人間中心のAI社会とデータサイエンス - MDASHリテラシーレベル準拠 -

人間中心のAI社会とデータサイエンス - MDASHリテラシーレベル準拠 -

  • 鈴木 陽一 東北大名誉教授・東北文化学園大教授 工博 監修
  • 神村 伸一 東北文化学園大准教授 監修
  • 行場 次朗 東北大名誉教授 博士(文学)
  • 高谷 将宏 事業構想大学院大特任教授・尚絅学院大客員教授 博士(教育情報学)
  • 渡邊 晃久 株式会社付箋企画代表取締役・東北文化学園大客員教授

MDASHリテラシーレベル対応。人間中心のAI社会を目指して,技術革新と課題まで幅広く展望。

ジャンル
発行予定日
2025/02/下旬
判型
A5 2色刷り
ページ数
200ページ
ISBN
978-4-339-02949-9
人間中心のAI社会とデータサイエンス - MDASHリテラシーレベル準拠 -
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定価

2,750(本体2,500円+税)

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購入案内

  • 内容紹介
  • まえがき
  • 目次
  • 著者紹介

【読者対象】
本書は,文部科学省「数理・データサイエンス・AI 教育プログラム認定制度 (MDASH)リテラシーレベル」の教科書です。さらに本書にはより大きなねらいがあります。生成AIなど急速に進展する情報化社会の中で,戸惑いや不安を感じている多くの方が,人間中心の観点から的確に判断や行動するのに必要な知識や思考法などを学ぶためにも広く役立つことを願って書かれています。

【書籍の特徴】
情報通信分野の専門家の監修のもと,心理学,教育学,社会学のバックグランドを持ち情報学にも長けた著者が執筆していますので,AI やデータサイエンスの基礎や特性,課題などについて,人類進化の背景や,人間の認知特性,持続的社会の発展,人間発達や教育などの幅広い問題を示しながら議論を深めています。AIやビックデータによって人間が支配されてしまうディストピア的観点がとかく強調されがちですが,本書には人間中心の社会を持続的に発展させるヒントがたくさん示されています。

【各章について】
1章と2章では,テクノロジーの進展が人類社会の歴史に及ぼしてきたインパクトを振り返り,AI がこれほど重要視されるようになった道筋を未来社会への展望とともに解説します。
3章と4章では,AI の歴史,その定義と分類について解説します。また生成 AI の誕生のインパクトと,様々なサービスが展開されつつある生成 AI の現状について,その利点とともに種々の問題についても解説します。
5章から7章では,AI社会の課題や倫理的な問題と,AI が人間を超えるとされる技術的特異点(シンギュラリティ)に関連する深刻な問題を紹介します。「人間中心の AI 社会原則」に基づくことよって人間らしい活動がより明確化される可能性について考察します。
8章から13章は,AI社会で極めて重要な役割を果たすデータサイエンスの章となります。データの表現法,読みとり方,傾向の推計法,データから立てた仮説の検定法,多変量データ分析法などを解説します。
終章では, SDGs実現にむけた AI やデータサイエンスの貢献と課題について考察し,そこで大切な人間の思考様式について議論し,全体のまとめとします。

【著者からのメッセージ】
これからの情報化社会では,AI やデータサイエンスの基礎的スキルの習得が,いわば「読み・書き・そろばん」として求められています。本書では,その基本を文系・理系を問わず,皆さんにわかりやすく解説することに努めました。本書を通し,基礎知識はもちろん,AIやデータサイエンスが大きな役割をもつようになった歴史的,社会的な背景,そこにある問題や限界についても広く学んでいただけたらと思います。
本書により,皆さんが社会の変化にも主体的かつ積極的に向き合える準備や思考力,そして人間中心の社会倫理観を育んでいくことができれば幸いです。

【キーワード】
MDASHリテラシーレベル,AI社会,Society5.0,人間中心の原則,生成AI,データサイエンス,ビックデータ,シンギュラリティ,ロボット,記述統計,推測統計,多変量解析,思考法

☆発行前情報のため,一部変更となる場合がございます

現在の,そして近未来の私たちの社会や生活でも,人工知能(AI)やビッグデータなどの高度化した先端技術が急速に取り入れられようになり,利便性や効率化を高めるさまざまな革新がなされようとしています。一方,こうした転換点を迎えるにあたり,AIに漠然とした不安をいだいたり,あふれる情報やデータをうまく整理や解釈することができずに,イライラする感じを持たれる方が多いと思います。

