ヒューマンインタフェース

ヒューマンインタフェース

高専・大学,大学院の教科書として,人間の特性や心の働きについて知った上で,ヒューマンインタフェース開発に携われるよう執筆。

ジャンル
発行年月日
2019/09/18
判型
B5
ページ数
152ページ
ISBN
978-4-339-02897-3
ヒューマンインタフェース
在庫あり

定価

2,750(本体2,500円+税)

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  • 広告掲載情報

ヒューマンインタフェースとは,モノと人間の境界部分のことである。本書は高専や大学,大学院の教科書として,人間の特性や心の働きについても知った上で,ヒューマンインタフェース開発の勉強をしてもらうために執筆した。

昔に比べるとずいぶんと使いやすくなったなあと思うモノがたくさんある。その一方で,あまりの使い勝手の悪さに途中で使うのをやめたモノや,なんとかならないものかと愚痴をこぼしながらも仕方なく使っているモノもいまだにある。このような差を生む原因の一つが,ヒューマンインタフェース設計におけるユーザ(利用者)に対する配慮の違いである。ヒューマンインタフェースとは,モノと人間の境界部分のことである。広く捉えるならば,モノには道具や機械,コンピュータなどあらゆる人工物が含まれる。この境界部分の設計において,使う人のことをよく考えて設計しているか,ユーザに使ってもらってその意見を反映しながら設計しているかが,決定的な違いとなる。

本書は,高等専門学校や大学,大学院で使用する教科書として執筆した。筆者は,勤務校において長らくヒューマンインタフェースに関する授業を担当しているが,授業で使いたいと思うような手頃な教科書がなかったのが本書執筆のきっかけである。もちろん,良書はたくさんある。しかし,筆者のわがままなこだわりの性格のせいか,教えたいという内容にもっと合ったものがほしいという思いであった。

受講学生は工学系の学生であり,学生たちは,機械やコンピュータについては他の授業でいろいろと学んでいて,そこそこの知識を持っている。しかし,多くの工学系の学生にとって,人間の特性について学習する機会はほとんどない。大学の場合は低年次に人間科学に関する授業を取ることもあるであろうが,その時は,その授業が自分の専門とどう関わるのかがイメージできないこともあり,高年次や大学院の学生の記憶にはほとんど残っていない。筆者は,人間の心の働きについても知った上で,ヒューマンインタフェース開発の勉強をしてもらいたいと考えている。授業ではこれまで図表を掲載した資料を配布していた。しかし,そういった資料だけでは学生は十分に理解することができないのではないか,やはり授業の後で読み直したりすることができる教科書が必要ではないかと思うようになり,授業で話していることを中心にまとめたのが本書である。

1章では導入としてヒューマンインタフェースについての概説を行った。前半ではヒューマンインタフェースとはなにかについて説明し,後半ではヒューマンインタフェースと関わりが深い領域についてごく簡単に紹介した。2章から4章が人間の心の働きについて説明した章である。ここでは心理学の知見が中心となっている。近年,脳科学が急速に進展してきており,脳の働きについてはたくさんの興味深い話がある。しかし,授業時間(15回) を考慮し,本書では脳の働きに関する説明は割愛した。2章は感覚知覚について説明した。通常のヒューマンインタフェースでは,視覚が情報を受け取るための最も重要な感覚であるため,視覚に関する説明に多くを割いた。3章は学習,記憶,注意,思考といった心の知的な機能について紹介した。また,人間の知的な機能がうまく働かない場合に生じるヒューマンエラーやその対策についても説明した。4章は人間の知的機能を支える基盤である,動機づけと感情について記した。5章と6章は,ヒューマンインタフェースを設計するときに直接的に必要となる事項を扱っている。5章では,現代のヒューマンインタフェース設計の考え方や規格を紹介した。最初にユーザビリティ,アクセシビリティ,ユーザエクスペリエンスという三つの概念について説明し,その後に人間中心設計と呼ばれる,ヒューマンインタフェース設計において現在最もよく使われている設計方法について紹介した。その後,少し流れが変わるが,色の表し方と配色理論について触れた。5章の最後にはヒューマンインタフェースと関連するJIS規格,ISO規格のおもなものについて記した。最後の6章ではユーザ調査からユーザテストまでの開発の各段階で使われる具体的な手法のいくつかについて解説した。

