圧 延 - ロールによる板・棒線・管・形材の製造 -

新塑性加工技術シリーズ 15

圧 延 - ロールによる板・棒線・管・形材の製造 -

基礎理論から圧延機,潤滑,ロール,材質制御,板・棒線・形・管圧延など圧延技術を網羅!

ジャンル
発行予定日
2024/11/中旬
判型
A5
ページ数
448ページ
ISBN
978-4-339-04385-3
圧 延 - ロールによる板・棒線・管・形材の製造 -
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定価

8,030(本体7,300円+税)

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今も重要性が増す圧延技術を,コンピュータや自動制御技術のめざましい発達,圧延機や潤滑技術などの着実な進歩,環境問題といった社会的課題等を踏まえ,第一線で活躍する執筆陣が今後の技術者にとって必携の書となるようまとめた。

☆発行前情報のため,一部変更となる場合がございます

1990年代に日本塑性加工学会編により,塑性加工の全分野を網羅する専門書体系として「塑性加工技術シリーズ」全19巻がコロナ社から発行された.そのシリーズでは,主として加工法ごとに専門書が刊行されたが,圧延に関係する書籍としては,1991年8月に『棒線・形・管圧延』が,1993年1月に『板圧延』が刊行された.両書には「世界をリードする圧延技術」という副題がともに冠されたことからもわかるように,高度経済成長時代を経て,当時世界最高水準となった技術が余すことなく説明されている.

遡れば圧延の歴史は古く,産業革命以降に限定しても鉄鋼を中心として多くの技術者・研究者が新技術の開発や操業改善に携わってしのぎを削り,膨大な数の優れた論文,解説などが相次いで発表されてきた.したがって,圧延の技術者・研究者は,その中から関係する文献を(ドイツ語やロシア語を含めて)探しあてて取り寄せ,それらを読破し理解した後に,自らの課題に取り組む必要があった.しかし,「塑性加工技術シリーズ」によってそれまでの知見が論理的に整理されたので,以後両書は圧延に携わる技術者や研究者必携の書となり,30年間にわたってわが国における圧延技術の発展を支えることとなった.

しかし,過去30年間において計算機や自動制御技術の進歩はめざましく,多くの工場で自動操業が実現し,寸法や形状,あるいは表面性状の高精度な制御も可能となった.さらには操業ビッグデータを収集して,データ科学を活用して解析し,変形抵抗や摩擦係数の推定なども行われるようになっている.また,30年間には有限要素法などの商用コードも著しく普及し,サイバー空間で圧延現象の再現が可能となり,それを利用した最適化が試みられるようになっている.もちろん,圧延機や潤滑技術も着実に進歩してきた.海外に目を転じてみれば,中国の台頭は急激で,生産量では他国を圧倒するようになり,わが国では,大量生産よりも高付加価値材の多品種の小ロット生産,あるいはオンデマンド生産にシフトしつつあるようにも思われる.

最近では,地球温暖化が世界レベルでの関心事となり,CO_2排出量削減のための軽量化を目的に被圧延材の高強度化と薄ゲージ化が進み,圧延荷重とパス回数がともに増加する傾向にある.被加工材としては,軽量材料であるアルミニウムやチタン,マグネシウムなどの合金,耐熱材料であるタングステンやモリブデンの合金,導電材料である銅合金などの重要性は相対的に増している.また,異種材料を組み合わせたクラッド材料も圧延によって多く製造されるようになり,圧延の重要性は今後も不変と考えられる.ロールバイト内には未知の現象が依然として多く存在し,今後の研究課題にも事欠くことはなさそうである.本書も今後30年間にわたって有効にご活用いただくことを願いたい.

今回の「新塑性加工技術シリーズ」の編集に当たっては,まずコンパクト化を試みることとした.すなわち,先の塑性加工技術シリーズで2分冊の『板圧延』と『棒線・形・管圧延』をまとめて,1冊の『圧延』とした.これは,条鋼圧延においてもコンピュータシミュレーションが可能となったこと,世の中のペーパーレス化が進行し,必要な文献が示されていれば,論文アーカイブにいつどこからでもアクセス可能となったことなどの理由による.そして,第一線で活躍する技術者・研究者に執筆をお願いした.

