研究に役立つ  JASPによるデータ分析 - 頻度論的統計とベイズ統計を用いて -

研究に役立つ JASPによるデータ分析 - 頻度論的統計とベイズ統計を用いて -

データ収集では質問紙を配布する方法のほか,Web サイトによるアンケート調査も紹介!

ジャンル
発行年月日
2020/03/05
判型
A5
ページ数
192ページ
ISBN
978-4-339-02903-1
研究に役立つ  JASPによるデータ分析 - 頻度論的統計とベイズ統計を用いて -
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定価

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  • 内容紹介
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  • 広告掲載情報

Rのパッケージを利用した高性能なフリーソフトJASPを利用し,頻度論的統計とベイズ統計を比較しながらデータ分析の基礎を学ぶ。具体的なデータの収集・解析・論文に仕上げるための方法を,流れを追って学べるように記述。

■対象者
・教育学,心理学,看護学を学ぶ大学生。とくに,最終学年になって卒業論文を作成しなければならない(が研究の方法などが全くわからない)学生。
・これから初めて研究を行う人,とくに量的研究を行う人。

■書籍の特徴
① JASPによる頻度論的分析とベイズ的分析によるデータ分析の方法と結果のまとめ方を知ることができる。
② データ分析の方法だけではなく,先行研究の調べ方やデータの集め方についてもわかる。
③ 研究のゴールである論文の書き方もわかる。

本書は,近年注目を集めている無料の統計ソフトウェア環境であるJASP(Jeffery’s Amazing Statistics Program)によるデータ分析法と研究の進め方・まとめ方についてのものである。
(JASPについてはこちらの記事もご参考ください:「JASPとは?」

JASPはヴィジュアル的かつ直感的なグラフィカルユーザインタフェースを採用し,マウス操作で簡単に統計解析を行うことができる。加えて,p値を用いた頻度論的分析だけではなく,ベイズ統計に基づいたベイズ的分析を行うことができるため,JASPは量的研究を行う人にとって有益な武器となるだろう。本書では,JASPによるt検定と分散分析,回帰分析,カイ2乗検定の方法と結果のまとめ方を,頻度論的分析とベイズ的分析の両方についてわかりやすくまとめている。

統計解析以前に,研究ではそのデザインやデータ収集が肝となってくる。そこで,本書ではJASPでの統計解析に加え,先行研究の調べ方やデータ集め方についてもまとめている。とくに,データ収集法については,SQS2による紙媒体による方法と,GoogleフォームによるWeb上での方法を紹介している。これらの方法は,より「楽」なデータ収集法であり,これから研究を行う人だけではなく,すでに研究を行っている人にも有益である。

研究のゴールは,得られた知見をアウトプットすることである。そこで,本書では,得られた知見のアウトプットの仕方,すなわち論文の書き方もわかりやすくまとめている。

筆者たちは,本書を通して多くの人が研究の進め方やデータ分析法,論文の書き方を知り,より多くの有益な研究が行われることを願っている。

◆JASPの日本語対応化進行中!!(2021.5.27現在)
現状公式では日本語に対応していないJASPですが,本書籍著者によりJASP内のメニューの日本語化への対応がとられています。1つのファイルを決まったフォルダーにコピーするだけで日本語メニューに切り替えることができます。詳細は下記ページをご覧ください。
JASPメニューの日本語化の手順(横浜国立大 山本 光)」」

現代はまさにビッグデータ時代である。インターネットを介して日々莫大なデータが収集されて蓄積されている。ある個人の活動を見ても,朝のニュースをスマートフォンで見ているだけで,「どのページを何秒見ていたか」といったデータがサーバーに蓄積されている。また,その蓄積されたデータから,個人の好みを推測し,つぎに見るべきページをお勧めしてくる。これらの蓄積されたデータは,それだけでは価値が低い。データとデータの関係を調べたり,ある人の行動と別の人の行動の差を比較したりすることで,データにさらなる価値が生まれてくるのである。つまり,データ分析を行うことが必要なのである。こういったデータの関係を調べることや二つ以上の事柄の差を比較するための学問は統計学である。

本書は,こういったデータ分析に必要な統計学を学ぶとともに,より具体的なデータの収集方法やデータの解析方法,さらには論文にするための方法を,流れを追って学べるように書かれている。特に,データ分析が必須である心理学や教育学,看護学を学んでいる大学生のために,卒業論文を書くことを前提に各章が構成されている。

一般的に心理学や教育学はいわゆる文系の学部に分類されているが,入学して統計学の知識や技能が必要であることに驚くだろう。また,看護学においてはエビデンスベースドナーシング(証拠に基づく看護)といって,患者の心身を数値で測り,客観的にかつ再現性のある看護を目指している。つまり,看護においてもデータ分析が必須となっている。

