教育メディア

メディア学大系 6

教育メディア

ICT(情報通信技術)の発展により,教育環境が大幅に変化し,新しい教育の枠組みが求められている。本書はICT教育のあり方から今後必要とされるICTを活用した教育方法までをわかりやすく解説している。

ジャンル
発行年月日
2015/04/30
判型
A5
ページ数
192ページ
ISBN
978-4-339-02786-0
教育メディア
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2,640(本体2,400円+税)

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【読者対象】
ICT(情報通信技術)を活用した教育や学習支援に関心のある人

【書籍の特徴】
メディアという切り口で、日常の営みとしての学び(学習)と教え(教育)を再認識してもらうことを意図して著しました。類書に比べると専門的要素は薄いかもしれませんが、メディア技術の進展とそれに伴う情報革命によって、教育・学習支援の環境がどのように変化してきたかを概観できるような内容構成としています。

【各章について】
冒頭の1章では、教育メディアとは何かを定義するとともに、日本における教育へのICT導入の状況や世界のICT教育の実情について概説しています。次の2章では、行動主義や認知主義、状況主義などの学習観の変遷を概観しつつ、その理論に依拠して誕生した学習支援システムを紹介しています。続く3章では、学習プログラムの開発技法として登場したインストラクショナルデザインの考え方とその基本手続きについて解説しています。その後の4章では、ICT教育の基盤となる学習管理システムやMOOCに代表されるオープンエデュケーションについて述べています。次の5章では、学校教育を補完するインフォーマル教育や準教育的空間におけるデジタルメディアの可能性について記しています。続く6章では、ネットワーク上の学習者コミュニティの形成やソーシャルキャピタルの考え方について論じています。最終の7章では、学びに繋がるシリアスゲームやVRなどのメディア技術を教育に取り入れた事例を紹介しています。

【著者からのメッセージ】
学びは人の成長そのものであり、昨今では生涯学習(lifelong learning)という概念が浸透しつつあります。そして、この学びを下支えするのが教えです。学びと教えは誰もが人生で経験する普遍的な営みであり、教えについては歳を経るにつれてその機会が増えてきます。本書を通じて、メディア支援による教育の考え方や事例に接し、次なる教えの場の備えの参考にしていただければ幸いです。

1.教育メディアの変遷
1.1 メディアの発展と教育への活用
 1.1.1 情報革命と知識の伝達
 1.1.2 メディアはメッセージ
 1.1.3 複合的なメディア
 1.1.4 メディアの発達と教育
 1.1.5 メディアと教育のデザイン
 1.1.6 教育メディアの定義
1.2 メディアの種類と教育
 1.2.1 デールの経験の円錐
 1.2.2 ひながた経験
 1.2.3 教育と経験
1.3 学習科学と学習理論
 1.3.1 学習科学
 1.3.2 インストラクショナルデザイン
 1.3.3 学習の後天性と先天性
 1.3.4 行動主義アプローチとコンピュータ
 1.3.5 認知主義による学習理論
 1.3.6 状況主義による学習理論
1.4 教育メディアの歴史
 1.4.1 石板と石筆から紙と鉛筆へ
 1.4.2 視聴覚メディアと教育
 1.4.3 テレビと放送教育
 1.4.4 コンピュータと教育
 1.4.5 日本の教育メディアの転換期
1.5 学校教育へのICT導入状況
 1.5.1 教育の情報化
 1.5.2 情報教育の目標
 1.5.3 教育の情報化に関する政策
 1.5.4 新たな教育の情報化
1.6 世界のICT教育の現状
 1.6.1 リテラシーの定義
 1.6.2 デジタル時代のリテラシー
 1.6.3 21世紀スキル
 1.6.4 デジタルデバイド
演習問題

2.学習観と教育メディアの変遷
2.1 学習理論の変遷の概要
2.2 行動主義的学習観
 2.2.1 パブロフと古典的条件付け
 2.2.2 オペラント条件付け
 2.2.3 プログラム学習とティーチングマシン
 2.2.4 CAI
2.3 認知主義的学習観
 2.3.1 認知革命
 2.3.2 認知心理学とコンピュータメタファ
 2.3.3 知的CAI
 2.3.4 ピアジェと構成主義
 2.3.5 マイクロワールド型教材
2.4 状況主義的学習観
 2.4.1 状況論へのパラダイムシフト
 2.4.2 ヴィゴツキー ─最近接発達領域─
 2.4.3 レイヴとウェンガー ─正統的周辺参加─
 2.4.4 状況主義的学習観に対応した教育スタイル
 2.4.5 CSCL
 2.4.6 初期のCSCLシステム
 2.4.7 協調スクリプト
演習問題

