メディアICT (改訂版)

メディア学大系 10

メディアICT (改訂版)

  • 寺澤 卓也 東京工科大教授 博士(工学)
  • 藤澤 公也 東京工科大講師 博士(政策・メディア)

情報をアップデートし,新たに登場したさまざまなトピックを随所に盛り込んだ改訂版。

ジャンル
発行年月日
2022/03/15
判型
A5
ページ数
256ページ
ISBN
978-4-339-02791-4
メディアICT (改訂版)
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定価

3,190(本体2,900円+税)

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  • 内容紹介
  • まえがき
  • 目次
  • レビュー
  • 著者紹介
  • 広告掲載情報

【読者対象】
ICT(情報通信技術)を学ぶ学生。特に、現代社会の生活や仕事、娯楽、コミュニケーションなどに用いられている技術やリテラシーについて初歩的な内容から応用分野までを理解したい学生。

【書籍の特徴】
現在の私たちの生活はICTの上に成り立っています。CG、ゲーム、音楽、映像、Web、SNS、電子マネーなど、これらのいずれにも関わらずに生活している人はいないでしょう。これらの基本にはコンピュータやスマートフォン、インターネットがあります。本書では、これらの技術について体系的に説明し、情報リテラシー、メディアリテラシーにも触れるほか、AI、ブロックチェーン、量子コンピュータなどの最新のトピックも概説しています。

【各章について】
1章はICT の意味と意義などイントロダクションとなっています。2章ではコンピュータのしくみについて解説しています。3章はコンピュータネットワークを扱っています。LANやそれらを相互に接続したインターネットのしくみを学びます。4章はWWWや電子メール,動画配信などのインターネット上のサービスの技術を説明しています。5章はスマートフォンやWi-Fiなどを中心としたモバイル通信技術を紹介しています。6章は代表的なSNSを説明しTwitterを例として情報がどのように伝播するのか解説しています。単にしくみの話だけでなく,リテラシーとしてのSNSの活用についても踏み込んでいます。7章は検索サービスのしくみと利用法を具体的に説明しています。8章はプログラミングについての基本的な概念と各種のプログラミング言語について紹介しています。9章はサーバ技術、10章はセキュリティ技術について説明しています。最後に11章はそのほかのトピックを取り上げています。

【著者からのメッセージ】
ICTの世界は技術の進歩とともに目まぐるしく変化しています。ある時点の技術を切り取って紹介してもあっという間に陳腐化してします。したがって、書籍の形でICTを説明するにあたり、基礎的な事項をしっかり示すことと、特に携帯電話技術などについては技術の流れを示すことを心がけました。本書が様々なメディア分野を学び、メディアを活用していく人たちにとって、必要な時に立ち戻って読んでもらえる入門書として活用してもらえることを祈っています。

改訂版の発行に寄せて

『メディアICT』初版第1刷の出版から8年が過ぎ,進歩の速いICTの分野の教科書としては,内容が古くなってしまったことから,改訂版を発行することになった。改訂版でも本書の基本構成は変わっていないが,初版の不足を補い,情報をアップデートし,8年の間に新たに登場したさまざまなトピックを随所に盛り込んである。5章ではスマートフォンが主流となった現在に合わせて5GやWi-Fiの最新技術の解説を盛り込んだ。6章では最近のSNSについて解説を加えた。8章では最近のプログラミング言語やスタイル,開発環境について紹介している。9章はクラウドやコンテナなどの最新技術を説明している。10章はフィッシングなどの最近のセキュリティ事情についての説明を加えている。11章ではIoT,ビッグデータ,AI,ブロックチェーン,量子コンピュータなどの最新情報を追加している。

ICT分野では,新技術がつぎつぎと登場し知識が陳腐化しがちである。しかし,技術の基本と発展の流れを体系的に学んでおくことは,新しい技術の理解を大きく助ける。本書はそれに役立つことを意図している。

2022年1月
寺澤卓也・藤澤公也


まえがき

ICT(information and communication technology)は情報技術と通信技術からなっている。情報技術とは,簡単にいえばコンピュータの技術のことである。一方,通信技術とはインターネットや携帯電話の技術のことと考えるとよい。そして,この両者は現在ではたがいに密接に関係しているため,「情報通信技術」としてひとまとめにして扱われている。もちろん,学問分野や技術体系として見ればこれらの範囲はもっと広く深いが,これからICTを学ぶ人は,まず,このような理解でスタートするとよいだろう。

