プレゼン基本の基本  - 心理学者が提案するプレゼンリテラシー -

プレゼン基本の基本 - 心理学者が提案するプレゼンリテラシー -

なぜそうするとプレゼンは良くなるのか。心理学的背景から説得力のある解説を提供。

ジャンル
発行年月日
2021/02/12
判型
A5
ページ数
128ページ
ISBN
978-4-339-07824-4
プレゼン基本の基本  - 心理学者が提案するプレゼンリテラシー -
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定価

1,980(本体1,800円+税)

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プレゼンの効率的なやり方・具体的な事例に加えて,基本的な考え方:プレゼンリテラシーを解説する。心理学的背景に基づいて各プレゼン技術の「理由」を示すことにより,読者が良いプレゼンを行うための基礎をしっかり固める。

【対象者】
本書の対象者はプレゼンの初心者です。特に大学生や新入社員でプレゼンの経験や知識のない方々にお勧めします。本書では,そのような方々に対して,他人の前で自分の研究・意見を簡潔に述べる方法緊張しないで話をするための基本的技術を提案しています。本書ではそのような技術をプレゼンリテラシーと呼んでいます。プレゼンは技術ですから,プレゼンリテラシーの考え方を理解し,練習方法を間違えずに繰り返せば,誰でもうまくできます。より良いプレゼンをするために,知識を学び技術を磨こうとする方々へこの本を送ります。

【書籍の特徴】
読者は「言葉を巧みに操る」ことがプレゼンだと思っているかもしれません。しかしこの本では,「論理的なプレゼンを目指す」ことを目指しています。プレゼンの初心者の方にはまず,言葉を巧みに操り相手の注意を引く技術よりも,まず内容を誤りなく相手に伝える技術を身につけていただきたいからです。本書ではまたプレゼンをスムーズに行うための技術(ジェスチャー,声の使い方,緊張の和らげ方,図表の書き方など)についても解説しています。本書の特徴は以下の3つです。

①本の内容を構造化したこと:
この本は3部構成となっています。第1章にはプレゼンをうまく乗り切るための基本的考え方について,第2章にはその考えを実現させる方法について,第3章には基本的な考え方や方法を反映した例について説明しています。また,第3章には,プレゼン以前に知っておくべき知識にも言及しました。それぞれの章はまた3つの節に分かれていて,それぞれの話題について説明しています。このような構造のほうが読者にわかりやすいと考えたからです。

②プレゼンリテラシーに関連した心理学的知識について説明したこと:
この本の各章にはプレゼンリテラシーに関連した心理学的知識を,心理学ミニ知識として解説しました。その知識を解説することで,プレゼンリテラシーにはそうすべき理由があることを示しました。明白な知識の裏づけがあれば納得してプレゼンリテラシーを学べると思ったからです。

③プレゼン以前に身につけた方が良い知識に触れたこと:
この本ではプレゼンリテラシーの前に身につけた方が良い知識として,論理的に考えることの基本として経験科学的研究で使われる考え方をいくつか紹介しました。またどうやって問題に気づき,解決策を考えるための思考法も紹介しました。

あなたはいま,大きな会場で有名なプレゼンター(本書ではプレゼンをする人をこう呼びます)の登場を待っています(図0.1)。会場は少し暗く,ステージの上だけが明るくなっています。彼のように話せるようになりたいなぁ…。あなたは憧れを抱きつつ彼の話に聴き入ります。彼のようになれるでしょうか。

もちろんなれます。技術と戦略が必要ですが。でも本書はいきなりステージ上の彼のようになるための本ではありません。この本の対象は初心者です。特に,まだあまり他者の前で自分の考えや,自分の仕事について発表(プレゼンテーション,本書ではプレゼンと略します)をしたことがない人が,最初に知っておくべきことが書いてあります。大学生がゼミや卒業論文発表会で行うプレゼンに必要な,また新入社員が同僚や上司に対して,あるいは顧客に対して行うプレゼンに必要な,最も基本的なことが書かれています。

本書の目的はあなたにプレゼンに関する基本的な技術を身に付けてもらうことです。あなたがこの本に書かれていることを実践し,満足のいくプレゼンを人前で示すことができれば,本書の目的は達成されます。もちろん卒業論文の発表の仕方は学問分野によって多種多様であり,就職してからのプレゼンのやり方も職種や提案先,提案する内容によってさまざまです。しかしそれでも,大多数のプレゼンには共通となる基本的な考え方があるのです。本書を読んでその基本的な考え方を知り,それを実現する技術を身に付け,あなたを評価する立場にある人(例えば,上司,顧客,先生など)に自身をアピールしてください。繰り返します。本書の目的は,あなたにプレゼンの基本的技術,考え方―この本ではこれをプレゼンリテラシーと呼びます―を身に付けていただくことです。ちなみに,英語辞書でliteracyというと「(読み書きの)能力,技術」とかいうような意味です。Presentation literacyでプレゼンに必要な能力,技術という意味になります。