圧延を専門に研究し,教授する大学研究室は減少傾向にあり,それに伴って入社後や社内異動によって初めて担当することになった技術者や,大学などにおいて周辺分野から参入する研究者が増える傾向にある.それらの若い技術者・研究者に適切な教材を提供することも本書は意図している.日本塑性加工学会では,塑性加工基礎講座として圧延に関する入門講座を少なくとも隔年で開催しているので,独学が難しい場合には本書と併せて受講されることを勧める次第である.

最後に,当初の予定より発行が遅れた点をお詫びしたい.分担著者の皆様,日本塑性加工学会新塑性加工技術シリーズ出版部会委員,出版元であるコロナ社の皆様,および編集作業を手伝っていただいた海上保安大学校の兼子毅先生のご協力が大であることをここに付記し,深甚なる謝意を表します.

2024年12月
「圧延」専門部会長 宇都宮 裕

☆発行前情報のため,一部変更となる場合がございます

1. 圧延の概要
1.1 板圧延の概要
 1.1.1 鋼板圧延の概要
 1.1.2 非鉄金属薄板圧延の概要
1.2 棒・線,形圧延の概要
 1.2.1 鋼棒・鋼線材圧延の概要
 1.2.2 形鋼圧延の概要
 1.2.3 非鉄金属棒・線材圧延
1.3 管材圧延の概要
 1.3.1 鋼管圧延の概要
 1.3.2 銅管圧延
引用・参考文献

2. 圧延の基本的現象
2.1 圧延による板の変形
 2.1.1 圧延による板の巨視的変形
 2.1.2 板の縦断面内での変形
 2.1.3 板幅方向の変形
2.2 ロールの変形
 2.2.1 ロールの弾性変形
 2.2.2 ロールの熱膨張
2.3 圧延圧力の分布
 2.3.1 ロール面圧の分布
 2.3.2 単位幅圧延荷重の分布
2.4 圧延板の平坦度
2.5 棒線,形材の圧延方法と特徴
引用・参考文献

3. 理論解析
3.1 二次元圧延理論
 3.1.1 スラブ法(均一変形理論)による二次元圧延理論
 3.1.2 摩擦応力を降伏条件に取り入れた理論
 3.1.3 二次元圧延理論式の解析解
 3.1.4 圧延トルクの式
 3.1.5 各式の比較
 3.1.6 ロールの弾性へん平変形
3.2 疑似三次元圧延理論
3.3 他の解析方法
 3.3.1 エネルギー法
 3.3.2 すべり線場理論
3.4 4段圧延機ロール弾性系の変形解析
 3.4.14 段圧延機ロール弾性系変形解析モデルの概要
 3.4.2 ロール軸心変形
 3.4.3 ロール表面へん平変形
 3.4.4 ワークロールとバッアップロールの弾性変形,接触条件と解法
3.5 張力分布のフィードバック効果モデルによる形状・プロフィル解析
3.6 有限要素法による板圧延解析
 3.6.1 被圧延材の変形解析手法の分類と特徴
 3.6.2 他の物理現象との連成解析
 3.6.3 解析事例に見る板圧延現象
 3.6.4 板圧延解析における留意事項
引用・参考文献

4. 圧延機
4.1 圧延機の種類
 4.1.1 圧延機の分類の仕方
 4.1.2 圧延機を構成するロールの段数
 4.1.3 板形状制御機構
 4.1.4 圧延ロールの駆動
 4.1.5 圧延機の配列と適用例
4.2 圧延機の剛性
 4.2.1 剛性の定義と意義
 4.2.2 圧延機に作用する荷重
 4.2.3 剛性の算出法
 4.2.4 圧延作業と圧延機の剛性
 4.2.5 制御による外乱の補償
4.3 計測器
 4.3.1 圧延荷重計
 4.3.2 圧延トルク計
 4.3.3 張力計
 4.3.4 板厚計およびプロフィル計
 4.3.5 平坦度計
 4.3.6 板幅計
 4.3.7 温度計
 4.3.8 近年の新しい計測器
引用・参考文献

