古元秀昭・下田直樹・小豆島明・服部敏幸・瀬羅知暁・井上忠信・中村洋二・石井 篤・高町恭行・浜田龍次・浅川基男・高嶋由紀雄・平位幸治・三原 豊・吉村英徳・下田一宗・勝村龍郎・山口晴生・前田恭志・高柳仁史・北里敬輔・兼子 毅・左海哲夫・瀬川明夫・柳本 潤・小原一浩 共著
  • A5サイズ/448頁
  • 定価8,030円(本体7,300円+税)
  • ISBN 978-4-339-04385-3
目次
1. 圧延の概要
1.1 板圧延の概要
 1.1.1 鋼板圧延の概要
 1.1.2 非鉄金属薄板圧延の概要
1.2 棒・線,形圧延の概要
 1.2.1 棒鋼・鋼線材圧延の概要
 1.2.2 形鋼圧延の概要
 1.2.3 非鉄金属棒・線材圧延
1.3 管材圧延の概要
 1.3.1 鋼管圧延の概要
 1.3.2 銅管圧延
引用・参考文献

2. 圧延の基本的現象
2.1 圧延による板の変形
 2.1.1 圧延による板の巨視的変形
 2.1.2 板の縦断面内での変形
 2.1.3 板幅方向の変形
2.2 ロールの変形
 2.2.1 ロールの弾性変形
 2.2.2 ロールの熱膨張
2.3 圧延圧力の分布
 2.3.1 ロール面圧の分布
 2.3.2 単位幅圧延荷重の分布
2.4 圧延板の平坦度
2.5 棒線,形材の圧延方法と特徴
引用・参考文献

3. 理論解析
3.1 二次元圧延理論
 3.1.1 スラブ法(均一変形理論)による二次元圧延理論
 3.1.2 摩擦応力を降伏条件に取り入れた理論
 3.1.3 二次元圧延理論式の解析解
 3.1.4 圧延トルクの式
 3.1.5 各式の比較
 3.1.6 ロールの弾性へん平変形
3.2 疑似三次元圧延理論
3.3 他の解析方法
 3.3.1 エネルギー法
 3.3.2 すべり線場理論
3.4 4段圧延機ロール弾性系の変形解析
 3.4.14 段圧延機ロール弾性系変形解析モデルの概要
 3.4.2 ロール軸芯変形
 3.4.3 ロール表面へん平変形
 3.4.4 ワークロールとバッアップロールの弾性変形,接触条件と解法
3.5 張力分布のフィードバック効果モデルによる形状・プロフィル解析
3.6 有限要素法による板圧延解析
 3.6.1 被圧延材の変形解析手法の分類と特徴
 3.6.2 他の物理現象との連成解析
 3.6.3 解析事例に見る板圧延現象
 3.6.4 板圧延解析における留意事項
引用・参考文献

4. 圧延機
4.1 圧延機の種類
 4.1.1 圧延機の分類の仕方
 4.1.2 圧延機を構成するロールの段数
 4.1.3 板形状制御機構
 4.1.4 圧延ロールの駆動
 4.1.5 圧延機の配列と適用例
4.2 圧延機の剛性
 4.2.1 剛性の定義と意義
 4.2.2 圧延機に作用する荷重
 4.2.3 剛性の算出法
 4.2.4 圧延作業と圧延機の剛性
 4.2.5 制御による外乱の補償
4.3 計測器
 4.3.1 圧延荷重計
 4.3.2 圧延トルク計
 4.3.3 張力計
 4.3.4 板厚計およびプロフィル計
 4.3.5 平坦度計
 4.3.6 板幅計
 4.3.7 温度計
 4.3.8 近年の新しい計測器
引用・参考文献

5. 圧延潤滑
5.1 板圧延における潤滑
5.2 界面への圧延油の導入
 5.2.1 ニート圧延
 5.2.2 エマルション圧延
5.3 冷間圧延潤滑
 5.3.1 摩擦係数
 5.3.2 潤滑メカニズムと摩擦モデル
 5.3.3 潤滑メカニズムと材料表面
 5.3.4 表面欠陥
5.4 熱間圧延潤滑
 5.4.1 摩擦係数
 5.4.2 潤滑メカニズムと摩擦モデル
 5.4.3 ロールコーティング
引用・参考文献

6. ロール
6.1 各種圧延機に使われるロール材質と特徴(厚板,熱間圧延,冷間圧延)
 6.1.1 熱間板圧延用ロール
 6.1.2 冷間圧延用ロール
6.2 ロール使用における品質課題
 6.2.1 熱間圧延用ワークロールの肌荒れおよび品質課題
 6.2.2 熱間圧延用ワークロールのクラック管理
 6.2.3 冷間圧延用ワークロールの肌荒れおよび摩耗
6.3 Hertzの接触応力と疲労
引用・参考文献

