
インタラクションデザイン - 生活・技術・人をつなぐデザインのかたち -
「使いやすさ」の当たり前を問い直し,発想を広げるヒントが満載の実践ガイド
- 発行予定日
- 2025/09/中旬
- 判型
- A5
- ページ数
- 216ページ
- ISBN
- 978-4-339-01381-8
- 内容紹介
- まえがき
- 目次
【読者対象】
・大学学部後半(3・4年生)でインタラクションデザインを学ぶ学生
・他分野からインタラクションデザインに興味を持った大学院生・社会人
・この分野に関心をもつ意欲ある高校生
・HCIや情報デザイン分野の教育者・研究者
【書籍の特徴】
本書は、インタラクションデザインの基礎を学んだ学生が実践や研究に踏み出すための“次の一冊”です。教科書では触れにくい、試行錯誤のプロセスや生活に根ざした実例を通して、「良いデザインとは何か」を多角的に考える機会を提供します。5名の執筆者がそれぞれ異なる視点から執筆しており、章ごとに分野の広がりと奥深さを実感できることでしょう。巻末の著者全員による対談では、インタラクションデザインの未来を見つめ、読者自身の関心や可能性を探る手がかりを提示します。
【各章について】
第1章では、インタラクションデザインの概要と関連キーワード、学会情報などを紹介し、本書全体の導入としての役割を果たします。第2章では、身近な“悪い”インタフェースの例から失敗に学び、「良いデザインとは何か」を考えます。第3章では、アイデアを試作するマインドセットとプロトタイピングの方法に焦点を当て、実践的なアプローチを紹介します。第4章は、生活の中にある課題を起点に、技術をどうデザインに取り入れるかを事例とともに解説。日常生活に根ざした視点からインタラクションを考えます。第5章では、不特定多数を対象にしたデザインの視点を提示し、空間的・社会的スケールの拡張について論じます。第6章では、「できる」だけでなく「したい」へと人の行動を促すデザインのあり方を、感情や行動変容の観点から探ります。最終の第7章では、執筆者全員による対談を通じて、インタラクションデザインの未来とその可能性を多角的に語り合い、読者が自身の視点でこの分野を考えるきっかけを提供します。
【著者からのメッセージ】
インタラクションデザインとは何か。それを一言で語ることは難しく、だからこそ私たちはこの本を書きました。本書では、生活・技術・人をつなぐデザインの「かたち」を、さまざまな事例とともに紹介しています。「なんとなく面白そう」「ちょっと気になる」そんな気持ちからでも構いません。失敗から学ぶこと、試しにつくってみること、生活のなかで見つける工夫…。そのすべてが、インタラクションデザインの大切な一部です。正解を求めるのではなく、たくさんの視点に触れながら、広く・深く考えるきっかけとしてこの本を手に取っていただけたら幸いです。
【キーワード】
インタラクションデザイン、HCI、ユーザインタフェース、プロトタイピング、ユーザビリティ、生活支援技術、社会実装、行動変容、創造的思考、人間中心設計
☆発行前情報のため,一部変更となる場合がございます
本書を手にとってくださった方には「インタラクションデザインを学びたい」という人もいれば,「インタラクションデザインって何なのかイマイチよくわからない」という人もいるのではないでしょうか。インタラクションデザインの分野全体を俯瞰した書籍としては,『新しいヒューマンコンピュータインタラクションの教科書 基礎から実践まで(玉城絵美著,講談社)』,『ヒューマンコンピュータインタラクション入門(椎尾一郎著,サイエンス社)』『ヒューマンコンピュータインタラクション(米村俊一著,コロナ社)』などを読んでいただくことで,インタラクションデザインの本流を学ぶことができます。しかし,こういった教科書的な書籍では,枝葉の部分はそぎ落とされてしまうことが多くあります。
本書は,大学の学部で基礎科目を学んだあとを想定して,「インタラクションデザイン」にまつわる分野の具体的な研究事例を広く取り上げながら解説することで,インタラクションデザインをより理解していただくことを目指した書籍です。良いインタラクションデザインとはどのようなものか,それをためしにつくってみるにはどういった方法があるのか,どういったことがいま研究されているのかについて,具体的な事例を通してより理解していただけるのではないかと期待しています。
読者層としては,おもに学部3,4年生を想定していますが,この分野の大学といったアカデミアの場でどのような研究がされているのかを覗いてみたいといった意欲のある高校生や,他分野で学んだけれどインタラクションデザインにも興味があるといった大学院生や社会人にも興味を持っていただけるかもしれません。
本書の構成は,1章「インタラクションデザインって?」ではインタラクションデザイン分野について広く紹介したあと,本書を理解する上で必要なキーワードなどを紹介しつつ,学べることや関連学会の情報について簡潔にまとめてお伝えします。続く,2~6章ではこの分野を牽引する5名の研究者が具体的に解説します。2章「インタラクションデザインの失敗から学ぶ」では悪いインタフェースを理解することで良いインタフェースとは何かを考えてみることができます。3章「インタラクションデザインにおけるマインドセットとプロトタイピング」では思いついたもの・デザインをためしにつくってみるための方法を知ることができます。4章「生活志向のインタラクションデザイン」では私たちの生活に密着する場面を具体的に挙げながらどのように技術を導入できるのかの事例を知ることができます。5章「不特定多数を対象とするインタラクションデザイン」ではこれまでを踏まえて,人数や距離に着目したインタラクションに具体例を広げていきます。6章「「できる」から「したい」に導くインタラクションデザイン」ではデザインでどう人の行動を考えていけるかといった視点から具体例で学んでいくことができます。最後の7章では執筆者全員でここまでを踏まえた対談を行い,この分野の未来について考えてみました。答えに向かって最適化する分野ではないからこそ,広い視野でたくさんの試行錯誤をしていただくヒントになればと思います。本書が読者の皆さんにとって,いまを知り,未来を考えるきっかけになることを期待しています。
2025年8月
編著者 五十嵐悠紀
☆発行前情報のため,一部変更となる場合がございます
1.インタラクションデザインって?