本書を読むことでヒューマンインタフェースに関する学生の理解が深まることがあれば,執筆の目的を達したことになり,筆者にとって嬉しい限りである。教科書を出版したいという筆者の希望を叶えてくださったコロナ社に深く感謝を申し上げたい。
2019年6月
志堂寺和則

1. ヒューマンインタフェース概説
1.1 ヒューマンインタフェース
 1.1.1 用語
 1.1.2 ヒューマンインタフェースの捉え方
1.2 広義のヒューマンインタフェース
 1.2.1 ノーマンの七つの原則
 1.2.2 標準化
1.3 狭義のヒューマンインタフェース
 1.3.1 これまでの変遷
 1.3.2 今後の展開
1.4 関連領域
 1.4.1 人間工学
 1.4.2 心理学
 1.4.3 コンピュータサイエンス
 1.4.4 認知工学
 1.4.5 感性工学
課題
推薦図書

2. 人間の感覚知覚
2.1 感覚に関する法則
 2.1.1 ウェーバーの法則,フェヒナーの法則
 2.1.2 スティーブンスのべき法則
2.2 視覚系(眼球)の構造と機能
2.3 明るさの知覚
 2.3.1 比視感度(分光視感効率)
 2.3.2 錯視
 2.3.3 恒常現象
 2.3.4 対比,同化
2.4 形と大きさの知覚
 2.4.1 図と地
 2.4.2 知覚的体制化
 2.4.3 錯視
 2.4.4 恒常現象
 2.4.5 形の補完
 2.4.6 形がもたらすイメージ
2.5 奥行の知覚
 2.5.1 単眼視情報手がかり
 2.5.2 両眼視情報手がかり
2.6 運動の知覚
 2.6.1 仮現運動
 2.6.2 運動残効
 2.6.3 誘導運動
2.7 色の知覚
 2.7.1 色覚説,色の見え方
 2.7.2 色覚異常
 2.7.3 色の見えやすさ
 2.7.4 錯視
 2.7.5 恒常現象
 2.7.6 対比,同化,面積効果
 2.7.7 色がもたらすイメージ
2.8 聴覚系(耳)の構造と機能
2.9 音の知覚
 2.9.1 音の大きさ
 2.9.2 音の高さ
 2.9.3 音色
 2.9.4 音源方向と距離
 2.9.5 錯聴
2.10 マルチモーダル知覚
課題
推薦図書

3. 人間の知的機能
3.1 学習
 3.1.1 条件づけ
 3.1.2 運動技能学習
 3.1.3 学習プロセス
3.2 動作に関する法則
 3.2.1 ヒック-ハイマンの法則
 3.2.2 フィッツの法則
 3.2.3 練習のべき法則
3.3 記憶
 3.3.1 記憶の過程
 3.3.2 貯蔵モデル
 3.3.3 ワーキングメモリ
3.4 注意
 3.4.1 受動的注意,能動的注意
 3.4.2 選択的注意
 3.4.3 注意資源理論
 3.4.4 空間的注意
 3.4.5 干渉現象
3.5 思考
 3.5.1 ヒューリスティックス,バイアス
 3.5.2 演繹的推論
 3.5.3 帰納的推論
 3.5.4 類推
 3.5.5 アブダクション
 3.5.6 創造的思考
3.6 ヒューマンエラー
 3.6.1 分類
 3.6.2 原因
 3.6.3 対策
3.7 認知実行に関するモデル
 3.7.1 TOTE
 3.7.2 行為の7段階モデル
 3.7.3 SRKモデル
 3.7.4 モデルヒューマンプロセッサ
課題
推薦図書

4. 人間の情意的機能
4.1 動機づけ
 4.1.1 欲求階層説
 4.1.2 外発的動機づけ,内発的動機づけ
4.2 感情
 4.2.1 起源説
 4.2.2 次元説
 4.2.3 基本感情説
 4.2.4 表情
課題
推薦図書