プレゼンリテラシーで最も大事なことは,プレゼンの前に,自分のいいたいことを,自分本位にならず,相手(プレゼンの場合は聴衆)にわかりやすく説明するためにはどうするかを考えることです。プレゼンをするということは,いいたいことはすでに決まっているはずです。そうすると,プレゼンに必要な材料は,ほぼ揃っています。ただ,同じ材料から作ったものでも料理の仕方や体調によって美味しかったりまずかったりするように,プレゼンもそのやり方によってわかったり,わからなかったりするものなのです。相手の状態をよく考えて(自分本位にならず),自分の主張を論理的に構成することで,相手が理解しやすいプレゼンを作る。そういう考えこそがプレゼンリテラシーの最も基本的な部分です。すべてのプレゼンは「話者中心」ではなく,「聴衆中心」に考えられるべきなのです。

上記の目的達成のために,本書は3部構成となっています(図0.2)。第1章ではプレゼンをうまく乗り切るための基本的な考え方について,第2章ではその考えを実現させる技術(方法)について,第3章では基本的な考え方や方法を反映した例について説明しています。また,第3章では,プレゼンを行う前に知っておくべき知識にも言及しました。そして,それぞれの章はまた三つの節に分かれていて,それぞれの話題について説明しています。本書をこのような構造にしたのは,このほうが読者にわかりやすいと考えるからです。この考えの根拠については第1章(1.3.2項の①)で説明します。

本書ではまた,プレゼン技術の根拠を心理学的側面から解説しています。プレゼンは自分の考えを他者に伝えるという意味で,対人コミュニケーションの一つの形式です。そのため,プレゼン技術には心理学的知見に基づいたものが多くあります。プレゼン技術でいまも使われているものには根拠があるのです。本書では,プレゼン技術の背景にある根拠を説明し,その技術を使う理由を説明することで,読者の技術習得の意欲が高まることを期待しています。心理学的説明は本文に加え,各章に二つの「心理学ミニ知識」に見ることができます。加えて本書では,各章,各節で三つのテイクホームメッセージ(筆者がいいたいこと)を挙げています。これも心理学的知見の応用です。読者の皆さんは,それぞれの節を読み終わってこれらのメッセージにたどり着いたら,それぞれの節で筆者が何をいいたかったかを思い出してみて下さい。頭の中で復習をしてください。心理学的知見は,そうすることで記憶が定着する可能性が高くなることを予測しています。

さて一口にプレゼンを行うといっても,ポスターを使ったり,資料のみを使ったりと,さまざまな方法が考えられますが,本書では基本的に「スライドを使ってプレゼンをすること」を前提にして書かれています。最近は,スライドを使ってプレゼンをすることが多くなりましたので,それに合わせました。プレゼンは技術ですから,基本的な考えを理解し,正しい方法で繰り返し練習すれば,誰でもうまくできます。いい指導者に出会えれば尚更です。ですから本書がその手助けになれば大変うれしく思います。ただし本書では,マイクロソフト社のExcel(以下,エクセル)やPowerPoint(以下,パワーポイント),アップル社のNumbers(以下,ナンバーズ)やKeynote(以下,キーノート)などの使い方は,少しの例外を除いて扱いません。それについてはほかの本やインターネットを参照してください。

2020年12月
筆者を代表して 下野孝一

1.プレゼンリテラシー:基礎編
1.1 プレゼンの目的をはっきりさせる
 1.1.1 自分の伝えたいことを考える:「伝えたいこと」を書き出す(段階①)
 1.1.2 大体の戦略を考える:5W1Hを考える(段階②)
  心理学ミニ知識1-1
 1.1.3 「伝えたいこと」を洗練する:テイクホームメッセージを決める(段階③)
1.2 材料を準備し,脚本を考える
 1.2.1 「一人」ブレインストーミング:材料を集める(段階①)
 1.2.2 脚本・枠組みづくり:材料を分類する(段階②)
 1.2.3 枠組みの再構築:練習,修正を繰り返す(段階③)
1.3 論理的なプレゼンを作る
 1.3.1 なぜ論理的にプレゼンすべきなのか:意味のネットワーク
 1.3.2 論理的なプレゼンを助ける考え方:科学論文を参考に
  ① 科学論文の構造とプレゼンの枠組み
  心理学ミニ知識1-2
  ② パラグラフとスライド
  ③ パラグラフの特徴
 1.3.3 考え方:結論を先に

