MATLABによるディジタル無線通信技術

MATLABによるディジタル無線通信技術

MATLABを使ったディジタル無線通信技術のプログラミング方法を解説し,重要な基礎技術および理論が理解できるようにした。プログラムの作成,実行,検証を通して,感覚的,直感的に各技術を捉えることができる。

ジャンル
発行年月日
2008/12/17
判型
A5
ページ数
190ページ
ISBN
978-4-339-00800-5
MATLABによるディジタル無線通信技術
在庫あり

定価

2,750(本体2,500円+税)

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  • 内容紹介
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  • 目次
  • レビュー
  • 著者紹介

MATLABを使ったディジタル無線通信技術のプログラミング方法を解説し,重要な基礎技術および理論が理解できるようにした。プログラムの作成,実行,検証を通して,感覚的,直感的に各技術を捉えることができる。

本書は,単に数値計算ソフトウェアMATLABを使ったディジタル無線通信技術のプログラミング方法を解説するのみでなく,新しいシナリオからディジタル無線通信技術の理解に役立てる本を目指して書かれたものである。

筆者が在籍する大学で,最も難しい科目はなにかと学生に尋ねると,多くが「通信工学」と答えるようである。通信工学の難しさとはなにか,と筆者は真剣に考えてみた。まず,第一に,目に見えない概念で構成されていることが挙げられる。位相や周波数,相関などがそれである。情報理論もそうである。第二に,それらが複素数という,j=√(-1)と盾突に与えられた虚数単位を使った方法で表現されたり,確率というピンと来ない概念で記述されたりすることである。しかし,それらはアイデアの一表現方法にすぎない。そこで表現されているアイデアを理解するうえで重要なのは,数式の導出や定理の証明ではなく,“シナリオ”の理解である。「なにをしようとしてこんなことをしているのか」,その問が最も重要であるとの考えから,本書が目指したのは“シナリオ”の表出と,その理解を容易にする内容と構成である。

それを目指し,筆者は渾身の努力を本書に投入したが,紙の上に文字と数式,図面だけで表現することの難しさを改めて痛感した。筆者の目指したところが100%実現されているとはいえないかもしれない。しかし救いは,MATLABのm-file(プログラム)例を添付できたことである。

現代は素晴らしい時代であると実感することの一つに,パーソナルコンピュータの発展・普及とそれに伴うソフトウェア技術の発展がある。昔では考えられなかったような性能のコンピュータを個人でさえ購入できる。そして,自分のアイデアをコンピュータの中に実現し,その挙動を簡単に見て,感じることができる。数式の理解も重要であるが,実際に手を動かして数式をソフトウェアとして実現してみることでさまざまなことに気づくことができる。プログラム例は,MATLABのみならず,MATLABに似た特徴を持つ行列演算フリーソフトウェアなどでも実現できるような内容とするのを心掛けている。読者におかれてはぜひ,プログラムの作成,実行および検証を試みられたい。

本書を書くきっかけをいただいた東京農工大学大学院教授 宇野亨先生に衷心より感謝申し上げます。また,本書の完成に多大なる御尽力をいただきましたコロナ社の皆様に厚く御礼申し上げます。

2008年10月
神谷幸宏

1. 本書の特徴と構成
 1.1 本書の特徴
 1.2 ディジタル通信の概観:ディジタル通信とアナログ通信
 1.3 本書が対象とする範囲および目的
 1.4 本書の信号表現

2. MATLABの概要
 2.1 コマンドウィンドウからの基本的行列操作
 2.2 m-fileの作成
 2.3 clear allの重要性
 2.4 データの保存と読込み
 2.5 関数の作成
 2.6 MATLABプログラミングにおける鉄則
 2.7 ヘルプの利用

3. 信号理論の基礎
 3.1 複素数と解析的信号
 3.2 相関
 3.3 整合フィルタの理論
 3.4 MATLABプログラミングの要点

4. 変復調技術
 4.1 BPSK
  4.1.1 BPSKの原理
  4.1.2 BPSKのシミュレーション
 4.2 QPSKへの多値化
 4.3 帯域制限

