構造力学演習

構造力学演習

「構造力学」(土木・環境系コアテキスト)に準拠した演習書。教科書と合わせて必携の書。

ジャンル
発行年月日
2020/05/07
判型
A5
ページ数
206ページ
ISBN
978-4-339-05271-8
構造力学演習
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定価

2,860(本体2,600円+税)

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わかりやすい教科書として好評を博する「構造力学」(土木・環境系コアテキストシリーズ)に準拠した演習書。重要な考え方を説明しなおし,豊富な例題と演習を通じて,確実に身につくようにした。教科書と合わせて必携の書籍です。

【演習書の役割と必要性】
構造力学(応用力学)の学習は,講義を聴くだけでは不十分で,学生が自ら演習問題を解くことが不可欠である。学生は演習問題を解くことによって初めて,講義で聴いた理論や例題の解き方の要点を理解し,また理解不十分だったところを認識し補うことができる。

実際,日本の多くの大学・高等専門学校の土木工学課程において,構造力学(応用力学)の授業は講義と演習とで構成されている。筆者らが勤務する日本大学理工学部土木工学科の学部専門課程でも講義と演習が併設され,現在の時間割では,午前中に聴いた講義の内容に関する演習問題をその日の午後の演習時間に解くように時間割を組んでいる。また数年前から,演習時間の冒頭に穴埋め問題形式の「小テスト」を短時間(10~15分)実施し,午前の講義で聴いた内容の要点を学生が自ら確認してから演習問題に着手する,という流れにして学習効果を向上させることに成功している。

従来の演習の授業では,演習問題をプリントで配布し,学生が解答を提出した後に詳細な解答例を紙あるいはウェブで配布する,という方式が多い。しかし,この方式では演習の授業に対する予習が十分にできない。

演習問題を豊富に揃えた演習書があれば,演習の授業に対する予習を的確かつ効率よく行うことができ,講義を聴講するときに要点をより明確に把握することができる。

また,教育課程によっては必ずしも演習の時間を十分とれないことがある。大学院入試や公務員試験の受験対策には,教科書よりも,焦点を絞った実践的な演習書のほうが有効である。

アクティブラーニングや反転授業など,学生の自主性を重んじ,それによりより高い学習効果を得る流れもますます盛んになってきている現在,構造力学の演習書の役割と必要性はたいへん高いといえる。

【本演習書の利用の仕方】
本書の内容は,土木工学の専門課程で最初に学ぶ構造力学(応用力学)を対象としている。静定ばり,トラス,ラーメン,アーチから簡単な不静定構造を解けるところまでを扱っており,セメスター2学期分程度の分量を想定している。

《本書の構成》
●章:1つあるいは複数のテーマで構成
●各テーマ:理論や定理の説明(例題を含む)と演習問題で構成
・理論や定理の説明:演習問題を解くために直接必要となる式やその使い方に焦点を当てた簡潔な記述
・演習問題:3つの形式の演習問題で構成し,章末に解答例を掲載

《演習問題の構成と特色》
●穴埋め形式の問題:理論や定理,あるいは解き方のポイントがわかるように,要所を「穴埋め」する方式の問題
●詳しい解答例付きの問題:解き方の流れ,注意点などがわかるような解説付きの問題
●解答のみ付いた問題:学生が自ら解いて実力をつける問題

《理論や定理の説明について》
●本書の内容と構成は,拙著『土木・環境系コアテキストシリーズB-1:構造力学』(2011年,コロナ社刊)に準拠している。理論や定理の詳しい説明はそちらを参照していただきたい。『構造力学』に含まれていない一部のテーマについては,本書の付録に解説を加えた。

『構造力学』で理論を学び,本書『構造力学演習』で具体的な問題の解き方を理解しスキルを磨く。そのうえで再度『構造力学』を読むと理解がより深く広くなる。2つの本を相互に活用して真の実力をつけていただきたい。

2020年3月   野村卓史,長谷部寛

1. 静定ばり
1.1 はりの支点反力と断面力
 1.1.1 力のつり合い
 1.1.2 荷重と支点反力
 1.1.3 静定構造と不静定構造
 1.1.4 はり
 1.1.5 はりの断面力
 1.1.6 支点反力と断面力の求め方
 1.1.7 演習問題
1.2 片持ちばり,集中モーメント,および分布荷重
 1.2.1 片持ちばり
 1.2.2 集中モーメント
 1.2.3 分布荷重
 1.2.4 演習問題
1.3 ゲルバーばりと間接荷重
 1.3.1 ゲルバーばり
 1.3.2 間接荷重
 1.3.3 演習問題
1章の演習問題解答例

2. 応力とひずみ
2.1 直応力と直ひずみ
 2.1.1 直応力
 2.1.2 直ひずみ
 2.1.3 ポアソン効果
 2.1.4 応力とひずみの関係
 2.1.5 演習問題
2.2 せん断応力とせん断ひずみ
 2.2.1 せん断応力
 2.2.2 せん断ひずみ
 2.2.3 せん断応力とせん断ひずみの関係
 2.2.4 組合せ応力
 2.2.5 平面応力
 2.2.6 演習問題
2章の演習問題解答例

3. 断面の諸量
3.1 はりの断面の諸量
 3.1.1 はりの断面形の特性を表す諸量
 3.1.2 断面1次モーメントと図心
 3.1.3 断面2次モーメント
 3.1.4 基本的な図形を組み合わせた断面形
 3.1.5 演習問題
3章の演習問題解答例