2.プレゼンのテクニック:技術編
2.1 グラフ・表・イラストの基本的な書き方
 2.1.1 グラフの基本的な書き方
  ① 棒グラフ
  ② 折れ線グラフ
  ③ 散布図
  ④ 円グラフ
  ⑤ 帯グラフ
 2.1.2 表の基本的書き方
 2.1.3 イラストの描き方
  ① プロセス図
  ② ツリー図
  ③ ベン図
  ④ リスト図
2.2 文の書き方
 2.2.1 悪文を避ける:長くて曖昧な文は書かない
 2.2.2 基本は単文で書く:わかりやすさを心がける
  ① 単文にする
  ② 箇条書きにする
  ③ 抽象的な単語の使用,表現を避ける
 2.2.3 文の効果的な使い方:強調法
  ① 字体を操作する
  ② 配置を考える
  ③ 図やイラストと組み合わせる
2.3 プレゼンターの心得
 2.3.1 話し方
  ① 声量・発音・速度
  ② 身振り手振り(ジェスチャー)と表情
  ③ 視線方向
  心理学ミニ知識2-1
 2.3.2 時間の管理
 2.3.3 緊張の管理
  ① 練習で自信を作る
  ② メモを作って安心を得る
  心理学ミニ知識2-2
  ③ 考え方を変える

3.プレゼンへの第一歩:挑戦編
3.1 脚本と枠組み
 3.1.1 卒業論文の場合:実験研究の例(仮説演繹型)を中心に
  ① 研究の理由
  ② 方法
  ③ 結果
  ④ 議論
 3.1.2 会社内の場合:提案型を中心に
  ① 問題の指摘
  ② 考えられる原因
  ③ 解決策の提案
 3.1.3 会社外での場合:講演
  ① 自己紹介
  ② 仕事の説明
  ③ 振り返り
  ④ 伝えたいこと
3.2 スライド
 3.2.1 スライドの作成時の基本姿勢
  ① 一つのスライドには一つの考え
  ② 用語の定義を明白に
  ③ その他:スライドの数,統一性,具体と抽象の間
 3.2.2 共通のスライド
  ① 題目
  ② 目次
  ③ 結論
  ④ 質問への準備
  心理学ミニ知識3-1
  ⑤ キャッチーなスライド:写真・イラスト,アニメーション・動画など
 3.2.3 スライドの構成の具体例
  心理学ミニ知識3-2
  ① 卒業論文プレゼン(仮説演繹型)
  ② 会社内提案型
  ③ 会社外でのプレゼン(講演の場合)
3.3 プレゼン以前の基本的知識
 3.3.1 経験科学の手法の応用
  ① 経験科学的手法
  ② 事実と意見の区別
  ③ 因果と相関の区別
 3.3.2 論理的構成への手がかり:帰納法と演繹法
 3.3.3 問題発見法:つねに自問自答する
  ① 問題発見のトレーニング
  ② 解決策の模索1(視点の変換)
  ③ 解決策の模索2(類推)

引用・参考文献
索引

下野 孝一(シモノ コウイチ)

東京海洋大学海洋工学部教授。大学院では心理学を専攻し,カナダ・ヨーク大学にてポストドクトラルフェローとして,福岡教育大学にて日本学術振興会特別研究員として知覚心理学の研究に従事した。その後,東京商船大学(現東京海洋大学海洋工学部)に赴任し,一般心理学,教育心理学,認知科学に関する授業を担当した。その間,日本学術研究会2国間派遣研究員として,カナダ・CRC研究所,スコットランド・ダンディ大学,カナダ・ヨーク大学にて知覚心理学,特に3次元知覚に関する研究を行った。現在知覚心理学に加え,社会心理学(特に破壊的リーダーシップ)研究に興味を持っている。

吉田 竜彦(ヨシダ タツヒコ)

中小企業診断士。一般社団法人東京都中小企業診断士協会,一般社団法人埼玉県中小企業診断協会,特定非営利法人文京区中小企業経営協会に所属。大学卒業後,食品メーカーにて生産管理・海外原料調達に従事している。2012年東京海洋大学大学院食品流通安全管理を修了,2017年中小企業診断士に登録,2020年認定経営革新等支援機関に登録された。製造業や飲食店・サービス業を中心に,経営計画の策定支援や補助金等の申請支援を通じて,原価管理強化による収益性改善,販促強化による売上拡大に取り組んでいる。

掲載日:2022/02/07

読売新聞広告掲載(2022年2月7日)

掲載日:2021/10/11

「心理学ワールド」95号

掲載日:2021/06/09

「日本機械学会誌」2021年6月号広告

掲載日:2021/06/01

「電子情報通信学会誌」2021年6月号広告

掲載日:2021/06/01

「土木学会誌」2021年6月号広告

掲載日:2021/05/14

「計測と制御」2021年5月号広告

掲載日:2021/05/14

月刊「トライボロジー」2021年5月号広告

掲載日:2021/04/21

「電気学会誌」2021年5月号広告

掲載日:2021/04/15

情報処理学会誌「情報処理」2021年5月号広告

掲載日:2021/04/08

「数学セミナー」2021年5月号広告

掲載日:2021/02/03

「電子情報通信学会誌」2021年2月号広告