本書は,そういった学生たちが迷っているところを長年見てきた著者によるとても具体的な方法の提案である。データ収集においては,質問紙を配布して行う方法や最近はやりのWebサイトによるアンケート調査を紹介している。また,データ分析のソフトウェアは無料で高性能なJASPというソフトウェアを利用する。あまり馴染みのないソフトウェアだとは思うが,計算部分は世界中の研究者が開発しているRのパッケージを利用しており,信頼性は高い。さらに,従来からある頻度論的統計と,最近注目されているベイズ統計の両方を扱うことができる。ただし,日本語のメニューや日本語データが利用できないことから日本国内では有名ではない。しかし,本書を通じてデータ分析を行ってみれば,その素晴らしさを実感できるであろう。

本書は,まず卒業研究に悩んでいる学生は1章から,データの収集方法を知りたい場合は2 章と3 章から,JASPへのデータの読み込みは4章から読むとよいだろう。また,データの分析については5章から13章に記述されている。比較を行いたいのか,関係を見たいのかそれぞれの方法ごとに章が分かれている。最後に,論文執筆について悩んでいる学生は14章と15章を読むことで,卒業論文のみではなく,学会に投稿するための論文も作成できるよう説明がされている。さらに,16章にJASP のインストール方法があるので,まずはJASPを自分のPCに入れて実際に動かしながら本書を読んでほしい。

また,各章の参考文献もできれば読みながら,本書を活用していただければと思う。また本文中の[ ]はJASPのメニューを示しておりサンプルデータはコロナ社のWebサイトからダウンロードもできる。

最後に,なかなか書きあがらない原稿を心優しく待っていたいただいた,コロナ社の皆様には大変お世話になった。また,確率・統計学については馬場裕横浜国立大学名誉教授,教育心理学については石田淳一横浜国立大学名誉教授に公私にわたってご助言いただいた。また,15章の査読論文例の使用を快諾いただいた高橋和子横浜国立大学名誉教授に感謝する。執筆当時は博士課程の大学院生でもあった主著者の清水優菜の指導教員である慶應義塾大学大学院社会科学研究科の鹿毛雅治教授にも心暖かく支援いただいた。ここに関係各位に感謝申し上げる。
2020年1月 清水 優菜・山本  光

1.研究するとは
1.1 研究とは
 1.1.1 調べ学習と研究の違い
 1.1.2 総合的探究の時間と研究の違い
 1.1.3 研究の種類
1.2 研究のおもな流れ
 1.2.1 卒業研究の流れ
 1.2.2 研究の流れ
 1.2.3 科学者として

2.先行研究を調べる
2.1 本の調べ方
 2.1.1 図書館で調べる
 2.1.2 OPACの利用
2.2 論文の調べ方
2.3 論文の種類
 2.3.1 原著論文(査読論文)
 2.3.2 総説論文と速報論文
 2.3.3 研究論文と実践論文
2.4 論文の読み方
 2.4.1 論文の構成
 2.4.2 論文の記録

3.データを集める
3.1 大規模調査データの利用
 3.1.1 総務省統計局
 3.1.2 データアーカイブの利用
3.2 質問紙調査
 3.2.1 質問紙の作成方法
 3.2.2 マークシート式の質問紙の作成
 3.2.3 Webによる質問紙の作成

4.データの種類を把握する
4.1 尺度水準
 4.1.1 質的データ
 4.1.2 量的データ
 4.1.3 連続データと離散データ
4.2 データセットの種類
 4.2.1 時系列データ
 4.2.2 クロスセクションデータ
 4.2.3 パネルデータ
 4.2.4 各データセットの関係
4.3 データの準備
 4.3.1 基本的なデータのフォーマット
 4.3.2 SQSで得られたデータの整形
 4.3.4 Googleフォームで得られたデータの整形
4.4 JASPのデータ読み込み
 4.4.1 データの読み込み
 4.4.2 その他の操作

5.データの特徴を把握する
5.1 特徴の数値的把握
 5.1.1 データの代表値
 5.1.2 データの散布度
 5.1.3 相関係数
5.2 特徴の視覚的把握
5.3 JASPでの求め方

6.データの特徴を推測する
6.1 記述統計学と推測統計学
 6.1.1 データの抽出方法
 6.1.2 標本統計量と母数
 6.1.3 標本分布
 6.1.4 推測統計学の目的
6.2 統計的検定
 6.2.1 仮説を設定する
 6.2.2 有意水準を決定する
 6.2.3 検定統計量を計算する
 6.2.4 検定統計量の有意性を判定する
 6.2.5 p値
6.3 統計的推定
 6.3.1 点推定
 6.3.2 区間推定
6.4 頻度論的統計
6.5 JASPにおける頻度論的分析の実際

7.ベイズ統計を把握する
7.1 ベイズの定理
 7.1.1 確率とはなにか
 7.1.2 同時確率と条件付き確率
 7.1.3 ベイズの定理
7.2 ベイズ的分析の枠組み
 7.2.1 ベイズ的分析の方法
 7.2.2 事前分布の設定
 7.2.3 パラメータの事後分布
 7.2.4 ベイズファクター
7.3 JASPにおけるベイズ的分析の実際
7.4 頻度論的分析とベイズ的分析