本書は,文系・理系を問わず,学生の皆さんにそのような不安や迷いをできる限り抱かなくともすむように,構成や内容を工夫して企画されました。3名の著者(行場次朗・高谷将宏・渡邊晃久)は,いずれも現在は人間を中心とした情報通信技術の研究に携わっていますが,実は,それぞれ心理学,教育学,社会学を専攻したバックグラウンドを持っています。そのために,本書の内容は,AIやデータサイエンスの基礎や特性,課題などについて,人間中心の視点に立って,人類進化の背景や,人間の認知特性,持続的社会の発展,人間発達や教育などの幅広い問題を示しながら,議論を深めたものになっています。

本書の監修者(鈴木陽一先生・神村伸一先生)は,お二人とも情報通信技術の研究教育のプロフェッショナルですので,本書の内容について,文部科学省「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度実施要綱(MDASH)」のリテラシーレベルの基準を十分に満たすように,そして学生のみなさんにわかりやすくなるように,専門家の目からのアドバイスやチェックをいただきました。以下に本書の章構成について概説します。

第1章と第2章では,大きな視点から,テクノロジーの進展が人類社会の歴史に及ぼしてきたインパクトを振り返ります。特にコンピュータや情報通信技術(ICT)の発展によって,社会や産業構造にどのような変革が起こってきたのかを概観します。そして,なぜAIの活用がこれほど重要視されるようになったかについて,ビックデータ解析との関連から理解を深めます。それらの変革をふまえて,日本が目指すべき未来社会の姿として提唱された「Society5.0」という展望を紹介し,このような新構想がこれからの人間社会を望ましい方向に導く可能性について考察します。

第3章と第4章では,AI研究の歴史とAIのさまざまな定義と分類について解説します。そして,今日の生成AIの誕生のインパクトと,さまざまなサービスとして展開されつつある生成AIの現状について,その利点とともにさまざまな問題も顕在化していることを解説し,それらの問題にどのように向き合うべきなのか考察します。

第5章,第6章,7章では,AI社会において活用が期待されるロボットや自動運転,ビックデータ利用などにかかわる課題や倫理的な問題について解説します。また,AIやロボットの能力が人間を凌駕するとされる技術的特異点(シンギュラリティ)が実際に到来するかどうかの可能性や,雇用状況の変化などに関連する深刻な問題を紹介します。そして,「人間中心のAI社会原則」に準拠することよって,AIの進展とともに,人間の最も人間らしい活動や生活の仕方がより明確化される可能性について,考察を深めます。

第8章から第13章までは,AI社会における「読み・書き・そろばん」ともいえるデータサイエンスについて解説します。データサイエンスとは,ある目的を達成するためにデータを収集・分析し,価値を見いだすアプローチで,これからのデータ駆動型社会ではきわめて重要な役割を果たします。データ分析は統計学が担います。統計学には数学の知識が必要になりますが,具体的な事例に基づいて傾向や論理を見いだすアプローチなので,数学に苦手意識がある皆さんにも理解しやいと思います。記述統計では,データの本質を忠実にあら
わすグラフ表現や,データの代表値や散らばり具合,そしてデータ間の関係性などを表す各種の指標について学びます。推測統計では,サンプルデータから全体の傾向を推計したり,手元のデータから立てた仮説が有効なものかどうか検定する手法を紹介します。ビックデータにはさまざまな変数が含まれるので,それらの多変量を圧縮したり,多変量を使って予測を行うやり方も解説します。

終章の第14章では,2015年に国連において定められた「持続可能な開発目標」(SDGs)の目標の実現にむけたAIやデータサイエンスの貢献と課題について考察します。そして,これからのAI・データ社会において大切な人間の思考様式について議論し,全体のまとめとします。

本書により,AI社会とデータサイエンスの知識と理解を深めていくことで,学生の皆さんが,新たな社会変化にも主体的かつ積極的に向き合える準備や思考力,そして人間中心の社会倫理観を育んでいくことができれば幸いです。

2025年2月
著者一同

☆発行前情報のため,一部変更となる場合がございます

1. 技術革新がもたらす人間社会の大きな変化
1.1 人類にとっての3つの大きな革新の波
 1.1.1 農耕革命
 1.1.2 産業革命
 1.1.3 情報革命
1.2 産業革命の4段階
 1.2.1 第1次産業革命
 1.2.2 第2次産業革命
 1.2.3 第3次産業革命
 1.2.4 第4次産業革命
1.3 日本発のSociety 5.0とDXの提言
 1.3.1 Society 5.0
 1.3.2 Digital Transformationの展開
章末問題

