防錆油 - 基礎から実用まで -
防錆油の種類、作用、適用、評価方法から防錆油に関わる材料、環境、前後工程の影響まで!
- 発行予定日
- 2026/07/下旬
- 判型
- A5
- 予定ページ数
- 220ページ
- ISBN
- 978-4-339-04724-0
- 内容紹介
- まえがき
- 目次
防錆油の種類、作用、適用、評価方法から防錆油に関わる材料、環境、前後工程の影響、さらには今後の展望までを解説する。本書の内容は、社内および社外への技術伝承、防錆油に関わる技術者の育成ツールとして活用することもできる。
☆発行前情報のため,一部変更となる場合がございます
べたつきがあり,臭気がし,脱脂が必要なのに,どうしてわざわざ部品に塗布するのかとその意義を問われる防錆油。しかし,使用されるなかで部品上にさびや変色を生じると初めて必要性を認知される防錆油。
1998年にこの防錆油の開発担当となり,さまざまな防錆油ユーザのお知恵を借りながら,また協力いただきながら防錆油に関わる問題解決,課題達成に取り組んできました。防錆油に関わり始めて20年目頃から,防錆油を後任に引き継ごうとするも,防錆油に関する書籍がなく,解説,論文もきわめて少なく,まとまった技術資料が少なく,ヒト・モノ・カネ・ジカンを確保できず,さらに伝え方が下手なために,このままでは技術の伝承,技術者の育成は難しいと考えていました。
そのようななか,防錆油の書籍出版の機会をいただきました。そこで,防錆油ユーザへの恩返しの意味も含めて,さまざまなユーザからの要望を踏まえて,防錆油の基礎から体系的,実用的な内容までを網羅した内容で執筆し,社内外への技術伝承,技術者の育成のツールとして役に立てていただこうと本書の執筆を決めました。
本書の内容は,防錆油の種類,作用,適用,評価方法から防錆油の関わる材料,環境,前後工程の影響,さらには今後の展望になります。
ただし,防錆油メーカとしてのノウハウ,ユーザの秘密情報,さらには具体的な問題解決法,対策についてはさまざまな制約により内容に含められていません。その点,ご了承いただければと思います。
今後も,本書などを活用した発信を続け,技術伝承,技術者の育成,技術の深化,新技術の共創に努め,防錆管理によって社会に貢献したいと考えます。
内容に関してご意見,ご質問がございましたら個別に回答させていただきます。遠慮なく著者略歴記載の連絡先にご連絡いただけますと幸いです。
本書の執筆にあたり,内容についてのアンケートに回答,執筆を後押しいただいた川崎重工業株式会社 内田英憲氏,株式会社デンソー 坂本一紀氏,トヨタ自動車株式会社 田和久佳氏,トヨタ車体株式会社 坪木健男氏,日本製鉄株式会社 桝野有氏,ポーライト株式会社 春成健嗣氏に感謝いたします。
また,本書執筆のきっかけをいただいた大阪大学 宇都宮裕教授,大気暴露試験場所の提供と評価にご協力いただいた琉球大学 押川渡教授,株式会社トヨタ車体研究所 曽木隆司氏,田平浩明氏,窒化処理材についてご教授いただいた東北大学 宮本吾郎教授,油面接着剤の相溶性についてアドバイスいただいたセメダイン株式会社 村地勇佑氏,梱包材に関して議論させていただいた防錆材技研 清水良直氏,株式会社イーパック 會田敬三氏,近藤裕樹氏をはじめとし,防錆油を接点として関わらせていただいたすべての企業,大学,学協会の皆様に深く感謝します。
さらに,本書の執筆を許可いただいた出光興産株式会社に感謝します。特に,本書に使用したほぼすべてのデータ取得に協力いただいた斉藤くみさん,未経験者の目線で本書を確認し貴重な意見をいただいた蓬田知行氏に感謝いたします。
2026年6月
長瀬直樹
☆発行前情報のため,一部変更となる場合がございます
1.防錆油
1.1 防錆油とは
1.2 防錆油の成分
1.2.1 鉱物油,炭化水素系溶剤
1.2.2 防錆添加剤
1.2.3 防錆以外の添加剤
1.3 防錆油の種類
1.3.1 指紋除去形防錆油(NP-0)
1.3.2 溶剤希釈形防錆油(NP-1, NP-2, NP-3-1, NP-3-2, NP-19)
1.3.3 ペトロラタム形防錆油(NP-6)
1.3.4 潤滑油形防錆油(NP-7, NP-8, NP-9, NP-10-1, NP-10-2, NP-10-3)
1.3.5 気化性防錆油(NP-20-1, NP-20-2)
1.3.6 JISに規定外の防錆剤
1.4 防錆油の働き
1.4.1 塗布部品上の推定油膜モデル