本書のタイトルは「メディアICT」である。筆者らの所属する東京工科大学メディア学部では,メディアとは,一般に想起される,新聞や雑誌,テレビなどのマスメディアだけでなく,もっと大きな枠組みでとらえている。メディアとは「媒体」であるが,そこで伝達されるコンテンツ(情報の中身)はどのようにつくるのか,それは人々の生活や社会にどのような影響を与えるのか,そして,それを支えるしくみはどうなっているのかを含め,広い範囲で教育と研究が行われている。これらは,本書を含む「メディア学大系」の各巻で学ぶことができる。本書はこれらの基盤となるICTについて基本的な技術を理解するとともに,各巻の内容をより深く理解するための参考書的な位置づけも持っている。いうまでもなく,ICTは現代社会の基盤となっている。これをしっかりと理解することはメディア学を学ぶうえで重要である。

本書の構成は以下のようになっている。1章はメディア学とICTの関係についてイントロダクションを与えている。2章ではコンピュータのしくみについて,ハードウェア,ソフトウェアの両方の観点から解説している。コンピュータはどのようにして動いているのかなど,情報技術の最も基本的な事項を説明している。3章はコンピュータネットワークを扱っている。ローカルエリアネットワーク(LAN)や,それらを相互に接続したインターネットのしくみをTCP/IPの技術を中心に一通り学習する。4章はWorld Wide Web(WWW)や電子メール,動画配信などのインターネット上のサービスの技術を理解することを目的としている。5章は携帯電話やスマートフォン,Wi-Fiなどを中心としたモバイル技術を解説している。また,携帯電話の社会的な意義や問題についても触れている。6章はソーシャルネットワーキングサービス(SNS)を取り上げている。代表的なSNSを説明し,Twitterを例として情報がどのように伝播するのか解説している。SNSがコミュニケーションの手段としてどのように使われているか,どのように使えばよいのかなど,単にしくみの話だけでなく,リテラシーとしてのSNSの活用についても踏み込んでいる。7章はインターネットで最もよく使われているサービスの一つである,検索サービスについてそのしくみと利用法を具体的に説明している。SEO(検索エンジン最適化)など,ビジネスと関連するトピックも含んでいる。8章はプログラミングについての基本的な概念と各種のプログラミング言語について解説している。特に応用範囲の広いJava言語については1節を設けている。9章はサーバ技術としてWebアプリケーション,データベース,クラウドコンピューティングとその背後で利用されている仮想化技術について説明している。10章はセキュリティ技術について述べている。暗号技術の基本的な説明に続き,Webにおける実際的なセキュリティ技術,コンピュータウィルスなどのマルウェアに関する解説を行っている。11章はこれまでの章で取り上げきれなかったそのほかのトピックを取り上げている。

本書は,1~5,8,9,11章を寺澤卓也が,6,7,10章を藤澤公也が執筆した。
メディア学を学ぶ人の教科書として基本的な事項をまとめたが,頁の都合でICTの広い分野を詳細にカバーするには至らなかった。より詳しい学習には巻末に挙げた参考書を併用してほしい。

