プロセス・トライボロジー 塑性加工の摩擦・潤滑・摩耗のすべて

新塑性加工技術シリーズ 3

プロセス・トライボロジー - 塑性加工の摩擦・潤滑・摩耗のすべて -

塑性加工技術シリーズの改訂版。「工具材料と表面処理」の章を追加。新たな開発技術も追加

ジャンル
発行年月日
2020/02/28
判型
A5
ページ数
352ページ
ISBN
978-4-339-04373-0
プロセス・トライボロジー 塑性加工の摩擦・潤滑・摩耗のすべて
在庫あり

定価

6,050(本体5,500円+税)

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本書は,塑性加工におけるトライボロジーについて,基礎から応用までを網羅したものです。1993年に出版された塑性加工技術シリーズのうちの「プロセス・トライボロジー ―塑性加工の摩擦・潤滑・摩耗」を改訂し,最新の情報を採り入れています。塑性加工における摩擦・潤滑・摩耗について,初学者からより深く学びたい方までを対象としています。さらに,近年発展の著しい,工具表面処理技術,冷間鍛造用の環境対応型潤滑剤,サーボプレスを活用した加工における潤滑やホットスタンピングにおける潤滑についても新たに執筆されています。

【各章について】
1章は総論で,塑性加工におけるトライボロジーの基礎について述べています。研究の歴史から,物理的基礎理論(流体潤滑)について詳述されています。

2章は,塑性加工用潤滑剤についてまとめています。液体,半固体,固体潤滑剤についてまとめられ,種類,特徴および用途について詳述されています。近年開発が進められている一液型潤滑皮膜処理についても述べられています。

3章は,工具材料と表面処理の特徴や用途について述べられています。この章は,近年の発展がめざましく,改訂を機に新たに独立した章としました。さらに工具と素材の表面テクスチャーが潤滑に及ぼす影響についてもまとめられています。

4章は,摩擦試験法について述べられています。塑性加工における摩擦試験には,汎用的な方法から,特定の塑性加工に対応した方法など,これまでに多くの試験法が提案されており,それぞれの方法の特徴や用途についてまとめられています。

5章は,圧延におけるトライボロジーについて,圧延の力学,冷間圧延の潤滑とそのメカニズム,熱間圧延の潤滑について詳述されています。

6章は,引抜き加工におけるトライボロジーについて,潤滑剤,潤滑のメカニズム,潤滑方法,ダイスの摩耗について詳述しています。

7章は,鍛造・押出しにおけるトライボロジーについて,冷間および温熱間鍛造(押出し)における摩擦・潤滑の特徴や使用される潤滑剤について詳述しています。さらに型の摩耗や表面処理についても述べられています。

8章は,板材成形におけるトライボロジーについて,その特徴を述べています。また,せん断加工やしごき加工におけるトライボロジーについても記述されています。最新の話題として,ドライ加工や金型の表面処理についても述べられています。最後に,ホットスタンピングにおけるトライボロジーについて追加されています。

【関連キーワード】
摩擦,潤滑,摩耗,焼付き,表面積拡大,表面粗さ,流体潤滑,混合潤滑,境界潤滑,固体接触,レイノルズ方程式,真実接触部,液体潤滑剤,固体潤滑剤,固体潤滑皮膜,化成型皮膜処理,一液型潤滑皮膜処理,摩擦試験,表面処理

トライボロジー(Tribology)という用語は,1966年英国のJost,H.P.の主催するFLW(Friction, Lubrication and Wear)委員会で提案され誕生した.その意味は,「すべり合う表面の科学と技術」である.さらに,プロセストライボロジー(Process-Tribology:塑性加工における摩擦と潤滑)という用語は,1976年にプロセストライボロジー分科会〔主査:河合望(名古屋大学)〕の設置に当たり,春日保男教授(名古屋大学)によって提案されて用いられるようになった.これらの用語は,40~50年間使われ続けて,ほぼ市民権を得たように思う.ただし,プロセストライボロジーという一語で表すのはやや抵抗があることから,現在,分科会の名称は,・(中なか黒ぐろ)を挿入して,「プロセス・トライボロジー分科会」と表すこととした.

わが国で,プロセス・トライボロジーの課題が,学問として大学等において研究の対象として取り上げられるようになったのは,1950年代になってからである.それ以来,わが国のプロセス・トライボロジーの研究開発は,春日保男教授を始めとする多くの先達のお陰で,たくさんのプロセス・トライボロジストによって引き継がれてきた.そのため,多くの研究課題が解決され,また工具材料,被加工材料,工具表面処理,潤滑剤,素材,潤滑システム等について,イノベーティブな技術開発が行われてきた.その結果,現在,わが国のプロセス・トライボロジー分野の研究や技術開発は,世界の中でもリーディング的成果を上げている.