1.4.2 遮断作用
1.4.3 水置換作用
1.4.4 可溶化作用
1.4.5 そのほかの防錆作用
1.4.6 防錆以外の性能の付与
1.5 防錆油の評価方法
1.5.1 指紋除去形防錆油の評価方法
1.5.2 溶剤希釈形防錆油の評価方法
1.5.3 ペトロラタム形防錆油の評価方法
1.5.4 潤滑油形防錆油の評価方法
1.5.5 気化性防錆油の評価方法
1.5.6 JIS外の防錆油の評価方法
1.6 防錆油の環境対応
1.6.1 法規制
1.6.2 作業環境の改善
2.防錆油の関わる工程,環境
2.1 塗布工程
2.1.1 塗布方法
2.1.2 防錆油の付着量(膜厚)の測定方法
2.1.3 油膜厚さと視認性
2.2 前工程:洗浄
2.2.1 洗浄の重要性
2.2.2 洗浄剤
2.2.3 洗浄方法
2.2.4 乾燥方法
2.2.5 清浄度判定方法
2.2.6 洗浄時の注意点
2.3 防錆環境:包装工程
2.4 防錆環境:保管,輸送,ノックダウン
2.4.1 短期保管
2.4.2 長期保管,輸送時
2.4.3 ノックダウン
2.5 後工程:開梱工程
2.6 後工程:接合処理(溶接,油面接着)
2.6.1 溶接
2.6.2 油面接着
2.7 後工程:脱脂洗浄工程
2.7.1 炭化水素系溶剤による脱脂洗浄
2.7.2 アルカリ脱脂剤による脱脂洗浄
2.7.3 加熱脱脂
2.8 後工程:熱処理
2.9 後工程:表面処理
3.防錆油の性能低下の原因と対策:材料
3.1 鋼材組成の影響
3.1.1 鋼の腐食
3.1.2 炭素鋼の金属組織の耐食性
3.1.3 微量元素の影響(ハイテン鋼,リサイクル鋼)
3.2 表面硬化材の耐食性
3.3 酸化膜の保護性
3.4 金属組織に注目した電気化学計測法
4.防錆油の性能低下の原因:環境
4.1 防錆油膜と環境の影響
4.2 保管場所による温度,湿度の違いの影響
4.3 大気からの腐食促進物質付着の影響
4.4 温度上昇による油膜の低粘度化,薄膜化
4.4.1 溶剤の揮発による薄膜化
4.4.2 溶剤の蒸発による薄膜化
4.4.3 部品上の油膜温度の観察
4.4.4 流れ落ちによる薄膜化
4.4.5 気孔を有する部品内部への濡れ広がり,浸透による薄膜化
4.4.6 包装紙への移着による薄膜化
4.5 酸素,結露水,温度,金属種による防錆油の劣化
4.5.1 酸化劣化のメカニズム
4.5.2 大気開放部での防錆油の劣化とその影響
4.5.3 重ね合わせ部での防錆油の劣化とその影響
4.5.4 防錆油劣化油の再生処理の効果
4.6 防錆油と梱包材
5.防錆油の性能低下の原因と対策:前工程
5.1 油系前工程油剤混入による性状変化
5.1.1 性状変化の原因
5.1.2 油剤粘度と洗浄性
5.1.3 油剤粘度と大気暴露防錆性
5.1.4 性状管理
5.2 前工程油剤混合時の防錆油の添加剤濃度の推定
5.3 前工程油剤洗浄時の注意点
5.3.1 切削油剤,塑性加工油の影響
5.3.2 熱処理油の影響
5.3.3 防錆油の影響
5.3.4 部品の表面粗度の影響
5.4 水系前工程油剤による腐食
5.4.1 抽出水の分極測定
5.4.2 スタック防錆試験
5.4.3 腐食センサによる評価
5.5 水系前工程油剤との反応物の生成
5.6 水系前工程油剤の残存有無の確認
5.7 前工程油剤洗浄時の注意点
5.7.1 水系切削油剤
5.7.2 水系熱処理油剤と水系防錆剤
5.7.3 水系油剤に関する注意点
6.防錆油の後工程への影響と付加価値向上
6.1 防錆油が残存しないことを前提とする後工程
6.1.1 防錆油の脱脂時の注意点
6.1.2 表面処理:塗装への影響
6.1.3 熱処理への影響
6.2 残存する防錆油の影響はないことが前提の後工程
6.2.1 非鉄金属(銅合金,アルミ合金,亜鉛めっき)の影響
6.2.2 樹脂,ゴム材への影響
6.2.3 油面接着への影響
6.2.4 溶接への影響
6.3 防錆油が付加価値を付与する前後工程
6.3.1 絞り成形
6.3.2 せん断加工
6.3.3 サイジング加工
6.3.4 調質圧延
7.SDGs, LCA, CE, CNに向けたこれからの防錆技術
7.1 工程全体の防錆管理
7.2 協働体制の整備
7.3 技術者の育成
付録 防錆油の選定,適用と防錆管理
A.1 防錆油選定のチェックリスト
A.2 防錆油適用のチェックリスト
A.3 防錆管理のチェックリスト
引用・参考文献
索引








