MIMOアンテナ
MIMO技術とアンテナ技術の関係性を整理し,その理論から実践までを体系的に解説。
- 発行予定日
- 2026/09/中旬
- 判型
- A5
- 予定ページ数
- 258ページ
- ISBN
- 978-4-339-01504-1
- 内容紹介
- まえがき
- 目次
現代の高速通信に不可欠な「MIMO」技術と,アンテナ技術とを結びつける一冊。MIMOの理論,アンテナ特性がMIMOに与える影響やその評価手法,各種測定手法や実際のMIMOアンテナ構成例を網羅的に学ぶことができる。
☆発行前情報のため,一部変更となる場合がございます
本書は,MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)技術とアンテナ技術の関係性を体系的に整理し,設計・評価・実装に至るまでの知見を網羅的にまとめたものである。MIMO技術は,1990年代後半にその理論的可能性が示されて以来,無線通信分野において飛躍的な進化を遂げてきた。特にアンテナ技術との融合により,通信容量の向上や干渉抑制など,従来の限界を超える性能が実現されつつある。本書では,MIMOの信号モデルやチャネル容量の理論的背景から出発し,空間相関や固有値解析,各種チャネルモデルの理解を深めるとともに,アンテナ特性がMIMO性能に与える影響を定量的に評価する手法を紹介する。さらに,電磁界シミュレーションやチャネルサウンダを用いた測定技術,実際の端末・基地局・アクセスポイントにおけるMIMOアンテナ構成例までを取り上げ,理論と実践の架け橋となることを目指した。執筆にあたっては,長年にわたりMIMOアンテナ技術の研究に携わってきた経験と,多くの共同研究者・技術者との議論が大きな支えとなった。特に,著者らの研究の過程で得られたMIMOアンテナのシミュレーションと実験手法や,MIMOに関わるさまざまな相関係数の定義とその評価は,本書の中核をなすものであり,これらの知見を共有できることを嬉しく思う。
本書は,電子情報通信学会アンテナ・伝播研究専門委員会主催の「アンテナ・伝搬における設計・解析手法ワークショップ(第60回)」におけるテキスト「できる!実践MIMOアンテナ」をもとに,著者らが加筆修正を加えたものである。当時のワークショップ実行委員会の皆様の貴重な激励とお力添えに深く感謝申し上げる。また,MIMO技術への誘いを与えてくれた故西森健太郎氏には,心からの敬意と感謝を捧げたい。その示唆と情熱は,著者らの研究の原点であり,本書の根幹を形づくる大きな力となった。
最後に,本書がアンテナ技術者,信号処理技術者,そしてMIMO技術に関心をもつすべての読者にとって,理論と実践をつなぐ一助となり,今後の研究・開発の発展に寄与することを願ってやまない。
2026年8月
本間尚樹・村田健太郎
☆発行前情報のため,一部変更となる場合がございます
1.はじめに
1.1 MIMOの用語と位置づけ
1.2 MIMO技術の登場およびアンテナ技術との関わり
1.3 本書の目的
2.MIMO技術の概要
2.1 アンテナ数によるマルチアンテナシステムの分類
2.2 MIMOの信号モデル
2.2.1 信号モデルと空間相関行列
2.2.2 相関係数
2.2.3 固有ベクトルと固有値
2.3 チャネルモデル
2.3.1 レイリーフェージングと仲上–ライスフェージングモデル
2.3.2 クロネッカモデル
2.3.3 散乱リングモデル
2.4 MIMOチャネル容量
2.5 MIMO方式の発展
2.5.1 MU-MIMO
2.5.2 分散MIMO/協調マルチポイントMIMO
2.5.3 大規模MIMO
3.アンテナ特性とMIMOの関係
3.1 従来のアレーアンテナとMIMOアンテナの違い
3.2 求められるアンテナ特性
3.3 アンテナ特性がMIMOチャネルに与える影響
3.4 回路パラメータとMIMOチャネル
3.4.1 単素子アンテナ
3.4.2 M素子アンテナ
3.4.3 MR × MT アンテナシステム
3.5 複素指向性と相関係数
3.5.1 複素指向性を用いた相関係数計算法
3.5.2 結合による相関係数への影響
3.6 Sパラメータと相関係数
3.7 各種計算法により得られた相関特性の比較
3.8 MIMOチャネル容量
3.8.1 アンテナの反射・相互結合とチャネル容量
3.8.2 相関行列を用いたチャネル容量計算法
4.アンテナ特性を考慮したMIMOのシミュレーション
4.1 シミュレーションの流れと分類
4.2 アンテナ特性の数値解析
4.2.1 モーメント法,FDTD法
4.2.2 複素指向性
4.3 アンテナを考慮したMIMOチャネルの計算
4.3.1 散乱リングモデル
4.3.2 レイトレース法
4.3.3 FDTD法
5.実アンテナを用いたMIMOの測定
5.1 測定の流れ
5.2 アンテナの測定
5.2.1 Sパラメータの測定
5.2.2 複素指向性の測定
5.3 伝搬測定
5.3.1 MIMOチャネルサウンダの種類
5.3.2 MIMOチャネルの測定系の例
6.MIMOシステム実践例
6.1 MIMOアンテナの研究動向
6.1.1 直交偏波の利用
6.1.2 減結合
6.2 MIMOアンテナの実際
6.2.1 セルラ端末用MIMOアンテナ(1)
6.2.2 セルラ端末用MIMOアンテナ(2)
6.2.3 セルラ端末用ミリ波用MIMOアンテナ
6.2.4 4G/5G機器用MIMOアンテナ
6.2.5 基地局用MIMOアンテナ
6.2.6 Wi-Fiアクセスポイント用MIMOアンテナ
7.特異な伝搬環境におけるMIMO応用技術
7.1 見通し内MIMO
7.1.1 アナログ固有モード伝送の原理
7.1.2 アナログ固有モード伝送の4×4MIMOへの拡張
7.1.3 2×2MIMOにおける実験
7.1.4 4×4MIMOにおける実験
7.1.5 アナログ固有モード伝送の多素子への拡張
7.2 無給電アンテナアレーによる伝搬環境操作
7.2.1 提案法の概念と原理
7.2.2 実験結果
付録A.行列・ベクトルに関する公式
A.1 転置
A.2 エルミート行列
A.3 フロベニウスノルム
A.4 行列式
A.5 逆行列・一般化逆行列(疑似逆行列)
A.6 ユニタリ行列
A.7 トレース
A.8 エルミート行列の固有値と固有ベクトル
A.9 特異値分解
付録B.回路パラメータに関する公式
B.1 Sパラメータとその他の回路パラメータとの変換
B.2 Sパラメータの縦続接続
おわりに
引用・参考文献
索引