2013年8月
寺澤卓也・藤澤公也

1.メディア学とICT
1.1 ICTとは
1.2 メディアツールとしてのICT 
 1.2.1 メディア処理技術
 1.2.2 ICTと表現
 1.2.3 ゲーム
 1.2.4 ICTとビジネス
 1.2.5 ICTと教育
 1.2.6 コミュニケーション
1.3 メディアリテラシー 
演習問題
2.コンピュータのしくみ
2.1 コンピュータにおけるハードウェア
 2.1.1 コンピュータの構成
 2.1.2 CPU
 2.1.3 GPU
 2.1.4 メモリ
 2.1.5 CPUとメモリ
 2.1.6 キャッシュメモリ
 2.1.7 ハードディスクとSSD
 2.1.8 USB
 2.1.9 LANインタフェース
 2.1.10 Wi-Fi(無線接続)
2.2 ソフトウェア
 2.2.1 CPUが理解する「言葉」
 2.2.2 プログラムの作成と実行
 2.2.3 アプリケーションソフトウェア
 2.2.4 オープンソース
2.3 オペレーティングシステム(OS)の役割
 2.3.1 プログラムの実行
 2.3.2 メモリ管理
 2.3.3 仮想記憶
 2.3.4 ファイルシステム
 2.3.5 外部機器の管理と割込み
 2.3.6 ネットワークの扱い
 2.3.7 OSの種類
2.4 オフィスツールソフトウェア
 2.4.1 ドキュメント作成
 2.4.2 表計算
 2.4.3 プレゼンテーション
 2.4.4 アプリケーション連携
2.5 クラウドサービスの利用
2.6 サブスクリプション
演習問題
3.コンピュータネットワーク
3.1 LANのしくみ
 3.1.1 階層モデル
 3.1.2 第1層:物理層
 3.1.3 第2層:データリンク層
3.2 インターネットのしくみ
 3.2.1 エンドツーエンドの原則とベストエフォート
 3.2.2 第3層:ネットワーク層
 3.2.3 第4層:トランスポート層
3.3 LANとインターネットの接続
3.4 サーバとクライアント
3.5 名前とドメイン
演習問題
4.インターネット上のサービス
4.1 WorldWideWeb
 4.1.1 Webブラウザ
 4.1.2 Webサーバ
 4.1.3 URIとURL
 4.1.4 HTML
 4.1.5 HTTP
 4.1.6 WWWに関するそのほかの技術
4.2 Web上のサービス
 4.2.1 ブログ
 4.2.2 Wiki
 4.2.3 掲示版
4.3 電子メール
4.4 IP電話
 4.4.1 IP電話の種類
 4.4.2 無料通話アプリ
 4.4.3 050番号と品質
4.5 動画配信技術
 4.5.1 ストリーミング
 4.5.2 圧縮技術
 4.5.3 動画配信サービスとビデオ会議サービス
4.6 CDN
演習問題
5.モバイルメディア技術
5.1 携帯電話・スマートフォン
 5.1.1 携帯電話の歴史概観
 5.1.2 携帯電話の基本技術
 5.1.3 携帯電話の付加機能
5.2 スマートフォン
 5.2.1 iPhone
 5.2.2 Android
 5.2.3 アプリ
 5.2.4 高速通信網
 5.2.5 携帯電話・スマートフォンと社会
5.3 タブレット
 5.3.1 タブレットの普及
 5.3.2 タブレットの用途とサイズ
5.4 無線LAN
 5.4.1 無線LANの種類
 5.4.2 Wi-Fi
 5.4.3 無線LANのセキュリティ
5.5 そのほかの無線技術
演習問題
6.ソーシャルネットワーキングサービス
6.1 ソーシャルネットワーキングサービスとは
6.2 代表的なSNS
 6.2.1 Twitter
 6.2.2 Facebook
 6.2.3 Instagram
 6.2.4 LinkedIn
6.3 SNSでの情報の伝播:Twitterを例に
 6.3.1 フォローによるソーシャルネットワーク
 6.3.2 フォロワーへの情報伝播
 6.3.3 リツイートによる情報伝播
 6.3.4 鍵アカウント
6.4 SNSを活用するために
演習問題
7.検索サービス
7.1 情報検索の概要
 7.1.1 情報検索とは
 7.1.2 情報検索に必要なもの
 7.1.3 情報検索時の心構え
7.2 Googleでの検索の基本
 7.2.1 検索結果の全体の見方
 7.2.2 検索結果の個々の情報の見方
 7.2.3 情報検索の基本
7.3 Googleでのさまざまな検索方法
 7.3.1 基本演算子の利用
 7.3.2 Googleの独自演算子の利用
 7.3.3 そのほかの検索テクニック
 7.3.4 情報検索の手順・流れ
7.4 検索エンジンのしくみ
 7.4.1 検索エンジンとは
 7.4.2 検索システムの構造
7.5 SEOと検索エンジンSPAM
演習問題
8.プログラミング
8.1 プログラムの基本的な考え方
 8.1.1 制御構造
 8.1.2 変数
 8.1.3 配列とデータ構造
 8.1.4 フローチャート
 8.1.5 オブジェクト指向
8.2 プログラミング言語
 8.2.1 手続き型言語
 8.2.2 オブジェクト指向言語
 8.2.3 そのほかの言語
8.3 スクリプト言語
8.4 Java
 8.4.1 JavaVM
 8.4.2 クラスライブラリ
 8.4.3 安全なプログラムの作成支援
 8.4.4 ネットワーク機能
 8.4.5 エディション
8.5 Python
8.6 ビジュアルプログラミング言語
 8.6.1 ブロック型
 8.6.2 フロー型
8.7 開発環境
演習問題
9.サーバ技術
9.1 Webアプリケーション
9.2 Webサービス
9.3 クラウド
9.4 XML
9.5 データベース
9.6 サーバ構築と運用
 9.6.1 従来型のサーバ構築
 9.6.2 新しいサーバ構築法
9.7 サービス提供側から見たクラウド
 9.7.1 SaaS(softwareasaservice)
 9.7.2 PaaS(platformasaservice)
 9.7.3 IaaS(infrastructureasaservice)
 9.7.4 利用方法・利用の範囲による分類
 9.7.5 クラウドの構築
9.8 仮想化技術
 9.8.1 ホストOS型
 9.8.2 ハイパーバイザ型
 9.8.3 仮想マシンを実現するソフトウェア
 9.8.4 コンテナ技術
演習問題
10.情報セキュリティ
10.1 情報セキュリティとは
 10.1.1 情報セキュリティの概要
 10.1.2 情報セキュリティの効果
 10.1.3 情報セキュリティの欠如・不足時の問題点
 10.1.4 認証による可用性の確保
10.2 暗号の基礎知識
 10.2.1 暗号とは
 10.2.2 暗号処理の基礎
 10.2.3 共通鍵暗号
 10.2.4 公開鍵暗号
 10.2.5 デジタル署名
10.3 Webアプリケーションのセキュリティ
 10.3.1 Webアプリケーションの危険
 10.3.2 Webアプリケーションに対する攻撃
10.4 マルウェア(コンピュータウイルス)
 10.4.1 マルウェアとは
 10.4.2 ボットとボットネットワーク
 10.4.3 スパイウェア
 10.4.4 スピア型攻撃
演習問題
11.そのほかのトピック
11.1 ユビキタス
11.2 ICカードとRFID
 11.2.1 ICカード
 11.2.2 RFID
11.3 P2P
11.4 IoT/CPS,ビッグデータ
 11.4.1 IoTとCPS
 11.4.2 ビッグデータとデータサイエンス
11.5 人工知能(AI)
11.6 ブロックチェーンと暗号資産
11.7 量子コンピュータ
引用・参考文献
索引