7. 材質制御
7.1 材質の支配因子
7.2 圧延工程での組織変化と材質
 7.2.1 概論
 7.2.2 金属学でのひずみの意味と変形様式の影響
 7.2.3 熱間加工での基本緒現象
 7.2.4 熱間加工における組織変化
 7.2.5 熱間加工と析出
 7.2.6 熱間加工と変態
 7.2.7 冷間圧延による組織変化
7.3 圧延工程での材質制御技術
 7.3.1 厚板圧延での材質制御
 7.3.2 熱間薄板圧延での材質制御
7.4 材質制御の今後の方向
引用・参考文献

8. 板圧延
8.1 板厚制御
 8.1.1 圧延機単体で板厚を変化させる原理
 8.1.2 タンデムミルの板厚制御原理
 8.1.3 板厚外乱の要因
 8.1.4 種々のAGC
 8.1.5 AGC構成の例
 8.1.6 フィードフォワード制御
 8.1.7 タンデムミルにおけるセットアップの考え方
 8.1.8 板厚制御シミュレーション
8.2 板クラウンおよび平坦度(板形状)制御
 8.2.1 板クラウンおよび平坦度(板形状)の形成
 8.2.2 板クラウンおよび平坦度(板形状)制御
 8.2.3 板クラウンおよび平坦度(板形状)制御システム
8.3 板幅制御
 8.3.1 熱間圧延の板幅制御
 8.3.2 厚板の平面形状制御
引用・参考文献

9. 棒線圧延
9.1 棒線圧延の歴史
9.2 棒線における孔型圧延方式の分類
9.3 孔型圧延の理論解析方法
9.4 孔型とパススケジュール
9.5 孔型圧延の倒れ
9.6 孔型圧延と表面きず
 9.6.1 鋼片きずと孔型圧延
 9.6.2 しわきずと孔型圧延
9.7 連続圧延特性
 9.7.1 圧延機の剛性
 9.7.2 連続圧延特性
 9.7.3 スタンド間張力と幅変動
 9.7.4 スタンド間張力の測定方法
9.8 精密圧延技術と圧延機
 9.8.1 精密圧延と多サイズ・多サイクル圧延
 9.8.2 2方,3方,4方ロールによる精密圧延技術
9.9 制御圧延・制御冷却
 9.9.1 加工熱処理の推移
 9.9.2 棒線圧延における制御圧延(加工熱処理)
 9.9.3 圧延における冷却技術
 9.9.4 圧延ラインの調整冷却
9.10 棒線圧延技術のトピックス
9.11 棒線圧延技術の今後の課題
9.12 棒線圧延技術の将来に向けて
引用・参考文献

10. 形圧延
10.1 圧延負荷特性
 10.1.1 二重,三重式圧延機による形圧延
 10.1.2 ユニバーサル圧延機による形圧延
10.2 幅広がり特性
 10.2.1 二重,三重式圧延機による形圧延
 10.2.2 ユニバーサル圧延機による形圧延
10.3 孔型設計
 10.3.1 二重,三重式水平圧延機による形圧延
 10.3.2 ユニバーサル圧延機による形圧延
10.4 圧延設備
 10.4.1 圧延設備レイアウト
 10.4.2 圧延機の種類
 10.4.3 ガイド装置
10.5 形状寸法制御
 10.5.1 形材ミル計算機制御
 10.5.2 連続圧延張力制御
引用・参考文献

11. 管圧延
11.1 継目なし鋼管製造方法の分類
11.2 せん孔圧延
 11.2.1 せん孔圧延の基本的現象
 11.2.2 2ロール傾斜せん孔法(マンネスマンせん孔法)
 11.2.3 3ロールせん孔法
 11.2.4 交叉角せん孔法
11.3 延伸圧延
 11.3.1 延伸圧延の基本的現象
 11.3.2 孔型ロールを用いる延伸圧延
 11.3.3 傾斜ロールを用いる延伸圧延
11.4 定径圧延
 11.4.1 定径圧延の基本的現象
 11.4.2 ストレッチレデューサー圧延
 11.4.3 サイザー圧延
引用・参考文献

12. 非鉄金属の圧延
12.1 アルミニウム(合金)の圧延
 12.1.1 アルミニウム熱間圧延
 12.1.2 アルミニウム冷間圧延
 12.1.3 アルミニウム箔圧延
 12.1.4 クラッド圧延
12.2 銅の圧延
 12.2.1 銅の熱間圧延
 12.2.2 銅の冷間圧延
 12.2.3 圧延潤滑
12.3 チタンの圧延
 12.3.1 純チタンの圧延
 12.3.2 チタン合金の圧延
12.4 マグネシウムの圧延
引用・参考文献