2. AIやビッグデータがもたらす社会の変化
2.1 コンピュータの誕生と発展の歴史
 2.1.1 チューリングマシン
 2.1.2 エニアック-最初のコンピュータ-
 2.1.3 ノイマン型コンピュータ-現在のコンピュータの原型-
 2.1.4 ムーアの法則
 2.1.5 並列分散処理型コンピュータの誕生
 2.1.6 量子コンピュータの出現
2.2 ICTの進展
 2.2.1 インターネットの誕生
 2.2.2 Webの誕生
 2.2.3 巨大ICT企業の誕生
 2.2.4 SNSの誕生
 2.2.5 IoTの進展とビッグデータ
2.3 ビッグデータの時代
章末問題

3. AI研究の歴史と生成AIの汎用化
3.1 AIのさまざまな分類
 3.1.1 人工知能研究とロボット研究の違い
 3.1.2 AIの歴史–3つのAIブーム–
 3.1.3 AI技術の整理
 3.1.4 機械学習
 3.1.5 AIをレベルで分析する
 3.1.6 強いAI,弱いAI
 3.1.7 日常にあるAIのタイプ
3.2 生成AIの位置づけ
 3.2.1 AIと生成AI–インプットの革新とアウトプットの革新–
 3.2.2 生成モデルの誕生
 3.2.3 生成AIとマルチモーダル化,RAG
 3.2.4 AI効果
章末問題

4. 社会での生成AI活用と生成AIがもたらす諸問題
4.1 実社会における生成AI
 4.1.1 さまざまな生成AIサービス
 4.1.2 プロンプト
 4.1.3 AIのさまざまな活用事例
4.2 生成AIがもたらす諸問題
 4.2.1 ディープフェイク
 4.2.2 セキュリティとプライバシー
 4.2.3 ハルシネーション
 4.2.4 権利と法律
 4.2.5 学習データと日本の文化庁の対応
 4.2.6 CPUとGPU,そして電力
 4.2.7 生成AIにまつわる倫理的問題
章末問題

5. AIやデータ社会の進展に伴う課題I
5.1 AI社会にかかわる倫理的問題
 5.1.1 ロボット工学三原則
 5.1.2 トロッコ問題:倫理的コンフリクト
 5.1.3 自動運転の責任問題
5.2 ビッグデータ社会にかかわる倫理的問題
5.3 急増するデータを保存し続けることができない問題
章末問題

6. AIやデータ社会の進展に伴う課題II
6.1 コンピュータの進化と動物の進化
 6.1.1 鉄腕アトムと強いAI
 6.1.2 情報ピラミッド
 6.1.3 介助犬とサービスアニマル
6.2 AIが進展する際の難しい問題
 6.2.1 不気味の谷の問題
 6.2.2 フレーム問題
 6.2.3 記号接地問題
6.3 ICTの進展と子どもの教育
章末問題

7. AI・データ社会で求められること
7.1 AI社会での雇用の変化
7.2 人間中心のAI社会原則
章末問題

8. 社会が求めるデータサイエンス
8.1 なぜデータサイエンスが必要なのか
 8.1.1 データサイエンスとは何か
 8.1.2 データサイエンスの役割
 8.1.3 データサイエンスのこれから
8.2 データサイエンスのはじめの一歩
 8.2.1 情報とデータの違い
 8.2.2 データサイエンスのステップ
 8.2.3 見えるものが真実とは限らない
8.3 誤解を与える統計グラフ
 8.3.1 誤解を与える棒グラフ
 8.3.2 誤解を与える折れ線グラフ
 8.3.3 誤解を与える円グラフ
 8.3.4 誤解を与える2軸グラフ
章末問題

9. データの代表値,散らばり,関係性を記述する
9.1 データの種類
9.2 記述統計学とは
 9.2.1 度数分布表
 9.2.2 棒グラフとヒストグラム
 9.2.3 度数折れ線
9.3 代表値と箱ひげ図
 9.3.1 平均値
 9.3.2 中央値と最頻値
 9.3.3 箱ひげ図
9.4 分散と標準偏差
9.5 2変量の関係
 9.5.1 相関関係と因果関係
 9.5.2 クロス集計表と散布図
 9.5.3 相関係数
章末問題

