標準金属工学講座 16
改訂 腐食科学と防食技術
初版の説明不足の箇所を改め,特にステンレス鋼の粒量腐食や高温水腐食およびそれらの試験法については,最近十年間の研究成果を取り入れ全面的に改稿した。章末の参考書も最近のものを掲げてある。
- 発行年月日
- 1979/10/30
- 判型
- A5 上製/箱入り
- ページ数
- 458ページ
- ISBN
- 978-4-339-04290-0
- 内容紹介
- 目次
初版の説明不足の箇所を改め,特にステンレス鋼の粒量腐食や高温水腐食およびそれらの試験法については,最近十年間の研究成果を取り入れ全面的に改稿した。章末の参考書も最近のものを掲げてある。
第1章 金属の腐食とその重要性
1.1 金属の腐食
1.2 腐食が人間社会に及ぼす影響
第2章 腐食科学と防食技術
2.1 腐食科学
2.2 防食技術
第3章 金属はなぜ腐食するか
3.1 元素の化学的親和力
3.2 金属結合
3.2.1 金属の特性
3.2.2 金属の展延性の由来
3.2.3 金属の電気伝導性の由来
3.2.4 金属の特性と腐食との関連
3.3 金属の化学的性質
3.4 金属表面の構造
第4章 金属の腐食様式
4.1 金属の腐食様式の分類
4.2 全面腐食
4.3 局部腐食
第5章 腐食電池を想定した腐食現象の説明
5.1 腐食電池の由来
5.2 腐食電池におけるアノードとカソード
5.3 腐食電池の存在する実験的証拠
5.4 どのような場合に腐食電池ができるか
5.4.1 金属側での原因
5.4.2 環境側での原因
第6章 金属の電極電位と腐食現象への応用
6.1 腐食反応と自由エネルギー変化
6.2 ネルンストの式と単極電位
6.3 電極電位の持つ意味
6.4 電極電位の基準と測定
6.4.1 基準電極(照合電極)
6.4.2 腐食電池の起電力測定法とその符号
6.5 金属の不可逆電極電位
6.5.1 金属の自然電位
6.5.2 自然電位に及ぼす環境因子の影響
6.5.3 自然電位に及ぼす金属因子の影響
6.5.4 腐食反応が自然電位に及ぼす影響
6.6 金属の熱力学的安定性
6.6.1 電位-pH図の由来
6.6.2 腐食図の応用と変化
6.7 腐食現象に対する平衡論適用の現界
第7章 腐食の進行速度
7.1 腐食反応速度
7.1.1 反応速度の律速段階
7.1.2 反応の活性化エネルギー
7.1.3 反応速度は何によってきまるか
7.2 電気化学反応における反応速度
7.3 分極現象の内容
7.3.1 濃度分極
7.3.2 活性化分極
7.3.3 抵抗分極
7.3.4 分極の支配形式と反応の律速段階
7.4 水素過電圧
7.5 分極と腐食速度
7.5.1 Evansの分極図による腐食速度の解析
7.5.2 Wagner Traudの分極図
7.6 分極曲線より腐食速度を求める方法
第8章 異種金属接触腐食
8.1 異種の金属を接触させると腐食はどうなるか
8.2 腐食電位列
8.3 腐食速度に影響する因子
8.3.1 回路抵抗
8.3.2 電位と分極
8.3.3 両極の面積
8.4 異種金属接触腐食の防止
第9章 腐食速度に影響する環境因子
9.1 腐食液のpH
9.2 溶存酸素
9.3 溶存イオンの影響
9.3.1 腐食抑制作用をもつイオン
9.3.2 腐食促進作用をもつイオン
9.4 中性塩濃度の影響
9.5 腐食生成物の性質
9.6 濃淡電池作用
9.7 水流速の影響
9.7.1 水流速の一般的影響
9.7.2 中性液中での水流速の影響
9.7.3 水流速による電池作用腐食への影響
9.7.4 酸性液中での水流速の影響
9.7.5 高速流水による潰食
9.8 温度の影響
9.9 熱流束の影響
9.10 光の影響
第10章 腐食速度に影響する金属因子
10.1 金属因子が腐食速度に影響する場合と,しない場合
10.2 金属の純度および合金組成の影響
10.2.1 金属中の不純物および微量添加物の影響
10.2.2 合金組成の影響
10.2.3 タンマンの耐酸限
10.3 金属組織の影響
10.3.1 単相合金と多相合金
10.3.2 多相合金の組織の影響
10.4 結晶方位の影響
10.5 格子欠陥の影響
10.6 結晶粒界の影響
10.6.1 粒界の原子配列
10.6.2 粒界の腐食性
