最速の推計統計 - 正規分布の徹底攻略 -

最速の推計統計 - 正規分布の徹底攻略 -

  • 渡邊 洋 産業技術総合研究所 博士(工学)

推計統計学のキモの部分に最速で到達することを目的とし、その計算方法,使い道などについて,理解することをゴールとした。

ジャンル
発行年月日
2016/10/13
判型
A5
ページ数
208ページ
ISBN
978-4-339-06112-3
最速の推計統計 - 正規分布の徹底攻略 -
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定価

2,860(本体2,600円+税)

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  • 内容紹介
  • 目次
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  • 広告掲載情報

本書は推計統計学のキモの部分に最速で到達することを目的としている。すなわち,なぜ推計統計学といえば正規分布のグラフが登場するのか,その計算方法,使い道などについて,腹の底から理解することをひとまずのゴールとしている。

1. 推計統計学のイメージ

1.1 計測とはガラポンである
   1.1.1 ガラポン
   1.1.2 母集団
   1.1.3 無作為化
   1.1.4 抽出
   1.1.5 標本
   1.1.6 標本の大きさ
   1.1.7 標本数
1.2 なぜ私たちはデータの平均をとるのか
セルフチェックリスト
章末問題

2. 分布

2.1 度数分布表とヒストグラム
2.2 度数分布表を使った計算例
セルフチェックリスト
章末問題

3. 平均と分散と標準偏差

3.1 図形的に理解する
3.2 なぜ平均,分散,標準偏差が重要なのか
3.3 ギリシア文字表記とアルファベット表記
3.4 分散には気をつけろ(予告)
セルフチェックリスト
章末問題

4. 中心極限定理と正規分布,およびその計算

4.1 1ミリたりともわからない定理
4.2 サイコロを振るということは
4.3 乱数と乱数の平均は乱数か?:ここがヤマ場
4.4 中心極限定理の「平均」に関する記述を理解する
4.5 中心極限定理の「標準偏差」に関する記述を理解する
4.6 理論値との突き合わせ
4.7 正規分布の計算:その1
   4.7.1 まずは表を使った手計算
   4.7.2 積分で考える
   4.7.3 Excelの関数を使って積分する
4.8 正規分布の計算:その2
セルフチェックリスト
章末問題

5. 正規化と標準化とz変換
5.1 標準正規分布
5.2 標準正規分布の数式を読み解く
5.3 ±1σ,±2σ,±3σ
セルフチェックリスト
章末問題

6. 推定1:真の平均値を計測結果から幅つきで予想する
6.1 まずはロードマップを
6.2 母集団が正規分布するとき,かつ母集団の標準偏差がわかっている場合
   6.2.1 「95%信頼区間」とはどういう意味なのか
   6.2.2 問題の機械的な解き方
   6.2.3 z変換との関係
6.3 母集団の分布は不明だが,母集団の標準偏差がわかっている場合
   6.3.1 信頼区間を求める問題
   6.3.2 標本の大きさを求める問題
6.4 母集団は正規分布するが,平均と標準偏差は不明で,標本の大きさ30未満の場合
   6.4.1 t分布と不偏分散の登場
   6.4.2 不偏分散の定義
   6.4.3 不偏分散のシミュレーションによる理解
   6.4.4 不偏分散u2 の平方根は何者か
   6.4.5 t分布の導入とシミュレーション
   6.4.6 t分布の数式表現
   6.4.7 t分布を使った区間推定
   6.4.8 Excelの関数を使って信頼区間を求める
6.5 母集団は正規分布するが,平均と標準偏差は不明で,標本の大きさ30以上の場合
セルフチェックリスト
章末問題

7. 推定2:真の分散を計測結果から幅つきで予想する
7.1 まずはロードマップを
7.2 カイ2乗分布:その1(母集団が標準正規分布の場合)
7.3 カイ2乗分布:その2(母集団が正規分布し,母平均μが既知の場合)
7.4 カイ2乗分布:その3(母集団が正規分布し,母平均μが不明の場合)
7.5 統計量ns22 が自由度n − 1 のカイ2乗分布に従うことの確認
セルフチェックリスト
章末問題