3.インストラクショナルデザイン
3.1 インストラクションとは?
 3.1.1 教えと学び
 3.1.2 学習者中心主義とインストラクション
3.2 学習の条件とインストラクショナルデザイン
 3.2.1 学習の条件
 3.2.2 インストラクショナルデザイン
3.3 学習目標の明確化と課題分析
 3.3.1 学習目標
 3.3.2 学習課題
 3.3.3 課題分析
3.4 レッスンプランの設計と開発
 3.4.1 教授方略
 3.4.2 教授事象
 3.4.3 レッスンプラン
3.5 インストラクションの実施と評価
 3.5.1 実施プラン
 3.5.2 評価の視点
演習問題

4.ICTによる学習支援
4.1 eラーニング
 4.1.1 遠隔教育
 4.1.2 eラーニングの形態
4.2 教育リソースの共有・再利用
 4.2.1 学習オブジェクト
 4.2.2 LOM
 4.2.3 SCORM
 4.2.4 今後の課題と新たな試み
4.3 オープンエデュケーション
 4.3.1 知の社会還元
 4.3.2 オープンコースウェア(OCW)
 4.3.3 ムーク(MOOC)
演習問題


5.生涯教育とメディア
5.1 社会のなかの教育と学習
 5.1.1 生涯教育と学習
 5.1.2 成熟社会の学習
5.2 ノンフォーマルとインフォーマル教育
 5.2.1 インフォーマルとフォーマルの特徴
 5.2.2 インフォーマル/ノンフォーマル教育とメディアの可能性
5.3 準教育的公共空間と教育メディア
 5.3.1 日本における準教育的公共空間
 5.3.2 メディアの教育的な活用方法
5.4 準教育的公共空間と学習
 5.4.1 展示物のデジタル化とビジュアリゼーション
 5.4.2 インタラクティブ展示とビジュアリゼーション
 5.4.3 準教育的公共空間と学習の研究
 5.4.4 準教育的公共空間における学習の動機付け
 5.4.5 準教育的公共空間の利用者の行動と学習
5.5 準教育的公共空間におけるコミュニケーション
 5.5.1 今日の準教育的公共空間のデザイン
 5.5.2 利用者中心アプローチ
 5.5.3 社会教育におけるICT活用
 5.5.4 海外事例紹介①:メトロポリタン美術館
 5.5.5 海外事例紹介②:アルベール・カーン美術館
5.6 家庭とテレビ放送
 5.6.1 教育番組とメディア
 5.6.2 エデュテインメントとしての教育放送
 5.6.3 幼児向け放送番組
 5.6.4 長寿番組「セサミ・ストリート」
演習問題

6.ネットワーク時代の教育メディア
6.1 ネットワーク時代の教育観
 6.1.1 教材のデジタル化と共有化
 6.1.2 ICTを活用した学習管理システム
 6.1.3 知識伝授型から知識創造型教育へ
 6.1.4 情報化社会の教育観の特徴
6.2 ネットワーク環境を利用した教育
 6.2.1 YouTube配信と大学教育
 6.2.2 遠隔授業と講義ビデオ配信
 6.2.3 映像配信とさまざまな教育活用
6.3 資本と教育の概念
 6.3.1 文化資本と教育格差
 6.3.2 ソーシャルキャピタル
 6.3.3 ソーシャルキャピタルとネットワーク
 6.3.4 社会関係資本と共同体における学習
6.4 学習ネットワーク
 6.4.1 イリイチの学習ネットワーク
 6.4.2 ソーシャルネットワーキングサービス
演習問題


7.教育メディアの新しい展開
7.1 ゴールベースドシナリオ(GBS)
 7.1.1 GBS理論と従来の教育
 7.1.2 GBS理論の構成要素
 7.1.3 GBS理論の活用事例
7.2 シリアスゲーム
 7.2.1 ゲームと教育
 7.2.2 シリアスゲームの定義
 7.2.3 シリアスゲームの効果
 7.2.4 シリアスゲームの実例
7.3 バーチャルリアリティを活用した学習
 7.3.1 教育メディアとしてのバーチャルリアリティ
 7.3.2 VRとは
 7.3.3 VRの投影技術
 7.3.4 VRの教育への活用事例
7.4 ユビキタスラーニング
 7.4.1 ユビキタスコンピューティングとユビキタスラーニング
 7.4.2 RFID
 7.4.3 RFIDを用いた活用事例
演習問題

引用・参考文献
演習問題解答
索引

松永 信介

松永 信介(マツナガ シンスケ)

グラフ理論や離散・計算幾何などの応用数理系の分野を専門としています。大学教育に携わるようになってからは、ICTを活用した教育コンテンツの開発や学習支援システムの構築、データ解析などの研究も行っています。

飯沼 瑞穂

飯沼 瑞穂(イイヌマ ミズホ)

大学院では、国際教育開発専攻に所属し、教育学と教育工学の研究をしていました。教育学の分野では、ニューヨークの低所得層が住む地域の学校と家庭でのコンピュータ教育に関する質的調査の研究などを行っていました。一方、教育工学の分野では、教育コンテンツの制作、CSCLに関する研究に従事していました。昨今は、SDGsに関わる研究にも携わっています。

掲載日:2021/08/02

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