数値計算法基礎

数値計算法基礎

広範囲な分野で利用される数値計算法のアルゴリズムについて,固有値問題,常微分方程式などのテーマを各章一つずつに絞り,その基本的な手法についてわかりやすく体系的に解説している。また,関連する興味的な話題も紹介している。

ジャンル
発行年月日
2006/04/06
判型
A5
ページ数
206ページ
ISBN
978-4-339-06078-2
数値計算法基礎
在庫あり

定価

2,640(本体2,400円+税)

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広範囲な分野で利用される数値計算法のアルゴリズムについて,固有値問題,常微分方程式などのテーマを各章一つずつに絞り,その基本的な手法についてわかりやすく体系的に解説している。また,関連する興味的な話題も紹介している。

この本は,情報系の大学3年生を対象として書かれたものであるが,大学4年生や大学院生が研究で数値解析を始めるときにも最初の文献として利用できるように心がけて執箪を行っている。数値計算法,数値解析の基礎的なテキストは多くの方々が執筆されているが,それらはおもに執筆者の所属する各大学等の教科書として執筆されたものである。そのためそれぞれの書籍で扱っている内容は,教科書として利用する大学の卒業研究および大学院での研究に必要な内容に特化しているのが普通である。

私が所属する慶應義塾大学物理情報工学科は,非常に多岐にわたった研究分野の研究室によって構成されているという特色がある。そのためそれぞれの研究室における卒業研究では,行列計算から固有値問題,実験データ解析,偏微分方程式に至る多くの内容が数値計算手法として必要となる。いままでに出版されている書籍では取り扱っている範囲が限定されているため,物理情報工学科のすべての研究室で利用できる内容を網羅するためには何冊ものテキストが必要となる。また,必要な内容をすべて網羅している書籍としては,数百ページに及ぶアルゴリズム事典のようなものがあるが,教科書として授業で使用するものとしては不適当である。

数値計算法の基礎を勉強するとき必ずしも研究で利用する高度なレベルのアルゴリズムを勉強する必要はなく,その基礎になる部分を要領よく勉強し,専門の研究を始めたときにさらにレベルアップするという手法をとったほうが研究効率がよいように思われる。本書では,いろいろな分野で利用される数値計算法のアルゴリズムについて,それらの基本的手法についての説明を行っている。固有値問題,常微分方程式などといった一つのトピックスをそれぞれ一つの章にまとめ,それらのトピックスの最も甚本的と思われる手法についての説明を行っている。数値解析アルゴリズムを研究の対象としていない多くの分野では,本書に書かれた内容を理解すれば十分であると思われる。もちろん数値計算アルゴリズムを対象とした専門的な研究では,本書の内容を基礎としてさらに発展的な数値計算手法を学ばなければならないことは言うまでもない。また,本書では数値計算法に関連した最近の話題などについても盛り込んでいる。本書が,これから数値計算法を勉強しようとする読者の一助になれば幸いである。

最後に本書原稿を熟読し,内容に関して多くの御意見をいただいた慶應義塾大学理工学部の相吉英太郎氏,本多敏氏,畑山明聖氏に心からお礼申し上げたい。

2006年1月
田中敏幸

1 数値計算法の基礎
 1.1 問題の記述と解法
 1.2 数値解析における注意事項
 1.3 浮動小数点の扱い
  1.3.1 IEEE754規格
  1.3.2 IEEE754の特殊な数値
 
2 行列演算の基本
 2.1 行列の四則演算
  2.1.1 行列の加算
  2.1.2 行列の減算
  2.1.3 行列の乗算
 2.2 ピボット選択
 2.3 三角分解(LU分解)
 
3 連立1次方程式
 3.1 ガウスの消去法
  3.1.1 基本アルゴリズム
  3.1.2 部分ピボット選択付きガウスの消去法
  3.1.3 逆行列の計算
 3.2 LU分解を用いる方法
  3.2.1 ガウスの消去法に基づくLU分解
  3.2.2 クラウト法による解法
 3.3 ガウス・ザイデル法
 3.4 SOR法による計算
 
4 固有値問題
 4.1 固有値の基礎
 4.2 ヤコビ法
  4.2.1 固有値の計算
  4.2.2 固有ベクトルの計算
 4.3 LR分解による固有値計算
 4.4 QR分解による固有値計算
  4.4.1 QR分解
  4.4.2 グラム・シュミットの直交化法
 4.5 累乗法と逆反復法
  4.5.1 累乗法
  4.5.2 逆反復法
 
5 実験データの多変量解析
 5.1 データの統計的特徴量
 5.2 最小二乗法
 5.3 主成分分析
  5.3.1 主成分とは
  5.3.2 分析の手順
  5.3.3 主成分の寄与率
  5.3.4 因子負荷量
 
6 離散データ点の補間
 6.1 線形補間
 6.2 ラグランジュ多項式による補間
 6.3 スプライン補間
  6.3.1 Bスプライン
  6.3.2 Bスプラインの計算方法
  6.3.3 多価関数に対応したBスプライン
 
7 時系列データの周波数解析
 7.1 フーリエ級数から離散的フーリエ変換へ
  7.1.1 フーリエ級数
  7.1.2 フーリエ級数展開における注意点
  7.1.3 離散的フーリエ変換
  7.1.4 離散的フーリエ変換の注意点
 7.2 高速フーリエ変換
  7.2.1 時間間引き型FFT
  7.2.2 周波数間引き型FFT
 
8 常微分方程式
 8.1 オイラー法と修正オイラー法
  8.1.1 オイラー法
  8.1.2 修正オイラー法
 8.2 ルンゲ・クッタ法
  8.2.1 4次のルンゲ・クッタ法
  8.2.2 ルンゲ・クッタ・ジル法
  8.2.3 連立微分方程式
  8.2.4 高階の常微分方程式
 
9 非線形方程式
 9.1 ニュートン法
  9.1.1 1変数方程式
  9.1.2 多変数方程式
 9.2 ベアストウ・ヒッチコック法
 9.3 DKA法による解法
  9.3.1 デュラン・カーナーの公式
  9.3.2 アバースの初期値
 
10 数理計画法
 10.1 最急降下法
  10.1.1 勾配を利用した最適解の求め方
  10.1.2 逐次2分割法によるステップ幅の決定
  10.1.3 最急降下法の欠点
 10.2 共役勾配法
 10.3 ニュートン法の応用
 
11 数値積分
 11.1 台形公式
 11.2 シンプソンの公式
 11.3 ガウスの数値積分法
  11.3.1 ルジャンドル多項式
  11.3.2 ガウス・ルジャンドルの公式
  11.3.3 多重積分の数値解法
 
12 偏微分方程式
 12.1 偏微分から差分へ
  12.1.1 前進差分
  12.1.2 中心差分
 12.2 差分式構成の注意点
 12.3 いろいろな偏微分方程式
  12.3.1 拡散型方程式
  12.3.2 波動方程式
  12.3.3 楕円型方程式
 12.4 数値解析のための条件設定
  12.4.1 位置に関する条件設定
  12.4.2 時間変化に関する初期値
  12.4.3 刻み幅の設定
  12.4.4 反復計算について
 
13 モンテカルロ法
 13.1 計算機による乱数の発生
  13.1.1 一様乱数
  13.1.2 正規乱数
  13.1.3 M系列乱数
  13.1.4 メルセンヌツイスタ
 13.2 モンテカルロ法の基本的問題
  13.2.1 ビュッフォンの針の問題
  13.2.2 求積問題
  13.2.3 酔歩問題

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田中 敏幸(タナカ トシユキ)