プロセス・トライボロジーの特異な条件は,工具と接触する摩擦対の一方である被加工材が巨視的塑性変形を伴うことである.これは,接触面の微視的構造や接触面積に独特な変化をもたらし,接触機構,潤滑機構,摩擦特性,焼付き特性,摩耗特性等に特異な影響を与えている.このように特異な条件下のプロセス・トライボロジーについて解説するため,日本塑性加工学会のプロセス・トライボロジー分科会では,1988年に「塑性加工におけるトライボロジ」(コロナ社)を編集・出版した.さらに,1993年には,塑性加工技術シリーズの一つとして,「プロセストライボロジー ―塑性加工の潤滑―」(コロナ社)を編集・出版した.

今回は,その改訂版として,新塑性加工技術シリーズ「プロセス・トライボロジー ―塑性加工の摩擦・潤滑・摩耗のすべて―」を編集・出版することとなった.「刊行のことば」の裏面に表記した専門部会を立ち上げ,改訂版の構成と内容について検討した.その結果,基本的には前著の構成を踏襲することとしたが,新たに独立した章として,「第3章 工具材料と表面処理」を追加した.また,最新の研究開発技術については,それぞれの章に組み入れた.すなわち,「3章 工具材料と表面処理」には,工具と素材の表面構造(テクスチャー)が潤滑に及ぼす影響について,「5章 圧延におけるトライボロジー」には,熱間圧延における酸化膜の潤滑効果について,「7章 鍛造・押出しにおけるトライボロジー」には,振動・サーボプレスによる潤滑効果について,「8章 板材成形におけるトライボロジー」には,ホットスタンピングについて,追加記述した.

最後に,ご多用の中,ご協力いただいた執筆者各位に御礼申し上げるとともに,出版を企画された一般社団法人 日本塑性加工学会に謝意を表する.
2019 年12 月「プロセス・トライボロジー」専門部会長  中 村  保

1.総論 ―塑性加工におけるトライボロジーの基礎―
1.1 塑性加工におけるトライボロジーの課題と役割 
1.2 塑性加工に起因するトライボロジーの特徴 
1.3 プロセス・トライボロジーの科学技術の発展動向 
1.4 潤滑および摩擦の機構 
 1.4.1 流体潤滑理論の基礎式と塑性加工への適用 
 1.4.2 表面および接触の機構 
 1.4.3 潤滑機構および摩擦 
 1.4.4 焼付き,温度および材料特性 
1.5 工具摩耗と製品表面 
 1.5.1 工具摩耗 
 1.5.2 製品表面の平滑化 
 1.5.3 焼付き現象 
引用・参考文献 

2.塑性加工用潤滑剤
2.1 液体潤滑剤 
 2.1.1 種類と特性 
 2.1.2 添加剤 
 2.1.3 用途 
2.2 固体潤滑剤 
 2.2.1 固体潤滑剤の種類と特性 
 2.2.2 固体潤滑剤の用途 
2.3 固体潤滑皮膜 
 2.3.1 化成型皮膜処理 
 2.3.2 リン酸塩皮膜の塑性加工特性 
 2.3.3 潤滑剤の組合せ 
 2.3.4 電解型リン酸塩皮膜処理 
 2.3.5 塗布型皮膜処理 
 2.3.6 一液型潤滑皮膜処理 
引用・参考文献 

3.工具材料と表面処理
3.1 工具材料の組成・組織 
3.2 工具表面処理 
3.3 耐摩耗性 
3.4 耐焼付き性 
3.5 材料との適合性 
3.6 工具材料・表面処理の動向 
引用・参考文献 

4.摩擦試験法
4.1 摩擦試験の在り方 
4.2 汎用基礎的摩擦試験法 
 4.2.1 点接触形式の摩擦試験 
 4.2.2 線接触形式の摩擦試験 
 4.2.3 面接触形式の摩擦試験 
4.3 塑性加工向け基礎的摩擦試験法 
 4.3.1 圧縮―回転式摩擦試験 
 4.3.2 圧縮―すべり式摩擦試験 
4.4 塑性加工摩擦試験法の活用 
 4.4.1 板材成形シミュレーター 
 4.4.2 引抜き・しごき加工シミュレーター 
 4.4.3 押出し・鍛造加工シミュレーター 
 4.4.4 圧延加工シミュレーター 
4.5 摩耗試験 
引用・参考文献 