読者モニターレビュー【N/M 様(ご専門:総合情報学(情報科学))】

本書は,メディア学大系シリーズの10巻目に位置する書籍の改訂版であり,「メディアICT」について,メディア学を学ぶ上で必要な情報科学及び,ネットワークの分野についての記述がなされている.

以下に読んでみて,いくつか感じた点を中心にレビューとして挙げていく.

まず,「1.3 メディアリテラシー」では,メディアリテラシーとして,フェイクニュースの問題が取り上げられている.この問題は,正しくない情報が拡散されて,それを信じるものと,信じないものとの対立構造が,特にSNSで見受けられる.具体的には,このレビュを書いている現在(2022年2月下旬〜3月上旬),疫病や紛争,芸能系の暴露動画配信者などが挙げられるだろう.『この情報は誰がいつ誰に対してどのような意図で発信しているのか』と記述されているように,疫病に関して言えば,「テレビなどのメディアが言っているから」とか「医師免許を持つ疫病(感染症)の専門家が言っているから」,「国(総理や担当大臣)が言っているから」という理由で,盲目的になり,安易にその情報に飛びつかずに,その情報はどのような「意図」で発信されているのかを,自身で分析し,まずは批判的な姿勢で,さまざまな角度から吟味する必要性を改めて感じた.また,自分が見たい情報と信じたい情報のみが正しい情報だと錯覚に陥る現象(フィルターバブル)についても述べられている.これらの基本的なしくみや知識は,この情報化社会を生きていく上で専門家以外にも必須のリテラシになってきているので,じっくりと読まれることをオススメする.

「4.1 WorldWideWeb」,「4.1.3URIとURL」では,専門用語の使い方に関しての記述が興味深かった.前者では,「ホームページ」という用語について,世間一般では,ホームページというと,Webブラウザで表示されているものすべてを指すが,専門家は,ホームページはHomeとあるように,任意のページの最初(トップ,ホーム)のページを指すという認識の違いがある.後者では,httpsで始まるWWWの世界で目的の情報(資源)の場所を示す専門用語をURLとURIのどちらで呼ぶかという違いも興味深かった.両者とも学生時代に「Web技術」,「Webデザイン」という講義で話としては聞いていたが,この章・節で改めて考えるキッカケにもなった.