8. 検定
8.1 片側検定と両側検定
8.2 母平均の検定
   8.2.1 母集団が正規分布とわかっているとき
   8.2.2 母集団の分布は不明だが母分散がわかっている場合
   8.2.3 母分散が不明で,標本が小さい場合:t検定
8.3 母平均の差の検定(標本の大きさが30 未満のとき):t検定
   8.3.1 手で計算する
   8.3.2 Excelのツールで計算する
   8.3.3 母平均の差がt分布に従うことを確認する
   8.3.4 補足:標本の大きさが30以上のとき
8.4 母比率の検定
   8.4.1 統計量の手計算
   8.4.2 Excelシミュレーションによる確認
8.5 母比率の差の検定
   8.5.1 統計量の手計算
   8.5.2 Excelシミュレーションによる確認
8.6 カイ2乗検定
   8.6.1 統計量の手計算
   8.6.2 Excelシミュレーションによる確認
8.7 試験で○がもらえる検定の答案の書き方について
   8.7.1 例題と解答
   8.7.2 有意水準
   8.7.3 帰無仮説と対立仮説
   8.7.4 棄却閾
セルフチェックリスト
章末問題

付録
A.1 Excelによるシミュレーションブックについて
   A.1.1 動作環境
   A.1.2 ダウンロード
   A.1.3 Excelの使用について
A.2 Excelを使った度数分布の求め方
   A.2.1 データ範囲を確認する
   A.2.2 区間を設定する
   A.2.3 度数を出力する範囲を選択する
   A.2.4 関数を入力する
   A.2.5 フィニッシュ!
   A.2.6 グラフ(ヒストグラム)の作成
A.3 スタージェスの公式
A.4 正規分布するデータセットをnorm.invで作る
   A.4.1 ランダムデータを作る
   A.4.2 正規分布データを作る
A.5 関数norm.dist内の最後のパラメータについて:累積分布関数と確率質量関数
A.6 ヒストグラムが理論値と一致しない?:確率密度とはなにか

参考書籍およびウェブページ
章末問題解答
おわりに
索引

掲載日:2022/09/05

2022年度 統計関連学会連合大会広告

掲載日:2019/12/01

「現代思想」2019年12月号 広告

推計統計学は日常生活でも役に立つ数学的技術だ。そして平均や分散を理屈に沿って丁寧に用いれば,容易に習得できる技術のはずである。しかし現実は,途中からモヤモヤ感がつのりだし,なんとか最後までたどりついても,その後自信を持って統計という道具を使うことはなかなか難しい。

 本書は1章当り約2時間で読み進めることによって,最短8~12時間程度で推計統計学のキモの部分に到達できることを目的としたものである。すなわち,なぜ推計統計学といえば正規分布のグラフが登場するのか,その計算方法,その使い道などについて,腹の底から理解することをひとまずのゴールとする。

 また本書の特色として、登場するすべての統計理論を視覚化し、実体のあるものとして示した。これを実現するにはデータを数千から数万集めてグラフを書くことが必要だ。そこで,Excelを用いて,難解な数式や概念が確かに象徴的なグラフとして表現できる,しかもボタン一つで何回やり直してもその傾向は変わらないことを示した。Excelにどのような式を入力すれば、それが実現できるのかについても解説した。すべてのワークシートはコロナ社のサーバーからダウンロードできるようにしたので、Excelをお持ちの読者は,ぜひシミュレーションの楽しさを味わっていただきたい。Excelをお持ちでない読者は,シミュレーション結果はすべて本文中に掲載されているので,本文のストーリーを追う過程でそれらを見るだけでもよい。

 統計の森で迷子になった方の再挑戦の素材として、統計を教える方のネタ本として、もちろん初学者の副読本として手にとっていただければ幸いです