8.二つの平均値を比較する
8.1 t検定の方法
 8.1.1 t検定とは
 8.1.2 データの対応関係
 8.1.3 t検定の実施手順
 8.1.4 t検定を実施するときの注意点
8.2 対応ありのt検定
 8.2.1 頻度論的分析
 8.2.2 ベイズ的分析
章末問題

9.三つ以上の平均値を比較する
9.1 分散分析の方法
 9.1.1 分散分析とは
 9.1.2 分散分析を実施するときの注意点
9.2 分散分析の実行
 9.2.1 頻度論的分析
 9.2.2 ベイズ的分析
章末問題

10.二つの要因に関する平均値を比較する
10.1 二元配置分散分析の方法
 10.1.1 二元配置分散分析とは
 10.1.2 二元配置分散分析を実施するときの注意点
10.2 二元配置分散分析の実行
 10.2.1 頻度論的分析
 10.2.2 ベイズ的分析
章末問題

11.二つの変数の関係を検討する
11.1 相関分析の方法
 11.1.1 相関分析とは
 11.1.2 相関分析を実施するときの注意点:相関関係と因果関係
11.2 相関分析の実行
 11.2.1 頻度論的分析
 11.2.2 ベイズ的分析
章末問題

12.変数を予測・説明する
12.1 回帰分析の方法
 12.1.1 回帰分析とは
 12.1.2 回帰分析の実施
 12.1.3 回帰分析を実施するときの注意点
12.2 回帰分析の実行
 12.2.1 頻度論的分析
 12.2.2 ベイズ的分析
章末問題

13.質的変数の連関を検討する
13.1 カイ2乗検定の方法
 13.1.1 カイ2乗検定とは
 13.1.2 カイ2乗検定を実施するときの注意点
13.2 カイ2乗検定の実行
 13.2.1 頻度論的分析
 13.2.2 ベイズ的分析
 13.2.3 js-STARによるカイ2乗検定
章末問題

14.結果を図表にまとめる
14.1 t検定と分散分析の図表のつくり方
 14.1.1 平均値と標準偏差を記した表のつくり方
 14.1.2 平均値を記した図のつくり方
14.2 相関表のつくり方
14.3 重回帰分析の結果の表のつくり方

15.論文やレポートにまとめる
15.1 論文やレポートの構成
15.2 論文やレポートの書き方
 15.2.1 タイトルの書き方
 15.2.2 要約の書き方
 15.2.3 問題の書き方
 15.2.4 方法の書き方
 15.2.5 結果の書き方
 15.2.6 考察の書き方
 15.2.7 引用文献の書き方
15.3 論文やレポートにおいて注意すべき表現
 15.3.1 引用の仕方
 15.3.2 文章の構成
 15.3.3 接続詞の用法

16.JASPのインストール手順
16.1 JASPのインストール
16.2 ファイルや環境設定

引用・参考文献
索引

amazonレビュー

清水 優菜

清水 優菜(シミズ ユウノ)

兵庫教育大学助教。札幌旭丘高等学校から横浜国立大学教育人間科学部,横浜国立大学大学院教育学研究科,慶應義塾大学大学院社会学研究科教育学専攻を経て,現在に至る。
専門は,教育心理学と教育工学,科学教育学。現在,数学的問題解決における動機づけと感情の役割を解明すべく,慶應義塾大学の鹿毛雅治教授のもとで研究を行っている。主に量的研究の視座から,頻度論的分析とベイズ的分析の両方を用いて,研究を進めている。

山本 光

山本 光(ヤマモト コウ)

横浜国立大学教育学部教授。大学院では高エネルギー物理を研究し,情報関連企業の研究員として就職した。その後,横浜国立大学教育人間科学部マルチメディア文化課程の助手として赴任し,統計学やプログラミング,および情報モラル,著作権に関する授業を担当した。同時に,環境情報学府の根上生也教授のもとで位相幾何学的グラフ理論を研究した。
現在は,横浜国立大学教育学部 学校教育課程 数学教育講座の教授として,解析学や確率統計およびプログラミングの授業を行っている。研究においては,データ分析を用いた数学教育やプログラミング教育の研究教育を行っている。その他,横浜市立大学,神奈川県立保健福祉大学にて,情報処理学の非常勤講師をしている。2017年に横浜国立大学ベストティーチャー賞受賞した。

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8章 「t-検定 頻度論的分析の操作動画」



8章 「t-検定 ベイズ的分析の操作動画」



8章 「練習問題 t-検定 頻度論的分析の操作動画」



8章 「練習問題 t-検定 ベイズ的分析の操作動画」



9章 「分散分析 頻度論的分析の操作動画」



9章 「分散分析 ベイズ的分析の操作動画」



9章 「練習問題 分散分析 頻度論的分析の操作動画」



9章 「練習問題 分散分析 ベイズ的分析の操作動画」