1.1 インタラクションデザインとは
1.2 良いデザインにするためのユーザビリティ評価
1.3 アフォーダンス
1.4 プロトタイピングにはさまざまな方法がある
1.5 ユーザー中心設計
1.6 本書で学べること
1.7 最新情報はどこから得るといいの?
コラム: 対象ユーザーを観察することでの気づき
2.インタラクションデザインの失敗から学ぶ
2.1 失敗は最高の先生
2.2 BADUI の事例とそこからの学び
2.3 BADUI とそのDIY
2.4 DX とBADUI
2.5 失敗からどのように学ぶか
2.6 生成AI は人と同じ間違いをする?
2.7 お わ り に
3.インタラクションデザインにおけるマインドセットとプロトタイピング
3.1 「いいこと思いついた!みてみて~ 」
3.2 エンジニアリングと科学とデザイン
3.3 インタラクションデザインの研究パターン
3.4 プロトタイピングというコミュニケーション
3.5 プロトタイピングの方法と考え方
3.6 代表的なプロトタイピング手法
3.6.1 試 作 実 装
3.6.2 ビデオプロトタイピング
3.6.3 ペーパープロトタイピング
3.6.4 アクティングアウト
3.7 プロトタイピングを育む研究室環境づくり
3.8 アイデアを生み出す方法
3.9 研究室での活動事例とそのプロトタイピングフェーズ
3.10 お わ り に
4.生活志向のインタラクションデザイン
4.1 ユビキタスコンピューティング
4.2 スマートホーム
4.3 生活空間を拡張する
4.4 生活に織り込むインタフェース
4.5 ユビキタスなデバイスの利用
4.6 遊びの未来
4.7 生活習慣の改善を応援
4.8 遠隔コミュニケーション
4.9 物探しの支援
4.10 導入と保守のインタフェース
4.11 おわりに
5.不特定多数を対象とするインタラクションデザイン
5.1 見過ごされるインタラクション
5.2 インタラクション可能性およびエンゲージメント
5.2.1 コアメカニクス
5.2.2 (主観的な)インタラクション可能性
5.2.3 客観的なインタラクション可能性
5.2.4 エンゲージメント
5.2.5 エンゲージメントの継続
5.3 距離に応じたインタラクションデザイン
5.3.1 近接学
5.3.2 近接学の応用
5.3.3 近接学に基づいた事例分析
5.4 時間軸から考えるインタラクションデザイン
5.4.1 期間の分類
5.4.2 時間軸に基づいた事例分析
5.5 展示設計のガイドライン
5.5.1 コアメカニクスの確立と洗練
5.5.2 空間的側面の考慮
5.5.3 時間的側面の考慮
5.6 おわりに
6.「できる」から「したい」に導くインタラクションデザイン
6.1 「できる」から「したい」を考える
6.2 書きたくなる:筆記音のフィードバック
6.3 伝えたくなる:ラジオ放送とグループワークでの実践
6.4 アンケートに答えたくなる:ミュージアムでの実践
6.5 おわりに
7.未来を考える
7.1 生活志向インタラクションの研究のはじまり
7.2 単機能を実現したスマートフォン
7.3 問題を探せるか,解決策を考えられるか
7.4 問題を与えられることを待っていてはいけない
7.5 アイデアを要素分解できるか
コラム:DIY精神が大事
7.6 アイデアが出せなければ,偉大なアイデアを真似てつくってみよう
7.7 スケールの大きいゴールの前に短期目標を据える
7.8 なぜ人が選挙にいくのかをインタラクションデザインで考える
7.9 発想を豊かにするためには現場に行け
7.10 自信を持って身近なことから考えてみよう
引用・参考文献
索引
★特設サイトはこちらから★
各書籍の詳細情報や今後の刊行予定,関連書籍などがご覧いただけます。