10.6.3 粒界偏析の影響
10.7 結晶粒度の影響
10.8 冷間加工の影響
10.9 表面状態の影響
10.9.1 表面あらさの影響
10.9.2 表面きずの影響
10.10 熱処理の影響
10.10.1 熱処理は腐食にどう影響するか
10.10.2 全面腐食に及ぼす影響
10.10.3 粒界腐食に及ぼす影響
10.10.4 応力腐食割れに及ぼす影響
第11章 不動態
11.1 不動態とはどのような現象をさすか
11.2 電気化学的不動態
11.2.1 アノード分極による不動態化過程
11.2.2 フラーデ電位
11.2.3 不動態保持電流
11.2.4 過不動態
11.3 化学的不動態
11.4 不動態の安定性
11.5 腐食図と不動態
11.6 不動態化に及ぼす環境因子
11.6.1 不動態化剤と活性化剤
11.6.2 ハロゲンイオンの影響
11.6.3 温度の影響
11.6.4 水流の影響
11.7 不動態化に及ぼす合金組成の影響
11.7.1 Fe-Cr合金の不動態
11.7.2 ステンレス鋼の不動態
11.8 不動態の理論
11.8.1 酸化物皮膜説
11.8.2 化学吸着説
第12章 孔食とすきま腐食
12.1 金属の孔食
12.2 孔食発生に影響する環境因子
12.2.1 孔食を起こすイオン
12.2.2 酸化剤および温度
12.2.3 孔食を抑制するアニオン
12.2.4 水流
12.3 孔食を起こす電位
12.4 孔食に適用できる腐食図
12.5 孔食の発生と成長の過程
12.5.1 孔食のアノード反応
12.5.2 孔食のカソード反応
12.6 孔食に影響する金属因子
12.6.1 合金による耐孔食性の違い
12.6.2 表面状態
12.6.3 熱処理の影響
12.6.4 食孔の発生場所
12.6.5 食孔の形
12.7 孔食の理論
12.7.1 孔食発生の考え方
12.7.2 孔食成長の考え方
12.8 すきま腐食
12.9 孔食とすきま腐食の防止
第13章 応力の影響
13.1 応力は腐食にどう影響するか
13.2 応力腐食割れ
13.2.1 応力腐食割れはどのような場合に起こるか
13.2.2 応力腐食割れの起こり方についての通則
13.2.3 応力腐食割れを起こす応力
13.2.4 粒界割れと粒内割れ
13.2.5 応力腐食割れの機構
13.2.6 オーステナイトステンレス鋼
13.2.7 フェライトステンレス鋼
13.2.8 鋼
13.2.9 銅合金
13.2.10 アルミニウム合金
13.2.11 マグネシウム合金
13.2.12 チタン合金
13.2.13 ニッケル合金
13.2.14 応力腐食割れ防止法
13.3 水素割れ
13.4 フェライトステンレス鋼の割れ
13.5 硫化物応力割れ
13.5.1 硫化物応力割れの特徴
13.5.2 硫化物応力割れの影響因子
13.5.3 硫化物応力割れの機構
13.5.4 割れ防止法
13.6 高張力鋼の割れと破壊力学の適用
13.7 腐食つかれ
13.7.1 腐食つかれ現象
13.7.2 金属材料の腐食つかれ強さ
13.7.3 腐食つかれ防止法
13.8 擦過腐食
13.9 キャビテーション腐食
13.9.1 キャビテーションによる損傷
13.9.2 キャビテーション腐食に影響する環境因子
13.9.3 金属材料の耐キャビテーション腐食性
13.9.4 キャビテーション腐食防止法
第14章 金属材料の腐食特性各論
14.1 鉄鋼
14.1.1 鉄の腐食特性
14.1.2 鉄鋼の腐食
14.1.3 ステンレス鋼
14.2 銅とその合金
14.2.1 銅の腐食特性
14.2.2 銅合金の腐食特性
14.2.3 銅および銅合金の変色
14.2.4 銅の水素侵食
14.3 ニッケルとその合金
14.3.1 ニッケルの腐食特性
14.3.2 ニッケル合金
14.4 アルミニウムとその合金
14.4.1 アルミニウムの腐食特性
14.4.2 アルミニウムが耐食性のある環境
14.4.3 合金元素の影響
14.4.4 アルミニウムとその合金の腐食の問題点
14.4.5 アルミニウムの防食
14.5 マグネシウムとその合金
14.6 チタン
14.6.1 チタンの腐食特性
14.6.2 チタンの不動態の特長
14.6.3 海水中のチタンの耐食性
