レビュー,書籍紹介・書評掲載情報

人間中心のAI社会とデータサイエンス - MDASHリテラシーレベル準拠 -

人間中心のAI社会とデータサイエンス - MDASHリテラシーレベル準拠 -

  • 鈴木 陽一 東北大名誉教授・東北文化学園大教授 監修
  • 神村 伸一 東北文化学園大准教授 監修
  • 行場 次朗 東北大名誉教授
  • 高谷 将宏 事業構想大学院大特任教授・尚絅学院大客員教授
  • 渡邊 晃久 株式会社付箋企画代表取締役・東北文化学園大客員教授

文部科学省MDASHのリテラシーレベルを満たす構成。AI やデータサイエンスの基礎や特性,課題について,人間中心の視点に立って,人類進化の背景や,人間の認知特性,持続的社会の発展,人間発達や教育など幅広い問題を解説。

発行年月日
2025/03/26
定価
2,750(本体2,500円+税)
ISBN
978-4-339-02949-9
在庫あり

レビュー,書籍紹介・書評掲載情報

読者モニターレビュー【 窪 和久 様 株式会社ビジネス・アーキテクツ(業界・専門分野:IT業界)】

掲載日:2025/04/07

AI研究の歴史から生成AIまでの流れが分かりやすく、特に機械学習の分類などAI技術を整理できるようにまとめられています。また映画やアニメの主人公を登場させ、AIが進展することによる課題や倫理的な問題をサービスアニマルやフレーム問題などの具体例を挙げながら、身近にとらえられるように解説しています。後半では統計学の基本を説明した上で、仮説から多変量解析など予測を行う分析手法まで網羅、まさにAIの活用や課題そしてデータサイエンスに必要な知識を習得できる良書です。

読者モニターレビュー【 miya 様(業界・専門分野:情報系)】

掲載日:2025/04/03

この本は、大きく分けて2種類の内容で構成されている。
AIが社会に出てくるまでの歴史の部分と、実際にデータサイエンスに必要となる統計・確率・データ解析である。

前半の部分は、まさかアルビン・トフラーの「第三の波」から話が始まるとは思わなかったが、AIが世に出てくるまでの歴史である。意外と世の中がこのようになってきたのか、歴史を振り返ることは少ないが、わずか20ページほどにコンピュータの誕生からAIの手前までの歴史があるが、初学者はどうやってAIが使える環境ができあがったかをここで知ることになるのだろう。
そこからAIの説明については、基本中の基本がしっかり書かれている。

後編のデータサイエンスに必要となる内容については、2025年1月の大学入試共通テストで初めて実施された「情報Ⅰ」の試験内容を連想させるものである。高校生のうちに「統計に関する部分、ここまでは学んでいるよね?」という試験内容だったと個人的に見ていた。しかし「これを情報の試験と呼ぶか?」との疑問もあったが、統計・確率・データ解析とこの本の後半に出てくる内容が共通テストの内容に重なる部分も多く、身につけさせたい(=共通テスト対策になるかもしれない)と思って読んでいた。

最後に、AIがかかえる問題がしっかり書かれていることを評価したい。倫理的な問題はこれから自動運転車が実用化されたときに必ず問題になるはずだし、記号接地問題もAIを使ううえで考慮しなければならない点である。
AIの便利な面だけではなく、負の部分の記述があることで、簡単に使えることが決していいことばかりではない点であることをぜひ読者は注意してもらいたい。

読者モニターレビュー【 松木 彰 様(業界・専門分野:研究開発・都市デジタルツイン)】

掲載日:2025/03/18

本書は、「人間中心のAI社会」を実現するために、データサイエンティストが持つべき“心構え”を、誰にでもわかりやすく説いた一冊です。
目覚ましい進化を遂げるAI技術は、私たちの暮らしに多大な恩恵をもたらす一方で、新たな社会問題の火種にもなりつつあります。AIが膨大なデータを処理し、意思決定をサポートするのが当たり前となった今だからこそ、最終的な判断を下すのは「人間」でなければならない——そんな視点が、これからの社会ではますます重要になっていくはずです。
「人間中心社会」とは、AIにすべてを委ねる未来ではありません。AIをあくまで「道具」として賢く使いこなし、人間が本来持つ創造力や判断力をさらに磨いていくことを目指す社会です。AIと人間がどのように共生し、より良い未来を築いていくのか。そのヒントが、この本には詰まっています。
想定されている読者は、これからデータサイエンティストやAIの活用を目指す「学生」です。専門的な前提知識がなくても読み進めやすく、理系・文系を問わず、AIの世界への最初の一歩としておすすめできます。
一方で、すでにAIやデータサイエンスの分野で学びや仕事をしている方にとっては、やや物足りなさを感じるかもしれません。あくまでも本書は、さまざまなトピックを広く浅く取り扱っている印象なので、興味を持ったテーマについては他の専門書や資料を活用し、知識をさらに深めていく努力は欠かせないと感じました。しかし、前半にまとめられた「技術がもたらした社会の変化」や「AIのインパクト」に関する章はコンパクトで分かりやすく、知識の整理や社会動向の再確認に役立つでしょう。
とはいえ、「AI時代のデータサイエンティストに求められる視点とは何か」という問いに対して、その出発点を与えてくれる一冊であることは間違いありません。AIと共に歩むこれからの時代において、人間としてどのような判断や姿勢を持つべきかを考えたい方に、ぜひ手に取っていただきたい本です。