10. データから全体を推測するI-推定-
10.1 推測統計学とは
10.2 正規分布と標準正規分布
 10.2.1 正規分布
 10.2.2 標準正規分布とZ得点
 10.2.3 標準正規分布表
10.3 推定
 10.3.1 推定と検定
 10.3.2 点推定
 10.3.3 区間推定
 10.3.4 母分散がわかっている場合の区間推定
 10.3.5 母分散がわかっていない場合の区間推定
 10.3.6 有効数字
章末問題

11. データから全体を推測するII-検定-
11.1 仮説検定の考え方
 11.1.1 帰無仮説と対立仮説
 11.1.2 有意水準
 11.1.3 有意確率
 11.1.4 統計学的判断
 11.1.5 第一種の過誤と第二種の過誤
 11.1.6 離散型確率変数と連続型確率変数
 11.1.7 片側検定と両側検定
11.2 母分散がわかっている場合の検定
11.3 母分散がわかっていない場合の母平均の検定
11.4 いろいろな検定
章末問題

12. 多変量解析
12.1 データから予測を行うための分析手法
 12.1.1 単回帰分析
 12.1.2 重回帰分析
12.2 データの特徴を把握するための分析手法
 12.2.1 主成分分析
 12.2.2 因子分析
12.3 データを分割したいときの分析手法
 12.3.1 クラスター分析
 12.3.2 階層的クラスター分析
 12.3.3 非階層的クラスター分析
章末問題

13. 質的調査(定性的調査)
13.1 質的調査の概要
13.2 質的調査の事例–エスノグラフィー–
13.3 いろいろな質的調査の手法
章末問題

14. AI社会・データ社会の将来に向けて
14.1 SDGsにおけるAIやデータサイエンスの役割
14.2 AI・データ社会において大切な人間の思考様式
 14.2.1 ロジカルシンキング
 14.2.2 クリティカルシンキング
 14.2.3 ラテラルシンキング
 14.2.4 AI・データ社会で重要な3つの思考様式の循環的活用
章末問題

付録
引用・参考文献
索引

鈴木 陽一

鈴木 陽一(スズキ ヨウイチ)

理科少年から無線少年,オーディオ少年を経て東北大学工学部電気応物系に入り音響工学の研究室で工学博士に。大学院修了後は東北大学電気通信研究所に長く勤務し,その定年前後には東日本大震災後にNICTが設立した耐災害ICT研究センターで勤務しました。
大学院生のとき以来,音の大きさ(ラウドネス)や音空間知覚など聴覚の知覚過程,音信号ディジタル信号処理,3次元音空間システムに関する研究を進めます。また,人間の音空間知覚には聴覚以外の感覚情報も重要な役割を果たすことから,マルチモーダル知覚情報処理の研究も進めています。また,震災後は,屋外拡声技術を中心に災害時・非常時の情報伝達に関する研究を行っています。
このような研究の中で,等ラウドネスレベル特性の標準化(ISO 226),バイノーラルディスプレイの設計理論,単語了解度試験用音声データセットなどの成果を上げることができました。
研究にあたっては,情報通信技術,とりわけメディア信号処理技術の向上には人間の知覚情報処理過程の解明と活用が重要という視点を持って進めてきました。
コロナ社以外でも何冊か著書があります:C による情報処理入門 (共立出版,共著),音の何でも小辞典(講談社ブルーバックス,共著)」初めて学ぶGKS(共立出版),The Technology of Binaural Understanding(Springer International Publishing,共著)など

神村 伸一

神村 伸一(カミムラ シンイチ)

杜の都仙台市出身、1982年東北学院大学工学部応用物理学科卒業後、日立マイクロコンピュータエンジニアリング株式会社(現 株式会社日立ソリューションズ・テクノロジー)でマイコン開発支援システム製品の検査業務や検査ツール開発に約8年半従事,1990年10月心機一転Uターン、東北医療福祉/東北工科情報専門学校教員へ転身、1993年東北科学技術短期大学情報工学科助手,1999年東北文化学園大学科学技術学部応用情報工学科助手、講師を経て准教授。この間、宮城教育大学、東北学院大学の非常勤講師にも携わる。
主に情報リテラシー教育や情報教育、教育学習支援情報システムに興味を持ち、1999年情報処理学会山下記念研究賞(CS頻出概念の情報リテラシー教育方法)、2004年情報処理学会情報教育シンポジウム優秀賞(高校情報科教育ポータルサイト構築)、2018年応用物理学会東北支部特別賞(小中学生向けマイコン実践教室)を受賞。
この他、所属の短期大学および大学の開学時に学内ネットワークシステム・情報システムの構築、情報処理学会情報教育シンポジウム、東北電気通信監理局 小電力データ通信システムと地域通信網との接続による動画転送に関する調査研究会および離島・湾岸地域向けの無線インターネットに関する調査研究会、東北地域内インターネット相互接続実験、大学入試センター試験問題作成委員会、宮城県高校情報科教育研究会のプロジェクト等に幅広く携わる。