5. マルチパスフェージング
 5.1 周波数フラットフェージング
  5.1.1 レイリー分布
  5.1.2 計算機シミュレーション
 5.2 周波数選択性フェージング
  5.2.1 周波数領域で見る周波数選択性フェージングの特性
  5.2.2 計算機シミュレーション

6. フェージング対策としてのスペクトル拡散方式とOFDM
 6.1 基本的アイデア
 6.2 スペクトル拡散
  6.2.1 原理
  6.2.2 拡散系列
  6.2.3 RAKE 合 成
  6.2.4 RAKE合成の行列表現とプログラム例
 6.3 OFDM
  6.3.1 OFDM送信機・受信機の構成の原理
  6.3.2 IFFT,FFTを用いたOFDM送信機・受信機の構成
  6.3.3 遅延波が存在する環境における対策:ガードインターバル
  6.3.4 プログラム例

7. 複数アンテナを用いる技術
 7.1 空間ダイバーシティ
  7.1.1 選択ダイバーシティ
  7.1.2 等利得合成
  7.1.3 最大比合成
  7.1.4 プログラム例
 7.2 アダプティブアレーアンテナ
  7.2.1 アダプティブアレーアンテナの数学モデル
  7.2.2 受信信号のモデル化
  7.2.3 重み係数による信号の取込みと打消しのメカニズム
  7.2.4 ウィーナー解の導出
  7.2.5 アンテナ指向性の描画
  7.2.6 出力SN比の計算法
  7.2.7 アダプティブアレーアンテナの自由度
  7.2.8 逐次的な重み係数の推定法
  7.2.9 重み係数のブラインド推定:CMA法
  7.2.10 プログラム例
 7.3 MIMO
  7.3.1 信号の定式化とチャネル応答行列
  7.3.2 MMSE基準による空間フィルタリング
  7.3.3 特異値分解に基づくマルチモード伝送
  7.3.4 プログラム例

8. 情報理論の概要
 8.1 シャノンの通信路容量
 8.2 情報理論の基礎
  8.2.1 情報量と情報エントロピー
  8.2.2 事後確率とあいまい度
  8.2.3 相互情報量と通信路容量
  8.2.4 連続信号への拡張
  8.2.5 連続的通信路の通信路容量の導出
  8.2.6 帯域制限された連続的通信路の通信路容量
 8.3 誤り訂正符号の原理と畳込み符号
  8.3.1 誤り訂正符号の全体像
  8.3.2 誤り訂正符号の例:畳込み符号
  8.3.3 プログラム例
 8.4 サンプリング定理と理想フィルタ

付録
1. C言語を用いて作成した関数をMATLABから呼び出す方法
2. 信号処理からみた行列演算に関するメモ
3. 相関係数を用いたSN比の計算法
4. 自作関数一覧
   1 MYantPattern アンテナパターン描画
   2 MYber アンテナパターン描画
   3 MYbpskDemod BPSK復調器
   4 MYbpskMod BPSK変調器
   5 MYbpskTheoBER BPSKのBERの理論値の計算
   6 MYcompNoise 複素ガウス雑音
   7 MYcorrelator 相関器
   8 MYdelayProfile 遅延プロファイル生成
   9 MYfSelFading 周波数選択性フェージング通信路
   10 MYmseq M系列生成
   11 MYrandData ランダムデータ系列生成
   12 MYrollOffFilter ロールオフフィルタ
   13 MYsnr SN比の計算
   14 MYsteer 線形アレーアンテナのステアリングベクトル
   15 MYtdl トランスバーサルフィルタ
   16 MYvec ベクトル化

引用・参考文献
索引

【「通信工学のシナリオ」が分かりやすく示されている】(大学教員)

本書では、「通信工学のシナリオ」を分かりやすく示すことで、通信工学のイメージを与えてくれる。そのため、本書はこれから通信工学を学習、もしくは研究しようとしている初学者に適している。
さらに、ところどころに設けられたコラムでは、初学者がつまづきそうなポイントが詳しく説明されいている。このコラムは通信工学に精通した読者であっても、復習を兼ねて一読の価値がある。

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