ベイジアンネットワークの統計的推論の数理

ベイジアンネットワークの統計的推論の数理

本書では,ベイジアンネットワークと確率伝搬法についてのアルゴリズム設計とプログラム作成に必要な基礎事項を段階的にまとめた。特に,確率伝搬法については,具体的な例題に対してできるだけ途中の式を省略しないで記述した。

ジャンル
発行年月日
2009/10/28
判型
A5
ページ数
266ページ
ISBN
978-4-339-02441-8
ベイジアンネットワークの統計的推論の数理
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定価

3,850(本体3,500円+税)

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本書では,ベイジアンネットワークと確率伝搬法についてのアルゴリズム設計とプログラム作成に必要な基礎事項を段階的にまとめた。特に,確率伝搬法については,具体的な例題に対してできるだけ途中の式を省略しないで記述した。

J.Pearlが確率伝搬法を提案してから,今年でちょうど20年になる.その後の誤り訂正符号などでの成功を契機に,確率伝搬法とペイジアンネットワークは20年間でさまざまに発展し,確率的情報処理という新しい研究分野を創出するにいたる.特に,2000年12月にバンクーバーで開催された国際会議Neural Information Processing Systems 2000(NIPS2000)では,Yedidia,Weiss and Freemanによって統計力学の近似手法の一つのクラスター変分法(菊池近似)を使うことで,確率伝搬法がさらに一般化された形に拡張できることが指摘された.これにより統計力学,情報科学,統計科学の学術的融合が大きく進み,数学的に大きく深化したことを実感した研究者は少なくないと思う.そして多くの研究者が,符号理論,画像処理,人工知能,計算理論,スピングラス理論,臨界現象などのさまざまの立場から切り込み,確率的情報処理における近似アルゴリズムというキーワードからたくさんの新しい展開が生み出されている.

その過程で日本の30~40歳代の若手研究者を中心とした文部科学省科学研究費補助金特定領域研究「確率的情報処理への統計力学的アプローチ」(研究期間:2002~2005年度,領域代表:田中和之),同特定領域研究「情報統計力学の様化と展開」(研究期間:2006~2009年度,領域代表:棒島祥介)という二つのプロジェクトが連続して進行し,世界に向けてこの分野における日本のトップレベルの研究成果を大きく印象づけることにも成功した.

本書では,ペイジアンネットワークと確率伝搬法についてのアルゴリズム設計とプログラム作成に必要な基礎事項を段階的にまとめた.特に,確率伝搬法については,具体的な例題に対して紙面の許す限り途中の式を省略しないで記述した.また,途中で読者に理解を深めてもらうためにいくつかの問題を入れた.残念ながら,後半部分では紙而の関係で略解を省略せざるを得なかったが,多くの問題はその前後に書かれた例題と類似の議論で解答できるものばかりなので,余力があれば取り組んで、いただきたい.

著者は大学院生から助手にかけての時代に,クラスター変分法で世界的に有名であった守田徹氏(現在は東北大学名誉教授)から研究指導を受け,一緒に研究させていただく機会に恵まれた.そのなかで統計力学とクラスター変分法についてたくさんのことを教えていただいた.その教えていただいたことが本書のあらゆる部分で基礎となっている.また,本書の執筆にあたり,東京工業大学の樺島祥介氏,京都大学の田中利幸氏,東北大学の安田宗樹氏にはさまざまの相談にのっていただいた.東北大学で著者の研究室に学生として在籍した成田和弥君には多くの修正点の指摘をいただいた.また,コロナ杜の方々には最後まで著者を見はなさずに本書の執筆に根気強くおつきあいいただいた.最後に,本書の執筆を陰でささえてくれた妻と娘にこの場をかりで感謝の気持ちを送りたい.

2009年9月
田中和之
http://www.smapip.is.tohoku.ac.jp/~kazu/

1. 確率的情報処理におけるベイジアンネットワークと確率伝搬法
1.1 確率推論としてのベイジアンネットワーク
1.2 確率伝搬法
1.3 確率伝搬法から情報統計力学への深化と展開
1.4 本書の構成

2. 集合と確率の基礎
2.1 集合
2.2 試行・標本点・事象
2.3 確率

3. ベイジアンネットワーク
3.1 一般的な結合確率と確率的因果関係
3.2 簡単なベイジアンネットワークの例
3.3 少し複雑なベイジアンネットワークの例
3.4 もう少し複雑な構造をもつベイジアンネットワークの例

4. グラフィカルモデル
4.1 グラフ
4.2 ベイジアンネットワークからグラフィカルモデルへ

5. 確率分布
5.1 確率変数と確率分布
5.2 結合確率分布
5.3 簡単な結合確率分布のさまざまな計算例
5.4 確率分布の表現
5.5 確率分布とエネルギー関数

6. 扱いやすい確率分布の計算
6.1 独立な確率変数による結合確率分布
6.2 一次元鎖グラフの結合確率分布
6.3 カクタス木構造のハイパグラフの結合確率分布
6.4 カクタス木構造のハイパグラフの確率伝搬法の一般公式

7. 確率伝搬法
7.1 閉路を含むグラフと確率伝搬法
7.2 カクタスネットワークの確率伝搬法の一般公式
7.3 因子グラフによる確率伝搬法の表現

8. 確率伝搬法の情報論的解釈
8.1 確率分布間の近さとしてのカルバック・ライブラー情報量
8.2 離散確率分布の変分原理
8.3 カルバック・ライブラー情報量の最小化と変分原理
8.4 カルバック・ライブラー情報量最小化からの確率伝搬法の一般公式の導出
8.5 確率伝搬法の閉路による影響

9. 確率伝搬法から情報統計力学への深化
9.1 グラフィカルモデルとイジングモデル
9.2 自由エネルギーとカルバック・ライブラー情報量
9.3 平均場法
9.4 完全グラフ上のイジングモデル
9.5 確率伝搬法の情報統計力学的解釈

10. 確率伝搬法から確率的情報処理へ
10.1 隠れマルコフモデル
10.2 誤り訂正符号
10.3 組合せ最適化問題

引用・参考文献
索引

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