5. 圧延潤滑
5.1 板圧延における潤滑
5.2 界面への圧延油の導入
 5.2.1 ニート圧延
 5.2.2 エマルション圧延
5.3 冷間圧延潤滑
 5.3.1 摩擦係数
 5.3.2 潤滑メカニズムと摩擦モデル
 5.3.3 潤滑メカニズムと材料表面
 5.3.4 表面欠陥
5.4 熱間圧延潤滑
 5.4.1 摩擦係数
 5.4.2 潤滑メカニズムと摩擦モデル
 5.4.3 ロールコーティング
引用・参考文献

6. ロール
6.1 各種圧延機に使われるロール材質と特徴(厚板,熱間圧延,冷間圧延)
 6.1.1 熱間板圧延用ロール
 6.1.2 冷間圧延用ロール
6.2 ロール使用における品質課題
 6.2.1 熱間圧延用ワークロールの肌荒れおよび品質課題
 6.2.2 熱間圧延用ワークロールのクラック管理
 6.2.3 冷間圧延用ワークロールの肌荒れおよび摩耗
6.3 Hertzの接触応力と疲労
引用・参考文献

7. 材質制御
7.1 材質の支配因子
7.2 圧延工程での組織変化と材質
 7.2.1 概論
 7.2.2 金属学でのひずみの意味と変形様式の影響
 7.2.3 熱間加工での基本緒現象
 7.2.4 熱間加工における組織変化
 7.2.5 熱間加工と析出
 7.2.6 熱間加工と変態
 7.2.7 冷間圧延による組織変化
7.3 圧延工程での材質制御技術
 7.3.1 厚板圧延での材質制御
 7.3.2 熱間薄板圧延での材質制御
7.4 材質制御の今後の方向
引用・参考文献

8. 板圧延
8.1 板厚制御
 8.1.1 圧延機単体で板厚を変化させる原理
 8.1.2 タンデムミルの板厚制御原理
 8.1.3 板厚外乱の要因
 8.1.4 種々のAGC
 8.1.5 AGC構成の例
 8.1.6 フィードフォワード制御
 8.1.7 タンデムミルにおけるセットアップの考え方
 8.1.8 板厚制御シミュレーション
8.2 板クラウンおよび平坦度(板形状)制御
 8.2.1 板クラウン・平坦度(板形状)の形成
 8.2.2 板クラウン・平坦度(板形状)制御
 8.2.3 板クラウンおよび平坦度(板形状)制御システム
8.3 板幅制御
 8.3.1 熱間圧延の板幅制御
 8.3.2 厚板の平面形状制御
引用・参考文献

9. 棒線圧延
9.1 棒線圧延の歴史
9.2 棒線における孔型圧延方式の分類
9.3 孔型圧延の理論解析方法
9.4 孔型とパススケジュール
9.5 孔型圧延の倒れ
9.6 孔型圧延と表面きず
 9.6.1 鋼片きずと孔型圧延
 9.6.2 しわきずと孔型圧延
9.7 連続圧延特性
 9.7.1 圧延機の剛性
 9.7.2 連続圧延特性
 9.7.3 スタンド間張力と幅変動
 9.7.4 スタンド間張力の測定方法
9.8 精密圧延技術と圧延機
 9.8.1 精密圧延と多サイズ・多サイクル圧延
 9.8.2 2方,3方,4方ロールによる精密圧延技術
9.9 制御圧延・制御冷却
 9.9.1 加工熱処理の推移
 9.9.2 棒線圧延における制御圧延(加工熱処理)
 9.9.3 圧延における冷却技術
 9.9.4 圧延ラインの調整冷却
9.10 棒線圧延技術のトピックス
9.11 棒線圧延技術の今後の課題
9.12 棒線圧延の将来に向けて
引用・参考文献