4. はりの応力
4.1 曲げによる直応力
 4.1.1 曲げによるひずみの分布
 4.1.2 曲げによる直応力の分布
 4.1.3 縁応力と断面係数
 4.1.4 演習問題
4.2 曲げによるせん断応力
 4.2.1 曲げによるせん断応力分布
 4.2.2 長方形断面のせん断応力分布
 4.2.3 演習問題
4章の演習問題解答例

5. はりのたわみ
5.1 曲げモーメントとたわみの関係
 5.1.1 はりのたわみに関する仮定と変形
 5.1.2 たわみと曲げモーメントの微分方程式
 5.1.3 微分方程式の境界条件
 5.1.4 微分方程式の解
5.2 ゲルバーばりのたわみ
 5.2.1 ゲルバーばりの境界条件
 5.2.2 演習問題
5章の演習問題解答例

6. 影響線とその応用
6.1 影響線
 6.1.1 単純ばりの影響線
 6.1.2 片持ちばりの影響線
6.2 最大曲げモーメント
 6.2.1 移動荷重が1つの場合
 6.2.2 連行荷重の場合
 6.2.3 演習問題
6章の演習問題解答例

7. トラス,ラーメン,およびアーチ
7.1 トラス
 7.1.1 トラス構造の特徴
 7.1.2 静定トラスの部材の軸力の求め方:節点法
 7.1.3 静定トラスの部材の軸力の求め方:断面法
 7.1.4 トラスの静定・不静定の判別
 7.1.5 演習問題
7.2 ラーメン
 7.2.1 ラーメン構造の特徴
 7.2.2 静定ラーメンの断面力の求め方
 7.2.3 ラーメンの静定・不静定の判別
 7.2.4 演習問題
7.3 アーチ
 7.3.1 アーチ構造の特徴
 7.3.2 静定アーチの断面力の求め方
 7.3.3 演習問題
7章の演習問題解答例

8. エネルギー原理による構造物の変位の求め方
8.1 エネルギー原理
 8.1.1 仕事とひずみエネルギー
 8.1.2 相反定理
 8.1.3 演習問題
8.2 カスティリアノの定理
 8.2.1 カスティリアノの定理によるトラスの変位の計算
 8.2.2 曲げを受ける部材の変形への適用
 8.2.3 カスティリアノの定理によるはりの変位の計算
 8.2.4 演習問題
8.3 仮想仕事の原理
 8.3.1 仮想仕事の原理によるトラスの変位の計算
 8.3.2 仮想仕事の原理によるはりおよびラーメンの変位の計算
 8.3.3 温度変化などによるトラスの変形
 8.3.4 演習問題
8章の演習問題解答例

9. 不静定構造の解法
9.1 静定基本系による解き方
 9.1.1 外的不静定構造と内的不静定構造
 9.1.2 静定基本系
 9.1.3 カスティリアノの定理を用いた外的不静定構造の解き方
 9.1.4 カスティリアノの定理を用いた外的不静定トラスの解き方
 9.1.5 演習問題
 9.1.6 仮想仕事の原理を用いた外的不静定構造の解き方
 9.1.7 仮想仕事の原理を用いた外的不静定トラスの解き方
 9.1.8 高次の不静定構造
 9.1.9 演習問題
9.2 内的不静定構造の解き方
 9.2.1 最小仕事の原理
 9.2.2 最小仕事の原理を用いた内的不静定トラスの解き方
 9.2.3 内的不静定構造の例
 9.2.4 演習問題
9章の演習問題解答例

10. ミューラー-ブレスロウの定理による影響線の求め方
10.1 ミューラー-ブレスロウの定理
 10.1.1 ミューラー-ブレスロウの定理の要点
 10.1.2 単純ばりの影響線への適用
 10.1.3 片持ちばりの影響線への適用
 10.1.4 ゲルバーばりの影響線への適用
 10.1.5 演習問題
10章の演習問題解答例

11. 柱
11.1 長柱の座屈
 11.1.1 軸圧縮力を受ける両端回転支持の柱
 11.1.2 支持条件による座屈荷重の違い
 11.1.3 強軸と弱軸
 11.1.4 演習問題
11.2 短柱と断面の核
 11.2.1 偏心圧縮荷重による応力
 11.2.2 断面の核
 11.2.3 演習問題
11章の演習問題解答例

付録
A. 連行荷重による最大曲げモーメントの求め方の根拠
A.1 影響線による最大曲げモーメントの検討
 A.1.1 連行荷重に関する設定
 A.1.2 連行荷重の移動による断面Cの曲げモーメントの変化
 A.1.3 最大曲げモーメント

B. ミューラー-ブレスロウの定理の証明
B.1 仮想仕事の原理とミューラー-ブレスロウの定理
 B.1.1 定理の証明:支点反力RAの影響線
 B.1.2 仮想仕事の原理に関する補足
 B.1.3 定理の証明:断面力の影響線

C. 長柱の座屈理論(長柱の座屈荷重)
C.1 微分方程式の解
C.2 他の支持条件の座屈荷重

野村 卓史(ノムラ タカシ)

「土木学会誌」2020年7月号 掲載日:2020/08/05

掲載日:2020/10/30

「土木学会誌」2020年11月号広告