13. 特殊圧延
13.1 変形機構の特殊な圧延
 13.1.1 非対称圧延
 13.1.2 遊星圧延
 13.1.3 クロス圧延
13.2 素材の形態が特殊な圧延
 13.2.1 接合圧延
 13.2.2 粉末圧延
 13.2.3 溶融・半溶融圧延
13.3 特殊な温度・雰囲気での圧延
 13.3.1 温度
 13.3.2 雰囲気
引用・参考文献

14. 今後の圧延技術
14.1 全般的動向
14.2 今後の圧延機・圧延制御
14.3 今後の圧延理論
引用・参考文献

索引
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内容紹介

今も重要性が増す圧延技術を,コンピュータや自動制御技術のめざましい発達,圧延機や潤滑技術などの着実な進歩,環境問題といった社会的課題等を踏まえ,第一線で活躍する執筆陣が今後の技術者にとって必携の書となるようまとめた。

まえがき

1990年代に日本塑性加工学会編により,塑性加工の全分野を網羅する専門書体系として「塑性加工技術シリーズ」全19巻がコロナ社から発行された.そのシリーズでは,主として加工法ごとに専門書が刊行されたが,圧延に関係する書籍としては,1991年8月に『棒線・形・管圧延』が,1993年2月に『板圧延』が刊行された.両書には「世界をリードする圧延技術」という副題がともに冠されたことからもわかるように,高度経済成長時代を経て,当時世界最高水準となった技術が余すことなく説明されている.

遡れば圧延の歴史は古く,産業革命以降に限定しても鉄鋼を中心として多くの技術者・研究者が新技術の開発や操業改善に携わってしのぎを削り,膨大な数の優れた論文,解説などが相次いで発表されてきた.したがって,圧延の技術者・研究者は,その中から関係する文献を(ドイツ語やロシア語を含めて)探しあてて取り寄せ,それらを読破し理解した後に,自らの課題に取り組む必要があった.しかし,「塑性加工技術シリーズ」によってそれまでの知見が論理的に整理されたので,以後両書は圧延に携わる技術者や研究者必携の書となり,30年間にわたってわが国における圧延技術の発展を支えることとなった.

しかし,過去30年間において計算機や自動制御技術の進歩はめざましく,多くの工場で自動操業が実現し,寸法や形状,あるいは表面性状の高精度な制御も可能となった.さらには操業ビッグデータを収集して,データ科学を活用して解析し,変形抵抗や摩擦係数の推定なども行われるようになっている.また,30年間には有限要素法などの商用コードも著しく普及し,サイバー空間で圧延現象の再現が可能となり,それを利用した最適化が試みられるようになっている.もちろん,圧延機や潤滑技術も着実に進歩してきた.海外に目を転じてみれば,中国の台頭は急激で,生産量では他国を圧倒するようになり,わが国では,大量生産よりも高付加価値材の多品種の小ロット生産,あるいはオンデマンド生産にシフトしつつあるようにも思われる.

最近では,地球温暖化が世界レベルでの関心事となり,CO_2排出量削減のための軽量化を目的に被圧延材の高強度化と薄ゲージ化が進み,圧延荷重とパス回数がともに増加する傾向にある.被加工材としては,軽量材料であるアルミニウムやチタン,マグネシウムなどの合金,耐熱材料であるタングステンやモリブデンの合金,導電材料である銅合金などの重要性は相対的に増している.また,異種材料を組み合わせたクラッド材料も圧延によって多く製造されるようになり,圧延の重要性は今後も不変と考えられる.ロールバイト内には未知の現象が依然として多く存在し,今後の研究課題にも事欠くことはなさそうである.本書も今後30年間にわたって有効にご活用いただくことを願いたい.

今回の「新塑性加工技術シリーズ」の編集に当たっては,まずコンパクト化を試みることとした.すなわち,先の塑性加工技術シリーズで2分冊の『板圧延』と『棒線・形・管圧延』をまとめて,1冊の『圧延』とした.これは,条鋼圧延においてもコンピューターシミュレーションが可能となったこと,世の中のペーパーレス化が進行し,必要な文献が示されていれば,論文アーカイブにいつどこからでもアクセス可能となったことなどの理由による.そして,第一線で活躍する技術者・研究者に執筆をお願いした.

 最後に,当初の予定より発行が遅れた点をお詫びしたい.分担著者の皆様,日本塑性加工学会新塑性加工技術シリーズ出版部会委員,出版元であるコロナ社の皆様,および編集作業を手伝っていただいた海上保安大学校の兼子毅先生のご協力が大であることをここに付記し,深甚なる謝意を表します.

 

2024年10月
「圧延」専門部会長 宇都宮裕

株式会社 コロナ社