
インタラクションデザイン - 生活・技術・人をつなぐデザインのかたち -
「使いやすさ」の当たり前を問い直し,発想を広げるヒントが満載の実践ガイド
- 発行予定日
- 2025/09/中旬
- 判型
- A5
- 予定ページ数
- 220ページ
- ISBN
- 978-4-339-01381-8

- 内容紹介
- まえがき
- 目次
☆発行前情報のため,一部変更となる場合がございます
本書を手にとってくださった方には「インタラクションデザインを学びたい」という人もいれば,「インタラクションデザインって何なのかイマイチよくわからない」という人もいるのではないでしょうか。インタラクションデザインの分野全体を俯瞰した書籍としては,『新しいヒューマンコンピュータインタラクションの教科書 基礎から実践まで(玉城絵美著,講談社)』,『ヒューマンコンピュータインタラクション入門(椎尾一郎著,サイエンス社)』『ヒューマンコンピュータインタラクション(米村俊一著,コロナ社)』などを読んでいただくことで,インタラクションデザインの本流を学ぶことができます。しかし,こういった教科書的な書籍では,枝葉の部分はそぎ落とされてしまうことが多くあります。
本書は,大学の学部で基礎科目を学んだあとを想定して,「インタラクションデザイン」にまつわる分野の具体的な研究事例を広く取り上げながら解説することで,インタラクションデザインをより理解していただくことを目指した書籍です。良いインタラクションデザインとはどのようなものか,それをためしにつくってみるにはどういった方法があるのか,どういったことがいま研究されているのかについて,具体的な事例を通してより理解していただけるのではないかと期待しています。
読者層としては,おもに学部3,4年生を想定していますが,この分野の大学といったアカデミアの場でどのような研究がされているのかを覗いてみたいといった意欲のある高校生や,他分野で学んだけれどインタラクションデザインにも興味があるといった大学院生や社会人にも興味を持っていただけるかもしれません。
本書の構成は,1章「インタラクションデザインって?」ではインタラクションデザイン分野について広く紹介したあと,本書を理解する上で必要なキーワードなどを紹介しつつ,学べることや関連学会の情報について簡潔にまとめてお伝えします。続く,2~6章ではこの分野を牽引する5名の研究者が具体的に解説します。2章「インタラクションデザインの失敗から学ぶ」では悪いインタフェースを理解することで良いインタフェースとは何かを考えてみることができます。3章「インタラクションデザインにおけるマインドセットとプロトタイピング」では思いついたもの・デザインをためしにつくってみるための方法を知ることができます。4章「生活志向のインタラクションデザイン」では私たちの生活に密着する場面を具体的に挙げながらどのように技術を導入できるのかの事例を知ることができます。5章「不特定多数を対象とするインタラクションデザイン」ではこれまでを踏まえて,人数や距離に着目したインタラクションに具体例を広げていきます。6章「「できる」から「したい」に導くインタラクションデザイン」ではデザインでどう人の行動を考えていけるかといった視点から具体例で学んでいくことができます。最後の7章では執筆者全員でここまでを踏まえた対談を行い,この分野の未来について考えてみました。答えに向かって最適化する分野ではないからこそ,広い視野でたくさんの試行錯誤をしていただくヒントになればと思います。本書が読者の皆さんにとって,いまを知り,未来を考えるきっかけになることを期待しています。
2025年8月
編著者 五十嵐悠紀
☆発行前情報のため,一部変更となる場合がございます
1.インタラクションデザインって?
1.1 インタラクションデザインとは
1.2 良いデザインにするためのユーザビリティ評価
1.3 アフォーダンス
1.4 プロトタイピングにはさまざまな方法がある
1.5 ユーザー中心設計
1.6 本書で学べること
1.7 最新情報はどこから得るといいの?
コラム: 対象ユーザーを観察することでの気づき
2.インタラクションデザインの失敗から学ぶ
2.1 失敗は最高の先生
2.2 BADUI の事例とそこからの学び
2.3 BADUI とそのDIY
2.4 DX とBADUI
2.5 失敗からどのように学ぶか
2.6 生成AI は人と同じ間違いをする?
2.7 お わ り に
3.インタラクションデザインにおけるマインドセットとプロトタイピング
3.1 「いいこと思いついた!みてみて~ 」
3.2 エンジニアリングと科学とデザイン
3.3 インタラクションデザインの研究パターン
3.4 プロトタイピングというコミュニケーション
3.5 プロトタイピングの方法と考え方
3.6 代表的なプロトタイピング手法
3.6.1 試 作 実 装
3.6.2 ビデオプロトタイピング
3.6.3 ペーパープロトタイピング
3.6.4 アクティングアウト
3.7 プロトタイピングを育む研究室環境づくり
3.8 アイデアを生み出す方法
3.9 研究室での活動事例とそのプロトタイピングフェーズ
3.10 お わ り に
4.生活志向のインタラクションデザイン
4.1 ユビキタスコンピューティング
4.2 スマートホーム
4.3 生活空間を拡張する
4.4 生活に織り込むインタフェース
4.5 ユビキタスなデバイスの利用
4.6 遊びの未来
4.7 生活習慣の改善を応援
4.8 遠隔コミュニケーション
4.9 物探しの支援
4.10 導入と保守のインタフェース
4.11 おわりに
5.不特定多数を対象とするインタラクションデザイン
5.1 見過ごされるインタラクション
5.2 インタラクション可能性およびエンゲージメント
5.2.1 コアメカニクス
5.2.2 (主観的な)インタラクション可能性
5.2.3 客観的なインタラクション可能性
5.2.4 エンゲージメント
5.2.5 エンゲージメントの継続
5.3 距離に応じたインタラクションデザイン
5.3.1 近接学
5.3.2 近接学の応用
5.3.3 近接学に基づいた事例分析
5.4 時間軸から考えるインタラクションデザイン
5.4.1 期間の分類
5.4.2 時間軸に基づいた事例分析
5.5 展示設計のガイドライン
5.5.1 コアメカニクスの確立と洗練
5.5.2 空間的側面の考慮
5.5.3 時間的側面の考慮
5.6 おわりに
6.「できる」から「したい」に導くインタラクションデザイン
6.1 「できる」から「したい」を考える
6.2 書きたくなる:筆記音のフィードバック
6.3 伝えたくなる:ラジオ放送とグループワークでの実践
6.4 アンケートに答えたくなる:ミュージアムでの実践
6.5 おわりに
7.未来を考える
7.1 生活志向インタラクションの研究のはじまり
7.2 単機能を実現したスマートフォン
7.3 問題を探せるか,解決策を考えられるか
7.4 問題を与えられることを待っていてはいけない
7.5 アイデアを要素分解できるか
コラム:DIY精神が大事
7.6 アイデアが出せなければ,偉大なアイデアを真似てつくってみよう
7.7 スケールの大きいゴールの前に短期目標を据える
7.8 なぜ人が選挙にいくのかをインタラクションデザインで考える
7.9 発想を豊かにするためには現場に行け
7.10 自信を持って身近なことから考えてみよう
引用・参考文献
索引