他にも,改定前の2013年から本書の発行の2022年までの約9年間で技術革新が進んでおり,それらの最新の技術や専門用語が各章及び,第11章に概論的にではあるが,紹介されているので,情報科学の分野については,ほぼ網羅できているのではないかと思う.

ただ,第3〜5,9,11章については,ところどころで文書によって説明しようとしているが,冗長過ぎる部分も正直見受けられるので,もう少し図解された方が,より分かりやすくなるだろうと思われるので,時期尚早ではあるが,次回の改訂版に期待したい.

最後に,各章末には,記述式中心に演習問題が2〜3題ほど用意されている.おそらく,本書を講義で使うためレポートとしての意味で記載されていると思われるが,ヒントや略解・回答例みたいなものや,他の形式の演習問題(穴埋め問題,正誤問題など)も一緒に記載されていると,知識の確認・定着という意味で良かったのではないかと,個人的には思った次第である.

読者モニターレビュー【もろ 様(ご専門:電気電子系◦情報系)】

本書では情報通信技術について包括的に書かれている。これは大学生以上の人向けで大学の講義2単位に相当する内容となっている。

本書の特徴は、コンピュータの仕組みやネットワークの仕組みはもちろんのこと、スマートフォンやGoogleの検索サービスなど私たちが日常的試使用しているものまでこと細かく解説されており、それに加え、昨今はやりとなっているプログラミングについても触れられている。また、各章の最初のページにはその章の導入とキーワードがあり理解を深められるように工夫されている。さらに、最後のページには演習問題が用意されており、その章を理解できたか確認するようなっていることである。

一方、本書の残念な点は全体的に図が少ないということである。そのぶん文章で説明されているが、図をつけた方がわかりやすくなると思う場面が多々存在した。例えば、5章の多重化・多元接続(P100)においてTDMAやFDMAなどが説明されているが文章だけであり初学者が理解するには難しいだろう。

以上のことから、若干図が少なく理解しにくい箇所もあるかもしれないが、簡潔にまとめられており一読をお勧めする。

寺澤 卓也

寺澤 卓也(テラサワ タクヤ)

私は学生時代にはコンピュータアーキテクチャの研究をしていました。今は当たり前になっているマルチコアのCPUにも関係する技術です。研究のため、学部生の時に電子メールと出会い、大学院生からは、まだ一般には開放されていなかった初期のインターネットも利用を始めていました。大学に勤めるようになってからはインターネットの技術やインターネット上で何ができるかについて学生の皆さんと一緒に様々な研究を行ってきました。Webのサーバ技術、スマートフォンアプリ、IoTの応用、機械学習・深層学習を用いた研究などが挙げられます。
ICTの分野は新たな技術が次々と現れます。しかし、それらの多くは目新しく見えても、ある日、突然開発されるわけではなく、技術の積み重ねや他分野からの発想の取入れなどによって成り立っています。様々なことをきちんと理解し関連付けて考えられることが重要だと感じています。

藤澤 公也

藤澤 公也(フジサワ キミヤ)

学生時代の研究テーマは、組み合わせ最適化問題をニューラルネットワークを用いた人工知能的な解法について、特にパズルの解を高速に求めることなどを研究として行っていました。東京工科大学メディア学部で教員として働くようになってからは、WebコンテンツやWebアプリケーションサーバの仕組みやインターネットを介したサービスについて、教育・研究を行ってきました。第三次人工知能ブームの到来に伴い、昨今では再び、人工知能に関する研究にも取り組み、深層学習や生成系AIについて、特にメディアコンテンツとかかわるAIについて教育・研究を行っています。
こういったWebサービスやAIにいたるまでのあらゆるコンピュータ・インターネット上のサービスはICTを基盤として研究・開発が行われています。ICTやプログラミング、ロジック構築などの基礎を学ぶことが、様々な応用的な研究・開発の発展につながることと思っています。

掲載日:2022/04/18

情報処理学会誌「情報処理」2022年5月号広告

掲載日:2022/03/02

「電子情報通信学会誌」2022年3月号広告

☆シリーズ特設ページ☆