5.圧延におけるトライボロジー
5.1 板圧延の力学 
 5.1.1 板圧延のプロセス 
 5.1.2 圧延荷重 
 5.1.3 摩擦係数 
5.2 冷間圧延潤滑 
 5.2.1 摩擦係数 
 5.2.2 潤滑メカニズム 
 5.2.3 入口油膜厚さ 
 5.2.4 潤滑メカニズムと摩擦せん断応力 
 5.2.5 界面温度 
 5.2.6 焼付き 
5.3 熱間圧延潤滑 
 5.3.1 圧延荷重(圧延圧力) 
 5.3.2 摩擦係数 
 5.3.3 スケール 
 5.3.4 潤滑メカニズムと摩擦モデル 
引用・参考文献 

6.引抜きにおけるトライボロジー
6.1 引抜きの力学と潤滑剤の作用機構 
 6.1.1 潤滑の課題 
 6.1.2 潤滑に影響を及ぼす因子 
 6.1.3 超音波振動を付加した場合の潤滑状態 
 6.1.4 潤滑剤の供給方法とその効果 
 6.1.5 潤滑状態の評価方法 
 6.1.6 潤滑膜の厚さ 
 6.1.7 引抜き材の表面性状 
 6.1.8 ダイの摩耗 
6.2 引抜き用潤滑剤 
 6.2.1 潤滑剤に要求される特性 
 6.2.2 潤滑剤の種類 
 6.2.3 各種材料の引抜き加工用潤滑剤 
引用・参考文献 

7.鍛造・押出しにおけるトライボロジー
7.1 鍛造の力学と摩擦・潤滑 
 7.1.1 潤滑剤の捕捉・流出の過程 
 7.1.2 摩擦せん断応力の表現と変形解析 
 7.1.3 鍛造加工における摩擦条件の評価 
7.2 冷間鍛造 
 7.2.1 潤滑の課題 
 7.2.2 トライボロジー条件 
 7.2.3 潤滑剤および潤滑技術の実際 
7.3 熱間鍛造および温間鍛造 
 7.3.1 潤滑剤の役割と具備すべき条件 
 7.3.2 型の損傷と型材料 
 7.3.3 潤滑剤および潤滑技術の実際 
7.4 押出し 
 7.4.1 鋼の熱間押出し 
 7.4.2 アルミニウムの熱間押出し 
引用・参考文献 

8.板材成形におけるトライボロジー
8.1 板材成形における摩擦・潤滑理論 
 8.1.1 板材成形の摩擦現象 
 8.1.2 摩擦低減のための基本 
 8.1.3 潤滑剤の取込み機構 
 8.1.4 金属どうしの凝着の低減 
8.2 せん断加工 
 8.2.1 工具切れ刃の摩耗 
 8.2.2 工具寿命に及ぼす諸因子の影響 
 8.2.3 製品性状への影響 
8.3 曲げ加工における潤滑の影響 
8.4 深絞り加工および張出し加工 
 8.4.1 深絞り加工の力学 
 8.4.2 深絞り加工におけるトライボロジー 
 8.4.3 張出し加工におけるトライボロジー 
8.5 しごき加工 
 8.5.1 しごき加工の力学 
 8.5.2 しごき加工におけるトライボロジー 
8.6 ドライプレス加工 
 8.6.1 潤滑剤の地球環境との関わり 
 8.6.2 ドライプレス加工の実施例 
8.7 ホットスタンピングにおけるトライボロジー 
 8.7.1 潤滑特性評価試験機 
 8.7.2 ホットスタンピング用の潤滑剤の開発 
 8.7.3 スケール厚さ,亜鉛めっきの影響 
 8.7.4 金型表面改質 
引用・参考文献 

索引 

中村 保(ナカムラ タモツ)

水野 高嗣(ミズノ タカジ)

土屋 能成(ツチヤ ヨシナリ)

木村 茂樹(キムラ シゲキ)

石橋 格(イシバシ イタル)

小見山 忍(コミヤマ シノブ)

王 志剛(ワン ズガン)

小豆島 明(アズキシマ アキラ)

松下 富春(マツシタ トミハル)

神 雅彦(ジン マサヒコ)

松本 良(マツモト リョウ)

北村 憲彦(キタムラ ノリヒコ)

池田 修啓(イケダ ノブヒロ)

片岡 征二(カタオカ セイジ)

村川 正夫(ムラカワ マサオ)

小山 秀夫(コヤマ ヒデオ)

柳田 明(ヤナギダ アキラ)