10. 形圧延
10.1 圧延負荷特性
 10.1.1 二重,三重式圧延機による形圧延
 10.1.2 ユニバーサル圧延機による形圧延
10.2 幅広がり特性
 10.2.1 二重,三重式圧延機による形圧延
 10.2.2 ユニバーサル圧延機による形圧延
10.3 孔型設計
 10.3.1 二重,三重式水平圧延機による形圧延
 10.3.2 ユニバーサル圧延機による形圧延
10.4 圧延設備
 10.4.1 圧延設備レイアウト
 10.4.2 圧延機の種類
 10.4.3 ガイド装置
10.5 形状寸法制御
 10.5.1 形材ミル計算機制御
 10.5.2 連続圧延張力制御
引用・参考文献

11. 管圧延
11.1 継目なし鋼管製造方法の分類
11.2 せん孔圧延
 11.2.1 せん孔圧延の基本的現象
 11.2.2 2ロール傾斜せん孔法(マンネスマンせん孔法)
 11.2.3 3ロールせん孔法
 11.2.4 交叉せん孔法
11.3 延伸圧延
 11.3.1 延伸圧延の基本的現象
 11.3.2 孔型ロールを用いた延伸圧延
 11.3.3 傾斜ロールを用いる延伸圧延
11.4 定径圧延
 11.4.1 定径圧延の基本的現象
 11.4.2 ストレッチレデューサー圧延
 11.4.3 サイザー圧延
引用・参考文献

12. 非鉄金属の圧延
12.1 アルミニウム(合金)の圧延
 12.1.1 アルミニウム熱間圧延
 12.1.2 アルミニウム冷間圧延
 12.1.3 アルミニウム箔圧延
 12.1.4 クラッド圧延
12.2 銅の圧延
 12.2.1 銅の熱間圧延
 12.2.2 銅の冷間圧延
 12.2.3 圧延潤滑
12.3 チタンの圧延
 12.3.1 純チタンの圧延
 12.3.2 チタン合金の圧延
12.4 マグネシウムの圧延
引用・参考文献

13. 特殊圧延
13.1 変形機構の特殊な圧延
 13.1.1 非対称圧延
 13.1.2 遊星圧延
 13.1.3 クロス圧延
13.2 素材の形態が特殊な圧延
 13.2.1 接合圧延
 13.2.2 粉末圧延
 13.2.3 溶融・半溶融圧延
13.3 特殊な温度・雰囲気での圧延
 13.3.1 温度
 13.3.2 雰囲気
引用・参考文献

14. 今後の圧延技術
14.1 全般的動向
14.2 今後の圧延機・圧延制御
14.3 今後の圧延理論
引用・参考文献

索引

阿高 松男(アタカ マツオ)

藤田 文夫(フジタ フミオ)

古元 秀昭(フルモト ヒデアキ)

下田 直樹(シモダ ナオキ)

小豆島 明(アズキシマ アキラ)

服部 敏幸(ハットリ トシユキ)

瀬羅 知暁(セラ トモアキ)

井上 忠信(イノウエ タダノブ)

中村 洋二(ナカムラ ヨウジ)

石井 篤(イシイ アツシ)

高町 恭行(タカマチ ヤスユキ)

浜田 龍次(ハマダ リュウジ)

浅川 基男(アサカワ モトオ)

高嶋 由紀雄(タカシマ ユキオ)

平位 幸治(ヒライ コウジ)

三原 豊(ミハラ ユタカ)

吉村 英徳(ヨシムラ ヒデノリ)

下田 一宗(シモダ カズヒロ)

勝村 龍郎(カツムラ タツロウ)

山口 晴生(ヤマグチ ハルオ)

前田 恭志(マエダ ヤスシ)

高柳 仁史(タカヤナギ ヒトシ)

北里 敬輔(キタザト ケイスケ)

兼子 毅(カネコ シノブ)

左海 哲夫(サカイ テツオ)

柳本 潤(ヤナギモト ジュン)

小原 一浩(オハラ カズヒロ)

掲載日:2024/10/08

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