5. インタフェース開発の考え方
5.1 ユーザビリティ
 5.1.1 スモールユーザビリティ
 5.1.2 ビッグユーザビリティ
5.2 アクセシビリティ
 5.2.1 アクセシビリティ対応
 5.2.2 情報アクセシビリティ,ウェブアクセシビリティ
5.3 ユーザエクスペリエンス
 5.3.1 ユーザエクスペリエンスの流れ
 5.3.2 ユーザエクスペリエンスの考え方
5.4 ユーザ中心設計,人間中心設計
 5.4.1 ユーザ中心設計,人間中心設計の考え方
 5.4.2 人間中心設計
5.5 色の表現と配色
 5.5.1 色の三属性
 5.5.2 混色
 5.5.3 マンセル表色系
 5.5.4 PCCS表色系
 5.5.5 CIE表色系
 5.5.6 CMYK表色系
 5.5.7 オストワルト表色系
 5.5.8 配色
5.6 規格
 5.6.1 JIS C 0447:1997『マンマシンインタフェース(MMI)―操作の基準』(IEC 60447:1993)
 5.6.2 JIS Z 8907:2012『空間的方向性及び運動方向―人間工学的要求事項』(ISO 1503:2008)
 5.6.3 JIS Z 8071:2017『規格におけるアクセシビリティ配慮のための指針』(ISO/IEC Guide 71:2014)
 5.6.4 JIS X 8341『高齢者・障害者等配慮設計指針―情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス』
 5.6.5 JIS S 0013:2011『高齢者・障害者配慮設計指針―消費生活製品の報知音』
 5.6.6 JIS S 0033:2006『高齢者・障害者配慮設計指針―視覚表示物―年齢を配慮した基本色領域に基づく色の組合せ方法』
 5.6.7 JIS Z 8511~8527『人間工学―視覚表示装置を用いるオフィス作業』(ISO 9241)
 5.6.8 JIS Z 8530:2000『人間工学―インタラクティブシステムの人間中心設計プロセス』(ISO 13407:1999)
 5.6.9 JIS X 25000(ISO/IEC25000)SQuaREシリーズ『ソフトウェア製品の品質要求及び評価』
 5.6.10 JIS Z 8105:2000『色に関する用語』
 5.6.11 JIS Z 8102:2001『物体色の色名』
 5.6.12 JIS Z 8110:1995『色の表示方法―光源色の色名』
 5.6.13 JIS Z 8701:1999『色の表示方法―XYZ表色系及びX10Y10Z10表色系』
 5.6.14 JIS Z 8721:1993『色の表示方法―三属性による表示』
課題
推薦図書

6. インタフェース開発の手法
6.1 ユーザ調査
 6.1.1 質問紙調査(アンケート調査)
 6.1.2 インタビュー(面接法)
 6.1.3 観察法
 6.1.4 フィールド調査,エスノグラフィ調査
 6.1.5 コンテクスチュアルインクワイアリ(文脈的調査)
6.2 コンセプト創出,要求事項
 6.2.1 ブレインストーミング
 6.2.2 KJ法
 6.2.3 ペルソナ法,シナリオ法
6.3 プロトタイピング
 6.3.1 プロトタイプ
 6.3.2 ペーパープロトタイピング,ダーティプロトタイピング
6.4 インスペクション法,エキスパートレビュー,チェックリスト
 6.4.1 ヒューリスティック法
 6.4.2 認知的ウォークスルー法
 6.4.3 チェックリスト
6.5 ユーザテスト
 6.5.1 ユーザテストとは
 6.5.2 思考発話法
 6.5.3 パフォーマンス評価
 6.5.4 主観評価
 6.5.5 生体計測
6.6 倫理的配慮
 6.6.1 背景
 6.6.2 インフォームドコンセント
 6.6.3 情報の管理と個人情報の保護
課題
推薦図書

引用・参考文献
索引

志堂寺 和則(シドウジ カズノリ)

掲載日:2020/01/29

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掲載日:2019/10/01

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