14.6.4 チタンの急激な酸化
14.7 ジルコニウム
14.7.1 ジルコニウムの腐食特性
14.7.2 ジルコニウムの耐食性の問題点
14.8 タンタルとニオブ
14.8.1 タンタルの腐食特性
14.8.2 ニオブの腐食特性
第15章 自然環境の腐食特性
15.1 大気腐食
15.1.1 大気腐食の特徴
15.1.2 大気腐食に影響する環境因子
15.1.3 鋼の大気腐食
15.1.4 銅の大気腐食
15.1.5 アルミニウムの大気腐食
15.2 土中腐食
15.2.1 土中腐食の特性
15.2.2 土中腐食に影響する因子
15.2.3 迷走電流による腐食
15.2.4 土中腐食の防止
15.3 海水腐食
15.3.1 海水の腐食特性
15.3.2 海中浸せき深さの影響
15.3.3 付着生物の影響
15.3.4 金属の海水腐食特性
15.4 微生物腐食
15.4.1 好気性バクテリアによる腐食
15.4.2 嫌気性バクテリアによる腐食
15.4.3 アルミニウム合金の微生物腐食
15.4.4 微生物腐食の防止
第16章 各種工業における腐食問題
16.1 ボイラの腐食
16.1.1 ボイラ水による腐食
16.1.2 燃焼ガスによる腐食
16.2 コンデンサ管の腐食
16.2.1 コンデンサ管とその使用条件
16.2.2 コンデンサ管の腐食事故
16.2.3 汚染海水によるコンデンサ管の腐食
16.2.4 コンデンサ管腐食の防止
16.3 溶接が腐食に及ぼす影響
16.3.1 溶接方法の影響
16.3.2 溶接継手形状の影響
16.3.3 溶接施工
16.3.4 溶接金属
16.3.5 熱影響
16.3.6 残留応力
16.4 原子炉における腐食
16.4.1 原子炉における腐食問題の特徴
16.4.2 水冷却炉の腐食問題
16.4.3 液体金属冷却炉の腐食問題
16.4.4 ガス冷却炉の腐食問題
16.4.5 炉内放射線が原子炉材料の腐食に及ぼす影響
第17章 ガス腐食
17.1 ガス腐食とは何をさすか
17.2 どのようなガス腐食が起こりうるか
17.3 ガス腐食の進行速度は何によるきまるか
17.3.1 酸化皮膜の保護性
17.3.2 ガス腐食の反応速度式
17.3.3 厚い皮膜の成長過程
17.3.4 酸化物中の拡散機構
17.3.5 酸化に及ぼす組織および成分の影響
17.4 鉄のガス腐食
17.4.1 鉄の耐酸化性
17.4.2 鋼の水素侵食
第18章 腐食の防止
18.1 腐食防止法の考え方
18.1.1 熱力学的安定性の増加による方法
18.1.2 反応抵抗の増大による方法
18.1.3 防食法の選択
18.2 耐食性金属材料の選定
18.3 装置の設計と組立ての問題点
18.4 環境処理による防食法
18.4.1 相対湿度の低下による大気腐食の防止
18.4.2 溶存酸素除去による防食
18.4.3 腐食抑制剤を使用する防食
18.5 電気化学的防食法
18.5.1 カソード防食法
18.5.2 アノード防食法
18.6 金属被覆
18.6.1 電気めっき
18.6.2 化学めっき
18.6.3 溶融めっき
18.6.4 その他の方法
18.7 非金属被覆
18.7.1 化成被覆
18.7.2 塗料による防食
18.7.3 その他の被覆
第19章 腐食試験法
19.1 腐食試験の目的
19.2 腐食試験の分類
19.3 試験条件の調整
19.3.1 試験片
19.3.2 試験継続期間
19.3.3 試験環境の調整
19.4 実験室的試験
19.4.1 静的浸せき試験
19.4.2 交互浸せき試験
19.4.3 流水中腐食試験
19.4.4 電気化学的試験
19.4.5 孔食試験
19.4.6 粒界腐食試験
19.4.7 応力腐食割れ試験
19.4.8 高温腐食試験
19.4.9 大気腐食を目的とした促進試験
19.5 実地腐食試験
19.5.1 大気暴露試験
19.5.2 水中浸せき試験
19.5.3 プラント腐食試験
19.6 腐食速度の計測法
19.6.1 試験片の変化の計測
19.6.2 環境の変化の計画
19.7 腐食生成物の解析
19.8 放射性同位元素の利用
19.9 腐食試験結果の実用的評価
19.9.1 腐食形態の表示
19.9.2 腐食速度の表示とその評価
第20章 参考書について
索引