行場 次朗

行場 次朗(ギョウバ ジロウ)

略歴は以下の通りです。
「1981 年東北大学大学院文学研究科博士課程後期満期退学(心理学専攻)。1993 年博士(文学)(東北大学)。東北大学助手,信州大学助教授,九州大学助教授,東北大学助教授,教授を経て,2019 年東北大学名誉教授。2007年~2008年電子情報通信学会ヒューマンコミュニケーショングループ運営委員長。2019年尚絅学院大学教授,2021年~2023年特任教授。2024年東北大学総合知インフォマティクス研究センター客員教授。共著書に「視覚と聴覚」「イメージと認知」(岩波書店),「新・知性と感性の心理」(福村出版)など。」

以下の文章は、信州大学勤務時代に学部案内に書いたものですが、どうも今の私と大きく変わらないようです。
「私が小さいころ,テレビでは鉄腕アトムやエイトマンが活躍していた。大人になったころにはきっとそれと似たようなロボットがあらわれ.友人になれるのだろうと確信していた。当時のAI研究者たちもおおかれすくなかれ同じような予想をしていたようだ。ところ、コンピュータがこれほど発展したのにいまだに盲導犬にかわるようなロボットなどは広く実用化されていない。なにが誤算だったかというと,人間では幼児にも簡単にできる認知や運動機能が,コンピュータにとって極めて難しい課題であった点である。そこで, 心理実験を介して人間のもつすぐれた情報処理様式を解明し,できればそれをコンピュータ技術に応用することが私の研究テーマとなった。コンピュータを人間に近づけることが目標の一つともいえるのだが,このテーマは同時に,人間の最も人間らしいところは何かという点をうきぼりにするので,はからずも人間とコンピュータの隔たりをますます実感させられることになってしまった。」

高谷 将宏

高谷 将宏(タカヤ マサヒロ)

事業構想大学院大学特任教授・尚絅学院大学客員教授。博士(教育情報学)(東北大学)。中等教育における授業評価についての定性的研究により2014年に学位取得。高等学校数学科教諭(教諭として私学と公立に同時に在籍した経験を有する)、(公財)日本私学教育研究所委託研究員として長らく私学中等教育に携わる。その後、企業に転籍し、情報系ではない分野を背景とする新入社員の育成研修、リテラシーレベルでのAI、データサイエンスを中心に研究・教育活動を行う。現在、事業構想大学院大学仙台校にて特任教授として、事業構想およびオープンデータや形態素解析を利活用した市場・顧客分析、尚絅学院大学(宮城県名取市)にてAIなどの教育活動を行っている。また、2023年より東北学院大学(仙台市)データサイエンス研究所客員研究員。デジタル人材育成学会副会長(常務理事)。

渡邊 晃久

渡邊 晃久(ワタナベ アキヒサ)

2010 年大阪市立大学(現大阪公立大学)大学院経済学研究科後期博士課程中退。修士(経済学)。大学、大学院時代は経済学を中心に社会思想史、政治学、社会学を学ぶ。東京、大阪を中心に約11年間,広告制作会社にて広告・販売促進・空間演出の制作ディレクション、プランニング、チームマネジメント、人材育成、事業戦略、新規事業開発、デジタル化推進業務に従事。
その後、地域経済に関わるべく2022年に東北に移住。2023年起業、株式会社付箋企画代表取締役。 顧客体験、UX(ユーザーエクスペリエンス)を軸としたプランニングを心がけ、企業や地方自治体でのマーケティング支援、デジタル化の推進や生成AIの活用支援、リスキリング支援にも力を入れている。
自社店舗の運営をしながら、NPO法人でリベラルアーツに関する講師業にも従事。2024年より東北文化学園大学客員教授。一般社団法人AI・IoT普及推進協会 宮城県区長、日本マーケティング学会会員、一般社団法人生成AI活用普及協会会員。

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  • 章末問題解答例

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